説明

救命用カプセル

【課題】津波や瓦礫等からヒトを保護し且つカプセルがどのような方向へ傾転したとしてもヒトが転がり踊ることがないコンパクトサイズの救命用カプセルを提供する。
【解決手段】底部にウェイト8を有し、外周部に弾性バンパーを備えた球殻体からなる救命用カプセル1において、カプセルを閉じた時、一の端がカプセルの底部に固定されている弾性材料からなる複数の棒状又は帯状部材60の束の他の端をカプセルの頂部へ固定し、緊張させることにより、該棒状又は帯状部材の束の中にヒトの身体を保持することができる身体保持手段6を備えた前記救命用カプセルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトを収容して水の中で浮くことができる救命用カプセルであって、特に津波や大洪水などの災害時に流木や瓦礫からヒトを保護し、且つカプセルがどのような方向へ傾転したとしても、カプセルの中でヒトが転がり踊ることがないように、ヒトの身体を局部的に圧迫することなく安定的に保持することができる身体保持手段を備えた救命用カプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は世界有数の地震大国であり、四方が海に囲まれているために地震による津波災害も甚大となるものが多い。特に2011年3月11日に太平洋三陸沖を震源として発生した東日本大震災では、津波等により18万戸以上の建物が半壊又は全壊し、死者、行方不明者の数も2万人以上に上る大災害となった。
【0003】
地震発生時、このような津波等からヒトの身を守る安全策の一つとして、救命カプセルを利用することが提案されている。津波発生時に重要なことは、津波が到達する前にいち早く高台等へ避難することであるが、救命カプセルは、近くに避難できる高台等が少ない沿岸近くの平野部に住む住民や、身体の動きが不自由で短時間に安全な場所へ避難することができない高齢者にとって極めて有益な救命手段であると考えられている。
【0004】
救命カプセルの主な課題は、流木や瓦礫からヒトを守るための強度を有することと、津波等の中でカプセルが傾転した時に、ヒトが転がり踊ってカプセル内の壁面等に身体を殴打しないようにすることである。このような課題を克服するために、例えば、特開2006−158874号公報(特許文献1)及び実開昭50−70696号公報(特許文献2)では、剛性を有する外殻体と、該外殻体の中に収容され、外殻体に対し自由方向に回動可能な球形のカプセルとからなり、該カプセルは、ヒトを収容するために水密性が保たれた室内スペースと、該室内スペースを水平状態に保つためのバランス用の錘と、出入口とを備えた災害避難用装置が開示されている。この装置は、外殻体が主に流木や瓦礫による損傷を防ぎ、その中のカプセルは、装置がどのような角度で傾いていたとしても室内スペースの水平状態を保つことにより、中に避難したヒトを正常な姿勢に保ち保護するようにしたものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の災害避難用装置は、大掛かりで構造も複雑であるため、高価であり、個人の家の中又は敷地内に常設、保管等するには不向きであるといった問題があった。
【0006】
一方、個人の家での収納性や保管性を重視したコンパクトサイズの救命用カプセルとしては、実開昭60−174698号公報(特許文献3)、実開昭58−143787号公報(特許文献4)及び特開2007−331660号公報(特許文献5)等に記載されている身体収容カプセルが開発されている。
【0007】
このタイプのカプセルは、構造が比較的簡単で安価に製作できるという利点があるものの、ヒトを1〜2名収容できる程度の小型の球形又は卵形のカプセルであるので、外周にスタビライザーや浮力タンク等を配設しても津波や洪水の中では実質的にカプセルを水平状態に保つことができない。このため、これらのカプセル中には、ヒトが転がり踊ることがないように身体を固定するためのベルトや、カプセル内の壁面等に身体が衝突するのを防止するためのエアバッグが準備されていることが一般的となっていた。
【0008】
しかしながら、実際の津波等の中では、カプセルは傾転、回転を繰り返しながら激しく揺すられ、流木や瓦礫等との衝突による衝撃も大きいので、単にベルトの装着のみによってヒトの身体を固定する方法では、ベルトにより固定されている身体部分が局部的に圧迫され、骨折や酷い打撲を負うなどカプセル内に避難したヒトの安全を確実に確保することが困難であるといった問題があった。特に高齢者の場合は、骨の頑強さが低下していることが多いので、ベルト装着等による身体固定手段が必要不可欠な小型の救命カプセルは適さないという問題があった。
【0009】
また、カプセル内にエアバック等の気体が封入されたクッションを利用すると、避難者が呼吸をするためにカプセル内に保持できる空気の容積が相対的に減少するため、短時間の間しかカプセル内に避難することができないという問題があった。特に容積が小さい小型のカプセルではこの問題は顕著であり、問題解消のためには、カプセルに水が侵入するおそれがある通気孔を設けるか、カプセル内に酸素ボンベを準備しておく必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−158874号公報
