放電装置、帯電装置及び画像形成装置
【課題】放電電極を備える放電装置において、針状又はワイヤ状の何れの放電電極の場合においても、該放電電極の清掃が可能である放電装置、帯電装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】放電電極11を挟んで両側には、該放電電極11を挟持して摺動する2つの電極清掃部材14を備え、前記2つの電極清掃部材14が放電電極11を挟持したまま、放電電極11の先端方向に摺動して放電電極11に付着されている塵埃の清掃を行なう。
【解決手段】放電電極11を挟んで両側には、該放電電極11を挟持して摺動する2つの電極清掃部材14を備え、前記2つの電極清掃部材14が放電電極11を挟持したまま、放電電極11の先端方向に摺動して放電電極11に付着されている塵埃の清掃を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先鋭形状を有する放電電極を備える放電装置、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体である感光体ドラムを帯電させる放電装置は、放電のたびに像担持体上のトナー等の塵埃によって表面が汚れて帯電効率が低下していく。従って放電装置は、帯電効率の低下を防ぐために、放電部材の表面を清掃する必要がある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1では、CRゴム(クロロプレンゴム)、発泡ウレタン等の清掃部材を一端部に設け、他端部に取手部を設けた操作ロッドを備え、該操作ロッドの清掃部材を放電部材に押圧させた状態で、該放電部材に沿って該清掃部材を往復移動させることによって、放電部材の表面の清掃が行われる帯電装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、研磨剤を含有した弾性体で構成された清掃ローラを備え、針電極の複数の針の先端部を順に清掃ローラの内部に没入及び抜脱させ、各針の先端部の全面を清掃ローラに接触させることにより、針の変形又は繊維の付着を生じることなく、針の先端部の全面を確実に清掃することができる帯電装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、複数の先鋭形状の放電部が配列された放電電極を備え、画像形成を行なう際には柔軟な弾性材質製の清掃部材を放電電極に突き刺し、放電電極の先端部のみを清掃部材から露出させて使用し、放電電極の清掃時に清掃部材を放電電極へ挿抜することによって放電電極に付着した塵埃を清掃するコロナ放電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−78692号公報
【特許文献2】特開2007−272169号公報
【特許文献3】特開2007−140047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1に記載の発明は、その適用がワイヤ状の放電電極に限られており、針状の放電電極に対しては適用が困難である。また、請求項2及び請求項3に係る発明は、その適用が針状の先端を有する放電電極に限られており、ワイヤ状の放電電極への適用は不可能である。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電電極を備える放電装置において、前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備え、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して該放電電極の清掃を行なうことにより、針状又はワイヤ状の何れの放電電極の場合であっても対応できる放電装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記電極清掃部材が前記放電電極を挟持して該放電電極の先端に向けて移動して前記放電電極の清掃を行なうことにより、挟持した状態での往復動作が行なわれないので、放電電極に与える機械的ダメージを少なくして耐久性が確保されるとともに、清掃時に除去した塵埃の放電電極への再付着、及び該放電電極の放電性能への影響を抑えることができる放電装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放電装置は、放電電極を備える放電装置において、前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して放電電極の清掃を行なう。従って、該放電電極が針状である場合でも、ワイヤ状である場合でも対応できる。
【0012】
本発明に係る放電装置は、前記放電電極は先鋭形状を有し、前記電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる移動操作部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれる場合、前記移動操作部が前記放電電極を挟持した状態の電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる。すなわち、挟持した状態で往復動作が行なわれないので、一旦除去された塵埃の再付着を極力抑えると共に、前記放電電極における機械的ダメージを少なくすることが出来る。
【0014】
本発明に係る放電装置は、夫々の電極清掃部材を前記放電電極に接離させる接離操作部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれる場合、前記接離操作部が該電極清掃部材を該放電電極に接触させる。一方、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれない場合、前記接離操作部は該電極清掃部材を該放電電極から離隔させ、放電性能の低下を防ぐ。
【0016】
本発明に係る放電装置は、前記接離操作部は、同軸上に併設された、回転柱及び非回転柱を備えており、該非回転柱は前記電極清掃部材と連結され、前記回転柱及び非回転柱は向き合う端部に夫々傾斜面を有し、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更し、傾斜面同士が前記軸方向に接離するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更することにより、傾斜面同士が前記軸方向に接離する。換言すれば、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱が前記回転柱に対して接離する。このように、該非回転柱が接離することにより、該非回転柱に連結された前記電極清掃部材が前記放電電極に接離する。
【0018】
本発明に係る放電装置は、前記回転柱の傾斜面は、該回転柱の中心軸に垂直な平面部を有することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更することにより、前記非回転柱が前記回転柱に対して前記軸方向に接離し、該非回転柱に連結された前記電極清掃部材が前記放電電極に接触又は離隔する。しかし、前記非回転柱の端部の先端が前記平面部と当接する間は、前記非回転柱の前記軸方向への接離が行なわれないので、前記電極清掃部材は前記放電電極と一定の接触又は離隔状態を保つ。
【0020】
本発明に係る帯電装置は、前述の発明の何れか一つに記載の放電装置を備え、静電潜像を担持する像担持体を帯電させるように構成してあることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記放電装置が静電潜像を担持する像担持体を帯電させる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、前述の発明の何れか一つに記載の帯電装置と、画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持する像担持体と、前記静電潜像に係る画像をシート上に形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前記帯電装置によって前記像担持体が帯電される。これによって、像担持体は画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持し、前記画像形成手段は該静電潜像に係る画像をシート上に形成する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して放電電極の清掃を行なうことにより、針状又はワイヤ状の何れの放電電極の場合であっても対応できる。
【0025】
また、本発明によれば、放電電極に与える機械的ダメージを少なくして耐久性が確保されるとともに、清掃時に除去した塵埃の放電電極への再付着、及び該放電電極の放電性能に影響しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るデジタル複合機の全体構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るデジタル複合機の感光体ドラムの周囲を示す模式図である。
【図3】本発明に係るデジタル複合機の帯電装置の要部構成を説明する概略的部分断面図である。
【図4】本発明に係るデジタル複合機の帯電装置において、一部を除去した状態での斜視図である。
【図5】本発明に係るデジタル複合機において、アーム部の中心軸方向から見た傾斜面の模式図である。
【図6】図5のC−C線による断面図である。
