説明

放射線画像撮影装置

【課題】撮影部ユニットとグリッド保持ユニットとハンドルユニットをそれぞれ任意に結合した4つの状態の切り替えを可能にする。
【解決手段】グリッド18が設けられるグリッド保持ユニット1と、X線画像を撮影できる撮影部ユニット2と、把手35が設けられるハンドルユニット3とを有し、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とハンドルユニット3には、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とを結合する第一着脱規制部71と、撮影部ユニット1とハンドルユニット2とを結合する第二着脱規制部72と、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット2とを結合する第三着脱規制部73と、ロック解除機構とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の透過放射線から放射線画像を得るための放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像撮影装置として、撮影画像が瞬時にモニタに表示されるDR(Digital Radiography)などを用いたデジタルX線撮影装置が普及している。従来、この種の撮影装置は、放射線室に設置され利用されてきた。しかし、近年、より迅速かつ広範囲な部位の撮影を可能にするために、可搬型の撮影装置(電子カセッテ)の需要が大きい。
【0003】
可搬型の撮影装置は、持ち運びの便宜のためにハンドルを有する製品が主流である。しかしながら、撮影方法によってはハンドルが邪魔になることがあるため、ハンドルが着脱可能な構成であることが求められている。また、散乱線が多く発生することがある胸部や腹部などの部位の撮影に対応するために、散乱線除去用のグリッドを保持するための機構(グリッド保持ユニット)も求められている。このため、特許文献1に記載のX線撮影装置は、搬送時などに使用するハンドルが設けられる筐体を有し、この筐体に電子カセッテおよびグリッドを着脱可能に取付けることができる構成を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−6806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のX線撮影装置は、電子カセッテとハンドルとグリッドとの三つのユニットを結合することが可能である。さらに、ハンドルを操作することによって、三つのユニットが結合している状態から、グリッドを交換することができる。さらに、電子カセッテの取り出しも可能である。しかしながら、特許文献1に記載のX線撮影装置は、ハンドルをはずして電子カセッテとグリッドを結合するためには、別途グリッド保持ユニットが必要となる。
【0006】
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、電子カセッテと、グリッドを有するユニットと、ハンドルを有するユニットのうちの任意の二つのユニットが結合可能な放射線画像撮影装置を提供することである。また、本発明が解決しようとする課題は、三つのユニットが結合している状態から任意の一つのユニットを取り外す操作の内容を簡素化して操作性の向上を図ることができる放射線画像撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した機能を実現するために、本発明は、X線の散乱を防止するグリッドが設けられるグリッド保持ユニットと、X線画像を撮影できる撮影部ユニットと、把持用の把手が設けられるハンドルユニットとを有し、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットのいずれかには、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットとを分離可能に結合する第一着脱規制部と、前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットとを分離可能に結合する第二着脱規制部と、前記グリッド保持ユニットと前記ハンドルユニットとを分離可能に結合する第三着脱規制部と、一度の解除操作により、前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部のうちの一つの結合を維持しつつ残りの二つによる結合を解除した状態に遷移させる解除機構とが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グリッド保持ユニットと撮影部ユニットとハンドルユニットとの三つのユニットが結合している状態から、一回の着脱規制部の操作によって、任意の一つのユニットの取り外すことができる。このため、撮影方法の切り替え時などにおいて、放射線画像撮影装置の状態を変更する操作の操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1〜3にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図であり、図1のI−I線断面図である。
【図3】図3は、実施例1にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図である。
【図5】図5は、実施例2にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図である。
【図6】図6は、実施例2にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図である。
【図7】図7は、実施例3にかかる放射線画像撮影装置の構成を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、本発明の実施例1〜3の放射線画像撮影装置9a,9b,9cに共通する全体的な構成について、簡単に説明する。図1は、本発明の実施例1〜3にかかる放射線画像撮影装置9a,9b,9cの構成を模式的に示す分解斜視図である。図1に示すように、本発明の実施例1〜3にかかる放射線画像撮影装置9a,9b,9cは、グリッド保持ユニット1と、撮影部ユニット2と、ハンドルユニット3との三つのユニットを備える。さらに、図1は、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とハンドルユニット3の着脱関係を示す。本発明の実施例1〜3にかかる放射線画像撮影装置9a,9b,9cは、第一着脱規制部71と、第二着脱規制部72と、第三着脱規制部73とを有する(詳細は後述)。図1に示すように、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2は、第一着脱規制部71により結合する。撮影部ユニット2とハンドルユニット3は、第二着脱規制部72によって結合する。グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3は、第三着脱規制部73によって結合する。なお、説明の便宜上、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とが結合する状態を第一の状態と称する。撮影部ユニット2とハンドルユニット3とが結合する状態を第二の状態と称する。グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合する状態を第三の状態と称する。グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とハンドルユニット3とが結合する状態を第四の状態と称する。
