説明

放射線硬化な水性ポリウレタン分散液

本発明は、UV線硬化可能なポリウレタン分散液及びその製造方法及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、UV線を用いて硬化可能なポリウレタン分散液及びその製造方法及びその使用に関する。
【0002】
放射線硬化可能なポリウレタン分散液は、例えば、DE−A−4434554号から公知であり、かつポリイソシアナート、ヒドロキシル基含有ポリエステル、イソシアナートに対して反応性である基及び酸基を有する化合物及び、イソシアナート基に対して反応性である基及びC=C二重結合を有する化合物から製造される。この生成物はしかしながら、その加工性に関してまだなお未解決の要求がある。
【0003】
WO01/23453号は、脂肪族ポリイソシアナートベースのUV線並びに熱により硬化可能なポリウレタン分散液を記載し、その際前記ポリイソシアナートはアロファナート基を有するポリイソシアナートであってもよい。この分散液は、必ず、イソシアナートブロック剤でキャップされたイソシアナート基及びジオール成分として、500g/molよりも少ない分子量を有するジオール成分を含有する。
【0004】
DE−A−19860041号は、a)ポリイソシアナート及びb)C=C二重結合を有する低分子量ヒドロキシ化合物、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート又はヒドロキシアルキルビニルエーテルの反応生成物を記載し、この大部分は、ポリイソシアナートと不飽和アルコールとのアロファナートである。低分子量及び低粘度の反応生成物は、分子中に高い含量の重合可能なC=C二重結合を有し、UV線を用いても、また同様にイソシアナート基の共作用下でも、例えば、水蒸気、アンモニア、アミンの作用により硬化される。水性分散液の形での適用は記載されていない。
【0005】
EP392352号は、高エネルギー放射線の作用により架橋可能であるポリウレタンの水性分散液を記載する。前記分散液は、ポリイソシアナート、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリエーテルオール及びヒドロキシアルキルアクリラートから構成されている。前記分散液は、皮革のコーティングのために使用される。前記したポリウレタンアクリラートから製造されるコーティングは、極めて低い硬度を有する。
【0006】
アロファナート基含有ポリイソシアナートは単に、出発化合物として幅広い列記中で等価にその他のポリイソシアナートのうちに挙げられる。
【0007】
高エネルギー放射線により硬化可能な、耐候性ポリウレタについてEP1118627号は特許請求する。このコーティングは、ポリウレタン分散液のフィルムの乾燥により製造され、前記分散液は、ポリイソシアナート、脂環式ジオール及び/又はジアミン、不飽和基少なくとも1つ並びに分散活性基を有するNCO反応性化合物から製造される。このようにして製造されたコーティングは耐候性である。欠点としては、比較的低い引掻抵抗性が示される。
【0008】
アロファナート基含有ポリイソシアナートは単に、出発化合物として幅広い列記中で等価にその他のポリイソシアナートのうちに挙げられる。
【0009】
EP1118627号の実施例中に明示された反応条件下ではアロファナート基は形成されない。
【0010】
EP574775号は、反応性の、水乳化可能なバインダー及び塗料製造のためのその使用を記載する。前記バインダーは、ポリウレタン分散液ベースであり、前記分散液は、アクリラート基含有プレポリマー、例えばポリエステルアクリラート、ポリイソシアナート1種以上並びに水乳化可能なポリエステルからなる。記載されたコーティングは、100s未満の少ない振子硬度のみを示し、これは機械的負荷下では、このコーティングの損傷を生じるものである。
【0011】
アロファナート基含有ポリイソシアナートは、出発化合物として単に幅広い列記中で等価にその他のポリイソシアナートのうちに挙げられる。
【0012】
EP574775号の実施例中に開示された反応条件下ではアロファナート基は形成されない。
【0013】
放射線硬化可能な水性分散液は同様にEP753531号に記載されている。前記分散液は、OH価40〜120mg KOH/gを有するポリエステルアクリラート、ポリエステルオール又はポリエーテルオール、乳化可能な基、ジイソシアナート又はポリイソシアナートから製造される。選択的に、塩形成、分散化及び鎖の伸長がジアミンを用いて実施されることができる。エチレン性不飽和基はヒドロキシル基含有プレポリマーを介してのみ導入される。従って、二重結合密度を高めるための手段は限られている。
【0014】
アロファナート基含有ポリイソシアナートは単に、出発化合物として幅広い列記中で等価にその他のポリイソシアナートのうちに挙げられる。
【0015】
EP753531号の実施例中に開示された反応条件下ではアロファナート基は同様に形成されない。
【0016】
DE10031258号中には、硬化可能な水性ポリウレタン分散液が記載され、前記分散液は、ヒドロキシエチルアクリラートアロファナート、ヒドロキシアルキルアクリラート、ポリオール、ポリアミン又はポリチオール、酸基少なくとも1種及び塩基性化合物及び熱開始剤からなる。更に、この記載されたポリウレタンはまだなお必ず1つの熱開始剤を含有する。これは、耐熱性を減少させる。水中での分散化のために必要とされる酸基の記載された濃度は、数ヶ月間貯蔵安定性な分散液を得るためには十分でない。加えて、この分散液を用いて得られるコーティングの硬度は改善に値する。
【0017】
本発明の根底をなす課題は、UV線を用いて硬化可能な水性ポリウレタン分散液を提供することであった。前記分散液は、良好な適用技術的特性を有し、特に良好な化学薬品抵抗性及び/又は良好な機械的特性を有するコーティングを生じ、特に、このコーティングの高い弾性と共に高い硬度を、そして高い耐引掻性、加えて良好な貯蔵安定性を有することが望ましい。
【0018】
前記課題は、
a)遊離イソシアナート基少なくとも2つ、アロファナート基少なくとも1つ及び前記アロファナート基を介して結合したラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、その際これは、前記二重結合で直接的に、エーテル官能基中のカルボニル基又は酸素原子に結合している、
b)イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つ及びラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、
c)場合により、イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも2つを有する化合物少なくとも1種、その際前記基は、ヒドロキシル基、メルカプト基、第一級及び/又は第二級アミノ基から選択されている、
d)イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つ及び酸基少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、
e)化合物d)の酸基の中和又は部分的な中和のための塩基性化合物少なくとも1種、
f)場合により、イソシアナート基に対して反応性である基1つのみを有する、b)、d)及びe)とは相違する化合物少なくとも1種、
g)場合により、a)とは相違するポリイソシアナート少なくとも1種、
h)熱開始剤の非存在下で、
i)場合により、反応性希釈剤、光開始剤及び常用の塗料添加剤から選択されている更なる添加剤、
k)水並びに
l)場合によりジアミン及び/又はポリアミン少なくとも1種
からなる放射線硬化可能な水性ポリウレタン分散液により解決される。
【0019】
有利な一実施態様において、本発明により製造されたポリウレタンは、即ち構成成分a)〜d)並びに場合によりf)及びg)からの反応生成物は、二重結合密度少なくとも1.3mol/kg、好ましくは少なくとも1.8mol/kg、特に好ましくは少なくとも2.0mol/kgを有する。
【0020】
本発明による分散液においては、イソシアナート基が部分的に又は完全にいわゆるブロック化剤と反応したイソシアナート基含有化合物が使用されない。ブロック化剤とはこの際、イソシアナート基をブロック化(キャップ化又は保護)されたイソシアナート基に変換し、このブロック化されたイソシアナート基が、いわゆる脱ブロック化温度未満では遊離イソシアナート基の通常の反応を示さない化合物が理解される。このようなブロック化されたイソシアナート基を有する本発明により使用されない化合物は、通常は、デュアルキュアコーティング剤において使用され、前記剤はイソシアナート基硬化を介して最終硬化される。好ましくは、本発明によるポリウレタン分散液はその製造に応じて遊離イソシアナート基を実質的にもはや有さず、即ち、通常は、1質量%よりも少ない、好ましくは0.75質量%よりも少ない、特に好ましくは0.66質量%よりも少ない、とりわけ好ましくは0.3質量%よりも少ないNCO(モル質量、42g/molで算出して)を有する。
【0021】
成分a)
成分a)は、遊離イソシアナート基少なくとも2つ、アロファナート基少なくとも1つ及び前記アロファナート基を介して結合したラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有し、これは前記二重結合で直接的に、エーテル官能基中のカルボニル基又は酸素原子に結合している化合物少なくとも1種である。
【0022】
本発明により使用される成分a)は、アロファナート基を含有し、好ましくはアロファナート基含有量(C22HO3=101g/molとして算出して)1〜35質量%、好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜35質量%である。
構成成分a)〜d)並びに場合によりf)及びg)からなる本発明によるポリウレタンは、アロファナート基を1〜30質量%、好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは2〜20質量%含有する。更に、本発明により使用される成分a)は、ウレトジオン5質量%未満を有する。
【0023】
本発明により含有される成分a)の化合物は、好ましくは、実質的に、イソシアナート基から形成されるその他の基、特にイソシアヌラート基、ビウレット基、ウレトジオン基、イミノオキサジアジントリオン基及び/又はカルボジイミド基不含である。
好ましくは、成分a)は、一般式I
【化1】

[前記式中、
nは、1〜10の整数であり、
1は、二価の脂肪族又は脂環式C2〜C20−、好ましくはC4〜C12−、特に好ましくはC6〜C10炭化水素単位又は芳香族C6〜C20−、好ましくはC6〜C12−炭化水素単位であり、
2は、それぞれの繰り返し単位中で、−NH−又は
【化2】

であり、その際R3は、アルコールAから、アルコール性ヒドロキシ基からのH原子の引き抜きにより誘導される残基であり、その際アルコールAは付加的に、ラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有し、かつその際直接的に二重結合で、エーテル結合中のカルボニル基又は酸素原子に結合していて、好ましくはカルボニル基を介している]
の化合物から選択されている。
【0024】
残基R1は好ましくは、通常の脂肪族、脂環式又は芳香族ポリイソシアナートのイソシアナート基の引き抜きにより誘導される残基である。このジイソシアナートは、4〜20個のC原子を有する脂肪族イソシアナートであることが好ましい。通常のジイソシアナートのための例は、脂肪族ジイソシアナート、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,8−オクタメチレンジイソシアナート、1,10−デカメチレンジイソシアナート、1,12−ドデカメチレンジイソシアナート、テトラデカメチレンジイソシアナート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、リシンジイソシアナートの誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、脂環式ジイソシアナート、例えば1,4−、1,3−又は1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−又は2,4′−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアナート、1,3−又は1,4−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,4−及び2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに芳香族ジイソシアナート、例えば2,4−又は2,6−トルイレンジイソシアナート、m−又はp−キシリレンジイソシアナート、2,4′−又は4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ジフェニレン−4,4′−ジイソシアナート、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジジフェニルジイソシアナート、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート及びジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナートである。挙げられたジイソシアナートの混合物が存在していてよい。