【特許文献2】実開昭50−70696号公報
【特許文献3】実開昭60−174698号公報
【特許文献4】実開昭58−143787号公報
【特許文献5】特開2007−331660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、個人の家でも保管しておくことができるコンパクトサイズの救命用カプセルであって、特に津波や大洪水などの災害時に流木や瓦礫からヒトを保護し、且つカプセルがどのような方向へ傾転したとしても、カプセルの中でヒトが転がり踊ることがないように、ヒトの身体を局部的に圧迫することなく安定的に保持することができる特殊な身体保持手段を備えた、構造がシンプルで安価に製作できる救命用カプセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、ヒトが1〜2名程度避難することができる小型の救命カプセルにおいて、カプセルがどのような方向へ傾転したとしても、カプセルの中でヒトが転がり踊ることがないように、しかもヒトの身体を局部的に圧迫することなく安定的に保持することができる身体保持手段について鋭意検討を重ねた結果、閉じた状態にあるカプセルの中で、例えば、カプセル内の頂部及び底部に固定された弾性材料からなる複数の棒状又は帯状部材の束を配設することにより、非常時、緊張させたその束の中にヒトの身体を保持することが適当であるとの結論に達し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明によれば、ヒトを収容して水の中で浮くことができる救命用カプセルであって、カプセルは、カプセルの水平を安定させるためのウェイトを底部中心部に備えている下半球殻体と、ヒトを収容するための空間を形成するために下半球殻体に対し開放及び液密に密閉可能に接合される上半球殻体と、カプセルを保護し且つ水面での水平を維持するために、下半球殻体の外周面の縁に沿って赤道上に取り付けられたリング状の弾性バンパーと、カプセルの中でヒトが転がり踊るのを防止するために、一の端が下半球殻体内底部へ取り付けられた身体保持手段を備えており、そして身体保持手段は、下半球殻体に対し上半球殻体を閉じた時、身体保持手段の他の端を上半球体内頂部へ固定し緊張させることにより、該身体保持手段の中にヒトの身体を保持し且つカプセルの密閉が開放されないように上半球殻体と下半球殻体との間に張力を付与することを特徴とする救命用カプセルが提供される。
【0014】
また、上述のように下半分に対し上半分を開閉可能にしたカプセルではなく、略球形のカプセルの一部に開口部及び蓋体を設けることによりヒトの出入を可能にした他のタイプのカプセルとして、本発明によれば、内部にヒトを収容するための空間を有することにより水の中で浮くことができる救命用カプセルであって、カプセルは、ヒトが出入りするための開口部と、該開口部に対し開放及び液密に密閉可能な蓋体を備え、そしてカプセルの水平を安定させるためのウェイトを底部中心部に備えた球殻体と、カプセルを保護し且つ水面での水平を維持するために、球殻体の外周面の赤道上に取り付けられたリング状の弾性バンパーと、そして一の端は球殻体の頂部へ取り付けられており他の端は前記球殻体の底部へ取り付けられている身体保持手段であって、該身体保持手段を緊張させることによりその中にヒトの身体を保持する身体保持手段を備えていることを特徴とする救命用カプセルが提供される。
【0015】
ただし、上述のように開口部及び蓋体を設けた救命用カプセルの場合、球殻体は、互いに液密に接合された上半分の上半球殻体と下半分の下半球殻体から構成してもよい。
【0016】
本発明の救命用カプセルは、ヒト1名程度が全部又は半分かがみ込んだ状態で避難することができる程度の小型のカプセルであるので、球殻体の表面積に対し球殻体の肉厚を比較的大きく取ることができ、またその全体形状も略球形をなしているため、津波等による災害時に、勢いよく流されてくる流木や瓦礫等との衝突に対し十分に耐え得る強度を確保することができる。また、本発明の救命用カプセルは極めてコンパクトであるので、個人の家の中や物置、庭などに簡単に設置し常備しておくことができる。このため、本発明の救命用カプセルの大きさは、外径が120cm〜200cmの範囲内に抑えられていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の救命用カプセルは、その底部の中心部にカプセルの水平を安定させるためのウェイトを備え、その外周面の赤道上には、カプセルを保護し且つ水面での水平を維持するための浮力を有するリング状の弾性バンパーを備えている。
【0018】
このため、本発明の救命用カプセルは、津波等の中でカプセルが水面に浮いている時は、重心が下方になることで天地を逆にすることなく自力で正立することができ、また、弾性バンパーの位置が喫水線となるよう水面に浮かぶことにより、カプセル本体の激しい揺れを抑えることができる。また、弾性ダンパーは、カプセルの外周面にリング状に取り付けられているため、他の物体や水面を漂う浮遊物との衝突からカプセルを保護する。
【0019】
