説明

文書センサー

デバイスは、ライン走査素子を使用することによって多重スペクトル画像を検出する。デバイスは、照明モジュールおよび照明モジュールによって照らされる物体から散乱される光を検出するための検出モジュールを含んでもよい。デバイスはまた、複数の異なる波長で光を生成し、異なる波長の各々を持つ照明の一様なラインを作るために光源のアレイを含んでもよい。光検出は、文書コンベヤーに沿って移動する紙幣などの文書を認証し、検証するために適用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書にこれによって組み込まれる、2009年10月15日に出願された、「Document Authentication Sensor」と題する、米国仮特許出願第61/251,915号への便益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、文書の認証に関し、より詳しくは、多重スペクトル光源から生成される散乱光から文書を特徴付けることに関する。
【背景技術】
【0003】
文書を裸眼で見て分析することは、人的制約および人的エラーによって制限される。分光法は、人が見ることができない物体を見るためにかつ/または人が妥当な時間で行うことができない方法で光およびセンサーを使用する。例えば、文書の多重スペクトル画像を取得する目的のために、多波長の光が、文書に当たる。入射光の一部分は、文書を通り抜けて伝播することもあり、光の一部分は、文書またはそれの印刷インクによって吸収されることもあり、一部分は、文書から散乱されて戻るまたは反射されることもある。一般に、文書の表面から散乱される光の測定が、利用され、次に文書信ぴょう性を確認するために使用されることもある。
【0004】
多数の方法が、文書の多重スペクトル画像を取得するために利用されることもある。作業中は、いろいろな光源、フィルター、選択的検出器、および光学配置が、そのようなデータを取得するための適切な照明および撮像条件を作るために使用されることもある。しかしながら、高速文書輸送デバイス上などの、制限された空間内の高速移動物体の画像を取得することに関しては、これらの方法は、追加の課題に直面することもある。スペクトル(撮像される波長の数)的にも光学(画素分解能)的にも十分に解像された画像の取り込みは、撮像リソースの強固な配置を求める。
【0005】
このような移動条件で撮像するための1つの手法は、ライン走査(また「押しぼうき」とも呼ばれる)撮像である。ライン走査撮像は、一次元または二次元センサーを使用して移動物体の二次元(「2D」)画像を取り込む。ライン走査撮像は、センサー画素の1つまたは複数のラインを使用することによって行われることもある。作業中は、第2の次元は、1つまたは複数の検出器に関する物体の運動から生じ、その後の一次元データを一緒に「スティッチングすること」が、合成画像を作成するために行われる。従って、有限長の画像は、検出器によってラインごとに取り込まれ、コンピュータ処理を用いてアセンブルされることもある。
【0006】
高速撮像の別の手法は、大きな二次元アレイの使用およびそのアレイ上に目標を結像させることを含むこともある。これらの条件の下では、非常に明るい光源が、全域を照らすために使用され、画像は、物体の運動がぼやけを誘発するまたは他の分解能低減問題が進展するすぐ前に取り込まれる。別法として、アレイの一部分が、使用され、多重二次元画像が、一緒にスティッチングされてライン走査画像の「スティッチング」に似た単一画像を作成することもあり得る。
【0007】
物体の多重スペクトル撮像は、さらに複雑さを追加する。例えば、取得される各画像について、ライン走査撮像および二次元撮像の課題は、関心のある各光波長で画像を作成することによってさらに複雑化されることもある。ライン走査撮像については、画像を取り込むために、多重ライン照明が、作られかつ/または異なるスペクトル感度の多重センサーが、実装され、その画像は、物理的(2D)空間で一緒に「スティッチングされ」、その上波長空間に登録される。二次元撮像については、明るい照明および高速取得の利用は、物体が視界の外へ移動する前に関心のあるすべての波長についてこれらの作業を行わなければならないことによってさらに複雑化される。
【0008】
一般に、文書を照らす多数の方法がある。透過照明の場合を除き、これらの照明技術は、検出器または複数検出器で光を収集する能力に影響を及ぼす。一般に、文書に隣接する空間は、照明および検出のためのメカニズム間で共有される。この物理的空間は、限られているので、調べている文書を収集しかつ/または照らす能力も同様のこともある。
【0009】
照明の1つの技術は、「落射照明」であり、そこでは光は、文書に垂直に当たり、文書からの散乱光は、同じ経路に沿っていくらかの距離を進んで戻る。この照明手順は、ある程度は、収集される光のいくらかの部分を遮るか、または収集される全効率の全体的低減を必要とする。そのような照明に利用される技術は、部分的に銀めっきされたミラーまたは偏光ビームスプリッターを使用することによって実施されてもよい。
【0010】
別の照明技術は、共有開口数(「共有NA」)、またはグレージング照明であり、その場合照明は、ある角度で文書に入射し、それは、光学的検出メカニズムの収集角度を制限することができる。「共有NA」は、サンプル周辺の空間および光学素子を使用するプロセスのことであり、「NA」は、視野から生じ、光学システムによって収集される光の円錐である。できる限り最も効率的な光収集のために、人は、このNA光のすべてを使用することを望むこともある。収集される光がより少なく、使用される明るさがより低いほど、検出される信号は、より悪い。「NAを共有する」行為は、光を収集する能力の一部分が、よりよく照らすために犠牲にされることを意味する。落射照明と違って、同じ光学経路は、少ししかまたはまったく共有されず、それ故に「分割する」メカニズムを必要としない。これらの2つの照明技術間の選択は、物体までの距離および必要とされる光学照明または収集効率によって決定されることもある。
【0011】
文書は、構造化または非構造化方式で照らされることもある。非構造化照明の例は、ランプであり、それではそれの光は、文書に直接当たる。光源光の少しの部分だけが、関心のある文書に達し、光のかなりの部分が事実上無駄であるという結果になるので、そのような非構造化照明に関連する問題は、それの固有の低効率である。この効率の悪さは、電力使用量を増加させることもあり、熱(それは、多くの電子的または熱的散逸問題につながることもある)を増加させることもあり、相対雑音を増加させることもある(より少ない光は、より小さい信号対雑音を意味することもある)ので、望ましくない。
【0012】
しかしながら、構造化照明はしばしば、光源光を収集し、関心のある文書の方へ向けることにおいてより効率的である。結果として、関心のある文書を照らすために、より少ない熱が、生成され、より少ない電力が、使用される。多重スペクトル撮像はしばしば、互いに空間的にオフセットされ、独立に制御される多重光源を必要とする。文書での関心のある領域の均等照明を作るために、各照明源を少し向け直してこの空間的オフセットを補償することが必要なこともあり、それは一般に、単一の非構造化光源ではできない。
【0013】
発光ダイオード(「LED」)またはダイオードレーザーなどの固体光源が、使用されることもある。構造化照明は、最も効果的な空間分布を使用してこれらの光源を効果的に収集し、関心のある文書の方へ向ける。検出光学素子および検出器アレイの配置に応じて、異なる構造化照明分布スキームが、最適照明構成を提供するために使用されることもある。
【0014】
ライン走査撮像は、目標を横切る構造化照明の単一ラインを利用することもあり、その結果それはまさに、検出光学システムによって撮像すべきエリアを「過剰充填する」、すなわち照明のどんなより大きなエリアも失われ、光は非効率に使用されることになる。ライン走査照明の1つの構成は、一組の円柱光学素子のこともあり、それは、押出し方向では光を集めるためにゼロパワーを有するが、しかし直交方向ではかなりの光パワーを有することができる。円柱レンズのパワーを変更することによって、人は、直交方向での倍率を制御することができる。例えば、300ミクロン幅のLEDの100mm長さのアレイは、もし10×倍率の円柱光学構成が使用されるならば、約100mm長さおよび3mm幅のライン照明を形成することができる。この構成は、照明のラインに沿って照明をぼやけさせながら直交方向で光源の制御された拡大をもたらす。このぼやけは、もしLEDが光のより一様な分布を得るために直線状アレイに置かれるならば、有利なこともある。レーザーなどの平行光源とともに使用されるときは、市販の一次元ディフューザーを含む、光のラインを形成するための他のメカニズムがある。
【0015】
検出器のアレイに戻る照明のラインを撮像する光学構成は、円柱レンズとは対照的に球面レンズを使用する従来の撮像手法を利用することもある。円柱レンズは、サンプルの照明を形成するために使用され、撮像態様には使用されないこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
