説明

敷板

【課題】コストが安く、敷板の連結が容易で、取り換えが簡単な敷板を提供する。
【解決手段】四角形状板本体1の四周辺に凹部2と凸部3を交互に形成し、板本体1には凹部2を形成する辺に沿って、凹部2を横断する板本体側ピン挿通路4を貫設し、各凸部3には板本体側ピン挿通路4と同軸に連通する凸部側ピン挿通路5を貫設し、板本体側ピン挿通路4にはロックピン6のピン本体部7を、凹部2を横断する連結位置とその凹部2から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、板本体側ピン挿通路4はその一部を板本体表面1aに開口する開口溝4aとし、開口溝4aには、ピン本体部7の連結位置で把手部8が没入する第1横溝9と、収納位置で把手部8が没入する第2横溝10とを分岐形成し、開口溝4aの内側壁面にはピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持する突起11を突設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場や建設資材置き場、駐車場、公園、非舗装の道路・歩道等の地面に敷設したり、またイベント会場となる広場や野球場、サッカー場、陸上競技場のフィールド(アンツーカー、天然芝、人工芝を含む)等に敷設する敷板に関するするものある。
【背景技術】
【0002】
従来の敷板として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この敷板は、上下二枚のプラスチック製板部材を対称に合体させてなる敷板であって、各辺に凹凸係合部を形成すると共に、少なくとも、対向する平行な二辺に沿って連結孔を形成し、この連結孔に、連結パイプ、ロープ、チェーン、棒材などの長尺連結部材を挿通することによって、隣接する敷板どうしを連結するようにしたものである。
【特許文献1】特開平11−152706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の敷板によれば、敷板が上下二枚のプラスチック製板部材を対称に合体させたものからなるため、その製作コストが高くつくと共に組立に手間がかかり、しかもこの敷板にあっては、多数の敷板を一連の連結パイプ等によって連結するようになっていることから、連結した後で敷板の一つを破損等のために取り換える場合に、多数の敷板を連結している一連の連結パイプ等を引き抜いて、その多数の敷板をバラバラにする必要が合って、敷板の取り換え作業が非常に面倒である。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑み、構造が簡単で製作コストが安くつき、敷板どうしの連結が簡単容易に行なえる上に、互いに連結した多数の敷板のうちの一枚が破損するなどして取り換える必要がある場合にその破損した敷板のみを、隣接する他の敷板から容易に取り外すことができて、新しいものと簡単に取り換えできるようにした敷板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の敷板Aは、四角形をなす板本体1の四周辺に、互いに凹凸係合する凹部2と凸部3を交互に形成し、板本体1には凹部2を形成する辺に沿って、凹部2を横断するような板本体側ピン挿通路4を貫設し、各凸部3にはこの凸部3が他の板本体1の凹部2に係合した状態で板本体側ピン挿通路4と同軸に連通するような凸部側ピン挿通路5を貫設し、板本体側ピン挿通路4には、ピン本体部7と横向きに突出する把手部8とからなるロックピン6のピン本体部7を、凹部2を横断する連結位置とその凹部2から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、板本体側ピン挿通路4はその一部を板本体表面1aに開口する開口溝4aとし、この開口溝4aには、ピン本体部7の連結位置で把手部8が没入する第1横溝9と、収納位置で把手部8が没入する第2横溝10とを分岐形成すると共に、開口溝4aの内側壁面にはピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持するための突起11を突設し、しかして凹部2と凸部3とを係合させた状態でロックピン6のピン本体部7を連結位置にスライドさせることにより、隣接する板本体1,1どうしを連結するようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の敷板Aにおいて、ロックピン6の把手部8には、ピン本体部7を板本体側ピン挿通路4に沿ってスライドさせる時に開口溝4aの内側壁面から突出する突起11を避けて通るための凹溝部8oを設けてなることを特徴とする。