【図7】本発明に係るデジタル複合機において、図3のV方向から見た変換部及び非回転柱部を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るデジタル複合機における、移動操作機構及び接離操作機構の作用を説明する部分断面図である。
【図9】本発明に係るデジタル複合機における、移動操作機構及び接離操作機構の作用を説明する部分断面図である。
【図10】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【図11】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【図12】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態に係る放電装置、帯電装置及び画像形成装置を、デジタル複合機に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
【0028】
本発明に係るデジタル複合機は、後述するスキャナ8において読み取られる原稿の画像データに応じて原稿の複写物を印刷し、又はネットワークを介して接続されているパーソナルコンピュータなどの外部機器からの画像データに基づく画像を印刷するデジタル複合機である。
【0029】
図1は本発明に係るデジタル複合機100の全体構成を模式的に示す縦断面図である。デジタル複合機100は、帯電装置1と、感光体ドラム2と、転写器3と、定着器4と、クリーニングユニット5と、除電ランプ6と、露光器7と、スキャナ8と、給紙トレイ9と、現像器10と、排紙トレイ20とを含む。図2は本発明に係るデジタル複合機100の感光体ドラム2の周囲を示す模式図である。
【0030】
感光体ドラム2は、例えば、アルミニウム等の金属からなり、軸線回りを矢印方向に回転駆動可能に設けられており、表面に静電潜像及びトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム2の外周面は帯電装置1によって所定の極性及び電位に帯電される。現像器10は感光体ドラム2にトナーを供給して前記トナー像を形成する。
【0031】
転写器3は、感光体ドラム2に向かう一面が開口している直方体形状のケース31と、ケース31内であって前記一面と対向するケース31の他面に支持され、エポキシ等からなる絶縁性基板に設けられた放電電極32とからなる。放電電極32は、例えば、ワイヤ状又は鋸歯状の放電先端を備えており、図示しない電源に接続されている。転写器3は、高電圧(例えば、負の高電圧)が印加されると、前記放電先端からコロナ放電が発生し、感光体ドラム2及び転写器3の間を通る記録用紙Pの裏面を帯電させ、感光体ドラム2の外周面に形成されたトナー像を記録用紙P上に転写する。
【0032】
定着器4は、定着ローラ41と、加圧ローラ42とを備えている。定着ローラ41は軸線回りに回転可能に設けられており、その内部に加熱部材を有し、転写器3から搬送される記録用紙Pに担持されている未定着のトナー像を構成するトナーTを加熱して溶融させて記録用紙Pに定着させる。また、定着ローラ41は、例えば、芯金及び弾性層を含む。前記芯金は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属によって形成される。前記弾性層は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料で形成される。前記加熱部材としてはハロゲンランプ、赤外線ランプなどを使用できる。
【0033】
加圧ローラ42は回転自在に支持され、かつ定着ローラ41に対して圧接するように設けられている。加圧ローラ42は定着ローラ41の回転に従動回転する。定着ローラ41と加圧ローラ42との圧接部が定着ニップ部である。加圧ローラ42は、定着ローラ41によるトナー像の記録用紙Pへの加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーTを記録用紙Pに対して押圧することによって、トナー像の記録用紙Pへの定着を促進する。
【0034】
定着器4では、トナー像が転写された記録用紙Pが前記定着ニップ部を通過する際、トナー像を構成するトナーTが溶融されると共に記録用紙Pに押圧されることによって、トナー像が記録用紙Pに定着される。トナーTが定着された記録用紙Pは、排紙トレイ20に排出され、積載される。
【0035】
クリーニングユニット5は、クリーニングブレード51と、トナー貯留槽52とを有し、トナー像を転写した後の感光体ドラム2の外周面を清浄にする。クリーニングブレード51は、例えば、矩形であり、一辺側の縁が感光体ドラム2の外周面に当接するように設けられた板状部材であり、記録用紙Pにトナー像を転写した後に感光体ドラム2の外周面に残留するトナーT、紙粉などを感光体ドラム2の外周面から取り除く。トナー貯留槽52は内部空間を有する容器状部材であり、クリーニングブレード51によって除去されるトナーを一時的に貯留する。
【0036】
除電ランプ6は、クリーニングユニット5によるクリーニング処理後において感光体ドラム2の外周面上に残留する電荷を光学的に除電する。
【0037】
露光器7は、スキャナ8からの画像データ又は外部機器からの画像データに応じた信号光を、帯電状態にある感光体ドラム2外周面に照射する。これによって、感光体ドラム2外周面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。露光器7には光源を含む光スキャニング装置が用いられる。該光スキャニング装置は、例えば、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、反射ミラーなどを組合せた装置である。光源としては、例えば、半導体レーザ、LEDアレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを使用できる。
【0038】
スキャナ8には原稿セットトレイ、自動原稿搬送装置(RADF、Reversing Automatic Document Feeder)などが設けられている。また、スキャナ8は原稿読み取り装置を備えており、該原稿読み取り装置は、原稿載置台と、原稿走査装置とを有する。該原稿載置台は、原稿を載置するためのガラス製板状部材である。前記原稿走査装置は、光源、反射部材、光学レンズ、ラインセンサ(例えば、Charge Coupled Device)などを備えている。
【0039】
給紙トレイ9は、普通紙、コート紙、カラーコピー用紙、OHPフィルムなどの記録用紙Pを収容するトレイである。給紙トレイ9は複数設けられ、それぞれの給紙トレイ9にはサイズの異なる記録用紙Pが収容されている。
【0040】
感光体ドラム2と転写器3との間に、感光体ドラム2の回転によってトナー像が搬送されるのに同期して、給紙トレイ9から記録用紙Pが1枚ずつ供給され、記録用紙Pが感光体ドラム2と転写器3との間を通過することによって、感光体ドラム2の外周面のトナー像が記録用紙Pに転写される。斯かる際、トナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を転写器3に印加することによって、感光体ドラム2の外周面のトナー像が記録用紙Pに円滑に転写される。
【0041】
帯電装置1は、感光体ドラム2の上方に、感光体ドラム2の外周面に対向して設けられた帯電チャージャであり、感光体ドラム2の外周面を所定の極性及び電位に帯電させる。帯電装置1は感光体ドラム2の長手方向に沿って配置される。
【0042】
図3は本発明に係るデジタル複合機100の帯電装置1の要部構成を説明する概略的部分断面図であり、図4は本発明に係るデジタル複合機100の帯電装置1において、一部を除去した状態での斜視図である。帯電装置1は、感光体ドラム2の長手方向に延び、感光体ドラム2と面する一面に開口131を有している外側ケース13と、高圧電源60に接続された放電電極11を収容しており、一面に矩形のグリッド電極17が設けられた内側ケース12とを備えている。内側ケース12は外側ケース13に収容されており、グリッド電極17が、外側ケース13の開口131を介して感光体ドラム2に面するように設けられている。
【0043】
帯電装置1の内側ケース12は中空の直方体形状であり、長手方向が感光体ドラム2の軸方向と平行になるように設けられている。また、内側ケース12は、例えば、PP、PC等の樹脂からなる。
【0044】
放電電極11は矩形の平板部111と突起部112とを含む先鋭状の板材である。放電電極11は、鋭角状の先端を有する突起部112を有することによって、高圧電源60から電圧の印加を受けると不平等電界を形成してコロナ放電し、感光体ドラム2表面を所定の電位及び極性に帯電させる。
【0045】
放電電極11は感光体ドラム2の中心軸方向に延びており、突起部112の先端が感光体ドラム2の周面に向けって突出するように設けられている。突起部112は、複数の先鋭状突起を含む。先鋭状突起は、平板部111の短手方向における感光体ドラム2を臨む縁端から平板部111の短手方向に連設され、平板部111の長手方向において所定のピッチを空けて一列に配置される。本実施の形態では、図4に示すように、先鋭状突起は鋸歯状形状を有してあるが、これに限定されるものでなく、針状形状を有する先鋭状突起を形成してもよい。
【0046】
放電電極11において、先鋭状突起の先端部は金めっきが施されている。斯かる金めっきにおいては、コロナ電極用板金に、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程、純水浸漬工程、ニッケルめっき工程、金めっき工程、水洗工程および乾燥工程を順次施すことによって、本発明において使用する放電電極11が得られる。
