説明

放電灯点灯装置及び照明器具

【課題】放電灯に直流のバイアス電圧を適切なタイミングで供給し、放電灯の点灯中に発生する移動縞を防止する。
【解決手段】放電灯点灯装置10の直流電圧回路23は、スイッチング回路14が有する1対のスイッチング素子Q1,Q2同士の接続点x2から高周波矩形波電圧V2を入力する。直流電圧回路23は、入力した高周波矩形波電圧V2から直流のバイアス電圧V3を生成する。そして、直流電圧回路23は、生成したバイアス電圧V3をランプ22と直列共振回路15の結合コンデンサC1との接続点x4に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置及び照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な蛍光灯を連続的に調光させる調光方式では、放電灯点灯装置に、外部からパルス幅変調(PWM)による調光信号を入力する。放電灯点灯装置の直流変換回路は、この調光信号をPWMのデューティ比に応じた直流電圧信号に変換する。放電灯点灯装置の周波数制御回路は、この直流電圧信号の変化に応じて放電灯点灯装置のスイッチング回路の発振周波数を変更して、蛍光灯を調光させる。
【0003】
蛍光灯を調光させると、蛍光灯に移動縞が発生することが知られている。移動縞とは、アルゴンやクリプトンのような原子量の大きな不活性ガスを含む蛍光灯を点灯させた場合に、蛍光灯の管壁に縞状の帯が発生し、その帯が移動して見える現象のことをいう。移動縞は、蛍光灯を低温でより暗くなるように調光させた場合に発生しやすい。移動縞を防止する方法としては、正負が対称になっている高周波電流で点灯している蛍光灯に直流バイアス電流を印加する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的な方法としては、放電灯点灯装置のスイッチング回路と直流電源(例えば、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換する回路)の接続点から抵抗を介して蛍光灯に直流バイアス電流を印加する方法がある。この方法によれば、回路が簡素化でき、放電灯点灯装置が安価にでき、部品点数も少なくて済む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−34592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、放電灯点灯装置は、ランプの有無を判定し、ランプがないときはスイッチング回路や昇圧回路(直流電源の一部)を起動させない機能を有した起動判定回路、また、ランプの寿命末期におけるランプ異常を検出する保護回路等を備えている。起動判定回路は、スイッチング回路と直流電源の接続点→抵抗→チョークコイル→ランプの一方のフィラメント→抵抗→ランプの他方のフィラメント→抵抗のループに接続される。起動判定回路は、そのループに流れる電流を測定してランプの有無を判定し、判定結果に応じて放電灯点灯装置の各回路を制御する。具体的には、フィラメントがない(ランプがない)場合、起動判定回路は、ループに電流が流れないことを検出するため、ランプがないと判定し、各回路を起動させない。一方、フィラメントがある(ランプがある)場合、起動判定回路は、ループに電流が流れたことを検出するため、ランプがあると判定し、各回路を起動させる。
【0006】
従来の放電灯点灯装置では、移動縞を防止するために、スイッチング回路と直流電源の接続点からランプに直流バイアス電流を直接供給しており、例えば電源が投入されてスイッチング回路が動作し始めるまでの間も上記ループに直流バイアス電流を供給していた。よって、ランプの有無に関わらず、上記ループに電流が流れるため、起動判定回路は、ランプがない場合でもスイッチング回路を起動してしまうという課題があった。また、ランプがない状態でスイッチング動作を継続すると、場合によっては放電灯点灯装置が故障してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、例えば、放電灯に直流のバイアス電圧を適切なタイミングで供給し、放電灯の点灯中に発生する移動縞を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様に係る放電灯点灯装置は、
直流電源から出力される直流電圧をスイッチング素子でスイッチングすることにより高周波交流電圧に変換して当該高周波交流電圧を放電灯に印加するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路がスイッチング動作を開始した時点以後の所定の時点から、直流のバイアス電圧を前記放電灯に供給する直流電圧回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一の態様によれば、放電灯に直流のバイアス電圧を適切なタイミングで供給し、放電灯の点灯中に発生する移動縞を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る放電灯点灯装置の回路図である。
