説明

断熱ラベル素材

【課題】面材料に接着されている断熱層を含む容器用の断熱ラベル素材を提供すること。
【解決手段】断熱ラベル素材は、繊維入りバットであってもよい断熱層を含む。該バットはフィルム、紙または布の少なくとも1層に積層される。ラベル素材は、缶、ボトルまたはパウチのような容器の周りに巻きつけることができる。ラベル素材は、それが印刷可能であるようにコーティング材料で被覆されてもよく、こうして断熱性および印刷機能の両方を容器に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面材料に接着されている断熱層を含む容器用の断熱ラベル素材に関する。面材料はフィルム、紙または布であってもよい。面材料は、それが印刷可能であるようにコーティング材料で被覆することができ、こうして断熱性および印刷可能性の両方を容器に与える。
【背景技術】
【0002】
容器用の断熱封包物は、米国特許公報(特許文献1)に開示されているもののように、公知である。この封包物は、第1の、または最内布層と、ポリマーフォームを含む第2の最内断熱層と、第3の最内金属化ポリマーフィルム反射層と、最外布メッシュ層とを含む。しかしながら、4つの異なる層の使用は、容器に良好な断熱を提供するけれども、厄介であり得、それは、ラベル素材のような他の目的用のかかる封包物の機能を限定する。
【0003】
ラベル技術において、異なる材料および異なる層は一般に、ラベル素材では使用されない。これは部分的に、異なる材料および層を積層するのが余りにも高くついたという事実による。さらに、その1つがラベルに断熱を与え、かつ、幾らかの厚さまたは嵩高さを有する、異なる材料を積層するために、嵩高い材料を押しつぶす温度に材料を加熱しなければならない。
【0004】
フィルム技術において、(非特許文献1)に開示されているような、ポリエステルウェブ−強化ポリエステルフィルムを含む薄い絶縁テープもまた公知である。しかしながら、その最高厚さで0.0075インチ(0.0190cm)であるこのテープは、容器用の断熱材料としての使用に好適ではない。
【0005】
従って、製造するのに安価である容器用の断熱材料をデザインする必要性が存在する。
かかる断熱材料は、十分な断熱を与えるために十分に厚いが、容器の周りに巻きつくように柔軟であるために十分に薄いであろう。理想的には、かかる断熱材料は、それがまたラベルとしても役立ち得るように多機能性であろう。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,871,597号明細書
【非特許文献1】3M Utilities and Telecommunications OEM
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器用の断熱材料として作用するラベル素材を提供することによって、先行技術に関連した問題を克服する。この断熱材料は、十分な嵩高さを有し、すなわち、容器に十分な断熱を与えるためには十分厚い(0.0075インチ(0.0190cm)よりも大きい)が、容器の周りに容易に巻きつけることができるようには十分薄い。この特徴のために、この断熱材料はラベル素材としても機能することができる。従って、本発明のラベル素材から作られたラベルの使用は、ラベルのみの使用よりも長く容器の内容物の温度を維持するという利点を有する。さらに、本発明のラベル素材は印刷可能であり、それによって容器用のラベルとしてのその使用を拡大する。
【0008】
本発明のラベル素材の別の利点は、好ましい実施形態において、それが、フィルムを断熱層に接着するために使用されるヒート−シール性接着剤と共に共押出されたフィルムを含むため、積層構造よりも製造するのにはさほど高価ではないことである。
【0009】
さらに、フィルムおよび断熱層は両方ともポリエステルから製造され、相溶性の接着剤を含む好ましい実施形態において、本発明のラベル素材は完全にリサイクル可能であり、それによって先行技術の公知のラベルまたは断熱材料よりも顕著な環境上の利点を提供する。
【0010】
