説明

文字入力装置及び文字入力プログラム

【課題】ポインティングデバイスを用いた文字入力操作において、利用者は常にキーの位置を意識した操作を行わなければならないため、入力操作が煩雑である。
【解決手段】本発明の文字入力装置は、ポインタの移動方向によりキーを選択可能な第一のソフトキーボードと、第一のソフトキーボードでキーを選択した後に表示される第二のソフトキーボードにより構成され、第二のソフトキーボードは、ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択することにより、ポインタの移動距離に依存しない文字入力を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字入力方法に関し、特に、ポインティングデバイスを用いて文字入力を行う文字入力装置及び文字入力プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等のポインティングデバイスを入力装置として用い、ソフトキーボードを表示して文字を入力する技術が実用化されている。そのような技術として、ソフトキーボード上に日本語の50音における「あ行」〜「わ行」までの行をそれぞれソフトキーとして配置し、利用者は特定のソフトキーをタッチすることで行を選択し、その状態から指を離すか、上下左右方向のいずれかに指を移動することで文字を選択することで、素早く文字を入力できる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、タッチパネル上の任意の点で指をタッチした後、タッチした場所から放射状に各行の文字を表示、指の移動方向で行を選択し、移動距離で文字を選択することで、文字を素早く入力する技術も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−282380号公報
【特許文献2】特開2010−15570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、物理キーが搭載された携帯端末では、文字入力を行う際に、キーに触れた際に触感が得られるため、利用者がキーを見ずとも、キーの位置を触感より確認することができた。また、物理キーが搭載された端末では、親指の可動範囲内にキーが配置されているため、片手の親指のみでの文字入力操作が容易であった。
【0006】
しかしながら、タッチパネルが搭載された携帯端末では、表示装置上のソフトキーからはキーの蝕感が得られないため、動的に表示されるソフトキーの位置を常に意識しながら入力操作を行う必要があり、操作性が低下していた。また、タブレット型端末のように、タッチパネルが搭載された携帯端末は画面サイズが大きくなる傾向にあり、画面サイズに従い、ソフトキーボードも大きく表示され、親指の可動範囲外にキーが配置された場合、親指のみでの文字入力操作が困難な状況となっていた。
【0007】
これらの課題に鑑みて、タッチパネルに代表されるポインティングデバイスを用いた端末における文字入力の操作性向上のためには、ソフトキーボード上のキーの位置を意識せずとも文字の入力を可能とし、さらに、親指の可動範囲で文字の入力を可能とする文字入力装置が必要となっている。
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術では以下のような課題がある。特許文献1に記載された技術は、入力開始点をソフトキーボード上の選択する文字の表示されたキーの上とする必要がある。このため、利用者はキーの位置に従って入力操作を開始させなければならない。
【0009】
また、特許文献2に記載された技術は、文字の入力操作における、入力開始点をタッチパネル上の任意の点とすることができるが、表示された各行の文字の中から入力する文字を選択する際に、その文字の表示されたキーを選択する必要がある。このため、利用者はキーの位置に従って入力する文字を選択しなければならない。
【0010】
いずれの技術も、選択したいキー(文字)上で文字入力の開始、あるいは選択を行う必要があり、利用者は常にキーの位置を意識した文字入力操作を行わなければならない。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ポインティングデバイスを用いた文字入力操作において、利用者が表示されるキーの位置を意識することなく任意の文字の入力を可能とする文字入力装置及び文字入力プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の文字入力装置は、ポインタの移動方向によりキーを選択可能な第一のソフトキーボードと、前記第一のソフトキーボードでキーを選択した後に表示される第二のソフトキーボードにより構成され、前記ソフトキーボードは、ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択することを特徴とする。
