説明

放電制御方法、電池パック、蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システム

【課題】常温環境下および高温環境下において、必要に応じて電池パックを放電させる。
【解決手段】電池セルの周辺温度と、電池セルの電圧とが測定され、第1の放電処理によって、周辺温度が所定温度より高く、且つ、電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで電池セルが放電され、第2の放電処理によって、周辺温度が所定温度より低く、且つ、電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで電池セルが放電される電池パックにおける放電制御方法として例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、電池パックの放電制御方法および電池パック、電池パックを使用した、蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーに代表される蓄電装置は、様々な電子機器に使用されている。電子機器に対して多く使用されているバッテリーの一つとして、リチウムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電池は、充電により繰り返して使用できる、高電圧を出力できる等の特長により幅広く使用されている。近年は、より高出力、高容量という機器の要求に対応するため、複数の電池セルを多直列や多並列接続して、組電池の形態で使用されることも増えてきている。1つの電池セルや組電池がケースに収納され、電池パックが形成される。
【0003】
電池パックが高温環境下で長時間放置されると、電池パックの膨らみやガスの発生が生じ、電池パックの性能が劣化するおそれがある。特許文献1には、高温環境下に二次電池が放置された場合に、二次電池を放電させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2961853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の記載の技術は、高温になった際にバイメタル式スイッチをオンすることで、二次電池と放電回路を電気的に接続する。バイメタル式スイッチを使用しているため、電池パックが大型化してしまう問題があった。さらに、特許文献1には、常温環境下において電池パックを放電させることについては記載されていない。
【0006】
したがって、本開示の目的の一つは、高温環境下および常温環境下において、必要に応じて放電処理を行うことができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示は、例えば、電池セルの周辺温度と、電池セルの電圧とが測定され、
第1の放電処理によって、
周辺温度が所定温度より高く、且つ、電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで電池セルが放電され、
第2の放電処理によって、
周辺温度が所定温度より低く、且つ、電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで電池セルが放電される
電池パックにおける放電制御方法である。
【0008】
本開示は、例えば、電池セルと、
電池セルの周辺温度に関する情報および電池セルの電圧に関する情報が入力される制御部と
を有し、
制御部は、
周辺温度が所定温度より高く、且つ、電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
周辺温度が所定温度より低く、且つ、電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで電池セルを放電する第2の放電処理を行う
電池パックである。
【0009】
電池セルと、
電池セルの正極側に接続される正極ラインと、
電池セルの負極側に接続される負極ラインと、
電池セルの周辺温度に関する情報および電池セルの電圧に関する情報が入力され、少なくとも、正極ラインに接続される第1の端子と、電池セルの電圧に応じてレベルの異なる制御信号が出力される第2の端子とを有する制御部と、
第2の端子と負極ラインとの間に接続される抵抗と
を有し、
制御部は、
周辺温度が所定温度より高く、且つ、電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
周辺温度が所定温度より低く、且つ、電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、電池セルの電圧が、第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで電池セルを放電する第2の放電処理を行い、
第1の放電処理および第2の放電処理が、正極ライン、第1の端子、第2の端子、抵抗および負極ラインを含む放電路に電流を流すことで実行される
電池パックである。
【0010】
例示した電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システムでもよい。
例示した電池パックに接続される電子機器に電力が供給される蓄電システムでもよい。
例示した電池パックから電力の供給を受ける電子機器でもよい。
例示した電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両でもよい。
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、電力情報送受信部が受信した情報に基づき、例示した電池パックの充放電制御を行う電力システムでもよい。
例示した電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から電池パックに電力を供給する電力システムでもよい。
【発明の効果】
【0011】
少なくとも一つの実施形態によれば、高温環境下および常温環境下において、必要に応じて放電処理を行うことができる電池パックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における電池パックの構成例を示すブロック図である。
【図2】検出電圧、復帰電圧などの設定例を説明するための略線図である。
【図3】放電処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における電池パックの構成例を示すブロック図である。
【図5】変形例における放電路を説明するための略線図である。
【図6】他の変形例における放電路を説明するための略線図である。
【図7】他の変形例における放電路を説明するための略線図である。
【図8】変形例における電池パックの構成例を示す略線図である。
【図9】電池パックの応用例を説明するためのブロック図である。
【図10】電池パックの他の応用例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