本発明により、本発明の断熱ラベル素材は、面材料に積層されている、0.05〜0.5CLO(0.0077〜0.077m2・K/W)の熱抵抗を有する断熱層を含み、少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)の厚さである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に従って、断熱ラベル素材が提供される。かかる素材は、一般に図1および2の5で示され、図7の45で巻き取られる。ラベル素材は、ラベルを作るために別個の長さへカットされ、それらのラベルは図3〜6の15で容器に付着されて示される。本発明のラベル素材は、図1および2の30で示される断熱層を含む。この断熱層は、断熱の単位またはCLO単位で測定される時に、0.05〜0.5の熱抵抗を有する。CLO単位は、衣料品の熱抵抗の単位として定義される。熱抵抗のSI単位は、ワット当たりの平方メートルケルビン(m2・K/W)である。(「織物用語および定義(Textile Terms and Definitions)」、第10版、織物学会(The Textile Institute)出版、1995年、p.66、350を参照されたい)。従って、本発明の断熱層のSI単位での熱抵抗の範囲は、0.0077〜0.077m2・K/Wである。CLOは衣料品の点から見て定義されるけれども、この測定値は、任意の織物系の熱抵抗を表現するために使用することができ、本明細書では本発明の断熱層の熱抵抗を表現するために使用される。CLO値は、断熱層に使用される材料およびその厚さに依存する。本発明の断熱層なしで作られたラベルのCLO値は、該範囲の下端(0.05CLO、または0.0077m2・K/W)よりも下であった。
【0012】
断熱層は、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む有機熱可塑性繊維ベース材料を含む。好ましい実施形態において、断熱層はポリエステルを含む繊維入りバットである。サーモライト(THERMOLITE)(登録商標)アクティブオリジナル(Active Original)として本願特許出願人によって販売されている繊維入りバットが特に本発明での使用に好適である。本発明で使用される繊維入りバットは、10g/m2〜200g/m2の範囲の面積重量、および0.3g/cm3未満の嵩密度を有する。あるいはまた、断熱層は、3Mによって、シンスレート(THINSULATE)(登録商標)として販売されている、メルトブローンポリオレフィンのようなメルトブローン繊維を含んでもよい。
【0013】
断熱層用の断熱材料の多くの他の変形を本発明で使用することができる。例えば、断熱層はフォームを含んでもよい。フォームは、ポリウレタン、または当該技術において公知であるような他のフォーム組成物であってもよい。または断熱層は、ガラスウール、ホウケイ酸塩ガラスもしくはロックウールを含む無機熱可塑性繊維ベース材料から製造されてもよい。
【0014】
あるいはまた、断熱層は、商標クールマックス(COOLMAX)(登録商標)で本願特許出願人によって販売されている、例えば4チャネルまたはスカロップ化卵形繊維から製造された編布を含んでもよい。または断熱層は、織られた材料もしくはフリース材料であってもよい。断熱層はまた、フェルト、または高い嵩高さの不織布もしくはニードル不織布のような、ある種の不織布を含むことができる。
【0015】
断熱層は、図1および2の10でならびに図1の20でも示される面材料に積層される。「積層」とは、接着剤または他の手段によって材料の層を結びつけることを意味する。面材料はフィルム、紙および/または布であってもよい。フィルムは、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかを含む熱可塑性材料から製造される。図1に例示された実施形態において、断熱層は、2枚のシートのフィルム、紙または布の間に積層される。しかしながら、図2に示されるように、単シートの面材料を断熱層に積層することは本発明の範囲内である。面材料の厚さはラベル素材の全厚さに比べて微々たるものであるため、単シートの面材料の使用は、ラベル素材の厚さに実質的に影響を及ぼさないであろう。本発明のラベル素材は、容器に十分な断熱性を与えるために十分に厚いように、0.0075インチ(0.0190cm)より厚い厚さである。図1および2に示されるように第1層13と第2層14とを含む面材料10ならびに図1に示されるように第1層22と第2層24とを含む面材料20は、0.0002インチ(0.0005cm)と0.010インチ(0.025cm)との間の厚さであってもよい。面材料の厚さにとって好ましい範囲は、0.00048インチ(0.00121cm)〜0.0020インチ(0.0050cm)である。
【0016】
