散乱減衰式断層撮影
対をなす照射されるボクセルから求められる減衰に基づいて、検査される物体を特徴付ける方法である。伝播方向及びエネルギー分布によって特徴付けられる透過性放射線のビームが物体にわたって走査され、コリメートされた視野を有する散乱検出器が、透過性放射線の入射ビームによって遮断された、検査される物体の各ボクセルによって散乱した放射線を検出する。入射ビームの入射ボクセルの対間の透過性放射線の減衰を計算することによって、透過性放射線の1又はそれ以上のエネルギーの物体における減衰の、よって、種々の物質特性の3次元分布を特徴付ける断層撮影画像が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性放射線によって物体を検査するための方法及びシステムに関し、より特定的には、異なる方向、潜在的には反対方向に散乱した透過性放射線を同時検出することによる物体の検査に関する。
本出願は、2006年8月23日に出願された米国仮出願第60/823,328号に基づく優先権を主張するものであり、その出願は引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
2001年9月以降の期間において、飛行機の荷物の中に隠れた爆発物を探索するために、X線コンピュータ断層撮影(CT)が広範囲にわたって使用されてきた。この方法は、スーツケース内に収容されている物体の「CT値(CT number)」を測定することによって機能する。CT値は、本質的には、各物体を構成する物質内の(所定のエネルギー分布を有する)x線の単位長さ当たりの減衰の尺度である。次いで、CT値を用いて、物質を同定することができる。定義上、ここで用いられる、いずれかの添付の特許請求の範囲における「CT値」とは、従来より引用される水の減衰に対する、x線減衰の尺度を言う。
【0003】
有機物質の場合、CT値は、本質的に物質の電子密度の尺度であり、質量密度に比例する。従って、X線CTシステムは、隠れた物質の質量密度を測定することができる。爆発物は、立方センチメートル当たり約1.2〜1.7グラム(g/cc)の範囲にある質量密度を有する傾向がある。X線CTシステムは、3次元で容器(container)の内容物を再構成するので、隠れた物質の各々の体積も求められる。この情報を密度と組み合わせることにより、各物体の質量がもたらされる。1.2g/ccから1.7g/ccまでの間の密度を有する最小サイズ及び質量を有する物体を選択することによって、容器において爆発の脅威があるものを自動的に検出し、警報を鳴らすことができる。
【0004】
X線CTシステムの不利な点には、それらのサイズ及びコストが挙げられる。主としてx線源及び検出器アレイを据え付ける高速回転するガントリのために、サイズ及びコストの両方が生じる。
【0005】
「Side Scatter Tomography System」という名称の特許文献1は、セグメント化され、コリメートされた検出器アレイの1つ又はそれ以上のアレイによって検出されるような、x線のラスタ走査のペンシル・ビームから本質的に90度で散乱された放射線を検出する方法を記載している。次に、側方散乱放射線の強度分布を用いて、容器内の隠れた有機物質を(3次元で)再構成する。この特許は、引用により本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,930,326号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/737,317号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によると、対をなすボクセル(voxel)の分析に基づいた透過性放射線の平均自由行程(mean−free−path)の判定に基づいて、物体を特徴付けるための方法及びシステムが提供される。
種々の実施形態において、この方法は、
伝播方向及びエネルギー分布によって特徴付けられる、透過性放射線の入射ビームを生成し、
透過性放射線のビームの周りに、各々の検出器が視野によって特徴付けられる複数の検出器要素を配置し、
各々の検出器要素の視野をコリメートし、
複数の入射点で検査される物体に連続的に入射するように、透過性放射線の入射ビームの伝播方向を変化させ、
入射ビームの伝播方向と検出器要素の視野との間の交点として定められる、対で得られる検査される物体のボクセルによって散乱した放射線を検出し、
入射ビームの入射ボクセルの対間の透過性放射線の減衰を計算する、
ことを含む。
【0008】
本発明の更に別の実施形態によると、放射線を検出するステップは、透過性放射線の入射ビームから散乱した放射線の指定のエネルギー成分を検出することを含むことができる。入射ビームの伝播方向を変化させることに加えて、複数の入射点で検査される物体に入射するように、伝播方向に対して実質的に横断方向のパターンで入射ビームを走査することができる。検査される物体内の位置の関数として透過性放射線の減衰を表示することができる。
【0009】
本発明の他の代替的な実施形態によると、透過性放射線の入射ビームの周りに検出器を配置するステップは、入射ビームの伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に沿って散乱検出器のアレイを配置すること、或いは、透過性放射線のビームに対して実質的に横断方向の平面内に検出器を配置することを含むことができる。
【0010】
透過性放射線の減衰を計算することは、検査される物体内の位置の関数として散乱した放射線の平均自由行程を求めることを含むことができる。コリメートすることは、入射ビームの伝播方向に対して指定された範囲の角度の方向に、各検出器の視野を制限することを含むことができる。
【0011】
