説明

放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システム

【課題】ハンドルが差し込まれたきに電源を遮断する電子カセッテ及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム40は、図示しない被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段52が収納された筐体42と、筐体42の内部に設けられ、放射線検出手段52に電力を供給する電源20と、筐体42に形成され、持ち運び用の取っ手12が装着される接続部14と、接続部14に設けられ、取っ手12が装着されると電源20からの電力の供給を遮断する電源遮断手段16とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像の撮影には、放射線を発生させる放射線発生装置、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像を得る放射線画像撮影装置(以下、電子カセッテと記す。)、及び放射線発生装置と電子カセッテを制御する撮影制御装置(以下、コンソールと記す。)が用いられている。
ここに、電子カセッテは可搬型とされ、撮影時には放射線発生装置との間に被写体を配置した状態で使用される。撮影終了後は、定められた保管場所等で保管される。
【0003】
運搬用にハンドルを取り付け、かつ電力の供給を制御する機能を備えた電子カセッテとしては特許文献1、2がある。
特許文献1に記載の発明は、ディジタルX線検出器システム(電子カセッテ)の筐体に、把手(取っ手)を装着自在に取り付けることができる。把手の内部にはバッテリーが組み込まれ、バッテリーから筐体内部の放射線検出手段等に電力が供給される。このバッテリー電力をチェックし、バッテリー電力が設定値以下に低下したときに、バッテリーからの電力の供給を遮断する構成である。
【0004】
即ち、特許文献1は、バッテリーから放射線検出手段等への電力の供給を遮断する判断基準をバッテリー電力の残量としている。このため、電子カセッテの不使用時には、消費電力の抑制効果は期待できない。また、バッテリーが内蔵されて突出した把手は、撮影の邪魔になる。
【0005】
特許文献2に記載の発明では、画像情報検出用カセッテ(電子カセッテ)に固定した取っ手に、握られたことを検出するセンサが取り付けられている。使用者が運搬時に取っ手を握ると、握られたことを検出して、画像情報検出用カセッテを低消費電力モードへと移行させる。
即ち、特許文献2は、取っ手を握ると低消費電力モードへと移行させるが、電源からの電力の供給を遮断することはできない。このため、消費電力の大きな抑制効果は期待できない。また、突出して固定された取っ手は撮影時に邪魔になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−107508号公報
【特許文献2】特開2005−3756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実に鑑み、撮影時には取っ手を突出しない状態とすることができ、運搬時には取っ手を装着位置とし、かつ運搬時には、電源からの電力の供給を遮断できる放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る放射線画像撮影装置は、被写体を透過した放射線を検出して記録する放射線検出手段が収納された筐体と、前記筐体に保持され、前記放射線検出手段に電力を供給する電源と、前記筐体に形成され、持ち運び用の取っ手が装着される接続部と、前記接続部に設けられ、前記取っ手が装着されると前記電源からの電力の供給を遮断する電源遮断手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、放射線画像撮影装置は、筐体に収納された放射線検出手段により被写体を透過した放射線を検出する。また、筐体に設けられた電源により放射線検出手段に電力が供給される。一方、筐体に形成された接続部により、筐体への持ち運び用の取っ手が装着位置とされる。接続部には電源遮断手段が設けられており、取っ手が接続部に装着されると、電源遮断手段により電源からの電力の供給が遮断される。
【0010】
これにより、放射線画像撮影装置の運搬時や保管時等の不使用時に、電源から放射線検出手段への電力の供給を遮断することができ、放射線画像撮影装置のエネルギー消費を低減できる。
また、電源の消費量を減らすことが可能となるため、1回の充電で撮影できる撮影枚数を増すことができる。また、運搬時等の不使用時にのみ取っ手を装着させる構成とされているため、撮影時には突出しない状態とすることができ、取っ手が撮影の邪魔になるという不具合が生じない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、前記接続部は、前記筐体の外周部に形成された溝部と、前記溝部の内部へ延出し、前記溝部へ差し込まれる前記取っ手に形成された作動部と係合する係合部と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、接続部は筐体の外周部に形成された溝部を有し、溝部には係合部が設けられている。この係合部が、溝部へ差し込まれる取っ手に形成された作動部と係合する。
