説明

教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラム

【課題】チェック記号のパターン認識については、そのチェック記号の中心点が、いずれの採点欄に含まれるかを判断して行うようにしているために、中心点が配点欄に入らなかったときなどに対応できない。
【解決手段】採点集計部12での正誤判定の採点集計において、「○」や「×」等の正誤判定図形と教育用教材20の各解答欄とを対応付ける際に、抽出した正誤判定図形について領域分割処理を行い、その分割した領域に含まれる解答欄21に対応付けることで、より確実に対応付けを行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育機関で用いられる教材(以下、「教育用教材」と記述する)を取り扱う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関し、特にその教育用教材についての採点処理を行う教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、学校や塾等の教育機関では、例えばテストの答案用紙や練習問題用紙のような教育用教材を用いることが多い。そして、問題およびその解答欄を含む教育用教材を用いて、その教育用教材(用紙)上に生徒に解答を記入させ、その記入された解答に対して教師が採点を行う、といったことが広く行われている。
【0003】
ところで、教育用教材については、その採点処理の省力化が強く求められている。これに応えるべく、採点処理の省力化を実現するものとしては、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」と記述する)に採点台および採点ペンを接続し、採点台の所定位置に教育用教材を載置した状態で採点ペンによって○×付けを実施することで、PCに対して教育用教材上に記入された解答の位置情報およびその正否情報を入力し得るようにし、これによりPCにて教育用教材上の解答についての自動採点を実施するように構成されたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−266278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、教育用教材についての採点処理にあたって、採点台や採点ペン等といった専用の構成機器を必要とするために、システム全体の構成の複雑化や高コスト化等を招く要因となり、好ましいとは言えない。また、専用の構成機器を必要とすることで、対応可能な教育用教材が限定されてしまい、その教育用教材についての汎用性が制限されてしまうおそれもある。
【0006】
また、「○」や「×」等のチェック記号のパターン認識については、そのチェック記号の中心点が、いずれの採点欄に含まれるかを判断して行うようにしているために、中心点が配点欄に入らなかったときなどに対応できないという不具合がある。
【0007】
そこで、本発明は、教育機関で用いられる教育用教材について、その採点処理にあたって専用の構成機器を必要とすることがなく教育用教材についての汎用性を十分に確保することができるとともに、「○」や「×」等のチェック記号のパターン認識にあたって中心点が配点欄に入らなかったときなどにも対応可能な教材処理装置、教材処理方法および教材処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、解答欄を含む教育用教材についての電子データをデータベース手段で保持蓄積する一方、前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形が記入された教育用教材に対する画像読み取りを読み取り手段で行って当該教育用教材から画像データを得て、前記データベース手段が保持する電子データと前記読み取り手段が得た画像データとの比較結果に基づいて前記正誤判定図形の形状および記入位置を正誤判定認識手段で認識し、この正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形の形状および記入位置を、前記データベース手段が保持蓄積している電子データに含まれる解答欄の位置情報および配点情報と対応させて、当該正誤判定認識手段による認識結果に基づく正誤判定の採点集計を採点集計手段で行う教材処理装置、当該一連の処理を行う教材処理方法、または画像読み取り装置と接続するコンピュータを、上記各手段として機能させる教材処理プログラムにおいて、前記正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形と前記教育用教材に含まれる解答欄とを対応付ける際に、当該正誤判定図形について領域分割処理によって複数の領域に分割し、その分割した領域に含まれる解答欄に対応付ける構成を採っている。
【0009】
上記構成を採る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムにおいて、正誤判定図形と解答欄との対応付けを行う際に、抽出した正誤判定図形について領域分割処理を行い、その分割した領域に含まれる解答欄に対応付けるようにすることで、特に設問(問題)が多く込み合って設けられ、手書きの正誤判定図形の位置がずれ易いような場合などでも、正誤判定図形と解答欄とを確実に対応付けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、正誤判定図形と解答欄とを確実に対応付けることができるために、信頼性の高い採点処理を行うことができることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る教材処理装置の概略構成例を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る教材処理装置は、データベース部1と、画像読み取り部2と、画像データ解析部3と、教材判別部4と、歪み補正部5と、差分抽出部6と、解答者抽出部7と、正誤判定抽出部8と、途切れ補正部9と、図形形状認識部10と、記入位置算出部11と、採点集計部12と、集計結果出力部13とを有する構成となっている。
【0013】
かかる教材処理装置において、データベース部1は、本発明におけるデータベース手段に相当し、教育用教材についての電子データを保持蓄積する。
【0014】