本発明の更に別の実施形態によると、前述の方法は、透過性放射線の入射ビームのエネルギー分布を変化させることをさらに含むことができる。さらに、走査するステップは、x線管について開口を走査すること、及び、源のアレイの別個の要素を作動させることを含むことができる。測定値の表を用いて上記の教示に従って計算された平均自由行程の比較に基づいて、物質を脅威物質として同定することができる。反対の視野の検出器要素によってボクセルに繰り返し質問することによって、計算された減衰を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による、散乱減衰式断層撮影システムの作動の原理を示す。
【図2】図1のシステムにおいて介在する物体が入射ビームの1つの中に挿置された幾何学的形状を示す。
【図3】対向する検出器アレイの検出器要素が検査される物体によって側方散乱される透過性放射線を検出する、本発明の好ましい実施形態の概略的表示である。
【図4】2つの周囲物体が、検査中の物体と上部散乱アレイ要素の間、及び、検査中の物体と下部散乱アレイ要素との間に配置されるシナリオを概略的に示す。
【図5A】本発明による、荷物及び小包を走査するシステムを示す。
【図5B】本発明による、荷物及び小包を走査するシステムを示す。
【図6】携帯型検査ユニットにおけるように、散乱検出器が検査される物体の片側に配置された、システムを示す。
【図7】源が検査される物体の上方に配置され、散乱検出器が両側に配置された、本発明の実施形態を示す。
【図8A】透過性放射線の源が、検査される対象に対して上方(又は下方)に配置された、人の検査のための本発明の実施形態を示す。
【図8B】透過性放射線源が、検査される対象に対して水平方向の平面に配置された、人の検査のための本発明の実施形態を示す。
【図9】本発明の実施形態による、2つのコリメートされたx線検出器と、複数の走査されたx線ビームを放出する源とを含む手持ち式検査装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上記の特徴は、添付の図面と併せて次の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0014】
本発明は、隠れた有機物質の密度のさらに正確な測定値を求める簡単で的確な方法を記載することにより、特許文献1の教示を高めるものである。本発明の好ましい実施形態によると、2つの検出器アレイにおいて、側方分散分布が検出される。この方法は、特許文献1に教示される方法を用いて得ることができるより正確な密度の判定に加えて、容器の有機内容物の完全な3次元の再構成を可能にする。
【0015】
ここで図1を参照して説明されるように、散乱減衰式断層撮影(Scatter Attenuation Tomography)は、一般に、ビームが関心ある物体内に深く進むにつれて、ラスタ走査x線ビームからの側方散乱放射線の減衰を観察する。
【0016】
本説明は、x線ビームのような透過性放射線の入射ビーム10に言及しているが、いずれの透過性放射線ビームも本発明の範囲内に入ることを理解すべきであることが留意される。従って、ビームは、x線又はガンマ線等を含むことができる。
【0017】
図1において、ラスタ走査x線ビーム10は、左から入り、有機物質のブロック12を通過する。時間t1及びt2において、x線ビーム10は、それぞれ強度I1及びI2によって特徴付けられ、瞬時位置が、図1の番号10及び11で示される。セグメント化された散乱検出器アレイ14が有機物質の上方に配置され、アレイ14内の検出器要素15の各々は、散乱放射線を検出するための視野16が該検出器要素15の真下になるように、又は言い換えると、その視野が入射ビーム10の伝播方向に対して垂直になるように、コリメートされる。検出器要素15の1つが強調表示され、時間t1及びt2において、それが、有機物質12内に含有される、それぞれ体積要素17及び18から放出された散乱放射線を検出する。時間t1及びt2においてi番目の検出器要素において検出された散乱放射線の強さS1及びS2の比は、
S2/S1=(I2/I1)・A(Λ) 式1
によって与えられる。
ここで、A(Λ)は、2つのビームを隔てる距離Δ1にわたる、有機物質内の散乱放射線を特徴付ける減衰率であり、Λは、有機物質内の散乱放射線の平均自由行程である。減衰率A(Λ)は、
A(Λ)=eΔ1/Λ 式2
によって与えられる。
【0018】
図1に示される簡単な幾何学的形状のために、2つのボクセルにおける入射x線ビームの強度は、等しい(I1=I2)。この場合、式1は、
A(Λ)=S2/S1 式3
をもたらし、よって、減衰(及び、従って、有機物質内の放射線の平均自由行程Λ)は、比S2/S1から求めることができる。有機物質についての平均自由行程は、本質的に、質量密度に比例するため、物質の密度を推論することができる。
【0019】
しかしながら、現実的な場合では、通常、ビームの強度I1及びI2は、等しくない。このことは、例えば、有機物質12がビーム10及び11に対して回転された場合、或いは、図2に示されるように介在する物体20が入射ビームの1つをブロックする場合に起こり得る。
【0020】
図2に示される場合では、I1≠I2であるので、式1は、A(Λ)≠S2/S1であることを示す。実際に、I1及びI2は未知であるので、式1から減衰を求めることはできない。
【0021】
ここで図3を参照して説明されるように、本発明は、この問題に対してこれまでに利用できなかった解法を提供する。本発明の好ましい実施形態によると、2つの側方散乱アレイ、すなわち上部側方散乱アレイU及び下部側方散乱アレイUが設けられる。勿論、上部方向及び下部方向への言及は恣意的なものであり、本発明の範囲内にある透過性放射線の入射ビームの伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に、検出器アレイを配置することができる。従って、図3に示される上部検出器アレイU及び下部検出器アレイLは、例えば、左側アレイ及び右側アレイと表記することもできる。
【0022】
時間t1及びt2における、上部検出器アレイの強調表示された検出器要素における散乱強度の比は、
U2/U1=(I2/I1)・A(Λ) 式4
によって与えられる。
同様に、下部検出器アレイにおける信号の比は、
