説明

断熱フィルム

【課題】吸収層と、コレステリック液晶層とを備える断熱フィルムである。
【解決手段】吸収層で紫外光と赤外光を吸収し、またコレステリック液晶層の回転ピッチを調節することで赤外光を反射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱フィルムに関し、特に、コレステリック液晶層を備える断熱フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業・商業の発達および社会の進歩により、それに対応して提供された製品も主に利便性、確実性、経済性を主旨とするため、目前に開発されている製品も、従来と比べ、より進歩的で、社会に貢献しうるようになった。
【0003】
断熱フィルムは、熱エネルギーの流れを阻むことを主要な用途としている。断熱フィルムは、多様な交通機械に広く使用されているだけではなく、建物にも大量に使用されている。統計によると、一般の商業ビルにおいて、エアコン関連の電力消費量は、総電力消費量の約47%を占める。したがって、エアコンの電力需要を下げることは、ビルの動作コストの節約にとっては、重要な課題である。
【0004】
太陽光における赤外線部分は、自然界の一番の主な熱源である。太陽光(特に、その内の赤外線部分)が商業ビルの内部に入ると、室内温度を上昇させる。そのため、エアコンで温度を下げる必要がある。
【0005】
建物に入る太陽光を減らすために、商業ビルの窓に断熱フィルムを貼ることは一般的である。しかしながら、断熱フィルムは、太陽光における赤外線部分だけではなく、太陽光における可視光も遮断され、商業ビルの内部空間の光度を下げることになってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、前記従来の方式には、依然として、不便と欠陥があり、改善する必要があることは明らかである。前記問題を解決するために、関連分野において、解決策を見つけることに力を入れてきたが、長い間ずっと適切な解決策を見つけることができなかった。そのため、いかに断熱フィルムを利用して、赤外線の入射を低下させ、かつ可視光の透過率を維持することは、当面の重要な研究課題の一つであり、目前の関連分野における急いで達成すべき目標でもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明内容の一つの目的は、赤外線の入射を低下させ、かつ可視光の透過率を維持するように、断熱フィルムを提供することにある。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明内容の一技術態様は、断熱フィルムに関する。この断熱フィルムは、少なくとも1つの吸収層と、少なくとも1つのコレステリック液晶層とを備える。吸収層は、紫外光と赤外光を吸収することに用いられる。コレステリック液晶層は、吸収層の下に配置され、コレステリック液晶層の回転ピッチを調整することで赤外光を反射する。
【0009】
本発明の一実施例によれば、断熱フィルムの可視光平均透過率は、50%〜80%である。
【0010】
本発明のまた他の実施例によれば、断熱フィルムの赤外光反射率(断熱率)は、70%〜99%である。
【0011】
本発明のまた一つの実施例によれば、コレステリック液晶層は、塗布方式によって形成される。
【0012】
本発明のもう一つの実施例によれば、吸収層は金属層を含む。銀、アルミニウム、タングステン、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、スズ、インジウム、クロム、アンチモン、チタン、ニッケル、銅、バナジウム、コバルト、鉄、ニオブおよびその合金の少なくとも1種を含む材料によって、前記金属層を形成してもよい。
【0013】
本発明の更にまた一つの実施例によれば、吸収層は、金属酸化物層を含む。銀酸化物、アルミニウム酸化物、タングステン酸化物、マグネシウム酸化物、モリブデン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、クロム酸化物、アンチモン酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、バナジウム酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、ニオブ酸化物、インジウムスズ酸化物、亜鉛アルミニウム酸化物、スズアンチモン酸化物の少なくとも1種を含む材料によって、前記金属酸化物層を形成してもよい。
【0014】
本発明の更にまた他の実施例によれば、前記金属層または金属酸化物層は、スパッタ、蒸着または塗布方式によって形成される。一般的に、前記金属層または金属酸化物層は、紫外線と赤外線の少なくとも一つの放射を吸収できる。また、任意に選択された実施例において、吸収層は、更なる紫外線と赤外線の少なくとも一つの吸収剤を含んでもよい。
【0015】
本発明のある実施例によれば、断熱フィルムは、コレステリック液晶層の下、または吸収層とコレステリック液晶層との間に配置される基材層を更に備える。この基材層は、繊維状基材(fiber substrate)またはフィルム状基材(film substrate)であってよい。
