教育支援システム、情報処理装置、方法およびプログラム
【課題】チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることを課題とする。
【解決手段】リーダによって閲覧されるリーダ端末2およびメンバによって閲覧されるメンバ端末3がネットワークを介して接続され、リーダ端末2およびメンバ端末3に表示される捕獲対象の位置情報を同期する同期部23、33と、リーダ端末2の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、捕獲対象を表示させる表示部22と、メンバ端末3の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、捕獲対象を表示させる表示部32と、を備え、表示部22は、前記位置情報に基づいて捕獲対象を表示させる場合に、表示部32による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、教育支援システム1とした。
【解決手段】リーダによって閲覧されるリーダ端末2およびメンバによって閲覧されるメンバ端末3がネットワークを介して接続され、リーダ端末2およびメンバ端末3に表示される捕獲対象の位置情報を同期する同期部23、33と、リーダ端末2の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、捕獲対象を表示させる表示部22と、メンバ端末3の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、捕獲対象を表示させる表示部32と、を備え、表示部22は、前記位置情報に基づいて捕獲対象を表示させる場合に、表示部32による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、教育支援システム1とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信媒体を介して中央管理装置、ゲーム端末装置、端末管理装置及び受付処理装置を相互に接続し、ゲーム結果に応じて遊技者の所有ポイント数を更新処理するゲームシステムがある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、学習者が入力装置を操作することにより移動したキャラクタがマップ上の所定位置に到達して相手のキャラクタに遭遇すると問題が出題され、出題された問題に対する正答数が所定数となると、ボスキャラクタに遭遇し、ここで出題される特定問題に合格することで、次のレベルに設定されたマップ上の領域に進むことが可能となる教育支援ゲームシステムがある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−287521号公報
【特許文献2】特開2002−108191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、チームによって業務等を遂行する場合に、チーム内での「開放性(オープンなコミュニケーション)」を確立することが重要であるという認識がなされている。特に、緊急時のチームのパフォーマンスは、通常時のパフォーマンスと相関があるとの結果が得られている。なお、チームの開放性は大きく分けて2種類の要素からなり、そのうち第一は、チーム内でチームの構成員が自分の考えを自由に発言出来ることであり、第二は、リーダが自身の意見に固執せずメンバの意見に耳を傾けることである。このため、会社等の組織では、業務を遂行するチーム内での開放性を高めるために、研修や講演会等によってチームの構成者やチームのリーダの啓発が行われている。
【0006】
しかし、開放性の重要性に関する気付きや開放性の向上に関する教育は、実例を含めた講師の一方的な説明であることが多く、受講者は、頭で理解したつもりであっても、自分のこととして捉えることが困難である。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑み、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一のユーザが閲覧する表示装置の表示内容と、第二のユーザが閲覧する表示装置の表示内容に、不一致を発生させることで、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることを可能にした。
【0009】
詳細には、本発明は、第一のユーザによって閲覧される第一表示装置および第二のユーザによって閲覧される第二表示装置に接続された教育支援システムであって、第一表示装置および第二表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を同期する同期手段と、前記第一表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第一表示手段と、前記第二表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された
表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第二表示手段と、を備え、前記第一表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第二表示手段による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、教育支援システムである。
【0010】
即ち、本発明に係る教育支援システムでは、同期された位置情報に基づいて表示位置が決定される表示対象が、表示される表示装置によって、反転または回転した位置に表示されることとなる。このため、異なる表示装置を閲覧するユーザは、互いにコミュニケーションをとらなければ、互いが閲覧している表示内容に不一致が発生していることや、不一致の原因が表示の反転や回転であることに気付くことが出来ない。
【0011】
このような教育支援システムを、リーダと、リーダ以外のメンバとからなるチームで利用することで、表示内容の不一致や不一致の原因に気付くために必要となる、チームの開放性を体験させることが出来る。また、このような教育支援システムをゲームに適用することで、ゲームの目的を効果的に達成するために、チームの開放性が重要であることを、実体験として認識させることが可能となる。
【0012】
なお、反転/回転表示は、表示対象の表示位置を決定するための座標軸を反転/回転させることで行われてもよい。即ち、前記位置情報は、座標であり、前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第一表示装置における表示位置を決定するための基準となる座標軸として、前記第二表示手段が表示位置を決定する場合に用いる座標軸に対して反転または回転した座標軸を用いて表示位置を決定してもよい。
【0013】
このような反転/回転表示方法を採用することで、例えば、仮想フィールドに配置された表示対象を用いるゲームに対して本発明を適用し、チームに開放性の重要性を体験させるための教育支援システムとすることが出来る。
【0014】
また、本発明において、前記第二表示手段は、前記座標軸を基準として表示される領域として、第一表示手段によって表示される範囲にくらべて狭い範囲を表示させてもよい。
【0015】
また、本発明において、前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を常に表示させ、前記第二表示手段は、前記所定の表示対象を、前記領域内を移動するキャラクタの該所定の表示対象に対する距離が所定の距離以下となった場合に表示させてもよい。
【0016】
第二表示手段によって表示される範囲が第一表示手段によって表示される範囲に比べて狭い場合、また、第二表示装置において、キャラクタが接近しなければ表示対象が表示されない場合、第二表示手段を閲覧する第二のユーザは、第一のユーザから指示を受けなければ、表示されていない表示対象を把握することが出来ない。このため、ユーザ間のコミュニケーションが重要となり、ユーザに、チームの開放性の重要性をより効果的に体験させることが可能となる。
【0017】
また、本発明は、表示装置に接続される情報処理装置であって、他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、情報処理装置である。
【0018】
更に、本発明は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログ
ラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るチーム教育支援システムのネットワーク構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るチーム教育支援システムの機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態におけるゲーム毎の設定情報の具体例を示す図である。
【図4】実施形態においてリーダ端末のディスプレイに表示されるゲーム画面のイメージを示す図である。
【図5】実施形態においてメンバ端末のディスプレイに表示されるゲーム画面のイメージを示す図である。
【図6】実施形態においてメンバ端末のディスプレイに、子船のレーダ画面を同時に3つ表示した場合のイメージを示す図である。
【図7A】実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートAである。
【図7B】実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートBである。
【図8】実施形態において、船が台風に突入したと判定された場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る衝突処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係るレーダ表示変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施形態において、反転表示の前後におけるリーダ端末とメンバ端末とにおける表示内容の変化を示す図である。
【図12】実施形態において、回転表示の前後におけるリーダ端末とメンバ端末とにおける表示内容の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るチーム教育支援システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0022】
チーム教育支援システム1は、リーダおよびリーダ以外のメンバを含むチームに対して、定められた海域において船を操作して魚を捕獲し、魚の捕獲に伴って獲得されたポイントのチーム合計を競う、チーム教育支援ゲームを提供する。ゲームを行うチームは、リーダ(本実施形態では2人)と、リーダ以外のメンバ(本実施形態では5人)と、で構成され、ゲームにおいて、リーダは船団の親船を担当し、他のメンバは子船を担当する。
【0023】