L1/L2=(I1/I2)・A(Λ) 式5
によって与えられる。
式4及び式5を互いに乗算することにより、
がもたらされる。
【0023】
式6における減衰率についての式は、ここでは未知のビーム強度I1及びI2とは完全に無関係であり、有機物質12がバッグの中でどのように配向されているかとも、又は入射ビームを塞ぎ得る周囲物体20の数とも無関係であることが分かる。2つの検出器アレイの各々に到達するように、2つの入射ビームの十分な強度と、散乱放射線のための十分に透明な経路とが存在することが唯一の要件である。
【0024】
本発明の別の強力な態様は、散乱強度の比だけが用いられる(例えば、比L1/L2及びU2/U1だけが式6に見られる)ので、式6によって与えられる減衰率を計算する方法は、散乱放射線が検出器アレイの一方又は両方に達する前に散乱放射線を減衰させ得るいずれの周囲物体20にも影響を受けないというものである。このことは、2つの周囲物体40及び42が、それぞれ検査中の有機物体12と上部散乱アレイUとの間に、及び、検査中の有機物体12と下部散乱アレイLとの間に配置された図4に概略的に示されている。このシナリオにおいては、入射ビーム及び散乱放射線の両方を塞ぐ周囲の「クラッター(clutter)」にも関わらず、有機ブロック12における減衰(及び、従って、その密度)を依然として求めることができる。
【0025】
散乱データへの付加的な修正
式4及び式5は、散乱の起源であるビーム1及び2のボクセルが、本質的に、検出器アレイの各々から同じ距離であるという仮定に基づいている。実際には、ビーム1のボクセルは、大抵の場合、ビーム2のボクセルと比べると、検出器アレイの各々から異なる距離にある。これらの差異を修正するために、式4及び式5は、
U2/U1=(I2・I1)・(dΩU2/dΩU1)・A(Λ) 式7
L1/L2=(I1/I2)・(dΩL1/dΩL2)・A(Λ) 式8
となる。
ここで、例えば、dΩL1は、ビーム1に配置されたボクセルについての下部アレイ内の検知器要素の立体角である。これらの立体角の修正を用いて、式6は、今や、
となる。
【0026】
一般に、立体角の修正率dΩL2dΩU1/dΩL1dΩU2)の効果は、かなり小さいものであり、典型的には、1(unity)に近い値を有する。
【0027】
本発明の例示的な実施形態
x線のペンシル・ビームを使用し、2つのセグメント化された散乱検出器のアレイを含むいずれかのシステムにおいて、式9によって暗に示される隠れた有機物質の減衰(及び、従って、密度)の測定を実施することができる。荷物及び小包を走査するための2つのシステムが、図5A及び図5Bに示され、図5A及び図5Bは、透過性放射線源が、それぞれx線管の周りの走査開口を有するフープ、及び、カーボン・ナノチューブx線源アレイ52からなり、例えば、2007年4月19日に出願され、引用によりここに組み入れられる同時継続中の特許文献2に説明されるように、アドレス可能に作動することができる別個の要素から構成される。どちらの場合も、上述の用途のように、左側検出器アレイ54及び右側検出器アレイ56が設けられる。付加的に、付加的なイメージング又は物質特徴付け情報を提供するように、源と検査される物体との間に後方散乱アレイ58を配置することができる。
【0028】
代替的に、容器の側部へのアクセス(検知器アレイを配置するための)が実際的でない場合、本発明の方法を用いて、容器内部の隠れた物質を検査することもできる。こうしたスキームが図6に示され、ここで、傾斜し、コリメートされた検出器アレイ60が、x線源61に向けて後向きの方向に配置される。図6に示される実施形態において、一例として、例えば、ビヒクル(vehicle)64を検査するために用いられる、x線源61及び検知器アレイ60が、プラットフォーム62において携帯型x線後方散乱イメージング・システム内に取り付けられる。
【0029】
図7においては、上記からのビヒクル又は他の容器を走査する代替的な実施形態が示される。この場合、検知器70及び72は、システムの両側に取り付けられ(例えば、入口74又はガントリに基づくことができる)、x線源76は、検査される物体78の上方に配置される。
【0030】
図8A及び図8Bにおいて、バッグ又はバックパック内に人が保持している又は衣類の下に隠されている禁制品の有機物質を検出するための、2つの代替的な実施形態が示される。図8Aにおいては、上から入射するx線ビーム82によって人80を走査する実施形態が示される。下から人を走査するように、x線ビーム82を配置することもできる。図8Bは、本質的に水平面のままであるx線ビーム82によってヒト80を走査する、上から概略的に示される実施形態を示す。いずれの場合にも、検出器アレイ72は、人80の両側に配置される。
【0031】
手持ち式装置として用いることができる本発明の代替的な実施形態が、図9に示される。この実施形態においては、装置90は、各々が検出器92及び93を含む2つの単一のコリメートされたx線検知器ユニット94を含む。付加的に、上述のように、装置90は、複数の走査されたx線ビーム96及び97を放出する源95を含むか、又は代替的に、装置90は、常に1つだけが使える状態にある、示されるような2つの固定ビームを放出することができる。ビーム96及び97は、例えば、シャッターを用いて連続的に作動させることができる。放出されたビームは送れずに交互し、隠れた有機物質98の減衰率を、式6に従って求めることを可能にする。
【0032】
本発明の二重エネルギーの実施形態
式6において与えられた減衰率についての式、
は、隠れた有機物質の特定の片について、散乱放射線の平均自由行程Λを測定することを可能にする。ラスタ走査ペンシル・ビームのエネルギーを変化させることにより、x線の幾つかの異なるエネルギー範囲について、物質の平均自由行程Λを測定することができる。x線エネルギーと共に物質の平均自由行程Λがどのように変化するかを分析することによって、物質密度の測定に加えて、物質のおよその有効原子番号Zの判定を推論することができる。例えば、よりZが大きい物質についての平均自由行程は、Zがより小さい物質と比べると、光子エネルギーの減少を伴って、より急速に減少する。これは、物質の有効原子番号への(x線を吸収する)光電効果の強い依存のためである。光電吸収断面は、x線光子エネルギーの減少を伴って、物質の有効原子番号と共に急速に増大する。
