説明

文書管理装置及びプログラムならびに方法

【課題】 出力された文書の秘匿性を効率的に守る
【解決手段】
パスワードを端末及び文書収納管理手段に通知する出力管理手段と、文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする前記文書収納管理手段を備える文書管理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書管理装置及びプログラムならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、パソコン端末で作成した文書・画像をLAN(Local Area Network)等のネットワークで接続されているプリンタにより出力するネットワークプリントシステムが実用化されている。このようなシステムでは、ネットワークに接続された複数の端末から送られてくる複数のプリントデータを受信順に順次プリントする機能となっている。このシステムでは、ネットワーク上で複数のプリント要求者が同一のプリンタを共用して使用している際に、情報開示範囲の限られた秘密情報等を印刷する場合に、情報開示範囲外の第三者に印刷物が見られることが問題となる。
【0003】
また、社内LANの高速化に伴い、同一フロアでの共有プリンタの使用がコストパフォーマンス上有効な手段として取り入れられている。しかしながら、共有プリンタを使用する場合、同じ社内であっても、プリンタに出力したまま放置された印刷物から機密情報が漏えいする問題がある。この問題への対処として、プリント要求者は、プリンタの所まで行って印刷が終わるまで待っている必要がある。複数のプリント要求がある時などは、印刷が終わるまで待つことは、ユーザにとって、非常に非効率となる。このような背景により、秘匿性の高い印刷物をネットワーク上で共同して使用するプリンタでプリントする場合に、秘匿性が守られたままプリントでき、かつ効率的に保管する方法が求められている。
【0004】
最近は、社内LANの高速化に伴い、同一フロアでの共有プリンタの使用がコストパフォーマンス上有効な手段として取り入れられているため、この要求はさらに高まりつつある。これは、共有プリンタを使用する場合、同じ社内であっても、プリンタに出力したまま放置された印刷物から、機密情報が漏えいする問題があるためである。
【0005】
特許文献1では、印刷物の秘匿性を守るために、プリンタ出力を依頼したユーザが、パスワードを入力して、プリンタ装置からプリンタ出力を得ることを開示している。具体的には、秘匿性のあるプリントを行うユーザは、秘匿プリントであることを指定してデータをファイルサーバに送信し、ファイルサーバはこのデータに対してパスワードを割り当てて、これをユーザに知らせる。ユーザは、プリントサーバに赴き、パスワードを使ってプリンタ出力を行なう。この方法によって、ユーザは他者に機密が漏洩する可能性のある時間を避けてプリント出力を行うことができるので、秘匿性が守られる確率は高い。
【0006】
特許文献2は、自動的に電子的保管が行われるプリンタについて開示している。
【0007】
特許文献3は、文書にワンタイムパスワードをかけることを開示している。
【0008】
特許文献4は、内視鏡を保管する装置について開示している。
【0009】
特許文献5は、時限付で排紙するプリンタについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許3652723
【特許文献2】特許3769360
【特許文献3】特開2009−26067
【特許文献4】特開2008−054861
【特許文献5】特開2009−292055
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、出力された文書の秘匿性を効率的に守ることである。特許文献1の方法では、秘匿性を守れる可能性は高まるが、ユーザは、プリント出力が終わるまで、プリンタの近くに待機している必要がある。印刷物が大量にある場合などは印刷が終わるまで待つことは、ユーザにとって、非常に非効率的である。
【0012】
本発明の目的は、上記課題を解決して、出力された文書の秘匿性を効率的に守ることのできる文書保管装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、パスワードを端末及び文書収納管理手段に通知する出力管理手段と、
文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする前記文書収納管理手段を備える文書管理装置が得られる。
【0014】
