説明

教育用ネットワークスクリーンシステム

【課題】追加記入した部分を把握しやすくし、また、それに加えて的確な書き順を教示できるようにした教育ネットワークスクリーンシステムを提供する。
【解決手段】PC10とプロジェクター20とを備えた教育用ネットワークスクリーンシステムであって、PC10は、手書き入力手段11により入力された入力文字及びその表示位置を検出する文字認識手段12と、表示手段15とを備え、文字認識手段12により認識された文字の文字情報及び文字表示位置情報と、表示手段15の表示画面に対応した画像情報とをプロジェクター20側に送信し、プロジェクター20は、文字情報及び文字表示位置情報と、表示手段15の表示画面に対応した画像情報とに基づいて、学習用教材を表示させるとともに、入力文字に対応したアニメーション文字を生成してスクリーンに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教育用ネットワークスクリーンシステムに関し、特に学習用教材に対する追記(重ね書き)の表示処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクターと、手書き入力の出来るパソコン(以下PCという)例えばタブレットPCとを教育現場で用いることにより、教育用アプリケーションや既存の資料を生徒に提示しながら、そこに書き込みすることにより教育効果を増すような手段が考案されていた。また、このシステムをネットワーク伝送手段などと同時に用いることで更に教育手段の利便性を図ることが考案されている。これには例えば「講師用と生徒用とのコンピュータをインターネット網で接続する。マイクからの講師の口頭説明を転送しスピーカに出力させる。カメラからの講師の顔の映像を転送しディスプレイに表示させる。タブレットに講師が手書き入力した板書情報を転送しディスプレイに表示させる。カメラからの各生徒の顔の映像を転送しディスプレイに表示させる。マイクからの生徒の口頭質問を転送しスピーカに出力させる。」(特許文献1参照)というものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−156894号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の技術(特許文献1)においては、手書き図形の追加書き込み等は手書き特有のブレ、ズレなどにより後から追加したものを把握するのが容易であっても、文字入力部をテキスト編集した部分については、従前よりある黒板とチョークによるインタラクティブな従業に比べて、例えば講師の記入する文字情報が筆記よりも早い場合にはノートが取りづらいとか、またテキスト編集は後が残らないので講師が追記した箇所がちょっと目を離すと分かりづらいとか、或いは講師が漢字を書き込む際に書き順が再現されないので、生徒が漢字の書き順を覚えづらい等の問題点があった。
【0005】
本願発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、追加記入した部分を把握しやすくし、また、それに加えて的確な書き順を教示できるようにした教育ネットワークスクリーンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムは、入力手段を備えた情報処理手段と、該情報処理手段からの画像情報を表示させるプロジェクターとを備えた教育用ネットワークスクリーンシステムであって、前記情報処理手段は、前記入力手段により入力された入力文字及びその表示位置を検出する文字認識手段と、学習用教材を表示するとともに、前記入力手段により入力された入力文字を表示する表示手段とを備え、前記文字認識手段により認識された文字の文字情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とを前記プロジェクター側に送信し、前記プロジェクターは、前記文字情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とに基づいて、前記学習用教材を表示させるとともに、前記入力文字に対応したアニメーション文字を生成してスクリーンに表示させるものである。本発明においては、入力された文字がスクリーンに表示される際に、その文字に対応するアニメーション文字に変換して表示するようにしたので、学習用教材との区別が明確になっており、追加記入した部分が把握し易いものとなっている。なお、本発明において、アニメーション文字とは手書き風に表記される文字のことである。また、アニメーション文字をプロジェクター側で発生させるようにしたので、文字認識手段により認識された文字の文字情報及び文字表示位置情報と、表示手段の表示画面に対応した画像情報とを送信する機能があるものであれば、その機能をそのまま利用して本発明のシステムの情報処理手段として利用することができる。
