説明

放電灯点灯装置

【課題】 外部からの輻射ノイズに強く且つ小型化が容易な放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】 直流電力が入力され電圧を変換して出力するDC−DCコンバータ回路1と、DC−DCコンバータ回路1が出力した直流電力を交流電力に変換して放電灯Laに供給するインバータ回路2と、ランプ電流とランプ電圧とに基いてDC−DCコンバータ回路1を制御する制御回路5とを備える。制御回路5は、電源電圧の変動が所定範囲内であって且つランプ電流の変動が所定範囲外であるとき、ランプ電流の検出値が電磁ノイズの影響を受けていると判定し、ランプ電流やランプ電圧を制御に用いない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図7に示すような放電灯点灯装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この放電灯点灯装置は、直流電源Eを電源とし放電灯Laを点灯させる電力を生成する点灯回路INと、放電灯Laの始動時に必要な高電圧を発生させる始動回路IGと、放電灯Laから始動回路IGへの伝導ノイズを低減するフィルタ回路FIとを有する。フィルタ回路には、コモンモードチョークLやアクロスザラインコンデンサCが用いられていた。
【特許文献1】特開平9−129379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来構成では、放電灯Laで発生する伝導ノイズに関しては始動回路IGや点灯回路INを保護する効果はあるものの、外部からの輻射ノイズにはあまり効果がなかった。
【0004】
外部からの輻射ノイズを防ぐ方法としては、従来から金属製のシールド板で覆うという方法が用いられているが、この方法で高い効果を得ようとすると大型化を招き易いという問題があった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、外部からの輻射ノイズにも強く且つ大型化を招きにくい放電灯点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、直流電力が入力され電圧を変換して出力するDC−DCコンバータ回路と、DC−DCコンバータ回路が出力した直流電力を交流電力に変換して放電灯に供給するインバータ回路と、ランプ電流を検出するランプ電流検出手段と、ランプ電圧を検出するランプ電圧検出手段と、DC−DCコンバータ回路を制御する制御回路と、DC−DCコンバータ回路とインバータ回路と制御回路とのいずれかにおいて検出される第1の電気的変量を検出する第1の検出手段と、DC−DCコンバータ回路とインバータ回路と制御回路とのいずれかにおいて検出される電気的変量であって第1の電気的変量とは異なり且つ混入した電磁ノイズの影響を受ける第2の電気的変量を検出する第2の検出手段と、第1の電気的変量の変動が所定の第1範囲内であって且つ第2の電気的変量の変動が所定の第2範囲外であるときに電磁ノイズの混入を検出するノイズ検出手段とを備え、制御回路は、少なくともノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときには、ランプ電流検出手段によって検出されたランプ電流とランプ電圧検出手段によって検出されたランプ電圧とに基いてDC−DCコンバータ回路を制御し、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときよりも電磁ノイズの影響を受けにくい動作を行うことを特徴とする。ここで、電磁ノイズの影響を受けにくい動作とは、電磁ノイズの影響を受けている可能性のあるパラメータを制御に用いず、又は電磁ノイズの影響を受けるパラメータを用いる制御の範囲を限定し、又は電磁ノイズの影響で起こり得る異常動作から復帰させる動作である。
【0007】
この発明によれば、ノイズ検出手段で電磁ノイズの混入が検出されたときには、より電磁ノイズの影響を受けにくい動作を行うことにより、外部からの輻射ノイズにも強くなる。また、大型の部品を追加する必要がないから、大型化を招きにくい。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1の検出手段は第1の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路に入力される電源電圧を検出し、第2の検出手段は第2の電気的変量としてランプ電流を検出し、DC−DCコンバータ回路はスイッチング・コンバータからなり、制御回路は、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときには、ランプ電流検出手段によって検出されたランプ電流とランプ電圧検出手段によって検出されたランプ電圧とに基いてDC−DCコンバータ回路のスイッチング素子をオンオフするデューティ比を制御し、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、前記デューティ比を予め決定された一定の値とすることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、電磁ノイズの混入が検出されたときにはランプ電流やランプ電圧の検出値が制御に反映されないので、電磁ノイズの影響でDC−DCコンバータ回路の制御を大きく誤ることがないから、放電灯の立ち消えや、回路部品に過大な負荷をかけるといったことを起こしにくい。