説明

文書管理装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】 文書に設定されたアクセス権限に応じて適切に文書管理を行う、複数の文書を管理する文書管理技術を提供する。
【解決手段】 文書情報を記憶する文書情報記憶手段を備え、ユーザからの指示に応じて該文書情報に対して処理を行う文書管理装置は、複数の前記文書情報からなる文書集合の連動動作に関する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、前記文書集合に含まれる第1の文書情報に対する操作を受け付ける操作受付手段と、前記文書集合に含まれる前記文書情報のうち前記第1の文書情報を除いた、第2の文書情報に対する処理内容を、前記操作と前記設定情報とに基づいて決定する決定手段と、決定された前記処理内容に基づいて、前記第2の文書情報に対する処理を制御する処理制御手段と、を備え、前記設定情報には、前記文書情報のアクセス権限の変更操作に関する連動動作の有無を示す情報が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、文書管理を行う構成において、フォルダを用いて文書の集合を定義することが一般的に行われている。フォルダは、フォルダ名というラベルを文書集合に付与するという機能と共に、フォルダの移動に応じて当該フォルダに含まれる文書も合わせて移動させるといった、文書操作をまとめて行う機能も有している。また、文書の集合に関する操作に関して、データ間の関連を保持し、一方のデータが削除されたときに関連しているデータを削除する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−121578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、フォルダは、ラベルを文書集合に付与する機能と、文書操作をまとめて行う機能を有しているが、一方の機能のみが必要な場合においても両方の機能を同時に利用しなければならない。具体的には、異なるラベル付けを行いたいが同じ操作をしたい、同じラベル付けを行いたいが異なる操作をしたいということがフォルダでは実現できない。一般に問題になるのは前者である。例えば、文書を分類した結果、異なるフォルダに格納されている文書を、一緒に削除したいという状況が発生しうるが、これをフォルダでは解決できない。即ち、ユーザは、各フォルダに個別にアクセスし、対応する文書を1つずつ指定して、削除しなければならなかった。
【0004】
また、データ間の関連が保持された従来の構成においては、扱うデータの単位がファイル単位となっており、文書単位でアクセス権限を管理することができなかった。例えば、関連付けられた二つのファイルにそれぞれ異なるアクセス権限の設定がなされている場合、設定されているアクセス権限に応じて適切に文書管理を行うことができなかった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、文書に設定されたアクセス権限に応じて適切に文書管理を行う、複数の文書を管理する文書管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による文書管理装置は以下の構成を備える。即ち、
文書情報を記憶する文書情報記憶手段を備え、ユーザからの指示に応じて該文書情報に対して処理を行う文書管理装置であって、
複数の前記文書情報からなる文書集合の連動動作に関する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記文書集合に含まれる第1の文書情報に対する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記文書集合に含まれる前記文書情報のうち前記第1の文書情報を除いた、第2の文書情報に対する処理内容を、前記操作と前記設定情報とに基づいて決定する決定手段と、
決定された前記処理内容に基づいて、前記第2の文書情報に対する処理を制御する処理制御手段と、
を備え、
前記設定情報には、前記文書情報のアクセス権限の変更操作に関する連動動作の有無を示す情報が含まれる。
【0007】
また、本発明による文書管理装置の制御方法は以下の構成を備える。即ち、
文書情報を記憶する文書情報記憶手段を備え、ユーザからの指示に応じて該文書情報に対して処理を行う文書管理装置の制御方法であって、
複数の前記文書情報からなる文書集合に含まれる第1の文書情報に対する操作を受け付ける操作受付工程と、
前記文書集合に含まれる前記文書情報のうち前記第1の文書情報を除いた、第2の文書情報に対する処理内容を、前記操作と、設定情報記憶手段に記憶された文書集合の連動動作に関する設定情報と、に基づいて決定する決定工程と、
決定された前記処理内容に基づいて、前記第2の文書情報に対する処理を制御する処理制御工程と、
を備え、