【実施例1】
【0011】
次いで、本発明の実施例1について、図1と図2を参照して説明する。図2は、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aの構成を示す断面模式図である。本発明の実施例1においては、図2(a)が第四の状態を示し、図2(b)が第一の状態を示し、図2(c)が第二の状態を示し、図2(d)が第三の状態を示す。また、図2(a)は、図1のI−I線断面図である。
【0012】
グリッド保持ユニット1は、グリッド18と、このグリッド18を保持する枠体19とを含む。グリッド18は、X線画像の撮影において、散乱線を除去してコントラストを改善する部材である。なお、グリッド18は、従来公知の各種グリッドが適用できる。枠体19は、グリッド18を保持する部材である。枠体19は、たとえば、平面視で略四辺形で、一方が開口する底の浅い略箱状またはトレイ状の構成を有する。そして、枠体19の内側(=側壁121に囲まれる領域。以下、この領域を「収容領域」と称する。)にグリッド18が配設される。枠体19の側壁121には、第一固定爪11と第一可動爪12とが設けられるとともに、第一係合孔13と第二係合孔14が形成される。具体的には、側壁121の所定の一辺に、第一固定爪11が設けられるとともに第一係合孔13が形成される。そして、前記所定の一辺に対向する辺に、第一可動爪12と第二係合孔14が形成される。第一係合孔13と第二係合孔14は、たとえば、側壁121を貫通する貫通孔である。第一固定爪11は、収容領域の内側に向かって突起する凸状の構造物である。第一可動爪12は、側壁121の面方向に対して略直角方向に往復動可能である。このため、第一可動爪12は、その先端が、収容領域の内部に突出する状態と、収容領域から退出する状態とに移動することができる。収容領域には、撮影部ユニット2を収容することができる。なお、側壁121の前記所定の一辺とこの所定の一辺に対向する辺との間の他の一辺には、撮影部ユニット2が通過可能な切欠きが形成される。
【0013】
ハンドルユニット3は、把持用の把手35が設けられる部材である。把持用の把手35は、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aの搬送の際などに使用される。なお、把持用の把手35の構成は特に限定されない。ハンドルユニット3は、たとえば、図1と図2に示すように、略四辺形で、一方が開放する底の浅い箱状またはトレイ状の構成の部分を有する。そして、ハンドルユニット3の側壁38に囲まれる領域(以下、この領域を「収容領域」と称する)の内部に、撮影部ユニット2を収容することができる。ハンドルユニット3の側壁38には、第二固定爪31と第二可動爪32と第三可動爪33と第四可動爪34とが設けられる。具体的には、図1と図2に示すように、側壁38の所定の一辺(図に示す例では、把手35が設けられる辺に対向する辺)に、第二固定爪31および第二可動爪32が設けられる。そして、前記所定の辺に対向する辺(図1と図2においては、把手35が設けられる辺)に、第三可動爪33および第四可動爪34が設けられる。なお、側壁38の第二固定爪31および第二可動爪32が設けられる辺と、第三可動爪33および第四可動爪34が設けられる辺との間の辺には、撮影部ユニット2が通過可能な切欠きが形成される。
【0014】
第二固定爪31は、収容領域の内側に向かって突起する凸状の構造物である。第二可動爪32と第三可動爪33と第四可動爪34は、いずれも側壁38に対して往復動可能であり、それらの先端部が収容領域に入り込む状態と、収容領域から退出する状態とを交互に移動することができる。そして、第二可動爪32と第三可動爪33と第四可動爪34は、図略の付勢部材によって、常時自動的に、それらの先端部が収容領域に入り込む状態となるように付勢される。また、第二可動爪32と第三可動爪33と第四可動爪34の先端部は、側壁38の内周面に対して傾斜する傾斜面が形成される。このため、第二可動爪32と第三可動爪33と第四可動爪34は、側壁38の内周面に平行な方向の押圧力が傾斜面に加わると、側壁38の内周面に直角な分力によって、付勢部材の付勢力に抗して、収容領域から退出する位置に移動する。
【0015】
なお、図2(a)に示すように、第四の状態においては、第一可動爪12と第三可動爪33と第四可動爪34は、付勢部材の付勢力によって収容領域に完全に突出した位置にある。そして、第一可動爪12と第三可動爪33と第四可動爪34は、付勢部材の付勢力と反対向きの力を加えられると、収容領域から退出した位置に移動することができる。一方、第四の状態においては、第二可動爪32は、付勢部材の付勢力によって収容領域に突出するが、先端部が撮影部ユニット2に当接するため、完全に突出した状態にはない。そして、図2(d)に示すように、収容領域に撮影部ユニット2が収容されない状態であると、第四の状態と比較してさらに収容領域の内部に突出する。また、第二可動爪32は、付勢部材の付勢力と逆向きの力が加わると、図2(a)の状態よりもさらに引っ込むこと(=収容領域への突出量が小さくなること)ができる。
【0016】
撮影部ユニット2は、X線画像を撮影することができる機器である。撮影部ユニット2は、たとえば、X線を可視光に変換する蛍光板と、可視光を電気信号に変換する光電変換素子と、光電変換素子が出力する電気信号をA/D変換する電気回路とを有する。そして、これらの部材や装置が筐体に収容される。撮影部ユニット2には、第一凹部21と、第二凹部22と、第三凹部23と、第四凹部24とが形成される。第一凹部21には、グリッド保持ユニット1の第一固定爪11が嵌まり込むことができる。第二凹部22には、ハンドルユニット3の第二固定爪31が嵌まり込むことができる。第三凹部23には、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12が嵌まり込むことができる。第四凹部24には、ハンドルユニット3の第三可動爪33が嵌まり込むことができる。なお、撮影部ユニット2の構成は特に限定されるものではなく、公知の各種X線画像を撮影できる機器(たとえば、いわゆる一般的な「電子カセッテ」)と同じ構成が適用できる。