この構成により、利用者は入力するポインタの移動方向の変化のみを意識すればよく、キーの位置を知る必要はないため、上記の課題を解決することができる。
【0013】
本発明の文字入力装置は、上記の方式を実現するために、前記第一のソフトキーボードにおいて選択された方向は、記第二のソフトキーボードではキーが選択不可能なキー配置となることを特徴とする。
この構成により、文字の選択をポインタの移動距離によらず、移動方向の変化で行うことが可能となる。
【0014】
本発明の文字入力装置は、上記の方式に加え、文字入力開始時に、前記第一のソフトキーボードは、利用者が文字入力を開始した座標とは異なる座標に配置されることを特徴とする。
この構成により、利用者が入力開始位置に迷うことなく操作を開始できるため、キーの位置を意識することなく文字入力を開始することが可能となる。
【0015】
本発明の文字入力装置は、ポインタの移動方向によりキーを選択可能な第一のソフトキーボードと、前記第一のソフトキーボードでキーを選択した後に表示される第二のソフトキーボードにより構成され、前期第二のソフトキーボードは、ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択することを特徴とする。
この構成により、利用者は入力するポインタの移動方向の変化のみを意識して文字入力が可能となるため、画面の表示内容を確認することなく文字入力を行うことが可能となる。
【0016】
本発明の文字入力装置は、上記の方式を実現するために、前記第一のソフトキーボードにおいて選択された方向は、前記第二のソフトキーボードでではキーが選択不可能なキー配置となることを特徴とする。この構成により、文字の選択をポインタの移動距離ではなく、移動方向の変化のみで行うことが可能となり、各文字を移動方向の変化のみの組み合わせで表現することが可能となる。
【0017】
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第一のソフトキーボードでのキーの選択後に表示される前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動方向の変化までの間、ポインタと同じ方向に移動することを特徴とする。この構成により、利用者が入力しているポインタの移動を視覚的に確認することが容易になるため、初心者にも使いやすい文字入力方式を提供することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離とは異なる距離を移動することを特徴とする。この構成により、表示されるソフトキーボードの移動範囲を限られた範囲に留めることで、利用者の視点の移動を小さく抑えることが可能となる。また、表示されるソフトキーボードの移動範囲を大きくすることで、利用者にポインタの移動を明確に伝えることも可能となる。
【0019】
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離にかかわらず、移動しないことを特徴とする。この構成により、利用者の視点を常に固定の位置とすることができるため、使いやすい文字入力方式を提供することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第一のソフトキーボードには、前記第一のソフトキーボードおよび第二のソフトキーボードとは異なる文字を割り当てたソフトキーボードを選択可能なキーを配置することを特徴とする。この構成により、多くの文字を利用する言語に対応することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の文字入力装置は、上記の構成に加え、文字入力開始時に、前記第一のソフトキーボードは、利用者が文字入力を開始した座標とは異なる座標に配置されることを特徴とする。この構成により、ソフトキーボードを利用者の指の影になることを避けた表示が可能となるため、利用者の操作性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る文字入力装置及び文字入力プログラムによれば、ポインティングデバイスを用いた文字入力操作において、利用者が表示されるキーの位置を意識することなく任意の文字の入力を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかる「う」の文字入力操作例。