前記設定情報には、前記文書情報のアクセス権限の変更操作に関する連動動作の有無を示す情報が含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、文書に設定されたアクセス権限に応じて適切に文書管理を行う、複数の文書を管理する文書管理技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施形態1>
(ハードウェア構成)
本実施形態に係る文書管理装置を実装するコンピュータ装置のハードウェア構成について、図1を参照して説明する。図1は、コンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、このコンピュータ装置は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)、複合機、携帯情報端末(PDA)等で実現される。
【0011】
図1において、101はコンピュータ装置100全体を制御するCentral Processing Unit(CPU)である。102は変更を必要としないプログラムやパラメータを格納するRead Only Memory(ROM)である。103は外部装置などから供給されるプログラムやデータを一時記憶するRandom Access Memory(RAM)である。
【0012】
104は外部記憶装置である。外部記憶装置104は、文書情報記憶手段、設定情報記憶手段、及び、特定情報記憶手段として機能する。ただし、文書情報記憶手段は、文書情報(文書データ)を記憶する記憶手段である。設定情報記憶手段は、文書集合の連動動作に関する設定情報を記憶する記憶手段である。特定情報記憶手段は、文書集合を構成する文書情報を特定する特定情報を記憶する記憶手段である。外部記憶装置104には、コンピュータ装置100に固定して設置されたハードディスクやメモリカード、或いはコンピュータ装置100から着脱可能なFDや、CD等の光ディスク、磁気や光カード、ICカード、メモリカード等が含まれる。ただし、FDはフレキシブルディスクの略称、CDはCompact Discの略称である。
【0013】
105はユーザの操作を受け、データを入力するポインティングデバイスやキーボード109などの入力デバイスとのインターフェイスである。106はコンピュータ装置100の保持するデータや供給されたデータを表示するためのモニタ110とのインターフェイスである。107はインターネットなどのネットワーク回線に接続するためのネットワークインタフェイスである。108は101〜107の各ユニットを通信可能に接続するシステムバスである。
【0014】
尚、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0015】
本実施形態では、本実施形態に係るプログラムを動作させる度に、既にプログラムがインストールされている外部記憶装置104からRAM103にロードして実行される場合を想定するが、これに限られない。例えば、本実施形態に係るプログラムをROM102に記録しておき、これをメモリマップの一部をなすように構成し、直接CPU101で実行することも可能である。
【0016】
また、本実施形態では、説明の便宜のため、本実施形態に係る文書管理装置を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、文書管理装置上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
【0017】
(文書管理装置の構成要件)
次に、文書管理装置の構成要件について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る文書管理装置の構成要件を示す図である。
【0018】
文書集合定義部1301は、文書集合を定義(設定)する機能要素である。ユーザによる指示入力、又は、文書編集装置若しくは文書管理装置等の外部装置からの信号の入力等に応じて、文書集合定義部1301は、文書集合を定義する。
【0019】
連動動作設定部1302は、文書集合定義部1301において定義された文書集合に対して、連動動作を設定する機能要素である。連動動作設定部1302も、ユーザによる指示入力、又は、文書編集装置若しくは文書管理装置等の外部装置からの信号の入力等に応じて、文書集合に対する連動動作の設定を行う。
【0020】
文書操作部1303は、文書の作成、削除、移動、アクセス権の変更といった操作の指示を受け付ける機能要素である。文書操作部1303は、ユーザによる指示入力、又は、文書編集装置若しくは文書管理装置等の外部装置からの信号の入力等に応じて、文書に対する操作を受け付ける。
【0021】
連動動作実施部1304は、ある文書集合に属する文書に対して操作が指示された場合に、その文書集合に含まれる全ての文書について連動動作を行うように制御する機能要素である。ユーザによる文書操作が行われたとき、文書管理装置は文書集合定義部1301を用いて対象文書が文書集合に属しているか調べ、属している場合、連動動作実施部1304は文書集合の文書の連動動作を実現する。
【0022】
(文書管理画面)