【図2】実施の形態1に係る放電灯点灯装置の各部の出力波形図である。
【図3】実施の形態1に係る照明器具の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2に係る放電灯点灯装置の回路図である。
【図5】実施の形態3に係る放電灯点灯装置の回路図である。
【図6】実施の形態4に係る放電灯点灯装置の回路図である。
【図7】実施の形態4に係る放電灯点灯装置の各部の出力波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置10の回路図である。
【0013】
図1において、放電灯点灯装置10は、整流回路11、昇圧回路12、平滑回路13、スイッチング回路14、直列共振回路15(負荷回路)、周波数制御回路17、直流変換回路19、制御回路20、起動判定回路21、直流電圧回路23を備える。
【0014】
整流回路11、昇圧回路12、平滑回路13は、直流電源を構成している。直流電源は、直流電圧を出力する。具体的には、整流回路11が、商用電源ACから入力される交流電圧を全波整流して脈流電圧を生成する。昇圧回路12が、この脈流電圧を昇圧して、高電圧の脈流電圧を生成する。平滑回路13が、この高電圧の脈流電圧を平滑して、直流電圧を生成し、当該直流電圧を出力する。整流回路11は、例えばダイオードブリッジで構成される。昇圧回路12は、例えばチョークコイル、スイッチング素子、ダイオード、及び、スイッチング素子を制御する昇圧制御回路16等で構成される。平滑回路13は、例えばコンデンサで構成される。
【0015】
スイッチング回路14は、直流電源(具体的には、平滑回路13)から出力される直流電圧をスイッチング素子Q1,Q2でスイッチングすることにより高周波交流電圧に変換して当該高周波交流電圧を直列共振回路15に印加する。この高周波交流電圧は、直列共振回路15にランプ22(放電灯)が接続されていれば、ランプ22に印加される。スイッチング回路14は、例えば1対のスイッチング素子Q1,Q2で構成されたハーフブリッジ型スイッチング回路である。スイッチング素子Q1,Q2は、例えばMOSFETである。スイッチング素子Q1のドレイン端子は、接続点x1に接続されている。接続点x1には、ほかに平滑回路13の高電位側端子と起動抵抗R1が接続されている。スイッチング素子Q1のソース端子は、接続点x2に接続されている。接続点x2には、ほかにスイッチング素子Q2のドレイン端子と直列共振回路15の高電位側端子が接続されている。スイッチング素子Q2のソース端子は、接続点x3に接続されている。接続点x3には、ほかに平滑回路13の低電位側端子と直列共振回路15の低電位側端子が接続されている。スイッチング素子Q1のゲート端子及びスイッチング素子Q2のゲート端子は、それぞれ周波数制御回路17に接続されている。
【0016】
直列共振回路15は、スイッチング回路14から高周波交流電圧が印加されると、ランプ22を点灯させる。直列共振回路15は、例えばチョークコイルL1、結合コンデンサC1、始動用コンデンサC2等で構成される。チョークコイルL1は、ランプ22の点灯時にランプ22を流れる電流を制限する。チョークコイルL1は、一端がスイッチング回路14の高電位側端子(接続点x2)に接続され、他端がランプ22のフィラメントf1に接続されている。結合コンデンサC1は、スイッチング回路14から印加される高周波交流電圧の直流成分をカットする。結合コンデンサC1は、一端がスイッチング回路14の低電位側端子(接続点x3)に接続され、他端がランプ22のフィラメントf2に接続されている。始動用コンデンサC2は、チョークコイルL1との共振により、始動時にランプ22に印加する高電圧を生成する。始動用コンデンサC2は、一端がランプ22のフィラメントf1に接続され、他端がランプ22のフィラメントf2に接続されている。このように、チョークコイルL1及び結合コンデンサC1は、ランプ22と直列に接続され、始動用コンデンサC2は、ランプ22と並列に接続されている。
【0017】
周波数制御回路17は、スイッチング素子Q1,Q2を制御する。具体的には、周波数制御回路17は、制御回路20からの指令に基づいて、スイッチング素子Q1,Q2を交互にオン/オフするドライブ信号を出力する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2同士の接続点x2に高周波交流電圧が発生する。この高周波交流電圧の周波数は、周波数制御回路17が出力するドライブ信号の周波数と同じである。よって、周波数制御回路17が出力するドライブ信号の周波数を変えることにより、スイッチング回路14が生成する高周波交流電圧の周波数を制御することができる。