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、第1の検出手段は第1の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路に入力される電源電圧を検出し、第2の検出手段は第2の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路への入力電流を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、制御回路は、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されているときには、予め決定された値に基いてDC−DCコンバータ回路を制御することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、電磁ノイズの混入が検出されたときにはランプ電流やランプ電圧の検出値がDC−DCコンバータ回路の制御に反映されないので、電磁ノイズの影響でDC−DCコンバータ回路の制御を大きく誤ることがないから、放電灯の立ち消えや、回路部品に過大な負荷をかけるといったことを起こしにくい。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、制御回路は、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されているときには、過去に検出されたランプ電流及びランプ電圧に基いてDC−DCコンバータ回路を制御することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、電磁ノイズの混入が検出されたときのランプ電流やランプ電圧の検出値がDC−DCコンバータ回路の制御に反映されないので、電磁ノイズの影響でDC−DCコンバータ回路の制御を大きく誤ることがないから、放電灯の立ち消えや、回路部品に過大な負荷をかけるといったことを起こしにくい。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1の発明において、DC−DCコンバータ回路はスイッチング・コンバータからなり、制御回路は、DC−DCコンバータ回路のスイッチング素子をオンオフするデューティ比を制御するものであって、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときよりも、前記デューティ比がとり得る範囲を狭くすることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、電磁ノイズの混入が検出されたときにはデューティ比の範囲に制限を設けることになるので、仮に電磁ノイズの影響でデューティ比の制御を誤ったとしても、デューティ比を大きすぎる値や小さすぎる値とすることがないから、放電灯の立ち消えや、回路部品に過大な負荷をかけるといったことを起こしにくい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、第1の電気的変量の変動が所定の第1閾値よりも小さく且つ第2の電気的変量の変動が所定の第2閾値よりも大きいときに電磁ノイズの混入を検出するノイズ検出手段を備え、制御回路は、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されているときには、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されていないときよりも電磁ノイズの影響を受けにくい動作を行うので、外部からの輻射ノイズにも強くなる。また、大型の部品を追加する必要がないから、大型化を招きにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態は、自動車(図示せず)の前照灯となる高輝度放電灯のような放電灯Laの点灯に用いられる車載用の放電灯点灯装置であって、図1に示すように、車載用のバッテリーのような直流電源Eをの出力を昇圧するDC−DCコンバータ回路1と、DC−DCコンバータ回路1が出力した直流電力の極性を反転することにより周波数の低い矩形波の交流電力に変換して放電灯Laに供給するインバータ回路2と、放電灯Laの始動時にDC−DCコンバータ回路1の出力をさらに昇圧する昇圧回路3と、昇圧回路3の出力を用いて放電灯Laを始動させるための高電圧を発生させるイグナイタ回路4と、DC−DCコンバータ回路1及びインバータ回路2をそれぞれ制御する制御回路5とを有する。