【0007】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムは、入力手段を備えた情報処理手段と、該情報処理手段からの画像情報を表示せるプロジェクターとを備えた教育用ネットワークスクリーンシステムであって、前記情報処理手段は、前記入力手段により入力された入力文字及びその表示位置を検出する文字認識手段と、少なくとも学習用教材を表示する表示手段とを備え、前記文字認識手段により認識された文字に対応したアニメーション文字を生成するための画像情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報をプロジェクター側に送信し、前記プロジェクターは、前記アニメーション文字の画像情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とに基づいて、前記学習用教材を表示させるとともに、前記入力文字に対応した前記アニメーション文字をスクリーンに表示させるものである。本発明においては、入力された文字がスクリーンに表示される際に、その文字に対応するアニメーション文字に変換して表示するようにしたので、学習用教材との区別が明確になっており、追加記入した部分を把握し易いものとなっている。また、アニメーション文字を情報処理手段側で発生させるようにしたので、従前のプロジェクターをそのまま利用して本発明のプロジェクターとして利用することができる。
【0008】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記入力手段は、手書き文字を入力する手段である。本発明においては、手書き文字をアニメーション文字に変換してスクリーンに表示させるので、手書き文字の見づらいものであっても、スクリーンに表示されるものは見易いものとなる。
【0009】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて前記プロジェクターは、前記アニメーション文字を表示させる際に、当該アニメーション文字をその書き順に従って順次表示させる。本発明は、アニメーション文字をその書き順に従って順次表示させるようにしたので、仮に、手書き文字を入力した先生が書き順を間違って入力したとしても、正しい書き順で表示されることになり、それを生徒が間違ったまま覚えてしまうような事態が避けられる。また、文字を書き順に従って表示する際に、その時間間隔を適当に設定すれば、生徒がその書き順を目で追うのが容易になる。
【0010】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、前記アニメーション文字の書き順に従って順次表示させる際に、最新の部位を強調表示させる。本発明においては、最新の部位を強調表示させるようにしたので、生徒が書き順を目で追うのが容易になる。
【0011】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像を強調表示させるものである。本発明においては、例えば先生が入力した文字を強調処理して表示させるようにしたので、学習教材との区別が明確になり、生徒が先生の追記した内容が把握し易いものとなっている。
【0012】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、前記強調表示として、ハイライト表示、下線、又は反転表示させることによって、生徒が先生の追記した内容が把握し易いものとなっている。
【0013】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像の描画処理を終了すると、許可信号を出力し、前記情報処理装置は、前記許可信号を受信すると、前記表示手段に入力許可を示す表示をさせる。本発明においては、所定量(例えば1文字、文節等)のアニメーション文字の画像の描画処理を終了した段階で、情報処理手段の表示手段に入力許可を示す表示をさせて入力を許可するようにしており、先生の入力が早くなり過ぎないようにしており、生徒がノートを取る際に先生の追記(重ね書き)に対して追随できるようにしている。
【0014】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像の描画処理を終了すると、許可信号を出力し、前記情報処理装置は、前記許可信号を受信すると、前記入力手段にして入力を受け付けさせる処理を行う。本発明においては、所定量(例えば1文字、文節等)のアニメーション文字の画像の描画処理を終了した段階で、情報処理手段の入力手段に入力を受け付けるようにしており(それまでは入力を受け付けない)、生徒がノートを取る際に先生の追記(重ね書き)に対して追随できるようにしている。