リーダは、リーダ端末2の前でリーダ端末2のディスプレイに表示された情報を得ながら、ジョイスティック等を用いて親船を操作する。また、リーダ以外のメンバは、夫々のメンバが複数のメンバ端末3に割り当てられた状態で、各自、自分が割り当てられたメンバ端末3のディスプレイから情報を得て、ジョイスティック等を用いて自分が担当する子船を操作する。
【0024】
また、本実施形態に係るゲームでは、海域に配置される魚として、マグロ、タイ、サンマが用いられる。なお、配置される捕獲対象の種類は、最終的に獲得されるポイントや、リーダとその他のメンバとの役割の分担化のために定められるものであり、本実施形態に示した種類に限られない。なお、本実施形態において、本発明は、海域において魚を捕獲するゲームを提供するシステム1に適用されるが、捕獲対象は魚でなくともよいし、ゲーム内の仮想空間にも、海域以外の領域が採用されてもよい。例えば、本発明は、陸上で動物を捕獲するゲーム等を提供するシステムに適用されてもよい。
【0025】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るチーム教育支援システム1のネットワーク構成の概略を示す図である。本実施形態に係るチーム教育支援システム1は、LAN(Local Area Network)を介して互いにデータを送受信可能に接続された、サーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3を有する。これらのサーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3は、何れもCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、表示装置としてのディスプレイ、および、入力装置としてのジョイスティックやキーボード、マウス等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。
【0026】
図2は、本実施形態に係るチーム教育支援システム1の機能構成の概略を示す図である。サーバ4は、補助記憶装置からRAMに読み出されたサーバプログラムが、CPUによって実行されることで、リーダ端末2およびメンバ端末3から同期すべき情報を受信する受信部41と、受信された同期すべき情報をリーダ端末2およびメンバ端末3へ配信する配信部42と、を備えるサーバ4として機能する。
【0027】
リーダ端末2は、補助記憶装置からRAM上に読み出された親船操作用プログラムが、CPUによって実行されることで、ゲームの進行を管理する進行管理部21と、ディスプレイにゲーム画面50等を表示させる表示部22と、サーバ4を介して他の端末と情報を同期する同期部23と、魚の捕獲に伴う処理を行う捕獲処理部24と、を備えるリーダ端末2として機能する。
【0028】
メンバ端末3は、補助記憶装置からRAM上に読み出された子船操作用プログラムが、CPUによって実行されることで、ゲームの進行を管理する進行管理部31と、ディスプレイにゲーム画面60等を表示させる表示部32と、サーバ4を介して他の端末と情報を同期する同期部33と、魚の捕獲に伴う処理を行う捕獲処理部34と、を備えるメンバ端末3として機能する。
【0029】
<データ構成>
本実施形態に係るチーム教育支援システム1を用いて実行されるチーム教育支援ゲームは、教育効果を高めるために、設定を変えて複数回実行される。なお、本実施形態では、チーム教育支援ゲームは、間に作戦会議を挟みながら、練習ゲーム、ゲーム1およびゲーム2の順に3回行われる。このため、リーダ端末2およびメンバ端末3は、夫々、複数回実行されるゲーム毎の設定情報を保持する。
【0030】
図3は、本実施形態におけるゲーム毎の設定情報の具体例を示す図である。設定情報には、練習ゲーム、ゲーム1およびゲーム2の夫々について、メンバ端末3の画面表示設定、レーダ表示設定、魚の数や配置に係る魚情報設定ファイルの識別子、タイの発生位置設定、燃料に係る燃料情報設定ファイルの識別子、台風に係る台風情報設定ファイルの識別子、魚の表示設定、ゲーム時間設定、等が設定されている。なお、設定情報にファイルの
識別子が設定されている場合には、取得された識別子に対応する設定ファイルが参照される。
【0031】
メンバ端末3の画面表示設定は、メンバ端末3のディスプレイに、海域の全体(ゲームのプレーヤーによる海域内のエリア把握を容易とするため、縦9*横9のマトリクス状に、エリアに分割されている)を表示させるか、海域のうち子船の現在位置の周辺のみ(本実施形態では、縦9*横9のエリアを有する海域全体のうち、子船が居るエリアを中心とした縦3*横3のエリア)を表示させるか、を決定するための設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは、メンバ端末3のディスプレイにも海域の全体が表示される設定になっているが、ゲーム1およびゲーム2では、メンバ端末3のディスプレイには海域のうち子船の現在位置の周辺のみを表示させる設定となっている。
【0032】
レーダ表示設定は、後述する停電イベントの発生後に、リーダ端末2のディスプレイに表示される反転/回転レーダ画面の、反転/回転方法の設定である。図3に示した例では、レーダ表示設定に設定された値に応じて、反転なし、上下反転、左右反転、反時計方向に90度回転(90度左回転)、時計方向に90度回転(90度右回転)、の何れかの反転表示が行われる。
【0033】
魚情報設定ファイルには、魚の種類や魚群毎に、出現時刻や出現頻度、出現位置、出現数、移動速度、等が設定されている。また、タイの発生位置設定は、レーダ画面に赤丸で表示されるタイの出現規則に関する設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは出現位置に規則性を有する設定となっているが、ゲーム1およびゲーム2では出現位置がランダムな設定となっている。
【0034】
燃料情報設定ファイルには、親船および子船の燃料配分が設定されている。なお、図3に示した例では、練習ゲームでは燃料情報設定ファイルの識別子が指定されておらず、この場合、全ての船に対して燃料が均等に配分される。また、台風情報設定ファイルには、台風の出現時刻や出現時間、出現座標等が設定されている。
【0035】
魚の表示設定は、魚の表示/非表示に関する設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは全ての魚を表示する設定となっているが、ゲーム1およびゲーム2では、メンバ端末3のディスプレイには子船の近傍の魚のみが表示される設定となっている。また、ゲーム時間設定は、ゲーム毎のゲーム時間の設定である。ゲームは、開始から設定された時間が経過すると終了する。図3に示した例では、ゲーム時間が秒単位で設定されている。
【0036】
図4は、本実施形態においてリーダ端末2のディスプレイに表示されるゲーム画面50のイメージを示す図である。リーダ端末2のディスプレイに表示されるゲーム画面50には、レーダ画面51、エリア名称表示52、ゲーム表示53、残り時間表示、燃料表示、速度表示、およびマグロ漁獲量表示が含まれる。リーダ端末2のレーダ画面51には、海域の全体(縦9*横9のエリア全て)が表示される。また、レーダ画面51に表示された海域には、親船の位置、全ての子船の位置、台風の位置、親船が探知出来る魚(全てのタイ、全てのサンマおよび親船近傍のマグロ)、等が、夫々の位置情報(座標)に従って表示される。
【0037】
なお、本実施形態では、魚は、レーダ画面51、61に、種類毎に色分けされた丸型のアイコンで表示される。例えば、タイは比較的大きな赤丸、サンマは比較的大きな青丸のアイコンで表示される。但し、魚は、魚の種類に応じたイラストのアイコンや文字を用いて表示されてもよい。魚を示す表示は、リーダ端末2においても、メンバ端末3においても、同じものが用いられる。また、本実施形態では、船は六角形のアイコンを用いて表示され、親船は子船に比べてやや大きいアイコンで表示される。また、5名のメンバによっ
て5隻の子船が操作されるため、子船は、互いに異なる色で表示される。
【0038】
図5は、本実施形態においてメンバ端末3のディスプレイに表示されるゲーム画面60のイメージを示す図である。メンバ端末3のディスプレイに表示されるゲーム画面60には、レーダ画面61、エリア名称表示62、ゲーム表示63、残り時間表示、燃料表示、速度表示、サンマ漁獲量表示、およびタイ漁獲量表示が含まれる。なお、メンバ端末3のディスプレイに複数のメンバ用のゲーム画面60を表示させることで、1台のディスプレイおよびメンバ端末3を、複数のメンバに共用させることとしてもよい。図6は、本実施形態においてメンバ端末3のディスプレイに、子船のレーダ画面61を同時に3つ表示した場合のイメージを示す図である。このようにすることで、メンバの人数に対して使用できるコンピュータの数が不足しているような場合にも、全てのメンバに対してチーム教育支援ゲームを提供することが出来る。
【0039】
メンバ端末3のレーダ画面61には、縦9*横9のエリアを有する海域のうち、自船を中心とした縦3*横3のエリアが表示される。また、レーダ画面61に表示された海域には、自船の位置、親船および他の子船の位置、台風の位置、子船が探知出来る魚(マグロ、タイおよびサンマ)、等のうち、レーダ画面61(自船を中心とした縦3*横3のエリア)内に位置するものが、夫々の位置情報(座標)に従って表示される。
【0040】
また、エリア名称表示52、62は、レーダ画面51、61をマトリクス状に大まかに分割して、ゲームのプレーヤーに、海域内のエリアを簡易に把握させるための名称表示である。夫々のエリアは、列の名称と行の名称との組み合わせで特定され、例えば、A列の3行目に相当するエリアは、「A3」等の名称で称される。なお、マトリクスは、海域全体をディスプレイに表示された状態に従って分割するものであり、海域における実際の位置(ゲーム内の仮想空間における座標)には対応していない。このため、後述する反転または回転表示が行われた場合、リーダ端末2の「A3」に表示されるエリアと、メンバ端末3の「A3」に表示されるエリアとは、海域における異なる位置を示すこととなる。
【0041】
なお、ゲーム表示53、63には、現在端末によって実行されているゲームが練習ゲーム、ゲーム1、ゲーム2の何れであるかが表示され、残り時間表示には、現在実行されているゲームの残り時間が表示される。ゲームの残り時間は、設定情報から得られたゲーム時間から、後述する時刻カウンタの値を引くことで得ることが出来る。
【0042】
更に、燃料表示には、自船の移動に伴って減少する燃料の残量が表示され、速度表示には、自船の現在の速度が表示される。また、漁獲量表示として、実行中のゲーム中に自船が捕獲した魚の数が、魚の種類毎に表示される。なお、本実施形態では、親船はマグロのみ捕獲可能であるため、リーダ端末2のゲーム画面50にはマグロ漁獲量が表示され、子船はタイとサンマのみ捕獲可能であるため、メンバ端末3のゲーム画面60にはタイ漁獲量およびサンマ漁獲量が表示される。
【0043】