【0025】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0026】
挙げられたジイソシアナートの混合物も存在していてよい。
【0027】
2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサンジイソシアナートは、例えば、1.5:1〜1:1.5、有利に1.2:1〜1:1.2、特に有利に1.1:1〜1:1.1、さらに特に有利に1:1の比の混合物として存在する。
【0028】
イソホロンジイソシアナートは例えば、混合物として、即ち、cis−及びtrans−異性体の混合物として存在し、通常は、約60:40〜80:20(w/w)の比、好ましくは約70:30〜75:25の比、特に好ましくは約75:25の比の混合物として存在する。
【0029】
ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアナートは同様に、相違するcis−及びtrans−異性体の混合物として存在することができる。
【0030】
芳香族イソシアナートは、少なくとも1個の芳香族環系を有するイソシアナートである。
【0031】
環式脂肪族イソシアナートは、少なくとも1個の環式脂肪族環系を有するイソシアナートである。
【0032】
脂肪族イソシアナートは、直鎖又は分子鎖だけを有するイソシアナートであり、つまり非環式化合物である。
【0033】
アルコールAは、ここから残基R3が誘導されるが、次の成分からのエステルであり、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(以下には短略して"(メタ)アクリル酸")、クロトン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリルアミドグリコール酸又はビニル酢酸、好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸、特に好ましくはアクリル酸と、好ましくは2〜20個のC原子及びヒドロキシル基少なくとも2つを有するポリオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトール、但し、このエステルはイソシアナートに対して反応性であるOH基少なくとも1つを有するとの条件付きである。更に、R3は、(メタ)アクリル酸とアミノアルコール、例えば2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール又は2−(2−アミノエトキシ)エタノール及び前述のポリオールのビニルエーテルのアミドから、まだなお遊離OH基を有する限りは誘導されることもできる。
【0034】
更に、平均OH官能価が2〜10である不飽和ポリエーテルオール又はポリエステルオール又はポリアクリラートポリオールも反応性成分として適している。
【0035】
好ましくは、前記残基R3は、アルコール、例えば2−ヒドロキシ−エチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、1,4−ブタンジオール−モノ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリラート、グリセリンモノ−及び−ジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンモノ−及び−ジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールジ−及び−トリ(メタ)アクリラートから誘導される。特に好ましくは前記アルコールAは、2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートから選択されている。エチレン性不飽和カルボン酸とアミノアルコールとのアミドのための例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、5−ヒドロキシ−3−オキソ−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルクロトンアミド、例えばN−ヒドロキシメチルクロトンアミド又はN−ヒドロキシアルキルマレインイミド、例えばN−ヒドロキシエチルマレインイミドである。
成分b)
成分b)は、イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つ及びラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種を含有する。
【0036】
成分b)の化合物は、ラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つ並びに更なるイソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つを有する。
【0037】
成分b)の有利な化合物は、例えば、二価又は多価のアルコールとα,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸及びその無水物とのエステルである。α,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸及びその無水物として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸その他が使用されることができる。好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸、特に好ましくはアクリル酸が使用される。
【0038】
適したアルコールは、例えば、ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジ−エチル−オクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノールである。
【0039】
適したトリオール及びポリオールは、例えば、3〜25個、好ましくは3〜18個の炭素原子を有する。このために、例えばトリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチルオールプロパン、ジペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトールが属する。
【0040】
好ましくは、成分b)の化合物は、2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、3−ヒドロキシブチルアクリラート、3−ヒドロキシブチルメタクリラート、4−ヒドロキシブチルアクリラート、4−ヒドロキシブチルメタクリラート、6−ヒドロキシヘキシルアクリラート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリラート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルアクリラート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルメタクリラート、トリメチロールプロパンモノ−又はジアクリラート、ペンタエリトリトールジ−又はトリアクリラート及びこの混合物から選択されている。
【0041】
所望の場合には、前記化合物はまだなお、適した鎖伸長剤、例えば、多官能性イソシアナート又は多官能性カルボン酸との反応を通じて鎖伸長されていてもよい。
【0042】
好ましくは化合物b)は、上記したものとは相違するアルコールAである。
【0043】
好ましくは、化合物b)は、前述したα,β−不飽和鎖、好ましくは(メタ)アクリラート、式(Ia)〜(Ic)の化合物のアクリラートのエステルである
【化3】

[前記式中、
7及びR8は、互いに無関係に水素であるか又は場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環化合物で置換されたC1−C18−アルキルであり、
k、l、m、qは、互いに無関係に、それぞれ1〜15、好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜7の整数であり、かつ
それぞれのXi(i=1〜k、1〜l、1〜mかつ1〜q)は、互いに無関係に、−CH2−CH2−O−、CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−及び−CHPh−CH2−O−の群から、好ましくは−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−及び−CH(CH3)−CH2−O−の群から選択されていてよく、特に好ましくは−CH2−CH2−O−であり、
式中、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]。
【0044】
ここでは、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環化合物で置換されているC1−C18−アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルであり、好ましくはメチル、エチル又はn−プロピルであり、殊に好ましくはメチル又はエチルである。
【0045】
この場合、好ましくは、1〜30個、特に好ましくは3〜20個でエトキシ化、プロポキシ化、又は混合されてエトキシ化及びプロポキシ化された、特に好ましくはエトキシ化のみされたネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン又はペンタエリトリトールの(メタ)アクリラートである。
【0046】
適した化合物b)は更に、前記エステル及び、アミノアルコールと前述したα,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、例えばヒドロキシブチルビニルエーテルその他のアミドである。
【0047】
更なる適した化合物b)は、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、ポリエーテル(メタ)アクリラート、ポリエステル(メタ)アクリラート又はポリカーボナート(メタ)アクリラートである。
【0048】
ウレタン(メタ)アクリラートは、例えば、ポリイソシアナートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート又はヒドロキシアルキルビニルエーテルと、場合により鎖延長剤、例えばジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミン又はジチオール若しくはポリチオールとの反応により得られる。
【0049】
この種のウレタン(メタ)アクリラートは、構成成分として実質的に次の成分を含有する:
(1)少なくとも1つの有機脂肪族、芳香族又は脂環式ジ−又はポリイソシアナート、例えば、上記でa)で挙げた化合物、
(2)イソシアナートに対して反応性である基少なくとも1つ及びラジカル重合可能な不飽和基少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、例えば上記したアルコールA又は更にb)で挙げた化合物、及び
(3)場合により、イソシアナートに対して反応性である基少なくとも2つを有する化合物少なくとも1種、例えば以下にc)で挙げる化合物。
【0050】
成分(1)、(2)及び(3)は、同一であってよく、例えば本発明によるポリウレタンについて記載した通りである。
【0051】
ウレタン(メタ)アクリラートは、好ましくは数平均分子量Mnが500〜20000、特に500〜10000、特に好ましくは600〜3000g/モル(テトラヒドロフラン及び標準としてポリスチレンを用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)である。