【0017】
図2(b)は、第一の状態(=グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とが結合している状態)を示す断面模式図である。使用者等は、グリッド保持ユニット1の第一固定爪11を、撮影部ユニット2の第一凹部21に引っ掛け、その後、撮影部ユニット2を第一可動爪12に押し付ける。そうすると、第一可動爪12が収容領域から退出した後、付勢部材の付勢力によって自動的に第三凹部23に嵌まり込む。これによって、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2との二つのユニットが結合する。図2(c)は、第二の状態(=撮影部ユニット2とハンドルユニット3とが結合している状態)を示す断面模式図である。使用者等は、図2(c)に示すように、ハンドルユニット3の第二固定爪31を、撮影部ユニット2の第二凹部22に引っ掛け、その後、撮影部ユニット2を第三可動爪33に押し付ける。そうすると、第三可動爪33が動いて自動的に第四凹部24に嵌る。この結果、撮影部ユニット2とハンドルユニット3との二つのユニットが結合する。図2(d)は、第三の状態(=グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合している状態)を示す断面模式図である。使用者等は、図2(d)に示すように、グリッド保持ユニット1を、第二可動爪32と第四可動爪34に押し付ける。そうすると、第二可動爪32が動いて自動的に第一係合孔13に嵌まり込むとともに、第四可動爪34が動いて自動的に第二係合孔14に嵌まり込む。これにより、撮影部ユニット2とハンドルユニット3との二つのユニットが結合する。以上のとおり、図1に示す第一着脱規制部71は、第一固定爪11と第一可動爪12により構成される。第二着脱規制部72は、第二固定爪31と第三可動爪33によって構成される。第三着脱規制部73は、第二可動爪32と第四可動爪34によって構成される。このように、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、互いに独立した第一着脱規制部71と、第二着脱規制部72と、第三着脱規制部73との三つの着脱規制部を有する。そして、これらの第一着脱規制部71と、第二着脱規制部72と、第三着脱規制部73との操作によって、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを、任意の二つのユニットが結合する三つの状態のいずれかに変化させることができる。
【0018】
第一の状態にあるグリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2に、ハンドルユニット3を結合する操作は、次のとおりである。使用者等は、ハンドルユニット3の第二固定爪31を撮影部ユニット2の第二凹部22に嵌め込むとともに、ハンドルユニット3の第二可動爪32をグリッド保持ユニット1の第一係合孔13に嵌め込む。その後、使用者等は、撮影部ユニット2によって第三可動爪33を押圧するとともに、グリッド保持ユニット1によって第四可動爪34を押圧する。そうすると、第三可動爪33が動いて自動的に第四凹部24に嵌まり込むとともに、第四可動爪34が動いて自動的に第二係合孔14に嵌まり込む。これにより、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、第四の状態になる。
【0019】
第二の状態にある撮影部ユニット2とハンドルユニット3に、グリッド保持ユニット1を取り付ける操作は、次のとおりである。使用者等は、グリッド保持ユニット1でハンドルユニット3の第二可動爪32を押圧する。これにより、使用者等は、グリッド保持ユニット1の第一係合孔13に、ハンドルユニット3の第二可動爪32を嵌め込むとともに、グリッド保持ユニット1の第一固定爪11を撮影部ユニット2の第一凹部21に嵌め込む。その後、使用者等は、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12を撮影部ユニット2に押し付けるとともに、グリッド保持ユニット1をハンドルユニット3の第四可動爪34に押し付ける。そうすると、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12が自動的に第三凹部23に嵌まり込むとともに、ハンドルユニット3の第四可動爪34が自動的にグリッド保持ユニット1の第二係合孔14に嵌まり込む。これにより、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、第四の状態となる。
【0020】
第三の状態にあるグリッド保持ユニット1とハンドルユニット3に、撮影部ユニット2を取り付ける操作を、図1〜3を参照して説明する。図3は、第4形態にある本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aの断面模式図であり、撮影面(=X線が照射される面)に平行な面で切断した図である。この操作においては、撮影部ユニット2を側方からスライドさせて、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とにより形成される空間(=収容領域)の内部に収容する。グリッド保持ユニット1の側壁121と、ハンドルユニット3の側壁38の一辺には、撮影部ユニット2を挿通可能な切欠きが形成される。図3においては切欠きは省略してあるが、左辺に切欠きが形成される。そして、使用者は、この切欠きを通じて、撮影部ユニット2を収容領域に出し入れできる。第一可動爪12と第二可動爪32と第三可動爪33には、側方から押圧された場合にも動くように、側面(=側壁38の切欠きが形成される辺に対向する側の面。図3においては左側)にも傾斜面が形成される。また、撮影部ユニット2の第一凹部21と第二凹部22のそれぞれは、撮影部ユニット2をスライドさせる場合に第一固定爪11と第二固定爪31のそれぞれと干渉しないように、スライド方向の全長にわたって延伸する略溝状に形成される。第三凹部23と第四凹部24は、第一可動爪12と第三可動爪33のそれぞれの外形寸法に応じた寸法(たとえば、第一可動爪12と第三可動爪33のそれぞれと略同じ寸法)に形成される。このような構成によれば、第一可動爪12と第三可動爪33が第三凹部23と第四凹部24に嵌まり込むと、撮影部ユニット2がスライド方向に移動しない。使用者は、第一固定爪11と第二固定爪31を第一凹部21と第二凹部22を通過させながら、撮影部ユニット2をスライドさせて収容領域に収容する。そして、撮影部ユニット2が第一可動爪12と第二可動爪32に押し付けられると、第一可動爪12と第二可動爪32が動いて自動的に第三凹部23と第四凹部24に嵌まり込む。これにより、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、第四の状態になる。