【0020】
詳しく説明すると、DC−DCコンバータ回路1は、制御回路5によってオンオフ制御されるスイッチング素子Q1と、1次巻線がスイッチング素子Q1と直流電源Eとに直列に接続されたフライバックトランスT1と、フライバックトランスT1の2次巻線の両端間に接続されたダイオードD1と平滑コンデンサC1との直列回路とを備える、いわゆるフライバックコンバータ回路である。この回路は周知であるから、動作についての詳細な説明は省略する。また、直流電源Eには、DC−DCコンバータ回路1に対して並列にコンデンサC0が接続されている。スイッチング素子Q1は、制御回路5によって制御されるコンバータ駆動回路6により駆動される。
【0021】
コンバータ駆動回路6は、出力端がスイッチング素子Q1のゲートに接続され一方の入力端が制御回路5に接続されたアンド回路61と、Q端子がアンド回路61の他方の入力端子に接続されS端子が制御回路5に接続されたSRフリップフロップ回路62と、負の入力端子は制御回路5に接続され出力端子はSRフリップフロップ回路62のR端子に接続されたコンパレータ63と、直流電源EからDC−DCコンバータ回路1への入力電流IPに応じた電圧をコンパレータ63の正の入力端子に入力する電圧生成部64とを有する。
【0022】
制御回路5は、SRフリップフロップ回路62のS端子とアンド回路61とに共通の駆動信号を入力するコンバータ駆動部51を有する。駆動信号は、一定の周波数の例えば矩形波である。また、制御回路5は、コンパレータ63の負の入力端子に対して後述する制御信号を入力する制御信号出力部52を有する。
【0023】
ここで、コンパレータ63の正の入力端子には、駆動信号に応じた周波数ののこぎり波が入力されるから、スイッチング素子Q1は、コンパレータ63の負の入力端子に入力される制御信号の電圧に応じたデューティ比でオンオフされる。つまり、DC−DCコンバータ回路1は、制御回路5によりPWM(Pulse-Width Modulation)制御される。
【0024】
インバータ回路2は、4個のスイッチング素子Q2〜Q5の2個ずつ2組の直列回路がDC−DCコンバータ回路1の出力端間に互いに並列に接続されてなる周知のフルブリッジ回路である。各スイッチング素子Q2〜Q5は、インバータ駆動回路7により、互いに対角に位置するスイッチング素子Q2〜Q5が同時にオン又はオフされ且つ互いに直列に接続されたスイッチング素子Q2〜Q5が低周波で交互にオンオフされるように駆動される。これにより、直列に接続されたスイッチング素子Q2〜Q5の接続点から低周波の矩形波交流電力が出力される。インバータ回路2の出力端は、コモンモードチョークLとイグナイタ回路4とを介して放電灯Laに接続されている。インバータ駆動回路7の出力の周波数すなわちインバータ回路2の出力の周波数は、制御回路5に設けられたインバータ制御部53により制御される。制御回路5は例えばマイコンからなり、制御回路5と、コンバータ駆動回路6と、インバータ駆動回路7とは、駆動・制御ブロックCBとして共通の器体(図示せず)に収納される。
【0025】
昇圧回路3は、4個のコンデンサC2〜C5と4個のダイオードD2〜D5とで構成されたいわゆるコッククロフト−ウォルトン回路からなり、DC−DCコンバータ回路1とイグナイタ回路4とにそれぞれ抵抗R1,R2を介して接続されている。
【0026】
イグナイタ回路4は、一端が昇圧回路3の出力端に接続され他端が接地されたコンデンサC6と、2次巻線がインバータ回路2と放電灯Laとの間に接続されたトランスT2と、トランスT2の1次巻線を介してコンデンサC6の両端間に接続されたスパークギャップSGとを備える。
【0027】
次に、本発明の動作について、図2のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
【0028】
電源が投入されると(S1)、直流電源Eの両端間に接続されたコンデンサC0が充電される。ここで、制御回路5には、このコンデンサC0の両端電圧(以下、「電源電圧」と呼ぶ。)V1と、DC−DCコンバータ回路1の平滑コンデンサC1の両端電圧(以下、「ランプ電圧」と呼ぶ。)V2と、インバータ回路2の入力端に流れる電流(以下、「ランプ電流」と呼ぶ。)I2とに応じた電圧が、それぞれ電源電圧入力回路81,ランプ電圧入力回路82,ランプ電流入力回路83から入力されている。制御回路5は、入力された電源電圧V1,ランプ電圧V2,ランプ電流I2に応じた電圧をそれぞれA/D変換する電源電圧検出部54,ランプ電圧検出部55,ランプ電流検出部56を有する。コンバータ駆動部51は、電源投入後に電源電圧V1が所定の始動可能範囲内(例えば9V以上)となったときに駆動信号の出力を開始し、これによりDC−DCコンバータ回路1は直流電力の出力を開始する。また、制御信号出力部52からは、ランプ電圧V2とランプ電流I2とに基いた制御信号の出力が開始される。