【0007】
請求項3は、請求項1又は2に記載の敷板Aにおいて、第1横溝9及び第2横溝10は、各横溝9,10の底面が開口溝4の底部から板本体表面1aに向かって上り傾斜状となる傾斜面9a,10aに形成してなることを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項3に記載の敷板Aにおいて、第1横溝9及び第2横溝10は、各傾斜状底面9a,10aの上流端部側を一段深く形成して、作業者の手指や棒状体を挿入する挿入部12を形成してなることを特徴とする。
【0009】
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の敷板において、第1横溝9及び第2横溝10には夫々の内側壁面に、ロックピン6の把手部8を当該横溝9,10に没入した状態に保持するための突起11aを突設してなることを特徴とする。
【0010】
請求項6は、請求項1〜5の何れかに記載の敷板Aにおいて、ロックピン6は、ピン本体部7とこれの一端部から直角横向きに突出する把手部8とでL字状に形成されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項7は、請求項1〜6の何れかに記載の敷板Aに連結して使用する周辺用敷板Bであって、四角形を成す板本体21の一辺に凸部3を形成し、この凸部3には、この凸部3が敷板Aの凹部2に係合した状態で敷板Aの板本体側ピン挿通路4と同軸に連通するようなピン挿通路5を貫設してなることを特徴とする。
【0012】
請求項8は、請求項1〜6の何れかに記載の敷板Aに連結して使用する周辺用敷板Cであって、四角形を成す板本体31の一辺に凹部2を形成すると共に、この一辺と平行に凹部2を横断するようなピン挿通路4を貫設し、このピン挿通路4には、ロックピン6のピン本体部7を、凹部2を横断する連結位置とその凹部2から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、このピン挿通路4はその一部を板本体表面31aに開口する開口溝4aとし、この開口溝4aには、ピン本体部7の連結位置で把手部8が没入する第1横溝9と、収納位置で把手部8が没入する第2横溝10とを設けてなることを特徴とする。
【0013】
請求項9は、請求項7に記載の周辺用敷板Bにおいて、板本体21の表面21aには凸部3と反対側の領域にスロープ20を形成してなることを特徴とする。
【0014】
請求項10は、請求項8に記載の周辺用敷板Cにおいて、板本体31の表面31aには凹部2と反対側の領域にスロープ20を形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明によれば、敷板Aを前後左右方向に連ねて敷設するには、前後方向に隣接する敷板A,Aの板本体1,1の凹部2と凸部3とを互いに係合させ、ロックピン6の把手部8を第2横溝10から引き起こして、この把手部8でピン本体部7を収納位置から連結位置へとスライドさせることにより、その互いに係合した凹部2と凸部3とを連結し、左右方向に隣接する敷板A,Aについても同様にして、板本体1,1の凹部2と凸部3とを互いに係合させ、ロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置へとスライドさせることによって、互いに係合した凹部2と凸部3とを連結すればよいから、敷板Aどうしの連結を簡単容易に行うことができ、またロックピン6の把手部8は、連結後は第1横溝9に没入させることにより、板本体1aの表面に突出することがない。
【0016】
また敷板Aの敷設後、一部の敷板Aが破損するなどして取り替えを必要とする時には、取り替えが必要な敷板Aに取り付けてある各ロックピン6の把手部8を第1横溝9から引き起こして、その把手部8でピン本体部7を連結位置から収納位置にスライドさせれば、当該敷板Aをこれに隣接する他の敷板Aと切り離すことができるから、取り替えが必要となった敷板Aのみを取り外して新しいものと簡単容易に取り換えることができる。また、この敷板Aは、構造が簡単であるから、製作コストが安くつく。