【0021】
なお、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを第三の状態から第四の状態に変更するための構成としては、このほか、ハンドルユニット3の底部39に、撮影部ユニット2を挿通可能な開口部が形成される構成であってもよい。この開口部の寸法は、グリッド保持ユニット1の外形寸法よりも小さく、撮影部ユニット2の外形寸法よりも大きく設定される。このような構成によれば、この開口部を通じて、グリッド18の反対側(すなわち、X線が照射される面の反対側)から、撮影部ユニット2をグリッド保持ユニット1およびハンドルユニット3に結合することができる。
【0022】
第四の状態にある本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aから、任意の一つのユニットを選択的に取り外すためには、三つの着脱規制部71,72,73のうちの一つを係合状態に維持しつつ、残りの二つを同時に解除する。本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aのハンドルユニット3には、第一ロック解除機構4が設けられる。第一ロック解除機構4は、一度の操作により、三つの着脱規制部71,72,73のうちの一つを係合状態に維持しつつ、残りの二つの結合を同時に解除した状態に遷移させることができる。すなわち、第一ロック解除機構4は、第一可動爪12と第三可動爪33と第四可動爪34のうちのいずれか二つを連動して動かすことができる。したがって、第一ロック解除機構4の一回の操作によって、第四の状態にある本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aから、任意の一つのユニットを選択的に取り外すことができる。
【0023】
第一ロック解除機構4の具体的な構成は、次のとおりである。第一ロック解除機構4は、第一操作レバー41と第二操作レバー42と第三操作レバー43と連結部44とを有する。第一操作レバー41は、第四可動爪34と連結部44とに連結されており、これらを同時に動かすことができる。第二操作レバー42は、第三可動爪33と第四可動爪34とに連結されており、これらを同時に動かすことができる。第三操作レバー43は、第三可動爪33と連結部44とに連結されており、これらを同時に動かすことができる。連結部44は、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12に分離自在に連結できる。なお、所定の操作レバー41,42,43と、所定の可動爪12,32,33,34および連結部44とは、ワイヤーなどによって物理的に連結される。また、第一可動爪12は、ハンドルユニット3ではなくグリッド保持ユニット1に設けられる。このため、連結部44が第一操作レバー41と第一可動爪12とを連結するとともに、第三操作レバー43と第一可動爪とを連結することによって、第一操作レバー41および第三操作レバー43の運動を、第一可動爪12に伝達する。そして、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合する状態においては、第一可動爪12と第一操作レバー41および第三操作レバー43とが連結部44により連結する。このため、第一操作レバー41と第三操作レバー43のいずれかが操作されると(たとえば、引っ張られると)、第一可動爪12が動いて収容領域から退出する。なお、この連結部44の構成は特に限定されるものではない。たとえば、第一可動爪12と連結部44のいずれか一方に爪や突起などが設けられ、他方にこの爪や突起などが嵌まり込むことができる凹部などが形成される構成が適用できる。また、第一可動爪12と連結部44の少なくとも一方に磁石を設け、磁力によって第一可動爪12と連結部とを連結する構成であってもよい。要は、第一操作レバー41と第三操作レバー43が操作されると(=引っ張られると)、第一可動爪12が収容領域から退出する向きに移動する構成であればよい。
【0024】
第一操作レバー41が操作されると(=引っ張られると)、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12が撮影部ユニット2の第三凹部23から抜け出るとともに、ハンドルユニット3の第四可動爪34がグリッド保持ユニット1の第二係合孔14から抜け出る。このため、グリッド保持ユニット1は、撮影部ユニット2とハンドルユニット3から分離可能な状態に遷移する。ただし、ハンドルユニット3の第三可動爪33は、撮影部ユニット2の第四凹部24に嵌まり込んでいる状態に維持される。このため、撮影部ユニット2とハンドルユニット3の結合は維持される。したがって、第一操作レバー41の一回の操作によって、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを、第四の状態から第二の状態に変更することができる。
【0025】
第二操作レバー42が操作されると(=引っ張られると)、ハンドルユニット3の第三可動爪33と第四可動爪34が、それぞれ撮影部ユニット2の第四凹部24とグリッド保持ユニット1の第二係合孔14から抜け出る。このため、ハンドルユニット3は、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2から分離可能な状態に遷移する。ただし、第一可動爪12は第三凹部23に嵌まり込んでいるため、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2の結合は維持される。したがって、第二操作レバー42の一回の操作によって、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを、第四の状態から第一の状態に変更することができる。
【0026】
第三操作レバー43が操作されると(=引っ張られると)、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12が撮影部ユニット2の第三凹部23から抜け出るとともに、ハンドルユニット3の第三可動爪33が撮影部ユニット2の第四凹部24から抜け出る。このため、撮影部ユニット2は、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3から分離可能な状態に遷移する。ただし、第四可動爪34は第二係合孔14に嵌まり込んでいる。また、第二可動爪32は、撮影部ユニット2が取り外されると、付勢部材により付勢されて突出し、第二可動爪32の傾斜面がグリッド保持ユニット1に接触しない位置に達する。このため、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3の結合は維持される。したがって、第三操作レバー43の一回の操作によって、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを、第四の状態から第三の状態に変更することができる。