本発明によれば、パスワードを端末に通知する出力管理処理と、文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする、文書収納管理処理をコンピュータに実行させることを特徴とする文書管理プログラムが得られる。
【0015】
本発明によれば、パスワードを端末に通知し、文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする、ことを特徴とする文書管理方法が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器により出力された文書の秘匿性を、効率的に守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明のネットワークプリントシステムの概略構成図及びプリントサーバの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は出力管理部が有するプリント管理表の構成例である。
【図3】図3は文書収納管理部が有する保管BOX管理表の構成例である。
【図4】図4は保管BOXのイメージ図である。
【図5】図5は出力管理部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は文書収納管理部の処理を説明するためのフローチャートその1ある。
【図7】図7は文書収納管理部の処理を説明するためのフローチャートその2である。
【図8】図8はパスワード管理部の処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9はプリント要求から印刷物を保管BOXで保管するまでの実施例のフロー図である。
【図10】図10はプリント要求者が印刷物を入手し、保管BOXが空き状態になるまで実施例のフロー図である。
【図11】図11は本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、以下に図面を参照して詳細に説明される。図1は、本実施形態の構成例であり、ネットワークプリントシステムの概略構成図及びプリントサーバの構成を示す。プリンタ100は、文書管理装置110を有する。文書管理装置110は、プリント要求端末18(ユーザ端末とも呼ぶ)からのプリント要求を管理する出力管理部12、実際の印刷処理を行う出力部13を有している。
【0019】
また、文書管理装置は、プリント要求毎に違うパスワードを提供するパスワード管理部14、保管BOX17及び廃棄BOX16の管理を行う文書収納管理部15を有している。なお、プリント要求は出力要求とも呼ぶ。また、保管BOX、廃棄BOXはそれぞれ保管箱、廃棄箱とも呼ぶ。出力管理部12は、出力部13、パスワード管理部14、文書収納管理部15の各装置に処理を命じたり、各装置からの処理の結果の通知を受けて、他の装置にこれを通知したりする機能を有している。本実施形態は、処理の結果を通知することを「戻り値を返す」あるいは「戻り値をリターンする」、等と記述して、処理の説明を行う。
【0020】
出力管理部12は、プリント状態430、保管BOX番号440、パスワード450、ステータス46を、プリント要求ID420毎に包含するプリント管理表111(図2)を格納する記憶装置(ディスク等)にアクセス可能である。また、文書収納管理部15は、保管BOX状態470、保管開始時間480、パスワード450を保管BOX番号440毎に包含する保管BOX管理表112(図3)を格納する記憶装置(ディスク等)にアクセス可能である。
【0021】
プリント要求ID420はプリント要求を一意のIDで管理する。
【0022】
プリント状態430はプリント要求のプリント状況を示すデータであり、プリントを終了したことを示す「プリント済み」とプリント実行中であることを示す「プリント中」とがある。
【0023】
保管BOX番号440は、印刷物を入れた保管BOXの番号を示すデータである。
【0024】
パスワード450は印刷物22のステータス460を表示するための参照用であるとともに、保管BOX17の開錠用であるパスワードを示すデータである。
【0025】
ステータス460は印刷物22の処理状況を示すデータであり、保管中を示す「保管中」、廃棄されたことを示す「廃棄」、印刷物22がプリント要求者に渡ったことを示す「終了」とがある。なお、「廃棄」には、制限時間を過ぎた場合と、他の保管BOX17が一杯になり、その保管BOX17が最も長く印刷物22を保管していたため、廃棄の対象に選択された場合との2通りを含む。
【0026】
保管BOX状態470は保管BOX17の使用状況を示すデータであり、印刷物22が中に入っている状態であることを示す「使用中」と、印刷物22が入っていない状態であることを示す「空き」とがある。