【0047】
放電電極11を保持する保持台30は、内側ケース12のグリッド電極17と対向する面に設けられている。保持台30は放電電極11と同様に感光体ドラム2の中心軸方向に延び、該中心軸方向に垂直な方向の断面がT字状の部材である。保持台30の突出部分の一側面には放電電極11がねじ止めされている。これによって、保持台30が放電電極11を保持する。保持台30は、たとえば、合成樹脂などによって形成される。
【0048】
グリッド電極17は、放電電極11と感光体ドラム2との間に配置され、図示しない電源から電圧の印加を受けて、感光体ドラム2表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位をより一層均一化する薄板状部材である。グリッド電極17は、その厚み方向に貫通するように形成される複数の貫通孔を有する多孔性薄板状部材である。グリッド電極17は、その長手方向が感光体ドラム2の中心軸方向と平行になるように設けられる。グリッド電極17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などの金属材料からなる。
【0049】
放電電極11を挟んで両側には、放電電極11に付着している塵埃を除去する一対の電極清掃部材14が設けられている。電極清掃部材14は、CRゴム(クロロプレンゴム)、発泡ウレタン等からなり、放電電極11と当接する当接部141と、その一面に当接部141を保持する保持部142とを有する。電極清掃部材14は、放電電極11の長手方向に延びる直方体形状を有している。電極清掃部材14は、後述する移動操作機構によって、放電電極11の短手方向に、換言すれが、保持台30から突起部112の先端方向及び突起部112の先端から保持台30の方向に往復移動する。(以下、斯かる移動方向と同一の方向を上下方向と言う。)また、夫々の電極清掃部材14は、後述する接離操作機構によって、放電電極11の両面と接近又は離隔される。各電極清掃部材14は支持部16を介して前記移動操作機構及び接離操作機構に連結されている。(以下、斯かる接離方向と同一の方向を左右方向とする。)
【0050】
支持部16は、縦断面視“C(又は逆C)”の字のように屈曲した板材からなり、一端部が保持部142の他面の中央部に固定されており、他端部が前記移動操作機構及び接離操作機構と結合されている。内側ケース12には、放電電極11の両面と対向する両側面であって、電極清掃部材14と対応する位置に長穴15が放電電極11の長手方向に沿って夫々形成されている。従って、支持部16は長穴15を介して、内側ケース12の内側の電極清掃部材14と、内側ケース12の外側の前記移動操作機構及び接離操作機構を連結することが出来る。支持部16は、例えば、樹脂から形成されている。
【0051】
外側ケース13の内側であって、図3の紙面視左右方向の側面132には、支持部16の上下方向への移動を案内する一対の案内板19が夫々突設されている。すなわち、一対の案内板19は放電電極11の長手方向に相互隔てて、支持部16を挟むように併設されている。従って、放電電極11の長手方向における、支持部16の移動は規制され、上下方向への移動のみが可能となる。
【0052】
また、支持部16と外側ケース13の側面132の間には、バネ部18が設けられている。バネ部18によって、支持部16を放電電極11側に接近させる押圧が支持部16に常に与えられる。
【0053】
外側ケース13の内側においては、開口131に対向する他面の付近に移動操作機構A(移動操作部)と、接離操作機構B(接離操作部)とが設けられている。移動操作機構Aは、歯車24と、歯車24の回転を上下運動に変換させる変換部21とを有している。接離操作機構Bは、歯車24の円周縁側に設けられ、歯車24と共に円運動するアーム部23と、アーム部23の中心軸と同軸上に併設され、アーム部23と係合しており、回転不可能な非回転柱部22とを有している。
【0054】
歯車24は、該歯車24を回転させる駆動歯車25と噛み合っており、駆動歯車25は外側ケース13の外部からの駆動力によって回転される。駆動歯車25は外側ケース13の外に設けられており、外側ケース13の前記他面に形成された貫通穴26を介して、外側ケース13の内側の歯車24と噛み合うように配置されている。
【0055】
また、歯車24は、駆動歯車25と噛み合う一対の円盤型歯車241を備えている。一対の円盤型歯車241は、相互対向配置されており、これらの間には、これら円盤型歯車241を繋ぐ回転軸242が介在されている。また、回転軸242は回転可能に支持されている。
【0056】
歯車24の円盤型歯車241の外側面であって、円盤型歯車241の周縁付近にはアーム部23が設けられており、円盤型歯車241の回転に伴って、所定の半径にて円運動する。アーム部23は、円柱状の回転柱部231と、回転柱部231を外嵌する円筒ガイド232とを有している。
【0057】
回転柱部231は基部が円盤型歯車241に固定されており、先端部には傾斜面233が形成されている。また、傾斜面233は、回転柱部231の中心軸に垂直な平面部234を一部に有している。
【0058】
図5は本発明に係るデジタル複合機100において、アーム部23の中心軸方向から見た傾斜面233の模式図であり、図6は図5のC−C線による断面図である。図5中、ハッチングは平面部234を表す。
【0059】
図中、P1、P2及びP3は、非回転柱部22の先端との当接点を表す。図示するように、円盤型歯車241から先端側のP3が最も遠く、P1が最も近くなる。また、P1はP2と同一平面(平面部234)上であるので、P2もP1と同様、円盤型歯車241から最も近い。アーム部23が円運動することによって回転柱部231が回転する際、非回転柱部22の先端が、例えば、P3、P2、P1の順に傾斜面233及び平面部234との当接を繰り返し、回転柱部231の傾斜面233と、後述する非回転柱部22の傾斜面223とは接離を繰り返す。
【0060】
一方、円筒ガイド232は、非回転柱部22が挿入できる内径を有しており、回転柱部231の中心軸方向に延びるように設けられている。非回転柱部22は円筒ガイド232内に挿入されることによって、アーム部23と係合されており、アーム部23の円運動の際においても該係合状態は維持されるので、アーム部23が円運動する場合、非回転柱部22は共に円運動する。
【0061】
非回転柱部22は、円柱状であり、一端部が変換部21と係合しており、他端部には傾斜面223が形成されている。図7は本発明に係るデジタル複合機100において、図3のV方向から見た変換部21及び非回転柱部22を示す斜視図である。
【0062】
非回転柱部22は、柱部221と、該柱部221の端部に形成された傾斜面223と、柱部221を変換部21に係合させる係合部222とを有する。また、変換部21は、放電電極11の長手方向に沿って延びる直方体形状を有する。以下、説明の便宜上、放電電極11の長手方向を奥行方向であうるとする。
【0063】
柱部221は、アーム部23側の一端部に傾斜面223が形成されており、傾斜面223は上方を向くように形成されている。
【0064】
柱部221の他端部には係合部222が設けられている。係合部222は、後述する変換部21の長穴211と係合しており、長穴211の長径方向への摺動が出来るように設けられている。詳しくは、係合部222は上下方向の寸法が長穴211の短径と略等しいブロック体であり、長穴211に嵌められている。また、係合部222には抜け止め処理が施されており、長穴211の長手方向に摺動できる。すなわち、非回転柱部22は奥行方向への移動が出来るように構成されている。
【0065】
変換部21は奥行方向を長手方向としており、左右方向に変換部21を貫通する長穴211がその中央部に形成されている。長穴211は奥行方向を長径とし、上下方向を短径とする。長穴211には、非回転柱部22の係合部222が係合されている。
【0066】
また、上述したように、非回転柱部22は変換部21を介して支持部16と連結されており、支持部16にはバネ部18からの押圧力が加わっている。従って、非回転柱部22にも該押圧力が及ぶので、非回転柱部22はアーム部23への移動が強制される。
【0067】
図8及び図9は本発明に係るデジタル複合機100における、移動操作機構A及び接離操作機構Bの作用を説明する部分断面図である。以下、図8及び図9に基づき、移動操作機構A及び接離操作機構Bの作用について説明する。
【0068】
まず、移動操作機構Aは変換部21及び歯車24からなり、歯車24の回転運動を上下移動に変換して、支持部16を介して電極清掃部材14に伝える。これによって電極清掃部材14は上下方向に移動する。
【0069】
詳しくは、歯車24が駆動歯車25によって回転する場合、アーム部23が共に円運動する。斯かる際、アーム部23に係合されている非回転柱部22もアーム部23と一緒に円運動する。このような非回転柱部22の円運動は、換言すれば、奥行方向及び上下方向への変位である。しかし、非回転柱部22の奥行方向及び上下方向への変位の中、奥行方向への変位は、変換部21で吸収される。すなわち、非回転柱部22が変換部21の長穴211に沿って奥行方向に移動することで、奥行方向への変位は実現され、残りの上下方向への変位のみが支持部16を介して電極清掃部材14に伝わることになる。従って、非回転柱部22又はアーム部23が図8に示すいわゆる上死点と、図9に示す下死点との間を繰り返して往復(回転)することによって、電極清掃部材14は上下方向への往復移動するようになる。
【0070】
