説明

数値制御装置

【課題】オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新する場合に、パスワードの照合及びオプションパラメータの設定を自動かつ専用の装置を使用せずに行うことができる数値制御装置を提供する。
【解決手段】数値制御装置10は、パスワードを自動生成する機能を有し、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新するタイプの数値制御装置である。PC20は、数値制御装置10で生成されたパスワードを自動又は手動で設定できるように構成される。PC20は、外部から自動又は手動で入力されたオプションパラメータのデータを読み込むことができ、そのデータと数値制御装置10から受信したパスワードとを一体化させた形態のデータ30を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、放電加工機、射出成形機等の機械及び産業用ロボットを制御する数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置のソフトウェアには通常、基本機能とオプション機能とがある。オプション機能を有効にするためには、対応するオプションパラメータを数値制御装置に設定する必要がある。数値制御装置の出荷時には通常、オプションパラメータは予め設定されている。しかし、ユーザ側で新たなオプション機能が必要となった場合には、ユーザ又はサービスマン等がその新たなオプション機能に対応するオプションパラメータを設定する必要がある。
【0003】
一般に、オプションパラメータは秘密情報である。従って、従来はメーカに認証されたIDを持つユーザ若しくはサービスマンにより、又はパスワードを入力することにより、オプションパラメータの設定が可能であった。しかし認証されたIDやパスワードを他人に知られた場合、不正にオプションパラメータを設定される虞があった。そこで、例えば特許文献1及び2には、パスワードを自動生成し、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新する数値制御装置が開示されている。
【0004】
また従来は、オプションパラメータの設定はパスワード入力後に1つずつ人手で行われていたが、特許文献3に記載されるような、専用の装置を用いて自動で設定するシステムも開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−224807号公報
【特許文献2】特開昭62−269215号公報
【特許文献3】特許第3307119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パスワードを自動生成し、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新する場合は、パラメータ設定を上述のように人手で行うか専用の装置が必要であった。しかし前者の場合は時間がかかる上に入力ミスが発生する虞があり、後者の場合は費用面で不利である。
【0007】
そこで本発明は、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新する場合に、パスワードの照合及びオプションパラメータの設定を自動かつ専用の装置を使用せずに行うことができる数値制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、パスワードを自動生成し、オプションパラメータの設定の度ごとにパスワードを更新するように構成された数値制御装置であって、パーソナルコンピュータで作成されたデータに含まれるパスワードと、前記数値制御装置で自動生成されたパスワードとを照合することができるように構成された、数値制御装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の数値制御装置において、前記パーソナルコンピュータが作成する前記データは、前記数値制御装置のオプション機能に対応したオプションパラメータを含み、前記数値制御装置は前記データを解読してオプションパラメータ設定を行うことができる、数値制御装置を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の数値制御装置において、前記パーソナルコンピュータが作成する前記データは、前記数値制御装置が解読可能な可逆的なデータ変換が施されたデータ形式を有する、数値制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る数値制御装置は、汎用のパーソナルコンピュータによって作成されたパスワード及びオプションパラメータを含むデータを解読することができる。従って、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新する場合に、パスワードの照合及びオプションパラメータの設定の双方を、高価な専用の装置を使用せずに、自動的かつ効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係る数値制御工作機械10及びそれに接続されたデータ作成装置20を示す概略ブロック図である。数値制御装置10は、パスワードを自動生成する機能を有し、オプションパラメータ設定の度ごとにパスワードを更新するタイプの数値制御装置である。一方データ作成装置20は、例えばパーソナルコンピュータ(以降PCと略称)のような汎用の外部機器であり、適当な回線を介して数値制御装置10で生成されたパスワードを受信できるように構成される。
【0013】
PC20は、外部から自動又は手動で入力された、オプションパラメータを含む設定データを読み込むことができ、また数値制御装置10で作成されたパスワードを自動又は手動で設定することができる。PC20はさらに、オプションパラメータを含む設定データとパスワードとを一体化させた形態のデータ30を作成する。数値制御装置10は、作成されたデータ30を取り込んで解読することができ、これによりパスワードの照合と、オプションパラメータの設定又は変更とを行うことができる。
【0014】
PC20が作成するデータ30は、第三者が容易に解読又は改竄できないように、可逆的なデータ変換処理が施されたデータ形式を有することが好ましい。このデータ変換は、PC20によって行うことができ、また当然、数値制御装置10が解読可能な変換形式で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る数値制御装置及びデータ作成装置の概略ブロック構成を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
10 数値制御装置
20 パーソナルコンピュータ
30 データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードを自動生成し、オプションパラメータの設定の度ごとにパスワードを更新するように構成された数値制御装置であって、
パーソナルコンピュータで作成されたデータに含まれるパスワードと、前記数値制御装置で自動生成されたパスワードとを照合することができるように構成された、数値制御装置。
【請求項2】
前記パーソナルコンピュータが作成する前記データは、前記数値制御装置のオプション機能に対応したオプションパラメータを含み、前記数値制御装置は前記データを解読してオプションパラメータ設定を行うことができる、請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記パーソナルコンピュータが作成する前記データは、前記数値制御装置が解読可能な可逆的なデータ変換が施されたデータ形式を有する、請求項1又は2に記載の数値制御装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−206820(P2007−206820A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22651(P2006−22651)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】