【0033】
代替的に、ラスタ走査x線ビームのエネルギーを変化させるのではなく、検出器アレイにおいて、エネルギー感応検出器要素を用いることができる。こうした例の1つは、検出されたx線の各々のエネルギーを測定することを可能にする、CdZnTe検出器の使用を含む。次に、検出されたx線のエネルギーの削減を行なうことができ、次に、幾つかの異なる範囲のx線エネルギーについて、式6によって与えられる減衰率を計算することができる。次に、このことは、幾つかの異なる平均x線エネルギーについて、物質の平均自由行程を計算することを可能にし、物質の密度及び有効原子番号の両方を測定することを可能にする。これらの両方の測定を行なうことにより、有機物質を構成する物質のより正確な同定が可能になり、検出率が増大し、誤警報率が減少する。二重エネルギー操作を含ませるように、前述した本発明の他の実施形態の各々を拡張できることに留意されたい。
【0034】
本発明の特定の更に別の実施形態によると、物質は、測定値の表を用いて、前述の教示に従って計算された平均自由行程の比較に基づいて、脅威物質として同定することができる。反対の視野の検出器要素によりボクセルに繰り返し質問することにより、計算された減衰を検証することができる。
【0035】
本発明のこれまでに述べられた実施形態の全ては、単に例示的なものであることが意図され、当業者には、多数の変形及び変更が明らかになるであろう。こうした全ての変形及び変更は、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲内にあることが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性放射線によって物体を検査するための方法及びシステムに関し、より特定的には、異なる方向、潜在的には反対方向に散乱した透過性放射線を同時検出することによる物体の検査に関する。
本出願は、2006年8月23日に出願された米国仮出願第60/823,328号に基づく優先権を主張するものであり、その出願は引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
2001年9月以降の期間において、飛行機の荷物の中に隠れた爆発物を探索するために、X線コンピュータ断層撮影(CT)が広範囲にわたって使用されてきた。この方法は、スーツケース内に収容されている物体の「CT値(CT number)」を測定することによって機能する。CT値は、本質的には、各物体を構成する物質内の(所定のエネルギー分布を有する)x線の単位長さ当たりの減衰の尺度である。次いで、CT値を用いて、物質を同定することができる。定義上、ここで用いられる、いずれかの添付の特許請求の範囲における「CT値」とは、従来より引用される水の減衰に対する、x線減衰の尺度を言う。
【0003】
有機物質の場合、CT値は、本質的に物質の電子密度の尺度であり、質量密度に比例する。従って、X線CTシステムは、隠れた物質の質量密度を測定することができる。爆発物は、立方センチメートル当たり約1.2〜1.7グラム(g/cc)の範囲にある質量密度を有する傾向がある。X線CTシステムは、3次元で容器(container)の内容物を再構成するので、隠れた物質の各々の体積も求められる。この情報を密度と組み合わせることにより、各物体の質量がもたらされる。1.2g/ccから1.7g/ccまでの間の密度を有する最小サイズ及び質量を有する物体を選択することによって、容器において爆発の脅威があるものを自動的に検出し、警報を鳴らすことができる。
【0004】
X線CTシステムの不利な点には、それらのサイズ及びコストが挙げられる。主としてx線源及び検出器アレイを据え付ける高速回転するガントリのために、サイズ及びコストの両方が生じる。
【0005】
「Side Scatter Tomography System」という名称の特許文献1は、セグメント化され、コリメートされた検出器アレイの1つ又はそれ以上のアレイによって検出されるような、x線のラスタ走査のペンシル・ビームから本質的に90度で散乱された放射線を検出する方法を記載している。次に、側方散乱放射線の強度分布を用いて、容器内の隠れた有機物質を(3次元で)再構成する。この特許は、引用により本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,930,326号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/737,317号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によると、対をなすボクセル(voxel)の分析に基づいた透過性放射線の平均自由行程(mean−free−path)の判定に基づいて、物体を特徴付けるための方法及びシステムが提供される。
種々の実施形態において、この方法は、
伝播方向及びエネルギー分布によって特徴付けられる、透過性放射線の入射ビームを生成し、
透過性放射線のビームの周りに、各々の検出器が視野によって特徴付けられる複数の検出器要素を配置し、
各々の検出器要素の視野をコリメートし、
複数の入射点で検査される物体に連続的に入射するように、透過性放射線の入射ビームの伝播方向を変化させ、
入射ビームの伝播方向と検出器要素の視野との間の交点として定められる、対で得られる検査される物体のボクセルによって散乱した放射線を検出し、
入射ビームの入射ボクセルの対間の透過性放射線の減衰を計算する、
ことを含む。
【0008】
本発明の更に別の実施形態によると、放射線を検出するステップは、透過性放射線の入射ビームから散乱した放射線の指定のエネルギー成分を検出することを含むことができる。入射ビームの伝播方向を変化させることに加えて、複数の入射点で検査される物体に入射するように、伝播方向に対して実質的に横断方向のパターンで入射ビームを走査することができる。検査される物体内の位置の関数として透過性放射線の減衰を表示することができる。