ここで、教育用教材について簡単に説明する。図2は、教育用教材の一具体例を示す説明図である。図2に示すように、教育用教材20は、教育機関で用いられるテストの答案用紙や練習問題用紙等であり、問題およびその解答欄21が記載されている。ただし、教育用教材20は、少なくとも解答欄21が記載されていればよく、問題文については必ずしも記載されていなくてもよい。
【0015】
また、教育用教材20には、その教育用教材20を識別特定するための情報が記載された識別情報欄22と、解答欄21への解答記入者に関する情報を記載するための解答者情報欄23とが設けられている。識別情報欄22には、例えば教育用教材20の科目、タイトル、適用学年等の情報が予め記載されるものとする。一方、解答者情報欄23には、解答記入者の学級、出席番号、氏名等が記入され得るようになっている。
【0016】
なお、識別情報欄22には、科目、タイトル、適用学年等の情報の記載に加えて、またはこれらの記載とは別に、教育用教材20を識別するためのコード情報が埋め込まれていてもよい。コード情報の埋め込みは、公知技術を利用して実現すればよい。その具体例の一つとして、例えば「iTone(登録商標)」と呼ばれるもののように、階調表現としての万線スクリーンまたはドットスクリーンを構成する画素の形態(位置、形状等)を変化させることで、ハーフトーン画像の中にデジタル情報を埋め込むようにする、といった技術を用いることが考えられる。
【0017】
このような教育用教材20についての電子データに関しては、その教育用教材20における解答欄21や識別情報欄22等のレイアウトを特定し得るものであって、かつ、データベース部1にて保持蓄積可能なものであれば、そのデータ形式を問わない。例えば、画像データであっても、文書作成ソフトウェアで作成したアプリケーション文書データであっても良い。
【0018】
ただし、教育用教材20の電子データは、その教育用教材20における各解答欄21についての配点情報を含んでいるものとする。配点情報とは、教育用教材20上における各解答欄21について、どの位置に存在する解答欄21への配点が何点であるかを特定するための情報である。なお、配点は、各解答欄21毎に異なっていても、あるいは一律であっても構わない。
【0019】
図1に説明を戻す。画像読み取り部2は、本発明における読み取り手段に相当し、解答欄21への解答記入、解答者情報欄23への氏名等の記入および当該解答に対する正誤判定のチェック記号(具体的には、例えば「○」や「×」の図形)の記入が為された教育用教材20に対して、公知の光学的画像読み取り技術を用いた画像読み取りを行って、その教育用教材20から画像データを得る。
【0020】
画像データ解析部3は、画像読み取り部2で得られた画像データについて、その解析処理を行う。解析処理としては、領域分割、文字図形分離、文字認識、コード情報認識、図形処理、色成分認識等が挙げられるが、いずれも公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0021】
教材判別部4は、タイトル解析部41とコード情報解析部42との少なくとも一方によって構成され、画像データ解析部3での解析処理の結果、特に識別情報欄22についてのタイトル解析部41によるタイトル解析またはコード情報解析部42によるコード解析の少なくとも一方の解析結果を基にして、画像読み取り部2で得られた画像データの元となった教育用教材20を識別特定する。
【0022】
このとき、教材判別部4においては、データベース部1が保持蓄積している教育用教材20の電子データと照らし合わせ、該当する電子データがデータベース部1に保持蓄積されていなければ、教育用教材の識別特定エラーとする判定を行う。すなわち、教材判別部4は、画像データ解析部3での解析結果から、画像読み取り部2で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定する。
【0023】
歪み補正部5は、画像読み取り部2で得られた画像データに対して、その画像データにおける画像歪みの補正を行う。画像歪みの補正としては、傾き補正や主走査方向または副走査方向の拡縮補正等が挙げられる。これらの歪補正については、いずれも公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。あるいは、画像読み取り部2で得られた画像データと、比較対象となるデータベース部1内の電子データとを比較照合し、その画像歪み(傾き、拡縮など)を補正するようにしても良い。
【0024】
差分抽出部6は、教材判別部4での教育用教材20の識別特定の結果に基づいて、画像読み取り部2で得られ、歪み補正部5での歪み補正処理後の画像データと、その比較対象となるデータベース部1内の電子データとを比較して、それぞれの間の差分を抽出する。なお、差分抽出処理の手法自体については、公知の画像処理技術を利用して実現すればよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0025】
解答者抽出部7は、出席番号情報切り出し部71と手書きOCR(Optical Character Reader)部72との少なくとも一方、好ましくは両方から構成され、画像データ解析部3での解析処理の結果を基にしつつ、差分抽出部6で抽出された差分のうち、解答者情報欄23についての差分に対し、その差分からの出席番号情報切り出し部71による文字情報抽出や手書きOCR部72による文字認識処理等を通じて、画像読み取り部2で読み取り対象となった教育用教材における解答者情報を抽出する。解答者情報としては、解答記入者の学級、出席番号、氏名等といった、解答記入者を識別するための情報が挙げられる。
【0026】
正誤判定抽出部8は、画像データ解析部3での解析処理の結果を基にしつつ、差分抽出部6で抽出された差分から、さらに正誤判定の記入内容を抽出する。正誤判定の記入内容の抽出は、例えば差分抽出部6での抽出結果に対する色成分認識処理を通じて、所定色成分についてのものを抽出することによって行えばよい。何故ならば、正誤判定の記入は、一般に、赤色で行われるからである。
【0027】
途切れ補正部9は、正誤判定抽出部8での抽出結果に対して途切れ補正処理を行う。ここに、途切れ補正処理とは、抽出された線分同士を接続して、その抽出線分間の途切れを解消するための処理である。
【0028】
図形形状認識部10は、正誤判定抽出部8で抽出され、途切れ補正部9で途切れ補正が為された正誤判定の記入内容に対して、その形状認識を行って正誤判定の記入内容を認識する。形状認識は、正誤判定のチェック記号、例えば「○」や「×」等の図形形状とのパターンマッチングによって行えばよい。すなわち、図形形状認識部10は、正誤判定の記入内容が「正解(○)」または「不正解(×)」であるかを認識するものである。あるいは、認識対象図形の特徴量を算出し、その特徴量から形状を認識するようにしてもよい。特徴量としては、例えば、穴の個数、外接矩形に占める対象図形の面積率などが挙げられる。