これにより、取っ手を筐体に装着可能に取り付けることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の放射線画像撮影装置において、前記電源遮断手段は、前記溝部に設けられ、前記作動部が前記係合部に係合されたとき前記作動部によって作動される受動部を有していることを特徴としている。
これにより、取っ手の作動部を筐体の係合部に係合させたときに、ボタンが作動部で押し込まれてスイッチを作動させる。このため、他の操作を必要とせずに、電源から放射線検出手段への電力の供給を遮断することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線画像撮影装置において、前記受動部は、前記取っ手が前記溝部へ差し込まれた後に、この差し込み方向と異なる方向へ移動されることによって、前記作動部が前記受動部を作動させることを特徴としている。
これにより、差し込み位置と係合部を異なる位置とすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の放射線画像撮影装置において、前記電源遮断手段は、前記受動部の作動で反応するスイッチを有していることを特徴としている。
これにより、取っ手を筐体の係合部に係合させたときに、スイッチにより電源が遮断される。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、前記取っ手は、前記筐体への差し込み方向へ移動した差込位置と、この差し込み位置から差し込み位置と異なる方向へ移動した係合位置と、更に、前記係合位置から移動した係合保持位置へと移動することを特徴としている。
これにより、取っ手を係合部に移動させることで、取っ手が筐体から外れるのを防止できる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の放射線画像撮影装置において、前記取っ手の、前記係合位置から前記係合保持位置への移動方向は、前記差し込み方向と平行かつ反対方向であることを特徴としている。
これにより、取っ手を係合部との係合を簡易な構成とすることができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、前記係合部には、前記作動部が係合されたときに係合状態を保持する保持手段が設けられていることを特徴としている。
即ち、係合部に設けられた保持手段により、係合された作動部の抜け出しが防止され、係合状態が保持される。
これにより、筐体と取っ手の一体化を図ることができ、運搬する際に、取っ手が筐体から外れるのを防止できる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項請求項2〜8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置において、前記溝部は、溝部カバーによって前記筐体の内部と区画されている。
これにより、溝部カバーが筐体内部をシールし、放射線画像撮影装置の遮水、遮光機能を高めることができる。
【0020】
請求項10に記載の発明に係る放射線画像撮影システムは、作動部を備えた取っ手と、筐体には、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段及び電力を供給する電源が保持され、前記筐体の外周部に、前記作動部と装着可能に係合される接続部を備え、前記接続部には、前記作動部が前記接続部と係合されたとき前記電源からの電力の供給を遮断する電源遮断手段が設けられている放射線画像撮影装置と、を有することを特徴としている。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、取っ手の端部には作動部が備えられている。また、放射線画像撮影装置の筐体には放射線検出手段が収納され、被写体を透過した放射線を検出して記録する。また、筐体には電源が保持され、放射線検出手段に電力を供給する。また、筐体の外周部に設けられた接続部により、取っ手の作動部が装着可能に係合される。このとき、接続部に設けられた電源遮断手段により、電源から放射線検出手段への電力の供給が遮断される。
【0022】
これにより、放射線画像撮影装置の運搬時や保管時等の不使用時に、電源から放射線検出手段への電力の供給を遮断することが可能となり、放射線画像撮影装置の省エネを図ることができる。
また、電源の消費量を減らすことが可能となるため、1回の充電で撮影できる撮影枚数を増すことができる。また、運搬時等の不使用時にのみ取っ手を装着させる構成のため、取っ手が撮影の邪魔になるという不具合が生じない。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記構成としてあるので、撮影時には取っ手を突出しない状態とすることができ、運搬時には取っ手を装着位置とし、かつ運搬時には電源からの電力の供給を遮断できる放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の基本構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の溝部とハンドルの作動部の形状を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置係合溝部と取っ手の作動部の係合状態を示すX−X線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