【0027】
なお、第一ロック解除機構4の連結部44として、図3に示すように、第一操作レバー41と第三操作レバー43に、第一可動爪12と係合する爪が形成される構成であってもよい。このような構成であれば、第一操作レバー41または第三操作レバー43が操作されると、第四可動爪34と第三可動爪33の一方と、第一可動爪12との二つの可動爪が同時に連動して動く。なお、三つの可動爪のうちの二つの可動爪を連動して動作させ、残りの一つの可動爪は動かないようにする必要がある。このため、第一操作レバー41〜第三操作レバー43は、互いに物理的に干渉しないように、図3の紙面に直角な方向に互いにずれた位置に設けられる。
【0028】
以上のとおり、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、第一の状態〜第四の状態のすべての状態になることができる。さらに、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、第一操作レバー41〜第三操作レバー43のいずれかの一回の操作によって、第一の状態〜第四の状態の間で相互に状態を変更することができる。このため、撮影方法の変更時などにおいて、状態を変更する操作の操作性の向上を図ることができる。
【0029】
本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aにおいては、第一ロック解除機構4の全部がハンドルユニット3に設けられる。このような構成であれば、グリッド保持ユニット1や撮影部ユニット2に第一ロック解除機構4を設ける必要がない。このため、グリッド保持ユニット1や撮影部ユニット2の構造が複雑になることがない。ただし、第一ロック解除機構4の全部がハンドルユニット3に設けられる構成でなくてもよい。
【0030】
また、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aは、各可動爪12,32,33,34が付勢部材により付勢される構成を有する。このため、ユニットどうしを結合する際には、各操作レバー41,42,43を操作しなくても、各可動爪12,32,33,34が自動的に所定の凹部21,22,23,24や係合孔13,14に嵌まり込む。したがって、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aを第四の状態から第一の状態、第二の状態、第三の状態に変更する場合や、グリッドを入れ替える場合など、分離したユニットを再結合する操作の操作性がよい。ただし、必ずしも各可動爪12,32,33,34が付勢部材により付勢される構成でなくてもよい。各可動爪12,32,33,34が付勢部材により付勢されない構成においては、所定の操作レバー41,42,43を操作することによって、所定の可動爪12,32,33,34を所定の凹部21,22,23,24や係合孔13,14に嵌め込むことができる。そしてこのような構成であれば、各可動爪12,32,33,34の先端部に傾斜面を形成する必要がなくなる。このため、各可動爪12,32,33,34の形状の簡素化や、各可動爪12,32,33,34を支持する機構の簡素化を図ることができる。なお、この場合には、所定の可動爪12,32,33,34と所定の操作レバー41,42,43とは、所定の操作レバー41,42,43の往復動を所定の可動爪12,32,33,34に伝達できる部材により連結される。たとえば、ワイヤーではなく、リジッドな部材(棒状の部材など)によって連結される。これにより、所定の操作レバー41,42,43の操作(たとえば、引っ張る操作と押す操作)により所定の可動爪12,32,33,34を往復動させることができる。そして、所定の可動爪12,32,33,34を、所定の凹部21,22,23,24および所定の係合孔13,14に嵌め込むことや抜き出すことができる。
【実施例2】
【0031】
次いで、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bについて説明する。なお、実施例1と共通の構成については、同じ符号を付して示し、説明は省略する。図4〜6は、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bの構成を示す断面模式図である。なお、図4〜6は、いずれも第四の状態を示す。本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aの三つの着脱規制部71,72,73は、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とハンドルユニット3の三つのユニットが結合する第四の状態においては、全てロックしている。これに対して、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bの三つの着脱規制部71,72,73は、三つのユニットが結合する第四の状態においては、いずれか一つのロックが解除される。そして、このような構成により、本発明の実施例1においては、所定の可動爪12,33,34を連動して動かす機構が必要であるが、本発明の実施例2においては、このような機構が不要となる。したがって、第一ロック解除機構4の構成の簡素化を図ることができる。
【0032】
図4は、ハンドルユニット3により、第一可動爪12によるグリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2との結合を解除する状態に遷移する構成を示す。図4に示すように、グリッド保持ユニット1の第一可動爪12は、ヒンジ15によって、枠体19に対して回転可能に設けられる。第一可動爪12は、回転することによって、収容領域の内部に入り込む位置と、収容領域から退出する位置に移動することができる。そして、第一可動爪12の基端部には、側壁121の外側に突出する操作部151が設けられる。操作部151は、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合する過程において、ハンドルユニット3の側壁38によって、グリッド保持ユニット1の側壁121の面方向に押圧される。そして、この操作部151が側壁121の面方向に押圧されると、第一可動爪12が回転する。その結果、第一可動爪12の先端部は、収容領域から退出する位置に移動する。また、ハンドルユニット3には、第二ロック解除機構5aが設けられる。第二ロック解除機構5aは、第四操作レバー51と第五操作レバー52とが設けられる。第四操作レバー51は、第四可動爪34を動かすことができる。第五操作レバー52は、第三可動爪33を動かすことができる。なお、第四操作レバー51と第五操作レバー52とは連動していない。
【0033】