なお、アーム部23が円運動中、図8に示す上死点に位置する場合、電極清掃部材14はその上下方向への移動範囲中、最上位に位置し、アーム部23が図9に示す下死点に位置する場合は、電極清掃部材14はその上下方向への移動範囲(以下、上下移動範囲と言う。)中、最下位に位置することになる。
【0071】
次に、接離操作機構Bは非回転柱部22及びアーム部23からなる。歯車24が回転する場合において、非回転柱部22の傾斜面223がアーム部23の傾斜面233から、前記中心軸方向に、接離することにより、電極清掃部材14を放電電極11に接離させる。
【0072】
詳しくは、歯車24の回転に伴ってアーム部23が円運動する場合、図8及び図9に示すように、傾斜面233の向きは変化する。この際、上述したように、非回転柱部22の先端が、図5のP3、P2、P1の順に傾斜面233及び平面部234との当接を繰り返す。
【0073】
例えば、アーム部23が円運動中、図8に示す上死点に位置する場合、傾斜面233は上方向きであり、図9に示す下死点に位置する場合は、下方向きである。アーム部23が図8の上死点に位置する場合は、回転柱部231のP3に非回転柱部22の先端が当接している。一方、アーム部23が図9の下死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接し、傾斜面223と傾斜面233とが当接する。換言すれば、アーム部23が上死点から下死点に移動することによって、非回転柱部22はバネ部18からの押圧力によって距離Lだけアーム部23側に進行し、アーム部23が下死点から上死点に移動することによって、非回転柱部22は距離Lだけ、逆方向に後退する。従って、アーム部23が円運動する際には、非回転柱部22が、前記中心軸上において、上述したような進退運動を行なう。この際、傾斜面223と傾斜面233とが前記中心軸方向にて接離を繰り返す。
【0074】
また、P2においては、P2がP1と同一の平面部234上に位置することから、非回転柱部22の先端がP2に当接した場合は、非回転柱部22の先端がP3に当接した場合に比べ、P1の場合と同様、距離Lだけアーム部23側に進行したこととなる。
【0075】
更に、上述したように、非回転柱部22は支持部16を介して電極清掃部材14と連結されているので、非回転柱部22の前記進退運動に伴い電極清掃部材14も一定の動作を行なう。アーム部23が上死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接しており、電極清掃部材14は放電電極11から最も離れた位置、すなわち、距離Lだけ離れた位置にある。一方、アーム部23が図9の下死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が距離Lだけ進行して回転柱部231のP1に当接しており、電極清掃部材14も距離Lだけ放電電極11側に接近して放電電極11の一面に当接するようになる。
【0076】
すなわち、アーム部23が円運動することによって、非回転柱部22が、前記中心軸上において、上述したような進退運動を行なうことにより、支持部16を介して非回転柱部22に連結された電極清掃部材14は、放電電極11側へ距離Lだけ接離を繰り返す。
【0077】
つまり、アーム部23が図8の上死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接する。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中、最上位であって、かつ放電電極11から最も離れた位置(距離Lだけ)にある。
【0078】
この後、アーム部23が図9の下死点に向けて円運動を続き、非回転柱部22の先端は回転柱部231のP2、P1をこの順に当接していく。
【0079】
すなわち、アーム部23が前記下死点に達する前、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接することになる。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中の所定位置(例えば、最下位寄りの位置)にある。かつ、P2がP1と同一の平面部234上に位置することから、電極清掃部材14は放電電極11に当接した位置にある。
【0080】
アーム部23が前記下死点に達した場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接する。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中、最下位にあり、かつ放電電極11に当接した状態を維持されている。
【0081】
すなわち、その上下移動範囲中、最下位に達する前から、2つの電極清掃部材14は放電電極11の両面と当接した状態になり、そのまま、最下位に達するまで斯かる状態が続く。従って、2つの電極清掃部材14は、放電電極11を挟持した状態で、放電電極11の先端に向けて摺動して、放電電極11に付着されている塵埃を除去する。このような電極清掃部材14の動作は、アーム部23の円運動によって繰り返される。
【0082】
以下、上述したような移動操作機構A及び接離操作機構Bの動作に応じた、電極清掃部材14による放電電極11の清掃動作について説明する。図10〜図12は本発明に係るデジタル複合機100の電極清掃部材14による放電電極11の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【0083】
詳しくは、図10は、アーム部23が前記上死点に位置しており、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接している場合であり、図11は、アーム部23が前記下死点に達する前であって、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接している場合であり、図12は、アーム部23が前記下死点に達しており、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接している場合である。
【0084】
アーム部23が円運動中、前記上死点に位置した場合、図10に示すように、電極清掃部材14は、その上下移動範囲中、最上位であって、かつ放電電極11から最も(距離Lだけ)離れて位置している。
【0085】
この後、アーム部23が図9の下死点に向けて回転を続き、アーム部23が前記下死点に達する前であって、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接した場合、電極清掃部材14は、例えば、平板部111及び突起部112に跨る位置で放電電極11に当接している(図11参照)。
【0086】
次に、アーム部23が前記下死点に達するまで円運動を続くことにより、電極清掃部材14は放電電極11に当接した状態を維持したまま、その上下移動範囲中、最下位まで移動する(図12参照)。以降も、アーム部23は円運動を続き、前記下死点から上死点に戻る。これに従って、図12中、矢印で表示するように、電極清掃部材14は放電電極11から離れて、上下移動範囲中、最上位に戻る。
【0087】
このような電極清掃部材14による放電電極11の清掃動作は、アーム部23の円運動によって繰り返され、放電電極11に付着されている塵埃を落として除去することが出来る。また、斯かる電極清掃部材14による放電電極11の清掃は、デジタル複合機100の電源オン・オフの際、又は所定枚の記録用紙の出力の後に行われるように構成されている。
【0088】
従って、本発明に係るデジタル複合機100においては、清掃時に放電電極11に与える機械的ダメージを少なくして耐久性を確保できると共に、除去されたはずの塵埃の再付着、及びこれによる放電性能の劣化を防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0089】
1 帯電装置
2 感光体ドラム
11 放電電極
14 電極清掃部材
16 支持部
22 非回転柱部
23 アーム部
100 デジタル複合機
223 傾斜面
231 回転柱部
233 傾斜面
234 平面部
A 移動操作機構
B 接離操作機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、先鋭形状を有する放電電極を備える放電装置、帯電装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体である感光体ドラムを帯電させる放電装置は、放電のたびに像担持体上のトナー等の塵埃によって表面が汚れて帯電効率が低下していく。従って放電装置は、帯電効率の低下を防ぐために、放電部材の表面を清掃する必要がある。
【0003】
これに対して、例えば、特許文献1では、CRゴム(クロロプレンゴム)、発泡ウレタン等の清掃部材を一端部に設け、他端部に取手部を設けた操作ロッドを備え、該操作ロッドの清掃部材を放電部材に押圧させた状態で、該放電部材に沿って該清掃部材を往復移動させることによって、放電部材の表面の清掃が行われる帯電装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、研磨剤を含有した弾性体で構成された清掃ローラを備え、針電極の複数の針の先端部を順に清掃ローラの内部に没入及び抜脱させ、各針の先端部の全面を清掃ローラに接触させることにより、針の変形又は繊維の付着を生じることなく、針の先端部の全面を確実に清掃することができる帯電装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、複数の先鋭形状の放電部が配列された放電電極を備え、画像形成を行なう際には柔軟な弾性材質製の清掃部材を放電電極に突き刺し、放電電極の先端部のみを清掃部材から露出させて使用し、放電電極の清掃時に清掃部材を放電電極へ挿抜することによって放電電極に付着した塵埃を清掃するコロナ放電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−78692号公報