デバイスは、ライン走査素子を使用することによって多重スペクトル画像を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
デバイスは、照明モジュールおよび照明モジュールによって照らされる物体から散乱される光を検出するための検出モジュールを含んでもよい。デバイスはまた、複数の異なる波長で光を生成し、異なる波長の各々を持つ照明の一様なラインを作るために光源のアレイを含んでもよい。光検出は、文書コンベヤーに沿って移動する紙幣などの文書を認証し、検証するために適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の例となる実施形態による、例となるセンサーシステムを例示する図である。
【図2】本発明の例となる実施形態による、例となる検出画像を例示する図である。
【図3】本発明の例となる実施形態による、例となるブロック図を例示する図である。
【図4】本発明の例となる実施形態による、例となる画像の組を例示する図である。
【図5】本発明の例となる実施形態による、調べられた文書に基づく例となる画素および波長図を例示する図である。
【図6】本発明の例となる実施形態による、検出画像を作成するために使用される例となる光集中および関連する計算を例示する図である。
【図7】本発明の例となる実施形態による、照明器モジュールの例となる構成を例示する図である。
【図8】本発明の例となる実施形態による、照明器モジュールを通り抜けて進む光の例となる経路を例示する図である。
【図9】本発明の例となる実施形態による、例となるLEDアレイ構成を例示する図である。
【図10】本発明の例となる実施形態による、例となるLEDアレイ構成を例示する図である。
【図11】本発明の例となる実施形態による、例となる検出器構成を例示する図である。
【図12】本発明の例となる実施形態による、例となる検出器レイアウトを例示する図である。
【図13】本発明の例となる実施形態による、例となる光学バレルを例示する図である。
【図14】本発明の例となる実施形態による、例となる光線追跡を例示する図である。
【図15】本発明の例となる実施形態による、例となる流れ図を例示する図である。
【図16】本発明の例となる実施形態による、例となる画像データ編成構成を例示する図である。
【図17】本発明の例となる実施形態による、例となるセンサー構成を例示する図である。
【図18】本発明の例となる実施形態による、例となる光波長図を例示する図である。
【図19】本発明のさまざまな実施形態で開示される作業を行うように構成される例となるコンピュータ実体を例示する図である。
【図20】本発明の例となる実施形態による、例となる方法の流れ図を例示する図である。
【図21】本発明の例となる実施形態による、文書の画像を作成するために使用される多重照明バンドの例を示す図である。
【図22】本発明の例となる実施形態による、変調符号の例となる表を例示する図である。
【図23】本発明の例となる実施形態による、例となるフォトダイオード信号を例示する図である。
【図24】本発明の例となる実施形態による、例となるフォトダイオード信号を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書の図で一般的に述べられ、例示されるような、本発明の部品は、多種多様な異なる構成で配置され、設計されてもよいことは容易に理解されよう。それ故に、図で表されるような、本発明の実施形態の記述は、特許請求されるような本発明の範囲を限定することを意図しておらず、単に本発明の選択された実施形態を代表するだけである。
【0020】
この明細書全体にわたって述べられる本発明の特徴、構造、または特性は、任意の適切な方法で1つまたは複数の実施形態で組み合わされてもよい。例えば、語句「例となる実施形態」、「いくつかの実施形態」、または他の同様の言葉の使用は、この明細書全体にわたって、実施形態に関連して述べられる特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれてもよいという事実のことである。それ故に、語句「例となる実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」、または他の同様の言葉の出現は、この明細書全体にわたって、必ずしもすべて同じグループの実施形態のことではなく、述べられる特徴、構造、または特性は、任意の適切な方法で1つまたは複数の実施形態で組み合わされてもよい。
【0021】
本発明の実施形態は、紙幣および為替手形を含むが限定されない文書の特徴、特性、および属性を検出する文書認証センサーを提供する。本記述の残りは、紙幣および関連する例に関連する応用を実証する。しかしながら、そのような画像取り込み構成は、身分証明書、セキュリティーラベル、包装、または多重スペクトル撮像を使って認証できる任意の表面を含むが限定されない任意の文書に適用可能であってもよい。さらに、本発明の実施形態は、文書に限定すべきでなく、そのような実施形態に従って撮像できる任意の目標または物体に適用可能であってもよい。画像取り込みセンサーは、紙幣に存在するスペクトル的に一意的な特徴の存在および/もしくは信ぴょう性、紙幣の単位名称、ならびに/または多重紙幣の存在を決定するためにある作業を行ってもよい。
【0022】
本発明の例となる実施形態によると、ライン走査撮像は、認証の目的などのために特徴付けるべき物体(例えば、文書)に対して空間的に掃引される照明ラインを作成するために使用されてもよく、結果として生じる散乱光および/または反射光は次いで、直線状検出器によって感知されまたは取り込まれる。光学素子と物体との間の相対運動に起因して、多重連続ライン画像が、積み重なって取り込み画像を形成する。この構成は、移動コンベヤーによってまたはその上で輸送されるなどの、紙幣または製造品目などの、高速移動品目の画像または多重スペクトル画像スタックを形成する能力を提供する。術語「画像」および「複数画像(images)」は、1つまたは複数の光源による目標物体の照明から生じた、目標物体によって散乱され、反射され、かつ/またはフィルターにかけられる光エネルギーの検出の結果として収集されるデータに言及するために本明細書で使用される。本発明の実施形態を述べる目的のために、本明細書で参照される1つまたは複数の図は、そのような「画像」または「複数画像」を例示することもあるけれども、そのような「複数画像」が、目に見えるかまたは表示デバイスに表示されることは必要でない。本明細書では、術語「散乱される」および「反射される」は、目標物体が1つまたは複数の光源によって照らされると目標物体から出て来る、検出器によって受け取られる光を記述するために交換可能に使用されてもよい。本明細書で開示されるように、「画像」は、調べている物体での所定サイズ(面積)の所定位置を基本的に識別する「画素」で構成されてもよい。
【0023】
多重スペクトル画像スタックは、異なる照明条件の下で収集される、関心のある目標物体の画像の集まりによって特徴付けられる。これらの異なる照明条件は、異なる波長の光源からの照明および/または異なる波長の光の収集の結果として散乱光によって生成される各画像によって特徴付けられてもよい。
【0024】
単一検出器アレイの限られたスペクトル帯域幅を克服するための手法は、異なるスペクトル感度の異なる検出器を同じアレイで織り交ぜることである。しかしながら、この手法は、アレイ方向での全体の空間的分解能を低下させることもある。それはまた、異なる種類の検出器が互いに空間的に分離するとき、ある程度の補間も必要とする。
【0025】
別の技術は、異なる種類の検出器の多重直線状アレイを含んでもよい。この技術では、照明の2つの(またはより多くの)平行ラインが、LEDの2つの(またはより多くの)直線状アレイによってサンプルに形成される。LEDの直線状アレイは各々、一組の円柱光学素子を使用してもよい。同様に、この構成は、単一組の円柱光学素子だけを使用することによって簡略化されてもよく、それは、照明光学システムのコスト低減、位置合わせの困難さの低減、および/または照明の2つのラインが平行であり、正しい距離だけ分離されることを確実にするという結果をもたらす。
【0026】
代替技術は、シリコンなどの同じ種類の検出器を備える多重直線状アレイを含んでもよく、この場合各直線状アレイは、例えば赤色、緑色、および青色フィルターを使ってフィルターをかけられている。これは、カラー画像再構成を、またはもし4つ以上のアレイが使用されるならば多重スペクトル再構成を可能にする。多重アレイの使用は、より多くの画像取得が同じ時間で行われることを可能にすることもあり、それ故に優れたスペクトル分解能のためにより多くの波長の使用を可能にする。
【0027】
本発明の例となる実施形態は、高速多重スペクトルライン走査撮像を可能にするための光学部品配置および信号処理の組合せを開示する。例は、円柱光学素子照明に従って異なる波長を有するLEDの直線状アレイによって構造化照明を形成する最適化実施を含んでもよい。