ここで、マグロは、1ゲームを通して海域に設定数(例えば、10匹)のみ配置され、全て捕獲されるとそのゲーム中は海域から居なくなる。また、マグロは親船によってのみ捕獲可能であるが、リーダ端末2のレーダ画面51には、マグロは親船が接近した場合にのみ表示される。このため、マグロを効率よく発見するためには、メンバ端末3のレーダ画面61によって得られる情報を、メンバから収集することが必要となる。なお、親船がマグロに接近したか否かは、親船の座標とマグロの座標との差と所定の閾値とを比較することで判定されてもよいし、親船の居るエリアと同一または隣接エリアか否かによって判定されてもよい。このような判定方法によってマグロと親船が十分接近したと判定された場合に、リーダ端末2のレーダ画面51に、接近に係るマグロが表示される。
【0044】
また、タイは、海域に同時に所定の数(例えば、1匹)存在する。即ち、タイは全て捕獲されると、海域の何れかの位置に再度出現する。但し、タイは子船しか捕獲できないため、タイを効率よく捕獲するためには、リーダ端末2のレーダ画面51によって得られる情報が、リーダからメンバに対して伝達されることが必要となる。
【0045】
また、サンマは、海域における総数が設定された閾値以下まで減少すると、設定された配置数まで再配置される。但し、サンマは子船しか捕獲できないため、サンマの魚群を効率よく捕獲するためには、リーダ端末2のレーダ画面51によって得られる情報に基づいて、リーダがメンバに対して海域に効率よく子船が配置されるような指示を与えることが必要となる。
【0046】
<処理の流れ>
本実施形態に係るチーム教育支援ゲームは、上記説明したチーム教育支援システム1において、サーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3が、夫々、ゲーム開始前に予めインストールされたサーバ用プログラム、リーダ端末用プログラム、メンバ端末用プログラムを実行し、ネットワークを介して情報を同期させながらゲームを進行させることで提供される。
【0047】
なお、リーダ端末2およびメンバ端末3は、夫々、リーダ端末用プログラムおよびメンバ端末用プログラムの実行を開始してゲームを開始すると、はじめに、図3を示して説明した設定情報を参照することで、ゲームの終了時間、魚情報(魚情報設定ファイルによる)、台風情報(台風情報設定ファイルによる)、燃料(燃料情報設定ファイルによる)等を設定する。また、本実施形態では、5名のメンバによって5隻の子船が操作されるため、各子船には、子船を区別するための識別子が付与される。
【0048】
図7Aおよび図7Bは、本実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、リーダ端末2においてゲームの開始を指示する入力が行われたことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0049】
ステップS101からステップS103では、ゲームの開始処理が実行される。リーダ端末2の進行管理部21は、時刻カウントを0から開始し、ゲーム開始を伝えるメッセージをサーバ4に送信する(ステップS101)。サーバ4は、リーダ端末2の同期部23からゲームの開始を伝えるメッセージを受信すると、管理下の全てのメンバ端末3に対して、ゲームの開始を伝えるメッセージを送信する(ステップS102)。各メンバ端末3の進行管理部31は、ゲーム開始のメッセージを受信すると、ゲームプログラムの実行を開始し、時刻カウントを0から開始する(ステップS103)。
【0050】
ステップS104からステップS108では、船の移動処理が実行される。時刻カウントの開始と同時に、リーダ端末2の表示部22は、図4に示した親船レーダ画面51をリーダ端末2のディスプレイに表示し、ユーザ(ここではリーダ端末2前に居るリーダ)からのジョイスティック等を介した親船操作入力の受付を開始する。親船は、海域の座標に関連付けられており、以降、親船の座標はユーザ操作に応じて修正され、親船は、レーダ画面51における親船表示位置が修正された座標に更新されることで、移動する。ここで、親船が移動すると、親船に設定された燃料が、移動速度および移動距離に応じて減少する。なお、本実施形態では、移動の速度が速いほど燃料の減少量が大きくなるように設定されている。また、リーダ端末2の同期部23は、移動によって修正された親船の位置情報(座標または該座標を特定可能な情報)を、サーバ4に送信する(ステップS104)。
【0051】
また、燃料が0になると、その船は移動させることが出来なくなる。これは、親船、子船共に同じである。漁獲量はそのまま維持されるが、後述する台風や衝突が発生すると、漁獲量は0にリセットされる。
【0052】
時刻カウントの開始と同時に、メンバ端末3の表示部32は、図5に示した子船レーダ画面61をメンバ端末3のディスプレイに表示し、ユーザ(ここではメンバ端末3前に居るメンバ)からのジョイスティック等を介した子船操作入力の受付を開始する。子船は、海域の座標に関連付けられており、以降、子船の座標はユーザ操作に応じて修正され、子船は、レーダ画面61における子船表示位置が修正された座標に更新されることで、移動する。ここで、子船が移動すると、子船に設定された燃料が、移動速度および移動距離に応じて減少する。移動の速度が速いほど燃料の減少量が大きくなることは、親船と同様である。また、メンバ端末3の同期部33は、移動によって修正された子船の位置情報(座標または該座標を特定可能な情報)を、サーバ4に送信する(ステップS105)。
【0053】
なお、メンバ端末3においては、子船の移動に応じて、レーダ画面61の表示範囲も更新される。具体的には、メンバ端末3のレーダ画面61に表示される縦3*横3のエリアは、該メンバ端末3によって操作される子船が位置するエリアを中心とした縦3*横3のエリアとなる。
【0054】
サーバ4は、ステップS104およびステップS105で送信された親船の位置情報および子船の位置情報を受信し、これらの位置情報を、リーダ端末2およびメンバ端末3に配信する(ステップS106)。リーダ端末2の同期部23は、サーバ4から配信された子船の位置情報に基づいて子船の座標を取得し、リーダ端末2の表示部22は、レーダ画面51における子船の表示位置を更新する(ステップS107)。同様に、メンバ端末3の同期部33は、サーバ4から配信された親船および他の子船の位置情報に基づいて親船および他の子船の座標を取得し、メンバ端末3の表示部32は、レーダ画面61における親船および他の子船の表示位置を更新する(ステップS108)。その後、処理はステップS109へ進む。
【0055】
ステップS109からステップS115では、魚の捕獲に伴う処理が行われる。リーダ端末2の捕獲処理部24は、親船がマグロを示す表示と重なったこと、換言すると、親船の現在座標がマグロを示す表示の座標と一致するかまたは所定の閾値以下の座標差となったこと、を検知すると(ステップS109)、海域に配置された捕獲されたマグロを消去し、親船のマグロ漁獲量を1加算する(ステップS110)。また、リーダ端末2の同期部23は、捕獲された魚(ここではマグロ)を識別可能な情報を含む捕獲情報をサーバ4に送信する。
【0056】
メンバ端末3の捕獲処理部34は、子船がサンマまたはタイを示す表示と重なったこと、換言すると、子船の現在座標がサンマまたはタイを示す表示の座標と一致するかまたは所定の閾値以下の座標差となったこと、を検知すると(ステップS111)、海域に配置された捕獲されたサンマまたはタイを消去し、当該子船のサンマ漁獲量またはタイ漁獲量のうち、捕獲された魚の種類に対応する漁獲量を1加算する(ステップS112)。また、メンバ端末3の同期部33は、捕獲された魚を識別可能な情報を含む捕獲情報をサーバ4に送信する。
【0057】
サーバ4は、リーダ端末2およびメンバ端末3から送信された捕獲情報を受信し、これらの情報を、リーダ端末2およびメンバ端末3に配信する(ステップS113)。リーダ端末2の同期部23、およびメンバ端末3の同期部33は、サーバ4から配信された情報を受信し、リーダ端末2の表示部22、およびメンバ端末3の表示部32は、サーバ4か
ら配信された情報に基づいて、海域に配置された魚の情報を更新する(ステップS114、ステップS115)。このようにすることで、ある端末において捕獲された魚の表示が、他の端末のレーダ画面51、61の表示から消去される。
【0058】
なお、本実施形態に係るシステム1では、船、魚、台風の位置等、各端末間で同期されるべき情報は、ネットワークを介してサーバ4経由で全ての端末に配信されることで同期される。但し、リーダ端末2や、特定のメンバ端末3等に、情報同期のためのサーバ機能を設けることで、サーバ用のコンピュータを別途用意することなく実施することとしてもよい。
【0059】
ステップS116からステップS119では、ゲームの終了判定処理が行われる。リーダ端末2の進行管理部21は、親船がこれまでに捕獲したマグロの数を参照し、実行中のゲームにおけるマグロの設定数(本実施形態では、10匹)と一致するか否か、即ち、海域に配置された全てのマグロが捕獲されたか否かを判定する(ステップS116)。全てのマグロが捕獲されたと判定された場合、親船による魚の捕獲は終了する(ステップS117)。その後、リーダ端末2の進行管理部21およびメンバ端末3の進行管理部31において時刻カウントが設定されたゲーム時間に達すると(ステップS118、ステップS119)、ゲームが終了し、本フローチャートに示された処理は終了する。時刻カウントがゲーム終了時間に達していない場合、リーダ端末2における処理はステップS104へ戻り、メンバ端末3における処理はステップS105へ戻り、ゲーム時間終了まで、船の移動処理、および魚の捕獲処理が継続される。
【0060】
ゲームが終了すると、親船、および全ての子船による漁獲量が、魚の種類毎にポイント換算され、合計されることで、チーム全体で得られた合計ポイントが算出される。例えば、本実施形態では、サンマ1匹が1ポイント、タイ1匹が10ポイント、マグロ1匹が10ポイントで換算されて、合計される。合計ポイントは、リーダ端末2のディスプレイ、およびメンバ端末3のディスプレイに、ゲームの結果として表示される。なお、各捕獲対象に設定されるポイントは、捕獲対象の性質(出現率、出現数、親船/子船の何れによって発見し易いか、親船/子船の何れによって捕獲可能か)等にもとづいて、チームの開放性が高いほどチームの合計ポイントが高くなるように設定されることが好ましい。即ち、より密な協力が必要な捕獲対象ほど、高いポイントが設定されることが好ましい。
【0061】
図8は、本実施形態において、船が台風に突入したと判定された場合の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、リーダ端末2またはメンバ端末3において、操作されている船が台風に突入したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0062】
はじめに、台風への突入が検知される。台風への突入は、船の座標が、台風として設定されている範囲(例えば、中心座標と中心座標からの距離等で設定される)に入ったか否かを判定することで判断される。台風に突入すると、脱出までの時間カウントが開始される(ステップS201)。
【0063】