【0052】
このウレタン(メタ)アクリラートは、(メタ)アクリル基の含有量が、ウレタン(メタ)アクリラート1000g当たり1〜5、特に好ましくは2〜4モルであることが好ましい。
【0053】
特に有利なウレタン(メタ)アクリラートは、平均OH官能価1.5〜4.5を有する。
【0054】
エポキシド(メタ)アクリラートは、好ましくはエポキシドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。エポキシドとしては、例えばエポキシド化オレフィン、芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテル、好ましくは芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテルのエポキシドが挙げられる。
【0055】
エポキシド化オレフィンは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであってよく、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、殊に好ましくはエチレンオキシド及びエピクロロヒドリンである。
【0056】
芳香族グリシジルエーテルは、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5Hーインデン)(CAS番号[13446ー85ー0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体)(CAS番号[66072−39−7])、フェノール系エポキシノボラック(CAS番号[9003−35−4])及びクレゾール系エポキシノボラック(CAS番号[37382−79−9])である。
【0057】
好ましくはビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールB−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS−ジグリシジルエーテル、特に好ましくはビスフェノールA−ジグリシジルエーテルである。
【0058】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043−37−4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS番号[16096ー30−3])及び水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410−58−7])である。
【0059】
好ましくは、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル及び(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパンである。
【0060】
特に好ましくは、上記した芳香族グリシジルエーテルである。
【0061】
このエポキシド(メタ)アクリラート及びエポキシドビニルエーテルは、数平均分子量Mnが好ましくは200〜20000、特に好ましくは200〜10000g/モル、殊に好ましくは250〜3000g/モルである;(メタ)アクリル基又はビニルエーテル基の含有量は、エポキシド(メタ)アクリラート又はビニルエーテルエポキシド1000g当たり好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4である(標準としてポリスチレンを、溶離剤としてテトラヒドロフランを用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)。
【0062】
有利なエポキシド(メタ)アクリラートはOH価40〜400mg KOH/gを有する。
【0063】
有利なエポキシド(メタ)アクリラートは、平均OH官能価1.5〜4.5を有する。
【0064】
特に有利なエポキシド(メタ)アクリラートは、EP−A54105号、DE−A−3316593号、EP−A−680985号及びEP−A−279303号による方法から得られるエポキシド(メタ)アクリラートであり、その際、第一工程においては(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸及びヒドロキシ化合物から製造され、第二工程においては、過剰量の(メタ)アクリル酸がエポキシドと反応される。
【0065】
ヒドロキシ化合物としては、1つ又は複数のヒドロキシ基を有する化合物が考慮される。挙げられるのは、モノアルコール、例えばC1〜C20−アルカノール又は残存するOH基を有するアルコキシル化アルコール、C2〜C8−アルキレンジオール、トリメチルプロパン、グリセリン又はペンタエリトリトール、又は、例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドでアルコキシル化された、ヒドロキシ基を含有する化合物、例えば上記でa)又はb)又は以下でc)で挙げられる化合物である。
【0066】
有利なヒドロキシ化合物は、少なくとも2つ、特に2〜6つの遊離ヒドロキシ基を含有する、飽和したポリエステルオールであり、これは場合により、エーテル基を含有することもでき、又は少なくとも2つ、特に2〜6つの遊離ヒドロキシ基を有するポリエーテルオールである。
【0067】
ポリエステルオール又はポリエーテルオールの分子量Mnは、好ましくは100〜4000(Mnは、標準物質としてポリスチレンを、そして溶離剤としてテトラヒドロフランを用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)である。
【0068】
この種のヒドロキシ基含有ポルエステルオールは、例えば通常の様式で、ジカルボン酸又はポリカルボン酸とジオール又はポリオールとのエステル化により製造することができる。かかるヒドロキシ基含有ポリエステルオールのための出発物質は、当業者には知られている。
【0069】
好ましくは、ジカルボン酸として、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、o−フタル酸、その異性体及び水素化生成物並びにエステル化可能な誘導体、例えば無水物、例えば無水マレイン酸、又は前述の酸のジアルキルエステルが使用されることができる。ポリカルボン酸又はその無水物として、トリ−又はテトラ酸、例えばトリメリット酸無水物又はベンゼンテトラカルボン酸が挙げられる。
【0070】
ジオールとして好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール−1,2及び−1,3−ブタンジオール−1,4−、ヘキサンジオール−1,6,ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール並びにモル質量106〜2000を有するエチレングリコール、モル質量134〜2000を有するプロピレングリコール、又はモル質量162〜2000を有するポリ−THFの種類のポリグリコールが考慮される。
【0071】
ポリオールとして第一に、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、ペンタエリトリトール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール又は糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドにトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトールを挙げることができる。
【0072】
ジオール又はポリオールとして考慮されるのは、オキシアルキル化(例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドで)されたジオール又はポリオールでもあり、特にオキシアルキル化度0〜20、好ましくは0〜15、特に好ましくは0〜10、特にとりわけ好ましくは1〜5を、ジオール又はポリオールのそのつどのヒドロキシ基に対して有するものである。
【0073】
このうち特に、そのつど、エチレンオキシドのみでアルコキシル化された生成物が有利である。
【0074】
使用可能なポリエステルオールには、ポリカプロラクトンジオール及び−トリオールも属し、この製造は当業者に同様に公知である。
【0075】
ヒドロキシ基含有ポリエーテルオールとして、例えば、公知の方法により、二価−及び/又は多価アルコールと様々な量のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応を通じて得られることができるヒドロキシ基含有ポリエーテルオールが考慮される。同様に、テトラヒドロフラン又はブチレンオキシド又はイソブチレンオキシドの重合生成物も使用可能である。
【0076】
有利なヒドロキシ基含有ポリエーテルは、上記したジオール又はポリオールのオキシアルキル化生成物であり、特にオキシアルキル化度0〜20、特に好ましくは1〜15、特にとりわけ好ましくは1〜7、特にとりわけ好ましくは1〜5を、ジオール又はポリオールのそのつどのヒドロキシ基に対して有する上記したジオール又はポリオールのオキシアルキル化生成物であり、その際しかしながら全体で少なくとも2つのアルコキシ基がポリエーテル中に存在している。
【0077】
ヒドロキシ基含有ポリエステルの場合の(メタ)アクリル酸のエステル化の際に、例えば、(メタ)アクリル酸をヒドロキシ基含有ポリエステルの出発物質、例えばジカルボン酸又はその無水物及びジオール又はポリオールと一緒に予備装入し、この出発物質を一工程で(メタ)アクリル酸と一緒に反応させることも可能である。
【0078】
(メタ)アクリル酸のヒドロキシ化合物とのエステル化には当業者に公知の方法が適する。
【0079】
(メタ)アクリル酸のヒドロキシ化合物とのエステル化の際には、好ましくは0.1〜1.5、特に好ましくは0.5〜1.4、特にとりわけ好ましくは0.7〜1.3当量の(メタ)アクリル酸が、ヒドロキシ化合物の1ヒドロキシ当量に対して使用される。出発物質から、例えばヒドロキシ基含有ポリエステルの出発物質から、エステル化の際に出発する上記の場合には、(メタ)クリル酸の当量は、前記出発物質の反応の後に、例えばジオール又はポリオールとジカルボン酸との反応の後に残留するヒドロキシ当量に理論的に対する。
【0080】
(メタ)アクリル酸とヒドロキシ化合物との反応は、例えば酸性のエステル化触媒、例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸又は酸性イオン交換体の存在下で、並びに水と共沸混合物を形成する炭化水素の存在下で、特に、ヒドロキシ化合物のヒドロキシ基の例えば少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは90〜98%、とりわけ90〜95%の変換率までの、例えば60〜140℃での反応が実施されることができる。形成された反応水は共沸により除去される。適した炭化水素は、脂肪族及び芳香族の、例えばアルカン及びシクロアルカン、例えばペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン及びシクロヘキサン、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン異性体、及び、70〜140℃の沸点範囲を有するいわゆる特殊ベンジンである。
【0081】
予定より早い重合を回避すべく、(メタ)アクリル酸との反応は目的に応じて少量の抑制剤の存在下で実施される。この際、通常の、熱重合の阻害のために使用される化合物は、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル、特にヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、N−ニトロソアミン、フェノチアジン、リン酸エステル又は次亜リン酸の種類の化合物である。前記化合物は一般的には、第一工程における反応に対して0.001〜2.0%の量で、好ましくは0.005〜0.5%の量で使用される。
【0082】
エステル化の後に、溶媒、例えば炭化水素が、反応混合物から蒸留により、場合により減圧下で除去されてよい。エステル化触媒は、適した様式で中和されてよく、例えば第三級アミン又はアルカル金属水酸化物の添加により中和されてよい。過剰量の(メタ)アクリル酸は部分的に、例えば真空中での蒸留により除去されることができる。
【0083】