<2.第2の実施形態>
<3.変形例>
<4.応用例>
なお、本開示は、以下に説明する実施の形態等に限定されないものとする。
【0014】
<1.第1の実施形態>
「電池パックの構成」
図1は、第1の実施形態における電池パックの主要な構成の一例を示す。電池パック1において、例えば、2個の電池セルBT1、電池セルBT2(電池セルを区別する必要がないときは、電池セルBTと適宜称する)が直列に接続されている。電池セルBTは、例えば、リチウムイオン二次電池である。一つ当たりの電池セルBTの満充電電圧が、例えば、4.2V(ボルト)のリチウムイオン二次電池を用いた場合には、電池パック1の満充電電圧は8.4Vとなる。
【0015】
電池セルBTは、リチウムイオン二次電池に限られず、リチウムイオンポリマー電池などの他の二次電池でもよい。さらに、電池セルBTは2個に限られることはない。1または複数の電池セルBTを使用することができる。電池セルBTの接続形態は適宜変更できる。複数の電池セルBTが並列に接続されてもよい。複数の電池セルBTが直列に接続されたものが並列に接続されてもよい。電池セルBTの個数や接続形態は、電池パックの用途に応じて適宜、変更することができる。
【0016】
電池セルBT1の正極側と正極端子11との間には、正極ラインL1が配されている。電池セルBT2の負極側と負極端子12との間には、負極ラインL2が配されている。正極端子11および負極端子12に、電池パック1の用途に応じた外部機器(負荷)が接続される。電池パック1を充電するときは、電池パック1に充電器が接続される。
【0017】
電池パック1は、保護IC(Integrated Circuit)13を備える。保護IC13は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等が集積されたものである。なお、保護IC13は、マスクで焼き付けられた、外部からの書き込み機能がないタイプ(ROMタイプ)のICによって実現することも可能である。保護IC13は、電池セルBTの端子間電圧を測定する機能を有する。複数の電池セルBTが接続される場合は、保護IC13は、個々の電池セルBTの端子間電圧を測定する。この例では、保護IC13は、電池セルBT1の端子間電圧と電池セルBT2の端子間電圧とをそれぞれ測定する。保護IC13は、さらに、過電流検出抵抗14によって電池パック1内における過電流を検出する。
【0018】
保護IC13には、複数の端子(ピン)が形成されている。用途に応じて使用される端子が定義されている。例えば、電池セルBTの端子間電圧の検出用に使用される端子や、保護IC13が動作するための電源として使用される端子が定義されている。保護IC13は、電池セルBT1および電池セルBT2の電圧を使用して動作する。電池セルBT1および電池セルBT2の電圧が図示しないレギュレータによって変換され、保護IC13が動作するための電源電圧が生成される。生成された電源電圧が保護IC13の所定の端子に入力される。電池セルBTの電圧を使用して動作するため、例えば、電池パック1が負荷と離脱され、電池パック1が放置されても保護IC13は動作する。
【0019】
保護IC13には、正極ラインL1と接続される端子Psが形成されている。正極ラインL1と端子Ps間には、抵抗R0が接続されている。さらに、保護IC13には、端子Aが形成されている。端子Psは、端子Aの電源用の端子として使用される。電池セルBTの電圧が抵抗R0によって降圧され、所定電圧が生成される。この所定電圧が端子Aの電源とされる。なお、抵抗R0は無くてもよい。しかしながら、端子PsおよびA端子との間のスイッチング素子がショートした場合に、抵抗R0によって電流を制限できる。このため、抵抗R0を設けることが好ましい。
【0020】
保護IC13の内部において、端子Psと端子Aとの間に、図示しないスイッチング素子が接続されている。スイッチング素子は、例えば、FET(Field Effect Transistor)である。端子Psと端子Aとの間に接続されるスイッチング素子を、以下、スイッチング素子Sと称する。スイッチング素子Sがオンされることで、端子Psおよび端子Aが接続される。スイッチング素子Sがオンされると、端子Psおよび端子Aを介して、保護IC13の内部に電流を流すことができる。例えば、端子Psおよび端子Aを介して電流を流すことで電池セルBTを放電させることができる。スイッチング素子Sがオフされている状態では、端子Psと端子Aとの間に電流は流れない。
【0021】
端子Aからは、論理レベルのハイまたはローの制御信号が出力される。端子Aから出力される制御信号のレベルは、電池セルBT1や電池セルBT2の電圧に応じて切り換えられる。例えば、電池セルBT1および電池セルBT2の、少なくとも一方の電圧が所定の電圧を超えると、端子Aから出力される信号のレベルがハイレベルに切り換えられる。ハイレベルの信号が端子Aから出力される。すなわち、端子Aは、制御信号が出力される端子として使用されるとともに、電池セルBTを放電させるときの放電路として使用される。
【0022】
電池セルBT2の負極側と負極端子12との間の負極ラインL2に、充放電制御用FET15が接続されている。充放電制御用FET15が、FETでなくIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)によって構成されてもよい。充放電制御用FET15は、放電制御用FETと充電制御用FETとから構成される。例えば、電池セルBT2の負極側から、放電制御用FETおよび充電制御用FETが順に接続される。放電制御用FETのオン/オフが、保護IC13から供給される制御信号によって制御される。充電制御用FETのオン/オフが、保護IC13から供給される制御信号によって制御される。
【0023】
温度センサ16は、電池パック1(電池セルBT)の周辺温度(雰囲気温度)を測定する。電池パック1の周辺温度は、例えば、電池パック1の内部の温度である。周辺温度は、電池パック1の近傍の温度でもよい。温度センサ16としては、サーミスタ、抵抗温度センサ、半導体温度センサなどの種々のセンサを用いることができる。温度センサ16によって取得された周辺温度に関する温度情報が保護IC13に供給される。なお。温度センサ16の温度測定機能が保護IC13に組み込まれていてもよい。
【0024】
保護IC13の端子Aから導出されるラインに、デジタルトランジスタDTr20が接続されている。デジタルトランジスタDTr20は、スイッチング素子の一例であるNPN型のトランジスタTr30と、抵抗R1と、抵抗R2とを内蔵する構成とされている。
【0025】
トランジスタTr30のコレクタ側が通信端子17に接続されている。トランジスタTr30のエミッタ側が負極ラインL2に接続されている。トランジスタTr30のベース端子に、入力抵抗としての抵抗R1が接続されている。トランジスタTr30のベース−エミッタ間に対して並列になるようにして、抵抗R2が接続されている。抵抗R2の一端側が、抵抗R1とベース端子との間のラインに接続されている。抵抗R2の他端側が、トランジスタTr30のエミッタと負極ラインL2との間のラインに接続されている。後述するように、抵抗R1および抵抗R2に電流を流して放電処理を行う。このため、抵抗R1および抵抗R2の抵抗値が、通常のデジタルトランジスタの抵抗値よりやや小さく設定される。