台風突入後、所定時間内に台風から脱出できたか否かは、台風への突入に伴って開始された時間カウントが、脱出成功か失敗かを判定するための所定時間(例えば、親船の場合20秒、子船の場合5秒)と比較されることで判定される(ステップS202)。突入後、所定時間内に台風から脱出できた場合、そのままゲームが続行される(ステップS203)。これに対して、突入後、所定時間内に台風から脱出できなかった場合、ゲームは続行されるが、脱出に失敗した船の漁獲量が0にリセットされる(ステップS204)。そ
の後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0064】
図9は、本実施形態に係る衝突処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、リーダ端末2またはメンバ端末3において操作されている船同士が衝突したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0065】
リーダ端末2およびメンバ端末3では、自船の座標と、海域の他の船の座標とが一致した場合に、自船と、座標が一致した他の船とが衝突したと判定する(ステップS301またはステップS302)。衝突を検出した端末は、サーバ4に対して、衝突が発生した座標と、衝突に係る船を特定するための情報とを含む衝突情報を送信する。サーバ4は、衝突情報を受信すると、衝突相手の船の操作が行われている端末に対して、衝突情報を配信する(ステップS303)。衝突情報の配信を受けた端末は、衝突情報によって衝突相手の情報を入手する(ステップS304およびステップS305)。その後、衝突に係る端末において、衝突に係る船の漁獲量が0にリセットされ(ステップS306およびステップS307)、本フローチャートに示された処理は終了する。なお、本実施形態において、衝突に係る船は、漁獲量0からゲームを再開することが出来る。
【0066】
図10は、本実施形態に係るレーダ表示変更処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、ゲーム開始後、予め設定された所定時間が経過したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0067】
本実施形態に係るチーム教育支援システム1で提供されるゲームのうち、ゲーム2では、ゲームの開始後、所定時間が経過すると停電イベントが発生し、リーダ端末2のレーダ画面51の表示が反転または回転表示される。なお、レーダ画面51が反転/回転表示されていることは、ゲームのプレーヤーには知らされない。このようなイベントを発生させることによって、本実施形態に係るシステム1は、メンバがリーダの誤りを指摘出来るか否か、そして、リーダが自らの情報に誤りがありそうなことを認識し、その原因を探ることが出来るか否か、をプレーヤーに体感させ、チームの開放性をプレーヤーに認識させる。
【0068】
リーダ端末2の表示部22は、時刻カウントがイベント発生設定値に達すると、レーダ画面51の表示を一旦中止し、リーダ端末2のディスプレイに、「落雷により停電中」とのメッセージを表示させる(ステップS401)。レーダ画面51の表示停止およびメッセージ表示は所定時間(本実施形態では、5秒間)継続され(ステップS402)、所定時間が経過すると、メッセージの表示は終了し、レーダ画面51の表示が復帰する。
【0069】
ここで、リーダ端末2においては、再表示されたレーダ画面51は、表示停止前の表示に対して反転表示または回転表示される(ステップS403)。即ち、レーダ画面51には、海域内の親船、子船、魚、台風等の要素が、各要素に関連付けられた座標に従って表示されるが、復帰後のレーダ画面51においては、各要素の表示位置を決定するための座標軸が復帰前のレーダ画面51から変更(反転または回転)されており、結果として、各要素の座標が復帰前と同一であっても、レーダ画面51における異なる位置に表示されることとなる。
【0070】
また、メンバ端末3の表示部32は、時刻カウントがイベント発生設定値に達すると、レーダ画面61の表示を一旦中止し、メンバ端末3のディスプレイに、「落雷により停電中」とのメッセージを表示させる(ステップS411)。レーダ画面61の表示停止およびメッセージ表示は所定時間(本実施形態では、5秒間)継続され(ステップS412)、所定時間が経過すると、メッセージの表示は終了し、レーダ画面61の表示が復帰する。なお、メンバ端末3においては、リーダ端末2において行われるような、レーダ画面61の反転表示または回転表示は行われない。
【0071】
図11は、本実施形態において、反転表示の前後におけるリーダ端末2とメンバ端末3とにおける表示内容の変化を示す図である。図11に示す図によれば、反転前は、表示の基準となるX軸およびY軸の方向がリーダ端末2とメンバ端末3とで一致していたが、反転後に、リーダ端末2におけるY軸の表示方向が反転したため、同一の表示対象が表示される位置がリーダ端末2とメンバ端末3との間で不一致となっていることが分かる。なお、図中の破線は、レーダ画面51、61に表示される領域を示し、図中の丸は、表示対象(例えば、タイ)を示す。このため、例えば、反転前の表示ではレーダ画面51の右下に表示されていたはずのタイが、母船のレーダ画面51ではレーダ画面51の右上に表示される。このような状態で、リーダがメンバに対して海域の右上に移動してタイを捕獲するように指示し、メンバが右上に移動しても、メンバはタイを捕獲できない。
【0072】
図12は、本実施形態において、回転表示の前後におけるリーダ端末2とメンバ端末3とにおける表示内容の変化を示す図である。図12に示す図によれば、回転前は、表示の基準となるX軸およびY軸の方向がリーダ端末2とメンバ端末3とで一致していたが、回転後に、リーダ端末2におけるY軸の表示方向が回転したため、同一の表示対象が表示される位置がリーダ端末2とメンバ端末3との間で不一致となっていることが分かる。このため、例えば、回転前の表示ではレーダ画面51の右下に表示されていたはずのタイ(図中の丸)が、母船のレーダ画面51ではレーダ画面51の左下に表示される。このような状態で、リーダがメンバに対して海域の左下に移動してタイを捕獲するように指示し、メンバが左下に移動しても、メンバはタイを捕獲できない。
【0073】
このようなレーダ表示変更処理により、停電イベント発生後は、リーダ端末2のディスプレイに表示されたレーダ画面51における所定の表示対象の表示位置と、メンバ端末3のディスプレイに表示されたレーダ画面61における前記所定の表示対象の表示位置と、が不一致となる。その後、ゲームは、時刻カウンタがゲーム終了時間に達するまで継続される。
【0074】
本実施形態において説明した、チーム教育支援システム1によれば、チーム内でチームの構成員が自分の考えを自由に発言出来ることを意味する「第一の開放性」と、リーダが自身の意見に固執せずメンバの意見に耳を傾けることを意味する「第二の開放性」とを、ユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を自身のこととして捉えさせ、経験させることが出来る。
【0075】
具体的には、メンバ端末3には狭い海域しか表示されず、また、協力しないと獲れない魚(マグロ、タイ)があるため、より合計ポイントを増やし、衝突を避け、台風を避けるためには、チーム内の密なコミュニケーションが必要となり、上記「第一の開放性」を体験させることが出来る。また、レーダ画面51の反転/回転表示に気付くには、メンバからリーダへ意見を述べることが可能であり、且つリーダがメンバからの意見を考慮することが出来る、等の高い開放性が必要となることから、上記「第二の開放性」を体験させることが出来る。
【0076】
また、ゲームの終了後、チームのメンバと講師とで、合計ポイントが高かった/低かっ
た要因を導き出す、ゲーム内容の振り返りや、開放性の欠如に起因して発生した過去の問題事例の講師による紹介等を行うこととすれば、ゲームの参加者に、上記ゲームによって得られた経験と現実の問題とを結び付けさせることが出来る。
【0077】
なお、本実施形態に係るチーム教育支援システム1を用いる場合には、例えば、実際の業務における上司をリーダ、部下をリーダ以外のメンバとしてゲームを行ってもよいし、実際の業務における部下をリーダ、上司をリーダ以外のメンバとしてゲームを行ってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 教育支援システム
2 リーダ端末
3 メンバ端末
4 サーバ
22 表示部
23 同期部
51、61 レーダ画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信媒体を介して中央管理装置、ゲーム端末装置、端末管理装置及び受付処理装置を相互に接続し、ゲーム結果に応じて遊技者の所有ポイント数を更新処理するゲームシステムがある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、学習者が入力装置を操作することにより移動したキャラクタがマップ上の所定位置に到達して相手のキャラクタに遭遇すると問題が出題され、出題された問題に対する正答数が所定数となると、ボスキャラクタに遭遇し、ここで出題される特定問題に合格することで、次のレベルに設定されたマップ上の領域に進むことが可能となる教育支援ゲームシステムがある(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−287521号公報
【特許文献2】特開2002−108191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、チームによって業務等を遂行する場合に、チーム内での「開放性(オープンなコミュニケーション)」を確立することが重要であるという認識がなされている。特に、緊急時のチームのパフォーマンスは、通常時のパフォーマンスと相関があるとの結果が得られている。なお、チームの開放性は大きく分けて2種類の要素からなり、そのうち第一は、チーム内でチームの構成員が自分の考えを自由に発言出来ることであり、第二は、リーダが自身の意見に固執せずメンバの意見に耳を傾けることである。このため、会社等の組織では、業務を遂行するチーム内での開放性を高めるために、研修や講演会等によってチームの構成者やチームのリーダの啓発が行われている。
【0006】
しかし、開放性の重要性に関する気付きや開放性の向上に関する教育は、実例を含めた講師の一方的な説明であることが多く、受講者は、頭で理解したつもりであっても、自分のこととして捉えることが困難である。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑み、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一のユーザが閲覧する表示装置の表示内容と、第二のユーザが閲覧する表示装置の表示内容に、不一致を発生させることで、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることを可能にした。
【0009】