【0017】
更に、この発明では、開口溝4aの内側壁面に、ピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持するための突起11を突設しているから、敷板Aを保管場所から敷設現場等へ搬送する時などに、収納位置にあるピン本体部7が開口溝4aから抜け出て、ロックピン6が板本体1から脱落してしまうおそれがない。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、ロックピン6の把手部8には、ピン本体部7を板本体側ピン挿通路4に沿ってスライドさせる時に開口溝4aの内側壁面から突出する突起11を避けて通るための凹溝部8oを設けているから、ピン本体部7を板本体側ピン挿通路4に沿ってスライドさせる時に把手部8が開口溝4a内の突起11に引っ掛かることがなく、把手部8は、凹溝部8oにより開口溝4a側の突起11を避けてスムーズに通過することができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、第1横溝9及び第2横溝10は、各横溝9,10の底面が開口溝4の底部から板本体表面1aに向かって上り傾斜状となる傾斜面9a,10aに形成されているから、各横溝9,10に没入しているロックピン6の把手部8を引き起こす際に、各横溝9,10の傾斜状底面の上流端部側に作業者の手指fやドライバー等の棒状体を差し込むことで、把手部8引き起しが容易となる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、第1横溝9及び第2横溝10は、各傾斜状底面9a,10aの上流端部側を一段深く形成して、作業者の手指fや棒状体を挿入する挿入部12を形 成しているから、把手部8の引き起こしが一層容易となる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、第1横溝9及び第2横溝10には夫々の内側壁面に、ロックピン6の把手部8を当該横溝9,10に没入した状態に保持するための突起11aを突設しているから、ロックピン6の把手部8を第1横溝9又は第2横溝10内に没入させれば、敷板Aの使用中などにロックピン6の把手部8が振動などで不測に飛び出したりすることがない。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、ロックピン6は、ピン本体部7とこれの一端部から直角横向きに突出する把手部8とでL字状に形成された簡単な構造のものであるから、製作が容易であると共に、第1横溝9及び第2横溝10の形成も容易となる。
【0023】
請求項7に係る発明の周辺用敷板Bは、その凸部3を、図8に示すような敷板連結構造体の周辺部に位置する一つの敷板Aの凹部2に係合させると、あとは前述した敷板Aの場合の連結方法と全く同じ方法で、ロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置にスライドさせることにより、周辺用敷板Bの板本体21を敷板Aの板本体1に連結することができ、従ってこの周辺用敷板Bを使用することにより、敷板連結構造体の周辺に敷板Aの凹凸部2,3が露呈せず、外観上の体裁、見栄えが良くなる。
【0024】
請求項8に係る発明の周辺用敷板Cは、その凹部2を、図8に示すような敷板連結構造体の周辺部に位置する敷板Aの凸部3に係合させた状態で、この周辺用敷板Cに設けてあるロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置にスライドさせることによって、この周辺用敷板Cの板本体31を敷板Aの板本体1に連結することができ、従ってこの周辺用敷板Cを使用することにより、敷板連結構造体の周辺に敷板Aの凹凸部2,3が露呈せず、外観上の体裁、見栄えが良くなる。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、スロープ付き周辺用敷板B′であるため、例えば野球場等に周辺用敷板B′を敷設してイベント会場用の敷板連結構造体を形成した場合、敷板連結構造体の周辺部に段差がなくなり、この敷板連結構造体に足を踏み入れる際に靴を引っ掛けるなどの危険を回避することができる。