【0028】
例となる実施形態は、LEDの直線状アレイを含む照明構成を提供してもよく、この場合少なくとも複数のLEDの各々は、異なる波長の光を生成する。照明構成のさらなる詳細は、独立に制御される(例えば、変調される)、または多重LEDのさまざまな組もしくはグループで制御される少なくとも複数のLEDの各々を含んでもよい。例えば、同じLED波長のある倍数は、事前定義の距離だけ離れてアレイに沿って一様に間隔をあけられてもよい。本明細書でさらに詳細に述べるように、照明は、照明条件と検出器出力との間の相関を可能にする、センサー内で作られる時間基準に従って変調されてもよい。
【0029】
本明細書でさらに詳細に述べるように、センサー構成の検出側では、検出器素子の配置は、複数組の波長の同時撮像が限られた量の時間および空間内でより大きな組の波長を収集することを可能にするように形成されてもよい。構造化照明および検出アレイは、適切な複数組の検出素子で複数組の波長を撮像する光学システムを通じて結合されてもよい。多重スペクトル画像は、時間基準に基づいて適切なデータを一緒に「スティッチングする」ことによって、または空間的におよびスペクトル的に解像された多重スペクトル画像スタックを作成するために取得プロセスで使用される別の技術によって検出器データから作成されてもよい。
【0030】
本発明の例となる実施形態によると、LEDの2つの直線状アレイは、目標文書に照明の2つのラインを形成し、それは、検出器の2つの直線状アレイに戻って撮像される。照明の1つのラインは、検出器の第1のアレイによって感知される第1の組の波長を含有し、照明のもう一方のラインは、検出器の第2のアレイによって感知される第2の組の波長を含有する。本明細書でさらに詳細に述べるように、異なるLEDの時分割多重化法(「TDM」)、または直接シーケンススペクトル拡散変調法(「DSSSM」)などの他の照明技術の使用によって、多重検出器スペクトル範囲に及ぶ画像の多重スペクトルアレイが、形成されてもよい。追加の照明のラインおよび検出器のアレイがまた、スペクトル範囲をさらに広げるために使用されてもよい。
【0031】
画像取得の上述の手法は、異なる補間検出器の単一アレイが生じさせることになる横方向空間分解能を低減しないこともある。しかしながら、検出器のこれらのアレイは、横方向に間隔をあけられるので、それは、周知の相対運動を利用する。完全な画像を再構成するために、相対運動の速度およびアレイ間の分離距離は、いったん各部分が検出されると、異なる直線状アレイを同一直線上であるようにデジタル的に「シフトする」ために使用されてもよい。従って、高い光学的およびスペクトル的分解能の多重スペクトル画像は、非常に小さなフォームファクターで得られる。
【0032】
図1を参照すると、センサーシステムの実施形態は、3つのサブシステム、例えば、上部センサー筐体(「USH」)101、下部センサー筐体(「LSH」)102、および外部プロセッサモジュール(「EPM」)103を含む。外部プロセッサモジュール103は、遠隔位置に存在してもよく、またはEPM103は、USH101およびLSH102と同一場所に配置されてもよい。
【0033】
認証作業ならびに紙幣単位名称の決定、表面仕上げ、向き、その他などの他の撮像に基づく測定は、センサーシステムの後方散乱撮像モードによって行われてもよい。この後方散乱モードの作業では、光は、照明器モジュール104から送られ、紙幣100の表面にぶつかり(当たり)、反射光は、筐体(USH101およびLSH102のどちらかまたは両方)中に戻り、光学素子105を通って、筐体の検出器モジュール106へと散乱される。
【0034】
光を紙幣100の方へ送る上述の手順は、上部センサー筐体101および下部センサー筐体102で例示されるように、紙幣100の両面で行われてもよい。上部センサー筐体101および下部センサー筐体102によって得られた結果は、処理のためにEPM103に転送される。図1では、上部センサー筐体101内で光波が進む経路は、破線によって全体的に示され、下部センサー筐体102内で光波が進む経路は、点線によって全体的に示される。
【0035】
センサーシステムの空間検出器分解能は、検出器モジュール106での検出素子(センサー)の数および間隔によって、または光学素子105の固有の光学的分解能によって制限されることもあり、いずれかが、より貧弱である。例えば、検出器センサー間の中心から中心が2ミクロンの検出器間隔は、もし光学システムが100ミクロンのぼやけたスポットを有するならば、不必要なこともある。
【0036】
工学的光学設計が、所望の検出器間隔が実施されることを容認すると仮定すれば、センサーシステムの速度などの、他の考慮すべき事項がある。例えば、既存の在庫のある検出器/センサーは、非常に小さなピッチ(例えば、およそ1ミクロン)内に配置される多重検出器/センサーの利点を有するが、しかし多くの検出器/センサーの各々からの電気信号をデジタルデータの流れに変換する単一のまたは少数の読み出し素子を有するだけである。この読み出し変換は、検出器モジュール106の全体の処理速度を制限する最大データ転送速度を有することもある。
【0037】
別法として、特別注文の検出器アレイは、多くのデジタル化素子を有してもよく、1素子につき1つのデジタイザーに至るまで可能にする。これは、アレイのスループットを著しく増加させるが、しかしながら、これらの検出器素子は、はるかにより大きい(例えば、およそ100〜1000ミクロン)こともある。これは、空間分解能を著しく制限することもある。第3の代替案は、完全に特別注文による検出器アレイであり、それは、多くの微小検出器素子(例えば、10ミクロンの分解能を持つ)および多くのデジタル化素子を有してもよく、それは、処理速度および撮像分解能の両方の向上を可能にする。
【0038】
各センサー筐体101、102によって収集される後方散乱画像は、事前定義の分解能(例えば、1mm)を持つ紙幣100の表面の二次元画像の多重スペクトルスタックであってもよい。しかしながら、より低いおよびより高い分解能も、本発明の範囲内である。図2は、本発明の例となる実施形態による、1mm画素分解能でサンプリングされた紙幣100の例を示す。検出画像のスペクトル分解能は、さまざまな要因に応じて変化することもある。照明器モジュール104で使用される照明素子は、非常に狭い光周波数光源(例えば、レーザーおよびLEDなどの中程度のスペクトル幅光源)、または広い光周波数光源(例えば、ランプ)から選択されてもよい。
【0039】
スペクトル分解能はまた、検出器モジュール106に含まれるある検出器の使用を通じて制御されてもよい。検出器は、目標光波長に基づいて選択されてもよい。そのような検出器の一例は、フィルター付きフォトダイオードであってもよい。あるフィルターは、任意の組の波長が検出器に送られることを可能にするために使用されてもよい。このスペクトル分解能は、調べるべき波長の範囲にわって変化してもよい。
【0040】
目標とする波長の例は、図18で例示され、それは、例えば紙幣のインクの色を正確に決定するために、可視領域で使用されてもよい第1の組の比較的狭い波長「A」を示す。より広い周波数の第2の組の波長「B」は、赤外(「IR」)領域で使用されてIR透明性の欠如または存在を決定してもよい。
【0041】
図3を参照すると、図1について上で述べたように、上部および下部筐体101および102は各々、1つまたは複数のLEDアレイおよび付随するLED変調器を含んでもよい照明器モジュール104、1つまたは複数の撮像アレイおよび付随するフォトダイオード/アンプを含んでもよい検出器モジュール106、光学素子105、ならびにデータをEPM103に供給する復調器およびデータ送信器(図示されず)を含む。EPM103は、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)301、1つまたは複数のデジタルシグナルプロセッサ303、および通信プロセッサ304を含む。変調符号は、FPGA301の内部で生成される。各組のLEDの強度は、デジタル/アナログ変換器(「DAC」)(図示されず)を手段として個別に調整できる。
【0042】
FPGA301はまた、検出器モジュール106に含有されるフォトダイオードチャンネルのために増幅器(図示されず)およびアナログ/デジタル変換器(「ADC」)302が付随してもよい。FPGA301は、信号対雑音比を最大にするためにフォトダイオード信号のオーバーサンプリング、フィルタリング、および復調を提供する。FPGA301は、結果として生じるデジタル値を受け取り、それをDSPアクセスに適したフォーマットでDSP303に与える。DSP303は、本明細書で論じられるなどの、埋め込みアルゴリズムを使用してデータを処理し、合否基準に基づいて決定をしてもよく、紙幣100を認証してもよい。通信プロセッサ304は、DSP303から結果を集め、このデータを出力のためのメッセージに書式を整えてもよい。
【0043】