詳細には、本発明は、第一のユーザによって閲覧される第一表示装置および第二のユーザによって閲覧される第二表示装置に接続された教育支援システムであって、第一表示装置および第二表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を同期する同期手段と、前記第一表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第一表示手段と、前記第二表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された
表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第二表示手段と、を備え、前記第一表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第二表示手段による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、教育支援システムである。
【0010】
即ち、本発明に係る教育支援システムでは、同期された位置情報に基づいて表示位置が決定される表示対象が、表示される表示装置によって、反転または回転した位置に表示されることとなる。このため、異なる表示装置を閲覧するユーザは、互いにコミュニケーションをとらなければ、互いが閲覧している表示内容に不一致が発生していることや、不一致の原因が表示の反転や回転であることに気付くことが出来ない。
【0011】
このような教育支援システムを、リーダと、リーダ以外のメンバとからなるチームで利用することで、表示内容の不一致や不一致の原因に気付くために必要となる、チームの開放性を体験させることが出来る。また、このような教育支援システムをゲームに適用することで、ゲームの目的を効果的に達成するために、チームの開放性が重要であることを、実体験として認識させることが可能となる。
【0012】
なお、反転/回転表示は、表示対象の表示位置を決定するための座標軸を反転/回転させることで行われてもよい。即ち、前記位置情報は、座標であり、前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第一表示装置における表示位置を決定するための基準となる座標軸として、前記第二表示手段が表示位置を決定する場合に用いる座標軸に対して反転または回転した座標軸を用いて表示位置を決定してもよい。
【0013】
このような反転/回転表示方法を採用することで、例えば、仮想フィールドに配置された表示対象を用いるゲームに対して本発明を適用し、チームに開放性の重要性を体験させるための教育支援システムとすることが出来る。
【0014】
また、本発明において、前記第二表示手段は、前記座標軸を基準として表示される領域として、第一表示手段によって表示される範囲にくらべて狭い範囲を表示させてもよい。
【0015】
また、本発明において、前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を常に表示させ、前記第二表示手段は、前記所定の表示対象を、前記領域内を移動するキャラクタの該所定の表示対象に対する距離が所定の距離以下となった場合に表示させてもよい。
【0016】
第二表示手段によって表示される範囲が第一表示手段によって表示される範囲に比べて狭い場合、また、第二表示装置において、キャラクタが接近しなければ表示対象が表示されない場合、第二表示手段を閲覧する第二のユーザは、第一のユーザから指示を受けなければ、表示されていない表示対象を把握することが出来ない。このため、ユーザ間のコミュニケーションが重要となり、ユーザに、チームの開放性の重要性をより効果的に体験させることが可能となる。
【0017】
また、本発明は、表示装置に接続される情報処理装置であって、他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、情報処理装置である。
【0018】
更に、本発明は、コンピュータが実行する方法、又はコンピュータに実行させるプログ
ラムとしても把握することが可能である。また、本発明は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものでもよい。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チームにおける開放性の程度をユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を実体験として認識させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るチーム教育支援システムのネットワーク構成の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係るチーム教育支援システムの機能構成の概略を示す図である。
【図3】実施形態におけるゲーム毎の設定情報の具体例を示す図である。
【図4】実施形態においてリーダ端末のディスプレイに表示されるゲーム画面のイメージを示す図である。
【図5】実施形態においてメンバ端末のディスプレイに表示されるゲーム画面のイメージを示す図である。
【図6】実施形態においてメンバ端末のディスプレイに、子船のレーダ画面を同時に3つ表示した場合のイメージを示す図である。
【図7A】実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートAである。
【図7B】実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートBである。
【図8】実施形態において、船が台風に突入したと判定された場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る衝突処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係るレーダ表示変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施形態において、反転表示の前後におけるリーダ端末とメンバ端末とにおける表示内容の変化を示す図である。
【図12】実施形態において、回転表示の前後におけるリーダ端末とメンバ端末とにおける表示内容の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るチーム教育支援システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0022】
チーム教育支援システム1は、リーダおよびリーダ以外のメンバを含むチームに対して、定められた海域において船を操作して魚を捕獲し、魚の捕獲に伴って獲得されたポイントのチーム合計を競う、チーム教育支援ゲームを提供する。ゲームを行うチームは、リーダ(本実施形態では2人)と、リーダ以外のメンバ(本実施形態では5人)と、で構成され、ゲームにおいて、リーダは船団の親船を担当し、他のメンバは子船を担当する。
【0023】
リーダは、リーダ端末2の前でリーダ端末2のディスプレイに表示された情報を得ながら、ジョイスティック等を用いて親船を操作する。また、リーダ以外のメンバは、夫々のメンバが複数のメンバ端末3に割り当てられた状態で、各自、自分が割り当てられたメンバ端末3のディスプレイから情報を得て、ジョイスティック等を用いて自分が担当する子船を操作する。
【0024】
また、本実施形態に係るゲームでは、海域に配置される魚として、マグロ、タイ、サンマが用いられる。なお、配置される捕獲対象の種類は、最終的に獲得されるポイントや、リーダとその他のメンバとの役割の分担化のために定められるものであり、本実施形態に示した種類に限られない。なお、本実施形態において、本発明は、海域において魚を捕獲するゲームを提供するシステム1に適用されるが、捕獲対象は魚でなくともよいし、ゲーム内の仮想空間にも、海域以外の領域が採用されてもよい。例えば、本発明は、陸上で動物を捕獲するゲーム等を提供するシステムに適用されてもよい。
【0025】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るチーム教育支援システム1のネットワーク構成の概略を示す図である。本実施形態に係るチーム教育支援システム1は、LAN(Local Area Network)を介して互いにデータを送受信可能に接続された、サーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3を有する。これらのサーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3は、何れもCPU(Central Processing Unit)、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置、表示装置としてのディスプレイ、および、入力装置としてのジョイスティックやキーボード、マウス等を備えるコンピュータ(情報処理装置)である。
【0026】
図2は、本実施形態に係るチーム教育支援システム1の機能構成の概略を示す図である。サーバ4は、補助記憶装置からRAMに読み出されたサーバプログラムが、CPUによって実行されることで、リーダ端末2およびメンバ端末3から同期すべき情報を受信する受信部41と、受信された同期すべき情報をリーダ端末2およびメンバ端末3へ配信する配信部42と、を備えるサーバ4として機能する。
【0027】
リーダ端末2は、補助記憶装置からRAM上に読み出された親船操作用プログラムが、CPUによって実行されることで、ゲームの進行を管理する進行管理部21と、ディスプレイにゲーム画面50等を表示させる表示部22と、サーバ4を介して他の端末と情報を同期する同期部23と、魚の捕獲に伴う処理を行う捕獲処理部24と、を備えるリーダ端末2として機能する。
【0028】
メンバ端末3は、補助記憶装置からRAM上に読み出された子船操作用プログラムが、CPUによって実行されることで、ゲームの進行を管理する進行管理部31と、ディスプレイにゲーム画面60等を表示させる表示部32と、サーバ4を介して他の端末と情報を同期する同期部33と、魚の捕獲に伴う処理を行う捕獲処理部34と、を備えるメンバ端末3として機能する。
【0029】
<データ構成>
本実施形態に係るチーム教育支援システム1を用いて実行されるチーム教育支援ゲームは、教育効果を高めるために、設定を変えて複数回実行される。なお、本実施形態では、チーム教育支援ゲームは、間に作戦会議を挟みながら、練習ゲーム、ゲーム1およびゲーム2の順に3回行われる。このため、リーダ端末2およびメンバ端末3は、夫々、複数回実行されるゲーム毎の設定情報を保持する。
【0030】
図3は、本実施形態におけるゲーム毎の設定情報の具体例を示す図である。設定情報には、練習ゲーム、ゲーム1およびゲーム2の夫々について、メンバ端末3の画面表示設定、レーダ表示設定、魚の数や配置に係る魚情報設定ファイルの識別子、タイの発生位置設定、燃料に係る燃料情報設定ファイルの識別子、台風に係る台風情報設定ファイルの識別子、魚の表示設定、ゲーム時間設定、等が設定されている。なお、設定情報にファイルの