【0016】
本発明の更にまた他の実施例によれば、前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PETと略す)またはトリアセチルセルロース(triacetyl cellulose、TACと略す)によって、形成されてもよい。
【0017】
本発明のまたもう一つの実施例によれば、断熱フィルムは、基材層の下に配置されるまた他のコレステリック液晶層を更に備える。本発明の更にまた他の実施例によると、断熱フィルムは、前記また他のコレステリック液晶層の下に配置されるまた他の吸収層を更に備える。
【0018】
本発明のまたもう一つの実施例によれば、断熱フィルムは、また他の吸収層を更に備える。また他の吸収層は、基材層の下に配置される。
【0019】
本発明の更にまた他の実施例によれば、断熱フィルムは、基材層を更に備える。基材層は、吸収層とコレステリック液晶層との間に配置される。本発明のまたもう一つの実施例によると、基材層は、合成繊維PET層およびトリアセチルセルロース(Triacetyl Cellulose;TAC)層の少なくとも1つを含む。本発明の更にまた他の実施例によると、断熱フィルムは、吸収層の上に配置され、断熱フィルムが引っ掻かれることを防止可能な耐引掻層を更に備える。
【0020】
本発明のまたもう一つの実施例によれば、断熱フィルムは、離型層と、接着層と、を更に備える。離型層は、断熱フィルムの最低位層に配置されるが、接着層は、離型層の上に配置される。使用していない場合、離型層は、接着層が汚れないように保護することができ、使用する場合、離型層を取り外して、断熱フィルムを接着層によって物体に付着させることができる。
【0021】
前記目的を達成するために、本発明内容のまた他の技術態様は、基材層と、少なくとも1つの吸収層と、少なくとも1つのコレステリック液晶層とを備える断熱フィルムに関する。基材層は、対向に配置された第1の表面および第2の表面を含む。吸収層は、第1の表面上に配置され、紫外光と赤外光を吸収することに用いられる。コレステリック液晶層は、第2の表面上に配置され、コレステリック液晶層のピッチを調整することで赤外光を反射する。
【0022】
本発明の一実施例によれば、基材層は、ポリエチレンテレフタレートまたはトリアセチルセルロースによって製作されてもよい。
【0023】
本発明のまた他の実施例によると、前記断熱フィルムは、耐引掻層を更に備える。耐引掻層は、吸収層の上に配置され、断熱フィルムが引っ掻かれることを防止することに用いられる。
【0024】
本発明のまた一つの実施例によれば、前記断熱フィルムは、離型層と、接着層とを更に備える。離型層は、断熱フィルムの最低位層に配置され、接着層は、離型層の上に配置される。使用していない場合、離型層は、接着層が汚れないように保護することができ、使用する場合、離型層を取り外して、断熱フィルムを接着層によって物体に付着させることができる。
【発明の効果】
【0025】
そのため、本発明の技術内容によれば、本発明の実施例は、断熱フィルムを提供することによって、赤外線の入射を低下させ、かつ可視光の透過率を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
下記の図面の説明は、本発明の前記またはその他の目的、特徴、利点および実施例をより分かりやすくするためのものである。
【0027】
【図1A】図1Aは、本発明の一つの実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。
【図1B】図1Bは、本発明のまた他の実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。
【図1C】図1Cは、本発明のまた一つの実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。
【図1D】図1Dは、本発明のもう一つの実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。
【図1E】図1Eは、本発明のまた一つの実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。
【図2】図2は、本発明のまた他の実施例による断熱フィルムを示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のまた他の実施例による断熱フィルムの太陽光反射率曲線を示す図である。
【図4】図4は、本発明のまた一つの実施例による断熱フィルムの太陽光透過率曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示内容の叙述をより詳しく且つ完全なものにするために、添付の図面および下記の多様な実施例を参照してもよく、前記図面において、同一の番号は、同一または類似の素子を表す。しかしながら、提供された実施例は、本発明に含まれる範囲を限定するものではなく、構成に係る動作についての記述は、その実行の順序を限定するものではなく、素子の更なる組み合わせにより得る均等な効果を有するあらゆる構成に係る装置は、本発明に含まれる範囲にある。