置係合溝部と取っ手の作動部の係合状態を示すY−Y線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の筐体の内部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の溝部と取っ手の作動部の形状を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置係合溝部と取っ手の作動部の係合状態を示すX−X線断面図、及びY−Y線断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置係合溝部と取っ手の作動部の係合状態を示すX−X線断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの基本構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
図1(A)の側面図に示すように、第1の実施の形態に係る電子カセッテ10は、矩形に形成された平板状の筐体42を有している。
筐体42には、放射線を検出する放射線検出手段52、放射線検出手段52に電力を供給する電源(バッテリー)20、放射線検出手段52と電源20を制御する制御部22、及び電源22から放射線検出手段52への電力の供給を遮断するスイッチ16が収納されている。なお、バッテリー20は、筐体42の内部には収納されてなく、筐体42で保持されている構成も本発明に含まれる。
【0026】
電子カセッテ10は、図示しない放射線を発生させる放射線発生装置との間に、図示しない被写体を挟んで配置される。電子カセッテ10は、後述するコンソールと有線通信手段若しくは無線通信手段で連結され、コンソールからの指令により放射線発生装置が発生させた放射線を放射線検出手段52で検出する。検出された放射線は、放射線画像情報として処理され、処理された放射線画像は、有線通信手段若しくは無線通信手段を介してコンソールへ送信される。
筐体42の側壁面42Sには、ハンドル12と装着可能に係合される係合用の溝部14が設けられている。
【0027】
溝部14と係合されるハンドル12は、手で握る握り部12Gと、握り部12Gの両端を折り曲げた折曲げ部12Bを有し、折曲げ部12Bの先端部には段差部が形成され、段差部には側方へせり出した作動部44が設けられている。
溝部14はハンドル12の作動部44に対応させて、筐体42の側壁面42Sに2箇所形成されている。溝部14に作動部44を矢印Dの方向へ差し込んで、図1(B)に示す矢印Fの方向へスライドさせることで、図2の斜視図に示すように、溝部14にハンドル12を係合させることができる。
【0028】
なお、溝部14の側壁にはスイッチ16が取り付けられており、後述するように、ハンドル12の作動部44でボタン34が押し込まれた場合に、スイッチ16が作動する。この結果、制御部22を介して、電源20から放射線検出手段52への電力の供給が遮断される。
【0029】
次に、ハンドル12の係合状態について詳細に説明する。
図3の斜視図、図4のX−X線断面図、図5のY−Y線断面図に示すように、溝部14は、開口寸法の異なる3種類の開口部14A、14B、14Cを有している。開口部の大きさは、開口部14Aが最も大きく、次いで開口部14Cが大きく、最も小さい開口部14Bが中央に設けられている。即ち、開口部14Aと開口部14Cを開口部14Bが区画する構成である。開口部14C、14Bは、上部に設けられた厚さDC2の蓋部により、開口部が狭められている。
【0030】
また、開口部14Cの側壁には、電源20をオン/オフするスイッチ16が取り付けられている。スイッチ16には、操作用のボタン34が突出して設けられ、ボタン34の先端は開口部14Cの内部空間に突き出されている。スイッチ16は、ボタン34がスイッチ16側に押し込まれたときオンとなり、ボタン34が開放されたときオフとなる。スイッチ16の出力は、制御部22に入力され、制御部22が電源20を制御する。
【0031】
一方、作動部44は、ハンドル12の端部を平行に、両側面から対象形に2段階に切り欠かれた構成である。即ち、ハンドル12の高さDH1の位置から下方へ幅DH2の寸法で、中央部の切り残し厚さWH3を残して切欠き部が形成されている。この切欠き部からハンドル12の端面側へ、厚さWH3より中央部の切り残し厚さが厚くされた、厚さWH2、WH1の作動部が形成されている。
【0032】
ここに、開口部14Aの幅WC1、長さLCは作動部44の幅WH1、長さLHより大きい。よって、作動部44を矢印Dの方向へ移動させて、開口部14Aに挿入させることができる。このとき、開口部14Aの深さDC1より、作動部44の切り欠き部の上端部までの高さDH1の方が大きいため、作動部44の切欠き部の上端部は、開口部14Aの外に出ている(図4(A)、図5(A)参照)。
【0033】
また、開口部14Bは、張出し部18が側壁の両側から中央部へ張り出し、幅WC2まで狭められた構成である。しかし、張出し部18の間の幅WC2は、作動部44の幅WH3より広くされており、張出し部18の厚さDC2は作動部44の切欠き部の深さDH2より小さくされている。これにより、作動部44を矢印Fの方向へスライドさせて開口部14Bを通過させることができる(図4(B)、図5(B)参照)。
【0034】