第一工程の反応生成物は、第二工程における反応の開始前に一般的にまだなお、20を上回る、好ましくは30〜300、特に好ましくは35〜250mg KOH/g物質(溶媒なし)の酸価(SZ)を有する。
【0084】
第二工程においては、この第一工程で得られた反応生成物を、1種又は複数種の、好ましくは1種のエポキシド化合物と反応させる。エポキシド化合物は、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、好ましくは2つ又は3つのエポキシド基を分子中に有する化合物である。
【0085】
例えば、エポキシド化されたオレフィン、飽和又は不飽和のカルボン酸のグリシジルエステル(例えばグリシジル(メタ)アクリラート)又は脂肪族又は芳香族ポリオールのグリシジルエーテルが考慮される。この種の生成物は多数市販されている。特に好ましくは、ビスフェノールA−、−F−又は−B−種類のポリグリシジル化合物及び多官能性アルコール、例えばブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン及びペンタエリトリトールのグリシジルエーテルである。この種のポリエポキシド化合物の例は、Resolution社のEpikote(R)812(エポキシド値:約0.67 mol/100g)及びEpikote(R)828(エポキシド値:約0.53 mol/100g)、Epikote(R)1001、Epikote(R)1007及びEpikote(R)162(エポキシド値:約0.61mol/100g)、Bakelite AG社のRuetapox(R)0162(エポキシド値:約0.58mol/100g)、Ruetapox(R)0164(エポキシド値:約0.53mol/100g)及びRuetapox(R)0165(エポキシド値:約0.48mol/100g)、Huntsman社のAraldit(R)DY0397(エポキシド値:約0.83mol/100g)である。
【0086】
エポキシド化合物は、第一工程で得られた反応生成物に一般的には、第一工程の反応生成物(溶媒無しで)に対して10質量%より多い、好ましくは15〜95質量%、特に好ましくは15〜75質量%の量で添加される。特にとりわけ好ましくは、前記エポキシド化合物は、第一工程の反応生成物中にまだなお存在する酸等価物に対しておよその等モル量で使用される。
【0087】
第二工程でのエポキシド化合物との反応の際に、過剰に使用されたか又は未反応の酸、特に(メタ)アクリル酸、またこの他に例えばまだなお混合して出発物質として存在するヒドロキシ化合物、ジカルボン酸又は生じたジカルボン酸の半エステルは、エポキシドエステルとして残留する酸基と結合される。
【0088】
このエポキシド化合物との反応は、触媒の添加により促進されることができる。適した触媒は、例えば第三級アルキルアミン、第三級アルキルアミノアルコール、テトラアルキルアンモニウム塩であり、例えばこれはEP686621A1号、4頁9〜41行に記載されている。
【0089】
カーボナート(メタ)アクリラートは、平均して好ましくは1〜5個、特に2〜4個、特に好ましくは2〜3個の(メタ)アクリル基、殊に好ましくは2個の(メタ)アクリル基を含有する。
【0090】
カーボナート(メタ)アクリラートの数平均分子量Mnは、好ましくは3000g/モル未満、特に好ましくは1500g/モル未満、特に好ましくは800g/モル未満(標準物質としてポリスチレン、溶剤としてテトラヒドロフランを用いてゲル浸透クロマトグラフィーにより測定)である。
【0091】
このカーボナート(メタ)アクリラートは、炭酸エステルを多価アルコールで、好ましくは二価アルコール(ジオール、例えばヘキサンジオール)でエステル交換し、次いで遊離OH基を(メタ)アクリル酸でエステル化するか又は(メタ)アクリル酸エステルでエステル交換することによって簡単に得られ、このことは例えばEPーA92269号に記載されている。これらは、ホスゲン、尿素誘導体と多価アルコール、例えば二価アルコールとの反応によっても得られる。
【0092】
同様に、ヒドロキシアルキルビニルエーテルと炭酸エステル並びに場合により二価アルコールとを反応させることによって、ビニルエーテルカーボナートも得られる。
【0093】
ポリカーボナートポリオールの(メタ)アクリラート又はビニルエーテル、例えば上述の1種のジ−又はポリオール及び1種の炭酸エステル並びにヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリラート又はビニルエーテルからの反応生成物も考えられる。
【0094】
好適な炭酸エステルは、例えばエチレン−、1,2−又は1,3−プロピレンカーボナート、炭酸ジメチル−、−ジエチル−又は−ジブチルエステルである。
【0095】
好適なヒドロキシ基含有(メタ)アクリラートは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリラート、グリセリンモノ−及びジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンモノ−及びジ(メタ)アクリラート並びにペンタエリトリトールモノ−、−ジ−及び−トリ(メタ)アクリラートである。
【0096】
好適なヒドロキシ基含有ビニルエーテルは、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0097】
特に好ましいカーボナート(メタ)アクリラートは、式:
【化4】

[式中、Rは、H又はCH3であり、Xは、C2〜C18−アルキレン基であり、かつnは、1〜5、好ましくは1〜3の整数である]のカーボナート(メタ)アクリラートである。
【0098】
Rは、好ましくはHであり、かつXは、好ましくはC2〜C10−アルキレン、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン又は1,6−ヘキシレンであり、特に好ましくはC4〜C8−アルキレンである。XはC6−アルキレンであることが殊に好ましい。
【0099】
このカーボナート(メタ)アクリラートは、脂肪族カーボナート(メタ)アクリラートであることが好ましい。
【0100】
これには更に、通常の、当業者に公知の、末端位のヒドロキシル基を有するポリカーボナートが属し、これは例えば、前述したジオールとホスゲン又は炭酸ジエステルとの反応により得ることができる。
【0101】
ポリエーテル(メタ)アクリラートは例えば、モル質量162〜2000を有するポリ−THF、モル質量134〜2000を有するポリ−1,3−プロパンジオール、又はモル質量238〜2000を有するポリエチレングリコールのモノ−(メタ)アクリラートである。
【0102】
成分c)
選択的な成分c)は、ヒドロキシル基、メルカプト基、第一級及び/又は第二級アミノ基から選択されている、イソシアナート基に対して反応性の基少なくとも2つを有する化合物少なくとも1種である。
【0103】
適した化合物c)は、低分子量アルコールc1)でも、またポリマーポリオールc2)でもあり、好ましくは化合物c2)である。
【0104】
低分子量アルコールc1)は、多くとも500g/molの分子量を有する。特に好ましくは、2〜20個の炭素原子及び2〜6個のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば前述のグリコールである。特に好ましくは、とりわけ、4〜20個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する加水分解安定性の短鎖ジオールである。これには、好ましくは1,1−、1,2−、1,3−又は1,4−ジ(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、テトラメチルシクロブタンジオール、シクロオクタンジオール又はノルボルナンジオールが属する。特に好ましくは、脂肪族炭化水素ジオール、例えば異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール及びドデカンジオールが使用される。特に好ましくは、1,2−、1,3−、又は1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビスヒドロキシシクロヘキシルプロパンその他である。
【0105】
適した化合物c2)は更にポリマーポリオールである。好ましくは、このポリマーの数平均分子量Mnは、約500〜100000、特に好ましくは500〜10000の範囲内にある。このOH価は好ましくは、約20〜300mg KOH/g ポリマーの範囲内にある。
【0106】
有利なポリマーc2)は、例えば、コポリマーであって、二価又は多価のアルコールと少なくとも1つのα,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸の少なくとも1つの前述のモノエステル及び次のものから選択される少なくとも1つのコモノマー、好ましくはビニル芳香族、例えばスチレン、前述のα,β−不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸とモノアルコールとのエステル、20個までの炭素原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、4〜8個の炭素原子及び1個又は2個の二重結合を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリルその他、及びこれらの混合物を重合導入して含有するコポリマーである。これには更に、(部分)加水分解されたビニルエステルポリマー、好ましくはポリビニルアセタートが属する。
【0107】
これには更に、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸及び/又はポリカルボン酸とジオール、トリオール及び/又はポリオールベースのポリエステルオール並びにラクトンベースのポリエステルオールが属する。
【0108】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマン工業化学百科事典第4版、第19巻62〜65頁(Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, S. 62 bis 65)から公知である。二価アルコールと二価カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物又は低級アルコールの相応するポリカルボン酸エステル又はそれらの混合物が、ポリエステルポリオールの製造に使用されることもできる。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環化合物であってよく、かつ場合により例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。これらの例として、次のものを挙げることができる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、oーフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体及び水素化生成物並びにエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えば上述の酸のC1〜C4−アルキルエステル、好ましくはメチル−、エチル−、又はnーブチルエステルを使用する。一般式HOOC−(CH2y−COOHで示され、yは、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の偶数であるジカルボン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸が特に好ましい。
【0109】
このポリエステルオールの製造のための多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3ーメチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、モル質量が162〜2000であるポリ−THF、モル質量が134〜2000であるポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量が134〜2000であるポリ−1,2−プロパンジオール、モル質量が106〜2000であるポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトールが挙げられ、これらは場合により上記したようにアルコキシル化されていることができる。
【0110】