【0026】
請求項10に係る発明によれば、スロープ付き周辺用敷板C′であるため、例えば野球場等に周辺用敷板C′を敷設してイベント会場用の敷板連結構造体を形成した場合、敷板連結構造体の周辺部に段差がなくなり、この敷板連結構造体に足を踏み入れる際に靴を引っ掛けるなどの危険を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明すると、図1の(a) は本発明に係る敷板を表面側から見た斜視図、(b) は同敷板を裏面側から見た斜視図、図2の(a) は同敷板の平面図、(b) は同敷板を(a) の矢印イから見た側面図、(c) は(a) の矢印ロから見た側面図であり、図3の(a) は同敷板Aの底面図、(b) はロックピンの正面図、(c) は同ロックピンの側面図である。また、図4の(a) は図2の(a) のX1−X1線拡大断面図、(b) は図2の(a) のX2−X2線拡大断面図、(c) は図2の(a) のY1−Y1線拡大断面図であり、図5の(a) は図2の(a) の矢印ハで示す部分の拡大図、(b) は図5の(a) のY2−Y2線拡大断面図、(c) は図5の(a) のX3−X3線拡大断面図であり、また図5の(a) は図5の(a) のX4−X4線拡大断面図、(b) は同図のX5−X5線拡大断面図、(c) は同図のX6−X6線拡大断面図である。
【0028】
この敷板Aは、各辺の長さが等しい平面視四角形を成すプラスチック製の板本体1からなるもので、図2及び図3に示すように、この四角形状板本体1の四周辺には、互いに凹凸係合する凹部2と凸部3とが交互に形成されており、そして図2の(a) を参照すると、板本体1の上辺にはその左半部に凸部3が、また下辺にはその右半部に凸部3が夫々形成されており、そして左右側辺の右辺にはその下半部に凹部2が形成され、左辺にはその上半部に凹部2が形成されている。また、板本体1の表面1aは、その一部分のみを図2の(a) の矢印ニで示し、また(b) 及び(c) に示すように、凹凸状に滑り止め加工を施され、そして裏面側は、図1の(b) 及び図3に示すように、リブrが縦横及び斜め格子状に形成されている。また板本体1にはその全域にわたり水抜き孔hが設けてある。
【0029】
板本体1には凹部2が形成される辺(図2の(a) と図3の(a) を参照した場合は、右辺側と左辺側)に沿って、凹部2を横断するような板本体側ピン挿通路4が辺全域にわたるように平行に貫設され、各凸部3には、図3の(a) に示すように、凸部3が他の板本体1の凹部2に係合した状態で板本体側ピン挿通路4と同軸に連通するような凸部側ピン挿通路5が、板本体側ピン挿通路4とは直交する方向に貫設されている。
【0030】
板本体側ピン挿通路4には、ピン本体部7とこれの一端部から直角横向きに突出する把手部8とで図3の(b) に示すようなL字状に形成されたロックピン6のピン本体部7が、図2の(a) の左側に示すように凹部2を横断する連結位置と、図2の(a) の右側に示すように凹部2から退避した収納位置とにわたってスライド自在で且つ回転自在に挿通されるようになっている。このロックピン6の把手部8には付け根部の両側面に、後述するようにピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持する突起を避けて通るための凹溝部8oが形成されている(図3の(b) ,(c) 参照)。
【0031】
また、板本体側ピン挿通路4は、図1の(a) 及び図2の(a) から分かるように、その大部分が板本体1の表面1aに開口する開口溝4aとされており、この開口溝4aには、ピン本体部7が連結位置にある時に把手部8が没入する第1横溝9と、ピン本体部7が収納位置にある時に把手部8が没入する第2横溝10とが、開口溝4aと直交するように分岐して形成されている。
【0032】