本発明の実施形態では、紙幣100が、紙幣輸送システム(それは、当技術分野では周知であり、図1および3での「ベルト」および「進行方向」を参照)に沿って進むとき、照明器モジュール104は、照明器モジュール104に含まれるLEDの1つまたは複数のアレイを使って紙幣100の一面または両面を照らしてもよい。散乱光は、検出器モジュール106の撮像アレイのフォトダイオードによって取り込まれてもよい。LED波長の変調は、センサーデバイスが取り込み画像を個々の波長成分に分離することを可能にするように実施されてもよい。これは、結果的に「多重画像」の多重スペクトルスタックをもたらし、それは、デジタルフィルタリングおよび最適統計的検出、推定、ならびに分類(もしくは「パターン認識」)法などの統計的方法、または識別された多次元反射画像が本物の紙幣について変化の許容範囲内に入るかどうかを決定し、それによって紙幣100の信ぴょう性を検証するための主成分分析(「PCA」)などの別の分析技術を使用して分析されてもよい。多重スペクトル画像スタックの統計的分析はまた、紙幣のIR透明インクおよび画像要素の空間的に分離した領域に基づいて紙幣の単位名称を決定するために使用されてもよい。多波長で撮像された、図2の例となる紙幣についてのそのような多重スペクトル画像スタックの例は、図4で示される。多重画像1・・・nの各々は、特定波長の光で紙幣100によって散乱された光から取り込まれた画像を表す。
【0044】
図1を再度参照すると、照明器モジュール104は、広いスペクトル範囲にわたって連続照明を提供する複数の異なるLEDを含むLEDアレイを含んでもよい。関心のある1つの可能なスペクトル範囲は、300nmから1700nmのLED波長を含むことによって紫外線から近赤外線に及ぶことによって調べられてもよい。LEDは、各々が異なる波長を有する、2つ、3つ、またはより多くの異なるLEDを含むことによって光波長が変化してもよい。本発明の例となる実施形態は、そのようなスペクトル範囲に限定されず、任意の数の波長および適切なスペクトル応答の検出器を使って実施されてもよい。多重スペクトル画像スタック(図4を参照)の各層からの各画素は、紙幣100の表面から散乱されるまたは紙幣100を通り抜けて送られる、単一照明素子からの光の強度を表す。多重スペクトルスタックの各層から同じ空間位置からの強度を収集することによって、スペクトル情報が、図5で描写するように得られる。
【0045】
図7はさらに、本発明の例となる実施形態による、照明器モジュール104の部品を例示する。照明器モジュール104は、光学素子105でミラーおよび光学レンズを使用して光を紙幣100に投影するように位置決めされるLEDのバンクを含む。LEDは、複数の異なる波長を投影してもよい。LEDの第1のバンクは、より短い波長スペクトルを投影し、第2のバンクは、より長い波長スペクトルを投影してもよい。LEDは、DSSSMもしくはTDM技術、または本明細書で述べられる他の技術のいずれかを使用して変調されてもよく、多波長の同時測定を可能にする。
【0046】
照明器モジュール104は、照明器基板802、信号コネクタ803、および光学素子105を使用して光を投影するように位置決めされるLED801のアレイを含み、その光学素子は、照明器モジュール104に関して、ミラー703ならびに2つの光学レンズ701および702を含む。ホルダー704および開口703はまた、照明器モジュール104の一部であってもよい。裸のLED801が電力を供給されると、光は、レンズ701および/または702を通り抜ける。光は次いで、角度の付いたミラー703によって紙幣100に向け直され、そこで光は、紙幣100の表面にぶつかり、筐体101および/または102中に戻り、検出器モジュール106に付属する光学素子105を通って、検出器モジュール106ヘと散乱される(図1もまた参照)。
【0047】
照明器モジュール104からの光を制御する光学素子105の一部分の拡大図は、図8で例示される。光(図では多重ビームとして表される)が、レンズ702および701を通り抜けると、光は、ミラーウェッジ703にぶつかり、前方へ投影されて紙幣100に当たる。この構成は、光の比較的一様なラインのためにLED照明の「混合」を可能にする。レンズ701および702は、LEDからの放出光の大部分を収集し、集中させ、ミラー703からのその光を投影して放出光のアレイを目標上に結像する。円柱光学素子は、光が収集され、一方向に集中される(例えば、レンズ701から外へ出ていく光線追跡を参照)という意味では「1D」光学素子であるが、しかしLED光が広がり、直交方向に伝播することを許容する。
【0048】
図9を参照すると、照明モジュール104の例は、裸のLEDダイ801の数「n」の2つの列を含む基板を含み、列Aは、LED1・・・nを含み、列Bは、LEDn+1・・・mを含む。列Aおよび列Bは、2つの異なるスペクトル領域からのLED波長を含む。LEDアレイ801は、12の異なる波長のアレイ、すなわち1つの検出器アレイに結像される列Aでの7つの混合物、および第2の検出器アレイに結像される列Bでの5つの混合物を含んでもよい。異なるLEDは、それらが生成する光の波長によって識別される。照明器モジュール基板802Aおよび802Bの分離バージョンは、それぞれ下部センサー筐体(LSH)101および上部センサー筐体(USH)102に利用される。2つのバージョン間の1つの差は、1つが事実上もう一方のミラーイメージであるということもある。例えば、LEDアレイ801Aの列Aおよび列Bならびに信号コネクタ803の偶数ピンおよび奇数ピン信号は、LEDアレイ801Bに関して交換されてもよい(LED1は、照明器モジュール基板802Aの上部から始まり、LED1は、照明器モジュール基板802Bの底部から始まることに留意されたい)。
【0049】
図10は、本発明の例となる実施形態による、それぞれ基板802Aおよび802B上のLEDアレイ801Aおよび801Bの同様の図を例示する。図10を参照すると、各列Aおよび列B内のLEDは、調べている紙幣の幅にわたって一様で、広帯域の照明を提供するために、交互配置されたパターンで均等に分配されてもよい。各文字は、異なる波長を表す。この例は、列Aでは、7波長が繰り返され、一方列Bでは、5波長が繰り返される構成を示す。しかしながら、人は、必要に応じてどちらの列でも多数のまたは少数の波長を利用することもあり得る。この例では、列Aに7波長および列Bに5波長があるが、しかし両方に同じ総数のLEDがあるので、列Bでの波長は、列Aでのそれらよりも1波長につきより多くの占有数を有する。もし明るく照らすべき特定の紙幣特徴または特定の組の波長があるならば、より少ない波長(単一波長程に少ない)を持つ列が、その特定の色の強度を増加させるために利用されてもよい。同様に、すべての波長が均等に分配されなかった列が、利用されてもよく、それで列Aのような列だが、しかしA=Dであり、従ってその波長は、他の波長の二倍である。それ故に、「A」が他の6波長と同じ量の二倍(「2×」)占有される状態で総数7波長があることになる。
【0050】
図1を再度参照すると、筐体101および102の各々はさらに、本発明の例となる実施形態に従って、フォトダイオード検出器モジュール106とともに光学素子105内にマルチレンズ光学システム(本明細書でさらに述べられるような)を含んでもよい。光学システムは、紙幣100からの散乱光を検出器モジュール106内に配置されるフォトダイオードのアレイに集中させる。フォトダイオードは、散乱光を電気信号に変換し、それは次いで、ある紙幣特徴の位置を決定するなどのために、EPM103による画像処理に使用される。紙幣100を調べるために使用されている2つの分離した光のバンドがあってもよい。短波長は、フォトダイオードの1つの列に集中されてもよく、長波長は、フォトダイオードの第2の列に集中されてもよい。紙幣100の各画素(関心のある位置)から受け取る光は、単一フォトダイオードに集中される。
【0051】
図11は、本発明の例となる実施形態による、検出器モジュール106のフォトダイオード配置を例示する。図11を参照すると、検出器モジュール106の例は、基板1102に取り付けられたフォトダイオードアレイ1101を含んでもよく、それは、複数のフォトダイオードセンサーPD1、PD2、・・・PD(n−1)、PD(n)(第1のスペクトル列)およびPD(n+1)、PD(n+2)、・・・PD(m−1)、PD(m)(第2のスペクトル列)を含む。センサーに加えて、関連するトランスインピーダンス増幅器(図示されず)もまた、センサーに結合されて検出光信号を電圧信号に変換してもよい。フォトダイオードアレイ1101は、フォトダイオードの2つの「スペクトル」列に配置されてもよい。第1のスペクトル列は、より短い波長光を検出するためのシリコン(Si)フォトダイオードで占められてもよく、第2のスペクトル列は、より長い波長光を検出するためのインジウムガリウムヒ素(InGaAs)フォトダイオードで占められてもよい。しかしながら、フォトダイオードの他の変形形態および同様のセンサーが、センサー検出構成で使用される光を取り込むために使用されてもよい。加えて、第3の列、または付加的な列が、受け取られるなお他の波長の光を検出するためにさらに追加されてもよい。