一般式HO−(CH2x−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数である]で示されるアルコールが好ましい。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールが好ましい。さらにネオペンチルグリコールが好ましい。
【0111】
更に、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として上述の低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボナートジオールも挙げられる。
【0112】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンのホモ−又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子での末端ヒドロキシル基を有するラクトンのアダクト生成物である。ラクトンとして、好ましくは、一般式HO−(CH2z−COOH[式中、zは1〜20の数であり、かつメチレン単位の1個の水素原子は、C1−〜C4−アルキル基により置換されていてよい]で示される化合物から誘導されるラクトンが考慮に値する。例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにこれらの混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子二価アルコールである。相応のε−カプロラクトンのポリマーが特に好ましい。低級のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の相応する化学的に等価な重縮合物も、使用されることができる。
【0113】
これには更に、環式エーテルの重合により又はアルキレンオキシドと開始剤分子との反応により得られるポリエーテルオール並びにポリエーテルオールとアンモニアとの反応により得られるα,β−ジアミノポリエーテルが属する。
【0114】
このための例は一般的にHuntsman社の製品Jeffamine(R)として公知である。
【0115】
ここで挙げたJeffamine(R)は、ポリエーテルベース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又は混合したポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドをベースとして、モル質量約5000g/molまでを有することができるモノ−、ジ−又はトリアミンである。
【0116】
この種のモノアミンの例は、いわゆるJeffamine(R)M系列であり、これはアミノ官能基を有するメチルキャップ化したポリアルキレンオキシド、例えばM−600(XTJ-505)(ポリプロピレン(PO)/エチレンオキシド(EO)比約9:1及びモル質量約600を有する)、M−1000(XTJ-506)(PO/EO比3:19、モル質量約1000を有する)、M−2005(XTJ-507)(PO/EO比29:6、モル質量約2000を有する)、又は、M−2070(PO/EO比10:31、モル質量約2000)である。
【0117】
この種のジアミンのための例は、いわゆるJeffamine(R) D−又はED−系列である。D系列は、3〜4個の1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−230、平均モル質量230)、6〜7個の1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−400、平均モル質量400)、平均して約34個の1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) D−2000、平均モル質量2000)、又は平均して約69個の1,2−プロピレン単位(Jeffamine(R) XTJ−510(D−4000)、平均モル質量4000)からのアミノ官能化ポリプロピレンジオールである。この製品は部分的にアミノアルコールとしても存在することができる。ED系列及びポリエチレンオキシドベースのジアミンは、これは理想的には両側でプロポキシル化されているが、例えば、2個のエチレンオキシド単位及び2個のプロピレンオキシド単位からの、平均モル質量220を有するJeffamine(R) HK−511(XTJ−511)、9個のエチレンオキシド単位及び3.6個のプロピレンオキシド単位からの、平均モル質量600を有するJeffamine(R) XTJ−500(ED−600)並びに38.7個のエチレンオキシド単位及び6個のプロピレンオキシド単位からの、平均モル質量2000を有するJeffamine(R) XTJ−502(ED−2003)である。
【0118】
トリアミンのための例は、5〜6個の1,2−プロピレン単位で変性されたトリメチロールプロパンベースのトリアミン、Jeffamine(R) T−403、約85個の1,2−プロピレン単位で変性されたグリセリンベースのトリアミン、Jeffamine(R) T−5000、並びに、50個の1,2−プロピレン単位で変性されたグリセリンベースのトリアミン、Jeffamine(R) XTJ−509(T−3000)である。
【0119】
前述の成分c)は、単独で又は混合物として使用されることができる。
【0120】
成分d)
成分d)は、イソシアナート基に対して反応性の基少なくとも1つ及び酸基少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種である。
【0121】
好ましくは前記成分d)の化合物の酸基は、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びリン酸基から選択されている。好ましくはカルボン酸基及びスルホン酸基であり、特に好ましくはカルボン酸基である。
【0122】
イソシアナート基に対して反応性の基少なくとも1つ並びにカルボン酸基又はスルホン酸基少なくとも1つを有する化合物d)として、特に脂肪族モノメルカプト−、モノヒドロキシ−及びモノアミノ−及びイミノカルボン酸及び相応するスルホン基、例えばメルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシピバル酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ヒドロキシプロパンスルホン酸、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、グリシン(アミノ酢酸)、N−シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸、N−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸、又はイミノ二酢酸が考慮される。
【0123】
好ましくは、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロール酪酸、特に好ましくはジメチロールプロピオン酸である。
【0124】
成分e)
成分e)は、化合物d)の酸基の中和又は部分中和のための塩基性化合物少なくとも1つである。
【0125】
化合物d)の酸基の中和又は部分中和のための塩基性化合物e)として、無機及び有機塩基、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、−酸化物、−カーボナート、−ヒドロゲンカーボナート並びにアンモニア又は第一級、第二級、又は第三級アミンが考慮される。好ましくは、アミン、例えばエタノールアミン又はジエタノールアミン、特にtert−アミン、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はジエチルエタノールアミンを用いた中和又は部分中和である。導入された化学的に結合した酸基の量及び酸基の中和の程度(これは大抵は、当量塩基の40〜100%である)は、ポリウレタンの水性媒体中での分散化を確実にするために、好ましくは十分であることが望ましく、これは当業者に慣用である。
【0126】
成分f)
本発明による分散液において、成分f)として、イソシアナート基に対して反応性の基を有する化合物少なくとも1種が使用されることができる。この基とは、ヒドロキシル基、メルカプト基、又は第一級又は第二級アミノ基であってよい。適した化合物d)は、通常の、当業者に公知の化合物であり、これはいわゆる停止剤として、反応性の遊離イソシアナート基の数の減少のために、又はポリウレタン特性の改質のために、通常にポリウレタン製造の際に使用される化合物である。これには、例えば一官能性アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールその他が属する。適した成分f)は、また、第一級又は第二級アミノ基を有するアミンでもあり、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミンその他である。
【0127】
成分g)
本発明による分散液中で、成分g)として、成分a)の化合物とは相違するポリイソシアナート少なくとも1種を使用することができる。本発明により、成分g)として、ブロック化剤でイソシアナート基が反応させられているポリイソシアナートは使用されない。
【0128】
有利な化合物g)は、NCO官能価2〜4.5、好ましくは2〜3.5を有するポリイソシアナートである。好ましくは、成分g)として、脂肪族、脂環式及び芳香脂肪族のジイソシアナートが使用される。これは例えば、a)で前述したジイソシアナートであってよく、しかしながらこれは化合物a)とは相違する。好ましくは、2個以上のイソシアナート基の他に更に、ウレタン基、尿素基、ビウレット基、アロファナート基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基、ウレトジオン基及びイソシアヌラート基の群から選択された基を有する化合物g)である。
【0129】
好ましくは成分g)として、イソホロンジイソシアナート、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、そのイソシアヌラート、ビウレット及びこれらの混合物が使用される。
【0130】
本発明による分散液が、成分a)の他に更に成分g)を含有する場合には、成分g)の化合物の割合は、成分a)及びg)の化合物の合計量に対して、好ましくは0.1〜90質量%、特に好ましくは1〜50質量%、特に5〜30質量%である。
【0131】
成分h)
熱開始剤h)は、本発明の意味合いにおいて、60℃での半減期が少なくとも1時間を示す熱開始剤である。熱開始剤のこの半減期は、開始剤の出発量が半分、遊離のラジカルへと崩壊するまでの時間である。
【0132】
熱開始剤は、本発明により、必ずしも存在せず、即ちこの量は0.1質量%よりも少なく存在する。
【0133】
成分i)
本発明による分散液は、更なる化合物少なくとも1種を含有することができ、これは通常は反応性希釈剤として使用される。これには、例えば、P.K.T. Oldring (編者), Chemistry & Technology of UV & EB Formulations for Coatings, Inks & Paints, Vol.II, Chapter III: Reactive Diluents for UV & EB Curable Formulations, Wiley and SITA Technology, London 1997中に記載されている反応性希釈剤が属する。
【0134】
有利な反応性希釈剤は、ラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有する、成分b)とは相違する化合物である。
【0135】