【図2】(a)〜(f)は、ディスプレイに表示されるソフトキーボードの一連の操作を説明する図。
【図3】(a)〜(d)は、ディスプレイに表示されるソフトキーボードの一連の操作を説明する図。
【図4】あ行〜な行の文字のソフトキーボードへの配置の例。
【図5】ソフトキーボードの種類とキーの配置の例(a)〜(c)。
【図6】ソフトキーボードにおける選択可能な方向と選択不可能な方向を示す図。
【図7】(a)、(b)は、日本語の文字割当表の例と各文字の軌跡一覧。
【図8】(a)、(b)は、英語の文字割当表の例と各文字の軌跡一覧。
【図9】(a)、(b)は、本実施の形態を実現するソフトウェアがメモリに保持する情報を示す図。
【図10】文字入力装置1000の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の文字入力装置は、ポインタの移動方向によりキーを選択可能な第一のソフトキーボードと、前記第一のソフトキーボードでキーを選択した後に表示される第二のソフトキーボードにより構成され、前期第二のソフトキーボードは、ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択することを特徴とする。この構成により、利用者は入力するポインタの移動方向の変化のみを意識して文字入力が可能となるため、画面の表示内容を確認することなく文字入力を行うことが可能となる。
本発明の文字入力方法は、上記の方式を実現するために、前記第一のソフトキーボードにおいて選択された方向は、前記第二のソフトキーボードでではキーが選択不可能なキー配置となることを特徴とする。この構成により、文字の選択をポインタの移動距離ではなく、移動方向の変化のみで行うことが可能となり、各文字を移動方向の変化のみの組み合わせで表現することが可能となる。
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第一のソフトキーボードでのキーの選択後に表示される前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動方向の変化までの間、ポインタと同じ方向に移動することを特徴とする。この構成により、利用者が入力しているポインタの移動を視覚的に確認することが容易になるため、初心者にも使いやすい文字入力方式を提供することが可能となる。
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離とは異なる距離を移動することを特徴とする。この構成により、表示されるソフトキーボードの移動範囲を限られた範囲に留めることで、利用者の視点の移動を小さく抑えることが可能となる。また、表示されるソフトキーボードの移動範囲を大きくすることで、利用者にポインタの移動を明確に伝えることも可能となる。
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離にかかわらず、移動しないことを特徴とする。この構成により、利用者の視点を常に固定の位置とすることができるため、使いやすい文字入力方式を提供することが可能となる。
さらに、本発明の文字入力装置は、前記第一のソフトキーボードには、前記第一のソフトキーボードおよび第二のソフトキーボードとは異なる文字を割り当てたソフトキーボードを選択可能なキーを配置することを特徴とする。この構成により、多くの文字を利用する言語に対応することが可能となる。
さらに、本発明の文字入力装置方法は、上記の構成に加え、文字入力開始時に、前記第一のソフトキーボードは、利用者が文字入力を開始した座標とは異なる座標に配置されることを特徴とする。この構成により、ソフトキーボードを利用者の指の影になることを避けた表示が可能となるため、利用者の操作性を向上させることが可能となる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態にかかる文字入力装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態において、「う」の文字を入力する時の動作を示す図である。本実施の形態では、利用者が座標情報を入力するためのタッチパネルやマウス等のポインティングデバイスと、選択された文字やソフトキーボードを表示するディスプレイを備えた装置において、図1のように行を選択するソフトキーボード101と、列を選択するソフトキーボード102を、ポインタ100を動かして操作することにより、文字を入力する。なお、ポインティングデバイスは、タッチパネルのようにディスプレイと一体に設けられても良いし、マウスやカーソルのように別に設けられても良い。
【0027】
1.文字入力操作
ここでは、本発明の実施の形態について、その文字を入力する操作方法の一例を説明する。