このような構成によれば、使用者等は、第四操作レバー51を操作して第三可動爪33を第四凹部24から抜き出すだけで、グリッド保持ユニット1を撮影部ユニット2およびハンドルユニット3から取り外すことができる。すなわち、使用者等は、第四操作レバー51の操作のみで、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bを、第四の状態から第二の状態に変更することができる。同様に、使用者等は、第五操作レバー52を操作して第四可動爪34を第二係合孔14から抜き出すのみで、撮影部ユニット2をグリッド保持ユニット1とハンドルユニット3から取り外すことができる。すなわち、使用者等は、第五操作レバー52の操作のみで、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bを、第四の状態から第三の状態に変更することができる。ただし、ハンドルユニット3をグリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2から取り外すには(=第四の状態から第一の状態に変更するには)、第四操作レバー51と第五操作レバー52との二つのレバーを操作する必要がある。
【0034】
図5は、グリッド保持ユニット1により、撮影部ユニット2とハンドルユニット3との結合を解除する状態に遷移する構成を示す断面模式図である。図5に示すように、ハンドルユニット3には、第三ロック解除機構5bが設けられる。第四操作レバー51と、第六操作レバー53とが設けられる。第四操作レバー51は、第四可動爪34を動かすことができる。第六操作レバー53は、第四可動爪34を動かすことができる。なお、第四操作レバー51と第六操作レバー53とは連動していない。また、第三可動爪33を操作するためのレバーは設けられない。図5に示すように、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合する過程において、グリッド保持ユニット1の側壁121が、第三可動爪33を押圧して収容領域から退出させる。このため、第三可動爪33が撮影部ユニット2の第四凹部24から外れる。このような構成によれば、第六操作レバー53を操作して第一可動爪12を第三凹部23から抜き出すのみで、撮影部ユニット2をグリッド保持ユニット1とハンドルユニット3から取り外すことができる。すなわち、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bを、第四の状態から第三の状態に変更することができる。同様に、第四操作レバー51を操作して第四可動爪34の係合を解除するのみで、ハンドルユニット3をグリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2から取り外すことができる。すなわち、第四の状態から第一の状態に変更することができる。ただし、グリッド保持ユニット1を撮影部ユニット2とハンドルユニット3から取り外すためには(=第四の状態から第二の状態に変更するには)、第四操作レバー51と第六操作レバー53の二つのレバーの操作が必要となる。
【0035】
図6は、撮影部ユニット2により、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3との結合が解除される構成を示す断面模式図である。図6に示すように、第一の状態においては、撮影部ユニット2が、ハンドルユニット3に設けられる第四可動爪34を押圧する。そして、第四可動爪34に形成される傾斜面が、グリッド保持ユニット1に形成される第二係合孔14の内部に位置する。また、図6に示すように、ハンドルユニット3には、第四ロック解除機構5cが設けられる。第四ロック解除機構5cは、第五操作レバー52と第六操作レバー53とを有する。このような構成によれば、グリッド保持ユニット1を外す過程において、グリッド保持ユニット1に形成される第二係合孔14の内周面が、第四可動爪34に形成される傾斜面を押圧する。そして、押圧された第四可動爪34は、側壁の直角方向の分力によって移動する。このため、第六操作レバー53の操作のみで、グリッド保持ユニット1を撮影部ユニット2とハンドルユニット3から取り外すことができる。すなわち、第四の状態から第二の状態に変更することができる。同様に、第五操作レバー52の操作のみで、ハンドルユニット3をグリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2から取り外すことができる。すなわち、第四の状態から第一の状態に変更することができる。なお、撮影部ユニット2をグリッド保持ユニット1とハンドルユニット3から取り外すためには(=第四の状態から第三の状態に変更するには)、第五操作レバー52と第六操作レバー53の二つのレバーの操作が必要となる。
【0036】
以上のとおり、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bにおいては、三つのユニットのうちの一つを他の二つから取り外すことができる。そして、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bは、本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置9aよりも簡単な構成とすることができる。このため、本発明の実施例2にかかる放射線画像撮影装置9bの小型化や低価格化を図ることができる。
【0037】
三つのユニットのうちの特定の一つは、一回のロック解除操作により外すことができない。このため、一回の操作で取り外すことができるユニットとできないユニットとを、使用者の用途に適合するように設定すればよい。たとえば、図4に示すような、ハンドルユニット3の取り外しに二つのレバーの操作が必要となる構成は、基本的には可搬型で、撮影部ユニット2のみをブッキーなどに入れて据え置きタイプとして使用する放射線画像撮影装置に適用できる。図5に示すような、撮影部ユニット2の取り外しに二つのレバーの操作が必要となる構成は、たとえば、可搬型としてベッドサイドでの使用を主な用途とする放射線画像撮影装置に適用できる。図6に示すような、ハンドルユニット3の取り外しに二つのレバーの操作が必要となる構成は、ベッドサイドにおいて特定の部位の撮影に特化して使用される据え置き型の放射線画像撮影装置に適用できる。
【実施例3】
【0038】
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、実施例1と共通の構成については、同じ符号を付して示し、説明は省略する。図7(a)は、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cの構成を示す断面模式図である。図7(b)は、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cの構成を示す断面模式図であり、各ユニットが分離可能な状態を示す。本発明の実施例1および実施例2にかかる放射線画像撮影装置9a,9bは、二つの操作レバーが設けられる。これに対して、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、一つのレバーの操作によって、任意の一つのユニットを選択的に取り外すことができる構成を有する。