【0029】
そのうち、図面は説明するためのものであり、原寸により作図されたものではない。一方、本発明を必要以上に限定させないために、周知の素子およびステップを、実施例で説明しない。
【0030】
図1Aは、本発明の一実施例によって断熱フィルムを示す模式図である。図1Aに示すように、断熱フィルムは、保護層110と、耐引掻層120と、吸収層130と、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal)層140と、基材層150と、接着層160と、離型層170とを備える。吸収層120は、紫外光と赤外光を吸収でき、コレステリック液晶層140は、その回転ピッチを変えることで赤外光を反射できる。基材層150は、コレステリック液晶層140の下に配置される。
【0031】
また、吸収層130の上に、断熱フィルムが引っ掻かれることを防止可能な耐引掻層120が配置される。断熱フィルムを損傷させないため、またその寿命を延長するように、耐引掻層120の上に、保護層110を更に配置する。接着層160は、付着性を有し、直接に環境に暴露される場合、埃または他の汚物が粘着して、その付着性に影響する。そのため、接着層160が汚れないように、断熱フィルムの最低位層(即ち、接着層160の下)に、離型層170を配置する。断熱フィルムを物体(図に示さず)に取り付ける必要がある場合、離型層170を剥して、接着層160を露出させ、断熱フィルムを接着層160によって物体の表面に接着させてもよい。
【0032】
一般的に、コレステリック液晶は、多層の旋光性分子を含むネマチック液晶が積み重なって形成される。このようなネマチック液晶系に旋光剤を添加すると、液晶系は、螺旋構造を生じ、2つの平面における分子の分子軸の方向が平行になる場合、その間の距離がピッチと呼ばれる。このピッチは、その反射する光線の波長を左右する。そのため、ピッチを調節することで、コレステリック液晶層の反射特性を変えることができる。例としては、ピッチ約612nmのコレステリック液晶層は、波長約1000nmの赤外線を反射でき、ピッチが大きいほど、コレステリック液晶層の反射する光線の波長も長くなる。そのため、本発明の一つの実施例において、用いたコレステリック液晶のピッチは、約500〜1000nmであり、また他の実施例においては、約550〜900nmであり、もう一つの実施例においては、約600〜800nmである。試験によると、ピッチ約612nmのコレステリック液晶層140は、約60%以上の赤外線(波長約1000nm)を効率的に反射でき、且つ波長約400〜800nmの可視光に対する透過率は、約80%を超える。これにより、より大きいピッチを有するコレステリック液晶層を採用しさえすれば、赤外光に対する反射效率を向上させることができることを見出した。
【0033】
一つの実施例において、コレステリック液晶層140を備える断熱フィルムの可視光平均透過率は、50%〜80%である。また他の実施例において、断熱フィルムの可視光平均透過率は、55%〜75%である。もう一つの実施例において、断熱フィルムの可視光平均透過率は、60%〜70%である。
【0034】
また、一つの実施例において、コレステリック液晶層140を備える断熱フィルムの赤外光反射率は、70%〜99%である。更にまた一つの実施例において、断熱フィルムの赤外光反射率は、75%〜95%である。更にもう一つの実施例において、断熱フィルムの赤外光反射率は、80%〜90%である。
【0035】
製作において、コレステリック液晶層140を、塗布方式によって形成してよい。
【0036】
一つの実施例において、吸収層120は、金属層を含む。また他の実施例において、吸収層120は、金属酸化物層を含む。
【0037】
前記金属層を、あらゆる適切な材料によって調製してよく、その実施例として、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、クロム(Cr)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、バナジウム(V)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)層を含むが、それに限定されない。また、前記金属の合金または前記金属の混合物を使用してもよい。
【0038】
同様に、前記金属酸化物層を、多様な適切な金属酸化物を利用して形成してもよく、その実施例として、銀酸化物(例えば、AgO)、アルミニウム酸化物(例えば、Al)、タングステン酸化物(例えば、WOまたはWO)、マグネシウム酸化物(例えば、MgO)、モリブデン酸化物(例えば、MoO)、亜鉛酸化物(例えば、ZnO)、スズ酸化物(例えば、SnO)、インジウム酸化物(例えば、In)、クロム酸化物(例えば、CrOまたはCr)、アンチモン酸化物(例えば、SbまたはSb)、チタン酸化物(例えば、TiO)、ニッケル酸化物(例えば、NiO)、銅酸化物(例えば、CuOまたはCuO)、バナジウム酸化物(例えば、VまたはV)、コバルト酸化物(例えば、CoO)、鉄酸化物(例えば、FeまたはFe)、ニオブ酸化物(例えば、Nb)、インジウムスズ酸化物(Indium tin oxide;ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(Aluminum Doped Zinc Oxide;AZO)、スズアンチモン酸化物(Antimony Tin Oxide;ATO)の少なくとも1つを含むが、それに限定されない。