【0026】
保護IC13の正極ライン、端子Ps、端子A、抵抗R1および抵抗R2を含む経路によって放電路が形成される。図1では、放電路の一例を点線で示している。放電時に、電流が正極ラインL1から端子Ps介して保護IC13に供給される。保護IC13に供給された電流が端子Aから出力される。端子Aから出力された電流が、抵抗R1および抵抗R2を介して負極ラインL2に供給される。負極ラインL2の放電制御用FETを電流が流れ、放電処理がなされる。
【0027】
端子Aから出力される制御信号のレベルに応じて、デジタルトランジスタDTr20がオン/オフする。例えば、端子Aからハイレベルの制御信号がトランジスタTr30のベース端子に入力されると、トランジスタTr30がオンする。トランジスタTr30がオンすることで、通信端子17の電位のレベルが例えば、ローレベルに変化し、通信端子17からはローレベルの信号が出力される。端子Aからローレベルの制御信号がトランジスタTr30のベース端子に入力されると、トランジスタTr30がオフする。トランジスタTr30がオフすることで、通信端子17の電位のレベルが例えば、ハイレベルに変化し、通信端子17からハイレベルの制御信号が出力される。
【0028】
通信端子17は、電池パック1に接続される外部機器と通信を行う端子である。外部機器は、例えば、電池パック1に対して充電を行う充電器である。電池パック1に対して充電器が接続され、充電処理が行われる。充電器は、通信端子17を介して供給される信号のレベルを監視する。通信端子17からローレベルの信号が供給された場合には、充電処理を停止する。なお、SMBus(System Management Bus)やCAN(Controller Area Network)などの規格に準じた通信を行うための通信端子が、電池パック1に設けられてもよい。
【0029】
「保護ICの機能」
保護IC13は、過充電保護機能、過放電保護機能、過電流保護機能を有する。さらに、保護IC13は、高温時における放電機能および常温時における放電機能を有する。始めに、過充電保護機能について説明する。保護IC13は、電池セルBT1および電池セルBT2の端子間の電圧を監視し、少なくとも一方の端子間電圧が所定値(例えば、4.270V)以上になった場合に、充電制御用FETをオフする。充電制御用FETをオフすることで充電電流が遮断される。この機能が過充電保護機能である。
【0030】
過放電保護機能について説明する。保護IC13は、電池セルBTの端子間の電圧を監視し、電池セルBT1および電池セルBT2の端子間の電圧を監視し、少なくとも一方の電池電圧が例えば1.5V〜2V以下の過放電状態となった場合に放電制御用FETをオフする。放電制御用FETをオフすることで、放電電流が遮断される。この機能が過放電保護機能である。
【0031】
過電流保護機能について説明する。電池の+−端子間が短絡された場合には大電流が流れてしまい、異常発熱するおそれがある。そこで、保護IC13は、過電流検出抵抗14により電流を検出し、放電電流がある電流値以上流れた場合は放電制御用FETをオフする。放電制御用FETをオフすることで放電電流が遮断される。この機能が過電流保護機能である。
【0032】
保護IC13は、温度が高温状態において電池セルBTを放電させる第1の放電処理を行う機能を有する。さらに、保護IC13は、温度が常温状態において電池セルBTを放電させる第2の放電処理を行う機能を有する。第1の放電処理および第2の放電処理の説明の前に、常温状態および高温状態を判定するための閾値の設定例と、検出電圧および復帰電圧の設定例とについて、図2を参照して説明する。図2の横軸が温度を示し、縦軸が電池セルBT1個当たりの電圧を示す。上述したように、温度は温度センサ16によって測定され、電圧は保護IC13によって測定される。なお、温度および電圧の測定は、例えば、周期的になされる。
【0033】
図2に示すように、所定温度の一例として高温検出温度TAHが設定される。高温検出温度TAHは、例えば、45℃に設定される。保護IC13は、45℃より高ければ高温状態と判定し、45℃より低ければ常温状態と判定する。さらに、他の所定温度の一例として常温復帰温度TRAHが設定される。常温復帰温度TRAHは、例えば、40℃に設定される。検出温度と復帰温度にヒステリシスを持たせることで、保護IC13の動作が不安定になることを防止できる。第1の電圧の一例として、高温放電検出電圧VAHが設定される。高温放電検出電圧VAHは、例えば、4.090Vに設定される。さらに、第2の電圧の一例として、高温放電復帰電圧VRAHが設定される。高温放電復帰電圧VRAHは、例えば、3.900Vに設定される。
【0034】
第3の電圧の一例として、常温放電検出電圧VAUが設定される。常温放電検出電圧VAUは、例えば、4.240Vに設定される。なお、上述した電池パック1の過充電保護機能が動作する電圧は、常温放電検出電圧VAUより大きい電圧(例えば、4.270V)に設定される。さらに、第4の電圧の一例として、常温放電復帰電圧VRAUが設定される。常温放電復帰電圧VRAUは、例えば、4.050Vに設定される。なお、図2に示される電圧の大小関係は一例である。例えば、上述した電圧値が設定される場合には、高温放電検出電圧VAHが常温放電復帰電圧VRAUより大きくなる。
【0035】
高温状態において、少なくとも一つ電池セルBTの電圧が高温放電検出電圧VAHより大きい場合、または、常温状態において、少なくとも一つ電池セルBTの電圧が常温放電検出電圧VAUより大きくなった場合には、保護IC13は端子Aからハイレベルの制御信号を出力する。端子Aから出力されるハイレベルの制御信号によって、デジタルトランジスタDTr20のトランジスタTr30がオンする。トランジスタTr30がオンすることで、通信端子17の電位のレベルがハイからローに変化する。通信端子17からローベルの信号が、アラーム信号として充電器に供給される。
【0036】
アラーム信号を受信した充電器が、充電処理を停止する。しかしながら、充電器の仕様や不良によって充電器がアラーム信号を認識できず、充電処理が停止されない場合がある。一般に、高温状態では、電池セルBTの電圧がやや高めになると、電池セルBTの膨らみなどが生じやすい。したがって、保護IC13は、温度が45℃より高い場合で、且つ、電池セルBTの電圧が高温放電検出電圧VAHより大きい場合に、電池セルBTが高温放電復帰電圧VRAHになるまで電池セルBTを放電させる第1の放電処理を行う。
【0037】