【0018】
前述したように、スイッチング回路14の接続点x1には、起動抵抗R1の一端が接続されている。起動抵抗R1の他端は、直列共振回路15の高電位側端子に直接接続されている。直列共振回路15では、始動用コンデンサC2と同様に、起動抵抗R2がランプ22と並列に接続されている。また、結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4には、起動抵抗R3の一端が接続されている。起動抵抗R3の他端は、起動判定回路21に接続されている。直列共振回路15にランプ22が接続されている場合、商用電源ACを投入すると、起動抵抗R1→チョークコイルL1→ランプ22のフィラメントf1→起動抵抗R2→ランプ22のフィラメントf2→起動抵抗R3の順に電流が流れる。
【0019】
起動判定回路21は、起動抵抗R3に流れる電流を測定してランプ22の有無を判定する。起動抵抗R3に電流が流れれば、起動判定回路21は、ランプ22があると判定し、制御回路20を起動させる。一方、起動抵抗R3に電流が流れなければ、起動判定回路21は、ランプ22がないと判定し、何もしない。
【0020】
直流変換回路19は、外部からPWMによる調光信号18が入力されると、この調光信号18をPWMのデューティ比に応じた直流電圧信号に変換して出力する。
【0021】
制御回路20は、起動すると、昇圧制御回路16や周波数制御回路17へ起動するよう指令する起動信号を出力する。これにより、周波数制御回路17がスイッチング回路14のスイッチング素子Q1,Q2を交互にオン/オフするスイッチング動作が開始し、ランプ22が点灯する。また、制御回路20は、直流変換回路19から出力される直流電圧信号の変化に応じて周波数制御回路17へスイッチング回路14の発振周波数を指令する。これにより、周波数制御回路17がスイッチング回路14の発振周波数を変化させ、ランプ22が調光する。直流変換回路19に調光信号18が連続的又は段階的に入力されれば、この調光信号18に応じた直流電圧信号が制御回路20に連続的又は段階的に入力される。そして、制御回路20がスイッチング回路14の発振周波数を連続的又は段階的に変化させることで、ランプ22を連続的又は段階的に調光させることができる。
【0022】
直流電圧回路23は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始した時点以後の所定の時点から、直流のバイアス電圧を結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に印加する。このバイアス電圧は、ランプ22に供給される。本実施の形態では、直流電圧回路23は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始した時点と略同時に、直流のバイアス電圧の供給を開始する。直流電圧回路23は、例えばコンデンサC3,C4、ダイオードD1,D2で構成される。コンデンサC3は、一端がスイッチング回路14の高電位側端子(接続点x2)に接続され、他端が接続点x5に接続されている。ダイオードD1は、アノード端子が接続点x5に接続され、カソード端子が接続点x6に接続されている。コンデンサC4は、一端が接続点x6に接続され、他端がスイッチング回路14の低電位側端子(接続点x3)に接続されている。ダイオードD2は、アノード端子がスイッチング回路14の低電位側端子(接続点x3)に接続され、カソード端子が接続点x5に接続されている。接続点x6には、ダイオードD1のカソード端子とコンデンサC4のほかに抵抗R4の一端が接続されている。抵抗R4の他端は、結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に接続されている。
【0023】
図2は、放電灯点灯装置10の各部の出力波形図である。
【0024】
図2において、商用電源ACが投入されると、商用電源ACから交流電圧Vacが出力される。交流電圧Vacは整流回路11、昇圧回路12、平滑回路13を経て直流電圧(電源電圧V1)に変換され、スイッチング回路14の接続点x1にて電源電圧V1が発生する。これにより、起動抵抗R1→チョークコイルL1→ランプ22のフィラメントf1→起動抵抗R2→ランプ22のフィラメントf2→起動抵抗R3の順に起動判定電流I2が流れる。起動判定電流I2は起動判定回路21で検出され、これが起動判定閾値を超えると、制御回路20が起動する。制御回路20は周波数制御回路17を制御することにより、スイッチング回路14にスイッチング動作を開始させる。