そして、開口溝4aの内側壁面には、敷板Aの搬送時などにおいて収納位置にあるピン本体部7が開口溝4aから抜け出てロックピン6全体が脱落しないように保持するための突起11が開口溝4a内の2箇所に対向突設されている。この突起11は、図6(a) に示す拡大断面図から分かるように、開口溝4aの対向する内側壁面から夫々断面円弧状に対向突出して、ロックピン6のピン本体部7を開口溝4a内に保持するようになっている。尚、この実施形態では、両側一対の突起11,11が対向する内側壁面から対向突出しているが、片側の内側壁面からのみ突出するように設けてもよい。
【0033】
また、第1横溝9及び第2横溝10には夫々の内側壁面に、ロックピン6が収納位置にある時にその把手部8を当該横溝9,10に没入した状態に保持するための突起11aが突設されている。
【0034】
また、第1横溝9及び第2横溝10は、図2の(b) 、図4の(a) 及び図5の(c) から分かるように、夫々の底面9a,10aが開口溝4aの底部から板本体1の表面1aに向かって上り傾斜状となる傾斜面に形成されており、従って各横溝9,10に没入しているロックピン6の把手部8を引き起こす際に、各横溝9,10の傾斜状底面9a,10aの上流端部側に作業者の手指fやドライバー(ネジ回し)等の棒状体を差し込むことにより、ロックピン6の把手部8を容易に引き起こすことができるようにしている。尚、傾斜状底面9a,10aの水平面に対する傾斜角度は、25°〜45°程度が好ましい。
【0035】
また、この場合、第1横溝9及び第2横溝10の各傾斜状底面9a,10aは、図5の(c) から分かるように、上流端部側を一段深く削って、作業者の手指fや棒状体を挿入する挿入部12を形成しておけば、各横溝9,10に没入したロックピン6の把手部8の先端部を手指fで掴み易く、また把手部8の先端部に棒状体を引っ掛け易くなるから、把手部8の引き起こしが一層容易となる。
【0036】
次に、上記のような構成よりなる敷板Aを所定の場所において図8に示すように前後左右方向に連ねて敷設するときは、前後方向に隣接する敷板A,Aの板本体1,1の対向する凹部2と凸部3とを互いに係合させて、ロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置へとスライドさせることにより、その互いに係合した凹部2と凸部3とを連結し、また左右方向に隣接する敷板A,Aの板本体1,1の対向する凹部2と凸部3とを互いに係合させて、ロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置へとスライドさせることにより、互いに係合した凹部2と凸部3とを連結する。このようにして多数の敷板Aを前後及び左右方向に連ねた状態を図8の(a) に示し、同図の(b) は(a) の矢印ホで示す部分の拡大図である。
【0037】
上記のような互いに係合する凹部2と凸部3との連結方法について図2も参照しながら更に詳しく説明すれば、ロックピン6のピン本体部7が収納位置に退避している状態で、前後又は左右方向に隣接する敷板A,Aの板本体1,1の対向する凹部2と凸部3とを互いに係合させ、しかして第2横溝10に没入しているロックピン6の把手部8を引き起こして第2横溝10から脱出させた後、図7の(a) に示すように、引き起こした把手部8を把持して、ピン本体部7を板本体側ピン挿通路4の開口溝4aに沿って収納位置から連結位置までスライドさせることにより、凹部2と凸部3とを連結する。この連結後は、ロックピン6の把手部8を第1横溝9に倒し入れて没入させることにより、ロックピン6を連結位置にロックすることができる。
【0038】
この際、ロックピン6の把手部8には、開口溝4aの内側壁面から突出する突起11を避けて通るための凹溝部8oが設けてあるから、ピン本体部7を板本体側ピン挿通路4に沿ってスライドさせる時に把手部8が開口溝4a内の突起11に引っ掛かることがなく、把手部8は、凹溝部8oにより開口溝4a側の突起11を避けてスムーズに通過することができる。尚、ロックピン6の把手部8をピン本体部7よりも適当に径小に形成すれば、把手部8に凹溝部8oを設ける必要はないが、そうするとロックピン6の製作コストが高くつくことになる。即ち、ロックピン6は金属棒材をL字状に折曲してピン本体部7と把手部8とを形成することにより簡単に製作できるから、この場合に把手部8に開口溝4aを形成するわけである。
【0039】