【0052】
図1を再度参照すると、各センサー筐体101および102は、検出器モジュール106の分離バージョンを利用してもよい。下部センサー筐体102は、図11のフォトダイオード位置PD1〜PD(n)に取り付けられるInGaAsフォトダイオードを含んでもよい。同様に、Siフォトダイオードは、図11のフォトダイオード位置PD(n+1)〜PD(m)に取り付けられてもよい。上部センサー筐体101は、下部センサー筐体102とは順序を逆にしてもよく、Siフォトダイオードは、位置PD1〜PD(n)に取り付けられ、InGaAsフォトダイオードは、位置PD(n+1)〜PD(m)に取り付けられる。しかしながら、図11で示されない同様の変形形態もまた、フォトダイオードを配置するために使用されてもよい。
【0053】
図12は、本発明の例となる実施形態による、フォトダイオードアレイ1101の各スペクトル列のための間隔をあける構成を例示する。図12を参照すると、各フォトダイオードダイ1201は、物理的ダイサイズ1201よりも小さい「活性エリア」1202を有する。検出器モジュール106で使用されるフォトダイオードは、約0.5mm幅の活性エリアを有してもよい。活性エリアの外側に入る光は、電気信号に変換されないこともあり、それでもしフォトダイオードダイ1201が、単一列内で互いに隣接して置かれるならば、隣接ダイ1201の活性エリア間に入る紙幣100の部分は、撮像されないことになる。この影響を軽減するために、スペクトル列内のフォトダイオード1201は、図12で例示するようにジグザグに配列されて(オフセットされて)もよい。紙幣進行に垂直なラインに沿ったフォトダイオード活性エリア間の隙間1203は、フォトダイオード1201のオフセットレイアウトによって効果的に除去できる。
【0054】
図13は、本発明の例となる実施形態による、光学素子105の例を示す。光学素子105は、検出器モジュール106のレンズアセンブリ1301に加えて、照明器モジュール104、レンズ701、702、およびミラー703を含む。例となる光線は、どのように光の経路がシステム内を進むかを描写するために例示される。光学素子105は、レンズアセンブリ1301を光学撮像デバイス内に配置し、性能向上のためにそのアセンブリの焦点を合わす能力を提供する精密外部表面を備える検出器レンズアセンブリ1301の取り付けのための機械加工アルミニウム筐体(図示されず)を備える光学バレルを含んでもよい。
【0055】
検出器レンズアセンブリ1301は、高度の光収集効率で目標100(紙幣)を検出器アレイ1101に結像するリレーレンズ光学システムを含んでもよい。レンズアセンブリ1301は、波長領域での最大透過率のための反射防止コーティングを備える5つの個別レンズおよび3つの複レンズアセンブリのアレイを含有してもよい。レンズの組は、広い範囲の波長にわたって再結像を行うように選択されてもよい。光学倍率は、紙幣のための分解能要件および検出器素子のサイズに基づいて選択されてもよい。紙幣上の1mmの特徴サイズを解像するためおよび0.5mm×0.5mmの検出器素子のために、0.5×光学倍率が、利用される。一例として、もしレンズアセンブリが、0.5×の光学パワーを提供するならば、そのとき紙幣平面上の各1mm×1mmエリアは、検出器アレイ1101上の0.5mm×0.5mmエリアに結像される(0.5×は、紙幣上の1mm×1mmエリアが検出器平面上に0.5mm×0.5mmエリアとして現れることを意味する)。
【0056】
図14は、本発明の例となる実施形態による、光線追跡(光線追跡は、システムを通り抜ける波または粒子の経路を計算するための方法である)の光学システム絵図を例示する。図14を参照すると、紙幣100に接触し、フォトダイオード検出器アレイ1101の方へ後方散乱する光の5つの例となる経路の詳細が、例示される。紙幣100の関心のあるすべての点が、図14の光線追跡で例示されていないことに留意されたい。バレルケーシングは、この図面では示されない。
【0057】
図15および16は、検出器モジュール106によって収集された生の紙幣画像(多重スペクトルデータ)へのデータ処理を例示する。図15は、FPGA301およびDSP303によって行われるステップを例示し、一方図16は、どのように生画像データがFPGA301によって編成されるかの絵画図を提供する。画素分解能および照明波長の数についての先の例を参照して、2つの検出器は、各画素について光の強度を測定し、2048の測定値を生成し、それは、1画素につき4096の測定値をもたらす。
【0058】
画素データの4096値は、作業1501において受け取られ、FPGA301に供給される。作業1502において、FPGA301は、画素データを取得し、フィルタリングおよび復調のための数理解析を使用して、多波長スペクトルが、推定される、すなわち光強度が、個々の照明波長の各々について推定される。FPGA301は、作業1503において多重スペクトル画素(すなわち、12波長)のカラムにグループ化された多重スペクトルカラムデータを内部デュアルポートRAMに保存する。割り込みは、作業1504において各カラムが完了するとDSP303に送られる。カラムデータは、作業1505においてDSP303に受け取られ、データは、作業1506において再編成され、変換される。データは、作業1507において多重単色カラムにグループ化され、DSP303は、作業1508において本明細書で論じられるあるアルゴリズムを走らせてデータを処理してもよい。
【0059】
光測定に関して、文書測定の第1の部分は、直接シーケンススペクトル拡散変調法(「DSSSM」)または時分割多重化法(「TDM」)などのデジタル信号処理技術を用いる初期表面測定であってもよい。いったん初期表面測定の生信号が、このようにして処理されると、画像分析アルゴリズムは、統計的分析を用いて、識別された多次元反射画像のいずれかが本物の紙幣について変化の許容範囲内に入るかどうかを決定してもよい。
【0060】
初期表面測定の信号処理は、LED照明器の制御(例えば、変調)および取り込まれた散乱光の対応する分析に関連する。この初期表面測定アルゴリズムは、センサーデバイス機器の光学的フロントエンドにある照明器モジュール104および検出器モジュール106に頼る。アレイ上の各フォトダイオードからのこれらの測定の連続は、多重スペクトル画像がそれから構築できるデータを作成する。このアルゴリズムは、LEDの各波長について画素ごとに基づいて基本的光測定結果を作成する。図4は、「n」波長について生成されたさまざまな異なる波長に基づく画像を例示する。
【0061】
初期表面測定アルゴリズムは、フィルターなしの各フォトダイオードからの多波長測定を可能にするためおよび生の信号対雑音比(「SNR」)で高利得を提供するためなどの、ある性能目標を有する。本アルゴリズムは、前述の技術の1つを使用することによってフィルターなしのフォトダイオードでの多波長の同時測定を可能にする。しかしながら、多数の検出器の制限は、それらの限られた波長範囲の感度である。
【0062】
本発明の実施形態については、センサーは、約190nmから2600nmの範囲の波長の検出のために動作してもよい。この帯域にわたって十分な量子効率を持つ単一フォトダイオードは、利用できないので、2種類のフォトダイオードが、使用されてもよい。例えば、シリコン(Si)検出器は、約190nmから110nmの感度範囲を有するが、この範囲は、異なるドーピングまたはコーティングの方策を使用して少し変えることができる。同様に、約800nmから2600nmのスペクトル感度を有するインジウムガリウムヒ素(InGaAs)検出器が、使用されてもよいが、このスペクトル範囲もまた、さまざまな方策を使用して少し変えることができる。述べられる実施形態については、シリコン(Si)フォトダイオードは、より短い波長に使用されてもよく、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)フォトダイオードは、より長い波長に使用されてもよい。検出器レンズアセンブリ1301は、紙幣100の幅にわたって1mm正方形画素からの散乱光を検出器モジュール上のフォトダイオードのアレイに集中させるために使用されてもよい。
【0063】
照明器LEDアレイ801は、広帯域光のバンドを紙幣100を横切って投影し、散乱光は、フォトダイオード1101のアレイによって電気信号に変換され、それは、認証特徴を検出するなどのために処理される。フォトダイオードは、広帯域検出器であり、広帯域照明に存在する波長の各々の寄与を決定する能力はない。
【0064】
照明器LEDアレイ801A、801Bはそれで、168個のLEDの2つの列を含んでもよい(図9および10を参照)。1つの列(例えば、列A)は、Siフォトダイオードアレイのための照明源として動作するために、7種類のLEDを含んでもよい。もう一方の列(例えば、列B)は、InGaAsフォトダイオードアレイのための照明源として動作するために、5種類のLEDを含んでもよい。各列での異なる種類のLEDは、交互配置されて一様分布広帯域光源を提供する(図10を参照)。