【0029】
制御回路5における制御信号の生成について詳しく説明する。制御回路5は、DC−DCコンバータ回路1が出力すべき電力に応じた基準電力が格納された記憶部57と、基準電力をランプ電圧検出部53が出力したランプ電圧V2で除して基準電流の値を得る第1演算部58と、基準電流とランプ電流検出部54が検出したランプ電流I2との差である制御値を演算する第2演算部59とを有する。制御信号出力部52は、第2演算部59が出力した制御値をD/A変換することにより制御信号を生成し、コンバータ駆動回路6のコンパレータ63の負の入力端子に入力する。以上により、DC−DCコンバータ回路1の出力電力を基準電力に応じた大きさとするように、コンバータ駆動回路6がDC−DCコンバータ回路1のスイッチング素子Q1をオンオフするデューティ比が制御される。
【0030】
また、始動時には、コンバータ駆動部51の動作開始とともに第1演算部58はタイマのカウントを開始し、タイマのカウントに応じて、用いる基準電力を徐々に大きくする。これにより、DC−DCコンバータ回路1の出力は、ランプ電圧V2が一定(例えば400V)となるまでタイマのカウントに応じて徐々に上昇してその後一定に維持されるように制御される。DC−DCコンバータ回路1の出力電圧は、昇圧回路3で更に(例えば800Vに)昇圧される。昇圧回路3の出力電圧によってコンデンサC6が充電され、やがでコンデンサC6の両端電圧がスパークギャップSGの放電開始電圧に至ると、トランスT2の2次巻線に高電圧が誘導され、この電圧によって放電灯Laが始動する(S2)。
【0031】
制御回路5では、例えばランプ電圧V2が所定の閾値を下回ったことに基いて放電灯Laの始動が検出され、インバータ制御部53はインバータ駆動回路7の動作を開始させ、放電灯Laに点灯状態を維持させるための交流電力の供給を開始する。
【0032】
放電灯Laの始動後は、まず制御回路5の異常検出部50が、ランプ電圧V2を所定の立ち消え閾値Va(例えば220V)と比較し(S3)、ランプ電圧V2が立ち消え閾値Vaより大きければ立ち消えが発生したと判定して例えばコンバータ駆動部51の駆動信号の出力を停止させることによりDC−DCコンバータ回路1のスイッチング素子Q1をオフさせてDC−DCコンバータ回路1の出力を停止させる(S4)。ステップS3においてランプ電圧V2が立ち消え閾値Va以下であれば、異常検出部50は、立ち消えが発生していないと判定し、次に電源電圧V1が所定の点灯可能範囲内Vb≦V1≦Vcにあるかどうかを判定する(S5)。点灯可能範囲の下限Vbは例えば6V、点灯可能範囲の上限Vcは例えば20Vである。その結果、電源電圧V1が点灯可能範囲外であれば、やはりDC−DCコンバータ回路1の出力を停止させる(S4)。
【0033】
そして、ステップS5において電源電圧V1が点灯可能範囲内であれば、次に異常検出部50は定期的に検出される第1の電気的変量Aの変動値ΔAが所定の第1範囲内A1≦ΔA≦A2であるかどうかを判定する(S6)。第1の電気的変量Aは例えば電源電圧V1であり、変動値ΔAは最も後に検出された第1の電気的変量Aとその前に検出された第1の電気的変量Aとの差であって、第1範囲は例えば−1V〜1Vである。
【0034】
ステップS6において、第1の電気的変量の変動値ΔAが第1範囲外であれば、第1の演算部58及び第2の演算部59が、既に述べたようにランプ電圧V2とランプ電流I2とに基いて制御値を演算する(S7)。次に、制御信号出力部52が、制御値に応じた電圧の制御信号をコンバータ駆動回路6のコンパレータ63に入力し(S8)、ステップS3に戻る。
【0035】
また、ステップS6において、第1の電気的変量の変動値ΔAが第1範囲内であれば、異常検出部50は、定期的に検出される第2の電気的変量Bの変動値ΔBが所定の第2範囲内B1≦ΔB≦B2であるかどうかを判定する(S9)。第2の電気的変量Bは例えばランプ電流I2であり、変動値ΔBは最も後に検出された第2の電気的変量Bとその前に検出された第2の電気的変量Bとの差であって、第2範囲は、例えば維持されるべきランプ電流I2に対し−20%〜20%である。そして、第2の電気的変量Bの変動値ΔBが所定の第2範囲内B1≦ΔB≦B2であれば、やはりステップS7に進む。
【0036】
ステップS9において、第2の電気的変量Bの変動値ΔBが第2範囲外であれば、異常検出部50は、電磁ノイズが混入したと判定して、第2の演算部58に対し制御値を予め決定された一定値とするように指示し(S10)、ステップS8に進む。この結果、制御回路5はコンバータ駆動回路6に対し、一定のデューティ比を示す制御信号を出力する。つまり、制御回路5はノイズ検出手段でもある。つまり、第1の電気的変量Aの変動が小さいにも関わらず第2の電気的変量Bの変動が大きいことに基いて電磁ノイズの混入が検出され、電磁ノイズの混入が検出されたときにはランプ電流I2やランプ電圧V2に基いた制御が行われないのである。
