説明

放送受信装置

【課題】音声を聞くこともできるイヤホンを具備したアンテナを装置本体と一体として持ち歩くことができ、携帯性に優れ、アンテナを巻き取った状態でもチップアンテナや伸縮式のホイップアンテナと同等以上の性能を確保できる放送受信装置を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、電話機本体11を備え、前面に液晶などの表示部14、文字入力のための操作部15、スピーカ12、マイクロホン13などが配置されている。上部には携帯電話送受信用のアンテナ16を備えている。筐体側面にイヤホン17を接続するためのイヤホンジャック19が用意され、筐体の側面外周にはイヤホンアンテナコード18が収納されている。イヤホンアンテナコード18は、音声の聞くためのイヤホンのコードであると同時に、テレビ視聴用のアンテナとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナのコードを装置本体に巻き取り式にした放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に搭載されるICの高機能化、携帯電話事業者・会社間の競争激化に伴い、様々な機能を持った携帯電話機が販売されている。例えば、音楽プレーヤやFMチューナ、GPSによる歩行者用ナビゲーションシステム、アナログのテレビチューナ等を搭載した携帯電話機が販売されている。
【0003】
テレビ業界ではデジタル放送が地上波のUHF帯を使用して開始されている。携帯電話機やPDA、車載テレビ、ポータブルテレビ等、家庭にあるテレビと比較して小さな画面で視聴することを対象にした放送も考えられており、1セグメント放送と呼ばれ、将来を期待されている。特に携帯電話機ではそのユーザ数が多く、常に身につけているため、デジタルテレビチューナを搭載することで、テレビ放送と携帯電話コンテンツが連携したビジネスチャンスが拡がると有望視されている。このためテレビを視聴することのできる携帯電話機は、今後益々増えることが予想される。
【0004】
この地上波デジタルテレビ放送、アナログテレビ放送はUHF帯(470〜770MHz)を用いているため、携帯電話機と比べると、低い周波数までカバーするアンテナを用いる必要がある。また、全チャネルを受信するためには300MHzの帯域幅においてアンテナゲインを確保する必要がある。このためイヤホンアンテナや携帯電話機の外部に大きなアンテナを接続することによりこの問題に対処している。
【0005】
また、FMラジオは76〜90MHz帯で放送されるため、テレビ放送よりも更に低い周波数を受信する必要があり、エレメントの長いアンテナを用いる必要がある。FM受信機内蔵携帯電話機においてもFMラジオ受信機においてもイヤホンアンテナが一般的に用いられている。
【特許文献1】特開平6−334584号公報
【特許文献2】特開平11−055369号公報
【特許文献3】特開平10−190798号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の携帯電話機では無線通信を行うために内部にチップアンテナを備えている場合が多い。これは、筐体から突起物が出ていると様々なものに引っかかるため、取り扱いに不便であるといった理由や、使用中に落下させてしまったときに壊れてしまうからである。しかし携帯性を重要視する携帯電話機においては、大きなアンテナは内蔵できないため、ある程度小型にせざるを得ない。アンテナ性能は基本的にはエレメントの長さに比例するため、小型にすることは性能を劣化させることになる。あるいはアンテナの周辺にシールド板やスピーカ等の金属物がある場合、これらの影響を受けて性能は更に悪化することになるため、電話機の感度が低下したり、電話機の開発が難しくなる問題があった。
【0007】
また、携帯電話機の持ち方、耳への当て方は人によって異なり、様々な持ち方をするユーザがいる。チップアンテナ部が手や顔で覆われると大幅に性能が劣化してしまうが、これら様々な人全ての持ち方に配慮し、且つ性能を保てる位置に搭載することは困難であるといった問題があった。
【0008】