また、開口部14Cは幅WC3とされ、開口部14Bの幅WC2より大きく、かつ、作動部44の幅WH2より大きい。更に、作動部44の幅WH1より小さい。また、開口部14Cの長さLCは、作動部44の長さLHより大きい。
よって、作動部44を矢印Fの方向へ移動させ、作動部44の進行側の側壁が開口部14Cの側壁と当接した状態で、作動部44を矢印Uの方向へ移動させ、作動部44の面Pを開口部14Cに挿入させることができる(図4(C)、図5(C)参照)。
【0035】
この状態においては、開口部14Bの張出し部18が、作動部44の矢印Fと反対方向への移動を禁止する。従って、作動部44が開口部14Aに戻り、作動部44が開口部14Aから抜け出るのが防止される。即ち、張出し部18が、作動部44と溝部14との係合状態を維持する保持手段として作用する。
また、作動部44の矢印F側の側壁が、スイッチ16のボタン34をスイッチ16側に押し込む。この結果、スイッチ16がオンとなり、オン状態が保持される。
【0036】
なお、作動部44と溝部14との係合状態を解除するには、上記と逆の手順を踏めばよい。これにより、ハンドル12を電子カセッテ10から容易に装着できる。ハンドル12が取り外されたとき、スイッチ16はオフ状態となる。この結果、電源20から放射線検出手段52への電力の供給が開始される。
【0037】
次に、図6のブロックを用いて、電源20の遮断機能について説明する。
図4のブロックに示すように、電子カセッテ10の筐体42には、既述したスイッチ16、電源20、制御部22及び放射線検出手段52である放射線画像情報を担持する固体検出部30、被写体を透過した放射線信号を画像処理する画像信号処理部28、及び撮影された放射線画像を記録するメモリ26が収納されている。
【0038】
更に、電子カセッテ10の筐体42には、外部の撮影制御手段32と無線通信するための通信手段24が収納されている。
ここに、制御部22は、放射線画像の処理手順に従い、通信手段24、メモリ26、画像信号処理部28、及び固体検出部30をそれぞれ制御する。更に、制御部22は、スイッチ16からのオン/オフ信号に従い、電源20をオン/オフさせる。
【0039】
即ち、スイッチ16のオン/オフ信号は、一旦、制御部22に入力される構成とされており、スイッチ16からオン信号が入力されたとき、制御部22は電源20をオフさせ、スイッチ16からオフ信号が入力されたとき、制御部22は電源20をオンさせる。
【0040】
本構成とすることにより、ハンドル12を係合させたきに、電源20から放射線検出手段52等への電力の供給を遮断できる電子カセッテ10を提供することができる。
また、電子カセッテ10の溝部14にハンドル12の作動部44が係合されたとき、電子カセッテ10とハンドル12の係合状態が保持されるので、ハンドル12を持って、電子カセッテ10を持ち運びできる。
【0041】
また、係合状態においては、スイッチ16はオン状態が保持され、制御部22が電源20をオフさせる。この結果、消費電力を低減させることができる。また、電源20の消費量が減ることにより、1回の充電で撮影できる撮影枚数を増すことができる。
さらに、電子カセッテ10とハンドル12は装着可能とされており、ハンドル12が撮影の邪魔になることはない。
【0042】
なお、ハンドル12は、着脱可能な形状としたが、これに限定されることはなく、例えば、折り畳んで筐体42の凹部に収納させる構成でもよい。また、一端を取り外し、他端を中心に回転させて筐体42の凹部に収納させる構成でもよい。これにより、ハンドル12を電子カセッテ10から分離して保管する手間が省略できる。
【0043】
(第2の実施の形態)
図7、8に示す第2の実施の形態に係る電子カセッテ54は、ハンドル58を筐体56に係合させた場合における手保持手段として、バネ50を採用した構成である。他は、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0044】
図7の斜視図、図8(A)のX−X線断面図、図8(B)のY−Y線断面図に示すように、溝部62は、開口寸法の異なる2種類の開口部62A、62Bを有している。開口部の大きさは、開口部62Aが大きく、開口部62Bが小さい。開口部62Bは、上部に設けられた厚さDC2の蓋部により、開口部が幅WC2に狭められている。
【0045】
バネ50は、開口部62の底面と、開口部62の底面の全面に敷かれた底板51の間に設けられている。底板51は剛性の高い材料で平面状に形成され、バネ50の弾性により、平面状態を維持して平行に移動可能とされている。バネ50は、ハンドル12を開口部62の底面から離す方向、即ち、矢印Uの方向へ付勢する。また、底板51の上に作動部60の底面が、スライド可能に当接されている。
【0046】
開口部62Bの矢印F方向の側壁には、電源20をオン/オフするスイッチ16が取り付けられている。スイッチ16には、操作用のボタン34が突出して設けられ、ボタン34の先端は開口部62Bの内部空間に突き出されている。
作動部60は、ハンドル58の端部を平行に、両側面から対象形に溝部に幅DH3で切り欠かれた構成である。即ち、ハンドル58の高さDH1の位置から下方へ幅DH3の寸法で、中央部の切り残し厚さWH2を残して切欠き部が形成され、先端部が突き出されている。
【0047】
ここに、開口部62Aの幅WC1、長さLCは作動部44の幅WH1、長さLHより大きい。よって、作動部60を矢印Dの方向へ移動させて、開口部62Aに挿入させることができる。このとき、バネ50の付勢力より大きい力で押し込む必要がある。