スイッチング回路14がスイッチング動作を開始すると、スイッチング回路14の接続点x2にて電源電圧V1をピーク電圧とする高周波交流電圧(高周波矩形波電圧V2)が発生する。直流電圧回路23では、高周波矩形波電圧V2がコンデンサC3,C4で分圧・平滑され、接続点x6にて直流のバイアス電圧(出力電圧)V3(図示していない)が発生する。これにより、直流電圧回路23から抵抗R4を介して結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に直流バイアス電流I1が流れる。直流バイアス電流I1はそのままランプ22に供給され、ランプ22の放電電流の正負が非対称となる。そのため、ランプ22における移動縞の発生が防止できる。
【0025】
直流電圧回路23の出力電圧V3は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始して初めて発生する。よって、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始しない限り直流バイアス電流I1はランプ22に印加されない。そのため、ランプ22がない場合には、起動判定回路21に起動判定閾値を超える電流が流れず、制御回路20や周波数制御回路17は動作しない。したがって、ランプ22がない状態でスイッチング動作を継続することにより放電灯点灯装置10が故障するという懸念がなくなる。
【0026】
図3は、本実施の形態に係る照明器具50の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図3において、照明器具50は、放電灯点灯装置10のほか、放電灯点灯装置10に接続された電源端子台51及びランプソケット52を備えている。電源端子台51は、外部の商用電源ACとつながる電力線53に接続されている。ランプソケット52は、ランプ22を着脱可能である。放電灯点灯装置10は、電源端子台51を介して商用電源ACにより給電され、ランプソケット52に取り付けられたランプ22の点灯制御及び調光制御を行う。つまり、放電灯点灯装置10は、ランプ22に電力を供給することによりランプ22を点灯させる。また、放電灯点灯装置10は、ランプ22に供給する電力を変化させることによりランプ22の調光を行う。
【0028】
前述したように、本実施の形態において、放電灯点灯装置10の直流電圧回路23は、スイッチング回路14が有する1対のスイッチング素子Q1,Q2同士の接続点x2から高周波矩形波電圧V2(高周波交流電圧)を入力する。直流電圧回路23は、入力した高周波矩形波電圧V2から直流のバイアス電圧V3を生成する。そして、直流電圧回路23は、生成したバイアス電圧V3をランプ22と直列共振回路15の結合コンデンサC1との接続点x4に印加する。これにより、ランプ22に直流のバイアス電圧V3を適切なタイミングで供給し、ランプ22の点灯中に発生する移動縞を防止することが可能となる。つまり、本実施の形態によれば、ランプ22の点灯中に発生する移動縞を防止しつつ、そのための直流電圧回路23を、ランプ22の有無の判定や起動検出等、放電灯点灯装置10の他の機能に影響しない回路とすることができる。
なお、本実施の形態について、スイッチング回路14が1対のスイッチング素子Q1,Q2を備えるハーフブリッジ方式の場合を説明したが、スイッチング回路14は、一石式やフルブリッジ方式であってもよい。
【0029】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0030】
図4は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置10の回路図である。
【0031】
図4において、直流電圧回路23は、例えば抵抗R5,R6、コンデンサC5で構成される。抵抗R5は、一端がスイッチング回路14の高電位側端子(接続点x2)に接続され、他端が接続点x7に接続されている。抵抗R6は、一端が接続点x7に接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサC5は、一端が接続点x7に接続され、他端がグランドに接続されている。つまり、コンデンサC5は、抵抗R6と並列に接続されている。接続点x7には、抵抗R5,R6とコンデンサC5のほかに抵抗R4の一端が接続されている。抵抗R4の他端は、実施の形態1と同様に、結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に接続されている。
【0032】
本実施の形態においても、直流電圧回路23では、高周波矩形波電圧V2がコンデンサC5によって平滑され、接続点x7にて直流のバイアス電圧V3が発生する。よって、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0033】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置10の回路図である。