【0009】
本発明の他の代替的な実施形態によると、透過性放射線の入射ビームの周りに検出器を配置するステップは、入射ビームの伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に沿って散乱検出器のアレイを配置すること、或いは、透過性放射線のビームに対して実質的に横断方向の平面内に検出器を配置することを含むことができる。
【0010】
透過性放射線の減衰を計算することは、検査される物体内の位置の関数として散乱した放射線の平均自由行程を求めることを含むことができる。コリメートすることは、入射ビームの伝播方向に対して指定された範囲の角度の方向に、各検出器の視野を制限することを含むことができる。
【0011】
本発明の更に別の実施形態によると、前述の方法は、透過性放射線の入射ビームのエネルギー分布を変化させることをさらに含むことができる。さらに、走査するステップは、x線管について開口を走査すること、及び、源のアレイの別個の要素を作動させることを含むことができる。測定値の表を用いて上記の教示に従って計算された平均自由行程の比較に基づいて、物質を脅威物質として同定することができる。反対の視野の検出器要素によってボクセルに繰り返し質問することによって、計算された減衰を検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による、散乱減衰式断層撮影システムの作動の原理を示す。
【図2】図1のシステムにおいて介在する物体が入射ビームの1つの中に挿置された幾何学的形状を示す。
【図3】対向する検出器アレイの検出器要素が検査される物体によって側方散乱される透過性放射線を検出する、本発明の好ましい実施形態の概略的表示である。
【図4】2つの周囲物体が、検査中の物体と上部散乱アレイ要素の間、及び、検査中の物体と下部散乱アレイ要素との間に配置されるシナリオを概略的に示す。
【図5A】本発明による、荷物及び小包を走査するシステムを示す。
【図5B】本発明による、荷物及び小包を走査するシステムを示す。
【図6】携帯型検査ユニットにおけるように、散乱検出器が検査される物体の片側に配置された、システムを示す。
【図7】源が検査される物体の上方に配置され、散乱検出器が両側に配置された、本発明の実施形態を示す。
【図8A】透過性放射線の源が、検査される対象に対して上方(又は下方)に配置された、人の検査のための本発明の実施形態を示す。
【図8B】透過性放射線源が、検査される対象に対して水平方向の平面に配置された、人の検査のための本発明の実施形態を示す。
【図9】本発明の実施形態による、2つのコリメートされたx線検出器と、複数の走査されたx線ビームを放出する源とを含む手持ち式検査装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上記の特徴は、添付の図面と併せて次の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【0014】
本発明は、隠れた有機物質の密度のさらに正確な測定値を求める簡単で的確な方法を記載することにより、特許文献1の教示を高めるものである。本発明の好ましい実施形態によると、2つの検出器アレイにおいて、側方分散分布が検出される。この方法は、特許文献1に教示される方法を用いて得ることができるより正確な密度の判定に加えて、容器の有機内容物の完全な3次元の再構成を可能にする。
【0015】
ここで図1を参照して説明されるように、散乱減衰式断層撮影(Scatter Attenuation Tomography)は、一般に、ビームが関心ある物体内に深く進むにつれて、ラスタ走査x線ビームからの側方散乱放射線の減衰を観察する。
【0016】
本説明は、x線ビームのような透過性放射線の入射ビーム10に言及しているが、いずれの透過性放射線ビームも本発明の範囲内に入ることを理解すべきであることが留意される。従って、ビームは、x線又はガンマ線等を含むことができる。
【0017】
図1において、ラスタ走査x線ビーム10は、左から入り、有機物質のブロック12を通過する。時間t1及びt2において、x線ビーム10は、それぞれ強度I1及びI2によって特徴付けられ、瞬時位置が、図1の番号10及び11で示される。セグメント化された散乱検出器アレイ14が有機物質の上方に配置され、アレイ14内の検出器要素15の各々は、散乱放射線を検出するための視野16が該検出器要素15の真下になるように、又は言い換えると、その視野が入射ビーム10の伝播方向に対して垂直になるように、コリメートされる。検出器要素15の1つが強調表示され、時間t1及びt2において、それが、有機物質12内に含有される、それぞれ体積要素17及び18から放出された散乱放射線を検出する。時間t1及びt2においてi番目の検出器要素において検出された散乱放射線の強さS1及びS2の比は、
S2/S1=(I2/I1)・A(Λ) 式1
によって与えられる。
ここで、A(Λ)は、2つのビームを隔てる距離Δ1にわたる、有機物質内の散乱放射線を特徴付ける減衰率であり、Λは、有機物質内の散乱放射線の平均自由行程である。減衰率A(Λ)は、
A(Λ)=eΔ1/Λ 式2
によって与えられる。
【0018】
図1に示される簡単な幾何学的形状のために、2つのボクセルにおける入射x線ビームの強度は、等しい(I1=I2)。この場合、式1は、
A(Λ)=S2/S1 式3
をもたらし、よって、減衰(及び、従って、有機物質内の放射線の平均自由行程Λ)は、比S2/S1から求めることができる。有機物質についての平均自由行程は、本質的に、質量密度に比例するため、物質の密度を推論することができる。
【0019】
しかしながら、現実的な場合では、通常、ビームの強度I1及びI2は、等しくない。このことは、例えば、有機物質12がビーム10及び11に対して回転された場合、或いは、図2に示されるように介在する物体20が入射ビームの1つをブロックする場合に起こり得る。