更に、従来の端末がホイップアンテナである場合、本体から棒状の突起物が出ているため、衣類のポケットや鞄などから取り出す際に引っ掛かってしまい、取り出し難い問題や、電話機を落下させた時、突出しているので構造的に当たり易くなっている。この落下の衝撃により破損する確立も高くなってしまう問題もあった。
【0009】
更に、通話時やテレビ視聴のためにアンテナを伸張させた時、アンテナエレメントが長いと周囲の人や物と干渉する可能性が高くなるため、使用感が著しく低下する問題もあった。テレビ放送を良好に受信することを目的にアンテナエレメントを設計した場合、1/4波長とするのが好ましい。しかし、波長が長いため9cmから16cmが必要となってしまう。このため机の上において視聴する場合や、混雑した電車・バスの中で視聴する場合に問題となってしまう。
【0010】
また、携帯電話機は、待ち受け時においては、ホイップアンテナを収容して持ち歩くものである。アンテナを収納した状態のホイップアンテナでは、本体内の部品を搭載している基板とほぼ接する状態となるため、基板からの影響を受け過ぎてしまい、本来の性能を出すことができない。このためホイップアンテナの先端に具備しているヘリカルアンテナを用いることが一般的である。しかしこのヘリカルアンテナは大きくできないため、充分な性能を出せないという問題があった。また、小さな構造体であるため、ポケットや鞄に入っている物で覆われてしまい、性能が劣化してしまう問題もあった。
【0011】
アナログテレビチューナ内蔵の携帯電話機が発売されているが、テレビ用のアンテナは伸縮式のホイップアンテナもしくはイヤホンアンテナを用いている。屋外であればホイップアンテナでも視聴可能な場合も多いが、一旦少しでも屋内に入ってしまった場合、受信レベルが弱くなり、映像が見えなくなってしまう。これは低い周波数でのアンテナゲインを確保するために9cmから16cmのエレメントを有するアンテナにする必要があるが、携帯電話機は軽量コンパクトである必要があるため、小さな筐体にアンテナを収める必要があることから、充分に性能を出せるエレメントを搭載できないためである。このようにアンテナを小型にすることにより省スペースを確保する反面、性能は犠牲になってしまうため、特に低い周波数を用いているテレビを視聴するユーザに対して充分な性能を確保できない問題があった。
【0012】
FM、AMラジオ放送は使用している周波数がテレビの周波数よりも更に低く、特にFMラジオでは70MHz帯を使用している。この放送波を良好に受信するためには、テレビアンテナよりも更に長いエレメントを用いて受信する必要がある。ホイップアンテナでは充分な性能を取ることができないため、イヤホンアンテナが一般的に用いられている。
【0013】
しかし、アナログ、デジタルのテレビ信号やFM、AMラジオ信号の受信レベルを上げるために外部アンテナやイヤホンアンテナを用いた場合、これらは携帯電話機本体とは別に持ち歩く必要があり、かさばってしまい、持ち歩くのに面倒である、鞄に入れているとコードが絡まってしまう、本体にコードを巻きつけておくと着信があった場合などの使いたい時にコードを解く必要がありすぐに使えない、持ち忘れ・置き忘れをしてしまうなどの様々な問題があり、非常に不便であった。これらの煩雑なコードの取り扱いを簡略化するために幾つかの発明がされている。例えば、引用文献1では帯状のコードを自動で巻き取る装置を備えた装置や、引用文献2ではイヤホンを本体に内蔵して携帯性を向上させると共にワンタッチでイヤホンが取り出せるようにした携帯電話機(図1参照)や、引用文献3ではイヤホンマイクのコードを自動で巻き取る装置を内部に具備しつつイヤホンマイクのイヤホンおよびマイクロホンを収納するポケットとコードを収納する溝とを外部に備える装置等が考えられている。携帯型のラジオでもこれらと同様にイヤホンアンテナを本体内に巻き取る構造を持つものもある。
【0014】
しかし、引用文献1ではイヤホンマイクのコードを絡みつかないように携帯電話機の本体内のリールに巻き取ることのみが考えられおり、アンテナについては記述されていない。また、本体内に巻き取るため、筐体が大きくなってしまう問題がある。
【0015】
引用文献2では収納した場合のアンテナの性能については配慮されていない。また、図1に示すように、イヤホン7と巻き取られたイヤホンコード7bとを本体1内に収容するため、本体1に大きな収容スペースが必要となる問題があった。引用文献3ではイヤホンは筐体側面や背面に固定する機構を備えており、比較的筐体を小型にできるが、コードの一部を筐体内に納める必要があるため、やはり大きくなってしまう問題やアンテナ性能を確保することが難しい問題があった。