【0065】
波長弁別を可能にするために、センサーは、時分割多重化法(「TDM」)を実施してもよい。TDM処理は、基本的に「紙幣を凍結する」ために、最初の照明変調に使用される同じ時間基準に基づいて検出器で画像を同時に取得しながら異なるLED波長の高速逐次照明を実施してもよく、この場合文書(例えば、銀行券、または紙幣)は、後続波長照明の間に遠くへ進まない。これらの取得は、露光間のかなりの空間的変位を除去するのに十分な速度で行われてもよい。そのような一連の取得は、各離散波長で同じ空間特徴を表す画像の多重スペクトルスタックを構築することができる。
【0066】
図21は、紙幣画像上に重ね合わされた照明バンドおよびフォトダイオードアレイ1101によって撮像されてもよい画素を例示する。フォトダイオード1201は、図12に関して先に述べたように、フォトダイオード物理的パッケージ取り付け制約のために「ジグザグ状の」列に配置される。紙幣がセンサーの表面を横切って進むと、フォトダイオードは、所与の特徴(画素)を時間シフト方式で撮像する。
【0067】
カラムDのSiフォトダイオードは、時間=「N」に特徴を撮像する。
【0068】
カラムCのSiフォトダイオードは、時間=「N+200マイクロ秒」(例えば、2mmの紙幣進行時間に対応する)に特徴を撮像する。
【0069】
カラムBのInGaAsフォトダイオードは、時間=「N+500マイクロ秒」(例えば、5mmの紙幣進行時間に対応する)に特徴を撮像する。
【0070】
カラムAのInGaAsフォトダイオードは、時間=「N+700マイクロ秒」(例えば、7mmの紙幣進行時間に対応する)に特徴を撮像する。
【0071】
FPGA301は、先に述べたように、デジタル化されたフォトダイオード電圧を収集し、それらを時間的に整列させて画素データのコヒーレントなカラムを信号処理のためにDSP303に与える。
【0072】
図22を参照すると、各LED波長は、一連の64文字で構成される直交デジタル符号を割り当てられてもよく、ただし各文字は、「0」または「1」である。符号での各文字は、「チップ」として周知の、時間間隔を表す。所与の波長は、もしそのチップ時間についての波長の符号文字が「1」であるならば、そのチップ時間の間オンにされる。全64ビット符号は、各1mmの紙幣進行について繰り返されてもよく、それは、1.56マイクロ秒に相当するチップをもたらす(すなわち、64チップは、紙幣が1mm進むのにかかる100マイクロ秒の間生じる)。
【0073】
一意的な符号は、上部センサー筐体(USH)101および下部センサー筐体(LSH)102での12照明波長(しかし他の数の波長が実施されてもよい)の各々に使用されてもよい。一意的な符号は、照明波長に割り当てられた符号の例を提供する、図22で示される表で詳述されるように、後方散乱モードおよび透過モードの波長の弁別を可能にするように上部および下部センサー筐体での同様の波長に割り当てられてもよい。例えば、上部センサー筐体(USH)101について940nm波長に割り当てられた符号(チャンネル20)は、下部センサー筐体(LSH)102での940nm波長に割り当てられた符号(チャンネル14)と異なる。
【0074】
図23を参照すると、符号が1つのチップからもう1つに変わると、いくつかの数のLED波長は、オンにされ、他のものは、オフにされる。フォトダイオードでの光信号は、オンおよびオフにされる波長の数ならびに紙幣表面の吸収特性に応じて、チップ境界で増加しまたは減少することもある。図23は、6チップ間隔を経過する4つの例となる波長λ・・・λおよび結果として得られるフォトダイオード電気信号を描写し、その信号は、転送されてEPM103によって処理される。
【0075】
図24を参照すると、各フォトダイオード信号は、アナログ/デジタル変換器(「ADC」)によって1チップ間隔につき32回サンプリングされてもよい。撮像画素についての強度値は、最適推定フィルターを使用して32サンプルから計算される。各フォトダイオード出力を1チップ間隔につき32回サンプリングすることおよび1画素につき64チップを使用することは、信号対雑音比の約27dB増加をもたらす。
【0076】
波長弁別での使用のためのDSSSMに関して、各波長は、一意的な符号を割り当てられてそれらのそれぞれの符号に従ってLEDのすべて(すべての波長)を同時に変調し、結果として生じる複合信号を復調して各個別LED波長に起因する信号の部分を回復する。(TDMについては、各波長は、異なる連続タイムスロットを割り当てられ、その結果各波長は、1つずつオンにされる。)所与の波長がオンにされることから生じる信号は、その波長にだけ起因する。使用される変調技術にかかわらず、全順序は、紙幣進行(例えば、1mmまたは100マイクロ秒)に相当するだけ各画素について繰り返される。DSSSMについては、符号は、一連の32または64個の「1」および「0」(オン/オフ間隔)であってもよい。これらの間隔の32または64個すべては、画素時間内に生じる。(TDMについては、タイムスロットのすべては、画素時間内に生じる。)
【0077】
DSSSMは歴史的には、傍受される通信の低い可能性のために米軍によって使用されてきたが、しかしこの出願では、それは、スペクトルデータを多重化するために使用される。照明器モジュール104のLEDアレイ、光学素子105、および撮像アレイ検出器モジュール106のフォトダイオードを示す、図6を参照すると、各LEDの活性化は、相互に直交するDSSSM変調関数を使用して変調される。これは、すべてのLEDが試験中の表面と同時に相互作用し、それ故に各個別LED波長からの信号が他のものから電気的に分離されることをなお可能にしながら、フォトダイオードの各々によって同時に受け取られる光信号を生成することを可能にする。事実上、これは、その波長の光が各受光検出器に落ちる、フィルターまたは回折素子を必要としない分光測定である(これはまた、この目的のためにTDMを利用する本発明の実施形態についてもそうである)。作業中は、各光源(例えば、LED)は、対応する符号、符号1、符号2、符号3、・・・符号nを持つ異なる波長λ、λ、λ、・・・λを生成する。「符号」は、オン/オフLED電流変調関数であり、それは、二進数列、すなわち「0」および「1」の数列として表されてもよい。符号は、それらが同じ長さ(n)、同じ合計(n/2)を有し、互いに直交する、すなわち任意のi、jについて、符号(i)×符号(j)=n/4であるように設計される。符号の直交性のために、複合光信号は、各個別LED波長に起因する複合信号の部分を得るために同じ符号を使用して復調される。
【0078】
先に述べた変調技術を使用することによって、波長分離は、電子的に行われ、従って送信される全体の組のうちどの波長が試験中の情報を運ぶのかを機器の物理的試験によって決定することはできない。この測定技術の別の恩恵は、蛍光灯または他の閃光灯などの、固定周波数干渉信号に非常に鈍感なことである。信号は、周波数が広がり、それの周波数範囲の狭い部分だけにわたって固定周波数干渉信号と交差するので、システムは、固定周波数雑音源に比較的鈍感である。さらに、そのようなアルゴリズムは、比較的広い帯域幅システムを使用し、1画素につき多数の測定サイクルを採用することによって処理後のSNRで高利得を提供する。
【0079】
図3を再度参照すると、DSP303は、多重スペクトル画素データを再編成し、変換して、上から下へ、左から右への順番で単色の変換されたカラムを作成する。送信された強度は、対数を取ることによって変換される。DSP303は、カラムを2D画像バッファーに付け加え、フィルタリングおよび正規化をして、その後の処理のために8ビットのフィルターをかけられ、正規化された画像を作成する。
【0080】
本発明の例となる実施形態は、さまざまな認識および認証プロセスのために1つまたは複数のDSP303内で実施されるアルゴリズムを利用してもよい。文書画像は、文書の期待される特徴を検出し、認証するために取得され、分析され、探索されてもよい。位置、強度、および反射スペクトルなどの、検出された特徴と期待される特徴との間の一致の質は、各端部から破り取られたまたは各端部で折り畳まれた材料を有する紙幣を含む、汚れ、しわ、並進運動、または回転に関するずれ、その他などのさまざまな劣化効果を補償しながら決定されてもよい。紙幣のすべてまたは一部分の各画素位置において、光強度は、紙幣の特定の部分の2つ以上の画像を提供するために複数の波長で測定されてもよい。
【0081】
検出アルゴリズムは、データを処理して、目に見える紙幣画像による単位名称、シリーズ、表面仕上げ、および/もしくは向きなどのある特徴、もし存在するならIR透明領域による単位名称、もし存在するなら一意的なスペクトル特性を持つ特徴の認証、ならびに/または多数紙幣事象(1、2、3、またはより多くの重なった紙幣)を決定してもよい。先に記載した要件の検証は、紙幣シリーズ、フラッター、裂け目、ゆがみ、および変位にかかわらず行われる。
【0082】