【特許文献2】特開2007−272169号公報
【特許文献3】特開2007−140047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、特許文献1に記載の発明は、その適用がワイヤ状の放電電極に限られており、針状の放電電極に対しては適用が困難である。また、請求項2及び請求項3に係る発明は、その適用が針状の先端を有する放電電極に限られており、ワイヤ状の放電電極への適用は不可能である。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電電極を備える放電装置において、前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備え、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して該放電電極の清掃を行なうことにより、針状又はワイヤ状の何れの放電電極の場合であっても対応できる放電装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、前記電極清掃部材が前記放電電極を挟持して該放電電極の先端に向けて移動して前記放電電極の清掃を行なうことにより、挟持した状態での往復動作が行なわれないので、放電電極に与える機械的ダメージを少なくして耐久性が確保されるとともに、清掃時に除去した塵埃の放電電極への再付着、及び該放電電極の放電性能への影響を抑えることができる放電装置、帯電装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る放電装置は、放電電極を備える放電装置において、前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して放電電極の清掃を行なう。従って、該放電電極が針状である場合でも、ワイヤ状である場合でも対応できる。
【0012】
本発明に係る放電装置は、前記放電電極は先鋭形状を有し、前記電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる移動操作部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれる場合、前記移動操作部が前記放電電極を挟持した状態の電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる。すなわち、挟持した状態で往復動作が行なわれないので、一旦除去された塵埃の再付着を極力抑えると共に、前記放電電極における機械的ダメージを少なくすることが出来る。
【0014】
本発明に係る放電装置は、夫々の電極清掃部材を前記放電電極に接離させる接離操作部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれる場合、前記接離操作部が該電極清掃部材を該放電電極に接触させる。一方、前記電極清掃部材による前記放電電極の清掃が行なわれない場合、前記接離操作部は該電極清掃部材を該放電電極から離隔させ、放電性能の低下を防ぐ。
【0016】
本発明に係る放電装置は、前記接離操作部は、同軸上に併設された、回転柱及び非回転柱を備えており、該非回転柱は前記電極清掃部材と連結され、前記回転柱及び非回転柱は向き合う端部に夫々傾斜面を有し、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更し、傾斜面同士が前記軸方向に接離するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更することにより、傾斜面同士が前記軸方向に接離する。換言すれば、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱が前記回転柱に対して接離する。このように、該非回転柱が接離することにより、該非回転柱に連結された前記電極清掃部材が前記放電電極に接離する。
【0018】
本発明に係る放電装置は、前記回転柱の傾斜面は、該回転柱の中心軸に垂直な平面部を有することを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更することにより、前記非回転柱が前記回転柱に対して前記軸方向に接離し、該非回転柱に連結された前記電極清掃部材が前記放電電極に接触又は離隔する。しかし、前記非回転柱の端部の先端が前記平面部と当接する間は、前記非回転柱の前記軸方向への接離が行なわれないので、前記電極清掃部材は前記放電電極と一定の接触又は離隔状態を保つ。
【0020】
本発明に係る帯電装置は、前述の発明の何れか一つに記載の放電装置を備え、静電潜像を担持する像担持体を帯電させるように構成してあることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、前記放電装置が静電潜像を担持する像担持体を帯電させる。
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、前述の発明の何れか一つに記載の帯電装置と、画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持する像担持体と、前記静電潜像に係る画像をシート上に形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、前記帯電装置によって前記像担持体が帯電される。これによって、像担持体は画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持し、前記画像形成手段は該静電潜像に係る画像をシート上に形成する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、前記2つの電極清掃部材が前記放電電極を挟持したまま、所定方向に摺動して放電電極の清掃を行なうことにより、針状又はワイヤ状の何れの放電電極の場合であっても対応できる。
【0025】
また、本発明によれば、放電電極に与える機械的ダメージを少なくして耐久性が確保されるとともに、清掃時に除去した塵埃の放電電極への再付着、及び該放電電極の放電性能に影響しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るデジタル複合機の全体構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明に係るデジタル複合機の感光体ドラムの周囲を示す模式図である。
【図3】本発明に係るデジタル複合機の帯電装置の要部構成を説明する概略的部分断面図である。
【図4】本発明に係るデジタル複合機の帯電装置において、一部を除去した状態での斜視図である。
【図5】本発明に係るデジタル複合機において、アーム部の中心軸方向から見た傾斜面の模式図である。
【図6】図5のC−C線による断面図である。
【図7】本発明に係るデジタル複合機において、図3のV方向から見た変換部及び非回転柱部を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るデジタル複合機における、移動操作機構及び接離操作機構の作用を説明する部分断面図である。
【図9】本発明に係るデジタル複合機における、移動操作機構及び接離操作機構の作用を説明する部分断面図である。
【図10】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【図11】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【図12】本発明に係るデジタル複合機の電極清掃部材による放電電極の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態に係る放電装置、帯電装置及び画像形成装置を、デジタル複合機に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。
【0028】
本発明に係るデジタル複合機は、後述するスキャナ8において読み取られる原稿の画像データに応じて原稿の複写物を印刷し、又はネットワークを介して接続されているパーソナルコンピュータなどの外部機器からの画像データに基づく画像を印刷するデジタル複合機である。
【0029】
図1は本発明に係るデジタル複合機100の全体構成を模式的に示す縦断面図である。デジタル複合機100は、帯電装置1と、感光体ドラム2と、転写器3と、定着器4と、クリーニングユニット5と、除電ランプ6と、露光器7と、スキャナ8と、給紙トレイ9と、現像器10と、排紙トレイ20とを含む。図2は本発明に係るデジタル複合機100の感光体ドラム2の周囲を示す模式図である。
【0030】
感光体ドラム2は、例えば、アルミニウム等の金属からなり、軸線回りを矢印方向に回転駆動可能に設けられており、表面に静電潜像及びトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム2の外周面は帯電装置1によって所定の極性及び電位に帯電される。現像器10は感光体ドラム2にトナーを供給して前記トナー像を形成する。
【0031】