【0016】
また、高機能化に伴い、携帯電話機にテレビ、FM、Bluetooth、WirelessLANなど複数の無線システムを搭載する必要が生じている。しかし、送受信性能を確保するためにはそれぞれの無線システムの周波数に合わせたアンテナを備える必要があるが、複数のアンテナを搭載するにはスペースが必要になるため、筐体が大きくなってしまい、携帯性が確保できなくなる。
【0017】
また、データ通信にも配慮した携帯電話機では、データ通信速度を向上させるために受信ダイバーシティを行っているものもある。このダイバーシティ用のアンテナも筐体内部に用意する必要があるアンテナであり、これも容積を必要とする一要因となっている。例えば、データ通信対応携帯電話機がテレビ受信部とFMラジオ受信部を備える場合、携帯電話送受信用、携帯電話ダイバーシティ受信用、テレビ用、FM用の4本のアンテナを備える必要が生じる。
【0018】
これらのアンテナの内、テレビアンテナは低い周波数であるため、小型化が困難である。この対策としてテレビ専用の2段式ホイップアンテナを採用してアンテナ性能の劣化を最小限に留めようとする携帯電話機もあるが、それでも性能は充分ではなく、筐体も大きくなってしまっていた。
【0019】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、音声を聞くこともできるイヤホンを具備したアンテナを装置本体と一体として持ち歩くことができ、携帯性に優れ、アンテナを巻き取った状態でもチップアンテナや伸縮式のホイップアンテナと同等以上のアンテナ性能を確保できるアンテナコード巻き取り式の放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明の放送受信装置は、音声出力信号をイヤホンまたはスピーカに出力する音声出力切替部と、前記イヤホンのコードを放送受信装置の筐体外周に保持する保持部と、前記保持部に前記イヤホンのコードを保持した状態で前記イヤホンのコードをアンテナとして得た受信信号から放送を受信する放送受信部とを備えることを特徴とする。
【0021】
前記筐体は、第1の筐体と、第1の筐体に対してスライド/回動する第2の筐体とにより構成され、前記保持部は、前記第2の筐体に有することが好ましく、前記第2の筐体は、2つの外装を貼り合わせた構造であって、一方の外装に表示部を有し、他方の外装に前記保持部を有する表示部を有することが好ましい。また、前記保持部は、前記イヤホンのコードを保持するときイヤホンのコードが重ならないように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、音声を聞くこともできるイヤホンを具備したアンテナを装置本体と一体として持ち歩くことができるので、携帯性に優れ、また、アンテナを巻き取った状態でもチップアンテナや伸縮式のホイップアンテナと同等以上のアンテナ性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の態様について図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態による放送受信装置についての携帯電話機を例とした場合の斜視図である。図2に示す携帯電話機では、筐体側面にイヤホン17を接続するためのイヤホンジャック19が用意され、筐体の側面外周にはイヤホンアンテナコード18が収納されている。携帯電話機は、電話機本体11を備え、前面に液晶などの表示部14、文字入力のための操作部15、スピーカ12、マイクロホン13などが配置されている。上部には携帯電話送受信用のアンテナ16を備えている。
【0024】
