説明

敷き板

【課題】本発明は、特に工事現場等において仮設敷設するプラスチック材料からなる敷き板において、繰り返し応力に耐えうる構造をもたせること。人の手でも持ち運びが可能な自重とすること。さらに、従来この種の素材からなる敷き板は、繰り返し応力に負けて湾曲しやすく、特に周辺がそって上がると、強風時において自重が軽いこともあって、設置位置から離れる傾向があったので本発明の敷き板はこのような問題の解消も課題としている。
【解決手段】建築現場で敷かれる敷き板であって、相対的に柔らかいプラスチック領域であるソフト部材2と、相対的に硬いプラスチック領域であるハード部材1の少なくとも2つの領域を備え、該ハード部材1と該ソフト部材2は、体積比および面積比の何れにおいてもハード部材1が十分に広く構成され、且つ、ソフト部材2がハード部材1を囲うように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料からなる敷き板であり、特に以下の目的を有する。なお、この敷き板は工事現場等おいて仮設敷設する敷き板に利用することを目的としている。
【0002】
敷き板で求められる繰り返し応力に耐えうる構造をもたせること。
【0003】
従来の敷き鉄板では、自重がありすぎて、搬入搬出移動など、すべて機械の力を必要としていた。そこで、人の手でも持ち運びが可能な自重とすることを目的としている。
【0004】
この種の素材(プラスチック材料による素材)からなる敷き板は、繰り返し応力に負けて、湾曲し、そりやすい性質があった。特に周辺がそって地面に対して隙間が生じると、例えば強風時においてこの敷き板の自重が軽すぎることもあって、設置位置から風の力で離れる傾向があった。本発明の敷き板はこのような問題を解消することが目的の一つである。
【0005】
この種の素材からなる敷き板は、コスト低下のために主としてリサイクル素材を用いる傾向がある。リサイクル素材は、様々な比重の素材が混在しているために、製造時に比重が高い素材は、沈殿する傾向を示し、比重の軽い素材は表面側へ移動する傾向があった。その結果として不均一性のための弱さがあった。
【背景技術】
【0006】
特許文献1は工事途中の工事現場に簡易的に敷設する敷き板であって、中空柱併設のハニカム材と、ハニカム材の開口面を被覆する板厚の薄い鉄板とを備え、ハニカム材と鉄板とは接着剤により積層固着されてなり、板厚寸法の90%をハニカム材で構成してなる敷き板である。従来の鉄板に比較すると、大幅な軽量化を狙った発明であるが、繰り返しの利用によりハニカム材と鉄板とが剥離して、仮に数人の人手で移動が可能な重量に設計された場合でも、この剥離した薄鉄板によってけがをする懸念があった。また、基本的に鉄板を用いているために、軽量化にも限界がある。
【特許文献1】特開平10-266110号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
工事等で敷設した敷き板は建築機械などによって繰り返し荷重がかかることを前提としたものである。当然ながら、繰り返しダメージを受けるものであるが、そのダメージによって、利用が困難もしくは不便な形状に変形しないような構造を提供することが課題となっている。また、オーソドックスな鉄板による敷き板は、繰り返し応力に十分耐えうるものであるが、残念ながら人手では移動すらできない重量物である。本発明は、人の手で移動が可能なプラスチック素材による敷き板に関する。
【0008】
ところで、プラスチック素材による敷き板は、繰り返し応力によって湾曲する傾向があり、その湾曲性を是正する構造が求められている。
【0009】
特に上記湾曲が生じると、全体としてそりやすい性質があった。特に周辺がそって上がり、地面との隙間が大きくなると、強風時において自重が軽すぎることもあって、設置位置から離れる傾向があった。本発明の敷き板はこのような問題を解消することを課題としている。
【0010】