弾性バンパーは、例えば車のタイヤのように、弾性変形することによって外部からの衝撃を吸収し得るものであって、且つ内部が空洞等であって浮力を有するものが好ましい。内部は空洞ではないが、弾性変形することによって衝撃を吸収し且つ浮力を有するものとして、発泡性のポリウレタン樹脂やポリスチレン樹脂等の発泡性プラスチック材料を使用することもできる。また、弾性バンパーは、カプセルを他の物体との衝突等から保護するものであるため、カプセル外周面の赤道上の全方位に取り付けられていることが好ましい。しかしながら、弾性バンパーの変形のし易さを考慮して、全方位ではなく、カプセル外周面の赤道上に一定の間隔を開けて配置されていてもよい。
【0020】
なお、本願明細書において“赤道上”とは、球殻体からなるカプセルの外周面と、その中心を通る水平断面とが交わるカプセル外周面上の線の上にあることを意味し、本発明では厳密な意味での該線の上にあることのみならず、該線に隣接し且つ平行なカプセル外周面上の他の線の上にある場合も含む概念である。
【0021】
本発明の救命用カプセルは、カプセル内への避難を容易にするために、カプセル全体を上半分からなる上半球殻体と下半分からなる下半球殻体に分割し、上半球殻体を、下半球殻体に対し開放及び液密に密閉可能に接合できるような構成とすることができる。この場合、カプセルの上半球殻体と下半球殻体は、それぞれが完全に分離独立した別体物として準備されていてもよく、また蝶番で接続された半一体物として準備されていてもよい。
【0022】
カプセルを分割した場合、上半球殻体と下半球殻体が完全な別体物であれ半一体物であれ、非常時、避難者はカプセルの上半球殻体を開けてカプセルの中に入り、上半球殻体を下半球殻体の上に覆い被せるように接合した後、内部よりパチン錠などの係止部材を用いて両球殻体を液密に密閉することにより、容易にカプセル内への避難を完了する。この時、上半球殻体と下半球殻体の接合部分には、液密性を向上させるために防水パッキンが配設されていることが好ましい。
【0023】
また、本発明の救命用カプセルは、カプセルの耐久性及び液密性を重視して、カプセルの一部に開口部及び蓋体を設けることにより、ヒトの出入を可能にした一体型の球殻体として構成することもできる。この場合、避難者は蓋体を開けて開口部からカプセルの中に入り、開口部を蓋体で液密に閉じることにより容易にカプセル内への避難することができる。
【0024】
本発明の救命用カプセルは、金属、プラスチック等の様々な材料から作ることができるが、強化プラスチック、FRP、アルミニウム合金等の軽量材料から形成されていることが好ましい。
【0025】
また、カプセルの上半球殻体又は上半分は、外部との透視性を考慮して、例えば透明なポリカーボネート樹脂のような透明材料から形成することができる。したがって、上述のようにカプセルを一体型の球殻体として形成する場合は、該球殻体を上半球殻体と下半球殻体とに分けて成形し、それらを後工程において接着剤、レーザー光等を用いて液密に接合することにより一体化することができる。
【0026】
カプセルの上半球殻体又は上半分を透明材料から形成した場合、カプセル内に避難したヒトは、上半球殻体又はカプセルの上半分を通して外部の状況を知ることができる。このため、津波等の災害発生時には、津波等の状況の変化を的確に判断して、上半球殻体又は蓋体を開けてカプセルの中から他の安全な場所へ避難することができる。
【0027】
また、カプセルの上半球殻体又は上半分を透明材料から形成すると、カプセルの内部に光源装置及びその電源装置を装備することにより、カプセルの内部から透明部分を通して光を発することができるようになる。このため、特に夜間等において、捜索者に対しカプセルの所在を容易に知らせることが可能となり有益である。さらに、救命用カプセルは、光源装置の他に無線装置や電波発生装置を装備してもよい。この場合、捜索者に対しカプセルの位置をより正確により迅速に知らせることができるであろう。
【0028】
さらに、このような電気機器を積載した救命用カプセルの場合、カプセルの上半球殻体又は上半分は透明材料から作られているので、カプセルの内部にソーラーパネル及び二次電池を準備し、これらを電源装置として利用することもできる。また、このような場合、外部へ電気を供給することができるコンセントを準備すれば、日常的にも救命用カプセルを家庭用の補助電源として利用することができるので便利である。
【0029】
また、本発明の救命用カプセルでは、カプセル内に避難したヒトが短期間の間その中で暮らすことができるように、酸素ボンベや飲料水、非常食、紙オムツ等を装備しておくことができる。また、カプセル内の酸素の確保に関しては、必要に応じて外部との気体連通を可能にするキャップ付きの外気導入口を設けることにより対処することもできる。
【0030】
このように、本発明の救命カプセルでは、カプセルの強度を低下させる可能性のある開口部や、上半球殻体と下半球殻体、蓋体等を連結するためのパチン錠や接合面のフランジ、ボルト、ナットなど、瓦礫や流木と衝突することによりカプセルを損傷させるおそれがある外部突起物等が極力排除され、球形を基本形状としながら、コンパクトで且つシンプルな構造を追及することにより、カプセル全体の強度及びその取り扱い性を向上させている。