【0028】
図2(a)〜図2(f)および図3(a)〜図3(d)は、ディスプレイに表示されるソフトキーボードの一連の操作を説明する図である。これらの図を参照し、指201をタッチパネル202に接触させた後、「う」「み」を選択し、ディスプレイ上の文字表示部211に選択された文字が表示されるまでの様子を以下に説明する。
【0029】
なお、タッチパネル202は、ディスプレイと一体に設けられたポインティングデバイスの一例である。
【0030】
まず、図2(a)〜図2(f)を用いて、利用者が「う」を入力する操作を説明する。図2(a)において、利用者が指201をタッチパネル202上の任意の座標点212に接触すると、タッチパネル202上のある座標点を中心として、日本語の50音における「あ行」〜「わ行」までを選択可能な第一のソフトキーボード101と、第一のソフトキーボード101の中心に指の位置を相対的に示すポインタ100とをディスプレイに表示する。なお、第一のソフトキーボード101には、初期状態として「あ行」から「な行」を示すキーと、「行グループ切り替えキー」210とが選択可能な項目として設定されている。ここで、「行グループ切り替えキー」とは、「は行」から「わ行」の文字を入力する際に選択するキーである。
【0031】
次に、利用者が「う」の属する「あ行」を選択するために、指201を、図2(b)の矢印220の方向に動かすと、それに連動してポインタ100が移動し、「あ行」の領域を通過する。このときの様子を図2(b)に示す。
【0032】
ポインタ100が「あ行」の領域を通過することより、「あ行」を選択したと判定される。この判定が行われると、次に、「あ行」の文字を選択可能な第二のソフトキーボード102がディスプレイに表示される。この時の画面を図2(c)に示す。
【0033】
ここで、「あ行」の文字を選択可能な第二のソフトキーボード102は、その中心に配置された「あ」以外の文字「い」、「う」、「え」、「お」については、利用者が「あ行」を選択した後、指201の移動方向を変更しないと選択できないように第二のソフトキーボード102は動作する。
【0034】
利用者が指201を図2(b)における矢印220と同じ方向に継続して移動させたときには、第二のソフトキーボード102は指201の移動方向と同方向に同距離分だけ移動する。この時の画面を図2(d)に示す。このように移動させることで、第二のソフトキーボード102が指の下に表示され、利用者から見えなくなる状態を回避することができる。
【0035】
次に、利用者が指201を矢印221のように図2(d)の矢印220とは異なる方向に移動させると、その移動方向の変化をきっかけに、「う」の領域が選択される。その結果、「う」の文字が入力され、、文字表示部211に「う」が表示される。この時の画面を図2(e)に示す。
【0036】
なお、この状態において「あ」を選択する方法としては、第二のソフトキーボード102が表示された状態で、ポインタ100を移動させずにタッチパネルから指201を離す動作をとればよい。ただし、「あ」の選択には必ずしもこの動作に限定されるものではなく、タッチパネルをタップする等の操作を割り当ててもよい。
【0037】
文字を入力した後は、図2(f)のようにポインタ100の位置を中心として、第一のソフトキーボード101を表示する。ただし、文字入力後の動作は必ずしもこの動作に限定されるものではなく、図2(a)のステップに戻ることで、指201の位置を利用者の操作しやすい場所に再配置してもよい。
【0038】
次に図3(a)〜図3(d)を用いて、利用者が「み」を入力する操作を説明する。図2(f)の画面において、利用者が指201を矢印320の方向に移動させ、ポインタ100が、行グループ切り替え領域210に入ると、図3(a)に示すように、「は行」から「わ行」を示すキーと、「行グループ切り替えキー」210とが選択可能な項目として設定された第一のソフトキーボード301が表示される。ここで、「行グループ切り替えキー」は、「あ行」から「な行」の文字を入力する際に選択するキーである。
【0039】
次に、利用者が「み」を選択するために、指201を、図3(b)の矢印321の方向に動かすと、それに連動してポインタ100が移動し、「ま行」の領域を通過する。このポインタ100の移動により「ま行」が選択されると、「ま行」の文字を選択可能な第二のソフトキーボード302が表示される。この時の画面を図3(b)に示す。
【0040】
ここで、「ま行」の文字を選択可能な第二のソフトキーボード302において、その中心に配置された「ま」以外の文字「み」、「む」、「め」、「も」については、利用者が「ま」段を選択した後、指201の移動方向を変更しないと選択できないように第二のソフトキーボードは動作する。この制御は、図2(e)において「う」を選択した時と同じものである。