次に、モニタ110を通じて文書管理装置がユーザに提示する文書管理画面について、図3を参照して説明する。図3は文書管理画面を例示する図である。
【0023】
文書管理メインウインドウ200は、フォルダによるツリー構造を表示するフォルダツリー表示領域201と、フォルダに内包される文書及びフォルダを表示するフォルダ要素表示領域202から構成される。フォルダツリー表示領域201で選択されたフォルダの要素が、フォルダ要素表示領域202に表示される。各領域には文書及びフォルダのアイコン(図形)と、その名前を表示する。また、フォルダツリー表示領域201のフォルダアイコン間を結ぶ直線は、フォルダの親子関係を示している。
【0024】
図3では、「プレゼンテーション」フォルダのフォルダ要素である「プロジェクトB」フォルダがフォルダツリー表示領域201で選択されており、そのフォルダ要素である文書「概要.ppt」がフォルダ要素表示領域202に表示されている。文書集合に属する文書のアイコンには、それを示すマークが表示される。ユーザはこの文書管理画面で操作することで、文書の管理を行う。文書の管理とは具体的には、文書の作成や削除、文書を分類するためのフォルダの作成や削除、文書の登録フォルダの移動などである。また、文書を操作できるユーザを管理するための、アクセス権の変更という操作も含まれる。ユーザによる操作はポインティングデバイス、キーボード109によって行われる。以下では、ポインティングデバイスの一種であるマウスによる操作を一例として想定する。同等の操作は他のポインティングデバイスやキーボードでも提供される。
【0025】
(文書集合の設定)
次に、文書集合の設定について、図4を参照して説明する。図4は、文書集合を設定する際の文書管理画面を例示する図である。
【0026】
文書集合設定ウインドウ300は、文書管理メインウインドウの操作メニューから文書集合の設定を指示することで表示される。文書集合設定ウインドウでは、三つの機能が提供される。一つ目は、文書集合に名前を定義する機能である。図4の例では、入力領域301において文書集合の名前の入力を受け付ける。二つ目は、文書集合に属する文書を登録、登録抹消する機能である。図4の例では、文書設定領域において、文書集合に属する文書の登録、登録抹消に関する指示を受け付ける。三つ目は、連動動作を設定する機能である。
【0027】
連動動作は、文書集合に属する任意の文書に操作が行われたとき、その操作を文書集合中の他の文書に連動させるものである。連動動作は三つの設定項目を持つ。「アクセス権を一緒にする」という設定(303)が有効の場合、文書集合中の文書は全て同じアクセス権となり、文書集合中のいずれかの文書のアクセス権が変更されると、集合中の他の文書もそれに追随する。また、「一緒に削除する」という設定(304)が有効の場合、文書集合中のいずれかの文書が削除されると、集合中の他の文書もそれに追随して削除する。また、「一緒に移動する」という設定(305)が有効の場合、文書集合中のいずれかの文書が異なるフォルダに移動されると、集合中の他の文書を、操作された文書とフォルダツリー中での相対位置を保ちながら移動する。なお、「一緒に削除する」設定(304)と「一緒に移動する」設定(305)は、「アクセス権を一緒にする」設定(303)が有効なときのみ有効とできる。
【0028】
図4の例では、オフィスで仕事に用いる文書を管理していて、同じプロジェクトで用いる以下の文書が文書集合として設定されている。
・「プレゼンテーション\プロジェクトB\概要.ppt」。
・「仕様書\プロジェクトB\外部説明書.doc」。
・「仕様書\プロジェクトB\概要説明書.doc」。
また、その文書集合に「アクセス権を一緒にする」連動動作を設定した例となっている。
【0029】
(アクセス権の変更)
次に、文書のアクセス権を変更する際の文書管理装置が行う処理について説明する。図5、図6は、図4で設定した文書集合中の一文書である「プレゼンテーション\プロジェクトB\概要.ppt」に対してアクセス権変更操作を行う際、表示する画面を例示する図である。
【0030】
図5は、ユーザにより、マウスを用いてフォルダ要素表示領域202に表示されている文書「プレゼンテーション\プロジェクトB\概要.ppt」が選択され、操作用メニュー400を表示させている様子を例示する図である。
【0031】
図6は操作用メニュー400から「アクセス権の変更」操作が選択されたときに表示する画面を例示する図である。新たにアクセス権の変更ウインドウ500を表示している。このウインドウではアクセス権の設定変更を受け付けると共に、その変更に応じて連動動作によりアクセス権が変更される文書のリスト501を表示する。このリストは、操作する文書が文書集合に属していて、かつその文書集合に「アクセス権を一緒にする」、「一緒に削除する」、「一緒に移動する」のいずれかの連動動作設定がされているときに表示するものであり、文書集合に属する文書のリストである。なお、上記のウィンドウの表示制御は、例えば、文書管理装置にインストールされているオペレーティングシステムのアプリケーション・インタフェースを用いて実装することができる。
【0032】