【0015】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字についての画像を描画処理しているときには、描画処理中であることを示す信号を出力し、前記情報処理装置は、前記描画処理中であることを示す信号を受信すると、前記表示手段に入力を待機させるための表示をさせる。本発明においては、所定量(例えば1文字、文節等)のアニメーション文字の画像の描画処理をしている段階では、情報処理手段の表示手段に入力を待機させる表示をさせて入力を禁止するようにしており、先生の入力が早くなり過ぎないようにしており、生徒が先生の追記(重ね書き)に対して追随できるようにしている。
【0016】
また、本発明に係る教育用ネットワークスクリーンシステムにおいて、前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字についての画像を描画処理しているときには、描画処理中であることを示す信号を出力し、前記情報処理手段は、前記描画処理中であることを示す信号を受信すると、前記入力手段に対して入力を受け付けさせないようにする。本発明においては、所定量(例えば1文字、文節等)のアニメーション文字の画像の描画処理をしている段階では、情報処理手段の入力手段に入力を受け付けないように入力を禁止するようにし、先生の入力が早くなり過ぎないようにしており、生徒が先生の追記(重ね書き)に対して追随できるようにしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る教育ネットワークスクリーンシステムの構成図である。この教育ネットワークスクリーンシステムは、手書き入力手段を備えたPC(パソコン)10とプロジェクター20とから構成されている。PC10は、その機能として、手書き入力手段11、文字認識手段12、入力通知手段13、アプリケーション実行手段14、表示手段15及び画像伝送手段16を備えている。例えばアプリケーション実行手段14は教材データ14aを処理してその画像を表示手段15に表示させると、画像伝送手段16は、その画像データをプロジェクター20側に伝送する。なお、この伝送は、アナログ又はデジタルのいずれの方式でも良いが、ここでは例えばイーサーネットによるデジタル伝送によるものとする。また、ユーザーが手書き入力手段11を操作して手書きデータを入力すると、文字認識手段12はその手書きデータを認識してアプリケーション実行手段14に出力し、アプリケーション実行手段14は表示手段15にその手書きデータによる文字を重ね書(追記)させた状態で表示させる。また、文字認識手段12はそのときの文字表示位置情報及び文字コード情報(含む書き順データ)をプロジェクター20側に送信する。また、画像伝送手段16は、上記の手書きデータを差分画像データとしてプロジェクター20側に出力する。
【0018】
プロジェクター20は、デコーダ21、逆マトリックス22及びCPU23を備えている。例えばデコーダ21はテレビ/ビデオレコーダーからのY/Cの映像信号の信号形式をYUVの映像信号を変換する。逆マトリックス22は、他のPCからのRGBの映像信号をYUVの映像信号を変換する。CPU23は、上記のPC10からの文字位置情報・文字コード情報、及び画像データを取り込んで、後述の処理をして画像信号を生成する。プロジェクター20は、上記の他に、共通処理回路24、液晶パネル25R,25G,25B、光合成回路26、投射レンズ27等を備えている。共通処理回路24は、デコーダ21、逆マトリックス22、又はCPU23から画像信号を入力すると、拡大、縮小、色調整等の各処理を行って液晶パネル25R,25G,25Bに出力する。液晶パネル25R,25G,25Bは共通処理回路24からの画像信号に基づいて画像を描画し、その画像を光合成回路26により合成して投射レンズ27によりスクリーン(図示せず)に投射して画像を表示させる。
【0019】
CPU23は、PC10の入力通知手段13からの文字表示位置情報、文字コード情報と、画像伝送手段16からの画像情報(差分画像データ)を入力すると、上記の手書き文字データに対応したアニメーション文字の画像信号を生成し、共通処理回路24を介して液晶パネル25R,25G,25Bに描画させてスクリーン(図示せず)に表示させる。
【0020】