【0020】
図2に示される場合では、I1≠I2であるので、式1は、A(Λ)≠S2/S1であることを示す。実際に、I1及びI2は未知であるので、式1から減衰を求めることはできない。
【0021】
ここで図3を参照して説明されるように、本発明は、この問題に対してこれまでに利用できなかった解法を提供する。本発明の好ましい実施形態によると、2つの側方散乱アレイ、すなわち上部側方散乱アレイU及び下部側方散乱アレイUが設けられる。勿論、上部方向及び下部方向への言及は恣意的なものであり、本発明の範囲内にある透過性放射線の入射ビームの伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に、検出器アレイを配置することができる。従って、図3に示される上部検出器アレイU及び下部検出器アレイLは、例えば、左側アレイ及び右側アレイと表記することもできる。
【0022】
時間t1及びt2における、上部検出器アレイの強調表示された検出器要素における散乱強度の比は、
U2/U1=(I2/I1)・A(Λ) 式4
によって与えられる。
同様に、下部検出器アレイにおける信号の比は、
L1/L2=(I1/I2)・A(Λ) 式5
によって与えられる。
式4及び式5を互いに乗算することにより、
がもたらされる。
【0023】
式6における減衰率についての式は、ここでは未知のビーム強度I1及びI2とは完全に無関係であり、有機物質12がバッグの中でどのように配向されているかとも、又は入射ビームを塞ぎ得る周囲物体20の数とも無関係であることが分かる。2つの検出器アレイの各々に到達するように、2つの入射ビームの十分な強度と、散乱放射線のための十分に透明な経路とが存在することが唯一の要件である。
【0024】
本発明の別の強力な態様は、散乱強度の比だけが用いられる(例えば、比L1/L2及びU2/U1だけが式6に見られる)ので、式6によって与えられる減衰率を計算する方法は、散乱放射線が検出器アレイの一方又は両方に達する前に散乱放射線を減衰させ得るいずれの周囲物体20にも影響を受けないというものである。このことは、2つの周囲物体40及び42が、それぞれ検査中の有機物体12と上部散乱アレイUとの間に、及び、検査中の有機物体12と下部散乱アレイLとの間に配置された図4に概略的に示されている。このシナリオにおいては、入射ビーム及び散乱放射線の両方を塞ぐ周囲の「クラッター(clutter)」にも関わらず、有機ブロック12における減衰(及び、従って、その密度)を依然として求めることができる。
【0025】
散乱データへの付加的な修正
式4及び式5は、散乱の起源であるビーム1及び2のボクセルが、本質的に、検出器アレイの各々から同じ距離であるという仮定に基づいている。実際には、ビーム1のボクセルは、大抵の場合、ビーム2のボクセルと比べると、検出器アレイの各々から異なる距離にある。これらの差異を修正するために、式4及び式5は、
U2/U1=(I2・I1)・(dΩU2/dΩU1)・A(Λ) 式7
L1/L2=(I1/I2)・(dΩL1/dΩL2)・A(Λ) 式8
となる。
ここで、例えば、dΩL1は、ビーム1に配置されたボクセルについての下部アレイ内の検知器要素の立体角である。これらの立体角の修正を用いて、式6は、今や、
となる。
【0026】
一般に、立体角の修正率dΩL2dΩU1/dΩL1dΩU2)の効果は、かなり小さいものであり、典型的には、1(unity)に近い値を有する。
【0027】
本発明の例示的な実施形態
x線のペンシル・ビームを使用し、2つのセグメント化された散乱検出器のアレイを含むいずれかのシステムにおいて、式9によって暗に示される隠れた有機物質の減衰(及び、従って、密度)の測定を実施することができる。荷物及び小包を走査するための2つのシステムが、図5A及び図5Bに示され、図5A及び図5Bは、透過性放射線源が、それぞれx線管の周りの走査開口を有するフープ、及び、カーボン・ナノチューブx線源アレイ52からなり、例えば、2007年4月19日に出願され、引用によりここに組み入れられる同時継続中の特許文献2に説明されるように、アドレス可能に作動することができる別個の要素から構成される。どちらの場合も、上述の用途のように、左側検出器アレイ54及び右側検出器アレイ56が設けられる。付加的に、付加的なイメージング又は物質特徴付け情報を提供するように、源と検査される物体との間に後方散乱アレイ58を配置することができる。
【0028】
代替的に、容器の側部へのアクセス(検知器アレイを配置するための)が実際的でない場合、本発明の方法を用いて、容器内部の隠れた物質を検査することもできる。こうしたスキームが図6に示され、ここで、傾斜し、コリメートされた検出器アレイ60が、x線源61に向けて後向きの方向に配置される。図6に示される実施形態において、一例として、例えば、ビヒクル(vehicle)64を検査するために用いられる、x線源61及び検知器アレイ60が、プラットフォーム62において携帯型x線後方散乱イメージング・システム内に取り付けられる。
【0029】
図7においては、上記からのビヒクル又は他の容器を走査する代替的な実施形態が示される。この場合、検知器70及び72は、システムの両側に取り付けられ(例えば、入口74又はガントリに基づくことができる)、x線源76は、検査される物体78の上方に配置される。
【0030】
図8A及び図8Bにおいて、バッグ又はバックパック内に人が保持している又は衣類の下に隠されている禁制品の有機物質を検出するための、2つの代替的な実施形態が示される。図8Aにおいては、上から入射するx線ビーム82によって人80を走査する実施形態が示される。下から人を走査するように、x線ビーム82を配置することもできる。図8Bは、本質的に水平面のままであるx線ビーム82によってヒト80を走査する、上から概略的に示される実施形態を示す。いずれの場合にも、検出器アレイ72は、人80の両側に配置される。
【0031】