【0039】
上記で例示した多様な材料は、本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、前記金属層または金属酸化物層を形成するように、他の適切な材料を選択してよいことは、理解すべきである。
【0040】
製作する際に、前記金属層または金属酸化物を、スパッタ、蒸着または塗布方式によって形成してもよい。
【0041】
異なる実施例において、基材層150は、繊維状基材またはフィルム状基材であってよい。前記基材層150を、多様な適切な材料を利用して形成してよく、これらの材料の実施例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびトリアセチルセルロース(TAC)層を含むが、それに限定されない。
【0042】
図1B〜図1Eは、本発明の他の実施例によって多様な断熱フィルムの配置を示す模式図である。図1Bに示すように、図1Aに示した断熱フィルムと比べ、また他のコレステリック液晶層142と、また他の吸収層132とを更に備える。また他のコレステリック液晶層142は、基材層150の下に配置され、また他の吸収層132は、また他のコレステリック液晶層142の下に配置される。ここで、また他のコレステリック液晶層142の役割が、コレステリック液晶層140と同一であり、また他の吸収層132の役割が、吸収層130と同一であるが、ここで詳しく説明しないことは注意すべきである。
【0043】
図1Cを参照し、図1Aに示した断熱フィルムと比べ、基材層150の下に配置されたまた他のコレステリック液晶層142を更に備える。図1Dに示すように、図1Aに示した断熱フィルムと比べ、基材層150の下に配置されたまた他の吸収層132を更に備える。前記のように、また他のコレステリック液晶層142およびまた他の吸収層132の役割については、ここで詳しく説明しない。図1Eを参照し、別の実施形態において、基材層150は、吸収層130とコレステリック液晶層140との間に配置されてもよい。
【0044】
しかしながら、本発明のまた他の実施例による断熱フィルムを示す模式図である図2に示すように、一つの実施例において、吸収層と、コレステリック液晶層と、基材層との間の位置配置を、実際の要求によって調節してよい。断熱フィルムは、保護層210と、耐引掻層220と、第1のコレステリック液晶層240と、基材層250と、第2のコレステリック液晶層242と、接着層260と、離型層270とを備える。
【0045】
製作において、基材層250は、対向に配置された第1の表面および第2の表面を含む。第1のコレステリック液晶層240は、第1の表面上に配置され、第1のコレステリック液晶層240の回転ピッチを変えることで赤外光を反射する。第2のコレステリック液晶層242は、第2の表面上に配置され、第2のコレステリック液晶層242のピッチを変えることで赤外光を反射する。
【0046】
また、耐引掻層220は、第1のコレステリック液晶層240の上に配置され、断熱フィルムが引っ掻かれることを防止することに用いられ、保護層210は、耐引掻層220に配置され、断熱フィルムを保護し、断熱フィルムを損傷させない。なお、離型層270は、断熱フィルムの最低位層に配置されるが、接着層260は、離型層270の上に配置され、断熱フィルムと物体(図に示さず)を接着することに用いられ、そのうち、離型層270は、接着層260を保護することに用いられる。
【0047】
表1における実験データによって、コレステリック液晶層が添加された断熱フィルムの効果を理解できる。
下記の表1より、本発明の実施例において、断熱フィルムにコレステリック液晶層を添加すると、可視光の透過率を約70%に維持する状況で、コレステリック液晶層によって赤外光を反射して、赤外光の透過率を10%未満に低下させ、本発明の実施例による断熱フィルムの断熱率を90%以上に達成し、その可視光透過率と断熱率との総和が160より大きくなることを見出した。
【0048】
【表1】

【0049】
図3は、本発明のまた他の実施例によって断熱フィルムの太陽光反射率曲線を示す図である。図3に示した曲線は、断熱フィルムを利用して、太陽光に対する反射率実験を行って得られたデータである。図から分かるように、本発明の実施例による断熱フィルムは、太陽光における波長約800nm〜約2500nmの波長領域を効率的に遮断することができ、即ち、本発明の実施例は、赤外光を効果的に反射できる。これにより、赤外線の入射を低下させ、室内の温度を下げることができる。
【0050】