転写器3は、感光体ドラム2に向かう一面が開口している直方体形状のケース31と、ケース31内であって前記一面と対向するケース31の他面に支持され、エポキシ等からなる絶縁性基板に設けられた放電電極32とからなる。放電電極32は、例えば、ワイヤ状又は鋸歯状の放電先端を備えており、図示しない電源に接続されている。転写器3は、高電圧(例えば、負の高電圧)が印加されると、前記放電先端からコロナ放電が発生し、感光体ドラム2及び転写器3の間を通る記録用紙Pの裏面を帯電させ、感光体ドラム2の外周面に形成されたトナー像を記録用紙P上に転写する。
【0032】
定着器4は、定着ローラ41と、加圧ローラ42とを備えている。定着ローラ41は軸線回りに回転可能に設けられており、その内部に加熱部材を有し、転写器3から搬送される記録用紙Pに担持されている未定着のトナー像を構成するトナーTを加熱して溶融させて記録用紙Pに定着させる。また、定着ローラ41は、例えば、芯金及び弾性層を含む。前記芯金は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属によって形成される。前記弾性層は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料で形成される。前記加熱部材としてはハロゲンランプ、赤外線ランプなどを使用できる。
【0033】
加圧ローラ42は回転自在に支持され、かつ定着ローラ41に対して圧接するように設けられている。加圧ローラ42は定着ローラ41の回転に従動回転する。定着ローラ41と加圧ローラ42との圧接部が定着ニップ部である。加圧ローラ42は、定着ローラ41によるトナー像の記録用紙Pへの加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーTを記録用紙Pに対して押圧することによって、トナー像の記録用紙Pへの定着を促進する。
【0034】
定着器4では、トナー像が転写された記録用紙Pが前記定着ニップ部を通過する際、トナー像を構成するトナーTが溶融されると共に記録用紙Pに押圧されることによって、トナー像が記録用紙Pに定着される。トナーTが定着された記録用紙Pは、排紙トレイ20に排出され、積載される。
【0035】
クリーニングユニット5は、クリーニングブレード51と、トナー貯留槽52とを有し、トナー像を転写した後の感光体ドラム2の外周面を清浄にする。クリーニングブレード51は、例えば、矩形であり、一辺側の縁が感光体ドラム2の外周面に当接するように設けられた板状部材であり、記録用紙Pにトナー像を転写した後に感光体ドラム2の外周面に残留するトナーT、紙粉などを感光体ドラム2の外周面から取り除く。トナー貯留槽52は内部空間を有する容器状部材であり、クリーニングブレード51によって除去されるトナーを一時的に貯留する。
【0036】
除電ランプ6は、クリーニングユニット5によるクリーニング処理後において感光体ドラム2の外周面上に残留する電荷を光学的に除電する。
【0037】
露光器7は、スキャナ8からの画像データ又は外部機器からの画像データに応じた信号光を、帯電状態にある感光体ドラム2外周面に照射する。これによって、感光体ドラム2外周面に、画像データに応じた静電潜像が形成される。露光器7には光源を含む光スキャニング装置が用いられる。該光スキャニング装置は、例えば、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、反射ミラーなどを組合せた装置である。光源としては、例えば、半導体レーザ、LEDアレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを使用できる。
【0038】
スキャナ8には原稿セットトレイ、自動原稿搬送装置(RADF、Reversing Automatic Document Feeder)などが設けられている。また、スキャナ8は原稿読み取り装置を備えており、該原稿読み取り装置は、原稿載置台と、原稿走査装置とを有する。該原稿載置台は、原稿を載置するためのガラス製板状部材である。前記原稿走査装置は、光源、反射部材、光学レンズ、ラインセンサ(例えば、Charge Coupled Device)などを備えている。
【0039】
給紙トレイ9は、普通紙、コート紙、カラーコピー用紙、OHPフィルムなどの記録用紙Pを収容するトレイである。給紙トレイ9は複数設けられ、それぞれの給紙トレイ9にはサイズの異なる記録用紙Pが収容されている。
【0040】
感光体ドラム2と転写器3との間に、感光体ドラム2の回転によってトナー像が搬送されるのに同期して、給紙トレイ9から記録用紙Pが1枚ずつ供給され、記録用紙Pが感光体ドラム2と転写器3との間を通過することによって、感光体ドラム2の外周面のトナー像が記録用紙Pに転写される。斯かる際、トナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を転写器3に印加することによって、感光体ドラム2の外周面のトナー像が記録用紙Pに円滑に転写される。
【0041】
帯電装置1は、感光体ドラム2の上方に、感光体ドラム2の外周面に対向して設けられた帯電チャージャであり、感光体ドラム2の外周面を所定の極性及び電位に帯電させる。帯電装置1は感光体ドラム2の長手方向に沿って配置される。
【0042】
図3は本発明に係るデジタル複合機100の帯電装置1の要部構成を説明する概略的部分断面図であり、図4は本発明に係るデジタル複合機100の帯電装置1において、一部を除去した状態での斜視図である。帯電装置1は、感光体ドラム2の長手方向に延び、感光体ドラム2と面する一面に開口131を有している外側ケース13と、高圧電源60に接続された放電電極11を収容しており、一面に矩形のグリッド電極17が設けられた内側ケース12とを備えている。内側ケース12は外側ケース13に収容されており、グリッド電極17が、外側ケース13の開口131を介して感光体ドラム2に面するように設けられている。
【0043】
帯電装置1の内側ケース12は中空の直方体形状であり、長手方向が感光体ドラム2の軸方向と平行になるように設けられている。また、内側ケース12は、例えば、PP、PC等の樹脂からなる。
【0044】
放電電極11は矩形の平板部111と突起部112とを含む先鋭状の板材である。放電電極11は、鋭角状の先端を有する突起部112を有することによって、高圧電源60から電圧の印加を受けると不平等電界を形成してコロナ放電し、感光体ドラム2表面を所定の電位及び極性に帯電させる。
【0045】
放電電極11は感光体ドラム2の中心軸方向に延びており、突起部112の先端が感光体ドラム2の周面に向けって突出するように設けられている。突起部112は、複数の先鋭状突起を含む。先鋭状突起は、平板部111の短手方向における感光体ドラム2を臨む縁端から平板部111の短手方向に連設され、平板部111の長手方向において所定のピッチを空けて一列に配置される。本実施の形態では、図4に示すように、先鋭状突起は鋸歯状形状を有してあるが、これに限定されるものでなく、針状形状を有する先鋭状突起を形成してもよい。
【0046】
放電電極11において、先鋭状突起の先端部は金めっきが施されている。斯かる金めっきにおいては、コロナ電極用板金に、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程、純水浸漬工程、ニッケルめっき工程、金めっき工程、水洗工程および乾燥工程を順次施すことによって、本発明において使用する放電電極11が得られる。
【0047】
放電電極11を保持する保持台30は、内側ケース12のグリッド電極17と対向する面に設けられている。保持台30は放電電極11と同様に感光体ドラム2の中心軸方向に延び、該中心軸方向に垂直な方向の断面がT字状の部材である。保持台30の突出部分の一側面には放電電極11がねじ止めされている。これによって、保持台30が放電電極11を保持する。保持台30は、たとえば、合成樹脂などによって形成される。
【0048】
グリッド電極17は、放電電極11と感光体ドラム2との間に配置され、図示しない電源から電圧の印加を受けて、感光体ドラム2表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位をより一層均一化する薄板状部材である。グリッド電極17は、その厚み方向に貫通するように形成される複数の貫通孔を有する多孔性薄板状部材である。グリッド電極17は、その長手方向が感光体ドラム2の中心軸方向と平行になるように設けられる。グリッド電極17は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などの金属材料からなる。
【0049】
放電電極11を挟んで両側には、放電電極11に付着している塵埃を除去する一対の電極清掃部材14が設けられている。電極清掃部材14は、CRゴム(クロロプレンゴム)、発泡ウレタン等からなり、放電電極11と当接する当接部141と、その一面に当接部141を保持する保持部142とを有する。電極清掃部材14は、放電電極11の長手方向に延びる直方体形状を有している。電極清掃部材14は、後述する移動操作機構によって、放電電極11の短手方向に、換言すれが、保持台30から突起部112の先端方向及び突起部112の先端から保持台30の方向に往復移動する。(以下、斯かる移動方向と同一の方向を上下方向と言う。)また、夫々の電極清掃部材14は、後述する接離操作機構によって、放電電極11の両面と接近又は離隔される。各電極清掃部材14は支持部16を介して前記移動操作機構及び接離操作機構に連結されている。(以下、斯かる接離方向と同一の方向を左右方向とする。)
【0050】