【0027】
保管開始時間480は保管BOX17に印刷物22を入れた時間を示すデータである。文書収納管理部15が、現在時刻との差から、印刷物22の保管時間を算出するために、使用する。
【0028】
文書収納管理部15はフラグ機能をもつ。文書収納管理部15は、出力管理部12に処理結果を通知する場合には、命令された処理の結果を通知するフラグを、管理している保管BOX17に収納されていた文書を廃棄した場合には、これを通知する廃棄フラグを、それぞれ設定する。保管BOX17に保管された印刷物22は一定時間(以降「制限時間」とする。なお、「制限時間」は「文書収納制限時間」と呼ぶこともある)経過した場合に自動的に廃棄BOX16に移され廃棄処理される。この制限時間は、出力管理部12により設定されて、文書収納管理部15に通知される。この際の廃棄処理は既存技術で様々な方法があることから説明は割愛する。
【0029】
出力部13はプリント枚数を計数する図示しないカウンタを有し、プリント要求端末18から指定された枚数を図示しない出力トレイに出力後、出力終了を出力管理部12に通知する機能を有する。
【0030】
出力管理部12、出力部13、パスワード管理部14は、論理回路等のハードウェアで構成されている。これらは、図示されていないプロセッサが、同じく図示されていないメモリに格納されているプログラムを実行することで実現されてもよい。
【0031】
プリント要求者はプリント要求端末18を介して、ネットワークを経由してプリンタ100にプリント要求を行なう。また、プリント要求端末18は、出力管理部12から通達された保管BOX17を開くパスワード450を表示するパスワード表示部19を有する。
【0032】
図4は、保管BOX17及び廃棄BOX16から構成される文書収納筐体23の概要を示しているイメージ図である。保管BOX17は上部が開放された箱であり、印刷物22を複数枚一括して保管することができる。保管BOX17は、プリンタ100に付属する文書収納筐体23に格納され、中に印刷物22があるときには、ロックがかけられる。このロックはパスワード450のパスワード入力装置25への入力により開錠され、印刷物22の取り出しが可能となる。
【0033】
パスワード450のパスワード入力装置25への入力は、プリント要求者が文書収納筐体23に出向いて行ってもよいし、プリント要求端末18から遠隔操作で行なっても構わない。各保管BOX17の状況は管理BOX状況表示画面24で表示され、また、文書収納筐体23は、廃棄する印刷物22を一旦保管する廃棄BOX16を有する。この廃棄BOX16に、必要性に応じて、自動裁断機能や印刷物22を読めなくする既存技術を導入することで、印刷物22を第三者に見られることなく廃棄することが可能になる。
【0034】
この実施形態の例においては、保管BOX17、廃棄BOX16は文書収納筐体23の前面方向に引き出すことにより、開閉される。出力管理部12は、この開閉を、文書収納筐体23の一部と保管BOX17、廃棄BOX16の間の電気的接触を検知する、図示しない開閉検知器からの信号により確認する。また、保管BOX17、廃棄BOX16は、図示しない印刷物検知部(文書検知部とも呼ぶ)を有する。印刷物検知部は、BOX底部に発光部、側面に受光部を有し、印刷物22によって発光体から受光部への光の放射が遮られることによって、印刷物22の残留を検知する。ロックの方法としては、電磁石により、保管BOX17を文書収納筐体23に吸着させる方法、保管BOX17の底面と接触する筐体の面とを静電気でチャックさせる静電吸着方法等、一般的に広く用いられている方法を適宜採用することができる。開閉検知部、印刷物検知部の種類、機構は、上記にとどまらず、本実施形態の目的に沿うものであれば、どのようなものでも構わない。また、文書収納筐体23は、制御部27および移動部26も備える。制御部27は、文書収納管理部15の指示を受けて、各保管BOX17のロック/アンロックを行ったり、印刷物検出部、開閉検知部の検出結果を、文書収納管理部15を介して出力管理部12に報告したりする。移動部26は、出力管理部12の要求を受けた文書収納管理部15の指示を受けて出力部13の出力トレイの印刷物22を指定された保管BOX17へ移動したり、指定された保管BOXの印刷物22を廃棄BOX16に移動したりする。移動部26は、搬送機構等を有し、搬送等のためのプログラムが組み込まれている。搬送機構は、ロボット制御装置、アーム制御装置、送りローラなどを有している。
【0035】
本発明の機能の説明は、図2、3、4、5、6、7、8を用いて、行う。まず、プリント要求に対する出力管理部12の処理は、図2、図5を用いて行う。