識別子が設定されている場合には、取得された識別子に対応する設定ファイルが参照される。
【0031】
メンバ端末3の画面表示設定は、メンバ端末3のディスプレイに、海域の全体(ゲームのプレーヤーによる海域内のエリア把握を容易とするため、縦9*横9のマトリクス状に、エリアに分割されている)を表示させるか、海域のうち子船の現在位置の周辺のみ(本実施形態では、縦9*横9のエリアを有する海域全体のうち、子船が居るエリアを中心とした縦3*横3のエリア)を表示させるか、を決定するための設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは、メンバ端末3のディスプレイにも海域の全体が表示される設定になっているが、ゲーム1およびゲーム2では、メンバ端末3のディスプレイには海域のうち子船の現在位置の周辺のみを表示させる設定となっている。
【0032】
レーダ表示設定は、後述する停電イベントの発生後に、リーダ端末2のディスプレイに表示される反転/回転レーダ画面の、反転/回転方法の設定である。図3に示した例では、レーダ表示設定に設定された値に応じて、反転なし、上下反転、左右反転、反時計方向に90度回転(90度左回転)、時計方向に90度回転(90度右回転)、の何れかの反転表示が行われる。
【0033】
魚情報設定ファイルには、魚の種類や魚群毎に、出現時刻や出現頻度、出現位置、出現数、移動速度、等が設定されている。また、タイの発生位置設定は、レーダ画面に赤丸で表示されるタイの出現規則に関する設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは出現位置に規則性を有する設定となっているが、ゲーム1およびゲーム2では出現位置がランダムな設定となっている。
【0034】
燃料情報設定ファイルには、親船および子船の燃料配分が設定されている。なお、図3に示した例では、練習ゲームでは燃料情報設定ファイルの識別子が指定されておらず、この場合、全ての船に対して燃料が均等に配分される。また、台風情報設定ファイルには、台風の出現時刻や出現時間、出現座標等が設定されている。
【0035】
魚の表示設定は、魚の表示/非表示に関する設定である。図3に示した例では、練習ゲームでは全ての魚を表示する設定となっているが、ゲーム1およびゲーム2では、メンバ端末3のディスプレイには子船の近傍の魚のみが表示される設定となっている。また、ゲーム時間設定は、ゲーム毎のゲーム時間の設定である。ゲームは、開始から設定された時間が経過すると終了する。図3に示した例では、ゲーム時間が秒単位で設定されている。
【0036】
図4は、本実施形態においてリーダ端末2のディスプレイに表示されるゲーム画面50のイメージを示す図である。リーダ端末2のディスプレイに表示されるゲーム画面50には、レーダ画面51、エリア名称表示52、ゲーム表示53、残り時間表示、燃料表示、速度表示、およびマグロ漁獲量表示が含まれる。リーダ端末2のレーダ画面51には、海域の全体(縦9*横9のエリア全て)が表示される。また、レーダ画面51に表示された海域には、親船の位置、全ての子船の位置、台風の位置、親船が探知出来る魚(全てのタイ、全てのサンマおよび親船近傍のマグロ)、等が、夫々の位置情報(座標)に従って表示される。
【0037】
なお、本実施形態では、魚は、レーダ画面51、61に、種類毎に色分けされた丸型のアイコンで表示される。例えば、タイは比較的大きな赤丸、サンマは比較的大きな青丸のアイコンで表示される。但し、魚は、魚の種類に応じたイラストのアイコンや文字を用いて表示されてもよい。魚を示す表示は、リーダ端末2においても、メンバ端末3においても、同じものが用いられる。また、本実施形態では、船は六角形のアイコンを用いて表示され、親船は子船に比べてやや大きいアイコンで表示される。また、5名のメンバによっ
て5隻の子船が操作されるため、子船は、互いに異なる色で表示される。
【0038】
図5は、本実施形態においてメンバ端末3のディスプレイに表示されるゲーム画面60のイメージを示す図である。メンバ端末3のディスプレイに表示されるゲーム画面60には、レーダ画面61、エリア名称表示62、ゲーム表示63、残り時間表示、燃料表示、速度表示、サンマ漁獲量表示、およびタイ漁獲量表示が含まれる。なお、メンバ端末3のディスプレイに複数のメンバ用のゲーム画面60を表示させることで、1台のディスプレイおよびメンバ端末3を、複数のメンバに共用させることとしてもよい。図6は、本実施形態においてメンバ端末3のディスプレイに、子船のレーダ画面61を同時に3つ表示した場合のイメージを示す図である。このようにすることで、メンバの人数に対して使用できるコンピュータの数が不足しているような場合にも、全てのメンバに対してチーム教育支援ゲームを提供することが出来る。
【0039】
メンバ端末3のレーダ画面61には、縦9*横9のエリアを有する海域のうち、自船を中心とした縦3*横3のエリアが表示される。また、レーダ画面61に表示された海域には、自船の位置、親船および他の子船の位置、台風の位置、子船が探知出来る魚(マグロ、タイおよびサンマ)、等のうち、レーダ画面61(自船を中心とした縦3*横3のエリア)内に位置するものが、夫々の位置情報(座標)に従って表示される。
【0040】
また、エリア名称表示52、62は、レーダ画面51、61をマトリクス状に大まかに分割して、ゲームのプレーヤーに、海域内のエリアを簡易に把握させるための名称表示である。夫々のエリアは、列の名称と行の名称との組み合わせで特定され、例えば、A列の3行目に相当するエリアは、「A3」等の名称で称される。なお、マトリクスは、海域全体をディスプレイに表示された状態に従って分割するものであり、海域における実際の位置(ゲーム内の仮想空間における座標)には対応していない。このため、後述する反転または回転表示が行われた場合、リーダ端末2の「A3」に表示されるエリアと、メンバ端末3の「A3」に表示されるエリアとは、海域における異なる位置を示すこととなる。
【0041】
なお、ゲーム表示53、63には、現在端末によって実行されているゲームが練習ゲーム、ゲーム1、ゲーム2の何れであるかが表示され、残り時間表示には、現在実行されているゲームの残り時間が表示される。ゲームの残り時間は、設定情報から得られたゲーム時間から、後述する時刻カウンタの値を引くことで得ることが出来る。
【0042】
更に、燃料表示には、自船の移動に伴って減少する燃料の残量が表示され、速度表示には、自船の現在の速度が表示される。また、漁獲量表示として、実行中のゲーム中に自船が捕獲した魚の数が、魚の種類毎に表示される。なお、本実施形態では、親船はマグロのみ捕獲可能であるため、リーダ端末2のゲーム画面50にはマグロ漁獲量が表示され、子船はタイとサンマのみ捕獲可能であるため、メンバ端末3のゲーム画面60にはタイ漁獲量およびサンマ漁獲量が表示される。
【0043】
ここで、マグロは、1ゲームを通して海域に設定数(例えば、10匹)のみ配置され、全て捕獲されるとそのゲーム中は海域から居なくなる。また、マグロは親船によってのみ捕獲可能であるが、リーダ端末2のレーダ画面51には、マグロは親船が接近した場合にのみ表示される。このため、マグロを効率よく発見するためには、メンバ端末3のレーダ画面61によって得られる情報を、メンバから収集することが必要となる。なお、親船がマグロに接近したか否かは、親船の座標とマグロの座標との差と所定の閾値とを比較することで判定されてもよいし、親船の居るエリアと同一または隣接エリアか否かによって判定されてもよい。このような判定方法によってマグロと親船が十分接近したと判定された場合に、リーダ端末2のレーダ画面51に、接近に係るマグロが表示される。
【0044】
また、タイは、海域に同時に所定の数(例えば、1匹)存在する。即ち、タイは全て捕獲されると、海域の何れかの位置に再度出現する。但し、タイは子船しか捕獲できないため、タイを効率よく捕獲するためには、リーダ端末2のレーダ画面51によって得られる情報が、リーダからメンバに対して伝達されることが必要となる。
【0045】
また、サンマは、海域における総数が設定された閾値以下まで減少すると、設定された配置数まで再配置される。但し、サンマは子船しか捕獲できないため、サンマの魚群を効率よく捕獲するためには、リーダ端末2のレーダ画面51によって得られる情報に基づいて、リーダがメンバに対して海域に効率よく子船が配置されるような指示を与えることが必要となる。
【0046】
<処理の流れ>
本実施形態に係るチーム教育支援ゲームは、上記説明したチーム教育支援システム1において、サーバ4、リーダ端末2、およびメンバ端末3が、夫々、ゲーム開始前に予めインストールされたサーバ用プログラム、リーダ端末用プログラム、メンバ端末用プログラムを実行し、ネットワークを介して情報を同期させながらゲームを進行させることで提供される。
【0047】
なお、リーダ端末2およびメンバ端末3は、夫々、リーダ端末用プログラムおよびメンバ端末用プログラムの実行を開始してゲームを開始すると、はじめに、図3を示して説明した設定情報を参照することで、ゲームの終了時間、魚情報(魚情報設定ファイルによる)、台風情報(台風情報設定ファイルによる)、燃料(燃料情報設定ファイルによる)等を設定する。また、本実施形態では、5名のメンバによって5隻の子船が操作されるため、各子船には、子船を区別するための識別子が付与される。
【0048】
図7Aおよび図7Bは、本実施形態に係るチーム教育支援ゲームのメイン処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、リーダ端末2においてゲームの開始を指示する入力が行われたことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0049】
ステップS101からステップS103では、ゲームの開始処理が実行される。リーダ端末2の進行管理部21は、時刻カウントを0から開始し、ゲーム開始を伝えるメッセージをサーバ4に送信する(ステップS101)。サーバ4は、リーダ端末2の同期部23からゲームの開始を伝えるメッセージを受信すると、管理下の全てのメンバ端末3に対して、ゲームの開始を伝えるメッセージを送信する(ステップS102)。各メンバ端末3の進行管理部31は、ゲーム開始のメッセージを受信すると、ゲームプログラムの実行を開始し、時刻カウントを0から開始する(ステップS103)。
【0050】
ステップS104からステップS108では、船の移動処理が実行される。時刻カウントの開始と同時に、リーダ端末2の表示部22は、図4に示した親船レーダ画面51をリーダ端末2のディスプレイに表示し、ユーザ(ここではリーダ端末2前に居るリーダ)からのジョイスティック等を介した親船操作入力の受付を開始する。親船は、海域の座標に関連付けられており、以降、親船の座標はユーザ操作に応じて修正され、親船は、レーダ画面51における親船表示位置が修正された座標に更新されることで、移動する。ここで、親船が移動すると、親船に設定された燃料が、移動速度および移動距離に応じて減少する。なお、本実施形態では、移動の速度が速いほど燃料の減少量が大きくなるように設定されている。また、リーダ端末2の同期部23は、移動によって修正された親船の位置情報(座標または該座標を特定可能な情報)を、サーバ4に送信する(ステップS104)。