【0029】
記入位置算出部11は、図形形状認識部10にて形状が認識された正誤判定の記入内容について、その教育用教材20上における記入位置を算出する。記入位置の算出は、例えば教育用教材20上における座標解析によって行えばよい。図形形状認識部10および記入位置算出部11は、本発明における正誤判定認識手段を構成している。
【0030】
採点集計部12は、本発明における採点集計手段に相当し、図形形状認識部10による正誤判定の記入内容の認識結果と、記入位置算出部11による正誤判定の記入位置の算出結果と、データベース部1が保持蓄積している教育用教材20の電子データに含まれる当該教育用教材20の各解答欄21についての配点情報とを基にして、画像読み取り部2が画像読み取りを行った教育用教材20について、その教育用教材20に記入された正誤判定の採点集計を行う。
【0031】
この採点集計を行う際に、採点集計部12は、「○」や「×」等の正誤判定図形(チェック記号)と教育用教材20の各解答欄21とを対応付ける処理を行う。この対応付けの具体的な処理は本発明の特徴とするところであり、後で詳細に説明する。
【0032】
集計結果出力部13は、採点集計部12による採点集計の結果を、解答者抽出部7が抽出した解答者情報と関連付けて出力する。なお、集計結果出力部13による出力先としては、本教材処理装置と接続するデータベース装置31またはファイルサーバ装置32など、教育用教材20についての採点集計結果を管理するものが挙げられる。
【0033】
なお、以上説明した各構成要素、即ちデータベース部1〜集計結果出力部13のうち、画像読み取り部2については、画像読み取り装置としての機能を有した複写機、複合機あるいはスキャナ装置を利用して実現することが考えられる。その場合に、自動原稿搬送装置(Automatic Document Feeder;ADF)が付設されていると、複数の教育用教材に対する画像読み取りを連続的に行うことができる。
【0034】
また、画像読み取り部2を除く他の各構成要素、即ちデータベース部1、画像データ解析部3〜集計結果出力部13については、例えばPCのように、所定プログラムを実行することによって情報記憶処理機能、画像処理機能、演算処理機能等を実現するコンピュータ機器を利用して実現することが考えられる。
【0035】
その場合に、データベース部1、画像データ解析部3〜集計結果出力部13の実現に必要となる所定プログラムは、予めPC内にインストールしておくことが考えられる。ただし、予めインストールされているのではなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよく、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。つまり、上述した構成の教材処理装置は、画像読み取り装置と接続するコンピュータを教材処理装置として機能させる教材処理プログラムによっても実現可能である。
【0036】
(教材処理方法の処理手順)
次に、以上のように構成された本実施形態に係る教材処理装置(教材処理プログラムによっても実現される場合を含む)における処理動作、すなわち本発明に係る教材処理方法の処理手順の一例について、図3の説明図を参照して説明する。図3は、本発明に係る教材処理装置における処理動作例を示す説明図である。
【0037】
教材処理装置を利用する場合には、先ず、生徒等の解答者によって解答者情報欄23への氏名等の情報の記入および解答欄21への解答記入が為され、さらに教師等によって各解答欄21に記入された解答に対する「○」や「×」等の正誤判定のチェック記号(正誤判定図形)の記入が為された教育用教材20について、画像読み取り部2が画像読み取りを行って、その教育用教材20からの画像データを得る(ステップS101)。
【0038】
このとき、ADFを用いれば、例えば同一学級のような一つのグループに纏めて処理すべき複数の教育用教材20について、一括して画像読み取りを行って、各教育用教材20から連続的に画像データを得ることができる。そして、画像読み取りによって得られた画像データについては、一旦ワークエリアとして用いられるメモリ等に保持しておく。
【0039】
その後は、各教育用教材20から得られたそれぞれの画像データに対して、順次、以下のような自動採点処理が行われる(ステップS102)。
【0040】
すなわち、ある一つの教育用教材20から得られた画像データについて、画像データ解析部3がその解析処理を行い、その解析処理の結果に基づいて教材判別部4が教育用教材20の識別特定を行う。この識別特定は、例えば「理科」、「5年」、「1.天気と気温の変化」といったタイトル解析または識別情報欄22に埋め込まれたコード情報についてのコード解析を通じて行えばよい。この識別特定を経ることで、教材判別部4において、画像読み取り部2で得られた画像データとの比較対象となる電子データを特定することが可能となる。
【0041】
なお、この識別特定は、画像読み取り部2が画像読み取りを行った複数の教育用教材20のそれぞれについて順次行うことも考えられるが、一般に一つのグループに纏めて処理される教育用教材20は全て同一のものであるため、その纏めて処理される中で最初に処理される教育用教材20についてのみ行えばよい。
【0042】
教材判別部4が電子データを特定すると、データベース部1は、その特定結果に従いつつ、保持蓄積している中から該当する電子データを取り出して、これを差分抽出部6へ受け渡す。
【0043】
また、ある一つの教育用教材20から得られた画像データについては、歪み補正部5がその画像データにおける画像歪みの補正を行う。この画像歪みの補正は、その後に行う電子データとの比較や差分抽出等の精度向上を図ることを目的として、画像読み取り部2での画像読み取りの際に生じ得る画像歪みを補正するために行われる。
【0044】
そして、差分抽出部6は、データベース部1から受け渡された電子データと、画像読み取り部2で得られ、歪み補正部5で画像歪みが補正された後の画像データとをそれぞれ比較して、その差分を抽出する。この差分抽出によって、解答者情報欄23および各解答欄21への記入内容、並びに各解答欄21に対する正誤判定の記入内容が抽出されることになる。
【0045】
差分抽出部6が差分を抽出すると、その後は、解答者抽出部7が、その差分に対する文字認識処理等を通じて、画像読み取り部2で読み取り対象となった教育用教材における解答者情報を抽出する。これにより、ある一つの教育用教材20に解答を記入した解答記入者の学級、出席番号、氏名等を特定することが可能となる。