図4は、本発明のまた一つの実施例によって断熱フィルムの太陽光透過率曲線を示す図である。図4に示した曲線は、断熱フィルムを利用して、太陽光に対する透過率実験を行って得られたデータである。図から分かるように、本発明の実施例による断熱フィルムは、太陽光における波長約400nm〜約800nmの波長領域を効率的に透過させ、即ち、本発明の実施例は、可視光を効率的に透過させることができ、可視光の透過率は、約60〜80%に達することができる。図3、図4の結果を併せれば、ここで記載された断熱フィルムが、確かに赤外線の入射を効果的に低下させると同時に、適切な可視光の透過率を維持できることを見出した。
【0051】
本発明を実施形態により上記のように開示したが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、多様な変更および修飾を加えることができ、したがって、本発明の保護範囲は、以下の請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0052】
110、210 保護層、120、220 耐引掻層、130 吸収層、132 また他の吸収層、240、140 コレステリック液晶層、142、242 また他のコレステリック液晶層、150、250 基材層、160、260 接着層、170、270 離型層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外光と赤外光を吸収するための少なくとも1つの吸収層と、
前記吸収層の下に配置される少なくとも1つのコレステリック液晶層と、を備え、
前記コレステリック液晶層が、そのピッチを調整することで前記赤外光を反射する断熱フィルム。
【請求項2】
前記断熱フィルムの可視光平均透過率が、50%〜80%である請求項1に記載の断熱フィルム。
【請求項3】
前記断熱フィルムの赤外光反射率が、70%〜99%である請求項1に記載の断熱フィルム。
【請求項4】
前記コレステリック液晶層が、塗布方式によって形成される請求項1に記載の断熱フィルム。
【請求項5】
前記吸収層が、金属層と金属酸化物層の少なくとも一つを含む請求項1に記載の断熱フィルム。
【請求項6】
前記金属層が、銀、アルミニウム、タングステン、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、スズ、インジウム、クロム、アンチモン、チタン、ニッケル、銅、バナジウム、コバルト、鉄、ニオブおよびその合金の少なくとも1つを含む請求項5に記載の断熱フィルム。
【請求項7】
前記金属酸化物層が、銀酸化物、アルミニウム酸化物、タングステン酸化物、マグネシウム酸化物、モリブデン酸化物、亜鉛酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、クロム酸化物、アンチモン酸化物、チタン酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、バナジウム酸化物、コバルト酸化物、鉄酸化物、ニオブ酸化物、インジウムスズ酸化物、亜鉛アルミニウム酸化物、スズアンチモン酸化物層の少なくとも1つを含む請求項5に記載の断熱フィルム。
【請求項8】
前記金属層と前記金属酸化物層の少なくとも一つが、スパッタ、蒸着または塗布方式によって形成される請求項5に記載の断熱フィルム。
【請求項9】
前記吸収層と前記コレステリック液晶層との間に配置される基材層を更に備える請求項1に記載の断熱フィルム。
【請求項10】
前記基材層が、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースまたはその組み合わせである材料を含む請求項9に記載の断熱フィルム。
【請求項11】
対向に配置された第1の表面および第2の表面を含む基材層と、
前記第1の表面上に配置される第1のコレステリック液晶層と、
前記第2の表面上に配置される第2のコレステリック液晶層と、を備え、
前記第1のコレステリック液晶層が、そのピッチを調整することで赤外光を反射し、
前記第2のコレステリック液晶層が、そのピッチを調整することで前記赤外光を反射する断熱フィルム。
【請求項12】
前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースまたはその組み合わせである材料を含む請求項11に記載の断熱フィルム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−95133(P2013−95133A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18558(P2012−18558)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【出願人】(512025942)エー プラス アール アンド ディー テクノロジー カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】A+ R&D Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.11, Lane 5, Sec. 2, Nan Shan Rd., Lu−Chu Hsiang, Taoyuan Hsien, Taiwan
【Fターム(参考)】