【0035】
図5において、直流電圧回路23(具体的には、コンデンサC3)は、直列共振回路15のチョークコイルL1とランプ22のフィラメントf1との接続点x8に接続されている。
【0036】
本実施の形態において、放電灯点灯装置10の直流電圧回路23は、ランプ22と直列共振回路15のチョークコイルL1との接続点x8から高周波矩形波電圧V2(高周波交流電圧)を入力する。直流電圧回路23は、入力した高周波矩形波電圧V2からバイアス電圧V3を生成する。そして、直流電圧回路23は、生成したバイアス電圧V3をランプ22と直列共振回路15の結合コンデンサC1との接続点x4に印加する。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0037】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0038】
図6は、本実施の形態に係る放電灯点灯装置10の回路図である。
【0039】
図6において、放電灯点灯装置10は、時定数回路24、定電圧ダイオードDZ1を備える。本実施の形態において、時定数回路24及び定電圧ダイオードDZ1は、実施の形態1における直流電圧回路23の代わりに、直流電圧回路を構成している。
【0040】
時定数回路24は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始した時点から一定の時間(時定数)が経過した後、直流電源(具体的には、平滑回路13)から出力される直流電圧から直流のバイアス電圧を生成して結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に印加する。このバイアス電圧は、ランプ22に供給される。時定数回路24は、例えば抵抗R7、コンデンサC6で構成される。抵抗R7は、一端がスイッチング回路14の接続点x1に接続され、他端が接続点x8に接続されている。コンデンサC6は、一端が接続点x8に接続され、他端がグランドに接続されている。接続点x8には、抵抗R7とコンデンサC6のほかに定電圧ダイオードDZ1のカソード端子が接続されている。定電圧ダイオードDZ1のアノード端子は、抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は、実施の形態1と同様に、結合コンデンサC1とランプ22のフィラメントf2との接続点x4に接続されている。
【0041】
図7は、放電灯点灯装置10の各部の出力波形図である。
【0042】
図7において、商用電源ACが投入されると、商用電源ACから交流電圧Vacが出力される。実施の形態1と同様に、交流電圧Vacは整流回路11、昇圧回路12、平滑回路13を経て直流電圧(電源電圧V1)に変換され、スイッチング回路14の接続点x1にて電源電圧V1が発生する。これにより、起動抵抗R1→チョークコイルL1→ランプ22のフィラメントf1→起動抵抗R2→ランプ22のフィラメントf2→起動抵抗R3の順に起動判定電流I2が流れる。起動判定電流I2は起動判定回路21で検出され、これが起動判定閾値を超えると、制御回路20が起動する。制御回路20は周波数制御回路17を制御することにより、スイッチング回路14にスイッチング動作を開始させる。一方、時定数回路24には、接続点x8に発生する出力電圧V4が電源電圧V1の立ち上がり電圧と比較して徐々に上昇するように時定数が設定されている。時定数回路24の出力電圧V4が定電圧ダイオードDZ1のツェナー電圧を超えるまで抵抗R4側に電流は流れないため、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始しても一定の時間T1はランプ22に直流バイアス電流I1が印加されない。そのため、ランプ22がない場合には、起動判定回路21に起動判定閾値を超える電流が流れず、制御回路20や周波数制御回路17は動作しない。したがって、ランプ22がない状態でスイッチング動作を継続することにより放電灯点灯装置10が故障するという懸念がなくなる。
【0043】
なお、時定数回路24の時定数は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始した時点又はその時点の後に直流バイアス電流I1の印加が開始されるような時間であれば、どのような時間に設定されていてもよい。
【0044】