図2はCPU23の機能を示したブロック図である。このCPU23は、図示しないROMに格納されたプログラムによりその機能として、入力通知手段31、文字表示処理手段32及び画像形成手段33を備えている。例えば入力通知手段13がPC10からの文字表示位置情報及び文字コード情報(含む書き順データ)を受信すると、それを文字表示処理手段32に出力する。文字表示処理手段32は、文字コード情報に対応したアニメーション文字(手書き文字そのものではないが、手書き文字のような字体で描画される文字)を登録してあり、PC10側から入力してきた文字コード情報に基づいてアニメーション文字を読み出し、そして、そのアニメーション文字を書き順データに基づいて順次描画するための画像信号を生成して画像形成手段33に出力する。画像形成手段33は、PC10からの画像情報(差分画像データ)の内、上記の文字表示位置情報の画像を強制的にクリアしてアニメーション文字を書き込んで表示させるようにしてもよいが、例えばPC10からの画像情報(差分画像データ)の内、上記の文字表示位置情報に対応する画像を例えばOCR(光学的文字認識)(図示せず)により認識し、その認識結果が上記のアニメーション文字の内容と一致したことを確認した上で、該当する位置にアニメーション文字を上書きすることにより画像信号を生成することが望ましい。なお、上記の文字表示位置情報はPC10からの画像情報(差分画像)よりも早くプロジェクター20側に到達するので、上記の文字表示位置情報に相当する位置に該当する画像(手書き文字)が現れるのを待機し、現れた時点でその画像(手書き文字)を読み取って認識することになる。
【0021】
画像形成手段33は、文字表示処理手段32からの画像信号(アニメーション文字)、画像伝送手段16からの画像情報に基づいて、手書きを文字をアニメーション文字に置き換えた画像を生成してその画像信号を共通処理回路24に出力する。なお、文字表示処理手段32は、強調手段32a段を内蔵しており、例えば書き順データに基づいて、アニメーション文字を書き順に従って再生して表示させる際に最新の部位をハイライト等の強調表示するための処理を行う。このハイライト等の強調表示は、事前に登録しておいた時間単位の時間後に解除することにより、難読性を解消するとともに手書きにより追記し、編集後の状態を表示させることができる。なお、この登録はプロジェクター20側で行っても良いが、PC10に登録の上、入力通知手段13によりプロジェクター20側に通知して登録させてもかまわない。
【0022】
本実施の形態に係る教育ネットワークスクリーンシステムは、以上のように構成されているが、次に、その動作を説明する。
図3はPC10の動作を示すフローチャートである。手書き入力手段11は、手書き入力があるかどうかを判定し(S1)、手書き入力があった場合にはそのデータを取り込んで文字認識手段に出力する(S2)。文字認識手段12は手書きデータの意味を認識して入力通知手段13及びアプリケーション実行手段14にそれぞれ出力する(S3)。例えば手書きで「A」という線図が描画された場合には、その描画された線図の形態の特徴を把握して「A」という文字であると判定する。例えばプロジェクター20側のスクリーンに手書き文字「A」に対応したアニメーション文字「A」を表示させる場合には、入力通知手段13に対しては文字表示位置情報及び文字コード情報(含書き順データ)を出力する。また、文字認識手段12は、アプリケーション実行手段14に対しては認識結果(テキストコード)及び手書き文字「A」のイメージデータ(ビットマップデータ)を出力し、表示手段15にその手書き文字「A」を重ね書き(追記)した状態で表示させる(S4)。このとき、表示手段15は、認識結果に基づいたテキスト文字「A」及び手書き文字「A」の何れでも表示できるようにするものとする。表示手段15は、上記のように文字を重ね書き(追記)した状態の画像を表示するが、前の画面と現在の画面との差分に相当する画像情報(差分画像データ)を求めて画像伝送手段16に出力してプロジェクター20側に送信させる。
【0023】
アプリケーション実行手段14は、プロジェクター20側からの許可信号を受信したかどうかを判定し(S5)、許可信号を受信した場合には、表示手段15に対して次の文字を入力することを許可するメッセージ等を表示させる(S6)。PC10は、以上の処理を終了の指示があるまで繰り返す(S7)。
【0024】
図4はプロジェクター20の動作を示すフローチャートである。CPU23の入力通知手段31はPC10側から文字位置情報及び文字コード情報(含書き順データ)を受信すると、その情報を文字表示処理手段32に出力する(S11)。文字表示処理手段32は、入力された情報に基づいてその文字位置情報及び文字コード情報に基づいたアニメーション文字情報を生成して画像形成手段33に出力する。文字表示処理手段32は、文字コード情報に基づいてアニメーション文字情報を生成する際には、書き順データに基づいて文字情報を順次生成する。また、文字表示処理手段32の強調手段32aは、例えば書き順データに基づいて最新の線分を強調表示させるための処理を行う。
【0025】