【0037】
上記構成によれば、ランプ電流I2やランプ電圧V2の検出値が電磁ノイズの影響を受けていても制御に反映されないので、電磁ノイズの影響でDC−DCコンバータ回路1の制御を大きく誤ることがないから、放電灯Laの立ち消えや、回路部品に過大な負荷をかけるといったことを起こしにくい。上記効果は電磁ノイズの種類に関わらず発揮されるから、外部からの輻射ノイズに対しても強くなる。また、特に大型の部品の追加を必要としないので、大型化を招きにくい。
【0038】
なお、第1の電気的変量Aは放電灯点灯装置のいずこかで検出される電気的変量であれば電源電圧V1に限られず、例えばランプ電圧V2を用いてもよい。また、第2の電気的変量Bは放電灯点灯装置のいずこかで検出される電気的変量のうち第1の電気的変量Bと異なり且つ電磁ノイズの影響を受ける電気的変量であればランプ電流I2に限られず、例えばランプ電圧V2や、一般的なマイコンで用いられる基準電圧を用いてもよい。または、図3に示すようにDC−DCコンバータ回路1への入力電流I2に応じた電圧を出力する入力電流入力回路84を駆動・制御ブロックCBに設けるとともに、制御回路5には入力電流入力回路84の出力をA/D変換して異常検出部50に入力する入力電流検出部5aを設け、入力電流I2を第2の電気的変量Bとして用いてもよい。
【0039】
第1の電気的変量Aとしてランプ電圧V2を用いる場合、第1範囲は例えば維持すべきランプ電圧V2に対し−5%〜5%とする。また、第2の電気的変量Bとしてランプ電圧V2を用いる場合、第2範囲は例えば維持すべきランプ電圧に対し−20%〜20%とする。さらに、第2の電気的変量Bとして基準電圧又は入力電流I2を用いる場合、第2範囲は例えば通常の基準電圧又は入力電流I2に対して−5%〜5%とする。
【0040】
また、電磁ノイズの混入が検出されたときの動作としては、第2の演算部59への指示により制御値を直接一定とする代わりに、図4のステップS11のようにランプ電流I2やランプ電圧V2としてそれぞれ固定値If,Vfを用いることにより制御値を一定としてもよい。
【0041】
さらに、制御値やランプ電流I2やランプ電圧V2として一定値を用いる代わりに、第1の演算部58や第2の演算部59がステップS7毎に用いたランプ電流I2やランプ電圧V2を保持し、電磁ノイズの混入が検出されたときには、異常検出部50の指示により、電磁ノイズの混入が検出される前に(例えば1回前)検出されたランプ電流I2やランプ電圧V2を用いるようにしてもよい。
【0042】
または、制御値を一定とする代わりに、図5のステップS12のように、電磁ノイズの混入が検出されていないときに制御値がとり得る範囲よりも狭い制御値範囲を設定した後に、電磁ノイズの混入が検出されていないときと同様の制御値の演算を行い、得られた制御値が制御値範囲の上限値を上回った場合には制御値を制御値範囲の上限値とし、得られた制御値が制御値範囲の下限値を下回った場合には制御値を制御値範囲の下限値としてもよい。この構成を採用すれば、電磁ノイズのためにランプ電流I2やランプ電圧V2の誤差が大きくなっていたとしても、制御値が極端に大きい値や小さい値となることがないから、放電灯Laが立ち消えたり回路部品に過大な負荷がかかるといったことが起こりにくい。
【0043】
または、図6のステップS13のように、電磁ノイズの混入が検出されたときには立ち消えの検出を行うようにしてもよい。この場合であって電磁ノイズの混入が検出されたときの立ち消えの判定方法をステップS3と同様とする場合には、用いる立ち消え閾値VdをステップS3における立ち消え閾値Vaよりも低くし、ステップS3よりも高い精度で立ち消えが検出されるようにする。ステップS13において立ち消えが検出されたときは、例えばステップS2に戻って放電灯Laの始動を再度行う。つまり、電磁ノイズの影響によって発生した立ち消えから回復することになる。放電灯Laの寿命による立ち消えでは再始動を試みると回路部品に過大な負荷がかかる可能性があるのに対し、電磁ノイズの影響で制御信号が異常な値となって立ち消えが発生したときには再始動により放電灯Laが点灯する可能性があり、且つ車載用の前照灯であれば上記構成のように可能な限り点灯させたほうが安全性が高いといえる。
【0044】
ここで、図4〜6で示した形態については、上述した箇所以外の動作は図2で示した形態と共通であるので、共通する部分についての説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態を示す回路図である。
【図2】同上の動作を示す流れ図である。
【図3】同上の別の形態を示す回路図である。