常温状態では、電池セルBTの電圧が高い状態でも電池セルBTの性能の劣化が生じにくい。しかしながら、例えば、電池セルBTの電圧が4.240V〜4.300Vの間まで充電されると電池セルBTの性能が劣化し、電池セルBTの寿命が低下する。常温放電検出電圧VAUを、例えば、4.240Vに設定することで、電池セルBTが4.240Vまで充電された際に、充電器に対してアラーム信号を供給することができる。しかしながら、上述したように、充電器の仕様や不良によって、電池セルBTの電圧が4.240V〜4.300V付近の範囲まで充電される場合がある。4.270Vまで充電されたときは、上述した過充電保護機能が動作するが、例えば、4.250V付近まで充電されたときは過充電保護機能が動作しない。このように、電池セルBTが例えば、4.250V付近まで充電された電池パックが常温状態に放置された場合に、電池セルBTを放電させる必要がある。
【0038】
そこで、保護IC13は、温度が45℃より小さい場合で、且つ、電池セルBTの電圧が常温放電検出電圧VAUより大きい場合に、電池セルBTが常温放電復帰電圧VRAUになるまで電池セルBTを放電させる第2の放電処理を行う。この第2の放電処理により、常温状態においても電池セルBTを放電させることができ、電池セルBTの電圧を常温放電復帰電圧VRAUまで下げることができる。
【0039】
第1および第2の放電処理を行う際には、保護IC13は、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sをオンする。このとき、例えば、放電制御用FETがオンされ、充電制御用FETがオンされる。電池セルBTからの電流が、正極ラインL1から端子Psを介して保護IC13の内部を通り、保護IC13の端子Aから出力される。そして、電流が、デジタルトランジスタDTr20の抵抗R1および抵抗R2を介して負極ラインL2に流れ込む。そして、電流が、放電制御用FETを介して電池セルBTの負極側に流れ、放電処理がなされる。
【0040】
電池セルBTの電圧が、高温放電復帰電圧VRAH 、または、常温放電復帰電圧VRAUに低下した場合は、放電処理が停止される。例えば、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sをオフすることで放電処理を停止させる。放電制御用FETをオフすることで放電処理を停止するようにしてもよい。
【0041】
なお、例えば、高温放電検出電圧VAHのみを基準として、保護IC13が放電処理行うと、電池セルBTの電圧が高温放電検出電圧VAH付近の電圧である場合に、保護IC13が出力する制御信号のレベルが頻繁に切り換わる可能性がある。さらに、保護IC13が放電を開始および停止する動作を頻繁に行うおそれがある。しかしながら、高温放電検出電圧VAHに対してヒステリシスを有する高温放電復帰電圧VRAHを設定することで、保護IC13の動作が不安定になることを防止できる。同様の理由で、常温放電検出電圧VAUに対してヒステリシスを有する常温放電復帰電圧VRAUが設定される。
【0042】
第1の放電処理および第2の放電処理は、電池パック1が充電器などの外部機器と接続された状態で行われてもよく、外部機器と離脱された状態で行われてもよい。外部機器と離脱された状態でも、電池パック1が自己放電することができる。電池パック1が自己放電するため、電池パック1の膨れやガスが発生して、電池パック1が劣化することを防止できる。例えば、電池セルBTの金属の析出などの劣化を防止できる。
【0043】
高温放電検出電圧VAHおよび常温放電検出電圧VAUを適切に設定することで、電池セルBTが膨れる前から放電処理を行うことができる。このため、電池セルBTの膨れに伴う圧力の変化を検出する素子等を必要としない。電池パック1で放電処理が完結するため、電池パック1の放電処理が外部機器の処理に依存することがない。
【0044】
電池セルBTの電圧を測定しているため、必要以上に電池セルBTを放電させてしまうことがない。例えば、常温放電復帰電圧VRAUを適切に設定することで、電池セルBTを必要以上に放電してしまうことを防止できる。
【0045】
電池パック1におけるデジタルトランジスタDTr20は小型であるため、電池パック1が大型化してしまうことを防止できる。さらに、通信を行うための既存の経路を使用して放電処理を行うようにしている。このため、放電用の回路を新たに追加する必要がない。
【0046】
「処理の流れ」
図3のフローチャートを参照して処理の流れについて説明する。図3に示す処理は、特に断らない限り、保護IC13によって行われる。なお、大小関係を示す大きい、小さいとの表記は、基準に対して以上、未満に設定される場合と、基準に対して大きい、以下に設定される場合とを含むものである。温度に関する高低関係を示す表記も同様である。
【0047】
始めに、温度センサ16によって測定された温度情報Tが保護IC13に供給される。ステップS1の処理において、温度情報Tが高温検出温度TAHより低いか否かが判定される。温度情報Tが高温検出温度TAHより高い場合は、高温状態と判定される。高温状態である場合は、処理がステップS2に進む。高温検出温度TAHより低い場合は、常温状態と判定される。常温状態である場合は、処理がステップS6に進む。
【0048】
ステップS2では、電池セルBT1の電圧V1が、高温放電検出電圧VAHより大きいか否かが判定される。また、電池セルBT2の電圧V2が、高温放電検出電圧VAHより大きいか否かが判定される。電圧V1および電圧V2の少なくとも一方の電圧が高温放電検出電圧VAHより大きい場合、例えば、高温放電検出電圧VAH以上の場合は、処理がステップS3に進む。電圧V1および電圧V2の電圧が高温放電検出電圧VAHより小さい場合は、処理がステップS1に戻る。
【0049】
ステップS3では、端子Aからハイレベルの制御信号が出力され、デジタルトランジスタDTr20がオンされる。なお、ステップS2の判定が肯定的の場合は、電池パック1が充電器に接続されているか否かに関わらず、端子Aからハイレベルの制御信号が出力するようになされている。ステップS3では、さらに、第1の放電処理がなされる。第1の放電処理は、例えば、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sがオンされる。充電制御用FETおよび放電制御用FETは、例えば、オンされる。これにより、以下に示す放電路が形成され、この放電路を電流が流れることで第1の放電処理がなされる。なお、端子Psから端子Aまでは、保護IC13の内部を電流が流れる。
【0050】
(放電路)
電池セルBT(正極側)→端子Ps→端子A→抵抗R1→抵抗R2→放電制御FET→電池セルBT(負極側)
【0051】
ステップS3において、第1の放電処理がなされる間に、ステップS4において温度情報Tの判定が並列的になされる。ステップS4では、温度情報Tが常温復帰温度TRAHより大きいか否かが判定される。温度情報Tが常温復帰温度TRAHより大きい場合は、ステップS5に進み、第1の放電動作が継続する。
【0052】
なお、ステップS4において、温度情報Tを高温検出温度TAHと比較するようにしてもよい。しかしながら、温度センサ16によって測定される温度が高温検出温度TAH付近を変動する場合は、保護IC13の動作が不安定になるおそれがある。そこで、高温検出温度TAHに対してヒステリシスをもたせた常温復帰温度TRAHを設定している。
【0053】