筐体の側面外周には、図3に示すような、コードを1本づつ保持するための保持部である溝21が複数本用意されており、ユーザが溝21に沿って指でコードをこの溝21に押さえ付けることによって、イヤホンアンテナコードを溝21に簡単にはめ込むことができる。このように、イヤホンのコードを溝にはめ込むときにイヤホンのコードが重ならないように構成されているので、持ち運びに邪魔にならないようにコードを固定することができる。また、受信感度も向上する。着信があると従来の携帯電話機と同様に本体に備えられたスピーカ、マイクロホンで通話する。テレビを見る時やラジオを聴くときに、ユーザは本体に巻き取ってあるイヤホンアンテナコードを外してイヤホンを耳に当てる。使用する場合には、イヤホンの根元のコードを引っ張ることにより簡単に外すことができる。イヤホンで音声を聞くことができると同時に、コードは、テレビ視聴用のアンテナとして機能する。
【0025】
溝21は、図4に示すように、断面が円形のコード22を複数本をまとめて支持できる構造としても良い。図4に示す溝は、コードをはめ込む機構を備えておらず、筐体の一部を延長して開放端をフック状に形成している。図3に示す溝に比べて、コードを溝にはめ込む手間を省くことができる。また、巻き取るコードの太さを選ばないため、市販している平均的な太さのコードよりも太いイヤホンアンテナコードを使用したいユーザでも許容することができる。更に、溝21は、図5に示すように帯状のコード23を複数本をまとめて支持できる構造としても良い。コードを帯状にした場合、コードに色を入れたり、ロゴや模様をプリントすることで巻き取った際のデザイン上のアクセントをつけることができる。本体の表面にユーザの嗜好に応じたパネルを取り付けることと同様な効果を得ることができ、ユーザの個性を出すことができる。
【0026】
また、図6に示すように筐体周囲にコードを覆うカバー24を備え、コードに手が触れない構造としても良い。ユーザがコードを巻き取ろうとした時はカバー24を開ける。巻き取った後はカバー24を閉めることにより突起物への引っ掛かりを防ぐと共に、本体との一体感を持たせて外観の調和を図ることができる。また、本体と異なる色や半透明とすることでデザイン上のアクセントとして用いることもできる。
【0027】
図7は、イヤホンジャックを本体筐体内に収納できる構造とした例であり、筐体が大きくなってしまうが、コードを巻く際に支障となるジャックを筐体内に収納することにより、巻き取り易さを向上させた構造である。本体筐体の凹部にイヤホンジャックを接続するためのイヤホン端子26を用意してある。これを覆っている蓋27は、開け閉めが可能な構造となっており、イヤホンアンテナコード28の取り付け、交換を行う際に蓋27を開けてイヤホンジャック29を差し込み易い構造となっている。イヤホンジャック29を差し込んだ後は蓋27を閉めることによりイヤホンジャック29を隠すことができる。ユーザは自分の嗜好に応じたイヤホンアンテナコードを使用することができる上に、コードを巻き取る時にジャックを避ける必要がなくなるため、容易に巻き取ることができ、見た目も綺麗に巻き取ることができる。
【0028】
また、市販のイヤホンジャックに交換できる構造となっていることから、ユーザの嗜好に応じてイヤホンの音質や、アンテナコードの色を変えることでコードを装着した際の見た目の雰囲気を変えることができるため、ユーザの満足度を向上させることができる。特にコードを帯状にすることで色味を強くすることや、ロゴ、文字、模様などをプリントすることができ、その効果をより際立たせることも可能となる。
【0029】
図8は、イヤホンアンテナコードを備えている折り畳み型の携帯電話機の例であり、コードが本体の基板に固定されている場合の図である。この携帯電話機では、携帯電話の送受信のためにイヤホンアンテナを用いるため、携帯電話送受信用のアンテナは備えていない。図8では、携帯電話機の無線回路とテレビ受信部が下側の筐体内の基板に搭載されており、この基板にイヤホンアンテナコードが接続されている。このコードを巻き取る時には上側の筐体側面の溝を利用する。イヤホンは、予め用意されているイヤホン収容穴に保持される。
【0030】
この構造でイヤホンアンテナコードを収納すると、巻き取った状態で携帯電話の待ち受けを行う場合、筐体の外周の長さ分が全てアンテナとして機能する。収納したホイップアンテナすなわちヘリカルアンテナと比較すると2倍以上の長さを得ることができるため、良好な受信特性を得ることができる。また、ユーザが胸ポケットや鞄に入れて持ち運ぶ時やメールを作成している時にアンテナ全体が遮られる確立が低くなるため、ヘリカルアンテナに比べて有利となる。なお、携帯電話用のアンテナを従来のように備え、放送受信用のアンテナを上記のように構成しても勿論良い。