アクセス権の変更に係る文書管理装置の処理について、図7を参照して詳細に説明する。図7はアクセス権変更の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0033】
アクセス権変更処理は、ユーザから指示されることにより開始する(ステップS601)。この指示は操作用メニュー400から「アクセス権の変更」操作が選択されることを意味する。
【0034】
「アクセス権の変更」操作が選択されると、文書管理装置は、指定された文書が文書集合に属しているかを調べる(ステップS602)。指定された文書が文書集合に属している場合(ステップS602でYES)はステップS603に進み、文書集合に属していない場合(ステップS602でNO)はステップS607へ進む。
【0035】
ステップS603では、その文書集合に「アクセス権を一緒にする」、「一緒に削除する」、「一緒に移動する」のいずれかの連動動作設定がなされているかを調べる。連動動作設定がなされている場合(ステップS603でYES)にはステップS604へ進み、連動動作設定がなされていない場合(ステップS603でNO)にはステップS607へ進む。
【0036】
ステップS604以降の処理では、連動動作によって同文書集合中の文書もアクセス権を変更する。このため、ステップS604では、それをユーザに知らせるために文書のリストをモニタ110に表示(提示)する。これは、画面でいうと連動動作によりアクセス権が変更される文書のリスト501に相当する。ただし、文書が文書集合に属していない、もしくは属している文書集合に連動動作設定がなされていない場合は、このリストは提示しない。
【0037】
ステップS604においてリストを提示した場合、その後ユーザから具体的なアクセス権の変更内容が指示される(ステップS605)のに応じて、指定の文書及び文書集合に属する文書のアクセス権を変更する(ステップS606)。そして、処理を終了する。
【0038】
一方、リスト提示をしていない場合には、ユーザから具体的なアクセス権の変更内容が指示される(ステップS607)のに応じて、指定の文書のアクセス権を変更する(ステップS608)。そして、処理を終了する。
【0039】
(文書の削除)
次に、「一緒に削除する」連動動作について、図8、図9、図10を用いて説明する。図8、図9は削除操作を行う際に、表示する画面である。操作対象となっている文書は「課フォルダ\中計資料\中計.ppt」である。この文書はオフィスでプレゼンテーションに用いられる文書である。プレゼンテーションを行う場に合わせて多少変更を加えた別バージョンの文書が以下のファイルとして格納されているとする。
・「課フォルダ\全体会発表資料\説明v1.ppt」。
・「課フォルダ\全体会発表資料\説明v2.ppt」。
・「個人フォルダ\山田\作業中\中計.ppt」。
これらの文書は、文書編集装置によって別バージョンが生成されたか、文書管理装置の文書複製機能によって生成されたものである。この別バージョン生成や複製生成の際には、文書編集装置や文書管理装置が自動的に文書を文書集合に登録するため、上記文書群は同じ文書集合に属している。また、この文書集合には「一緒に削除する」連動動作が自動で設定される。
【0040】
図8は、ユーザがマウスによりフォルダ要素表示領域202に表示されている文書「課フォルダ\中計資料\中計.ppt」が選択され、操作用メニュー400を表示させている様子を例示する図である。図9は操作用メニュー400から「削除」操作が選択されたときに表示する画面を例示する図である。新たに削除の確認ウインドウ800を表示している。このウインドウは本当に削除を実行するか確認するためのものであり、そこにはこの削除によって連動動作により一緒に削除される文書のリスト801が表示される。このリストは、操作する文書が文書集合に属していて、かつその文書集合に「一緒に削除する」連動動作設定をしているときに表示するものであり、文書集合に属する文書のリストである。
【0041】
削除に係る文書管理装置の処理について、図10を参照して詳細に説明する。図10は、図10は削除の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
削除処理は、ユーザから指示されることにより開始する(ステップS901)。この指示は操作用メニュー400から「削除」操作が選択されることを意味する。
【0043】
「削除」操作が選択されると、文書管理装置は、指定された文書が文書集合に属しているかを調べる(ステップS902)。文書集合に属している場合(ステップS902でYES)には、ステップS903へ進み、属していない場合(ステップS902でNO)はステップS905へ進む。
【0044】
ステップS903では、その文書集合に「一緒に削除する」連動動作設定がなされているかを調べる。連動動作設定がなされている場合(ステップS903でYES)にはステップS904へ進み、連動動作設定がなされていない場合(ステップS903でNO)にはステップS905へ進む。
【0045】