上記のようにして多数の敷板Aを所定の場所に敷設した後、一部の敷板Aが破損して取り替えを必要とするときには、取り替えが必要な敷板Aに取り付けてある各ロックピン6の把手部8を第1横溝9から引き起こして、その把手部8でピン本体部7を連結位置から収納位置にスライドさせれば、当該敷板Aをこれに隣接する他の敷板Aと切り離すことができるから、破損して取り替えが必要となった敷板Aのみを取り外して新しいものと取り換えることができる。
【0040】
この敷板Aは、イベント会場となる広場や野球場、サッカー場、陸上競技場のフィールド(アンツーカー、天然芝、人工芝を含む)等の他、工事現場や建設資材置き場、駐車場、公園、非舗装の道路・歩道等の地面に簡単容易に敷設することができる。
【0041】
この敷板Aによれば、板本体側ピン挿通路4における開口溝4aの内側壁面に、ロックピン6のピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持するための突起11を突設しているから、敷板Aを保管場所から敷設現場等へ搬送する時などに、収納位置にあるピン本体部7が開口溝4aから抜け出て、ロックピン6が板本体1から脱落してしまうおそれがない。
【0042】
図7の(b) は、ロックピン6を敷板Aの板本体側ピン挿通路4に挿入する方法を説明するもので、板本体側ピン挿通路4にロックピン6を挿入する時は、ピン本体部7を、同図の仮想線で示すように先端側が下がった傾斜姿勢で開口溝4a内の2箇所にある突起11,11の中間から開口溝4aに差し込むと共に、ピン本体部7の先端部を板本体1の下面側から手で押し上げながら、板本体側ピン挿通路4に押し込んでゆけばよい。この場合、ロックピン6は、図7の(b) の実線図示のような状態ではピン本体部7の先端部側が板本体側ピン挿通路4の孔壁面に強く圧接しているため、把手部8を適当な工具で叩くようにすれば差し込み易くなる。尚、ロックピン6を板本体側ピン挿通路4から抜き取る時は、挿入時とは逆の順序で、同図の実線図示状態から仮想線図示のように斜め方向に引っ張って引き上げればい。
【0043】
また、ロックピン6の把手部8を第1横溝9又は第2横溝10に没入させる時は、把手部8を強く第1横溝9又は第2横溝10内に押し込めば、突起11aが弾性変形して、把手部8を第1横溝9又は第2横溝10内に容易に没入させることができる。
【0044】
図9は、多数の敷板Aを前後左右方向に連結して敷設した図8に示すような敷板連結構造体の周辺部に位置する各敷板Aに連結する周辺用敷板B,Cを示し、図10は周辺用敷板B,Cの使用要領を示す。つまり、敷板Aは、四角形の各辺に凹部2と凸部3を形成しているから、図8の(a) ,(b) から分かるように、敷板連結構造体の周辺には敷板Aの凹凸部2,3が露呈することになって、外観上の体裁、見栄えが悪くなると共に、靴の爪先等を引っ掛けて破損したりするような不都合がある。そこで、敷板連結構造体の周辺に凹凸部2,3を露呈しない、敷板Aとは別の周辺用敷板B,Cを設けたもので、この周辺用敷板B,Cは、正方形の敷板Aを二分割したような大きさの矩形状に形成されていて、その一つの長辺に凹部2又は凸部3を形成したものである。
【0045】
周辺用敷板Bは、図9の(a-1) 及び(a-2) に示すように、正方形敷板Aを二分割したような大きさの矩形状板本体21の一つの長辺に凸部3を形成し、この凸部3には、この凸部3が敷板Aの凹部2に係合した状態で敷板Aの板本体側ピン挿通路4と同軸に連通するようなピン挿通路5を貫設したものである。尚、21aは板本体21の表面を示す。周辺用敷板Cは、図9の(b-1) 及び(b-2) に示すように、周辺用敷板Bと同じ大きさの矩形状板本体31の一つの長辺に凹部2を形成すると共に、この一つの長辺と平行に凹部2を横断するようなピン挿通路4を貫設し、このピン挿通路4には、ロックピン6のピン本体部7を、凹部2を横断する連結位置とその凹部2から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、このピン挿通路4はその一部を板本体表面31aに開口する開口溝4aとし、この開口溝4aには、ピン本体部7の連結位置で把手部8が没入する第1横溝9と、収納位置で把手部8が没入する第2横溝10とを分岐形成している。
【0046】