本明細書では以下「共押出フィルム」実施形態と言われる、好ましい実施形態において、面材料は、それが2層を含むように共押出されているフィルムを含む。従って、面材料10は第1層13と第2層14とを含む。この実施形態において、第1層13および第2層14は異なる材料から製造されるが、1枚のシートのフィルムを形成する。第2層14はヒートシール性であり−すなわち、それは第1層13の材料よりも低い溶融温度を有する材料から製造されており、その結果、面材料10が加熱された場合に、第2層14が軟化し、圧力が加えられた時に断熱層に接着する。同様に、面材料20は、第1層22と第2層24とを含む。やはり、第1層22および第2層24は異なる材料から製造されるが。1枚のシートのフィルムを形成する。第2層24はヒートシール性であり、すなわち、それは第1層22の材料よりも低い溶融温度を有する材料から製造されており、その結果、面材料20が加熱された場合に、第2層24が軟化し、圧力が加えられた時に断熱層に接着する。
【0017】
本発明のラベル素材は、さらに面材料上にコーティングを含むことができる。図1および2の12で示されるコーティングは、面材料の非ヒートシール性表面(すなわち、第1層13および22)上に提供される。このコーティングは印刷可能であり、その結果、断熱性を与える同じ素材がまたラベルとしても機能するかもしれない。コーティングは、アクリル、ウレタン、ポリエステルまたは当該技術で周知の他の樹脂の水性ポリマー分散液、乳濁液または溶液をベースとする標準印刷プライマーである。(例えば、米国特許第5,453,326号を参照されたい)。あるいはまた、断熱層が先に印刷され、面材料が透明である場合、面材料をコーティングしてそれを印刷可能にする必要性が取り除かれるかもしれない。
【0018】
共押出フィルム実施形態の好ましい構造において、2つの異なる厚さのフィルムが、図1の面材料10および面材料20のような面材料に使用される。図1の面材料10としての使用に好適であるフィルムの一具体例は、デラウェア州ウィルミントンのデュポン帝人フィルムから商業的に入手可能なメリネックス(MELINEX)(登録商標)854である。メリネックス(登録商標)854は、120ゲージ(0.0012インチ、つまり0.0030cm)厚さの共押出二軸延伸ポリエステルフィルムである。図1の13のようなこのフィルムの第1層は、2500ppm無機滑剤粒子を含有する標準ポリエステルホモポリマー(約0.590の固有粘度)から製造される。この層は、全フィルム厚さのおよそ65%を構成する。2300ppm無機滑剤粒子を含有する、18重量%のイソフタル酸からなるコポリエステル樹脂(約0.635の固有粘度)が共押出されてヒートシール性層(図1の14のような)を形成し、全フィルム厚さの35%(15〜40%が好ましい)を構成する。ヒートシール性層と背中合わせの第1層の表面は、インラインでグラビア塗布機によって(フィルム製造過程の間に)先に記載された水性ポリエステル分散液をベースとする印刷プライマーコーティング(図1の12)で、0.03g/m2の乾燥被覆重量で被覆される。メリネックス(登録商標)854フィルムはまた図1の面材料20としての使用に好適であるが、この面材料は、面材料10として使用された面材料よりもわずかに薄い。すべての他の形態において、面材料20として使用されるメリネックス(登録商標)854フィルムは、上述の面材料10として使用されるメリネックス(登録商標)854フィルムと同じものである。
【0019】
本発明の別の形態によれば、面材料は、それの上に印刷するのを容易にするために、コロナ放電処理によって断熱層から離れて面する表面上で改質されてもよい。具体的には、第1層13または22の表面が改質される。コロナ放電処理は、面材料上のコーティングに加えて、またはその代わりに行われてもよい。または、その代わりとして、コーティングの上面に、またはコーティングの代わりに、アルミニウム層のような蒸着された金属層が、装飾目的のためにおよび光学効果を追加するために、断熱層から離れて面する表面上に蒸着されてもよい。もしこの蒸着が行われる場合、コロナ放電処理は典型的にはこの蒸着に追加して行われないであろう。
【0020】
本発明の別の変形によれば、面材料は、装飾にとって望ましいと考えられるパターンで、断熱層から離れて面する表面上にエンボスされてもよい。エンボス加工は、必要ならば、コロナ放電処理の後に、コーティングに加えて、および蒸着に加えて行うことができる。具体的には、より薄くされた部分から表面が浮き出して見えるように、圧力および熱を用いて面材料のある部分をより薄くしてもよい。パターンでそうすることで、ラベル素材を飾ってもよい。熱および圧力は、装飾パターンに造形された金敷またはアイロンによって加えられてもよい。あるいはまた、熱および圧力は、彫刻もしくは触刻エンボスローラーまたは段プレスの彫刻レシプロ式ダイによって加えられてもよい。加えられる圧力がラベル素材中に永久的へこみを生じるように、熱は200〜400°F(93〜204℃)で加えられるべきである。熱は、少なくとも面材料を、おそらく断熱層をも軟化させるように加えられるべきである。断熱層を軟化させることは、面材料を軟化させることほど決定的に重要ではないが、エンボス過程をまた手助けする。