画像形成手段33は、文字表示処理手段32からの画像情報(位置情報、アニメーション文字情報)と、PC10側からの画像情報(差分画像データ)と、前画面の画像情報とに基づいて次の画面の画像情報を再構成し(S12)、手書き文字がアニメーション文字に置き換わるようにして、その画像情報を共通処理回路24に出力する(S13)。共通処理回路24はその画像信号に基づいて液晶パネル25R,25G,25Bに画像を描画されて、その画像をスクリーンに表示させる。また、画像形成手段33は、例えば1文字分に相当するアニメーション文字の画像信号を共通処理回路24に出力した後に、PC10側に許可信号を送信する(S14)。CPU23は以上の処理を終了の指示があるまで繰り返す(S15)。
【0026】
図5(a)(b)は上記の処理により追加された手書き文字がアニメーション文字に置き換えられてスクリーンに表示される過程を示した説明図である。例えば手書き入力手段11により「A」という手書き文字が入力された場合には、上述のように、それが文字認識されて「A」に相当する文字コード情報がプロジェクター20に送信され、プロジェクター20はそれをアニメーション文字に置き換えて図5(a)に示されるように書き順に従って順次表示していく。その場合に新たに書き加えられた線(破線部分参照)を点滅表示したり、或いはライトアップさせて強調表示させることにより、書き順の把握を容易にすることができる。そして、1個の文字の全体が表示された段階で、PC10に許可信号を送信する。このような処理を例えばABCという手書き文字をする場合は、上記のようにAという文字についての表示が終わった段階で、許可信号がPC10側に送信されて表示手段15に入力を許可するメッセージが表示され、例えば講師が次に「B」という手書き文字を入力することで、上記の「A」の場合と同様にして書き順に従って順次表示され、Bの文字の全体が表示された段階でPC10側に許可信号を送信し、講師が次に「C」という手書き文字を入力することで、上記と同様に処理された「ABC」というアニメーション文字がスクリーンに表示されることになる。
【0027】
なお、上記の説明においては、許可信号を1文字毎に送信する例について説明したが、所定数の文字毎或いは分節毎のように、視聴する対象者に応じて適宜設定することができる。その設定に際しては、例えばPC10からプロジェクター20側に設定するものとする。また、許可信号の代わりに、文字描画中であることを示す制御信号(文字描画中通知)をPC10側に送信して、その信号が供給されている間は手書き入力手段11による入力を待機させるように表示手段15に表示させるようにしてもよい。
【0028】
以上のように本実施形態においては、手書き入力された文字がスクリーンに表示される際に、その手書き文字に相当するアニメーション文字を正しい書き順に従って表示するようにしたので、仮に手書き文字を入力した人が書き順を間違って入力したとしても、正しい書き順で表示されることになり、それを学習する者が間違ったまま覚えてしまうような事態が避けられる。また、文字を書き順に従って表示する際にその時間間隔を適当に設定することにより、学習者がその書き順を目で追うのが容易になる。
【0029】
また、プロジェクター20は、アニメーション文字をスクリーンに表示させる際に、文字列が一定時間ごとに書き順ストロークとともに強調表示(例えばハイライト表示、下線、又は反転表示による強調処理)をさせるようにしたので、書き順が見易く把握しやすい。また、この強調表示の機能を所定の文章量毎に使うようにすることにより、先生が追記した個所が明確になり、生徒が少し目を話していた隙に追記部分(編集部分)が分からなくなってしまうというような事態が避けられる。
【0030】
また、プロジェクター20は、表示画面の所定量の画像の画像データを出力した段階で、パソコン10の表示手段15に入力許可を示す表示をさせて入力を促すようにしており、手書き入力が早くなり過ぎないようにしており、生徒が追随できるようにしている。
【0031】
また、プロジェクター20は、表示画面の画像を描画しているときに描画中であることを示す描画中情報をPC10側に送信させ、PC10は、描画中であることを示す描画中情報を受信すると、表示手段15に入力を待機させるための表示をさせるようにしており、手書き入力が早くなり過ぎないようにしており、生徒が追随できるようにしている。例えば、手書き入力が早い講師については、その速度では生徒が書き写すには時間が早すぎると思われるような場合があるが、そのような場合においても、上記のように一定時間の待機が発生することにより入力表示にリズムが生まれ、書き順ストローク表示のアニメーションの連続である黒板に近い読みやすい文字表示を生徒に提供することができる。
【0032】
実施形態2.