【0041】
次に、指201が矢印322のように図3(b)の矢印321とは異なる方向に移動すると、ポインタ100が移動し、「み」の領域を選択したと判定される。その結果、「み」の文字が入力され、文字表示部211に「み」が表示される。この時の画面を図3(c)に示す。
【0042】
文字を入力した後の動作としては、図3(d)のようにポインタ100の位置を中心として、第一のソフトキーボード101を表示してもよいし、図2(a)のステップに戻ってもよい。また、利用者が指201を矢印323のようにタッチパネル202の外部へと移動させることを入力終了とする。このような操作方法の割り当ては利用者にとって直感的であるため、利用者が文字入力を習熟しやすいという特徴がある。
【0043】
2.ソフトキーボードのキー配置
これまで説明したように、本実施の形態における操作方式では、利用者の指201の移動方向が変化したことをきっかけとして、行や文字が選択される。図4は、第一のソフトキーボード101から入力される「あ行」から「な行」の全文字について、どの方向に指を動かして入力するのかを示したものである。各文字は、この図の矢印をつないだ折れ線状の軌跡(すなわち、指201の軌跡)と一意に対応付けがなされることになる。
【0044】
このような対応付けを実現するために、第一のソフトキーボードで選択可能な移動方向と、第二のソフトキーボードで選択可能な移動方向が、同一方向にないように、各キーを配置する必要がある。図5(a)〜図5(c)は、そのような配置の例として、本実施の形態において用いられている第一のソフトキーボードと第二のソフトキーボードの配置を示したものである。
【0045】
図5(a)は、第一のソフトキーボードの配置であり、2〜7のキーを6方向に選択可能な配置となっている。本実施の形態においては利用していないが、中心の1を含めれば、選択可能な項目数は7となる。図5(b)は、図4の「あ行」「さ行」および「た行」に対応する第二のソフトキーボードであり、4方向に選択可能な配置となっている。中心の1を含めると5項目が選択可能)である。
【0046】
図5(c)の配置は、図4の「か行」および「な行」に対応する第二のソフトキーボードであり、図5(b)のソフトキーボードを45°傾けたものである。図5(b)の配置の第二のソフトキーボードは、図5(a)の2、4、5、7が選択されたときに用いられ、図5(c)の配置の第二のソフトキーボードは、図5(a)の3、6が選択されたときに用いられる。
【0047】
図5(a)〜図5(c)においては、ソフトキーボードの周辺のみならず、中心も選択可能な配置とした。中心の領域に配置されたキーは、例えば、入力終了の動作で選択したと判定することができる。このような配置とすることで、周辺に配置するキーの数を1つ減らし、1項目あたりの領域を広げ、中心の領域を選択可能としないソフトキーボードと比べ、利用者の入力誤りを防ぐ方式とすることができる。
【0048】
このように、第一のソフトキーボードで選択する方向と、第二のソフトキーボードで選択可能な方向とが、かならず異なるように各キーを配置することで、利用者の指の移動距離に依存せず、指の移動方向の変化のみを契機として、文字を選択する文字入力方式が実現される。
【0049】
なお、図4において「行グループ切り替えキー」を選択した場合に、本実施の形態においては、図5(a)のソフトキーボードが第一のソフトキーボードとして利用されるとしたが、この場合に図5(a)のソフトキーボードを90度回転させた第二のソフトキーボードを利用することが考えられる。このようにすることで、行グループ切替の操作においても本発明を適用し、「あ行」〜「な行」を選択するソフトキーボードで選択する方向と、「は行」〜「わ行」を選択するソフトキーボードが選択可能な方向とが、かならず異なるように各キーを配置することで、移動方向の変化をきっかけとして行を選択することが可能となる。
【0050】
なお、本実施の形態では、第一のソフトキーボードでは6方向、第二のソフトキーボードでは4方向の選択が可能な場合を例示したが、本入力方式はこの組み合わせに限ったものではない。選択可能な方向の数によらず、第一のソフトキーボードと第二のソフトキーボードで選択可能な方向が異なるようにキーを配置していれば、いくつの方向が選択可能であってもかまわない。また、ソフトキーボードは、かならずしも環状にキーを配置しなければならないわけではない。例えば、扇形や蝶形に配置してもかまわないし、各キーの領域の大きさを非対称にしてもよく、第一のソフトキーボードで選択した方向が第二のソフトキーボードで選択可能な方向と異なるものであれば、本方式は適用可能である。