手持ち式装置として用いることができる本発明の代替的な実施形態が、図9に示される。この実施形態においては、装置90は、各々が検出器92及び93を含む2つの単一のコリメートされたx線検知器ユニット94を含む。付加的に、上述のように、装置90は、複数の走査されたx線ビーム96及び97を放出する源95を含むか、又は代替的に、装置90は、常に1つだけが使える状態にある、示されるような2つの固定ビームを放出することができる。ビーム96及び97は、例えば、シャッターを用いて連続的に作動させることができる。放出されたビームは送れずに交互し、隠れた有機物質98の減衰率を、式6に従って求めることを可能にする。
【0032】
本発明の二重エネルギーの実施形態
式6において与えられた減衰率についての式、
は、隠れた有機物質の特定の片について、散乱放射線の平均自由行程Λを測定することを可能にする。ラスタ走査ペンシル・ビームのエネルギーを変化させることにより、x線の幾つかの異なるエネルギー範囲について、物質の平均自由行程Λを測定することができる。x線エネルギーと共に物質の平均自由行程Λがどのように変化するかを分析することによって、物質密度の測定に加えて、物質のおよその有効原子番号Zの判定を推論することができる。例えば、よりZが大きい物質についての平均自由行程は、Zがより小さい物質と比べると、光子エネルギーの減少を伴って、より急速に減少する。これは、物質の有効原子番号への(x線を吸収する)光電効果の強い依存のためである。光電吸収断面は、x線光子エネルギーの減少を伴って、物質の有効原子番号と共に急速に増大する。
【0033】
代替的に、ラスタ走査x線ビームのエネルギーを変化させるのではなく、検出器アレイにおいて、エネルギー感応検出器要素を用いることができる。こうした例の1つは、検出されたx線の各々のエネルギーを測定することを可能にする、CdZnTe検出器の使用を含む。次に、検出されたx線のエネルギーの削減を行なうことができ、次に、幾つかの異なる範囲のx線エネルギーについて、式6によって与えられる減衰率を計算することができる。次に、このことは、幾つかの異なる平均x線エネルギーについて、物質の平均自由行程を計算することを可能にし、物質の密度及び有効原子番号の両方を測定することを可能にする。これらの両方の測定を行なうことにより、有機物質を構成する物質のより正確な同定が可能になり、検出率が増大し、誤警報率が減少する。二重エネルギー操作を含ませるように、前述した本発明の他の実施形態の各々を拡張できることに留意されたい。
【0034】
本発明の特定の更に別の実施形態によると、物質は、測定値の表を用いて、前述の教示に従って計算された平均自由行程の比較に基づいて、脅威物質として同定することができる。反対の視野の検出器要素によりボクセルに繰り返し質問することにより、計算された減衰を検証することができる。
【0035】
本発明のこれまでに述べられた実施形態の全ては、単に例示的なものであることが意図され、当業者には、多数の変形及び変更が明らかになるであろう。こうした全ての変形及び変更は、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲内にあることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性放射線の平均自由行程に基づいて物体を特徴付ける方法であって、
伝播方向及びエネルギー分布によって特徴付けられる、透過性放射線の入射ビームを生成し、
透過性放射線の前記ビームの周りに、各々の検出器が視野によって特徴付けられる複数の検出器要素を配置し、
各々の検出器要素の前記視野をコリメートし、
各々が前記検出器要素の1つの前記視野と透過性放射線の前記入射ビームの前記伝播方向との交点として定められる、検査される物体内にある複数のボクセルによって散乱した放射線を検出し、
各々が透過性放射線の前記入射ビームの少なくとも2つの伝播方向の一方に対応する、ボクセルの対間の散乱した透過性放射線の減衰を計算する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
複数の入射点で前記検査される物体に連続的に入射するように、透過性放射線の前記入射ビームの前記伝播方向を変化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線を検出するステップは、透過性放射線の前記入射ビームから散乱した前記放射線の指定のエネルギー成分を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の入射点で前記検査される物体に入射するように、前記伝播方向に対して実質的に横断方向のパターンで前記入射ビームを走査するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検査される物体内の位置の関数として透過性放射線の前記減衰を表示するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
透過性放射線の前記入射ビームの周りに検出器を配置する前記ステップは、該入射ビームの前記伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に沿って散乱検出器のアレイを配置するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
透過性放射線の前記入射ビームの周りに検出器を配置する前記ステップは、透過性放射線の前記ビームに対して実質的に横断方向の平面内に検出器を配置するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
透過性放射線の前記減衰を計算する前記ステップは、前記検査される物体内の位置の関数として散乱放射線の平均自由行程を求めるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コリメートするステップは、前記入射ビームの前記伝播方向に対して指定された範囲の角度の方向に、各検出器の前記視野を制限するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