反応性希釈剤の例は、例えば(メタ)アクリル酸と、1〜20個のC原子を有するアルコールとのエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリラート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラート、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、α,β−不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β−不飽和アルデヒド、例えばアクロレイン、メタクロレイン、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオナート、ハロゲン化エチレン性不飽和化合物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、共役不飽和化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、単価不飽和化合物、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、環式単価不飽和化合物、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、N−ビニルホルムアミド、アリル酢酸、ビニル酢酸、3〜8個のC原子を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸並びにこれらの水溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、例えば:アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸、マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−アルキル−カルボン酸アミド又はN−ビニル−カルボン酸アミド、例えばN−ビニル−アセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド及びN−ビニル−N−メチルアセトアミド又はビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、s−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、並びにこれらの混合物である。
【0136】
ラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも2つを有する化合物:ここには、特に前述のα,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸とジオール又はポリオールとのジエステル及びポリエステルが属する。特に好ましくは、ヘキサジオールジアクリラート、ヘキサンジオールジメタクリラート、オクタンジオールジアクリラート、オクタンジオールジメタクリラート、ノナンジオールジアクリラート、ノナンジオールジメタクリラート、デカンジオールジアクリラート、デカンジオールジメタクリラート、ペンタエリトリトールジアクリラート、ジペンタエリトリトールテトラアクリラート、ジペンタエリトリトールトリアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、その他である。好ましくは、また、アルコキシル化ポリオールと、α,β−エチレン性不飽和モノ−及び/又はジカルボン酸のエステルでもあり、例えばアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセリン又はペンタエリトリトールのポリアクリラート又は−メタクリラートである。適しているのは更に、脂環式ジオールのエステルでもあり、例えばシクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート及びビス(ヒドロキシメチルエチル)シクロヘキサンジ(メタ)アクリラートである。更なる適した反応性希釈剤は、トリメチロールプロパンモノホルマルアクリラート(Trimethylolpropanmonoformalacrylat)、グリセリンホルマルアクリラート、4−テトラヒドロピラニルアクリラート、2−テトラヒドロピラニルメタクリラート及びテトラヒドロフルフリルアクリラートである。
【0137】
本発明による分散液の電子線を用いずに、UV線を用いた硬化が行われる限りは、本発明による調製物は好ましくは、光開始剤少なくとも1種を含有し、前記光開始剤は、このエチレン性不飽和二重結合の重合を開始させることができる。
【0138】
光開始剤は、例えば当業者に知られた光開始剤、例えば「ポリマーサイエンスの発展」第14巻、シュプリンガー社、ベルリン、1974年("Advances in Polymer Science", Volume 14, Springer Berlin 1974)又はK.K.ディエトリッカー著の塗料、インク及びペイントのためのUV及びEB配合物の化学と技術第3巻;フリーラジカルとカチオン重合のための光開始剤、P.K.T.Oldring(編)、SITAテクノロジー有限会社、ロンドン(K.K.Dietliker, Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints, Volume 3; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P.K.T. Oldring (Eds), SITA Technology Ltd, London)中に挙げられた光開始剤であってよい。
【0139】
例えば、モノ−又はビスアクリルホスフィンオキシド、例えばEP−A7508号、EP−A57474号、DE−A19618720号、EP−A495751号又はEP−A615980号に記載されているもの、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO L)、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Ciba Spezialitaetenchemie社のIrgacure(登録商標)819)、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸及びこれらの誘導体又はこれらの光開始剤の混合物が挙げられる。例として、上述のベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、αーフェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、βーメチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、αーテトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテンー9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾイン−テトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾイン−メチルエーテル、ベンゾイン−エチルエーテル、ベンゾイン−ブチルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、7−H−ベンゾイン−メチルエーテル、ベンズ[de]アントラセンー7−オン、1−ナフトアルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、oーメトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ−oートリルホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン及び2,3−ブタンジオンが挙げられる。
【0140】
黄変しないか又はほとんど黄変しないフェニルグリオキサル酸エステル型の光開始剤も好適であり、この光開始剤はDE−A19826712号、DE−A19913353号又はWO98/33761号に記載されている。
【0141】
典型的な混合物は、例えば2ーヒドロキシ−2ーメチル−1−フェニル−プロパン−2−オン及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,4,6−トリメチルペンチル−ジフェニルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノン又は2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを含む。
【0142】
この光開始剤の中では、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが好ましい。
【0143】
本発明による分散液は、光開始剤を、成分a)〜i)の全体の量に対して、好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜8質量%、とりわけ0.2〜5質量%の量で含有する。
【0144】
本発明による分散液は、更なる塗料で常用の添加剤、例えばレベリング剤、泡消し剤、UV吸収剤、着色剤、顔料及び/又は充填剤を含有することができる。
【0145】
適した充填剤は、シリカート、例えば四塩化ケイ素の加水分解により得られるシリカート、例えばDegussa社のAerosil R、珪藻土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムその他を含む。適した安定剤は、典型的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール(後者は、Ciba-Spezialitaetenchemie社のTinuvin R商標として入手できる)及びベンゾフェノンを含む。これらは、単独でか又は好適なラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシナートと一緒に使用してよい。安定剤は、慣用的にはこの調製物中に含まれる"固体"成分に対して0.1〜5.0質量%の量で使用する。
【0146】
成分l)
2個又はそれ以上の第一級及び/又は第二級アミノ基を有するポリアミンは、とりわけ、鎖長延長もしくは架橋が水の存在で行われるべきである場合に使用されることができ、それというのも、アミンは通例、アルコール又は水よりもより迅速にイソシアナートと反応するからである。これはしばしば、架橋されたポリウレタン又は高いモル質量を有するポリウレタンの水性分散液が望ましい場合に必要である。そのような場合に、イソシアナート基を有するプレポリマーが製造され、これらが迅速に水中に分散され、かつ引き続いてイソシアナートに対して反応性の複数のアミノ基を有する化合物の添加により連鎖延長又は架橋されるようにして行う。
【0147】
このために好適なアミンは、一般的には、分子量範囲が32〜500g/mol、好ましくは60〜300g/molの、少なくとも2個の第1級アミノ基、少なくとも2個の第2級アミノ基、又は少なくとも1個の第1級アミノ基及び少なくとも1個の第2級アミノ基を含有する多官能性アミンである。この例は、ジアミン、例えばジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物又はトリアミン、例えばジエチレントリアミン又は1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン又はこれより高級なアミン、例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン又はポリマーアミン、例えば、それぞれ分子量が2000g/molまで、好ましくは1000g/molまでのポリエチレン−アミン、水素化ポリ−アクリロニトリル又は少なくとも部分的に水素化されたポリ−N−ビニルホルムアミドである。
【0148】
前記アミンは、ブロックされた形で、例えば相応するケチミン(例えばカナダ国特許出願公開(CA-A)第1 129 128号明細書参照)、ケタジン(例えば米国特許(US-A)第4 269 748号明細書参照)又はアミン塩(米国特許(US-A)第4 292 226号明細書参照)の形で使用されることもできる。例えば米国特許(US-A)第4 192 937号明細書において使用されるような、オキサゾリジンもキャップされたポリアミンであり、これらは、ポリウレタンの製造のためにプレポリマーの鎖長延長に使用されることができる。そのようなキャップされたポリアミンの使用の場合に、これらは、一般的に水の不在でプレポリマーと混合され、かつこれらの混合物は引き続いて、分散水又は分散水の一部と混合されるので、加水分解により相応するポリアミンが遊離される。
【0149】
好ましくは、ジアミン及びトリアミンの混合物、特に好ましくはイソホロンジアミン及びジエチレントリアミンの混合物が使用される。
【0150】
ポリアミンの割合は、C=C二重結合の全体量に対して、10mol%まで、好ましくは8mol%まで、特に好ましくは5mol%までであってよい。
【0151】
本発明による水性分散液の固体含有量は、好ましくは約5〜70質量%、特に20〜50質量%の範囲内にある。
【0152】
好ましくは、成分a)及び存在する場合にはg)の化合物のイソシアナート基が
−成分b)の化合物少なくとも1種のイソシアナート基に対して反応性である基と、5〜80Mol%、好ましくは10〜80Mol%、特に好ましくは15〜75Mol%、