【0036】
プリント要求者からプリント要求端末18を介してプリント要求を受けたプリンタ100は文書管理装置110の出力管理部12を起動する。出力管理部12は、図2のプリント管理表111をもとに、図5に示す処理を実行する。出力管理部12は、プリント要求者からプリント要求端末18を介してプリント要求を受けると、プリント要求者の識別番号などに基づくプリント要求ID420を格納する(3−1)。また、出力管理部12は、印刷状態430に「プリント中」を格納する(3−2)。続いて出力管理部12は文書収納管理部15を呼び出し、印刷物22の保管先の保管BOX番号440及び廃棄の有無を示す廃棄フラグの戻り値(廃棄した場合ON、廃棄していない場合OFF)を受ける(3−3)。この間の保管BOX管理処理Aについては、図6で詳述する。出力管理部12は、戻り値で受けた保管BOX番号440をプリント管理表111に格納する(3−4)。
【0037】
廃棄フラグONの戻り値を受けた場合(3−5)、出力管理部12は、プリント管理表111から、戻り値と同じ保管BOX番号440を有するプリント要求ID420を検索する。出力管理部12は、そのプリント要求ID420のステータス460に「廃棄」を格納する(3−6)。併せて、出力管理部12は、そのプリント要求ID420の保管BOX番号440をプリント参照表111から削除する。
【0038】
廃棄フラグOFFの戻り値を受けた場合、出力管理部12は、パスワード管理部14を呼び出し、パスワードを戻り値として受け(3−7)、パスワード450に格納する(3−8)。
【0039】
続いて出力管理部12は、パスワード450をプリント要求端末18のパスワード表示部19に送信し、プリント要求者にパスワード450を通知する(3−9)。
【0040】
続いて出力管理部12は、出力部13を呼び出し、印刷を実施させ(3−10)、その後、プリント状態430に「プリント済み」を格納する(3−11)。
【0041】
続いて出力管理部12は、文書収納管理部15を介して移動部26に、印刷物22を、保管BOX番号440の保管BOX17に移動させ(3−12)、ステータス460に「保管中」を格納する(3−13)。
【0042】
この後、出力管理部12は、文書収納管理部15からの廃棄フラグの有無を判定し続ける(3−14)。この間の保管BOX管理処理Bについては、図7で詳述する。廃棄フラグがONの場合は(3−15)、対象の印刷物22は受け取られなかったとしてステータス460を「廃棄」とする(3−17)。
【0043】
廃棄フラグがOFFである場合、対象の印刷物22はプリント要求者に回収されたとして、ステータス460を「終了」とし、合わせてそのプリント要求ID420の保管BOX番号440をプリント管理表111から削除する(3−16)。
【0044】
上記により、1回のプリント要求に対する出力管理部12の処理は終了する。
【0045】
次に、文書収納管理部15の処理については、図3、4、5、6、7を用いて説明する。文書収納管理部15は、図3の保管BOX管理表112を元に、図6の処理と図7の処理を行う。図6の処理はプリント要求時に印刷物22を保管する保管BOX17を割り当てる処理を示す(図5 保管BOX管理処理A)。文書収納管理部15は、出力管理部12から呼び出されると下記の処理を行う。文書収納管理部15は、保管BOX管理表112に格納された保管BOX状態470が「空き」である保管BOX17を検索する(5−1)。
【0046】
「空き」のデータを有する保管BOX17があった場合(5−2)、文書収納管理部15は、対象の保管BOX17の保管BOX状態470を「使用中」に変更する(5−3)。続いて文書管理部15は、対象の保管BOX番号440及び廃棄フラグOFFを戻り値として出力管理部12に処理を返す(5−4)。
【0047】
「空き」のデータを有する保管BOX17がなかった場合(5−2)、文書収納管理部15は、すべての保管BOX17の保管開始時間480を比較し、最も古い保管開始時間480を有する保管BOX17の印刷物22を廃棄BOX16に移動させる(5−5)。この場合、文書収納管理部15は、印刷物22を廃棄した保管BOX17の保管BOX番号440及び廃棄フラグONを戻り値として、出力管理部12に処理を返す(5−6)。
【0048】
図7の処理は、保管BOX17に保管した印刷物22が取り出されるまでの処理を示す(図5 保管BOX管理処理B)。出力管理部12から呼び出されると文書収納管理部15は、下記の保管BOX管理処理を行う。文書収納管理部15は、対象としている保管BOX17の保管開始時間480に現在時刻を格納し、パスワード450と合わせて、保管BOX管理表112の、該当する保管BOX番号440の行に記入する(8−1)。