【0031】
図9に折り畳み型の携帯電話機の上側筐体の断面図を示す。アンテナコードを収納する溝31は、筐体内の基板32、部品33からの影響を低減させるために基板32と同一面からは離れた位置に設ける。通常、筐体は2つの外装34,35を貼り合わせる構造となっている。これはコストと電話機の組み立て性への配慮からである。この図ではメインとなる表示部36側の外装35は厚みを薄く作成している。この面と同じ位置に基板32が組み込まれることとなる。基板32からの影響と頭部からの影響を避けるためには表示部36とは反対側の外装34の側面にアンテナコードを収納する溝31を設けている。この例では表示部36の基板32からも遠ざけることが必要となる。
【0032】
本発明では通話する際の人体からの影響、筐体内部の影響を極力排除するために、基板からの距離を基準に、少しでも性能を確保できる位置にアンテナを巻くことを特徴としている。本体内の基板は電気部品の性能を出すためや静電気への耐性を持たせるためにGNDで覆われていることが多い。この基板からの距離を離すことはアンテナの利得の低下を抑えることとなる。このため筐体と基板の取り付け位置を基準としてアンテナコードを配する位置を決定する。
【0033】
携帯電話機の筐体は、折り畳み以外の構造でも良好な性能を得ることができる。例えば図10に示すスライド型や図11に示す回動型であっても折り畳み型と同様に上側の筐体にアンテナコードを巻きつけることができるため、手や顔で覆われる確率が低くなる。
【0034】
また、図8、図9では、無線回路が下側の筐体内の基板に搭載される場合について説明したが、本発明は、無線回路が下側の筐体に搭載されても上側の筐体に搭載されても、アンテナコードは手の影響の出にくい上側筐体へ配することができるため、等しく性能を確保することができるものである。従来の折り畳み型、スライド型、回動型筐体を持つ携帯電話機において、無線回路が内蔵されている筐体と異なる筐体へアンテナを配することは、構造が複雑になるため、コストアップする、筐体が大きくなるなどの弊害があった。また、無線回路から電気的に遠くなることから無線信号の損失が増加し、消費電流が増加したり、感度が落ちるなどの問題があった。しかし、本発明では、無線回路が上側筐体、下側筐体のどちらにある場合においても、アンテナコードは上側の筐体に収納することが可能であるため、回路や筐体の設計の自由度を上げることができると共にユーザへ優れた性能を有する携帯電話機を提供することが可能である。
【0035】
また、ユーザが通話を行う際、特に折り畳み型、スライド型、回動型の筐体である場合、下側筐体(メイン操作部を有する筐体)を持つことで携帯電話機を保持する使用者が多いため、アンテナを上側筐体に巻き取る構造とすることで、アンテナコードが手に覆われる比率をより軽減することができ、優れた性能を得ることができる。
【0036】
図12は、本発明の携帯電話機の本体内部のブロック図である。イヤホンアンテナコード18は、イヤホン線42およびアンテナエレメント43,44を収容する。イヤホン17からのイヤホン線42は、音声出力切替部45を通して音声処理部46に接続され、アンテナエレメント43,44は、放送受信部であるテレビ受信部48、FMラジオ受信部49にそれぞれ接続されている。また、携帯電話送受信用のアンテナ16は、携帯電話送受信部47に接続されている。アンテナエレメント43,44の長さは、それぞれのシステム周波数の1/4波長に合わせることを基本とする。それぞれのエレメントが接近していると、相互に影響を与えること、エレメントの材料によりエレメントの短縮率が異なることがあるため、それぞれのエレメントは、最も効率良く電波を放射、受信できる長さに調整を行うこととする。
【0037】
ユーザが操作部15を操作してテレビ視聴を選択した場合、テレビ受信部48は受信した放送波を復調し、復調した画像信号を制御部50が表示部14へ表示する。復調された音声信号は、音声処理部46を経由し、音声出力切替部45でスイッチ51により切り替えられてイヤホン17またはスピーカ12へ出力される。テレビ視聴中であっても携帯電話の待ち受けを行える。また、携帯電話メールを受けることも可能である。携帯電話機に着信があった場合、テレビを中断し、通話をすることになる。このイヤホンアンテナコード18にはマイクが付いていないため、イヤホンで受話し、本体内蔵のマイクで送話を行う。同様にFMを聞いている時であっても携帯電話での待ち受けや通話を行うことができる。