【0048】
開口部62Aの深さDC1より、作動部60の切り欠き部の上端部までの高さDH1の方が大きいため、作動部44の切欠き部の上端部は、開口部62Aの外に出ている。
【0049】
また、開口部62Bは、張出し部64が側壁の両側から中央部へ張り出し、幅WC2まで狭められた構成である。一方、作動部60の幅WH2は、張出し部18の間の幅WC2より狭くされており、張出し部18の厚さDC2は作動部60の切欠き部の深さDH3より小さくされている。これにより、作動部60を矢印Fの方向へスライドさせて開口部62Bまで移動させることができる(図8参照)。
【0050】
この状態において、ハンドル58から手を離しても、バネ50が作動部60を矢印Uの方向へ押すことにより、作動部60の面Pが張出し部64と当接される。この結果、作動部60が開口部62Aまで戻り、作動部60が開口部62Aから抜け出るのが防止される。即ち、バネ50が、作動部44と溝部62との係合状態を維持する保持手段として作用する。
【0051】
また、作動部44が溝部62の開口部62Bで係合された状態において、作動部60の矢印F側の側壁が、スイッチ16のボタン34をスイッチ16側に押し込む。この結果、スイッチ16がオンとなり、電源20から放射線検出手段52への電力の供給が遮断される。
【0052】
なお、作動部60と溝部62との係合状態を解除するには、上記と逆の手順を踏めばよい。これにより、ハンドル58を電子カセッテ54の筐体56に容易に装着できる。ハンドル58が取り外されたとき、スイッチ16はオフ状態となる。この結果、電源20から放射線検出手段52への電力の供給が開始される。
【0053】
(第3の実施の形態)
図9の部分断面図に示す第3の実施の形態に係る電子カセッテ72は、ハンドル12を筐体74に係合させた場合の係合状態の手保持手段として、ロック体76を採用した構成である。他は、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。
【0054】
ロック体76は、樹脂材料等で開口部14A、14Bの内部空間に挿入され、内部空間全体を塞ぐ寸法に形成されている。ロック体76は、バネ77で矢印Pの方向へ付勢されている。バネ77は、ロック体76の底面に設けられ、ロック体76の表面(底面と平行な面)に当接されたハンドル12を、開口部14の底面から離す方向、即ち、矢印Uの方向へ付勢する。
【0055】
図9(A)に示すように、開口部62Bの矢印F方向の側壁には、電源20をオン/オフさせるスイッチ16が取り付けられている。スイッチ16には、操作用のボタン34が突出して設けられ、ボタン34の先端は開口部14Cの内部空間に突き出されている。
ハンドル12の作動部44を、開口部14Aで矢印Dの方向へ移動させる。これのとき、ロック体76は矢印Dの方向へ押されてバネ77を圧縮させる。これにより、作動部44を開口部14Aに挿入させることができる。
【0056】
次に、図9(B)に示すように、作動部44を矢印Fの方向へスライドさせて開口部14Bを通過させる。このとき、ボタン34の先端が作動部44の端面でスイッチ16の方向へ押し込まれ、スイッチ16がオン状態となる。同時に、作動部44が開口部14Bを通過した後は、ロック体76を矢印Dの方向へ押す力がなくなり、ロック体76は、バネ77の復元力により、矢印Pの方向へ移動して開口部14A及び14Bの内部空間に入り込む。
【0057】
この結果、図9(C)に示すように、作動部44でボタン34をスイッチ16の方向へ押し込んだ状態でハンドル12をロックさせることができる。即ち、作動部44は、ロック体76に邪魔されて矢印Uと反対の方向へ移動することができず、ロック状態が維持される。
【0058】
なお、ロックを解除してハンドル12を取り外すには、指先でロック体76を矢印Dの方向へ押し込み、この状態で作動部44を開口部14Aまでスライドさせればよい。これにより、ハンドル12を溝部14から取り外すことができる。
他の構成は、第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0059】
(第4の実施の形態)
図10のシステム概念図に示すように、第4の実施の形態に係る放射線画像撮影システム40は、放射線を発生させる放射線発生装置36、放射線発生装置36との間に図示しない被写体を挟んで配置され、被写体を通過した放射線を検出する電子カセッテ10、電子カセッテ10と放射線発生装置36を制御するコンソール32、電子カセッテ10に装着可能に取り付けられるハンドル12を有している。
【0060】
ここに、放射線発生装置36とコンソール32は、一般的に用いられている市販機器であり、説明は省略する。電子カセッテ10とハンドル12は、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成であり、説明は省略する。ハンドル12は、第1の実施の形態で説明した手順で、電子カセッテ10の溝部14に装着可能に係合される。
電子カセッテ10とコンソール32の間は、有線通信手段66及び無線通信手段68で接続されており、放射線発生装置36とコンソール32の間は、有線通信手段70で接続されている。
【0061】