−成分c)の化合物少なくとも1種のイソシアナート基に対して反応性である基と、0〜70Mol%、好ましくは0.2〜60Mol%、特に好ましくは0.5〜30Mol%、
−成分d)の化合物少なくとも1種のイソシアナート基に対する基と、0.1〜40Mol%、好ましくは2〜35Mol%、特に好ましくは5〜30Mol%、
反応している分散液である。この記載は、官能基のモル当量に対する。
【0153】
本発明による分散液は特に、基材、例えば木、紙、テキスタイル、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物性建材、例えばセメント成形材及び繊維セメントプレート、特に金属又はコーティングされた金属のコーティングに適する。
【0154】
有利には、本発明による分散液は、高エネルギー放射線を用いた硬化の後に、良好な適用技術的特性、例えば良好な耐引掻性、良好な化学薬品抵抗性、良好な耐候性及び/又は良好な機械的特性を有するフィルムを形成する。
【0155】
基材のコーティングは、通常の、当業者に公知の方法により行われ、その際、本発明による分散液少なくとも1種はコーティングされるべき基材に所望の厚さで設けられ、この分散液の揮発成分は除去される。この工程は、所望であれば、1回又は複数回にわたって繰り返して行ってよい。基材上への塗布は、公知のように、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延又は注型によって実施してよい。このコーティングの厚さは、一般的に、約3〜約1000g/m2、好ましくは10〜200g/m2の範囲内である。
【0156】
場合により、このコーティング材の複数の層を相互に設ける場合には、それぞれのコーティング工程の後に、放射線硬化を実施することができる。
【0157】
放射線硬化は、高エネルギー放射線、即ちUV線又は日光、好ましくは波長250〜600nmの光の作用を通じて行われ、又は高エネルギー電子(電子線:150〜300keV)を用いた照射により行われる。放射線源としては、例えば高圧水銀蒸気灯、レーザー、パルス灯(閃光)、ハロゲン灯又はエキシマーランプを利用する。UV硬化の際に慣用的に架橋に十分な放射線量は、80〜3000mJ/cm2の範囲内である。
【0158】
この放射線照射は、場合により、酸素不存在下で、例えば不活性ガス雰囲気下で実施してもよい。不活性ガスとしては、特に窒素、希ガス、二酸化炭素又は燃焼ガスが好適である。更に、この放射線照射は、コーティング材料を透明媒質で被覆することによって実施してよい。透明媒体は、例えばプラスチックシート、ガラス又は液体、例えば水である。特に好ましくは、DE−A1 19957900号に記載された様式での照射である。
【0159】
有利な方法において、この硬化は、本発明による調製物で処理した基材を一定の速度で放射線源に通過させることにより連続的に行われる。このためには、本発明による調製物の硬化速度が十分に長いことが必要とされる。
【0160】
硬化のこの相違する時間的な経過を、この対象物のコーティングにまだなお後処理工程が引き続き、この際にフィルム表面が別の対象物と直接的に接触しているか又は機械的に処理される場合に、特に利用することができる。
【0161】
本発明による分散液の利点は、この表面がもはや接着しないので、このコーティングされた対象物が直接的に、放射線硬化に更に後処理できることにある。他方では、この乾燥したフィルムはまだなお柔軟性かつ伸長可能であり、この結果この対象物は、このフィルムをこの際に剥離又は引裂することなしにまだなお変形可能である。
【0162】
本発明の更なる主題は、前述のとおり、金属、木、紙、セラミック、ガラス、プラスチック、テキスタイル、皮革、不織布、又は鉱物性建材からの基材のコーティングのための分散液使用である。
【0163】
本発明によるポリウレタン分散液は特に、下塗、サーフェーサー、顔料着色されたトップコート及びクリアー塗料として、工業塗装、特に航空機塗装又は大型輸送手段塗装、木塗装、自動車塗装、特にOEM塗装又は自動車補修塗装、又は装飾塗装の分野で使用されることができる。特に適するのは、とりわけ高い適用確実性、屋外耐候性、光学的、溶媒及び/又は化学薬品抵抗性が必要とされる適用のためのコーティング剤である。
【0164】
次に、本発明を、限定するものでない実施例により詳細に説明する。
【0165】
実施例
特に他に記載がなければ、記載された部及びパーセントは質量に対する。
【0166】
成分A:WO00/39183号、24頁、表1に記載されているヘキサメチレンジイソシアナート及びヒドロキシエチルアクリラートからなるアロファナート、NCO含有量14.9%、アクリラート基含有量2mol/kg。
【0167】
ポリエステルオールC:アジピン酸及び1,4−ブタンジオールからなるポリエステル、モル質量1000g/mol。
【0168】
ポリエステルアクリラートDの製造:
水分離器を有する装置中に、エトキシル化トリメチルプロパン258.1g(OH価 約610mg KOH/g)、無水フタル酸206.1g、1,4−ブタンジオール125.3g、アクリル酸210.5g及びp−トルエンスルホン酸(水中で65%)16g、メチルシクロヘキサン310gを、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール0.8g、トリフェニルホスフィット0.8g、次リン酸(水中で50%)0.8g、4−メトキシフェノール2.83g及びフェノチアジン0.055gの存在下で加熱した。10時間の反応時間の後に、水約83gを排出した。この溶媒を引き続き真空(20mbar)で102℃で留去し、水性テトラ(n−ブチル)アンモニウムブロミド溶液(75%)18gを添加した。この酸価は蒸留後に約55mg KOH/gであった。過剰のアクリル酸を、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル(エポキシド含有量:約5.4mol/g)115.6gと共に105〜110℃の温度で6時間反応させた。この得られたアクリラートの酸価は、4mg KOH/gであった。この樹脂の粘度は、DIN53019により18Pasであった。アクリラート基含有量:3.0mol/kg。
【0169】
実施例1:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリカプロラクトンジオール(Solvay社のCapa(R) 212、モル質量=1000g/mol、OH価=113mg KOH/g)149.4g、1,2−エタンジオール21.7g、ヒドロキシエチルアクリラート69.66g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.04gを装入し、75℃の浴温で撹拌した。60分間の間に並行してイソホロンジイソシアナート149.86g、トリス(ヘキサメチレンジイソシアナト)イソシアヌラート59.1g並びに成分A 82.5gを滴加した。供給終了後に、アセトン115.4gを計量供給した。引き続き90分間後及び4時間後、そのつどジブチル錫ジラウラート0.125gを滴加した。NCO含有量0.50%で、アセトン186.2gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液76gで中和した。20分間の間に水782.1gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水157.5gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 8.10、粘度:91.7mPas、平均粒径:152nm。
【0170】
実施例2:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中で、ポリカプロラクトン(Solvay社のCapa 212 、モル質量=1000g/mol、OH価=113mg KOH/g)74.7g、1,2−エタンジオール26.35g、ヒドロキシエチルアクリラート69.66g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.088g、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.047gを、75℃の浴温で撹拌した。60分間の間に成分A261.25g及びビス(4,4′−イソシアナトシクロヘキシル)メタン131gを滴加した。供給終了後に、アセトン130gを計量供給した。引き続き90分間後及び4時間後、そのつどジブチル錫ジラウラート0.145gを滴加した。NCO含有量0.60%で、アセトン187.6gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液76gで中和した。20分間の間に水693.96gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水136.13gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 8.03、粘度:38.4mPas、平均粒径;83nm。
【0171】
実施例3:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中で、ポリカプロラクトン(Solvay社のCapa 212 、モル質量=1000g/mol、OH価=113mg KOH/g)74.7g、1,2−エタンジオール26.35g、ヒドロキシエチルアクリラート69.66g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.08g、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.04gを、75℃の浴温で撹拌した。60分間の間に成分A261.25gを滴加した。供給終了後に、アセトン130gを計量供給した。引き続き90分間後及び4時間後、そのつどジブチル錫ジラウラート0.14gを滴加した。NCO含有量0.50%で、アセトン187gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液76gで中和した。20分間の間に水666.93gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水131.3gで希釈した。
固体含有量:34%、pH値 8.06、粘度:147.2mPas、平均粒径;106nm。
【0172】
実施例4:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリエステルアクリラートD485.76g、ポリエステルオールC36.6g、ジメチロールプロピオン酸31.09g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド0.055gをアセトン156.1g中に装入し、75℃の浴温で撹拌した。40分間の間に成分A302.5gを滴加した。90分間後に、ジブチル錫ジラウラート0.54gを滴加した。NCO含有量0.72%で、アセトン305.2gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液83.6gで中和した。20分間の間に水1222.13gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水81.5gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 7.51、粘度:96mPas、平均粒径;153nm。
【0173】
実施例5:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリエステルアクリラートD364.8g、ポリエステルオールC36.6g、1,4−ブタンジオール9g、ジメチロールプロピオン酸26.13g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド0.046gをアセトン130.49g中に装入し、75℃の浴温で撹拌した。40分間の間に成分A275gを滴加した。供給終了後に、ジブチル錫ジラウラート0.46gを添加した。NCO含有量0.55%で、アセトン266.98gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液70gで中和した。20分間の間に水1015.55gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水84.5gで希釈した。
固体含有量:35%、pH値 7.82、粘度:299mPas、平均粒径;181nm。