【0039】
図7(a)(b)に示すように、ハンドルユニット3には、第五可動爪36と第五ロック解除機構6とが設けられる。第五可動爪36は、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とを固定できる。すなわち、この第五可動爪36は、第四の状態において、グリッド保持ユニット1に形成される第二係合孔14を貫通し、撮影部ユニット2に形成される第四凹部24に嵌まり込む。第五ロック解除機構6は、第七操作レバー61と、連結部44とを有する。第五ロック機構解除6と連結部44とは、第七操作レバー61に連結している。連結部44は、第七操作レバー61と第一可動爪12とを分離自在に連結する。そして、第四の状態においては、第七操作レバー61と第一可動爪12とが、連結部44により連結される。したがって、第七操作レバー61が操作されると、第一可動爪12と第五可動爪36とが連動して同時に動く。このような構成によれば、撮影部ユニット2とハンドルユニット3とが結合する第二の状態と、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とが結合する第三の状態とが実現できる。このように、第二着脱規制部72と第三着脱規制部73とは、第五可動爪36により構成される。
【0040】
グリッド保持ユニット1には、撮影部ユニット2に係合する第一可動爪12が設けられる。この第一可動爪12は、側壁121に対して往復動可能な構成を有し、先端部が収容領域の内部に突出する位置と退出する位置とに移動することができる。そして、この第一可動爪12は、第一の状態および第四の状態において、撮影部ユニット2の第三凹部23に嵌まり込む。このように、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、第二可動爪32によって、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とが結合する第一の状態を実現できる。このように、第一着脱規制部71は、第一可動爪12により構成される。
【0041】
連結部44は、第七操作レバー61と第一可動爪12とを分離自在に連結する。この連結部44は、そして、第三の状態または第四の状態において、第一可動爪12と第四操作レバー51とを連結する。このため、第四の状態において、第七操作レバー61が操作されると、すべてのユニットの結合が解除される。ただし、グリッド保持ユニット1の第一固定爪11が撮影部ユニット2の第一凹部21に嵌まり込んでおり、ハンドルユニット3の第二固定爪31が撮影部ユニット2の第二凹部22に嵌まり込んでいる。また、ハンドルユニット3の第二可動爪32がグリッド保持ユニット1の第一係合孔13に嵌まり込んでいる。このため、第七操作レバー61が操作されても、三つのユニットが直ちに分離することはない。使用者等は、図7(b)に示すように、第七操作レバー61を操作し、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2をハンドルユニット3から離す。この際に、第一固定爪11と第二固定爪31と第二可動爪32とを、それぞれ第一凹部21と第二凹部22と第一係合孔13に嵌まり込んだ状態を維持する。そうすると、所望の一つのユニットを他の二つのユニットから取り外すことができる。なお、撮影部ユニット2の第一凹部21と第二凹部22と第一係合孔13の寸法は、たとえば、第一固定爪11と第二固定爪31と第二可動爪32の寸法と同程度に設定される。このような構成であると、グリッド保持ユニット1および撮影部ユニット2は、ハンドルユニット3に対して横方向(ここでは、図7において紙面に直角な方向)に位置ずれしない。このため、特定の一つのユニットを他の二つのユニットから取り外したのち、当該他の二つのユニットを位置決めすることなく再結合できる。このように、グリッド保持ユニット1の第一固定爪11と撮影部ユニット2の第一凹部21は、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2の再結合のために位置関係を保持するガイド機構となる。ハンドルユニット3の第二固定爪31と撮影部ユニット2の第二凹部22は、ハンドルユニット3と撮影部ユニット2の再結合のために位置関係を保持するガイド機構となる。ハンドルユニット3の第二可動爪32とグリッド保持ユニット1の第一係合孔13は、ハンドルユニット3とグリッド保持ユニット1の再結合のために位置関係を保持するガイド機構となる。そして、これらのガイド機構は、第一着脱規制部71と第二着脱規制部72と第三着脱規制部73が解除された後も、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2とハンドルユニット3とを、再結合のために位置関係を保持する。
【0042】
第四の状態にある本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cからグリッド保持ユニット1を取り外す操作(=第二の状態に変更する操作)は、次のとおりである。まず、第七操作レバー61を操作し、第一可動爪12と撮影部ユニット2の第三凹部23との係合と、第五可動爪36と撮影部ユニット2の第四凹部24との係合を解除する。そして、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cを、図7(b)に示す状態にする。その後、撮影部ユニット2とハンドルユニット3とを結合し、グリッド保持ユニット1を取り外す。これにより、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、第四の状態から第二の状態に変更される。
【0043】
第四の状態にある本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cから撮影部ユニット2を取り外し操作は、次のとおりである。まず、前記操作により図7(b)に示す状態にした後、撮影部ユニット2を矢印bの方向に抜き取る。その後、グリッド保持ユニット1とハンドルユニット3とを再結合する。これにより、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、第四の状態から第三の状態に変更される。第四の状態にある本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cからハンドルユニット3を取り外すには、前記操作により図7(b)に示す状態にした後、グリッド保持ユニット1と撮影部ユニット2を再結合させるとともに、ハンドルユニット3を外す。これにより、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、第四の状態から第一の状態に変更される。