【0051】
また、燃料が0になると、その船は移動させることが出来なくなる。これは、親船、子船共に同じである。漁獲量はそのまま維持されるが、後述する台風や衝突が発生すると、漁獲量は0にリセットされる。
【0052】
時刻カウントの開始と同時に、メンバ端末3の表示部32は、図5に示した子船レーダ画面61をメンバ端末3のディスプレイに表示し、ユーザ(ここではメンバ端末3前に居るメンバ)からのジョイスティック等を介した子船操作入力の受付を開始する。子船は、海域の座標に関連付けられており、以降、子船の座標はユーザ操作に応じて修正され、子船は、レーダ画面61における子船表示位置が修正された座標に更新されることで、移動する。ここで、子船が移動すると、子船に設定された燃料が、移動速度および移動距離に応じて減少する。移動の速度が速いほど燃料の減少量が大きくなることは、親船と同様である。また、メンバ端末3の同期部33は、移動によって修正された子船の位置情報(座標または該座標を特定可能な情報)を、サーバ4に送信する(ステップS105)。
【0053】
なお、メンバ端末3においては、子船の移動に応じて、レーダ画面61の表示範囲も更新される。具体的には、メンバ端末3のレーダ画面61に表示される縦3*横3のエリアは、該メンバ端末3によって操作される子船が位置するエリアを中心とした縦3*横3のエリアとなる。
【0054】
サーバ4は、ステップS104およびステップS105で送信された親船の位置情報および子船の位置情報を受信し、これらの位置情報を、リーダ端末2およびメンバ端末3に配信する(ステップS106)。リーダ端末2の同期部23は、サーバ4から配信された子船の位置情報に基づいて子船の座標を取得し、リーダ端末2の表示部22は、レーダ画面51における子船の表示位置を更新する(ステップS107)。同様に、メンバ端末3の同期部33は、サーバ4から配信された親船および他の子船の位置情報に基づいて親船および他の子船の座標を取得し、メンバ端末3の表示部32は、レーダ画面61における親船および他の子船の表示位置を更新する(ステップS108)。その後、処理はステップS109へ進む。
【0055】
ステップS109からステップS115では、魚の捕獲に伴う処理が行われる。リーダ端末2の捕獲処理部24は、親船がマグロを示す表示と重なったこと、換言すると、親船の現在座標がマグロを示す表示の座標と一致するかまたは所定の閾値以下の座標差となったこと、を検知すると(ステップS109)、海域に配置された捕獲されたマグロを消去し、親船のマグロ漁獲量を1加算する(ステップS110)。また、リーダ端末2の同期部23は、捕獲された魚(ここではマグロ)を識別可能な情報を含む捕獲情報をサーバ4に送信する。
【0056】
メンバ端末3の捕獲処理部34は、子船がサンマまたはタイを示す表示と重なったこと、換言すると、子船の現在座標がサンマまたはタイを示す表示の座標と一致するかまたは所定の閾値以下の座標差となったこと、を検知すると(ステップS111)、海域に配置された捕獲されたサンマまたはタイを消去し、当該子船のサンマ漁獲量またはタイ漁獲量のうち、捕獲された魚の種類に対応する漁獲量を1加算する(ステップS112)。また、メンバ端末3の同期部33は、捕獲された魚を識別可能な情報を含む捕獲情報をサーバ4に送信する。
【0057】
サーバ4は、リーダ端末2およびメンバ端末3から送信された捕獲情報を受信し、これらの情報を、リーダ端末2およびメンバ端末3に配信する(ステップS113)。リーダ端末2の同期部23、およびメンバ端末3の同期部33は、サーバ4から配信された情報を受信し、リーダ端末2の表示部22、およびメンバ端末3の表示部32は、サーバ4か
ら配信された情報に基づいて、海域に配置された魚の情報を更新する(ステップS114、ステップS115)。このようにすることで、ある端末において捕獲された魚の表示が、他の端末のレーダ画面51、61の表示から消去される。
【0058】
なお、本実施形態に係るシステム1では、船、魚、台風の位置等、各端末間で同期されるべき情報は、ネットワークを介してサーバ4経由で全ての端末に配信されることで同期される。但し、リーダ端末2や、特定のメンバ端末3等に、情報同期のためのサーバ機能を設けることで、サーバ用のコンピュータを別途用意することなく実施することとしてもよい。
【0059】
ステップS116からステップS119では、ゲームの終了判定処理が行われる。リーダ端末2の進行管理部21は、親船がこれまでに捕獲したマグロの数を参照し、実行中のゲームにおけるマグロの設定数(本実施形態では、10匹)と一致するか否か、即ち、海域に配置された全てのマグロが捕獲されたか否かを判定する(ステップS116)。全てのマグロが捕獲されたと判定された場合、親船による魚の捕獲は終了する(ステップS117)。その後、リーダ端末2の進行管理部21およびメンバ端末3の進行管理部31において時刻カウントが設定されたゲーム時間に達すると(ステップS118、ステップS119)、ゲームが終了し、本フローチャートに示された処理は終了する。時刻カウントがゲーム終了時間に達していない場合、リーダ端末2における処理はステップS104へ戻り、メンバ端末3における処理はステップS105へ戻り、ゲーム時間終了まで、船の移動処理、および魚の捕獲処理が継続される。
【0060】
ゲームが終了すると、親船、および全ての子船による漁獲量が、魚の種類毎にポイント換算され、合計されることで、チーム全体で得られた合計ポイントが算出される。例えば、本実施形態では、サンマ1匹が1ポイント、タイ1匹が10ポイント、マグロ1匹が10ポイントで換算されて、合計される。合計ポイントは、リーダ端末2のディスプレイ、およびメンバ端末3のディスプレイに、ゲームの結果として表示される。なお、各捕獲対象に設定されるポイントは、捕獲対象の性質(出現率、出現数、親船/子船の何れによって発見し易いか、親船/子船の何れによって捕獲可能か)等にもとづいて、チームの開放性が高いほどチームの合計ポイントが高くなるように設定されることが好ましい。即ち、より密な協力が必要な捕獲対象ほど、高いポイントが設定されることが好ましい。
【0061】
図8は、本実施形態において、船が台風に突入したと判定された場合の処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、リーダ端末2またはメンバ端末3において、操作されている船が台風に突入したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0062】
はじめに、台風への突入が検知される。台風への突入は、船の座標が、台風として設定されている範囲(例えば、中心座標と中心座標からの距離等で設定される)に入ったか否かを判定することで判断される。台風に突入すると、脱出までの時間カウントが開始される(ステップS201)。
【0063】
台風突入後、所定時間内に台風から脱出できたか否かは、台風への突入に伴って開始された時間カウントが、脱出成功か失敗かを判定するための所定時間(例えば、親船の場合20秒、子船の場合5秒)と比較されることで判定される(ステップS202)。突入後、所定時間内に台風から脱出できた場合、そのままゲームが続行される(ステップS203)。これに対して、突入後、所定時間内に台風から脱出できなかった場合、ゲームは続行されるが、脱出に失敗した船の漁獲量が0にリセットされる(ステップS204)。そ
の後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0064】
図9は、本実施形態に係る衝突処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、リーダ端末2またはメンバ端末3において操作されている船同士が衝突したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0065】
リーダ端末2およびメンバ端末3では、自船の座標と、海域の他の船の座標とが一致した場合に、自船と、座標が一致した他の船とが衝突したと判定する(ステップS301またはステップS302)。衝突を検出した端末は、サーバ4に対して、衝突が発生した座標と、衝突に係る船を特定するための情報とを含む衝突情報を送信する。サーバ4は、衝突情報を受信すると、衝突相手の船の操作が行われている端末に対して、衝突情報を配信する(ステップS303)。衝突情報の配信を受けた端末は、衝突情報によって衝突相手の情報を入手する(ステップS304およびステップS305)。その後、衝突に係る端末において、衝突に係る船の漁獲量が0にリセットされ(ステップS306およびステップS307)、本フローチャートに示された処理は終了する。なお、本実施形態において、衝突に係る船は、漁獲量0からゲームを再開することが出来る。
【0066】
図10は、本実施形態に係るレーダ表示変更処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図7Aおよび図7Bを用いて説明したメイン処理の実行中に、ゲーム開始後、予め設定された所定時間が経過したことを契機として開始される。なお、本フローチャートに示された処理の詳細および順序は一例であり、本発明の実施に際しては、実施の形態に応じて最適な処理および処理順序が採用されることが好ましい。
【0067】
本実施形態に係るチーム教育支援システム1で提供されるゲームのうち、ゲーム2では、ゲームの開始後、所定時間が経過すると停電イベントが発生し、リーダ端末2のレーダ画面51の表示が反転または回転表示される。なお、レーダ画面51が反転/回転表示されていることは、ゲームのプレーヤーには知らされない。このようなイベントを発生させることによって、本実施形態に係るシステム1は、メンバがリーダの誤りを指摘出来るか否か、そして、リーダが自らの情報に誤りがありそうなことを認識し、その原因を探ることが出来るか否か、をプレーヤーに体感させ、チームの開放性をプレーヤーに認識させる。
【0068】
リーダ端末2の表示部22は、時刻カウントがイベント発生設定値に達すると、レーダ画面51の表示を一旦中止し、リーダ端末2のディスプレイに、「落雷により停電中」とのメッセージを表示させる(ステップS401)。レーダ画面51の表示停止およびメッセージ表示は所定時間(本実施形態では、5秒間)継続され(ステップS402)、所定時間が経過すると、メッセージの表示は終了し、レーダ画面51の表示が復帰する。
【0069】
ここで、リーダ端末2においては、再表示されたレーダ画面51は、表示停止前の表示に対して反転表示または回転表示される(ステップS403)。即ち、レーダ画面51には、海域内の親船、子船、魚、台風等の要素が、各要素に関連付けられた座標に従って表示されるが、復帰後のレーダ画面51においては、各要素の表示位置を決定するための座標軸が復帰前のレーダ画面51から変更(反転または回転)されており、結果として、各要素の座標が復帰前と同一であっても、レーダ画面51における異なる位置に表示されることとなる。
【0070】