ステップS5では、電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより小さくなったか否かが判定される。電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより小さくなっていない場合は、処理がステップS5に戻り、第1の放電処理が継続する。電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより小さくなった場合は、第1の放電処理が終了される。例えば、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sがオフされる。放電制御用FETがオフされてもよい。これにより、上述した放電路が遮断され、電池セルBTからの放電が停止する。そして、処理がステップS1に戻る。
【0054】
なお、ステップS5において、電圧V1および電圧V2が高温放電検出電圧VAHより小さくなったか否かを判定するようにしてもよい。しかしながら、電圧V1および電圧V2が高温放電検出電圧VAH付近の電圧である場合に、保護IC13の動作が不安定になる。例えば、保護IC13がローまたはハイのレベルの制御信号を頻繁に切り換えて出力するおそれがある。これにより、通信端子17を介して接続される外部機器の動作が不安定になるおそれがある。このような状態を防止するため、高温放電検出電圧VAHに対してヒステリシスを有する高温放電復帰電圧VRAHを設定している。
【0055】
ステップS1で常温状態と判定された際の処理について説明する。ステップS6では、電池セルBT1の電圧V1が、常温放電検出電圧VAUより大きいか否かが判定される。また、電池セルBT2の電圧V2が、常温放電検出電圧VAUより大きいか否かが判定される。電圧V1および電圧V2の少なくとも一方の電圧が常温放電検出電圧VAUより大きい場合は、処理がステップS7に進む。電圧V1および電圧V2の電圧が常温放電検出電圧VAUより小さい場合は、処理がステップS1に戻る。
【0056】
ステップS7では、端子Aからハイレベルの制御信号が出力され、デジタルトランジスタDTr20がオンされる。なお、電池パック1が充電器に接続されているか否かに関わらず、ステップS6の判定が肯定的の場合は、端子Aからハイレベルの制御信号が出力するようになされている。ステップS7では、さらに、第2の放電処理がなされる。第2の放電処理は、例えば、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sがオンされる。充電制御用FETおよび放電制御用FETは、例えば、オンされる。これにより、上述した放電路が形成され、この放電路を電流が流れる。
【0057】
ステップS7において、第2の放電処理がなされる間に、ステップS8において温度情報Tの判定が並列的になされる。ステップS8の判定は、ステップS1の判定の内容と同じである。高温状態に変化していない場合、すなわち、ステップS8において肯定と判定されると処理がステップS9に進む。なお、温度情報Tが高温検出温度TAHより高い場合には、電池セルBTを迅速に放電する必要がある。このため、ステップS8では、高温検出温度TAHを基準にしている。
【0058】
ステップS9では、電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さくなったか否かが判定される。電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さくなっていない場合は、処理がステップS7に戻り、第2の放電処理が継続する。電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さくなった場合は、第2の放電処理が終了される。例えば、端子Psと端子Aとの間のスイッチング素子Sがオフされる。放電制御用FETがオフされてもよい。これにより、上述した放電路が遮断され、電池セルBTからの放電が停止する。そして、処理がステップS1に戻る。
【0059】
ステップS4の判定において、温度情報Tが常温復帰温度TRAHより高くない場合は、処理がステップS9に進む。ステップS9では、上述した処理がなされ、電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さいか否かが判定される。電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さくなっていない場合は、処理がステップS7に戻り、第2の放電処理が実行される。電圧V1および電圧V2が常温放電復帰電圧VRAUより小さい場合は、処理がステップS1に戻る。
【0060】
ステップS8の判定において、温度情報Tが高温検出温度TAHより低くない場合は、処理がステップS5に進む。ステップS5では、上述した処理がなされ、電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより小さいか否かが判定される。電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより大きい場合は、処理がステップS3に戻り、第1の放電処理が実行される。電圧V1および電圧V2が高温放電復帰電圧VRAHより小さい場合は、処理がステップS1に戻る。
【0061】
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態における電池パック2の構成例を示す。電池パック2の構成において、電池パック1と同一の構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略している。
【0062】
電池パック2は、直列に接続された4個の電池セルBT1、BT2、BT3、BT4を備える。電池パック2は、例えば、2個の保護IC18、19を備える。保護IC18が電池セルBT1および電池セルBT2の電圧を監視する。保護IC19が電池セルBT3および電池セルBT4の電圧を監視する。保護IC18および保護IC19は、それぞれ端子Psおよび端子Aを備える。
【0063】
保護IC18の端子AがデジタルトランジスタDTr21と接続されている。デジタルトランジスタDTr21には、トランジスタTr31、抵抗R3および抵抗R4が内蔵されている。トランジスタTr31のベース端子に抵抗R3が接続されている。ベース−エミッタ間に対して並列するように抵抗R4が接続されている。トランジスタTr31のコレクタ側がOR回路40に接続されている。
【0064】
保護IC19の端子AがデジタルトランジスタDTr22と接続されている。デジタルトランジスタDTr22には、トランジスタTr32、抵抗R5および抵抗R6が内蔵されている。トランジスタTr32のベース端子に抵抗R5が接続されている。ベース−エミッタ間に対して並列するように抵抗R6が接続されている。トランジスタTr32のコレクタ側がOR回路40に接続されている。
【0065】
デジタルトランジスタDTr21は、保護IC18の端子Aから出力されるハイレベルの信号によってオンされる。デジタルトランジスタDTr22は、保護IC19の端子Aから出力されるハイレベルの信号によってオンされる。少なくとも一方のデジタルトランジスタDTrがオンされたときに、OR回路40の動作に応じてローレベルの制御信号が通信端子17から出力される。