【0046】
また、差分抽出部6による差分抽出結果に対しては、各解答欄21への正誤判定の記入内容を抽出するために、その差分抽出結果から正誤判定抽出部8がさらに所定色成分についてのもの、具体的には例えば赤色成分のものを抽出する。所定色成分の抽出は、例えば差分抽出結果が画素データからなる場合であれば、その画素データを構成する色成分データに着目することで行うことができる。
【0047】
ただし、一般に、教育用教材20上での「○」や「×」等の正誤判定図形の記入は、問題文、各解答欄21を特定する枠、各解答欄21への解答記入内容等に重ねて行われることが多い。そのため、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果は、その重なり部分が除かれたもの、すなわち「○」や「×」等の正誤判定図形に途切れ部分が生じたものとなるおそれがある。このことから、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果に対しては、途切れ補正部9が途切れ補正処理を行う。
【0048】
(途切れ補正の一例)
ここで、途切れ補正部9による途切れ補正処理について、図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、途切れ補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0049】
途切れ補正処理にあたっては、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果、すなわち「○」や「×」等の正誤判定図形である筈の抽出結果に対して細線化処理を実行し(ステップS201)、さらに端点抽出処理を実行する(ステップS202)。これにより、「○」や「×」等の正誤判定図形に途切れ部分が生じている場合に、その途切れ部分における端点が抽出されることになる。なお、このときに行う細線化処理および端点抽出処理は、公知技術を利用して行えばよいため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0050】
そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対し、接続処理済みと判定するまで(ステップS203)、以下のような処理を実行する。すなわち、先ず、未処理の端点を一つ選択し(ステップS204)、その選択した端点(以下、「第一端点」と記す)から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点(以下、「第二端点」と記す)をさらに選択する(ステップS205)。
【0051】
そして、対応する端点(第二端点)が有るか否かを判断し(ステップS206)、対応する端点があれば、第一端点と第二端点とを互いに接続し(ステップS207)、次いで第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(ステップS208)。一方、対応する端点が第二端点で無ければ、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(ステップS209)。
【0052】
このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(ステップS203〜S209)。これにより、例えば図5に示す図形が抽出された場合には、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していても、その中で最も近傍の端点Bが端点Aと接続され、「○」の図形における途切れ部分が補正されることになる。
【0053】
(途切れ補正の他の例)
図6は、途切れ補正部9による途切れ補正の処理手順の他の例を示すフローチャートである。途切れ補正処理の他の例では、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果の他に、歪み補正部5による画像歪み補正後の画像データをも用いて、途切れ補正処理の精度向上を図っている。
【0054】
すなわち、途切れ補正処理の他の例では、歪み補正部5による画像歪み補正後の画像データに対して二値化処理を行う(ステップS301)。ただし、差分抽出部6による差分抽出または正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出の際に二値化処理をしていれば、その二値化処理後の画像データを使用しても構わない。
【0055】
また、正誤判定抽出部8による所定色成分の抽出結果に対しては、細線化処理を実行し(ステップS302)、さらに端点抽出処理を実行する(ステップS303)。そして、端点を抽出したら、その抽出した全ての端点に対して、接続処理済みと判定するまで(ステップS304)、以下のような処理を実行する。
【0056】
先ず、未処理の端点を一つ選択し(ステップS305)、その選択した第一端点から、予め設定されている所定距離内にあって、かつ、最も近傍にある未処理の端点を第二端点として選択する(ステップS306)。次いで対応する端点(第二端点)が有るか否かを判断する(ステップS307)。
【0057】
そして、対応する端点があれば、第一端点と第二端点とを連結するような画素群が、二値化処理後の画像データ中にあるか否かを判断する(ステップS308)。つまり、途切れの発生要因となった画像の重なり部分があるか否かを判断する。その結果、重なり部分があれば、第一端点と第二端点とを互いに接続し(ステップS309)、次いで第一端点および第二端点をいずれも処理済みにする(ステップS310)。
【0058】
一方、重なり部分がなければ、ステップS306に戻り、第一端点から所定距離内にあって、かつ、最も近傍の端点の次に近距離にある端点を第二端点として選択する。このとき、選択すべき端点がなければ、端点間の接続は行わずに、第一端点を処理済みにする(ステップS311)。このような処理を、未処理の端点がなくなるまで、全ての端点に対して行う(ステップS304〜S311)。
【0059】
これにより、例えば図7に示す図形が抽出された場合に、端点Aに対して、所定距離内に端点B,Cが存在していると、その中で最も近傍の端点Cが選択されるが、二値化処理後の画像データ中に端点A,C間を連結する画素群がないので、端点A,C間は接続しない。そして、端点Cの次に距離の近い端点Bが選択されるが、その端点Bと端点Aとの間には二値化処理後の画像データ中に画素群が存在するので、端点Bが端点Aと接続されることになる。つまり、「○」と「×」とが誤って接続されてしまうことなく、「○」の図形における途切れ部分が補正されるのである。