【0021】
さらに、表面改質(すなわち、コーティングまたはコロナ放電処理)は、接着剤層付きの別の表面への接着を容易にするために用いられてもよい。別の表面に接着するために、図1の26で示されるもののような接着剤プライマー層が、面材料の未処理表面に、またはコロナ放電処理表面に塗布される(しかし、蒸着改質表面またはエンボス表面には塗布されない)。この接着剤プライマー層は、容器へのラベルの付着を可能にするために感圧性である。さらに、図1に示されるように、剥離ライナー28が接着剤プライマー層26の表面上に提供されてもよい。剥離ライナーの役割は、容器へのラベルの付着の時点まで接着剤を保護することである。または、接着剤(接着剤プライマー層ではなく)が改質された表面に塗布される。
【0022】
本発明のラベル素材は、流体がラベル素材のへりを透過できないように、例えばホットナイフを使って、そのへりでシールされてもよい。かかるへりは図3〜6の132で示される。あるいはまた、ラベル素材はセルフシールであってもよい。このセルフシール構造では、上へりおよび底へりがすでにシールされているように、ラベル素材がそれ自体上へ折り返されてもよい。本発明のラベル素材から作られたラベルは、流体がそれのへりを透過できないように、好ましくはシールされる。
【0023】
さらに本発明に従って、容器/断熱ラベル素材システムが提供される。かかるシステムは一般に図3〜6の100で示される。該システムは、容器の表面面積のかなり大きい部分を覆うように断熱ラベル素材で包まれた容器を含む。容器は、飲料および食品の安全な保管および消費に好適な缶またはボトルであってもよい。缶は、それぞれ、図3および4の90および110で示され、ボトルは図5の115で示される。または容器は図6の140で示されるようなカップであってもよい。あるいはまた、容器はパウチであってもよく、ある場合には、ラベルがパウチそのものになってもよい。容器は、図1および2に関して上述のようにラベル素材から作られた断熱ラベルで包まれる。ラベルは、容器、または図3〜6のへり130のようなオーバーラップするへりに沿ってそれ自体のいずれかに接着されてもよい。
【0024】
図4の実施形態において、本発明のラベルは、好適なへこみ120を有するようにデザインされた缶110に付着される。ラベルのへり130が接着剤によってまたは加熱によって互いに固定される場合に、これらのへこみはラベルを適所に保持する。図6の実施形態において、カップ140は、使い捨てコーヒーカップのような、たった1回奉仕サイズの熱い飲料用に一般に用いられるタイプのものである。あるいはまた、カップは、アイスクリームカートンのようなカートンであってもよい。カップが、150で示される上の円周が160で示される底の円周よりも著しく大きい図6のような円錐部分デザインのものである場合、本発明のラベル素材から作られたラベルは、こじんまりとカップに合うように、同様な円錐部分形状に造形されてもよい。この場合には、接着剤がラベルをカップ上に保持するであろう。
【0025】
一体成形のラベル素材を形成する代わりに、断熱層を容器に接着し、次に該断熱層に面材料を接着することもまた可能である。次に面材料または収縮ラップ覆いラベルを断熱層に付着することができる。この構造で使用することができる断熱層の例は、長さにカットされて缶一面にスリップされるニットチューブである。あるいはまた、ホットメルト接着剤が、断熱されるべきである缶部分上へ吹きつけられて、嵩高いフィブリルの層を所望の厚さに構築してもよい。
【0026】
さらに本発明に従って、断熱ラベル素材を製造する方法が提供される。この方法は図7を用いて例示される。この方法では、繊維入りバット30のような、断熱層に使用されるシートの材料が供給ロール45から供給される。さらに、面材料10が供給ロール40から供給され、コーティング12が断熱層30から離れて配向され、かつ、第2層14が断熱層30に面するように配置される。さらに、面材料20が供給ロール50から供給されてもよく、接着剤層(必要ならば、図1の26で示されるような)が断熱層から離れて配向されるように配置される。図1および2に示されるような13ならびに図1に示されるような22のような、面材料の第1層は断熱層から離れて配向され、図1および2の14ならびに図1に示されるような24のような、面材料の第2層は断熱層に面する。