支持部16は、縦断面視“C(又は逆C)”の字のように屈曲した板材からなり、一端部が保持部142の他面の中央部に固定されており、他端部が前記移動操作機構及び接離操作機構と結合されている。内側ケース12には、放電電極11の両面と対向する両側面であって、電極清掃部材14と対応する位置に長穴15が放電電極11の長手方向に沿って夫々形成されている。従って、支持部16は長穴15を介して、内側ケース12の内側の電極清掃部材14と、内側ケース12の外側の前記移動操作機構及び接離操作機構を連結することが出来る。支持部16は、例えば、樹脂から形成されている。
【0051】
外側ケース13の内側であって、図3の紙面視左右方向の側面132には、支持部16の上下方向への移動を案内する一対の案内板19が夫々突設されている。すなわち、一対の案内板19は放電電極11の長手方向に相互隔てて、支持部16を挟むように併設されている。従って、放電電極11の長手方向における、支持部16の移動は規制され、上下方向への移動のみが可能となる。
【0052】
また、支持部16と外側ケース13の側面132の間には、バネ部18が設けられている。バネ部18によって、支持部16を放電電極11側に接近させる押圧が支持部16に常に与えられる。
【0053】
外側ケース13の内側においては、開口131に対向する他面の付近に移動操作機構A(移動操作部)と、接離操作機構B(接離操作部)とが設けられている。移動操作機構Aは、歯車24と、歯車24の回転を上下運動に変換させる変換部21とを有している。接離操作機構Bは、歯車24の円周縁側に設けられ、歯車24と共に円運動するアーム部23と、アーム部23の中心軸と同軸上に併設され、アーム部23と係合しており、回転不可能な非回転柱部22とを有している。
【0054】
歯車24は、該歯車24を回転させる駆動歯車25と噛み合っており、駆動歯車25は外側ケース13の外部からの駆動力によって回転される。駆動歯車25は外側ケース13の外に設けられており、外側ケース13の前記他面に形成された貫通穴26を介して、外側ケース13の内側の歯車24と噛み合うように配置されている。
【0055】
また、歯車24は、駆動歯車25と噛み合う一対の円盤型歯車241を備えている。一対の円盤型歯車241は、相互対向配置されており、これらの間には、これら円盤型歯車241を繋ぐ回転軸242が介在されている。また、回転軸242は回転可能に支持されている。
【0056】
歯車24の円盤型歯車241の外側面であって、円盤型歯車241の周縁付近にはアーム部23が設けられており、円盤型歯車241の回転に伴って、所定の半径にて円運動する。アーム部23は、円柱状の回転柱部231と、回転柱部231を外嵌する円筒ガイド232とを有している。
【0057】
回転柱部231は基部が円盤型歯車241に固定されており、先端部には傾斜面233が形成されている。また、傾斜面233は、回転柱部231の中心軸に垂直な平面部234を一部に有している。
【0058】
図5は本発明に係るデジタル複合機100において、アーム部23の中心軸方向から見た傾斜面233の模式図であり、図6は図5のC−C線による断面図である。図5中、ハッチングは平面部234を表す。
【0059】
図中、P1、P2及びP3は、非回転柱部22の先端との当接点を表す。図示するように、円盤型歯車241から先端側のP3が最も遠く、P1が最も近くなる。また、P1はP2と同一平面(平面部234)上であるので、P2もP1と同様、円盤型歯車241から最も近い。アーム部23が円運動することによって回転柱部231が回転する際、非回転柱部22の先端が、例えば、P3、P2、P1の順に傾斜面233及び平面部234との当接を繰り返し、回転柱部231の傾斜面233と、後述する非回転柱部22の傾斜面223とは接離を繰り返す。
【0060】
一方、円筒ガイド232は、非回転柱部22が挿入できる内径を有しており、回転柱部231の中心軸方向に延びるように設けられている。非回転柱部22は円筒ガイド232内に挿入されることによって、アーム部23と係合されており、アーム部23の円運動の際においても該係合状態は維持されるので、アーム部23が円運動する場合、非回転柱部22は共に円運動する。
【0061】
非回転柱部22は、円柱状であり、一端部が変換部21と係合しており、他端部には傾斜面223が形成されている。図7は本発明に係るデジタル複合機100において、図3のV方向から見た変換部21及び非回転柱部22を示す斜視図である。
【0062】
非回転柱部22は、柱部221と、該柱部221の端部に形成された傾斜面223と、柱部221を変換部21に係合させる係合部222とを有する。また、変換部21は、放電電極11の長手方向に沿って延びる直方体形状を有する。以下、説明の便宜上、放電電極11の長手方向を奥行方向であうるとする。
【0063】
柱部221は、アーム部23側の一端部に傾斜面223が形成されており、傾斜面223は上方を向くように形成されている。
【0064】
柱部221の他端部には係合部222が設けられている。係合部222は、後述する変換部21の長穴211と係合しており、長穴211の長径方向への摺動が出来るように設けられている。詳しくは、係合部222は上下方向の寸法が長穴211の短径と略等しいブロック体であり、長穴211に嵌められている。また、係合部222には抜け止め処理が施されており、長穴211の長手方向に摺動できる。すなわち、非回転柱部22は奥行方向への移動が出来るように構成されている。
【0065】
変換部21は奥行方向を長手方向としており、左右方向に変換部21を貫通する長穴211がその中央部に形成されている。長穴211は奥行方向を長径とし、上下方向を短径とする。長穴211には、非回転柱部22の係合部222が係合されている。
【0066】
また、上述したように、非回転柱部22は変換部21を介して支持部16と連結されており、支持部16にはバネ部18からの押圧力が加わっている。従って、非回転柱部22にも該押圧力が及ぶので、非回転柱部22はアーム部23への移動が強制される。
【0067】
図8及び図9は本発明に係るデジタル複合機100における、移動操作機構A及び接離操作機構Bの作用を説明する部分断面図である。以下、図8及び図9に基づき、移動操作機構A及び接離操作機構Bの作用について説明する。
【0068】
まず、移動操作機構Aは変換部21及び歯車24からなり、歯車24の回転運動を上下移動に変換して、支持部16を介して電極清掃部材14に伝える。これによって電極清掃部材14は上下方向に移動する。
【0069】
詳しくは、歯車24が駆動歯車25によって回転する場合、アーム部23が共に円運動する。斯かる際、アーム部23に係合されている非回転柱部22もアーム部23と一緒に円運動する。このような非回転柱部22の円運動は、換言すれば、奥行方向及び上下方向への変位である。しかし、非回転柱部22の奥行方向及び上下方向への変位の中、奥行方向への変位は、変換部21で吸収される。すなわち、非回転柱部22が変換部21の長穴211に沿って奥行方向に移動することで、奥行方向への変位は実現され、残りの上下方向への変位のみが支持部16を介して電極清掃部材14に伝わることになる。従って、非回転柱部22又はアーム部23が図8に示すいわゆる上死点と、図9に示す下死点との間を繰り返して往復(回転)することによって、電極清掃部材14は上下方向への往復移動するようになる。
【0070】
なお、アーム部23が円運動中、図8に示す上死点に位置する場合、電極清掃部材14はその上下方向への移動範囲中、最上位に位置し、アーム部23が図9に示す下死点に位置する場合は、電極清掃部材14はその上下方向への移動範囲(以下、上下移動範囲と言う。)中、最下位に位置することになる。
【0071】
次に、接離操作機構Bは非回転柱部22及びアーム部23からなる。歯車24が回転する場合において、非回転柱部22の傾斜面223がアーム部23の傾斜面233から、前記中心軸方向に、接離することにより、電極清掃部材14を放電電極11に接離させる。
【0072】
詳しくは、歯車24の回転に伴ってアーム部23が円運動する場合、図8及び図9に示すように、傾斜面233の向きは変化する。この際、上述したように、非回転柱部22の先端が、図5のP3、P2、P1の順に傾斜面233及び平面部234との当接を繰り返す。
【0073】
例えば、アーム部23が円運動中、図8に示す上死点に位置する場合、傾斜面233は上方向きであり、図9に示す下死点に位置する場合は、下方向きである。アーム部23が図8の上死点に位置する場合は、回転柱部231のP3に非回転柱部22の先端が当接している。一方、アーム部23が図9の下死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接し、傾斜面223と傾斜面233とが当接する。換言すれば、アーム部23が上死点から下死点に移動することによって、非回転柱部22はバネ部18からの押圧力によって距離Lだけアーム部23側に進行し、アーム部23が下死点から上死点に移動することによって、非回転柱部22は距離Lだけ、逆方向に後退する。従って、アーム部23が円運動する際には、非回転柱部22が、前記中心軸上において、上述したような進退運動を行なう。この際、傾斜面223と傾斜面233とが前記中心軸方向にて接離を繰り返す。
【0074】
また、P2においては、P2がP1と同一の平面部234上に位置することから、非回転柱部22の先端がP2に当接した場合は、非回転柱部22の先端がP3に当接した場合に比べ、P1の場合と同様、距離Lだけアーム部23側に進行したこととなる。
【0075】
更に、上述したように、非回転柱部22は支持部16を介して電極清掃部材14と連結されているので、非回転柱部22の前記進退運動に伴い電極清掃部材14も一定の動作を行なう。アーム部23が上死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接しており、電極清掃部材14は放電電極11から最も離れた位置、すなわち、距離Lだけ離れた位置にある。一方、アーム部23が図9の下死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が距離Lだけ進行して回転柱部231のP1に当接しており、電極清掃部材14も距離Lだけ放電電極11側に接近して放電電極11の一面に当接するようになる。