【0060】
以上のような途切れ補正部9による途切れ補正処理の後は、図形形状認識部10が正誤判定の記入内容に対する形状認識、すなわち「○」または「×」の図形形状とのパターンマッチングを行って、その正誤判定の記入内容が「正解」であるか、あるいは「不正解」であるかを認識する。
【0061】
このときに行うパターンマッチングは、公知技術を利用して実現すればよいため、ここではその説明を省略する。あるいは、認識対象図形の特徴量を算出し、その特徴量から形状を認識するようにしてもよい。特徴量としては、例えば、穴の個数、外接矩形に占める対象図形の面積率、など公知のものを使用すればよく、ここではその説明を省略する。
【0062】
そして、図形形状認識部10での正誤判定の記入内容に対する形状認識が終わると、それを受けて、記入位置算出部11は、正誤判定の記入内容について、その教育用教材20上における記入位置を算出する。
【0063】
なお、図形形状認識部10による形状認識の際には、「○」または「×」の図形を構成する連続画素群を一つに纏めて取り扱うために、その連続画素群に対して識別子を付与すべく、一般的な画像処理技術であるラベリング処理が行われている。このことから、記入位置認識部11による位置算出の際にも、そのラベリング処理の結果を利用して、「○」や「×」の図形を構成する連続画素群を一つの纏まりとして取り扱う。
【0064】
(正誤判定記入位置の算出)
ここで、記入位置算出部11による正誤判定記入位置の算出処理について、図8のフローチャートに沿って説明する。図8は、正誤判定記入位置の算出処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0065】
正誤判定記入位置の算出処理にあたっては、教育用教材20上には正誤判定のチェック記号が複数記入されていることから、先ず、そのチェック記号についてのカウント数Kを「1」に設定する(ステップS401)。これにより、カウント数Kが教育用教材20上に存在し得るチェック記号の数、すなわち解答欄21の数を超えるまでは(ステップS402)、予め定められた走査順で検出されるチェック記号(「○」や「×」の図形)について、一つ目から順にその位置が算出されることとなる。
【0066】
位置認識は、例えば「○」または「×」の図形の外接矩形情報を算出し(ステップS403)、さらにその外接矩形の中心座標を算出することによって行うことが考えられる(ステップS404)。
【0067】
具体的には、算出対象となる図形(連続画素群)に対して外接矩形を抽出するとともに、その外接矩形の所定点(例えば、左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅(W)および高さ(h)を算出する。そして、これらの算出結果から、中心x座標=x+w/2、中心y座標=y+h/2を算出し、その算出結果を連続画素群の位置、すなわちチェック記号の記入位置の算出結果とする。
【0068】
このような処理を、カウント数Kの値をインクリメントしつつ(ステップS405)、教育用教材20上に存在する全てのチェック記号について算出するまで繰り返して実行する(ステップS402〜S405)。
【0069】
このようにして、記入位置算出部11がチェック記号の記入位置を算出した後は、採点集計部12が正誤判定の採点集計を行う。このとき、採点集計部12は、図形形状認識部10による正誤判定の記入内容の認識結果と、記入位置算出部11による正誤判定の記入位置の算出結果と、データベース部1が保持蓄積している教育用教材20の電子データに含まれる当該教育用教材20の各解答欄21についての配点情報とを基にして、その採点集計を行う。
【0070】
ただし、チェック記号の記入は、一般に教育用教材20上の各解答欄21に対応して行われるが、教師等によって手書きで行われるため、各解答欄21に対する記入位置が必ずしも一義的に定まっている訳ではない。
【0071】
その一方で、正誤判定の採点集計にあたっては、各解答欄21と正誤判定の記入位置との対応を明確にする必要がある。何故ならば、正誤判定の採点集計は、各解答欄21に対応するチェック記号の記入結果を明確にした上で、正誤判定の内容(正解/不正解)および各解答欄21についての配点に基づいて行われるからである。
【0072】
(正誤判定の採点集計)
このことから、採点集計部12では、図9のフローチャートに沿った処理手順で、正誤判定の採点集計を行う。図9は、正誤判定採点集計の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0073】
採点集計部12は、途切れ補正後の正誤判定抽出結果に対して、図10(A)に示すように、抽出した正誤判定図形について領域分割処理によって複数の領域に分割する(ステップS501)。具体的には、画像の水平または垂直方向へ画素値の積算を行い、画素が無い隙間が最大の部分で画像を2分割する。これを繰り返すことで、正誤判定図形を含んだ複数の領域に分割することが出来る。この領域分割では、解答欄数があらかじめわかっていることから、領域の数が当該解答欄数になるまで分割する。領域の分割数を解答欄数とすることで(領域分割数=解答欄数)、分割した領域の数が解答欄数に対して多すぎたり、少なすぎたりすることがないために、後述する「○」,「×」(図10では、チェック記号で示す)等の正誤判定図形と解答欄21との対応付けを確実に行えるようになる。
【0074】
そして、分割が可能か否かを判断し(ステップS502)、分割が不可能(エラー)であれば、エラー処理1(ステップS503)のサブルーチンに移行する。このエラー処理1での具体的な処理の詳細については後述する。分割が可能であれば、採点集計部12は、正誤判定図形を含む分割領域と、教育用教材20上で解答欄21となる領域との重なり面積を求め(ステップS504)、図10(B)に示すように、その重なり面積(分割領域に対する面積比でも同様)が最も大きくなる分割領域(領域分割処理による分割領域)と解答欄21とを互いに対応付ける(ステップS505)。別な例としては、図10(C)に示すように、解答欄の中心(図中、黒点)に重複している分割領域を対応づけるようにする。
【0075】