【0038】
実施例ではアンテナエレメントをイヤホンアンテナコード内に複数本内包している。アンテナは、受信しようとする周波数に合わせてエレメント長を合わせることで最も大きなアンテナ利得を得ることができる。ユーザの利便性とアンテナ利得とが最も得られる構造として、アンテナエレメントを、内蔵する機能に合わせて用意し、一つの被覆で覆うことが好ましい。本発明の放送受信装置が、例えばテレビ受信部とFMラジオ受信部を内蔵する携帯電話機であった場合、携帯電話用、テレビ用、FM用の3本のエレメントを一つのコードとしてまとめて、携帯電話送受信用のアンテナ16を備えないようにしても良い。携帯電話送受信用のアンテナ16を省くことによって、さらに筐体を小型化することができる。
【0039】
携帯電話機の場合、1/4波長はおよそ9cmである。2インチ以上の表示部を備えている携帯電話機であれば筐体の側面一辺に配するアンテナコードの長さのみによって1/4波長の長さをほぼ実現できる。
【0040】
また、携帯電話基地局から発せられた電波は、様々な物体で反射されながらユーザへ届く。この過程で偏波面は様々な方向を向くことになる。従来のホイップアンテナであれば棒状であるため、ある一偏波面のみしか良好に受信することができないが、イヤホンアンテナコードを携帯電話用のアンテナとする場合、筐体外周へ配したアンテナエレメントはほぼ長方形となることから、水平偏波も垂直偏波であっても受信することができる。
【0041】
また、テレビ用エレメントとFM用エレメントを共用する形態としても良い。各受信部は、インピーダンスを合わせるためのマッチング回路を介してそれぞれがエレメント接続用のランドに接続される。
【0042】
図12の音声切替用のスイッチ51を図13に示す。このスイッチ51は、機構的なスイッチであり、携帯電話機の本体背面側に設けられたイヤホン収容穴52の中央部に設けられている。イヤホン収容穴52の側面には爪53が設けられており、イヤホン17をイヤホン収容穴52にはめ込み、この爪53によりイヤホン17がイヤホン収容穴52に保持された時に、スイッチ51が押される構造となっている。このスイッチ51が押されると、音声出力切替部45が、音声の通るパスを切り替える回路となっており、イヤホン17を収納した時は本体に内蔵されているスピーカ12に切り替わるようになっている。この構造を有することによりユーザは音声を聞くための操作を気にすることが必要なくなるため、利便性が向上する。
【0043】
イヤホンを収納ときはテレビ視聴やFMラジオを聞き終えたときであり、イヤホンを必要としない時であるため、ユーザが切替操作を行うことは煩雑になるが、本発明では、本体にイヤホンが装着されたことを検知するスイッチを備えており、イヤホンを収納したことを検出し、音を出す経路をイヤホンからスピーカへ自動で切り替えるため、ユーザの利便性が向上する。
【0044】
従来の携帯電話機では、携帯性を重要視するため、チップアンテナのエレメント長を長くすることができず、したがって、性能を充分に出せず、また、ホイップアンテナの場合でも収納した時は性能を充分に出せなかったが、本発明は、筐体の外周にアンテナエレメントを配する構造としたことにより、性能に影響を及ぼす筐体内の基板、シールドやスピーカ等の金属物、部品等から距離を離すことができ、その影響を最小限に留めることができる。また、筐体の外周であるためアンテナコードを遮蔽するものが無く、更に筐体の外周を用いることが最もエレメントを配する距離を得ることができるため、アンテナエレメントを収納した状態であっても従来と比べて良好なアンテナ利得を得ることができる。
【0045】
従来の携帯電話機では、チップアンテナであっても、ホイップアンテナを収納した際に使用するヘリカルアンテナであっても、アンテナが非常に小型であるため、手や顔、ポケットや鞄の内容物に覆われてしまい易く、性能が出せなくなってしまう可能性が高かったが、本発明では、アンテナコードが筐体の外周にあり、最も距離のある部分を経由しているため、アンテナコードの一部が覆われることはあるが、全面が覆われる割合が低くなり、遮蔽物の無い箇所は性能を確保できるため、従来の携帯電話機より優れたアンテナの性能を保持することができる。