【0066】
保護IC18および保護IC19がOR回路41と接続されている。保護IC19には、過電流検出抵抗14が検出されている。保護IC19によって過電流が検出されると、保護IC19は、放電制御用FETをオフする、例えば、ローレベルの制御信号を出力する。ローレベルの制御信号がOR回路41を介して充放電制御用FET15に供給される。ローレベルの制御信号によって放電制御用FETがオフされる。
【0067】
いずれかの電池セルBTが過充電状態になると、保護IC18および保護IC19の少なくとも一方が、充電制御用FETをオフする制御信号を出力する。保護IC18および保護IC19の少なくとも一方から、例えば、ローレベルの制御信号が出力される。OR回路41によって、保護IC18および保護IC19からの出力のORが判定される。判定結果に応じた制御信号がOR回路41から出力される。すなわち、保護IC18および保護IC19の少なくとも一方から、ローレベルの制御信号が供給された場合には、OR回路41からローレベルの制御信号が出力される。出力されたローレベルの制御信号が充電制御用FETに供給される。ローレベルの制御信号により充電制御用FETがオフされ、過充電防止機能が動作する。
【0068】
第2の実施形態における電池パック2は、ブロック毎に放電処理を行うことができる。例えば、電池セルBT1および電池セルBT2によりブロック1が形成される。電池ブロックBT3および電池セルBT4によりブロック2が形成される。保護IC18は、電池セルBT1および電池セルBT2からなるブロック1に対して、上述した第1および第2の放電処理を行う。保護IC19は、電池セルBT3および電池セルBT4からなるブロック2に対して、上述した第1および第2の放電処理を行う。図4では、それぞれのブロックにおける放電路の一例を点線で示している。なお、第1および第2の放電処理の内容は、図3で説明した処理の内容と同じであるので、重複した説明は省略する。
【0069】
第2の実施形態における電池パック2は、ブロック毎に放電ができ、必要なブロックのみ放電処理を行うことができる。例えば、電池セルBTの電圧がばらついた状態で、電池パック2が高温下に放置された場合でも、必要なブロックのみを放電することが可能になる。
【0070】
<3.変形例>
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は上述した実施形態に限られることはなく、種々の変形が可能である。以下、複数の変形例について説明する。
【0071】
図5は、放電回路の第1の変形例の構成例を示す。なお、図5では図示を一部、簡略化している。図5におけるGNDは、負極ラインL2に相当する。第1の変形例では、正極ラインL1と負極ラインL2との間に、ラインL3が設けられている。ラインL3には、正極ラインL1側から、放電用の抵抗R7およびFET50が順に接続されている。抵抗R7とFET50との間に、通信端子17が接続されている。
【0072】
上述したように、第1または第2の放電処理が行われる際に、端子Aからハイレベルの制御信号が出力される。このハイレベルの制御信号によって、FET50がオンする。FET50がオンすることで、正極ラインL1を流れた電流が抵抗R7およびFET50を介して負極ラインL2に流れ、放電処理が行われる。このように、保護IC13の内部を通らない放電路を形成し、その放電路に電流を流すことで放電処理が行われるようにしてもよい。保護IC13の内部を電流が流れないため、放電路に大電流を流すことができ、電池セルBTを迅速に放電できる。
【0073】
図6は、放電回路の第2の変形例の構成例を示す。なお、図6では図示を一部、簡略化している。図6におけるGNDは、負極ラインL2に相当する。正極ラインL1と負極ラインL2との間にラインL4を設けてもよい。ラインL4には、正極ラインL1側からPNP型トランジスタTr33と放電用の抵抗R8とが順に接続されている。PNP型トランジスタTr33と抵抗R8との間に、通信端子17が接続されている。第1または第2の放電処理が行われる際は、端子Aからは、ローレベルの制御信号が出力される。ローレベルの制御信号により、PNP型トランジスタTr33がオンする。
【0074】
PNP型トランジスタTr33がオンすることで、正極ラインL1を流れた電流がPNP型トランジスタTr33および抵抗R8を介して負極ラインL2に流れ、放電処理が行われる。このように、保護IC13の内部を通らない放電路を形成し、その放電路に電流を流すことで放電処理が行われるようにしてもよい。保護IC13の内部を電流が流れないため、放電路に大電流を流すことができ、電池セルBTを迅速に放電できる。
【0075】
図7は、放電回路の第3の変形例の構成例を示す。なお、図7では図示を一部、簡略化している。図7におけるGNDは、負極ラインL2に相当する。第3の変形例は、第1の実施形態におけるデジタルトランジスタDTr20がFET51で構成され、端子AとFET51との間にプルダウン抵抗R9が接続された例である。FET51およびプルダウン抵抗R9は、それぞれ負極ラインL2に接続されている。
【0076】
第1または第2の放電処理がなされると、端子Aと端子Psとの間のスイッチング素子Sがオンされる。プルダウン抵抗R9の抵抗値を適切に設定することで、プルダウン抵抗R9に電流が流れるようにすることができる。図7において点線で示すように、正極ラインL1から流れてくる電流が端子Ps、端子Aを介して抵抗R9に流れる。このように、デジタルトランジスタDTrに内蔵される抵抗以外の抵抗に電流を流して、放電処理が行われるようにしてもよい。
【0077】
図8は、電池パックの他の変形例を示す。電池パックは直列に接続された4個の電池セルBT1、BT2、BT3、BT4を備える。電池パックにおける保護IC60は、各電池セルBTの電圧を監視する。保護IC60が行う処理は、保護IC13が行う処理と同様である。このように、電池パックが有する電池セルBTの個数は、2個に限られない。複数の電池セルBTの電圧を1個の保護ICで監視することができ、部品点数を削減することができる。
【0078】
上述した実施形態では、端子Psおよび端子Aとの間にスイッチング素子Sが設けられる構成としたが、正極ラインL1と端子Psとの間にスイッチング素子Sが設けられる構成としてもよい。上述した実施形態における放電処理では、複数の電池セルを同時に放電するようにしたが、電池セル毎に放電路を設け、放電すべき電池セルのみを個別に放電するようにしてもよい。
【0079】
本開示で例示した構成、数値などは一例であり、技術的矛盾が生じない範囲で、適宜、変更できる。上述した実施形態および変形例は、技術的矛盾が生じない範囲で適宜、組み合わせることができる。
【0080】
なお、本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
電池セルの周辺温度と、前記電池セルの電圧とが測定され、
第1の放電処理によって、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルが放電され、