これら周辺用敷板B,Cにある凹部2、凸部3、ピン挿通路4,5、開口溝4a及びロックピン6については、敷板Aと同じ構成であるため、同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、図示は省略するが、敷板Aと同様に、開口溝4aの内側壁面にはピン本体部7が収納位置で開口溝4aから抜け出ないように保持するための突起11を突設し、また第1横溝及び第2横溝には夫々の内側壁面に、ロックピンの把手部を当該横溝に没入した状態に保持するための突起11aを突設している。また周辺用敷板Cの第1横溝9及び第2横溝10については、図5の(c) に示す傾斜面9a,10a及び挿入部12の構成も適用されるものとする。尚、この実施形態では、周辺用敷板B,Cは、正方形の敷板Aを二分割した大きさの矩形状としているが、正方形の敷板Aと同じ大きさの正方形としてもよい。
【0047】
しかして、周辺用敷板B,Cの使用にあたり、先ず、周辺用敷板Bは、その凸部3を、図10に示すような敷板連結構造体の周辺部に位置する一つの敷板Aの凹部2に係合させると、あとは前述した敷板Aの場合の連結方法と全く同じ方法で、ロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置にスライドさせることによって、周辺用敷板Bの板本体21を敷板Aの板本体1に連結することができる。また、周辺用敷板Cも同様に、その凹部2を、図8に示す敷板連結構造体の周辺部に位置する敷板Aの凸部3に係合させた状態で、この周辺用敷板Cに設けてあるロックピン6のピン本体部7を収納位置から連結位置にスライドさせることにより、この周辺用敷板Cの板本体31を敷板Aの板本体1に連結することができる。
【0048】
図11は、図9に示す周辺用敷板B,Cの板本体21,31の板本体表面21a,31aの外端部側にスロープ20を形成したスロープ付きの周辺用敷板B′,C′を例示したもので、図11の(a-1) は、周辺用敷板Bの板本体表面21aの、凹部2とは反対側の領域にスロープ20を形成したスロープ付き周辺用敷板B′の平面図であり、(a-2) は、その正面図である。また図11の(b-1) は、周辺用敷板Cの板本体表面31aの、凸部3とは反対側の領域にスロープ20を形成したスロープ付き周辺用敷板B′の平面図であり、(b-2) はその正面図である。このスロープ20以外の構成については、図9の周辺用敷板B,Cと全く同じである。このスロープ20は、例えば野球場の天然又は人工芝の上にこれらの敷板A及び周辺用敷板B,Cを敷設してイベント会場用の敷板連結構造体を形成した場合、この敷板連結構造体に足を踏み入れる際に周辺部に段差があると靴が引っ掛けるなどの危険があることから、そのような危険を回避するために設けたものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a) は本発明に係る敷板Aを表面側から見た斜視図、(b) は同敷板Aを裏面側から見た斜視図である。
【図2】(a) は同敷板Aの平面図、(b) は同敷板Aを(a) の矢印イから見た側面図、(c) は(a) の矢印ロから見た側面図である。
【図3】(a) は同敷板Aの底面図、(b) はロックピンの正面図、(c) は同ロックピンの側面図である。
【図4】の(a) は図2の(a) のX1−X1線拡大断面図、(b) は図2の(a) のX2−X2線拡大断面図、(c) は図2の(a) のY1−Y1線拡大断面図である。
【図5】(a) は図2の(a) の矢印ハで示す部分の拡大図、(b) は図5の(a) のY2−Y2線拡大断面図、(c) は図5の(a) のX3−X3線拡大断面図である。
【図6】(a) は図5の(a) のX4−X4線拡大断面図、(b) は同図のX5−X5線拡大断面図、(c) は同図のX6−X6線拡大断面図である。
【図7】(a) はロックピンが敷板Aの板本体側ピン挿通路に挿入された状態の断面図であり、(b) はロックピンを敷板Aの板本体側ピン挿通路に挿入する方法を説明する断面図である。
【図8】(a) は同敷板Aの使用状態を示す平面図、(b) は(a) の矢印ハで示される部分の拡大図である。
【図9】(a-1) は周辺用敷板Bの平面図、(a-2) はその正面図、(b-1) は他の周辺用敷板Cの平面図、(b-2) はその正面図である。
【図10】周辺用敷板Bの使用方法を示す平面図である。