【0049】
文書収納管理部15は、制御部27に命じて、保管BOX17をロックさせ(8−2)、定期的に現在時刻と保管BOX管理表112の保管開始時間480とを比較し、現在時刻―保管開始時刻により経過時間を算出し、制限時間(文書収納制限時間とも呼ぶ)との大小を判定する(8−3)。経過時間が、出力管理部12が設定した制限時間内であれば次の(8−4)の処理を実行する。
【0050】
経過時間が、文書収納管理部15があらかじめ設定した制限時間をオーバーした場合は、文書収納管理部15は、移動部26に命じて、印刷物22を廃棄BOX16に移動させる廃棄処理を実行する(8−11)。続いて、文書収納管理部15は、保管BOX状態470に「空き」を格納し、保管開始時間480を削除する(8−12)。その後、文書収納管理部15は、廃棄フラグをONとし、出力管理部12に処理を返す(8−13)。
【0051】
経過時間が制限時間内であっても8−11〜13の廃棄処理を行う場合がある。それは新規のプリント要求があり、保管BOX17の保管BOX状態470がすべて「使用中」である場合に生じ得るものである。対象としている保管BOX17の保管開始時間480が他のいずれの保管BOX17と比べても古い場合は(8−4)、文書収納管理部15は、この保管BOX17に対して、8−11〜13の廃棄処理を行う。
【0052】
それ以外の場合、文書収納管理部15は、対象としている保管BOX17のパスワード450の入力を受けるまで、8−3、8−4の判定を繰り返す(8−5)。プリント要求者が、文書収納筐体23のパスワード入力装置25にパスワード450を入力すると、その通知を制御部27から受けた文書収納管理部15は以下のように対応する。文書収納管理部15は、保管BOX管理表112で、このパスワード450と同じパスワード450の保管BOX番号440の保管BOX状態470が「使用中」であることを確認する。しかるのち、文書収納管理部15は制御部27に命じて対象の保管BOX17を開放させる(8−6)。
【0053】
文書収納管理部15は、開放した対象の保管BOX17が閉じられたことを、制御部27を介した図示しない開閉検知部の信号によって確認(8−7)した後、印刷物22の残留の有無を制御部27を介した図示しない印刷物検知部の信号によって確認する(8−8)。閉じられたBOXに印刷物22が残っていた場合、文書収納管理部15は、8−11〜8−13のプリント廃棄処理を実行する。残っていなければ、文書収納管理部15は、保管BOX状態470を「空き」とし、保管開始時間480を削除する(8−9)。続いて、文書収納管理部15は、OFFの廃棄フラグを、出力管理部12に返す(8−10)。
【0054】
次に、パスワード管理部14については、図8を用いて説明する。出力管理部12から処理を命じられたパスワード管理部14は、パスワードを作成し(7−1)、作成したパスワードを戻り値として、出力管理部12に処理を返す(7−2)。出力管理部12はパスワードをパスワード450に格納し、プリント要求ID420を参照して、要求元のプリント要求端末18のパスワード表示機能19へパスワード450を送信する。
【0055】
次に、本発明の第1の実施の形態の動作については、図面を参照して説明する。実施例の一連の動作については、図9、10にて説明する。
【0056】
図9に示すように、プリント要求者からプリント要求端末18を通じてプリンタ100へプリント要求が出される(9−1)。出力管理部12は、プリント要求を受け付け(9−2)、格納先の保管BOX17を確保するため、文書収納管理部15へのBOX格納要求を開始する(9−3)。BOX格納要求を受けた文書収納管理部15は(9−4)、保管BOX管理表112から「空き」の保管BOX状態470を検索することによって、印刷物22を収納可能な、空いている保管BOX17を探す(9−5)。
【0057】
空いている保管BOX17がなければ、移動部26に命じて保管期間の最も長い保管BOX17の印刷物22を廃棄BOX16に移させ、その保管BOX17を空き状態にし、保管BOX状態470を「空き」とする(9−6)。文書収納管理部15は空き状態となっている保管BOX番号440を出力管理部12に通知する(9−7)。出力管理部12は、印刷物22を格納する保管BOX17を確認(9−8)してプリント管理表111に記載し、パスワード管理部14にパスワードの作成を命じる(9−9)。出力管理部12は、作成されたパスワードをプリント管理表111のパスワード450に格納し、これをプリント要求端末18へ送信(9−10)する。
【0058】