なお、上記の実施形態1においては、パソコン10側で許可信号を受信すると表示手段15に入力許可を示す表示をさせたり、或いは、描画処理中の信号を受信している間、入力を待機させるための表示をさせる例について説明したが、本発明においては、例えばそのような表示とともに、或いはそれに替えて、許可信号を受信した段階で手書き入力手段11が入力を受け付けるようにしたり、或いは描画処理中の信号を受信しているときには手書き入力手段11が入力を受け付けないようにしたりしてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態1においては、手書き入力手段11により追記するデータを入力する例について説明したが、本発明においては、キーボード等の入力手段により入力してもよく、その場合においても、入力された文字をアニメーション文字に置き換えてプロジェクター20のスクリーンに表示させることができる。また、文字の書き順データは、パソコン10側ではなく、プロジェクター20側に設定しておくようにしてもよい。
【0034】
また、本発明は、入力手段に付随して動作させることができるので、アプリケーションによらず使用することが可能であり、既存の教育用アプリケーションや汎用のプレゼンソフト、ワードプロセッサソフトなどを用いた授業においても活用できるという利点ある。
【0035】
また、本発明は、遠隔授業のみならず同一教室内の授業に用いることが出来る。更に、本発明はプロジェクターだけでなく、PC側のビデオデバイスドライバに組み込むことにより、PC10側においてアニメーション文字を発生させるようにして、対応プロジェクターでない、既存の表示デバイスにおいても同様の効果をもたせることも可能である。即ち、PC10側において、文字認識手段により認識された文字に対応したアニメーション文字を生成するための画像情報を生成してそれをプロジェクター20側に送信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1に係る教育用ネットワークスクリーンシステムの構成図。
【図2】CPUの機能を示したブロック図。
【図3】PCの動作を示すフローチャート。
【図4】プロジェクターの動作を示すフローチャート。
【図5】追加された文字情報がスクリーンに表示される過程を示した説明図。
【符号の説明】
【0037】
10 パソコン、11 手書き入力手段、12 文字認識手段、13 入力通知手段、14 アプリケーション実行手段、14a 教材データ、15 表示手段、16 画像伝送手段、20 プロジェクター、21 デコーダ、22 逆マトリックス、23 CPU、24 共通処理回路、25R,25G,25B 液晶パネル、26 光合成回路、27 投射レンズ、31 入力通知手段、32 文字表示処理手段、32a 強調手段、33 画像形成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段を備えた情報処理手段と、該情報処理手段からの画像情報を表示させるプロジェクターとを備えた教育用ネットワークスクリーンシステムであって、
前記情報処理手段は、
前記入力手段により入力された入力文字及びその表示位置を検出する文字認識手段と、学習用教材を表示するとともに、前記入力手段により入力された入力文字を表示する表示手段とを備え、前記文字認識手段により認識された文字の文字情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とを前記プロジェクター側に送信し、
前記プロジェクターは、
前記文字情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とに基づいて、前記学習用教材を表示させるとともに、前記入力文字に対応したアニメーション文字を生成してスクリーンに表示させること
を特徴とする教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項2】
入力手段を備えた情報処理手段と、該情報処理手段からの画像情報を表示せるプロジェクターとを備えた教育用ネットワークスクリーンシステムであって、
前記情報処理手段は、
前記入力手段により入力された入力文字及びその表示位置を検出する文字認識手段と、少なくとも学習用教材を表示する表示手段とを備え、前記文字認識手段により認識された文字に対応したアニメーション文字を生成するための画像情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報をプロジェクター側に送信し、
前記プロジェクターは、
前記アニメーション文字の画像情報及び前記文字表示位置情報と、前記表示手段の表示画面に対応した画像情報とに基づいて、前記学習用教材を表示させるとともに、前記入力文字に対応した前記アニメーション文字をスクリーンに表示させること
を特徴とする教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項3】
前記入力手段は、手書き文字を入力する手段であることを特徴とする請求項1又は2記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項4】
前記プロジェクターは、前記アニメーション文字を表示させる際に、当該アニメーション文字をその書き順に従って順次表示させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項5】
前記プロジェクターは、前記アニメーション文字の書き順に従って順次表示させる際に、最新の部位を強調表示させることを特徴とする請求項4記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項6】
前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像を強調表示させることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項7】
前記プロジェクターは、前記強調表示として、ハイライト表示、下線、又は反転表示させることを特徴とする請求項5又は6記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項8】
前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像の描画処理を終了すると、許可信号を出力し、
前記情報処理装置は、前記許可信号を受信すると、前記表示手段に入力許可を示す表示をさせることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項9】
前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字の画像の描画処理を終了すると、許可信号を出力し、
前記情報処理装置は、前記許可信号を受信すると、前記入力手段にして入力を受け付けさせる処理を行うことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項10】
前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字についての画像を描画処理しているときには、描画処理中であることを示す信号を出力し、
前記情報処理装置は、前記描画処理中であることを示す信号を受信すると、前記表示手段に入力を待機させるための表示をさせることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。
【請求項11】
前記プロジェクターは、所定量の前記アニメーション文字についての画像を描画処理しているときには、描画処理中であることを示す信号を出力し、
前記情報処理装置は、前記描画処理中であることを示す信号を受信すると、前記入力手段に対して入力を受け付けさせないようにすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の教育用ネットワークスクリーンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−187913(P2007−187913A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6479(P2006−6479)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】