ステップS904以降の処理では、連動動作によって同文書集合中の文書も削除する。このため、それをユーザに知らせるために文書のリストを表示(提示)する(ステップS904)。これは、画面でいうと連動動作により削除される文書のリスト801にあたる。一方、ステップS905、つまり、文書が文書集合に属していない、もしくは属している文書集合に「一緒に削除する」連動動作設定がなされていない場合は、このリストは提示せず、指定文書の削除確認のみ行う。
【0046】
ステップS904においてリストを提示した場合、その後ユーザからの承認(ステップS906)に応じて、指定の文書及び文書集合に属する文書を削除する(ステップS907)。「一緒に削除する」連動動作設定がなされている場合には、同時に「アクセス権を一緒にする」連動動作設定も有効になっている。このため、文書集合の全ての文書のアクセス権は同じになっており、指定文書を削除できる場合には、文書集合の全ての文書も削除できることになる。そして、処理を終了する。
【0047】
一方、リスト提示をしていない場合には、ユーザからの承認(ステップS908)に応じて、指定の文書を削除する(ステップS909)。そして、処理を終了する。
【0048】
(文書の移動)
次に、「一緒に移動する」連動動作について図11、図12、図13を用いて説明する。図11、図12は移動操作を行う際、表示する画面を例示する図である。操作対象となっている文書は「未整理\本編\映画A.mpg」である。この文書はホームで個人が用いる動画である。この動画はインターネットを用いたオンライン販売などにより、文書管理装置に送信されたものである。また、この動画の関連データとして「未整理\サムネイル\映画A.jpg」、「未整理\あらすじ\映画A.txt」が送信され、格納されているとする。これらの文書は、受信の際文書管理装置が同じ文書集合に登録する。また、その文書集合には「一緒に移動する」連動動作が自動で設定される。
【0049】
図11は、ユーザがマウスによりフォルダ要素表示領域202に表示されている文書「未整理\本編\映画A.mpg」のアイコンをドラッグし、移動させているところである。1001が移動中の文書アイコンである。ドラッグをはじめると、フォルダツリー表示領域201のツリーには、ドラッグ中の文書の格納位置1002と、文書集合に属する他の文書の格納位置1003と、それらの相対位置を示す強調線1004が表示される。
【0050】
図12はドラッグ中の文書アイコン1001をフォルダツリー表示領域201の「SF\本編」フォルダアイコンに近づける、すなわちそのフォルダに移動させようとしたときの画面である。新たに移動後の文書の格納予定位置1101と、文書集合に属する他の文書の格納予定位置1102、それらを結ぶ相対位置関係の強調線、移動によって新たに生成されるフォルダ「SF\あらすじ」のアイコンが示される。マウスのドラッグ操作ではなく、切り取りと貼り付けといったメニュー操作で移動する場合は、切り取った際に1002〜1004を表示し、貼り付けた際に一瞬1101〜1104を表示して、連動動作による移動があったことをユーザに知らせる。
【0051】
移動に係る文書管理装置の処理について、図13を参照して詳細に説明する。図13は移動の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
移動処理は、ユーザから指示されることにより開始する(ステップS1201)。この指示はユーザが文書アイコンをドラッグすることを意味する。ユーザからの移動処理の指示に応じて、文書管理装置は、指定された文書が文書集合に属しているかを調べる(ステップS1202)。文書集合に属している場合(ステップS1202でYES)にはステップS1203へ進み、文書集合に属していない場合(ステップS1202でNO)にはステップS1207へ進む。
【0053】
ステップS1203では、その文書集合に「一緒に移動する」連動動作設定がなされているかを調べる。連動動作設定がなされている場合(ステップS1203でYES)にはステップS1204へ進み、連動動作設定がなされていない場合(ステップS1203でNO)にはステップS1207へ進む。
【0054】
ステップS1204以降の処理では、連動動作によって同文書集合中の文書も移動する。このため、ステップS1204では、それを知らせるための文書情報を表示(提示)する。この文書情報は、画面でいうとドラッグ中の文書の格納位置1002、文書集合に属する他の文書の格納位置1003、その間の強調線1004にあたる。
【0055】
次に、ユーザによって文書の移動先が示される(ステップS1205)と、指定文書及び文書集合の文書を移動させる(ステップS1206)。指定文書と他の文書との相対位置を保って移動させるため、必要であればこのときフォルダの作成も行う。「一緒に移動する」連動動作設定がなされている場合には、同時に「アクセス権を一緒にする」連動動作設定も有効になっている。このため、文書集合の全ての文書のアクセス権は同じになっており、指定文書を移動できる場合には、文書集合の全ての文書も移動できることになる。そして、処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS1207において、即ち、移動する文書が文書集合に属していない、もしくは属している文書集合に「一緒に移動する」連動動作設定がなされていない場合は、ユーザから移動先の指示を受けて、文書を移動する(ステップS1208)。そして、処理を終了する。