【0051】
また、本実施の形態で示した例においては、第一のソフトキーボードで選択した方向と、第二のソフトキーボードで選択可能な方向が異なるようにキーを配置したが、これに加え、第一のソフトキーボードで選択した方向とは逆の方向も、第二のソフトキーボードで選択可能な方向とは異なるようにキーを配置することが考えられる。このような配置とすることで、第一のソフトキーボードで選択した方向と逆方向に指を移動させることで、第二のソフトキーボードの位置を操作しやすい場所に戻す、あるいは、第一のソフトキーボードの選択をキャンセルする、等の操作を割り当て、利用者に使いやすい操作方式を提供することが可能である。
【0052】
ソフトキーボードのキーの表示されている領域は、ポインタ100がその領域に入ると、キーを選択したと判断される領域(選択領域)と、それ以外の領域(選択不可領域)に分けられる。図6は、あ行とか行を例として、第二のソフトキーボードで選択不可領域となる方向と、第一のソフトキーボードでそれぞれの行が選択領域となる方向との関係を示したものである。第二のソフトキーボードで選択不可となる方向は、固定的な設計値(例えば10°固定)として決めても良いし、利用者が第一のソフトキーボードで選択した時に移動している方向を元に、動的に決めても良い。また、利用者が第一のソフトキーボードで選択した後、指の移動の停止や緩やかな方向の変化の情報を元に動的に決めることで、利用者の誤操作の少ない方向とすることも可能である。
【0053】
3.文字のキーへの割り当て
ここでは、本実施の形態におけるソフトキーボードへの文字の割り当て方法について説明する。
【0054】
図7(a)に、本実施の形態において用いた日本語の文字の、行割り当て一覧表(以下、割当表と呼ぶ)を示す。第一のソフトキーボードには、この表の「あ行」〜「な行」を選択するものと、「は行」〜「わ行」を選択するものがあり、「行グループ切り替えキー」にその二つを相互に切り替える役割を割り当てている。また、第一のソフトキーボードにより行が選択されると、選択した行の各文字を選択するための第二のソフトキーボードが表示される。
【0055】
図7(b)に、各文字を入力するときのポインタの軌跡の一覧を示す。利用者は、この表を記憶し、習熟することで、画面の表示を見ることなく、ソフトキーボードを操作し、文字を入力することができる。
【0056】
本実施の形態では、日本語を例として文字入力方法を説明したが、本発明は日本語の文字の入力に限定されるものではない。図7(a)と同様の表を作成することで、他の言語でも同様に適用が可能である。例として、図8(a)に英語の場合の各文字の割り当てを、図8(b)に、その場合の軌跡の一覧を示す。
【0057】
なお、図7(a)、図7(b)、図8(a)、図8(b)において示した文字の割当と軌跡は一例であり、どの文字をどの場所に割り当ててもかまわない。また、例として平仮名とアルファベットの場合を示したが、これらに限定されるものではない。たとえば、漢字を部首別に分類して割当表を構成してもよいし、ハングル文字を字母により分類して割当表を構成してもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、割当表の項目を「あ行」〜「わ行」の10個、割当グループを「あ行」〜「な行」と「は行」〜「わ行」の2個としたが、この組み合わせに限定されるものではない。例えば、割当グループの数を増やすことで、第一のソフトキーボードで選択可能なキーの数を減らし、1項目あたりに選択可能な領域を広げることで、利用者の入力誤りを防ぐことが考えられる。また、割当表の項目を増やすことで各行の選択肢を減らし、第二のソフトキーボードで選択可能なキーの数を減らすことも考えられる。このように選択可能なキーの数を減らすことで、1項目あたりに選択可能な領域を広げ、利用者の入力誤りを防ぐことが可能となる。
【0059】
4.ソフトキーボードの表示位置
本実施の形態においては、図2(c)、図2(d)、図2(f)、図3(a)、図3(b)、図3(d)の操作において、利用者の指の移動距離に応じて、表示した第二のソフトキーボード102を、指の入力方向と同方向に移動させて表示する。このように、指の動きに応じてソフトキーボードの位置を移動させることにより、直感的なフィードバックを利用者に伝えることが可能となる。
【0060】