そして、対応付けが可能であるか否かを判断する(ステップS506)。ここでは、解答欄21に対する重なり面積の比が所定閾値以上の場合に対応付けが可能であると判断し、所定閾値未満の場合には、重なる部分が小さいことから対応付けが不可能(エラー)である判断し、エラー処理2(ステップS507)のサブルーチンに移行する。このエラー処理2での具体的な処理の詳細については後述する。
【0076】
一方、対応付けが可能と判断した場合には、対応づけた分割領域に含まれる正誤判定図形とその解答欄とを互いに対応付ける(ステップS508)。
【0077】
そして、解答欄21と対応付けられた正誤判定図形を当該解答欄21に対して記入された正誤判定結果とする(ステップS509)。具体的には、正誤判定図形が「○」であれば、これに対応する解答欄21についての配点情報から特定される配点加算を実行し、また正誤判定図形が「×」であれば、これに対応する解答欄21についての配点加算を行わない。このような採点集計を教育用教材20上の全ての解答欄21について行う。
【0078】
なお、教育用教材20上で解答欄21となる領域は、各解答欄21についての配点情報として、または当該配点情報と同様に、教育用教材20の電子データに含まれる解答欄位置領域情報によって特定されるものとする。
【0079】
ところで、「○」,「×」といった正誤判定図形と解答欄とを対応付けるには、両者の厳密な位置合わせが必要であるが、特に設問(問題)が多く込み合って設けられている場合などには、手書きの正誤判定図形では解答欄21に対して位置がずれ易く、正誤判定図形と解答欄との対応付けを単純な距離による判定で行ったのでは一つの解答欄に複数の正誤判定図形が対応付けられてしまうことがある。
【0080】
これに対して、上述したように、正誤判定図形と解答欄との対応付けを行う際に、抽出した正誤判定図形について領域分割処理によって分割し、その分割した領域に含まれる解答欄21に対応付けるようにすることで、特に設問が多く込み合って設けられ、手書きの正誤判定図形の位置がずれ易いような場合などでも、正誤判定図形と解答欄21とを確実に対応付けることができることとなる。
【0081】
(エラー処理1)
図11は、エラー処理1の処理手順の一例を示すフローチャートである。本エラー処理1では、先ず、領域分割処理によって解答欄数まで領域分割できたか否かを判断し(ステップS601)、解答欄数まで領域を分割できたのであれば、分割した個々の面積が所定閾値以下の領域がないか否かを判断し(ステップS602)、閾値以下の領域が無いのであれば、分割する際の正誤判定図形間の距離が所定閾値以下でないか否かを判断し(ステップS603)、図形間距離が閾値以下でもなければ、領域分割処理が完了したものとして、図9におけるステップS504の処理へ移行する。
【0082】
ステップS601で解答欄数まで領域を分割できなかったと判断した場合、ステップS602で閾値以下の領域があると判断した場合、あるいはステップS603で図形間距離が閾値以下であると判断した場合は、分割の処理を止めてユーザに対して警告を出す(ステップS604)。このとき、警告を受けたユーザは、領域分割に対する修正入力を行うことになる。そして、その修正を受け付け(ステップS605)、しかる後図9におけるステップS504の処理へ移行する。
【0083】
ここで、ステップS602の「分割した個々の面積が閾値以下の領域がある」ということは、例えば正誤判定図形が未記入の解答欄がある可能性があることを意味する。すなわち、正誤判定図形が未記入の解答欄があるにも拘わらず、解答欄数まで領域分割を続けることで、分割した個々の面積が極端に小さな領域となってしまう。したがって、分割領域が極端に小さな面積にならないように、分割した個々の面積が閾値以下の領域があるときには、例えば正誤判定図形が未記入の解答欄がある可能性があるものと判断して分割を止めて警告を出すことで、領域分割処理による誤った領域分割を防ぐことができる。
【0084】
また、ステップS603の「図形間距離が閾値以下である」といことは、例えば途切れ補正部9での途切れ補正処理(欠損補間処理)が不十分な場合に、具体的には図12に示すように、「○」の図形が途切れている場合に、この途切れた「○」の図形を2つの図形と認識して2つの領域として領域分割してしまうことになる。したがって、図形間距離が閾値以下の場合には、例えば図形が途切れている可能性があるものと判断して分割を止めて警告を出すことで、領域分割処理による誤った領域分割を防ぐことができる。
【0085】
一方、警告を受けたユーザによる修正入力については、次のようにして行うことが考えられる。例えば、データベース部1にあらかじめ格納されている修正プログラム(修正手段)を用いて行うことができる。その修正入力の具体例としては、次のような例が考えられる。ただし、以下に例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0086】
ステップS601で解答欄数まで領域を分割できなかったと判断した場合は、例えば、あらかじめ設定されている解答欄数が間違っている可能性があることから、その解答欄数を修正入力する。ステップS602で閾値以下の領域があると判断した場合は、例えば、正誤判定図形が未記入の解答欄がある可能性があることから、領域分割数を解答欄数ではなく、正誤判定図形の記入数に修正入力する。ステップS603で図形間距離が閾値以下であると判断した場合は、例えば、正誤判定図形が途切れている可能性があることから、欠損によって複数に分断されている図形を1つの図形として修正入力し、再び図形形状認識を指示する。
【0087】
(エラー処理2)
図13は、エラー処理2の処理手順の一例を示すフローチャートである。本エラー処理2では、先ず、解答欄と対応付けられていない領域があるか否かを判断し(ステップS611)、解答欄と対応付けられていない領域がなければ、図9におけるステップS508の処理に移行する。
【0088】
ステップS611で解答欄と対応付けられていない領域があると判断した場合は、注目する領域と少しでも重複する解答欄があるか否かを判断し(ステップS612)、注目する領域と少しでも重複する解答欄があれば、次に該当解答欄が他の領域と対応付けられているか否かを判断する(ステップS613)。他の領域と対応付けられていなければ、注目する領域と該当解答欄とを対応付け(ステップS614)、しかる後図9におけるステップS508の処理に移行する。
【0089】
一方、ステップS612で注目する領域と少しでも重複する解答欄がないと判断した場合は、図14(A)に示すように、隣接する領域で、複数の解答欄が対応付けられている領域を探す(ステップS615)。そして、図14(B)に示すように、注目する領域の重心と隣接領域の解答欄中心との距離を算出して当該距離が最も近いものを選択し(ステップS616)、しかる後ステップS613の処理に移行する。ステップS613で該当解答欄が他の領域と対応づけられている場合は、ステップS616に移行する。