【0031】
本発明の救命用カプセルは、カプセルが閉じた状態にある時、一の端は球殻体の頂部へ取り付けられており他の端は球殻体の底部へ取り付けられている身体保持手段であって、該身体保持手段を緊張させることによりその中にヒトの身体を保持する身体保持手段を備えている。
【0032】
このため、本発明による救命用カプセルは、特に津波や大洪水などの災害時に流木や瓦礫からヒトを保護し、且つカプセルがどのような方向へ傾転したとしても、カプセルの中でヒトが転がり踊ることがないように、ヒトの身体を局部的に圧迫することなく安定的に保持することができる。
【0033】
例えば、身体保持手段は、弾性材料からなる複数の棒状又は帯状部材の束から構成することができる。このタイプの場合、複数の棒状又は帯状部材の束は、カプセルを閉じた時、束の一の端が球殻体の底部へ取り付けられており、束の他の端が球殻体の頂部へ取り付けられる。そして、カプセルの中へ避難したヒトは、弾性材料からなる棒状又は帯状部材の束を掻き分けるようにしてその中に入り、球殻体の頂部又は/及び底部へ固定されている束の端部をパチン錠等の固定具を用いて緊張状態にすることにより、自己の身体を身体保持手段の中に保持することができる。
【0034】
また、身体保持手段による拘束力をより強化するためには、帯状のバンドにより、ヒトの身体と共に、棒状又は帯状部材の束の外側からバンド掛けを行うことができるようにしておくことも有効である。さらに、バンド掛けをした帯状のバンドを、ロープ等を用いて球殻体の内周面へ向けて引っ張ることにより、身体保持手段により保持されたヒトの身体の放射方向への揺れを強力に抑制することもできる。このため、帯状のバンドには、該バンドから球殻体の内周面へ向けて放射状に延ばすことができ且つその先端は球殻体の内周面に固定される、棒状又はロープ状の部材を準備しておくことが好ましい。
【0035】
他の具体例として、身体保持手段は、弾性材料からなるロール状に巻かれた形状を記憶したシートから構成されていてもよい。このタイプの場合、ロール状に巻かれたシートは、カプセルを閉じた時、シートの一の端は球殻体の底部へ取り付けられており、他の端は球殻体の頂部へ取り付けられている。そして、カプセルの中へ避難したヒトは、弾性材料からなるロール状に巻かれたシートを解すようにしてその中に入り、球殻体の頂部又は/及び底部へ固定されている束の端部をパチン錠等の固定具を用いて緊張状態にすることにより、自己の身体を身体保持手段の中に保持することができる。また、身体保持手段による拘束力をより強化するためには、身体を包み込んだシートの巻き状態が緩まないように、シートの先端部をマジックテープ(登録商標)等で接着及び固定できるようにしておくことも有効である。
【0036】
さらなる他の具体例として、身体保持手段は、必ずしも弾性材料からできている必要がなく、例えばロープ等の非弾性体をネット状に編んだものであってもよい。勿論、ネットは弾性材料を使用したものであってもよい。このタイプの場合、ネットは、ロール状に巻かれたいわゆるハンモックのような形状をしており、カプセルを閉じた時、ネットの一の端は球殻体の底部へ取り付けられており、ネットの他の端は球殻体の頂部へ取り付けられている。そして、カプセルの中へ避難したヒトは、ロール状に巻かれたネットを解すようにしてその中に入り、球殻体の頂部又は/及び底部へ固定されている束の端部をパチン錠等の固定具を用いて緊張状態にすることにより、自己の身体を身体保持手段の中に保持することができる。
【0037】
また、身体保持手段による拘束力をより強化するためには、帯状のバンドにより、ヒトの身体と共に、ネットの外側からバンド掛けを行うことができるようにしておくことも有効である。さらに、バンド掛けをした帯状のバンドを、ロープ等を用いて球殻体の内周面へ向けて引っ張ることにより、身体保持手段により保持されたヒトの身体の放射方向への揺れを強力に抑制することもできる。このため、帯状のバンドには、該バンドから球殻体の内周面へ向けて放射状に延ばすことができ且つその先端は球殻体の内周面に固定される、棒状又はロープ状の部材を準備しておくことが好ましい。
【0038】
このように、本発明の救命用カプセルの身体保持手段は、身体との接触点が多く、接触面積も大きく、さらに、原則として弾性材料からできていることが好ましいので、大きな衝撃を受けた場合でもその衝撃力を分散及び吸収してヒトの身体を保護することができる。また、本発明の身体保持手段は、構成が極めてシンプルであり、身体固定用のバックルなど特殊な固定用金具も必要としないので、避難者は迅速且つ容易に身体保持手段の中に自己の身体を保持することができる。
【0039】
また、本発明の身体保持手段は、救命用カプセルが開閉可能な上半球殻体と下半球殻体から構成されている場合、カプセルを閉じて身体保持手段をセットした後、一の端が下半球殻体の底部へ固定され、他の端が上半球殻体の頂部へ固定された状態となる。このため、身体保持手段は上半球殻体と下半球殻体との間に引張り張力を付与し、上半球殻体と下半球殻体との開放を防いでカプセルの密閉状態を確実に保持するためにも機能する。
【発明の効果】
【0040】