第2の放電処理によって、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルが放電される
電池パックにおける放電制御方法。
(2)
前記第1の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が他の所定温度より低いか否かが判定され、
前記第2の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が前記所定温度より低いか否かが判定され、
前記他の所定温度は、前記所定温度より低い温度である(1)に記載の放電制御方法。
(3)
前記電池セルの正極側に接続される正極ラインと、
前記電池セルの負極側に接続される負極ラインと、
前記正極ラインに接続され、制御部に設けられる第1の端子と、
前記電池セルの電圧に応じてレベルの異なる制御信号が出力され、前記制御部に設けられる第2の端子と、
前記第2の端子と前記負極ラインとの間に接続される抵抗と
を含む放電路に電流を流すことで、前記第1の放電処理および前記第2の放電処理が実行される(1)または(2)に記載の放電制御方法。
(4)
電池セルと、
前記電池セルの周辺温度に関する情報および前記電池セルの電圧に関する情報が入力される制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルを放電する第2の放電処理を行う
電池パック。
(5)
前記制御部は、
前記第1の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が他の所定温度より低いか否かを判定し、
前記第2の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が前記所定温度より低いか否かを判定し、
前記他の所定温度は、前記所定温度より低い温度である(4)に記載の電池パック。
(6)
電池セルと、
前記電池セルの正極側に接続される正極ラインと、
前記電池セルの負極側に接続される負極ラインと、
前記電池セルの周辺温度に関する情報および前記電池セルの電圧に関する情報が入力され、少なくとも、前記正極ラインに接続される第1の端子と、前記電池セルの電圧に応じてレベルの異なる制御信号が出力される第2の端子とを有する制御部と、
前記第2の端子と前記負極ラインとの間に接続される抵抗と
を有し、
前記制御部は、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルを放電する第2の放電処理を行い、
前記第1の放電処理および前記第2の放電処理が、前記正極ライン、前記第1の端子、前記第2の端子、前記抵抗および前記負極ラインを含む放電路に電流を流すことで実行される
電池パック。
(7)
前記抵抗がスイッチング素子に内蔵される抵抗である(6)に記載の電池パック。
(8)
前記スイッチング素子が、第1の抵抗と、第2の抵抗と、トランジスタとを含むデジタルトランジスタであり、
前記第1の抵抗が、前記第2の端子と前記トランジスタのベース端子との間に接続され、
前記第2の抵抗が、前記トランジスタのベース−エミッタ間に対して並列に接続される(7)に記載の電池パック。
(9)
(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
(10)
(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックを有し、前記電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
(11)
(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
(12)
(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
(13)
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
(14)
(4)乃至(8)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。
【0081】
<4.応用例>
以下、電池パックの応用例について説明する。但し、電池パックの応用例は、以下に説明する応用例に限られることはない。
【0082】
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本開示の電池パックを住宅用の蓄電システムに適用した例について、図9を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0083】
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池、風車等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。電動車両106は、電動アシスト自転車等でもよい。
【0084】
蓄電装置103は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン二次電池によって構成されている。リチウムイオン二次電池は、定置型であっても、電動車両106で使用されるものでもよい。この蓄電装置103に対して、上述した電池パックが適用可能とされる。スマートメータ107は、商用電力の使用量を検出し、検出された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
【0085】
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0086】
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インタフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0087】
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていてもよい。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されてもよい。
【0088】
各部を制御する制御装置110は、CPU、RAM、ROM等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種センサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていてもよい。
【0089】
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102c等の集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0090】
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0091】
「応用例としての車両における蓄電システム」