【0090】
(解答欄位置領域情報)
図15は、解答欄位置領域情報の一具体例を示す説明図である。解答欄位置領域情報は、教育用教材20上に存在する問題の番号と、その問題の解答に対する配点と、その問題の解答を記入する解答欄21として扱われる領域の所定点(例えば、左上頂点)のxy座標、並びに、その外接矩形の幅(W)および高さ(h)とからなる情報で、図例のように、これらを互いに関連付けるテーブル形式で、データベース部1内に予め保持蓄積されている。
【0091】
(問題別採点結果)
図16は、問題別採点結果の一具体例を示す説明図である。問題別採点結果は、教育用教材20上に存在する問題の番号と、その問題の解答に対する正誤判定と、その正誤判定に基づく得点とからなる情報で、図例のように、これらを互いに関連付けるテーブル形式で、採点集計部12から出力されるものである。
【0092】
採点集計部12から問題別採点結果が出力されると、その後は、集計結果出力部13がその問題別採点結果、すなわち採点集計部12による採点集計の結果を、解答者抽出部7が抽出した解答者情報と関連付けて、教材処理装置と接続するデータベース装置31またはファイルサーバ装置32に対して出力する(図3におけるステップS103の処理)。これにより、データベース装置31またはファイルサーバ装置32では、教育用教材20についての採点集計結果を、例えば一覧形式で管理または利用することが可能となる。
【0093】
以上説明したように、教材処理装置、教材処理方法また教材処理プログラムにおいて、正誤判定の記入がされた教育用教材20から読み取った画像データと、その教育用教材20についての電子データ、すなわち解答欄21への解答記入および当該解答に対する正誤判定の記入がされていないものについてのデータとを比較し、互いの差分から正誤判定の記入内容を認識して、その正誤判定の採点集計を行うようにしたことで、正誤判定が記入された教育用教材20に対する画像読み取りを行えば、その記入された正誤判定について採点結果の自動集計を行うことができるために、教育用教材20についての採点処理の省力化を図ることができることとなる。
【0094】
しかも、教育用教材20から読み取った画像データを基にするため、例えば、複写機、複合機またはスキャナ装置によって実現されるスキャン機能と、PC等のコンピュータ機器が有する情報記憶処理機能、画像処理機能および演算処理機能とがあれば、装置構成を実現することができ、専用の構成機器を必要とすることもない。
【0095】
つまり、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムによれば、教育機関で用いられる教育用教材20について、その採点処理の省力化を実現することが可能となるのに加えて、その採点処理にあたって専用の構成機器を必要とせず、しかも対応可能な教育用教材20についての汎用性を十分に確保することができる。したがって、教育機関で用いるのにあたり非常に利便性の高いものとなり、信頼性の高い採点処理を円滑に行えるようになる。
【0096】
また、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムでは、正誤判定の記入内容として、当該正誤判定の記入図形形状および記入位置の両方を認識するようになっており、さらにはその記入図形形状および記入位置の認識結果を、電子データに含まれる解答欄21の位置情報および配点情報と対応させて、正誤判定の採点集計を行うようになっている。
【0097】
つまり、正誤判定の記入位置を算出し、これを解答欄21の位置情報と対応させているので、教育用教材20上で解答欄21がどのようにレイアウトされていても、その教育用教材20に記入された正誤判定に対する採点集計を行い得るようになる。しかも、単に位置情報だけではなく、配点情報とも対応させるので、例えば解答欄21によって配点が異なるような教育用教材20についても、正誤判定に対する採点集計を行うことが可能となる。
【0098】
特に、本実施形態に係る教材処理装置、教材処理方法または教材処理プログラムでは、正誤判定の採点集計において、「○」や「×」等の正誤判定図形(チェック記号)と教育用教材20の各解答欄21とを対応付ける際に、抽出した正誤判定図形について領域分割処理を行い、その分割した領域に含まれる解答欄21に対応付けるようにすることで、正誤判定図形と解答欄21とを確実に対応付けることができるため、より正確な正誤判定の採点集計、すなわちより信頼性の高い採点処理を行うことができることとなる。
【0099】
なお、上記実施形態では、本発明の好適な実施具体例を説明したが、本発明はその内容に限定されるものではない。例えば、歪み補正処理や途切れ補正処理等は、必ずしも必須ではない。
【0100】
このように、本発明は、上記実施形態での構成に対し、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態に係る教材処理装置の概略構成例を示すシステム構成図である。
【図2】教育用教材の一具体例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る教材処理装置における処理動作例を示す説明図である。
【図4】途切れ補正の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】途切れ補正処理の一例の説明図である。
【図6】途切れ補正の処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図7】途切れ補正処理の他の例の説明図である。
【図8】正誤判定記入位置の認識処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】正誤判定採点集計の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】領域分割処理を用いて行う正誤判定図形と解答欄との対応付けの説明図である。
【図11】エラー処理1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】途切れ補正処理が不十分な場合の分割結果を示す説明図である。
【図13】エラー処理2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】注目する領域と少しでも重複する解答欄がないと判断した場合の処理の説明図である。