紙幣の大きなエリアにわたって取得される測定結果は、組み合わされ、平均化されてもよい。これは、色あせたインクおよび色の変化によって引き起こされるエラーを低減し、信号対雑音比を改善する。信号対雑音比の改善は、より良好な質の測定ならびにより良好な予測可能性および再現性を可能にする。変位、ゆがみ、および倍率は、各画像の変位およびゆがみを測定することによってならびにその後の処理よりも前にそれらの画像を変換し、操作することによって補償されてもよい。フラッター(一般に紙幣の進行方向と平行でない方向での紙幣の変位)は、見かけの紙幣短縮を引き起こすこともあり、紙幣倍率およびスケーリングによって補償されてもよい。アルゴリズムは、対応する画像での画素の範囲を使用することによってフラッターを許容するように設計されてもよい。統計的には、特徴を測定するために使用されるモデルは、事前定義のテンプレートと実際の紙幣との間の偏差のレベルを補償してもよい。アルゴリズムはまた、紙幣表面の制限されない視界かまたは紙幣表面のセンサー筐体の視界を部分的に遮ることもあるマシン輸送ベルトもしくは他の輸送装置によって引き起こされる制限された視界を認識し、受容することもできる。
【0083】
生画素データは、解釈され、FPGA301からDSP303に供給されてもよく、そこでスペクトル処理(すなわち、強度対波長の処理)が、行われる。複数のDSP303間でのアルゴリズムの分割が、行われてもよく、(例えば、空間情報が、処理され(例えば、どのインクがどこに位置するか)、スペクトル情報が、処理される(例えば、インクのスペクトルが期待されるものと一致するか))、または複数のDSP303間での分割は、紙幣によって行われてもよいことに留意されたい。例えば、新しい各紙幣は、次の使用されていないDSP303に割り当てられてもよい。さらに、処理は、本明細書の実施形態で述べるように、単一のDSP303によって行われてもよい。
【0084】
この多重スペクトルデータは、単一カラムにあってもよく、一組の単色カラムに再編成され、変換されてもよく、そのカラムの各々は、個別波長または波長の任意の組合せから導かれる。再編成され、変換された画像データは次いで、空間処理(すなわち、強度対x、y空間位置の処理)で使用される。画像データのカラムが到着すると、DSP303は、それらを長方形画像に連結させ、所定の数のカラムが受け取られたとき、次いでその後の処理を始める。空間アルゴリズムは、単位名称、表面仕上げ、および向きを決定し、スペクトル特徴に基づいて認証し、重なった多重紙幣を感知するために用いられる。例えば、DSP303は、データを処理し、それを本物のおよび/または偽物の紙幣の先に入力されたテンプレートと対照して比較してもよく、そのテンプレートは、システムを使って走査されてそれによってそれらのそれぞれの特性を入力していてもよく、その特性は次いで、調べるべき実際の紙幣の流れと比較される。この分析が完了したとき、結果は、符号が外部報告のために生成されるところ304にエクスポートされる。
【0085】
正規化は、紙および暗いインクの期待される強度に基づく周知のモデルを使用して(すなわち、それの反射率を監視することによって)行われてもよい。正規化は、色あせたインク、汚れた紙、LEDおよび/または検出器の間の動作上の差、および関連する増幅器、その他を補償するために行われてもよい。正規化は、期待される画像特性のための基準値としてメモリに保存された周知のデータに基づく比較作業を必要とすることもある。例えば、モデル紙幣データは、さまざまな単位名称ならびにデータ処理および比較目的のために事前定義され、データベースに保存される紙幣の他の特性を含んでもよい。抽出された生データは、処理され、事前定義の紙幣データと比較されてもよい。
【0086】
生画像データは、強度分布および空間的整合を測定するために分析され、次いで変換され、その後の処理のために正規化するように拡大縮小される。より具体的には、多重スペクトル画像正規化では、各波長での画像は、黒および白のレベルを適応的に均等化することによって正規化されてもよい。各波長についての黒および白のレベルは、強度ヒストグラム推定の反復法によって適応的に推定されてもよい。オフセットおよび利得は、各波長での測定された黒および白のレベルに基づいて計算される。画像は、計算されたオフセットおよび利得を使用して正規化される。単位名称検証、特徴認識、向き、表面仕上げのあるもしくはない、および/または厚さなどの、ある特性は、DSP303によって行われるアルゴリズムによって決定されてもよい。
【0087】
先に述べたように、紙幣は、運搬用の輸送システムによってセンサーデバイスを通って輸送される。輸送システムの変動性は、運動の可変速度に起因する登録変更などの測定変動性を画像取得に導入する可能性がある。この変動性は、適切な画像再構成を確実にするためにセンサーの時間基準で輸送速度を測定し、利用することによって補償できる。
【0088】
輸送はまた、各紙幣の一面の視界を遮る可能性があるベルトまたはケーブルを使用することもある。検出器の中央の特徴的応答は、推定され、繰り返し更新される。ベルトによって妨害される検出器は、中央の特徴的応答からの著しい偏差によって識別される。妨害される検出器に対応する画素は、さらなるアルゴリズムでの考察から推定される。別法として、妨害される画素は、隣接する目に見える画素の補間で置き換えられてもよく、この場合そのようなデータは、その後の認証決定をするための有用な基準を提供する。
【0089】
各紙幣の単位名称、シリーズ、表面仕上げ、および向きは、紙幣の各面での多重画像特徴の位置を突き止め、分類することによって識別されてもよい。紙幣は、古典的な統計的パターン検出および分類法、すなわち基本的に多次元空間でのパターン認識プロセスによって本物として受け入れられまたは偽物として拒絶されてもよい。最初に、多重物理的特徴が、全体的なサイズ、形状、および位置によって突き止められ、分類される。次に、各特長の周辺内の画素が、期待される特徴形状との空間的相間、ならびに期待されるインクの色および濃度とのスペクトル的相間に基づいて、その特徴の一部であるそれらの確率によって重み付けされる。次いで、各物理的特徴の累加平均スペクトルが、空間的およびスペクトル的に重み付けされた画素の測定強度を組み合わせることによって推定される。次いで、スペクトルベクトルが、そのスペクトルの非線形関数である追加の距離関数を付加することによって拡張されてもよい。そのような関数は、クラス間および最も似たクラス対間の分離を最大にするための最適パラメーターを決定することによって大きなパラメーターファミリーから選択されてもよい。次に、測定された平均スペクトルは、最大事後確率分類器によって、すなわち本物および偽物の多重スペクトルクラスの各々についての確率密度、事前期待クラス確率、および最少確率制約に基づく条件付き拒絶を組み合わせることによって分類される。紙幣でのIR透明領域単位名称特徴は、もし存在するなら検出されてもよく、目に見える画像特徴から決定されるような単位名称と関連付けられてもよい。
【0090】
図17は、本発明の例となる実施形態による、多重積層紙幣1700を同時に検出するセンサーデバイスを例示する。図17を参照すると、センサーデバイスは、累積光学透過損失を測定することによって多重積層紙幣1700を検出し、計数してもよい。単一または多重紙幣を通り抜ける光は、多重積層紙幣1700の存在を識別するために使用されてもよい。上部筐体モジュール101からの散乱光は、各紙幣を通り抜け、下部筐体102光学素子によって取り込まれ、逆もまた同様であり、それによってセキュリティースレッドおよび透かしなどの、微小な紙密度の変化によって影響されることなく多重紙幣事象を識別する。破線は、上部センサー筐体101から下部センサー筐体102へ進む光を表し、点線は、下部センサー筐体102から上部センサー筐体101へ進む光を表すことに留意されたい。
【0091】
例えば、積層紙幣検出は、認証光学システムの「透過モード撮像」を使用して達成されてもよい。このモードの作業では、上部センサー筐体101照明器LEDアレイ104からの光の約10%は、紙幣を通り抜け、紙幣の下面から散乱される。同様に、下部センサー筐体102からの光の10%は、紙幣を通り抜け、紙幣の上面から散乱される。上部および下部筐体フォトダイオード撮像アレイ106および関連する電子機器は、紙幣を通り抜けて透過する光の量を測定し、紙幣が、単一紙幣、2つの積層紙幣、または3つ以上の積層紙幣の減衰特性を有するかを決定する。各センサーによって収集される透過画像はまた、紙幣の二次元画像の多重スペクトルスタックとすることもできる。
【0092】
スタックの各画素層は、単一波長の光が紙幣を通り抜けた後に残っているそれの強度を表す。別法として、LEDアレイのすべての波長は、より高い強度だが低減したスペクトル分解能の透過信号を生成するように任意の組合せでまたは同時にオンにされてもよい。信号の増加のためにスペクトル分解能を犠牲にすることは、白または黒エリアにわたる紙幣厚さ決定で見られるなどの、限られたスペクトル的関心および低透過率の特性の測定で非常に有利なこともあり得る。
【0093】