また、メンバ端末3の表示部32は、時刻カウントがイベント発生設定値に達すると、レーダ画面61の表示を一旦中止し、メンバ端末3のディスプレイに、「落雷により停電中」とのメッセージを表示させる(ステップS411)。レーダ画面61の表示停止およびメッセージ表示は所定時間(本実施形態では、5秒間)継続され(ステップS412)、所定時間が経過すると、メッセージの表示は終了し、レーダ画面61の表示が復帰する。なお、メンバ端末3においては、リーダ端末2において行われるような、レーダ画面61の反転表示または回転表示は行われない。
【0071】
図11は、本実施形態において、反転表示の前後におけるリーダ端末2とメンバ端末3とにおける表示内容の変化を示す図である。図11に示す図によれば、反転前は、表示の基準となるX軸およびY軸の方向がリーダ端末2とメンバ端末3とで一致していたが、反転後に、リーダ端末2におけるY軸の表示方向が反転したため、同一の表示対象が表示される位置がリーダ端末2とメンバ端末3との間で不一致となっていることが分かる。なお、図中の破線は、レーダ画面51、61に表示される領域を示し、図中の丸は、表示対象(例えば、タイ)を示す。このため、例えば、反転前の表示ではレーダ画面51の右下に表示されていたはずのタイが、母船のレーダ画面51ではレーダ画面51の右上に表示される。このような状態で、リーダがメンバに対して海域の右上に移動してタイを捕獲するように指示し、メンバが右上に移動しても、メンバはタイを捕獲できない。
【0072】
図12は、本実施形態において、回転表示の前後におけるリーダ端末2とメンバ端末3とにおける表示内容の変化を示す図である。図12に示す図によれば、回転前は、表示の基準となるX軸およびY軸の方向がリーダ端末2とメンバ端末3とで一致していたが、回転後に、リーダ端末2におけるY軸の表示方向が回転したため、同一の表示対象が表示される位置がリーダ端末2とメンバ端末3との間で不一致となっていることが分かる。このため、例えば、回転前の表示ではレーダ画面51の右下に表示されていたはずのタイ(図中の丸)が、母船のレーダ画面51ではレーダ画面51の左下に表示される。このような状態で、リーダがメンバに対して海域の左下に移動してタイを捕獲するように指示し、メンバが左下に移動しても、メンバはタイを捕獲できない。
【0073】
このようなレーダ表示変更処理により、停電イベント発生後は、リーダ端末2のディスプレイに表示されたレーダ画面51における所定の表示対象の表示位置と、メンバ端末3のディスプレイに表示されたレーダ画面61における前記所定の表示対象の表示位置と、が不一致となる。その後、ゲームは、時刻カウンタがゲーム終了時間に達するまで継続される。
【0074】
本実施形態において説明した、チーム教育支援システム1によれば、チーム内でチームの構成員が自分の考えを自由に発言出来ることを意味する「第一の開放性」と、リーダが自身の意見に固執せずメンバの意見に耳を傾けることを意味する「第二の開放性」とを、ユーザに体験させ、ユーザに、開放性の重要性を自身のこととして捉えさせ、経験させることが出来る。
【0075】
具体的には、メンバ端末3には狭い海域しか表示されず、また、協力しないと獲れない魚(マグロ、タイ)があるため、より合計ポイントを増やし、衝突を避け、台風を避けるためには、チーム内の密なコミュニケーションが必要となり、上記「第一の開放性」を体験させることが出来る。また、レーダ画面51の反転/回転表示に気付くには、メンバからリーダへ意見を述べることが可能であり、且つリーダがメンバからの意見を考慮することが出来る、等の高い開放性が必要となることから、上記「第二の開放性」を体験させることが出来る。
【0076】
また、ゲームの終了後、チームのメンバと講師とで、合計ポイントが高かった/低かっ
た要因を導き出す、ゲーム内容の振り返りや、開放性の欠如に起因して発生した過去の問題事例の講師による紹介等を行うこととすれば、ゲームの参加者に、上記ゲームによって得られた経験と現実の問題とを結び付けさせることが出来る。
【0077】
なお、本実施形態に係るチーム教育支援システム1を用いる場合には、例えば、実際の業務における上司をリーダ、部下をリーダ以外のメンバとしてゲームを行ってもよいし、実際の業務における部下をリーダ、上司をリーダ以外のメンバとしてゲームを行ってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 教育支援システム
2 リーダ端末
3 メンバ端末
4 サーバ
22 表示部
23 同期部
51、61 レーダ画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のユーザによって閲覧される第一表示装置および第二のユーザによって閲覧される第二表示装置に接続された教育支援システムであって、
第一表示装置および第二表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を同期する同期手段と、
前記第一表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第一表示手段と、
前記第二表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第二表示手段と、を備え、
前記第一表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第二表示手段による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
教育支援システム。
【請求項2】
前記位置情報は、座標であり、
前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第一表示装置における表示位置を決定するための基準となる座標軸として、前記第二表示手段が表示位置を決定する場合に用いる座標軸に対して反転または回転した座標軸を用いて表示位置を決定する、
請求項1に記載の教育支援システム。
【請求項3】
前記第二表示手段は、前記座標軸を基準として表示される領域として、第一表示手段によって表示される範囲にくらべて狭い範囲を表示させる、
請求項2に記載の教育支援システム。
【請求項4】
前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を常に表示させ、
前記第二表示手段は、前記所定の表示対象を、前記領域内を移動するキャラクタの該所定の表示対象に対する距離が所定の距離以下となった場合に表示させる、
請求項2または3に記載の教育支援システム。
【請求項5】
表示装置に接続される情報処理装置であって、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
情報処理装置。
【請求項6】
表示装置に接続される情報処理装置が、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期ステップと、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示ステップと、を実行し、
前記表示ステップでは、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示が行われる、
情報処理方法。
【請求項7】
表示装置に接続される情報処理装置を、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段として機能させる情報処理プログラムであって、
前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
情報処理プログラム。
【請求項1】
第一のユーザによって閲覧される第一表示装置および第二のユーザによって閲覧される第二表示装置に接続された教育支援システムであって、
第一表示装置および第二表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を同期する同期手段と、
前記第一表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第一表示手段と、
前記第二表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる第二表示手段と、を備え、
前記第一表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第二表示手段による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
教育支援システム。
【請求項2】
前記位置情報は、座標であり、
前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記第一表示装置における表示位置を決定するための基準となる座標軸として、前記第二表示手段が表示位置を決定する場合に用いる座標軸に対して反転または回転した座標軸を用いて表示位置を決定する、
請求項1に記載の教育支援システム。
【請求項3】
前記第二表示手段は、前記座標軸を基準として表示される領域として、第一表示手段によって表示される範囲にくらべて狭い範囲を表示させる、
請求項2に記載の教育支援システム。
【請求項4】
前記第一表示手段は、前記所定の表示対象を常に表示させ、
前記第二表示手段は、前記所定の表示対象を、前記領域内を移動するキャラクタの該所定の表示対象に対する距離が所定の距離以下となった場合に表示させる、
請求項2または3に記載の教育支援システム。
【請求項5】
表示装置に接続される情報処理装置であって、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
情報処理装置。
【請求項6】
表示装置に接続される情報処理装置が、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期ステップと、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示ステップと、を実行し、
前記表示ステップでは、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示が行われる、
情報処理方法。
【請求項7】
表示装置に接続される情報処理装置を、
他の表示装置に接続された他の情報処理装置とネットワークを介して接続され、
前記表示装置に表示される所定の表示対象の位置情報を、前記他の情報処理装置との間で同期する同期手段と、
前記表示装置の、前記位置情報に基づいて決定された表示位置に、前記所定の表示対象を表示させる表示手段として機能させる情報処理プログラムであって、
前記表示手段は、前記位置情報に基づいて前記所定の表示対象を表示させる場合に、前記他の情報処理装置による表示に対して、表示位置が反転または回転された表示を行う、
情報処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−230890(P2010−230890A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77145(P2009−77145)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]