プリント要求端末18は、このパスワード450を受信(9−11)し、プリント要求端末18内に保管する。パスワード450を送信した出力管理部12は、出力部13にプリント要求の印刷の実行を命令する(9−12)。出力管理部12は、出力部13からの印刷終了の通知を確認したら(9−13)、文書収納管理部15を介して移動部26に命じ、印刷物22を保管BOX17に移動させる(9−14)。文書収納管理部15は、9−7で出力管理部12に通知した保管BOX番号440の保管BOX17に印刷物22が収納されたことを、制御部27を介した印刷物検知部からの信号で確認する(9−15)。
【0059】
その後、出力管理部12は、プリント要求端末18に送信したパスワード450と同じパスワード450を文書収納管理部15に通知(9−16)する。通知を受けた文書収納管理部15はこのパスワード450をBOX管理表112に格納する(9−17)。続いて文書収納管理部15は、この保管BOX17を、制御部27に、パスワード450を開錠パスワードとして施錠させる(ロックさせる、とも言う)(9−18)とともに、その時の時刻(現在時刻)を保管開始時間480として入力する。
【0060】
続いて、図10に示すように、文書収納管理部15は保管開始時間480の時間から経過した保管時間の計測を開始する(10−1)。文書収納管理部15は、保管時間が出力管理部12によりあらかじめ文書収納管理部15に設定された制限時間より短いか長いかを判定する(10−2)。制限時間内であり且つ、この保管時間がすべての保管BOX17の中で最大ではない限り(10−3)、保管BOX17は、次のパスワード450がパスワード入力装置25に入力されるまで、ロックされた状態を維持し続ける。
【0061】
プリント要求者がパスワード450をパスワード入力装置25に入力すると(10−4)、その通知を制御部27から受けた文書収納管理部15は、保管BOX管理表112に記載されたパスワード450からプリント要求者から受けたパスワード450と同じパスワード450を検索する。文書収納管理部15は、一致したパスワード450を対象とする保管BOX管理表112のステータス460を、管理BOX状況表示画面24に表示する(10−5)。
【0062】
保管BOX管理表112の保管BOX状態470の内容が「使用中」である場合(10−6)、制御部27に命じてその保管BOX17のロックを解除させる(10−7)。保管BOX17がロック解除されると、保管BOX17が開放され(10−8)、プリント要求者が印刷物22を取り出せるようになる。プリント要求者は、印刷物22を取り出し(10−9)、保管BOX17を閉じる(10−10)。
【0063】
保管BOX管理表112の保管BOX状態470の内容が「使用中」以外、すなわち「空き」である場合は、印刷物22が存在しない旨を表示し(10−15)、終了する(10−16)。
【0064】
文書収納管理部15は、制御部27を介した開閉検知部からの信号で保管BOX17が閉じられた事を確認し(10−11)、閉じられた保管BOX17に印刷物22が残っていないことを制御部27を介した印刷物検知部からの信号で確認する(10−12)。残っていない場合は、保管BOX17の保管BOX状態470を「空き」にして終了となる(10−14)。残っている場合は、移動部26に命じて印刷物22を廃棄BOX16に移動させ(10−13)た後、保管BOX17の保管BOX状態470を「空き」にして終了となる(10−14)。
【0065】
本実施形態によれば、プリント要求者の出した印刷物22は、施錠された保管BOX17に保管されるので、その秘匿性が守られる。しかも、プリント要求者は、印刷後、所望の時間に印刷物22を保管した保管BOX17を開錠し、印刷物22をここから取り出せばよいので、プリンタ100の近辺で待機する必要はない。したがって、効率的に印刷文書の秘匿性を守ることができる。
【0066】
本実施形態においては、文書収納筐体23は文書管理装置110と分かれているが、一体でも構わない。
【0067】
本実施形態においては、パスワード管理部14でパスワードを作成しているが、必ずしも作成する必要はなく、乱数表等、既存のデータから選択してもよい。また、出力管理装置12が、パスワード管理部14を兼ねることも可能である。
【0068】
なお、この実施形態ではプリンタ100に本発明を適用する場合について説明したが、本発明は、ファクシミリ装置への適用も可能である。ファクシミリ装置に適用する場合は、パスワード450を、上記実施形態でのプリント要求端末18に相当する送信者の端末ではなく、送信者の端末が指定したファクシミリを受け取る側の端末装置に通知することにより、同様の効果が得られる。