【0076】
すなわち、アーム部23が円運動することによって、非回転柱部22が、前記中心軸上において、上述したような進退運動を行なうことにより、支持部16を介して非回転柱部22に連結された電極清掃部材14は、放電電極11側へ距離Lだけ接離を繰り返す。
【0077】
つまり、アーム部23が図8の上死点に位置する場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接する。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中、最上位であって、かつ放電電極11から最も離れた位置(距離Lだけ)にある。
【0078】
この後、アーム部23が図9の下死点に向けて円運動を続き、非回転柱部22の先端は回転柱部231のP2、P1をこの順に当接していく。
【0079】
すなわち、アーム部23が前記下死点に達する前、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接することになる。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中の所定位置(例えば、最下位寄りの位置)にある。かつ、P2がP1と同一の平面部234上に位置することから、電極清掃部材14は放電電極11に当接した位置にある。
【0080】
アーム部23が前記下死点に達した場合は、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接する。この際、電極清掃部材14はその上下移動範囲中、最下位にあり、かつ放電電極11に当接した状態を維持されている。
【0081】
すなわち、その上下移動範囲中、最下位に達する前から、2つの電極清掃部材14は放電電極11の両面と当接した状態になり、そのまま、最下位に達するまで斯かる状態が続く。従って、2つの電極清掃部材14は、放電電極11を挟持した状態で、放電電極11の先端に向けて摺動して、放電電極11に付着されている塵埃を除去する。このような電極清掃部材14の動作は、アーム部23の円運動によって繰り返される。
【0082】
以下、上述したような移動操作機構A及び接離操作機構Bの動作に応じた、電極清掃部材14による放電電極11の清掃動作について説明する。図10〜図12は本発明に係るデジタル複合機100の電極清掃部材14による放電電極11の清掃を説明する部分的縦断面図である。
【0083】
詳しくは、図10は、アーム部23が前記上死点に位置しており、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP3に当接している場合であり、図11は、アーム部23が前記下死点に達する前であって、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接している場合であり、図12は、アーム部23が前記下死点に達しており、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP1に当接している場合である。
【0084】
アーム部23が円運動中、前記上死点に位置した場合、図10に示すように、電極清掃部材14は、その上下移動範囲中、最上位であって、かつ放電電極11から最も(距離Lだけ)離れて位置している。
【0085】
この後、アーム部23が図9の下死点に向けて回転を続き、アーム部23が前記下死点に達する前であって、非回転柱部22の先端が回転柱部231のP2に当接した場合、電極清掃部材14は、例えば、平板部111及び突起部112に跨る位置で放電電極11に当接している(図11参照)。
【0086】
次に、アーム部23が前記下死点に達するまで円運動を続くことにより、電極清掃部材14は放電電極11に当接した状態を維持したまま、その上下移動範囲中、最下位まで移動する(図12参照)。以降も、アーム部23は円運動を続き、前記下死点から上死点に戻る。これに従って、図12中、矢印で表示するように、電極清掃部材14は放電電極11から離れて、上下移動範囲中、最上位に戻る。
【0087】
このような電極清掃部材14による放電電極11の清掃動作は、アーム部23の円運動によって繰り返され、放電電極11に付着されている塵埃を落として除去することが出来る。また、斯かる電極清掃部材14による放電電極11の清掃は、デジタル複合機100の電源オン・オフの際、又は所定枚の記録用紙の出力の後に行われるように構成されている。
【0088】
従って、本発明に係るデジタル複合機100においては、清掃時に放電電極11に与える機械的ダメージを少なくして耐久性を確保できると共に、除去されたはずの塵埃の再付着、及びこれによる放電性能の劣化を防ぐことが出来る。
【符号の説明】
【0089】
1 帯電装置
2 感光体ドラム
11 放電電極
14 電極清掃部材
16 支持部
22 非回転柱部
23 アーム部
100 デジタル複合機
223 傾斜面
231 回転柱部
233 傾斜面
234 平面部
A 移動操作機構
B 接離操作機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極を備える放電装置において、
前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備えることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
前記放電電極は先鋭形状を有し、
前記電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる移動操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
夫々の電極清掃部材を前記放電電極に接離させる接離操作部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記接離操作部は、
同軸上に併設された、回転柱及び非回転柱を備えており、
該非回転柱は前記電極清掃部材と連結され、
前記回転柱及び非回転柱は向き合う端部に夫々傾斜面を有し、
前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更し、傾斜面同士が前記軸方向に接離するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記回転柱の傾斜面は、該回転柱の中心軸に垂直な平面部を有することを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の放電装置を備え、
静電潜像を担持する像担持体を帯電させるように構成してあることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の帯電装置と、
画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持する像担持体と、
前記静電潜像に係る画像をシート上に形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
放電電極を備える放電装置において、
前記放電電極を挟持して摺動する2つの電極清掃部材を備えることを特徴とする放電装置。
【請求項2】
前記放電電極は先鋭形状を有し、
前記電極清掃部材を該放電電極の先端に向けて移動させる移動操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の放電装置。
【請求項3】
夫々の電極清掃部材を前記放電電極に接離させる接離操作部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記接離操作部は、
同軸上に併設された、回転柱及び非回転柱を備えており、
該非回転柱は前記電極清掃部材と連結され、
前記回転柱及び非回転柱は向き合う端部に夫々傾斜面を有し、
前記回転柱の回転の際、前記非回転柱の端部の先端が該回転柱の傾斜面にて当接する位置が変更し、傾斜面同士が前記軸方向に接離するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記回転柱の傾斜面は、該回転柱の中心軸に垂直な平面部を有することを特徴とする請求項4に記載の放電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の放電装置を備え、
静電潜像を担持する像担持体を帯電させるように構成してあることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6に記載の帯電装置と、
画像形成すべき画像に対応する静電潜像を担持する像担持体と、
前記静電潜像に係る画像をシート上に形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−41056(P2013−41056A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177080(P2011−177080)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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