一方、プラスチック材料による敷き板は、コスト低減のために主としてリサイクル素材を用いる傾向がある。リサイクル素材は、様々な比重の素材が混在しているために、製造時に比重が高い素材は、この敷き板を熱処理して硬化するまで製造過程において沈殿する傾向を示し、比重の軽い素材は表面側へ移動する傾向があった。その結果として不均一性のための弱さがあった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、工事現場に簡易的に敷設する敷き板であって、相対的に柔らかいプラスチック領域と、相対的に硬いプラスチック領域の少なくとも2つの領域を備え、該硬い領域と柔らかいプラスチック領域は硬いプラスチック領域に比較して体積比および面積比の何れにおいても十分に硬い領域が広く構成され、且つ、該柔らかいプラスチック領域が硬いプラスチック領域を囲うように構成したことを特徴とするプラスチック材料から成る敷き板。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、該相対的に柔らかいプラスチック領域が互に連通した形状とした、プラスチック材料から成る敷き板。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、該比較的硬いプラスチック領域の素材が、該柔らかいプラスチック領域を埋め込み、比較的硬いプラスチック領域と比較的柔らかいプラスチック領域の双方が硬化する長い時間の間隔中において、比較的硬いプラスチック領域を構成する素材の内、質量違いの素材が沈殿しない程度に細かく粉砕したプラスチック素材を用いて製造した、プラスチック材料から成る敷き板。
【発明の効果】
【0014】
請求項1で定義された発明の効果は次のとおりである。
相対的に柔らかいプラスチック領域で囲まれて、部分的に仕切られた、相対的に硬いプラスチック領域は、建設用重量機械などによって、強い応力がかかった場合に、その強い力(荷重)によって、相対的に硬いプラスチック領域は変形を余儀なくされる。しかしながら、一時的に変形した硬いプラスチック領域は、その変形によって変位する形状を、囲まれた相対的に柔らかいプラスチック領域によって吸収され、該強い応力が過ぎ去った時に、戻りやすくなる。また、仮に変形をした場合でも、その変形は、相対的に柔らかいプラスチック領域で囲われたことにより分離された領域からなる相対的に硬いプラスチック領域の部分的な変形に止まり、敷き板全体を歪めるような大きな変形に至る確率を減らすことができる。
【0015】
請求項2で定義した発明の効果は次のとおりである。
該相対的に柔らかいプラスチック領域が互に連通した形状としたことにより、比較的硬いプラスチック領域の強い応力による変形が、連続して連通した比較的柔らかいプラスチック領域に、より広く分散することを可能としている。例えば、柔らかいプラスチック領域が、連通していない形状、すなわち点在状態とした場合には、上記変形を吸収する程度が著しく低下する。また、十分に吸収するためには大きな領域を持たせた点在が必要となり、結果として、比較的硬いプラスチック領域が狭くなることが原因で、強度が落ちる可能性がある。
【0016】
請求項3で定義した発明の効果は次のとおりである。
本発明は比較的硬いプラスチック領域と比較的柔らかいプラスチック領域の双方を熱処理によって合成しているので、その工程が長い分比較的硬いプラスチック領域の硬化に至る時間が長い、従って、その硬化の時間が長いために、例えば質量の違いによる沈殿などをもたらす可能性が高まる。これは、比較的柔らかいプラスチック領域を合成して入れる場合に限ったことではない。特にプラスチック材料として廃材を用いた場合には、様々な組成物が混在しているために、沈殿が生じない程度に細かく粉砕する必要があり、逆に言うと、沈殿が生じない程度に細かく粉砕した素材を溶かして板状に形成することにより、素材に偏りがでにくく、結果として平均的で強い敷き板をつくることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例を示す図面であり、同図において、(a)は短辺側から見た側面図、(b)は平面側から見た斜視図、(c)は平面図、(d)は正面図、そして、(e)は底面側からみた斜視図である。この第1実施例の構造を明瞭に示すために、図1で示した半分を拡大し、各構成要素を分離して描いた、説明図を図2に示し、(f)に示した図面の符号2は相対的に柔らかいプラスチック領域(以下ソフト部材とも呼ぶ)だけを開示した斜視図である。(g)に示した図面の符号1は相対的に堅いプラスチック領域(以下ハード部材とも呼ぶ)だけを開示した斜視図である。これら斜視図(f)ならびに(g)を結合すると、図1のちょうど半分の様子と同一のものである。
【0018】