【0057】
上記のように、本実施形態に係る構成においては、アクセス権を同期させる連動動作を制御し、各文書はこの連動動作によってアクセス権が同期されている状態で利用可能となる。このため、本実施形態に係る構成によれば、文書に設定されたアクセス権限に応じて適切に文書管理を行うことが可能となる。
【0058】
<実施形態2>
実施形態1では「一緒に削除する」、「一緒に移動する」連動動作は、「アクセス権を一緒にする」連動動作が有効な状態で実現される場合を例示した。しかし、アクセス権を一緒にすることなく、「一緒に削除する」、「一緒に移動する」連動動作を実現することもできる。この場合、文書集合中の文書のアクセス権が異なる状態で連動動作を行うことになる。そのため一部の文書に対して操作に必要な権利をユーザが持たず、一緒に削除できない、一緒に移動できないという状態になることがある。そうなった場合には、全ての文書操作を失敗とするという形で実現しても良いし、削除、移動できなかった文書のリストをユーザに示して警告するという形で実現しても良い。
【0059】
このような構成によれば、アクセス権限について連動動作するように設定されていない場合においても、各文書に対する連動動作に関する設定を適切に制御することが可能となる。
【0060】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態例について詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を取ることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0061】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0062】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含む。
【0063】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0064】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、次のものが含まれる。即ち、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)等が含まれる。
【0065】
その他、プログラムの供給形態としては、次のようなものも考えられる。即ち、クライアント装置のブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明に係るコンピュータプログラム、或いは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをHD等の記録媒体にダウンロードする形態も考えられる。また、本発明に係るプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0066】
また、次のような供給形態も考えられる。即ち、まず、本発明に係るプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する。そして、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報の使用により暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて本発明に係る構成を実現する。このような供給形態も可能である。
【0067】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、次のような実現形態も想定される。即ち、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0068】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づいても前述した実施形態の機能が実現される。即ち、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】コンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】文書管理装置の構成要件を示す図である。
【図3】文書管理画面を例示する図である。
【図4】文書集合を設定する際の文書管理画面を例示する図である。
【図5】操作用メニューを表示させている様子を例示する図である。
【図6】操作用メニューから「アクセス権の変更」操作が選択されたときに表示する画面を例示する図である。
【図7】アクセス権変更の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】操作用メニューを表示させている様子を例示する図である。