本発明による救命用カプセルは、カプセルの強度を低下させる可能性のある開口部や、津波等による瓦礫や流木と衝突することによりカプセルを損傷させるおそれがある外部突起物等を極力排除し、球形を基本形状としているので、流木や瓦礫との衝突に十分耐え得る強度を確保することができ、また、平常時は、個人の家でも保管しておくことができるようなコンパクトサイズにすることができる。
【0041】
本発明による救命用カプセルは、特に津波や大洪水等による流木や瓦礫からヒトを保護し、且つカプセルがどのような方向へ傾転したとしても、カプセルの中でヒトが転がり踊ることがないように、ヒトの身体を確実且つ安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】球殻体が2分割された本発明による救命用カプセルの側面図である。
【図2】球殻体が一体型の本発明による救命用カプセルの側面図である。
【図3】帯状部材の束からなる身体保持手段を備えた本発明の救命用カプセルの中心断面図である。
【図4】ロール状に巻かれたシートからなる身体保持手段を備えた本発明の救命用カプセルの中心断面図である。
【図5】ロール状に巻かれたシートからなる身体保持手段を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態に係る救命用カプセルについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0044】
図1及び図2を用いて、本発明の救命用カプセルの外観的特徴を説明する。
【0045】
図1には、下半球殻体2と、下半球殻体2に対し開放及び液密に密閉可能な上半球殻体3とからなる本発明の救命用カプセル1が示されている。カプセル1は、外径が120cm〜200cmの略球形をなしており、下半球殻体2と上半球殻体3は蝶番により開閉可能に連結されている。また、カプセル1の液密性は、下半球殻体2と上半球殻体3の接続部分に防水パッキンを配設することにより確保されており、上半球殻体3には外部の空気を取り入れるための外気導入口9を設けられている。さらに、カプセル1の外周面には、カプセル1を保護し且つ水面での水平を維持するための弾性バンパー4が赤道上に沿って取り付けられている。
【0046】
したがって、図1に示される救命用カプセル1の場合、避難者はカプセル1の上半球殻体3を開けて中に入り、カプセル1の中から上半球殻体3を閉めた後、下半球殻体2と上半球殻体3の接合部分に一定の間隔を開けて配置されているカプセル内部のパチン錠(図示せず)を締めることにより、カプセル1の液密な密閉状態を確立する。
【0047】
一方、図2には、ヒトが出入するための開口部51と蓋体52を備えた一体化された1つの球殻体5からなる本発明の救命用カプセル1が示されている。ただし、カプセル1は、下半球殻体20と上半球殻体30とに分けて別々に成形し、後工程において、接着剤を用いる等して両者を液密に接合し一体化したものである。図2に示されるカプセル1は、図1に示されているカプセル1と同様に外径が120cm〜200cmの略球形をなしており、蓋体52は開口部51の縁に蝶番により開閉可能に取り付けられている。また、カプセル1の外周面には、外部の空気を取り入れるための外気導入口9と、カプセル1を保護し且つ水面での水平を維持するための弾性バンパー4が赤道上に沿って取り付けられている。
【0048】
したがって、図2に示される救命用カプセル1の場合、避難者は蓋体52を開けて開口部51よりカプセル1の中に入り、カプセル1の中から蓋体52を閉めた後、内部より蓋体52のパチン錠(図示せず)を締めることにより、カプセル1の液密な密閉状態を確立する。
【0049】
このように、図1及び2に示される本発明の救命用カプセル1は、小型の球形カプセルであるので、球殻体の表面積に対し球殻体の肉厚を比較的大きく取ることができ、津波等による災害発生時に、勢いよく流されてくる流木や瓦礫等との衝突に対し十分に耐え得る強度を確保することができる。また、本発明の救命用カプセル1は極めてコンパクトであるので、個人の家の中や物置、庭などに簡単に設置し常備しておくことができる。
【0050】
図1及び2に示される救命用カプセル1の下半球殻体2,20は、強度及び軽量であることを考慮して繊維強化プラスチック材料から作られている。一方、救命用カプセル1の上半球殻体3,30は、強度及び視認性を考慮して、例えばポリカーボネート樹脂のような透明な強化プラスチック材料から作られている。ただし、図1及び2では、上半球殻体3,30を通して見えるカプセル内部の様子は省略されている。なお、下半球殻体2,20及び上半球殻体3,30は、これらの材料に限られるものではなく、アルミニウム合金等の金属材料又はプラスチック材料との複合材料から作ることもできる。
【0051】
このように、救命用カプセル1の上半球殻体3,30を透明材料から形成すると、カプセル1内に避難したヒトは、上半球殻体3,30を通して外部の状況を容易に知ることができるので、津波等の災害発生時には、津波等の状況の変化を的確に判断して、上半球球殻体3又は蓋体52を開けてカプセル1の外へ避難することができる。
【0052】