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図10を参照して説明する。図22に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0092】
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本開示の蓄電システムが適用される。蓄電システムが1または複数適用される。
【0093】
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0094】
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
【0095】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
【0096】
バッテリー208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0097】
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0098】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
1・・・電池パック
BT・・・電池セル
13・・・保護IC
16・・・温度センサ
DTr20・・・デジタルトランジスタ
Tr30・・・トランジスタ
R1、R2・・・抵抗
L1・・・正極ライン
L2・・・負極ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの周辺温度と、前記電池セルの電圧とが測定され、
第1の放電処理によって、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルが放電され、
第2の放電処理によって、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルが放電される
電池パックにおける放電制御方法。
【請求項2】
前記第1の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が他の所定温度より低いか否かが判定され、
前記第2の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が前記所定温度より低いか否かが判定され、
前記他の所定温度は、前記所定温度より低い温度である請求項1に記載の放電制御方法。
【請求項3】
前記電池セルの正極側に接続される正極ラインと、
前記電池セルの負極側に接続される負極ラインと、
前記正極ラインに接続され、制御部に設けられる第1の端子と、
前記電池セルの電圧に応じてレベルの異なる制御信号が出力され、前記制御部に設けられる第2の端子と、
前記第2の端子と前記負極ラインとの間に接続される抵抗と
を含む放電路に電流を流すことで、前記第1の放電処理および前記第2の放電処理が実行される請求項1に記載の放電制御方法。
【請求項4】
電池セルと、
前記電池セルの周辺温度に関する情報および前記電池セルの電圧に関する情報が入力される制御部と
を有し、
前記制御部は、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルを放電する第2の放電処理を行う
電池パック。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が他の所定温度より低いか否かを判定し、
前記第2の放電処理がなされる間に、前記周辺温度が前記所定温度より低いか否かを判定し、
前記他の所定温度は、前記所定温度より低い温度である請求項4に記載の電池パック。
【請求項6】
電池セルと、
前記電池セルの正極側に接続される正極ラインと、
前記電池セルの負極側に接続される負極ラインと、
前記電池セルの周辺温度に関する情報および前記電池セルの電圧に関する情報が入力され、少なくとも、前記正極ラインに接続される第1の端子と、前記電池セルの電圧に応じてレベルの異なる制御信号が出力される第2の端子とを有する制御部と、
前記第2の端子と前記負極ラインとの間に接続される抵抗と
を有し、
前記制御部は、
前記周辺温度が所定温度より高く、且つ、前記電池セルの電圧が第1の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第1の電圧より小さい第2の電圧になるまで前記電池セルを放電する第1の放電処理を行い、
前記周辺温度が前記所定温度より低く、且つ、前記電池セルの電圧が第3の電圧より大きい場合には、前記電池セルの電圧が、前記第3の電圧より小さい第4の電圧になるまで前記電池セルを放電する第2の放電処理を行い、
前記第1の放電処理および前記第2の放電処理が、前記正極ライン、前記第1の端子、前記第2の端子、前記抵抗および前記負極ラインを含む放電路に電流を流すことで実行される
電池パック。
【請求項7】
前記抵抗がスイッチング素子に内蔵される抵抗である請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記スイッチング素子が、第1の抵抗と、第2の抵抗と、トランジスタとを含むデジタルトランジスタであり、
前記第1の抵抗が、前記第2の端子と前記トランジスタのベース端子との間に接続され、
前記第2の抵抗が、前記トランジスタのベース−エミッタ間に対して並列に接続される請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
請求項4に記載の電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
【請求項10】
請求項4に記載の電池パックを有し、前記電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システム。
【請求項11】
請求項4に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
【請求項12】
請求項4に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
【請求項13】
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部を有し、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、請求項4に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
【請求項14】
請求項4に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94006(P2013−94006A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235838(P2011−235838)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】