【図9】操作用メニューから「削除」操作が選択されたときに表示する画面を例示する図である。
【図10】削除の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】移動操作を行う際、表示する画面を例示する図である。
【図12】移動操作を行う際、表示する画面を例示する図である。
【図13】移動の際、文書管理装置が行う処理の流れを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書情報を記憶する文書情報記憶手段を備え、ユーザからの指示に応じて該文書情報に対して処理を行う文書管理装置であって、
複数の前記文書情報からなる文書集合の連動動作に関する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記文書集合に含まれる第1の文書情報に対する操作を受け付ける操作受付手段と、
前記文書集合に含まれる前記文書情報のうち前記第1の文書情報を除いた、第2の文書情報に対する処理内容を、前記操作と前記設定情報とに基づいて決定する決定手段と、
決定された前記処理内容に基づいて、前記第2の文書情報に対する処理を制御する処理制御手段と、
を備え、
前記設定情報には、前記文書情報のアクセス権限の変更操作に関する連動動作の有無を示す情報が含まれる
ことを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
前記設定情報の設定を受け付ける設定受付手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記設定情報には、更に、前記文書情報の、移動操作に関する連動動作の有無を示す情報と、削除操作に関する連動動作の有無を示す情報と、が含まれる
ことを特徴とする請求項2に記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記設定受付手段は、
前記アクセス権限の変更操作に関して前記設定情報が連動動作有りを示す場合に、前記移動操作に関して連動動作有りとする設定、又は、前記削除操作に関して連動動作有りとする設定を受け付ける
ことを特徴とする請求項3に記載の文書管理装置。
【請求項5】
前記設定受付手段は、
ユーザから、移動操作に関する設定、又は、削除操作に関する設定が指示された場合、前記文書集合に含まれるいずれかの文書情報に、該ユーザからの操作を拒否する旨のアクセス権限が設定されている場合は、該指示を受け付けない、又は、警告を表示手段に表示制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の文書管理装置。
【請求項6】
前記文書情報はツリー構造を構成するように管理され、
前記文書情報の前記ツリー構造における位置を示す図形を表示手段に表示させる表示制御手段を更に備え、
前記表示制御手段は、
前記文書情報の移動操作に関して前記設定情報が連動動作有りを示す場合、ユーザからの前記第1の文書情報に対する移動の指示に応じて、前記第1及び第2の文書情報の相対位置関係を保ったまま、前記ツリー構造上で前記第1及び第2の文書情報を示す図形を移動して前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の文書管理装置。
【請求項7】
前記文書集合を構成する前記文書情報を特定する特定情報を記憶する特定情報記憶手段と、
前記特定情報の編集を受け付ける編集受付手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の文書管理装置。
【請求項8】
文書情報を記憶する文書情報記憶手段を備え、ユーザからの指示に応じて該文書情報に対して処理を行う文書管理装置の制御方法であって、
複数の前記文書情報からなる文書集合に含まれる第1の文書情報に対する操作を受け付ける操作受付工程と、
前記文書集合に含まれる前記文書情報のうち前記第1の文書情報を除いた、第2の文書情報に対する処理内容を、前記操作と、設定情報記憶手段に記憶された文書集合の連動動作に関する設定情報と、に基づいて決定する決定工程と、
決定された前記処理内容に基づいて、前記第2の文書情報に対する処理を制御する処理制御工程と、
を備え、
前記設定情報には、前記文書情報のアクセス権限の変更操作に関する連動動作の有無を示す情報が含まれる
ことを特徴とする文書管理装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至7のいずれかに記載の文書管理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−46784(P2008−46784A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220640(P2006−220640)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】