また、図2(a)〜図2(f)および図3(a)〜図3(d)に示すように、ポインティングデバイスで指示する場所、すなわち、指のある場所と、ソフトキーボードの表示位置を、異なる場所とした。このように配置し、常に指と並行にソフトキーボードが移動することで、ソフトキーボードの表示が指の影となり、利用者の視認性を悪化させる事態を防ぐことができるため、利用者の文字入力の操作性を向上させることができる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、ソフトキーボードを指の移動と並行に移動させる方式を例として示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ソフトキーボードの移動距離を指の移動距離の半分とすることで、文字入力中の利用者の視点の移動を小さい範囲に限定し、利用者の目の負担を軽減することが可能となる。また、ソフトキーボードを常に一定の場所に表示することで、表示装置に表示される情報をわかりやすく配置し、利用者の視認性を向上させることも可能である。さらに、本発明は利用者がブラインド入力しやすい文字入力方式であることを利用し、入力中は画面の表示を消灯して消費電力を少なく抑えることも可能である。
【0062】
5.文字入力ソフトウェア
ここでは、本実施の形態を実現する文字入力ソフトウェアの構成と動作について、その一例を説明する。
【0063】
図9(a)、図9(b)に、本実施の形態を実現するソフトウェアがメモリに保持する情報を示す。図9(a)に示した文字入力制御テーブルは、ソフトキーボードにキーとして表示される文字と、そのキーが選ばれたときの動作を表の形で保持するものである。図9(b)に示したソフトキーボード情報は、現時点で表示されているソフトキーボードの座標と、文字入力制御テーブルにおけるテーブル名を保持する情報である。
【0064】
文字入力制御テーブルの「グループ1」および「グループ2」は、第一のソフトキーボードに対応する情報であり、「あ行」から「わ行」は、第二のソフトキーボードに対応する情報である。例えば、ソフトキーボード情報のテーブル名の欄の内容が「グループ1」の時には、図5(a)と同じ項目数7で回転角度0のソフトキーボードを表示し、各キーには、文字入力制御テーブルの表示文字列の欄に指定される文字列を表示する。表示されたソフトキーボードでキーが選択された時には、その時のソフトキーボード情報のテーブル名の欄の内容で文字入力制御テーブルのテーブル名を参照し、選択されたキーに対応する処理の欄に記載された動作を実行し、遷移先の欄に指定されたテーブル名でソフトキーボード情報のテーブル名を更新する。この一連の動作を繰り返すことで、本実施例の文字入力方式は実行される。
なお、図10に示すように、図1から図9(b)を参照して説明した本発明の実施の形態にかかる文字入力は、利用者が座標情報を入力するためのタッチパネルやポインタ100等のポインティングデバイス1001と、選択された文字やソフトキーボードを表示するディスプレイ1003と、文字入力制御テーブル(図9(a)参照)及びソフトキーボード情報(図9(b)参照)を保持するメモリ1005と、ディスプレイ1003に表示されるソフトキーボードの各種操作、ポインティングデバイス1001、及びディスプレイ1003に表示される文字やソフトキーボードを制御する制御部1007と、を備える文字入力装置1000により実現することができる。
【0065】
6.その他の実施の形態
なお、本実施の形態においては、ポインティングデバイスとしてタッチパネルを用いたが、これに限られるものではない。マウスやリモコンといった他のポインティングデバイスを用いて実現することも可能であり、携帯端末のみならず、TVやPCなどにも本入力方式を利用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、指の移動方向の変化を用いて文字入力を行うものであり、従来の文字入力方法と比べて、操作性の高い文字入力方法を実現するものである。本発明は、ソフトウェアや部品として実装され、タッチパネルが搭載された携帯電話、携帯端末や、タブレット型端末に搭載されることにより、操作性の高い文字入力機能を提供することが可能である。また、マウスやリモコンなど、タッチパネル以外のポインティングデバイスを入力装置として備えた、テレビやパソコンなどの家電機器に対しても適用することが可能であり、携帯型の端末と同様に操作性の高い入力操作方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 ポインタ
101 第一のソフトキーボード(あ行〜な行)
102 第二のソフトキーボード(あ行)
201 指
202 タッチパネル
210 行グループ切り替えキー
211 文字表示部
212 入力開始点
220 指201の移動を示す矢印(「あ行」の選択)
221 指201の移動を示す矢印(「う」の選択)
301 第一のソフトキーボード(は行〜わ行)
302 第二のソフトキーボード(ま行)
320 指201の移動を示す矢印(行グループ)
321 指201の移動を示す矢印(「む行」の選択)