【図15】解答欄位置領域情報の一具体例を示す説明図である。
【図16】問題別採点結果の一具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1…データベース部、2…画像読み取り部、3…画像データ解析部、4…教材判別部、5…歪み補正部、6…差分抽出部、7…解答者抽出部、8…正誤判定抽出部、9…途切れ補正部、10…図形形状認識部、11…記入位置算出部、12…採点集計部、13…集計結果出力部、20…教育用教材、21…解答欄、22…識別情報欄、23…解答者情報欄、31…データベース装置、32…ファイルサーバ装置、41…タイトル解析部、42…コード情報解析部、71…出席番号情報切り出し部、72…手書きOCR

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解答欄を含む教育用教材についての電子データを保持蓄積するデータベース手段と、
前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形が記入された教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る読み取り手段と、
前記データベース手段が保持する電子データと前記読み取り手段が得た画像データとの比較結果に基づいて前記正誤判定図形の形状および記入位置を認識する正誤判定認識手段と、
前記正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形の形状および記入位置を、前記データベース手段が保持蓄積している電子データに含まれる解答欄の位置情報および配点情報と対応させて、当該正誤判定認識手段による認識結果に基づく正誤判定の採点集計を行う採点集計手段とを備え、
前記採点集計手段は、前記正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形と前記教育用教材に含まれる解答欄とを対応付ける際に、当該正誤判定図形について領域分割処理によって複数の領域に分割し、その分割した領域に含まれる解答欄に対応付ける
ことを特徴とする教材処理装置。
【請求項2】
前記採点集計手段は、前記領域分割処理を前記解答欄の数だけ行う
ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
【請求項3】
前記採点集計手段は、前記領域分割処理を行う際に、分割が不可能なときは、分割を中止して警告を出す
ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
【請求項4】
前記採点集計手段は、重なり面積が最も大きくなる前記領域分割処理による分割領域と前記解答欄とを対応付けた後、当該分割領域に含まれる正誤判定図形と当該解答欄とを対応付ける
ことを特徴とする請求項1記載の教材処理装置。
【請求項5】
前記採点集計手段は、前記領域分割処理による分割領域と前記解答欄とを対応付ける際に、対応付けが不可能なときは、前記解答欄と対応付けられていない分割領域があり、かつ注目する分割領域と重複する解答欄があれば、当該注目する分割領域と当該重複する解答欄とを対応付ける
ことを特徴とする請求項4記載の教材処理装置。
【請求項6】
前記採点集計手段は、前記注目する分割領域と重複する解答欄がなければ、前記注目する分割領域に隣接し、かつ複数の解答欄が対応付けられている隣接領域を探し、前記注目する分割領域の重心と前記隣接領域に対応付けられている前記複数の解答欄の中心との距離を算出し、当該距離の近い方の解答欄を選択して前記注目する分割領域と対応付ける
ことを特徴とする請求項5記載の教材処理装置。
【請求項7】
解答欄を有した教育用教材についての電子データをデータベース内に保持蓄積させる第1ステップと、
前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形が記入された教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る第2ステップと、
前記第1ステップで保持した電子データと前記第2ステップで得た画像データとの比較結果に基づいて前記正誤判定図形の形状および記入位置を認識する第3ステップと、
前記第3ステップで認識した正誤判定図形の形状および記入位置を、前記第1ステップで保持した電子データに含まれる解答欄の位置情報および配点情報と対応させて、当該第3ステップでの認識結果に基づく正誤判定の採点集計を行う第4ステップとを含み、
前記第4ステップでは、前記第3ステップで認識した正誤判定図形と前記教育用教材に含まれる解答欄とを対応付ける際に、当該正誤判定図形について領域分割処理によって複数の領域に分割し、その分割した領域に含まれる解答欄に対応付ける
ことを特徴とする教材処理方法。
【請求項8】
解答欄を有した教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る画像読み取り装置と接続するコンピュータを、
解答欄を含む教育用教材についての電子データを保持蓄積するデータベース手段と、
前記解答欄への解答の記入および当該解答に対する正誤判定図形が記入された教育用教材に対する画像読み取りを行って当該教育用教材から画像データを得る読み取り手段と、
前記データベース手段が保持する電子データと前記読み取り手段が得た画像データとの比較結果に基づいて前記正誤判定図形の形状および記入位置を認識する正誤判定認識手段と、
前記正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形の形状および記入位置を、前記データベース手段が保持蓄積している電子データに含まれる解答欄の位置情報および配点情報と対応させて、当該正誤判定認識手段による認識結果に基づく正誤判定の採点集計を行うとともに、前記正誤判定認識手段が認識した正誤判定図形と前記教育用教材に含まれる解答欄とを対応付ける際に、当該正誤判定図形について領域分割処理によって複数の領域に分割し、その分割した領域に含まれる解答欄に対応付ける採点集計手段
として機能させることを特徴とする教材処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−52048(P2007−52048A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235155(P2005−235155)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】