【図4】同上の更に別の形態の動作を示す流れ図である。
【図5】同上の別の形態の動作を示す流れ図である。
【図6】同上の更に別の形態の動作を示す流れ図である。
【図7】従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
1 DC−DCコンバータ回路
2 インバータ回路
5 制御回路
La 放電灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力が入力され電圧を変換して出力するDC−DCコンバータ回路と、
DC−DCコンバータ回路が出力した直流電力を交流電力に変換して放電灯に供給するインバータ回路と、
ランプ電流を検出するランプ電流検出手段と、ランプ電圧を検出するランプ電圧検出手段と、
DC−DCコンバータ回路を制御する制御回路と、
DC−DCコンバータ回路とインバータ回路と制御回路とのいずれかにおいて検出される第1の電気的変量を検出する第1の検出手段と、DC−DCコンバータ回路とインバータ回路と制御回路とのいずれかにおいて検出される電気的変量であって第1の電気的変量とは異なり且つ混入した電磁ノイズの影響を受ける第2の電気的変量を検出する第2の検出手段と、
第1の電気的変量の変動が所定の第1範囲内であって且つ第2の電気的変量の変動が所定の第2範囲外であるときに電磁ノイズの混入を検出するノイズ検出手段とを備え、
制御回路は、少なくともノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときには、ランプ電流検出手段によって検出されたランプ電流とランプ電圧検出手段によって検出されたランプ電圧とに基いてDC−DCコンバータ回路を制御し、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときよりも電磁ノイズの影響を受けにくい動作を行うことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
第1の検出手段は第1の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路に入力される電源電圧を検出し、
第2の検出手段は第2の電気的変量としてランプ電流を検出し、
DC−DCコンバータ回路はスイッチング・コンバータからなり、
制御回路は、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときには、ランプ電流検出手段によって検出されたランプ電流とランプ電圧検出手段によって検出されたランプ電圧とに基いてDC−DCコンバータ回路のスイッチング素子をオンオフするデューティ比を制御し、
ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、前記デューティ比を予め決定された一定の値とすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
第1の検出手段は第1の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路に入力される電源電圧を検出し、
第2の検出手段は第2の電気的変量としてDC−DCコンバータ回路への入力電流を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
制御回路は、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されているときには、予め決定された値に基いてDC−DCコンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
制御回路は、ノイズ検出手段によって電磁ノイズの混入が検出されているときには、過去に検出されたランプ電流及びランプ電圧に基いてDC−DCコンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
DC−DCコンバータ回路はスイッチング・コンバータからなり、
制御回路は、DC−DCコンバータ回路のスイッチング素子をオンオフするデューティ比を制御するものであって、
ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されているときには、ノイズ検出手段により電磁ノイズの混入が検出されていないときよりも、前記デューティ比がとり得る範囲を狭くすることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−59266(P2007−59266A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244781(P2005−244781)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】