本構成とすることにより、コンソール32からの放射線発生指示により、放射線発生装置63が放射線を発生させる。被写体を通過し放射線は、電子カセッテ10に収納された放射線検出手段52が検出する。検出された放射線は、放射線画像情報として処理され、処理された放射線画像は、有線通信手段66又は無線通信手段68を介してコンソール32へ送信される。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態とすることにより、ハンドル12を電子カセッテ10に係合させたときに、電源20から放射線検出手段52への電力の供給を遮断する放射線画像撮影システム40を提供できる。
また、電子カセッテ10の溝部14にハンドル12の作動部44が係合されたとき、電子カセッテ10とハンドル12の係合状態が保持されるので、ハンドル12を持って、電子カセッテ10を運搬することが可能となり、持ち運びが容易となる。
【0063】
また、係合状態においては、スイッチ16はオン状態が保持され、制御部22が電源20をオフさせる。この結果、消費電力を低減させることができる。また、電源20の消費量が減ることにより、1回の充電で撮影できる撮影枚数を増すことができる。
【0064】
さらに、電子カセッテ10とハンドル12は装着可能とされており、ハンドル12が撮影の邪魔になることはない。
なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態で説明した電子カセッテ10とハンドル12を用いて説明したが、第2の実施の形態で説明した電子カセッテ54とハンドル58、及び第3の実施の形態で説明した電子カセッテ72とハンドル12を用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 電子カセッテ(放射線画像撮影装置)
12 ハンドル(取っ手)
14 溝部(接続部、係合部)
16 スイッチ(電源遮断手段)
18 張り出し部(保持手段)
20 電源
34 ボタン(電源遮断手段)
40 放射線画像撮影システム
42 筐体
44 作動部
50 バネ(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出して記録する放射線検出手段が収納された筐体と、
前記筐体に保持され、前記放射線検出手段に電力を供給する電源と、
前記筐体に形成され、持ち運び用の取っ手が装着される接続部と、
前記接続部に設けられ、前記取っ手が装着されると前記電源からの電力の供給を遮断する電源遮断手段と、
を有する放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記筐体の外周部に形成された溝部と、
前記溝部の内部へ延出し、前記溝部へ差し込まれる前記取っ手に形成された作動部と係合する係合部と、
を有する請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記電源遮断手段は、前記溝部に設けられ、前記作動部が前記係合部に係合されたとき、前記作動部によって作動される受動部を有している請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記受動部は、前記取っ手が前記溝部へ差し込まれた後に、この差し込み方向と異なる方向へ移動されることによって、前記作動部が前記受動部を作動させる請求項3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記電源遮断手段は、前記受動部の作動で反応するスイッチを有している請求項3又は4に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記取っ手は、前記筐体への差し込み方向へ移動した差込位置と、この差し込み位置から差し込み位置と異なる方向へ移動した係合位置と、更に、前記係合位置から移動した係合保持位置へと移動する請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記取っ手の、前記係合位置から前記係合保持位置への移動方向は、前記差し込み方向と平行かつ反対方向である請求項6に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記係合部には、前記作動部が係合されたときに係合状態を保持する保持手段が設けられている請求項2〜7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記溝部は、溝部カバーによって前記筐体の内部と区画されている請求項請求項2〜8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
作動部を備えた取っ手と、
筐体には、被写体を透過した放射線を検出する放射線検出手段及び電力を供給する電源が保持され、前記筐体の外周部に、前記作動部と装着可能に係合される接続部を備え、前記接続部には、前記作動部が前記接続部と係合されたとき前記電源からの電力の供給を遮断する電源遮断手段が設けられている放射線画像撮影装置と、
を有する放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−24995(P2013−24995A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158394(P2011−158394)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】