また、図示しないが、救命用カプセル1の上半球殻体3,30を透明材料から形成すると、カプセル1の内部に光源装置及びその電源装置を装備することにより、カプセル1の内部から透明部分を通して光を発することができるようになる。このため、特に夜間等において、捜索者に対しカプセルの所在を容易に知らせることが可能となり有益である。さらに、救命用カプセル1は、光源装置の他に無線装置や電波発生装置を装備してもよい。この場合、捜索者に対しカプセルの位置をより正確により迅速に知らせることができるであろう。
【0053】
さらに、電気機器を積載した場合、救命用カプセル1の上半球殻体3,30は透明材料から形成されているので、カプセル1の内部にソーラーパネル及び二次電池を準備し、これを電源装置として利用することもできる。また、このような場合、外部へ電気を供給することができるコンセントを準備すれば、日常的にも救命用カプセルを家庭用の補助電源として利用することができるので便利である。
【0054】
図1及び2に示される救命用カプセル1の弾性バンパー4は、最外殻部41は強い強度、強い弾性力を有する合成ゴムで覆われており、その内部42は、例えば発泡性のポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂のような浮力を有する軽量の発泡性プラスチック材料で充填されている(図3,4参照)。
【0055】
このような構成の弾性バンパー4は、最外殻部41の合成ゴムにより流木や瓦礫等との衝突による衝撃を受け止め、その内部42の発泡性プラスチック材料により衝撃を緩衝することにより、カプセル1を保護する。このため、弾性バンパー4は、カプセル1の外周面の赤道上の一部に配置することもできるが、全方位に取り付けられていることがより好ましい。また、弾性バンパー4は浮力を有するので、弾性バンパー4の位置が喫水線となるように水面に浮かぶことにより、カプセル本体の激しい揺れを抑えることができる。
【0056】
上述されたように、本発明の救命カプセル1は球形を基本形状とし、カプセル1の強度を低下させる可能性のある開口部や、瓦礫や流木と衝突することによりカプセルを損傷させるおそれがある外部突起物を極力排除し、コンパクトで且つシンプルな構造を追及することにより、カプセル全体の強度を高め、その取り扱い性を向上させている。
【0057】
次に、図3−5を用いて、本発明の救命用カプセルの内部的特徴を説明する。
【0058】
図3には、図1に示されているような下半球殻体2に対し上半球殻体3が開閉可能な救命用カプセル1の中心断面が示されている。カプセル1は、その内部に帯状部材60の束からなる身体保持手段6を備えている。
【0059】
救命用カプセル1の身体保持手段6は、弾性を有する合成ゴムからなる複数の帯状部材60の束から構成されており、その束の一の端61は止め金具62を介してカプセル1の底部へ取り付けられている。また、帯状部材60の束の他の端63は、カプセル1を閉じた時、カプセル1の頂部に取り付けられるように止め金具64により束ねられている。
【0060】
帯状部材60の束は、弾性を有する細長い部材であれば特にその形状が限定さるものではなく、例えば棒状の束であってもよく、また全体としてハンモックのようなロープをネット状に編んだものであってもよい。さらに、身体保持手段がネット状に編んだものである場合は、該ネットは非弾性材料から作られたものであってもよい。
【0061】
一方、救命用カプセル1の頂部には、帯状部材60の束の他の端63の止め金具64を引っ掛けるためのフック31が設けられている。フック31は、ワイヤーロープ32を介して滑車33より吊り下げられており、そしてパチン錠34のレバーを倒すことにより帯状部材60に張力を付与できるように、パチン錠34のフックへ連結されている。したがって、帯状部材60の束の他の端63の固定手段は、帯状部材60の束の他の端63を取り外し可能に固定することができ、そして引っ張ることができるものであれば、特に限定はなく公知の固定手段を利用することができる。
【0062】
したがって避難者が自己の身体を身体保持手段6の中に固定しようとする時は、避難者は、先ず、帯状部材60の束の他の端63の止め金具64をフック31へ係合させる。次に、避難者は、弾性を有する合成ゴムからなる複数の帯状部材60の束を掻き分けるようにしてその中に入り、自己の身体を帯状部材60の束で包み込ませる。そして、避難者は、カプセルの頂部に取り付けられているパチン錠34に手を伸ばし、そのレバーを押し倒すことにより、帯状部材60の束を緊張させて自己の身体を身体保持手段6の中に拘束させる。
【0063】
また、図示しないが、身体保持手段6による拘束力をより強化するためには、帯状のバンドにより、ヒトの身体と共に、帯状部材60の束の外側からバンド掛けを行うことができるようにしておくことも有効である。さらに、バンド掛けをした帯状のバンドを、ロープ等を用いて球殻体2又は3の内周面へ向けて引っ張ることにより、身体保持手段6により保持されたヒトの身体の放射方向への揺れを強力に抑制することもできる。このため、帯状のバンドには、該バンドから球殻体2又は3の内周面へ向けて放射状に延ばすことができ且つその先端は球殻体2又は3の内周面に固定される、棒状又はロープ状の部材(図示せず)を準備しておくことが好ましい。