【0046】
また、イヤホンアンテナコードを筐体内のリールに巻き取る構造の携帯電話機では、リールを配置するスペースが必要であり、筐体が大きくなってしまうが、本発明では、イヤホンアンテナコードを筐体の周囲に巻きつける構造であるため、筐体が大きくならない。また、複数の無線システムに対応する場合、例えばテレビも視聴できる携帯電話機を構成しようとした場合、従来技術ではテレビ視聴用のイヤホンアンテナ以外に別途携帯電話用のアンテナを必要とする構造であった。この場合、筐体内に組み入れる必要があるため筐体が大きくなる問題があったが、本発明では、携帯電話送受信用のアンテナエレメントをイヤホンアンテナコードに収容することによって、従来の携帯電話機が本体内に内蔵していた携帯電話送受信用のアンテナを省くことができるため、筐体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】引用文献2に記載の従来のコード巻き取り式の携帯電話機を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態による放送受信装置についての携帯電話機を例とした場合の斜視図である。
【図3】コードを固定する溝の構造を示す図である。
【図4】コードをまとめて固定する構造の一例を示す図である。
【図5】コードをまとめて固定する構造の一例を示す図である。
【図6】カバーをつけた構造を示す図である。
【図7】イヤホンジャックを本体筐体内に設けた構造を示す図である。
【図8】イヤホンアンテナコードを備えている折り畳み型の携帯電話機の例を示す図である。
【図9】基板に対するアンテナコードの配置位置を示す図である。
【図10】スライド式携帯電話機の構造を示す図である。
【図11】回転式携帯電話機の構造を示す図である。
【図12】本発明の携帯電話機の本体内部のブロック図である。
【図13】音声切り替えスイッチを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
11 電話機本体
12 スピーカ
13 マイクロホン
14,36 表示部
15 操作部
16 アンテナ
17 イヤホン
18,28 イヤホンアンテナコード
19,29 イヤホンジャック
21,31 溝
22,23 コード
24 カバー
26 イヤホン端子
27 蓋
32 基板
33 部品
34,35 外装
42 イヤホン線
43,44 アンテナエレメント
45 音声出力切替部
46 音声処理部
47 携帯電話送受信部
48 テレビ受信部
49 FMラジオ受信部
50 制御部
51 イヤホン収容検出スイッチ
52 イヤホン収容穴
53 爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力信号をイヤホンまたはスピーカに出力する音声出力切替部と、
前記イヤホンのコードを放送受信装置の筐体外周に保持する保持部と、
前記保持部に前記イヤホンのコードを保持した状態で前記イヤホンのコードをアンテナとして得た受信信号から放送を受信する放送受信部と、
を備えることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記筐体は、第1の筐体と、第1の筐体に対してスライド/回動する第2の筐体とにより構成され、前記保持部は、前記第2の筐体に有することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記第2の筐体は、2つの外装を貼り合わせた構造であって、一方の外装に表示部を有し、他方の外装に前記保持部を有することを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記イヤホンのコードを保持するときイヤホンのコードが重ならないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−150861(P2007−150861A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344133(P2005−344133)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】