【0174】
実施例6:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリエステルアクリラートD522.24g、ポリエステルオールC19.62g、ジメチロールプロピオン酸29.48g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド0.057gをアセトン161.11g中に装入し、75℃の浴温で撹拌した。40分間の間に成分A152.25g及びビス(4,4′−イソシアナトシクロヘキシル)メタン72.05gを滴加した。供給終了後に、ジブチル錫ジラウラート0.58gを計量供給した。NCO含有量0.72%で、アセトン267.05gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液79.2gで中和した。20分間の間に水1133.35gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水113.3gで希釈した。
固体含有量:34%、pH値 7.51、粘度:36mPas、平均粒径;197nm。
【0175】
実施例7:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリエステルアクリラートD441.6g、ポリエステルオールC36.6g、ジメチロールプロピオン酸29.48g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド0.05gをアセトン143.19g中に装入し、75℃の浴温で撹拌した。40分間の間に成分A275gを滴加した。供給終了後に、ジブチル錫ジラウラート0.5gを添加した。NCO含有量0.80%でアセトン278.5gで希釈した。引き続き30℃の温度で、アセトン20g中に溶解した1,2−エタンジアミン2.1gを計量供給し、10%の水性苛性ソーダ液79.2gで中和した。20分間の間に水1118.59gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水93.2gで希釈した。
固体含有量:35%、pH値 7.70、粘度:324mPas、平均粒径;152nm。
【0176】
実施例8:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中に、ポリエステルアクリラートD412.8g、ポリエステルオールC36.6g、ジメチロールプロピオン酸28.14g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド0.048gをアセトン134.69g中に装入し、75℃の浴温で撹拌した。40分間の間に成分A275gを滴加した。供給終了後に、ジブチル錫ジラウラート0.48gを添加した。NCO含有量1.06%でアセトン270.8gで希釈した。引き続き30℃の温度で、アセトン20g中に溶解した1,2−エタンジアミン3.6gを計量供給し、10%の水性苛性ソーダ液75.6gで中和した。20分間の間に水1078.3gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水71.9gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 7.63、粘度:307mPas、平均粒径;159nm。
【0177】
比較例1:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中で、ポリカプロラクトン(Solvay社のCapa 212 、モル質量=1000g/mol、OH価=113mg KOH/g)74.7g、1,2−エタンジオール26.35g、ヒドロキシエチルアクリラート69.66g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.088g、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.047gを、75℃の浴温で撹拌した。60分間の間に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート及び2−エチルヘキサノールからなるアロファナート変性されたポリイソシアナート(NCO含有量=17.2%、粘度 約300mPas)231.8g及びビス(4,4′−イソシアナトシクロヘキシル)メタン131gを滴加した。供給終了後に、アセトン100gを計量供給した。90分間後に、ジブチル錫ジラウラート0.29gを滴加した。NCO含有量1.21%で、アセトン201.97gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液76gで中和した。20分間の間に水784.24gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水157.89gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 8.16、粘度:36mPas、平均粒径;294nm。
【0178】
比較例2:ポリウレタン及びポリウレタン分散液の製造
攪拌機、滴下漏斗、温度計及び還流冷却器を備えた4lの反応容器中で、ポリカプロラクトン(Solvay社のCapa 212 、モル質量=1000g/mol、OH価=113mg KOH/g)74.7g、1,2−エタンジオール26.35g、ヒドロキシエチルアクリラート69.66g、ジメチロールプロピオン酸26.8g、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.072g、及びヒドロキノンモノメチルエーテル0.039gを、75℃の浴温で撹拌した。60分間の間にビス(4,4′−イソシアナトシクロヘキシル)メタン189.95g及びトリス(ヘキサメチレンジイソシアナト)イソシアヌラート98.5gを滴加した。供給終了後に、アセトン95gを計量供給した。90分間後に、ジブチル錫ジラウラート0.21gを滴加した。NCO含有量0.50%で、アセトン130.13gで希釈し、かつ10%の水性苛性ソーダ液76gで中和した。20分間の間に水473.41gを撹拌下でポリマー溶液中に滴加導入した。引き続きアセトンを真空中で留去し、水96.75gで希釈した。
固体含有量:36%、pH値 8.04、粘度:>500mPas、平均粒径;955nm。
安定な分散液を得ることはできなかった。
【0179】
皮膜試験
前記コーティング材料を4質量%(分散液の固形物含有量に対して)の光開始剤Irgacure 500(R)(ベンゾフェノン及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンそれぞれ50質量%からなる混合物)(Ciba Spezialitaetenchemie社)と混合し、そのつどの基材に層厚150μm(湿式)で設け、20分間60℃で乾燥棚中で乾燥させ、水を除去し、ドープされていない水銀高圧灯(出力120W/cm)のもとで基材に対するランプ間隔12cm及びバンド速度10m/minで2回照射し、この結果指の爪に対して引掻抵抗性のコーティングが得られた。
【0180】
このエリクセン硬度は、DIN53156により測定し、これは可撓性及び弾性の尺度である。ミリメートル(mm)で示す。この値が大きければ、可撓性が大きいことを意味する。エリクセン押出度の測定のための皮膜を、スパイラルドクター(Spiralrakel)を用いて板上に設けた。この層厚は照射後に約50μmであった。
【0181】
この振子硬度は、DIN53157により測定し、これはコーティング硬度の尺度である。この振子硬度は、振子が静止するまでの秒で示す。この値が大きければ、硬度が大きいことを意味する。振子硬度の測定のための皮膜を、ボックスドクターを用いてガラス上に設けた。この層厚は照射後に約50μmであった。
【0182】
【表1】

【0183】
*分散液が、フィルム製造に適さなかったために皮膜試験は可能でなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)遊離イソシアナート基少なくとも2つ、アロファナート基少なくとも1つ及び前記アロファナート基を介して結合したラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有し、その際これは、前記二重結合で直接的に、エーテル官能基中のカルボニル基又は酸素原子に結合している化合物少なくとも1種
b)イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つ及びラジカル重合可能なC=C二重結合少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、
c)場合により、イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも2つを有する化合物少なくとも1種、その際前記基は、ヒドロキシル基、メルカプト基、第一級及び/又は第二級アミノ基から選択されている、
d)イソシアナート基に対して反応性である基少なくとも1つ及び酸基少なくとも1つを有する化合物少なくとも1種、
e)化合物d)の酸基の少なくとも部分的な中和のための塩基性化合物少なくとも1種、
f)場合により、イソシアナート基に対して反応性である基1つのみを有する、b)、d)及びe)とは相違する化合物少なくとも1種、
g)場合により、a)とは相違するポリイソシアナート少なくとも1種、
h)熱開始剤の非存在下で、
i)場合により、反応性希釈剤、光開始剤及び常用の塗料添加剤から選択されている更なる添加剤、
k)水並びに
l)場合によりジアミン及び/又はポリアミン少なくとも1種
から構成されている放射線硬化可能な水性ポリウレタン分散液。
【請求項2】
成分c)少なくとも1種が存在することを特徴とする、請求項1記載のポリウレタン分散液。
【請求項3】
成分c)が500g/molよりも多い分子量を有することを特徴とする、請求項2記載のポリウレタン分散液。
【請求項4】
構成成分a)〜d)並びに場合によりf)及びg)からの反応生成物が、二重結合密度少なくとも1.4mol/kgを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液。
【請求項5】
成分a)が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択された構成成分少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液。
【請求項6】
成分a)が、2−ヒドロキシ−エチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、1,4−ブタンジオール−モノ(メタ)アクリラート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリラート、グリセリンモノ(メタ)アクリラート及びグリセリンジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリラート及びトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリラート及びペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラートからなる群から選択された構成成分少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液。
【請求項7】
成分d)が、ジメチロールプロピオン酸及びジメチロール酪酸からなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液を用いてコーティングされた基材。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液を基材に設け、引き続き乾燥及び放射線硬化させることを特徴とする、基材のコーティング方法。
【請求項10】
請求項1から7までのいずれか1項記載のポリウレタン分散液のコーティング材料としての使用。

【公表番号】特表2008−538219(P2008−538219A)
【公表日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556611(P2007−556611)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060234
【国際公開番号】WO2006/089935
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】