さらに、両図面を参照してさらに第1実施例を詳細に説明する。ハード部材1は、凸部分1a、ベース部分1b、凹部分1cとから構成され、ポリエチレンとポリプロピレンを主な原材料とし、多少の気泡は存在するが、基本的に中実構造である。この中実構造は、建築用機械などの重量物による荷重を受けるために、必須の構造である。また、ソフト部材はポリプロピレンが主な原材料である。一方、ハード部材1とソフト部材2との融着性を高めるために、ハード部材1側に架橋ポリエチレン材料を含有させることが望ましい。さらに、ハード部材1は主に凸部分1aの表面部分において、建築機械のキャタピラやそこを往来する人に対して滑らない傾向を持たす必要がある。この滑り止めをもたらすために、適度な発泡剤を含有させることが選択できる。一方、利用する原材料が電線の廃材を利用した場合には、他種類の被覆が混在するために、個々の粒子は個別の性質と個別の質量を持つようになり、当然ながら比重の差も大きい。このような複数の素材が混在している廃材を利用する場合には、溶解する前に、必要な程度の微粉砕を行うことが有効であることを知見した。一方、プラスチックのチップ程度に切り刻んだ、廃材を溶解した場合、特に比重の違いが一つの問題となり、できあがったハード部材1が不均一となり、その不均一の性質のために、強度が十分では無い問題があった。そこで、以上の理由で廃材を微細加工することが必要であり、その微細レベルはこのハード部材1を形成するのに必要な一連の工程の時間において、比重の違いで分離が起こらない程度とすることを目的として微細加工の微小レベルを決定する。
ハード部材1の好ましい製造工程としては、前記廃材を適度なチップ状に切断すること、次に、適度な水分を混合すること、この水分は微小粒子へ摩擦によって粉砕する際に生じる熱によって、微粉砕に達する前に粒子同士が解けて固まりになるという問題を解決する。微粉砕が完了した時点で、温風により残りの水分をとばして、乾燥させる。こうしてつくられた原材料を、所望により架橋ポリエチレン材料を混合させて、溶かし、型枠に流すことによって、ハード部材1はつくられる。なお、このように、配線の被覆などの廃材を利用することにより、耐候性や耐摩耗性さらには難燃性に配慮された材料を安価に敷き板の中に含有させることができ、このような点においても、微粉砕して強度が得られる本発明の方法による敷き板の製造の方法は非常に効果が高いものである。
【0019】
図3は第1実施例の原理を説明するための斜視図であり、(h)は、第1実施例の半分の大きさで尚かつ、角部分を断面とした本体である。(i)は、この本体から取り去った角部分を示し、(j)はこの角部分のさらにハード部材1の拡大斜視図、さらに(k)は角部分のソフト部材2である。
【0020】
上記ハード部材1は、凹部分1cで囲われて、実質的に独立した島の状態を形成しているのが凸部分1aである。この凸部分1aは、実際には、ソフト部材2で覆われている。このような状態において、図中の凸部分1aの頂面に描いた矢印のように、横方向へ荷重がかかった場合、この凹部分1cが無い場合に比べて、自由に凸部分1aが動く、この動きはソフト部材2の比較的柔らかい性質によって吸収されるとともに、凸部分1aとソフト部材2との境界面で変形に伴う熱が発生して、凸部分1aの負荷が分散される。また、凸部分1aに対して垂直方向に印加される荷重に対しても、同一原理によって負荷が分散され、その結果としてこの凸部分1aを形成しない平らなハード部材1に比較して、同じ負荷でも変形がなされにくい。また、予想を超える大きな負荷がかかった場合には、変形が余儀なくされる場合があるが、そのばあいにおいても、ソフト部材2で囲われて独立した凸部分1aが、独立して変形することにより、敷き板全体がゆがむことが、このソフト部材2で囲われて独立した凸部分1aが設けられているものと、これが無いものと比較すると、全体のゆがみに対しては、前者がゆがみにくいものとなる。
【0021】
図4は、図3における点線(m)の断面と対応させて、第2実施例を示した、参考図である。この第2実施例は、ソフト部材2の断面形状が、第1実施例の様な四角い形状ではなく、全体的に面取りがなされた形状である。また、ハード部材1とソフト部材2とは熱により融着しているために、その境界は解けた状況によって変化して直線状には、確率的に成りにくい。なお、図4において、ソフト部材2の端面をわかりやすくするために、黒のラインで書いている。また、凸部分1aの頂上付近の周囲において本来ソフト部材2によって囲われるべきところ、部分的にハード部材が表面的にかぶるように形成されることが、溶かして合成するために、有る程度確率的に存在するが、上述の作用ならびに効果に代りはない。ただし、外観的にはソフト部材2が外表面に綺麗に見えることが好ましい。
【0022】