【0064】
図4には、図1に示されているような下半球殻体2に対し上半球殻体3が開閉可能な救命用カプセル1の中心断面が示されている。カプセル1は、その内部にロール状に巻かれたシート70からなる身体保持手段7を備えている。
【0065】
救命用カプセル1の身体保持手段7は、図5を参照して理解されるように、弾性を有する合成ゴムからなるロール状に巻かれた形状を記憶している分厚いシート70から構成されており、一の端71は止め金具72を介してカプセル1の底部へ取り付けられている。また、シート70の他の端73は、カプセル1を閉じた時、カプセル1の頂部に簡単に取り付けられるように止め金具74が装着されている。
【0066】
シート70は、ゼンマイのようにロール形状を維持できる弾性を有するシート材であれば、特にその厚みや巻き数等の形状が限定さるものではなく、広く公知のシート材を使用することができる。
【0067】
一方、救命用カプセル1の頂部には、シート70の他の端73の止め金具74を引っ掛けるためのフック31が設けられている。フック31は、ワイヤーロープ32を介して滑車33より吊り下げられており、そしてパチン錠34のレバーを倒すことによりシート70に張力を付与できるように、パチン錠34のフックへ連結されている。したがって、シート70の他の端73の固定手段は、シート70の他の端73を取り外し可能に固定することができ、そして引っ張ることができるものであれば、特に限定はなく公知の固定手段を利用することができる。
【0068】
したがって避難者が自己の身体を身体保持手段7の中に固定しようとする時は、避難者は、先ず、シート70の他の端73の止め金具74をフック31へ係合させる。次に、避難者は、弾性を有するロール状に巻かれたシート70を解すようにしてその中に入り、自己の身体をシート70で包み込ませる。そして、避難者は、カプセルの頂部に取り付けられているパチン錠34に手を伸ばし、そのレバーを押し倒すことによりシート70を緊張させて自己の身体を身体保持手段7の中に拘束させる。また、身体保持手段7による拘束力をより強化するためには、身体を包み込んだシート70の巻き状態が緩まないように、シート70の先端部をマジックテープ(登録商標)等で接着及び固定できるようにしてもよい。
【0069】
また、図3及び図4に示されている本発明の救命用カプセル1は、その底部の中心部にカプセルの水平を安定させるためのウェイト8を備えている。ウェイト8は、鉛等の公知の金属等を使用することができ、省スペース化のためにカプセル1の底部の形状に適しているものがよい。このため、本発明の救命用カプセル1は、津波等の中でカプセルが水面に浮いている時は、重心が下方になることで天地を逆にすることなく自力で正立することができる。
【0070】
さらに、本発明の救命用カプセル1は、上半球殻体3に外気を導入するためのキャップ付きの外気導入口9を備えている。外気導入口9は、上半球殻体3を貫通する短管が内部空間に突出するように取り付けられており、その短管にはキャップ91が装着されている。したがって、外気導入口9は、キャップ91を外すことにより、外部から密閉されたカプセル1の内部空間へ空気を取り入れることができ、キャップ91を装着することにより、カプセル1内への水の進入を防止することができる。
【0071】
また、本発明の救命用カプセル1では、カプセル内に避難したヒトが短期間の間その中で暮らすことができるように、酸素ボンベや飲料水、非常食、紙オムツ等を装備しておいてもよい。
【0072】
なお、上述された図3及び図4に示される身体保持手段6,7の構成及び救命用カプセル1の内部構造は、図2に示されているような開口部と蓋体を有し、下半球殻体2と上半球殻体3とが一体的に形成されているタイプの救命用カプセル1においても基本的に変わるところがない。したがって、本願明細書では、図2に示されるタイプの救命用カプセル1について、中心断面図を用いた身体保持手段6,7の構成等の説明については省略する。
【0073】
以上のように、図3及び図4に示される本発明の救命用カプセル1の身体保持手段6,7は、身体との接触点が多く、接触面積も大きく、さらに弾性材料からできているので、大きな衝撃を受けた場合でもその衝撃力を分散及び吸収してヒトの身体を保護することができる。また、本発明の身体保持手段1は、構成が極めてシンプルであり、身体固定用のバックルなど特殊な固定用金具も必要としないので、避難者は迅速且つ容易に身体保持手段6,7の中に自己の身体を保持することができる。
【0074】
さらに、本発明の身体保持手段6,7は、救命用カプセル1が開閉可能な下半球殻体2と上半球殻体3から構成されている場合、カプセル1を閉じて身体保持手段6,7をセットした後、一の端61,71が下半球殻体2の底部へ固定され、他の端63,73が上半球殻体3の頂部へ固定された状態となる。このため、身体保持手段6,7は下半球殻体2と上半球殻体3との間に引張り張力を付与し、下半球殻体2と上半球殻体3との開放を防いでカプセル1の密閉状態を確実に保持するためにも機能する。
【0075】