322 指201の移動を示す矢印(「み」の選択)
1000 文字入力装置
1001 ポインティングデバイス
1003 ディスプレイ
1005 メモリ
1007 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインタの移動方向によりキーを選択可能な第一のソフトキーボードと、
前記第一のソフトキーボードでキーを選択した後に表示される第二のソフトキーボードにより構成され、
前記第二のソフトキーボードは、ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択することを特徴とする文字入力装置。
【請求項2】
前記第一のソフトキーボードにおいて選択された方向は、前記第二のソフトキーボードではキーが選択不可能なキー配置となることを特徴とする請求項1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記第一のソフトキーボードでのキーの選択後に表示される前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動方向の変化までの間、ポインタと同じ方向に移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離とは異なる距離を移動することを特徴とする請求項3に記載の文字入力装置。
【請求項5】
前記第二のソフトキーボードは、前記ポインタの移動距離にかかわらず、移動しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の文字入力装置。
【請求項6】
前記第一のソフトキーボードには、前記第一のソフトキーボードおよび第二のソフトキーボードとは異なる文字を割り当てたソフトキーボードを選択可能なキーを配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の文字入力装置。
【請求項7】
文字入力開始時に、
前記第一のソフトキーボードは、利用者が文字入力を開始した座標とは異なる座標に配置されることを特徴とする、請求項請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の文字入力装置。
【請求項8】
少なくとも2つのソフトキーボードで構成される文字入力装置の文字入力プログラムであって、
コンピュータに、
第一のソフトキーボードによりポインタの移動方向によりキーを選択する第1選択ステップと、
前記第一のソフトキーボードでキーを選択した後に第二のソフトキーボードを表示する表示ステップと、
前記第二のソフトキーボードにより前記ポインタの移動方向が変化したことを契機としてキーを選択する第2選択ステップとを、
実行させるための文字入力プログラム。
【請求項9】
前記第1選択ステップは、
前記第一のソフトキーボードにより選択された方向が前記第二のソフトキーボードではキーが選択不可能なキー配置となるステップを含む、
請求項8に記載の文字入力プログラム。
【請求項10】
前記表示ステップの後に、前記第二のソフトキーボードが、前記ポインタの移動方向の変化までの間、前記ポインタと同じ方向に移動する移動ステップを有する、
請求項8または請求項9に記載の文字入力プログラム。
【請求項11】
前記移動ステップは、
前記第二のソフトキーボードが、前記ポインタの移動距離とは異なる距離を移動するステップを含む、
請求項10に記載の文字入力プログラム。
【請求項12】
前記第二のソフトキーボードが、前記ポインタの移動距離にかかわらず、移動しない、
請求項8または請求項9に記載の文字入力プログラム。
【請求項13】
前記第1選択ステップは、
前記第一のソフトキーボードに、前記第一のソフトキーボードおよび第二のソフトキーボードとは異なる文字を割り当てたソフトキーボードを選択可能なキーを配置するステップを含む、
請求項8または請求項9に記載の文字入力プログラム。
【請求項14】
文字入力開始時に、前記第一のソフトキーボードが、利用者が文字入力を開始した座標とは異なる座標に配置されるステップを有する、
請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の文字入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25579(P2013−25579A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160034(P2011−160034)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】