本明細書で開示される実施形態に関連して述べられる方法またはアルゴリズムの作業は、直接ハードウェアで、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラムで、またはその2つの組合せで具体化されてもよい。コンピュータプログラムは、記憶媒体などのコンピュータ可読媒体上で具体化されてもよい。例えば、コンピュータプログラムは、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(「ROM」)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(「EPROM」)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能なディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(「CD−ROM」)、または当技術分野で周知の任意の他の形の記憶媒体に存在してもよい。
【0094】
例となる記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合されてもよい。別の方法では、記憶媒体は、プロセッサと一体であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)に存在してもよい。別の方法では、プロセッサおよび記憶媒体は、個別部品として存在してもよい。例えば、図19は、例となるネットワーク素子1900を例示し、それは、先の図面の上述の部品のいずれかを表してもよい。メモリ1910およびプロセッサ1920は、アプリケーションまたは一組の作業を実行するために使用される、ネットワーク実体1900の個別部品であってもよい。アプリケーションは、プロセッサ1920によって理解されるコンピュータ言語でソフトウェアに符号化されてもよく、メモリ1910などのコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。コンピュータ可読媒体は、メモリに保存されるソフトウェアに加えて有形ハードウェア部品を含む非一時的コンピュータ可読媒体であってもよい。さらに、ソフトウェアモジュール1930は、ネットワーク実体1900の一部である別の個別実体であってもよく、それは、プロセッサ1920によって実行されてもよいソフトウェア命令を含有する。ネットワーク実体1900の上述の部品に加えて、ネットワーク実体1900はまた、通信信号(図示されず)を送信し、受信するように構成される送信機および受信機の対を有してもよい。
【0095】
複数のライン走査素子の多重スペクトル画像を作成する例となる方法が、開示される。本方法は、作業2001において、複数の異なる波長で光を生成するように構成される光源のアレイを含む、少なくとも1つの照明モジュールを用いて光を生成するステップを含んでもよい。本方法はまた、作業2002において、少なくとも1つの照明モジュールによって生成された異なる波長の各々を持つ照明の一様なラインを作るステップ、および作業2003において、少なくとも1つの検出モジュールを用いて少なくとも1つの照明モジュールによって生成された光を検出するステップを含んでもよい。
【0096】
本発明の実施形態が、述べられたが、述べられた実施形態は、単に説明に役立つだけであり、本発明の範囲は、等価物およびそれへの変更(例えば、プロトコル、ハードウェアデバイス、ソフトウェアプラットフォーム、その他)の全範囲とともに考えるとき、もっぱら添付の特許請求の範囲によって定義されるべきであると理解すべきである。
【符号の説明】
【0097】
100 紙幣
101 上部センサー筐体(「USH」)
102 下部センサー筐体(「LSH」)
103 外部プロセッサモジュール(「EPM」)
104 照明器モジュール
105 光学素子
106 検出器モジュール
301 フィールドプログラマブルアレイ(「FPGA」)
302 アナログ/デジタル変換器(「ADC」)
303 デジタルシグナルプロセッサ(「DSP」)
304 通信プロセッサ
701 光学レンズ
702 光学レンズ
703 ミラー、開口
704 ホルダー
801 LEDのアレイ
801A LEDアレイ
801B LEDアレイ
802 照明器基板
802A 照明器モジュール基板
802B 照明器モジュール基板
803 信号コネクタ
1101 フォトダイオードアレイ
1102 基板
1201 フォトダイオードダイ
1202 活性エリア
1203 隙間
1301 レンズアセンブリ
1501 4096値の画素データを受け取り、FPGA301に供給する作業
1502 フィルタリングおよび復調のために数理解析を使用して、多波長スペクトルを推定する作業
1503 多重スペクトル画素のカラムにグループ化された多重スペクトルカラムデータを保存する作業
1504 各カラムが完了すると割り込みをDSP303に送る作業
1505 カラムデータをDSP303で受け取る作業
1506 データを再編成し、変換する作業
1507 データを多重単色カラムにグループ化する作業
1508 DSP303がアルゴリズムを走らせてデータを処理する作業
1700 多重積層紙幣
1900 ネットワーク素子、ネットワーク実体
1910 メモリ
1920 プロセッサ
1930 ソフトウェアモジュール
2001 少なくとも1つの照明モジュールを用いて光を生成する作業
2002 少なくとも1つの照明モジュールによって生成された異なる波長の各々を持つ照明の一様なラインを作る作業
2003 少なくとも1つの検出モジュールを用いて少なくとも1つの照明モジュールによって生成された光を検出する作業

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の特性を感知するための方法であって、
複数の発光源からの複数の波長の光を使って前記物体を照らすステップと、
前記複数の発光源の各々に一意的に割り当てられる変調符号を使って前記複数の発光源の各々の出力を変調するステップと、
前記物体から散乱される光を検出するステップと、
前記変調符号を使用して前記検出散乱光を復調して前記物体の多重スペクトル画像を作成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物体の前記多重スペクトル画像は、前記物体の複数の画像を含み、前記複数の画像の各々は、前記複数の発光源の1つによって生成された検出散乱光を表すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照らすステップは、前記物体のライン走査照明として行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ライン走査照明は、前記物体が前記複数の発光源を通過するように行われることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の発光源は、2つ以上のラインに構成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
発光源の前記2つ以上のラインの第1のものは、光波長の第1の帯域で光を放出し、発光源の前記2つ以上のラインの第2のものは、光波長の第2の帯域で光を放出し、前記第1および第2の帯域は、互いに異なることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体から散乱される前記光の前記検出するステップは、2つ以上の直線状アレイに配置された複数のフォトダイオードによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記直線状アレイの第1のものは、シリコンフォトダイオードを含み、前記直線状アレイの第2のものは、InGaAsフォトダイオードを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物体の前記多重スペクトル画像の関数として前記物体を認証するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記物体の各画素は、前記複数の発光源のうちの2つ以上を使って同時に照らされる、請求項1に記載の方法。

【図13】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2013−509036(P2013−509036A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534385(P2012−534385)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052805
【国際公開番号】WO2011/047235
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(502422100)オーセンティックス インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】