【0044】
以上のように、本発明の実施例3にかかる放射線画像撮影装置9cは、第七操作レバー61のみの操作によって、選択的に任意の一つのユニットを外すことができる。さらに、他の2つのユニットは、再度位置合わせすることなく結合させることができる。そしてこのような構成によれば、第七操作レバー61が一つ設けられるのみでよいことから、操作ミスの防止を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の各種実施形態および実施例について、図面を参照して詳細に説明したが。本発明は前記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、可搬型の放射線画像撮影装置に好適である。ただし、本発明は、可搬型の放射線画像撮影装置に限定されず、各種撮影装置に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1:グリッド保持ユニット、2:撮影部ユニット、3:ハンドルユニット、4:第一ロック解除機構、6:第二ロック解除機構、11:第一固定爪、12:第一可動爪、13:第一係合孔、14:第二係合孔、21:第一凹部、22:第二凹部、23:第三凹部、24:第四凹部、31:第二固定爪、32:第二可動爪、33:第三可動爪、34:第四可動爪、35:把手、41:第一操作レバー、42:第二操作レバー、43:第三操作レバー、44:着脱規制操作機構、51:第四操作レバー、52:第五操作レバー、53:第六操作レバー、 61:第七操作レバー、71:第一着脱規制部、72:第二着脱規制部、73:第三着脱規制部、9a:本発明の実施例1にかかる放射線画像撮影装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線の散乱を防止するグリッドが設けられるグリッド保持ユニットと、
X線画像を撮影できる撮影部ユニットと、
把持用の把手が設けられるハンドルユニットと、
を有し、
前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットのいずれかには、
前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットとを分離可能に結合する第一着脱規制部と、
前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットとを分離可能に結合する第二着脱規制部と、
前記グリッド保持ユニットと前記ハンドルユニットとを分離可能に結合する第三着脱規制部と、
一度の解除操作により、前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部のうちの一つの結合を維持しつつ残りの二つによる結合を解除した状態に遷移させる解除機構と、
が設けられることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットのすべてが結合している状態においては、前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部のうちの一つによる結合が解除されることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記第一着脱規制部は、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットの一方に形成される凹部と、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットの他方に設けられ前記凹部に嵌まり込むことができる可動爪とを有し、
前記第二着脱規制部は、前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットの一方に形成される他の凹部と、前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットの他方に形成され、前記他の凹部に嵌まり込むことができる他の可動爪とを有し、
前記第三着脱規制部は、前記グリッド保持ユニットと前記ハンドルユニットの一方に形成される係合孔と、前記グリッド保持ユニットと前記ハンドルユニットの他方に往復動可能に設けられ前記係合孔に嵌まり込むことができるさらに他の可動爪とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記解除機構は、前記ハンドルユニットに設けられることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記第一着脱規制部は、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットの一方に形成される凹部と、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットの他方に設けられ前記凹部に嵌まり込むことができる可動爪とを有し、
第二着脱規制部と第三着脱規制部とは、前記グリッド保持ユニットに形成される係合孔と、前記撮影部ユニットに形成される他の凹部と、前記ハンドルユニットに設けられ、前記係合孔および前記他の凹部に嵌まり込むことができる他の可動爪を有し、前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部が解除された後も、前記グリッド保持ユニット、前記撮影部ユニットおよび前記ハンドルユニットの再結合のための位置関係を保持するガイド機構を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部とは、前記グリッド保持ユニットと前記撮影部ユニットと前記ハンドルユニットとを自動的に結合することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記第一着脱規制部による結合および前記第二着脱規制部による結合を同時に解除するための操作レバーと、
前記第二着脱規制部による結合および前記第三着脱規制部による結合を同時に解除するための他の操作レバーと、
前記第一着脱規制部と前記第二着脱規制部と前記第三着脱規制部とは、
前記第一着脱規制部による結合および前記第三着脱規制部による結合を同時に解除するためのさらに他の操作レバーと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−254220(P2012−254220A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129539(P2011−129539)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】