この結果、本発明による救命用カプセル1は、特に津波や大洪水などの災害時に流木や瓦礫からヒトを保護し、且つカプセル1がどのような方向へ傾転したとしても、カプセル1の中でヒトが転がり踊ることがないように、ヒトの身体を確実且つ安定的に保持することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ・・・・・・・・・・・・・・・ 救命用カプセル
2,20 ・・・・・・・・・ 下半球殻体
3,30 ・・・・・・・・・ 上半球殻体
31 ・・・・・・・・・・・・・ フック
32 ・・・・・・・・・・・・・ ワイヤーロープ
33 ・・・・・・・・・・・・・ 滑車
34 ・・・・・・・・・・・・・ パチン錠
4 ・・・・・・・・・・・・・・・ 弾性バンパー
41 ・・・・・・・・・・・・・ 最外殻部
42 ・・・・・・・・・・・・・ 内部
5 ・・・・・・・・・・・・・・・ 球殻体
51 ・・・・・・・・・・・・・ 開口部
52 ・・・・・・・・・・・・・ 蓋部
6,7・・・・・・・・・・・・・ 身体保持手段
60 ・・・・・・・・・・・・・ 帯状部材
70 ・・・・・・・・・・・・・ シート
61,71 ・・・・・・・ 一の端
62,72 ・・・・・・・ 止め金具
63,73 ・・・・・・・ 他の端
64,74 ・・・・・・・ 止め金具
8 ・・・・・・・・・・・・・・・ ウェイト
9 ・・・・・・・・・・・・・・・ 外気導入口
91 ・・・・・・・・・・・・・ キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトを収容して水の中で浮くことができる救命用カプセルであって、前記カプセルは、
前記カプセルの水平を安定させるためのウェイトを底部中心部に備えている下半球殻体と、
ヒトを収容するための空間を形成するために、前記下半球殻体に対し開放及び液密に密閉可能に接合される上半球殻体と、
前記カプセルを保護し且つ水面での水平を維持するために、前記下半球殻体の外周面の縁に沿って赤道上に取り付けられた弾性バンパーと、
前記カプセルの中でヒトが転がり踊るのを防止するために、一の端が前記下半球殻体内底部へ取り付けられた身体保持手段を備えており、そして
前記身体保持手段は、前記下半球殻体に対し前記上半球殻体を閉じた時、前記身体保持手段の他の端を前記上半球体内頂部へ固定し、緊張させることにより、該身体保持手段の中にヒトの身体を保持し且つ前記カプセルの密閉が開放されないように前記上半球殻体と前記下半球殻体との間に張力を付与することを特徴とする前記救命用カプセル。
【請求項2】
内部にヒトを収容するための空間を有することにより水の中で浮くことができる救命用カプセルであって、前記カプセルは、
ヒトが出入りするための開口部と、該開口部に対し開放及び液密に密閉可能な蓋体を備え、そして前記カプセルの水平を安定させるためのウェイトを底部中心部に備えた球殻体と、
前記カプセルを保護し且つ水面での水平を維持するために、前記球殻体の外周面の赤道上に取り付けられた弾性バンパーと、そして
一の端は前記球殻体の頂部へ取り付けられており他の端は前記球殻体の底部へ取り付けられている身体保持手段であって、該身体保持手段を緊張させることによりその中にヒトの身体を保持する身体保持手段
を備えていることを特徴とする前記救命用カプセル。
【請求項3】
前記球殻体は、互いに液密に接合された上半分の上半球殻体と下半分の下半球殻体から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の救命用カプセル。
【請求項4】
前記身体保持手段は、弾性材料からなる複数の棒状又は帯状部材の束、弾性材料からなるロール状に巻かれたシート、若しくは弾性材料又は非弾性材料からなるネットから構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の救命用カプセル。
【請求項5】
少なくとも前記上半球殻体は、透明材料からできていることを特徴とする請求項1又は3に記載の救命用カプセル。
【請求項6】
前記救命用カプセルは、その内部から前記半球殻体の透明部分を通して光を発することができる光源装置及びその電源装置を備えていることを特徴とする請求項5に記載の救命用カプセル。
【請求項7】
前記電源装置は、前記救命用カプセルの内部に配置されたソーラーパネル及び二次電池から構成されており、非災害時、外部へ電気を供給することができるコンセントを備えていることを特徴とする請求項6に記載の救命用カプセル。
【請求項8】
前記球殻体、上半球殻体又は下半球殻体は、強化プラスチック材料からできていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の救命用カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43540(P2013−43540A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182413(P2011−182413)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(511207040)
【出願人】(511207051)
【Fターム(参考)】