【図11】(a-1) はスロープ付き周辺用敷板B′を示す平面図、(a-2) はその正面図であり、(b-1) は他のスロープ付き周辺用敷板C′の平面図、(b-2) はその正面図である。
【符号の説明】
【0050】
A 敷板
B,C 周辺用敷板
B′,C′ スロープ付き周辺用敷板
2 凹部
3 凸部
4 ピン挿通路
4a 開口溝
5 ピン挿通路
6 ロックピン
7 ピン本体部
8 把手部
9 第1横溝
10 第2横溝
11 突起
11a 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形を成す板本体の四周辺に、凹凸係合する凹部と凸部を交互に形成し、板本体には凹部を形成する辺に沿って、凹部を横断するような板本体側ピン挿通路を貫設し、各凸部にはこの凸部が他の板本体の凹部に係合した状態で板本体側ピン挿通路と同軸に連通するような凸部側ピン挿通路を貫設し、板本体側ピン挿通路には、ピン本体部と横向きに突出する把手部とからなるロックピンのピン本体部を、凹部を横断する連結位置とその凹部から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、板本体側ピン挿通路はその一部を板本体表面に開口する開口溝とし、この開口溝には、ピン本体部の連結位置で把手部が没入する第1横溝と、収納位置で把手部が没入する第2横溝とを分岐形成すると共に、開口溝の内側壁面にはピン本体部が収納位置で開口溝から抜け出ないように保持するための突起を突設し、しかして凹部と凸部とを係合させた状態でロックピンのピン本体部を連結位置にスライドさせることにより、隣接する板本体どうしを連結するようにした敷板。
【請求項2】
ロックピンの把手部には、ピン本体部を板本体側ピン挿通路に沿ってスライドさせる時に開口溝の内側壁面から突出する突起を避けて通るための凹溝部を設けてなる請求項1に記載の敷板。
【請求項3】
第1横溝及び第2横溝は、各横溝の底面が開口溝の底部から板本体表面に向かって上り傾斜状となる傾斜面に形成してなる請求項1又は2に記載の敷板。
【請求項4】
第1横溝及び第2横溝は、各傾斜状底面の上流端部側を一段深く形成して、作業者の手指や棒状体を挿入する挿入部を形成してなる請求項3に記載の敷板。
【請求項5】
第1横溝及び第2横溝には夫々の内側壁面に、ロックピンの把手部を当該横溝に没入した状態に保持するための突起を突設してなるしてなる請求項1〜4の何れかに記載の敷板。
【請求項6】
ロックピンは、ピン本体部とこれの一端部から直角横向きに突出する把手部とでL字状に形成されてなる請求項1〜5の何れかに記載の敷板。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の敷板に連結して使用する周辺用敷板であって、四角形をなす板本体の一辺に凸部を形成し、この凸部には、この凸部が敷板の凹部に係合した状態で敷板の板本体側ピン挿通路と同軸に連通するようなピン挿通路を貫設してなる周辺用敷板。
【請求項8】
請求項1〜6の何れかに記載の敷板に連結して使用する周辺用敷板であって、四角形をなす板本体の一辺に凹部を形成すると共に、この一辺と平行に凹部を横断するようなピン挿通路を貫設し、このピン挿通路には、ロックピンのピン本体部を、凹部を横断する連結位置とその凹部から退避した収納位置とにわたってスライド自在で回転自在に挿通し、このピン挿通路はその一部を板本体表面に開口する開口溝とし、この開口溝には、ピン本体部の連結位置で把手部が没入する第1横溝と、収納位置で把手部が没入する第2横溝とを設けてなる周辺用敷板。
【請求項9】
請求項7に記載の周辺用敷板において、板本体の表面には凸部と反対側の領域にスロープを形成してなる周辺用敷板。
【請求項10】
請求項8に記載の周辺用敷板において、板本体の表面には凹部と反対側の領域にスロープを形成してなる周辺用敷板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−79409(P2009−79409A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249030(P2007−249030)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【Fターム(参考)】