透過性放射線の前記入射ビームの前記エネルギー分布を変化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記走査するステップは、x線管について開口を走査するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記走査するステップは、源アレイの別個の要素を作動させるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
測定値の表による計算された平均自由行程の比較に基づいて、物質を脅威物質として同定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
反対の視野の検知器要素によりボクセルに繰り返し質問することに基づいて、計算された減衰を検証するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
透過性放射線の平均自由行程に基づいて物体を特徴付ける方法であって、
伝播方向及びエネルギー分布によって特徴付けられる、透過性放射線の入射ビームを生成し、
透過性放射線の前記ビームの周りに、各々の検出器が視野によって特徴付けられる複数の検出器要素を配置し、
各々の検出器要素の前記視野をコリメートし、
各々が前記検出器要素の1つの前記視野と透過性放射線の前記入射ビームの前記伝播方向との交点として定められる、検査される物体内にある複数のボクセルによって散乱した放射線を検出し、
各々が透過性放射線の前記入射ビームの少なくとも2つの伝播方向の一方に対応する、ボクセルの対間の散乱した透過性放射線の減衰を計算する、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
複数の入射点で前記検査される物体に連続的に入射するように、透過性放射線の前記入射ビームの前記伝播方向を変化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線を検出するステップは、透過性放射線の前記入射ビームから散乱した前記放射線の指定のエネルギー成分を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の入射点で前記検査される物体に入射するように、前記伝播方向に対して実質的に横断方向のパターンで前記入射ビームを走査するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検査される物体内の位置の関数として透過性放射線の前記減衰を表示するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
透過性放射線の前記入射ビームの周りに検出器を配置する前記ステップは、該入射ビームの前記伝播方向に対して実質的に平行なベクトル成分を有する方向に沿って散乱検出器のアレイを配置するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
透過性放射線の前記入射ビームの周りに検出器を配置する前記ステップは、透過性放射線の前記ビームに対して実質的に横断方向の平面内に検出器を配置するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
透過性放射線の前記減衰を計算する前記ステップは、前記検査される物体内の位置の関数として散乱放射線の平均自由行程を求めるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コリメートするステップは、前記入射ビームの前記伝播方向に対して指定された範囲の角度の方向に、各検出器の前記視野を制限するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
透過性放射線の前記入射ビームの前記エネルギー分布を変化させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記走査するステップは、x線管について開口を走査するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記走査するステップは、源アレイの別個の要素を作動させるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
測定値の表による計算された平均自由行程の比較に基づいて、物質を脅威物質として同定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
反対の視野の検知器要素によりボクセルに繰り返し質問することに基づいて、計算された減衰を検証するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2010−501860(P2010−501860A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525755(P2009−525755)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/076497
【国際公開番号】WO2008/024825
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(308022988)アメリカン サイエンス アンド エンジニアリング,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/076497
【国際公開番号】WO2008/024825
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(308022988)アメリカン サイエンス アンド エンジニアリング,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]