本実施の形態において、放電灯点灯装置10の直流電圧回路は、スイッチング回路14がスイッチング動作を開始した時点から一定の時間T1が経過した後、直流電源から出力される電源電圧V1(直流電圧)を定電圧ダイオードDZ1により一定の電圧に変換することで直流のバイアス電圧を生成する。そして、直流電圧回路は、生成したバイアス電圧をランプ22と直列共振回路15の結合コンデンサC1との接続点x4に印加する。これにより、ランプ22に直流のバイアス電圧を適切なタイミングで供給し、ランプ22の点灯中に発生する移動縞を防止することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0046】
10 放電灯点灯装置、11 整流回路、12 昇圧回路、13 平滑回路、14 スイッチング回路、15 直列共振回路、16 昇圧制御回路、17 周波数制御回路、18 調光信号、19 直流変換回路、20 制御回路、21 起動判定回路、22 ランプ、23 直流電圧回路、24 時定数回路、50 照明器具、51 電源端子台、52 ランプソケット、53 電力線、AC 商用電源、C1 結合コンデンサ、C2 始動用コンデンサ、C3,C4,C5,C6 コンデンサ、D1,D2 ダイオード、DZ1 定電圧ダイオード、f1,f2 フィラメント、I1 直流バイアス電流、I2 起動判定電流、L1 チョークコイル、Q1,Q2 スイッチング素子、R1,R2,R3 起動抵抗、R4,R5,R6,R7 抵抗、V1 電源電圧、V2 高周波矩形波電圧、Vac 交流電圧、x1,x2,x3,x4,x5,x6,x7,x8 接続点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から出力される直流電圧をスイッチング素子でスイッチングすることにより高周波交流電圧に変換して当該高周波交流電圧を放電灯に印加するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路がスイッチング動作を開始した時点以後の所定の時点から、直流のバイアス電圧を前記放電灯に供給する直流電圧回路とを備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記直流電圧回路は、前記スイッチング回路により印加される高周波交流電圧から前記バイアス電圧を生成して前記放電灯に供給することを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記放電灯と直列に接続される結合コンデンサを有する負荷回路を備え、
前記直流電圧回路は、前記スイッチング回路から前記高周波交流電圧を入力し、入力した高周波交流電圧から前記バイアス電圧を生成し、生成したバイアス電圧を前記放電灯と前記負荷回路の結合コンデンサとの接続点に印加することを特徴とする請求項2に記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記放電灯と直列に接続されるチョークコイルと結合コンデンサとを有する負荷回路を備え、
前記直流電圧回路は、前記放電灯と前記負荷回路のチョークコイルとの接続点から前記高周波交流電圧を入力し、入力した高周波交流電圧から前記バイアス電圧を生成し、生成したバイアス電圧を前記放電灯と前記負荷回路の結合コンデンサとの接続点に印加することを特徴とする請求項2に記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記直流電圧回路は、前記スイッチング回路がスイッチング動作を開始した時点から一定の時間が経過した後、前記直流電源から出力される直流電圧から前記バイアス電圧を生成して前記放電灯に供給することを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記放電灯点灯装置は、さらに、
前記放電灯と直列に接続される結合コンデンサを有する負荷回路を備え、
前記直流電圧回路は、前記スイッチング回路がスイッチング動作を開始した時点から一定の時間が経過した後、前記直流電源から出力される直流電圧を定電圧ダイオードにより一定の電圧に変換することで前記バイアス電圧を生成し、生成したバイアス電圧を前記放電灯と前記負荷回路の結合コンデンサとの接続点に印加することを特徴とする請求項5に記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の放電灯点灯装置と、
前記放電灯点灯装置に接続され、外部からの電力線に接続される電源端子台と、
前記放電灯点灯装置に接続され、前記放電灯が取り付けられるランプソケットとを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−138719(P2011−138719A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299219(P2009−299219)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】