【0069】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態については、図11を参照して詳細に説明する。本発明の第2の実施形態は、パスワード450を端末及び文書収納管理部15に通知する出力管理部12と、文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置25から入力されたパスワード450が前記パスワード450と一致するとき前記保管箱をアンロックする前記文書収納管理部15を備える文書管理装置110である。
【0070】
本実施形態の効果は、効率的な秘匿文書の管理を可能とすることである。
【符号の説明】
【0071】
12 出力管理部
13 出力部
14 パスワード管理部
15 文書収納管理部
16 廃棄BOX
17 保管BOX
18 プリント要求端末
19 パスワード表示部
22 印刷物
23 文書収納筐体
24 管理BOX状況表示画面
25 パスワード入力装置
26 移動部
27 制御部
100 プリンタ
110 文書管理装置
111 プリント管理表
112 保管BOX管理表
420 プリント要求ID
430 プリント状態
440 保管BOX番号
450 パスワード
460 ステータス
470 保管BOX状態
480 保管開始時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードを端末及び文書収納管理手段に通知する出力管理手段と、
文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする前記文書収納管理手段を備える文書管理装置。
【請求項2】
前記文書収納管理手段は、複数の保管箱から使用可能な前記保管箱を選択して、前記文書を選択した前記保管箱に格納するように移動手段に指示する請求項1の文書管理装置。
【請求項3】
前記文書収納管理手段は、文書の存在の有無を検知する文書検知部からの、文書の存在を示す信号の受信時からの経過時間が文書収納制限時間を超過する場合は、前記文書を前記保管箱から廃棄箱へ移動させることを特徴とする請求項1及び2のいずれかに記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記文書収納管理手段は、前記出力管理手段からの指示を受けた時点で、前記複数の保管箱のすべてにおいて、前記文書検知部からの文書の存在を示す信号を確認した場合には、前記経過時間が最も長い保管箱の中の文書を前記保管箱から廃棄箱へ移動させることを特徴とする請求項2の文書管理装置。
【請求項5】
前記文書を印刷して出力トレイに出力する出力手段と、前記複数の保管箱と、前記文書収納管理手段から指示されて、前記出力トレイの前記文書を前記保管箱に移動する移動手段と、前記パスワード入力装置を備えた請求項1乃至4のいずれかに記載の文書管理装置。
【請求項6】
パスワードを端末に通知する出力管理処理と、
文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする、文書収納管理処理をコンピュータに実行させることを特徴とする文書管理プログラム。
【請求項7】
複数の保管箱から使用可能な前記保管箱を選択して、前記文書を選択した前記保管箱に格納するように移動手段に指示する前記文書収納管理処理を、前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項6の文書管理プログラム。
【請求項8】
文書の存在の有無を検知する文書検知部からの、文書の存在を示す信号の受信時からの経過時間が前記文書収納制限時間を超過する場合は、前記文書を前記保管箱から廃棄箱へ移動させる前記出力管理処理を、前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6及び7のいずれかに記載の文書管理プログラム。
【請求項9】
パスワードを端末に通知し、
文書が保管箱に格納されたことを検知して前記保管箱をロックし、パスワード入力装置から入力されたパスワードが前記パスワードと一致するとき前記保管箱をアンロックする、ことを特徴とする文書管理方法。
【請求項10】
複数の保管箱から使用可能な前記保管箱を選択して、前記文書を選択した前記保管箱に格納するように移動手段に指示することを特徴とする請求項9の文書管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−61802(P2012−61802A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209436(P2010−209436)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】