次に、図5において、さらに第3実施例を説明する。以上の第1実施例ならびに第2実施例は、いずれも一方側に対して、ソフト部材2が形成されていたが、両面にすることが可能である。この第3実施例の場合、表裏を完全に同一模様としたものである。従って、表面側でつくられた上記凸部分1aを形成するソフト部材2の領域は、裏面側でも同一位置につくられる。このようにすると、ソフト部材1aと図5で示したソフト部材1a1で形成された距離は、一致していない状態ソフト部材1a2(図6参照)と比較すると距離が短くなり、島を形成する凸部分1aならびに1a1は、より独立した作用を有する。すなわち、凸部分1aと1a1とで一組になった部分に大きな力が印加されて変形したとしても、全体を変形に至らせるちからになりにくい。さらに、大きな力が印加された際に、凸部分1aと1a1とで一組になった部分が、取れるもしくは、部分的に上下方向に空所ができる状態になったばあいにおいても、全体への影響を軽減できる構造である。
【0023】
図6は、凸部分1aならびに1a2がずれている第4実施例を説明する。この場合には、図示の通り、凹部分1c同士は一致しないところが多く、結果として、得られる応力の分散は、実施例3に比較すると、分散する傾向がある。それゆえに、第3実施例に比較すると、凸部分自体が独立して外に出ることは生じ難い構造である。
【0024】
以上、第1〜4実施例について説明してきたが、このソフト部材2で囲われる形状は、何も四角や菱型であるひつようは無く、三角、楕円、六角形など、様々が形状が取り得るものである。また、表側が菱型、裏面が三角形といった、組合わせも自由につくることができる。
【0025】
最後に図7では、ソフト部材2で形成される形状がストライプ状に形成した場合の一例を示した第5実施例である。このように、細長く一方方向にストライプ状にソフト部材2を形成すると、例えば、直角に段差がある場所に敷く時に、特に地面に対して馴染む効果が特に存在する。必要に応じて、裏面にも同方向にソフト部材2を設けることができ、そうすることにより、段差に対してより馴染む傾向をもう足すことができる。さらに、第5実施例では長手方向に多数のソフト部材を線状に設けているが、必要に応じて横方向に多数の線状のソフト部材を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例を示す様々な角度から見た図面である。
【図2】本発明の第1実施例の各部を分離した様子を示す斜視図である。
【図3】図3は第1実施例の原理を説明するための斜視図である。
【図4】図3における点線(m)の断面と対応させて、第2実施例を示した、参考図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す部分断面斜視図である。
【図6】凸部分1aならびに1a2がずれている状態の第4実施例である。
【図7】ソフト部材2で形成される形状がストライプ状に形成した場合の一例を示した第5実施例である。
【符号の説明】
【0027】
1…ハード部材
2…ソフト部材
1a…凸部分
1b…ベース部分
1c…凹部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場に簡易的に敷設する敷き板であって、相対的に柔らかいプラスチック領域と、相対的に硬いプラスチック領域の少なくとも2つの領域を備え、該硬い領域と柔らかいプラスチック領域は硬いプラスチック領域に比較して体積比および面積比の何れにおいても十分に硬い領域が広く構成され、且つ、該柔らかいプラスチック領域が硬いプラスチック領域を囲うように構成したことを特徴とするプラスチック材料から成る敷き板。
【請求項2】
該相対的に柔らかいプラスチック領域が互に連通した形状とした、プラスチック材料から成る請求項1に記載の敷き板。
【請求項3】
該比較的硬いプラスチック領域の素材が、該柔らかいプラスチック領域を埋め込み、比較的硬いプラスチック領域と比較的柔らかいプラスチック領域の双方が硬化する長い時間の間隔中において、比較的硬いプラスチック領域を構成する素材の内、質量違いの素材が沈殿しない程度に細かく粉砕したプラスチック素材を用いて製造した、プラスチック材料から成る請求項1または2の何れかに記載の敷き板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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