【0027】
30のようなシートの断熱層と、10のような少なくとも1枚のシートの面材料とが、図7に示された一対の加熱されたカレンダーロール70と80との間の加熱されたカレンダーロールニップ中へ供給される。加熱されたカレンダーロールは、断熱層と面材料との表面を互いに接着させる。カレンダーロールは、上記のように、ヒートシール性層を活性化するが面材料全体を溶融しない温度に加熱される。共押出48ゲージおよび120ゲージフィルムを面材料として、繊維入りバットを断熱層として使用する実施形態について、この温度は、200°F〜500°F(93℃〜260℃)の範囲にあり、好ましい温度範囲は280°〜320°F(137°〜160℃)である。しかしながら、450°〜500°F(232°〜260℃)の範囲のより高い温度を、高いラインスピードで、すなわち、300〜400フィート(91〜122メートル)毎分のスピードで用いることができる。カレンダーロールは、積層に好適なニップ圧を生じるのに適切な距離に互いに離して配置される。あるいはまた、共押出ヒートシール性フィルムを使用する代わりに、接着剤が面材料と断熱層との間に塗布されて、それらを互いに接着してもよい。この接着剤は、図7の供給ロール40と50との間およびカレンダーロール70と80との間に配置される、示されていないコーティングローラーによって塗布される。ラベル素材が形成され、それは、図7に示されるような巻取りロール20によってプロセス装置の端から端まで引っ張られる。
【0028】
0.0075インチ(0.0190cm)よりも大きい厚さ、好ましくは0.010インチ(0.025cm)と0.040インチ(0.102cm)との間、最も好ましくは0.020インチ(0.051cm)と0.030インチ(0.076cm)との間の厚さのラベル素材がこうして生産される。面材料の厚さがラベル素材の全厚さに比べて微々たるものであるから、このラベル素材は、図2におけるように1枚のシートの面材料、または図1におけるように2枚のシートの面材料を有するラベル素材であることができる。レベル素材の形成は、引き続いて、ラベル素材のへりをシールするホットナイフで所望の幅にカットされてもよい。次にラベル素材はカットされてラベルを形成し、そのラベルは好ましくはシールされたへりを有する。
【0029】
あるいはまた、単シートの面材料を使用する代わりに、断熱層が2枚のシートの面材料の間で加熱されたカレンダーロール中へ供給されてもよく、カレンダーロールは断熱層と面材料との表面を互いに接着させる。この実施形態はまた、両面材料10と20とが加熱されたカレンダーロール70と80との間のニップに供給される図7に例示される。1または2枚のシートの面材料のいずれかが加熱されたカレンダーロールの間に供給されるいずれかの実施形態において、断熱層バットは前もって印刷されてもよく、それによって面材料を印刷可能にするためにそれを被覆する必要性が排除される。
【0030】
本発明の精神から逸脱することなく、修正が本発明の方法に行われるかもしれないことは、当業者には明らかなはずである。例えば、本発明は、あるいはまた、断熱ラベル素材を製造する方法であって、熱可塑性ステープルファイバーを含むカードウェブが商業的に入手可能なカードマシンから供給される方法を含んでもよい。このカードウェブは、図7に関して上述の方法で繊維入りバットの代わりに加工され、それによって面材料上へ直接配置される。カードウェブおよび面材料はカレンダー過程にさらされ、それによってカードウェブからの繊維を面材料に積層させる。本実施形態に従って製造されたラベル素材は、計画的に0.020インチ(0.051cm)と0.030インチ(0.076cm)との間である好ましい実施形態厚さよりも薄いが、それでも0.0075インチ(0.0190cm)よりも大きいことが指摘されるべきである。
【0031】
本発明は、次の実施例によって例示される。実施例で使用した試験方法を下に記載する。
【0032】
試験方法
次の実施例について、CLOは、日本、カトウの加藤鉄工株式会社から商業的に入手可能な、冷凍浴付き計器である「サーモラボ(Thermolabo)II」で測定した。その浴はペンシルバニア州ピッツバーグのアライド・フィッシャー・サイエンティフィック(Allied Fisher Scientific)から入手可能である。実験室条件は21℃および65%相対湿度であった。試料は、10.5cm×10.5cmである一片の試料であった。
【0033】
6g/cm2での試料の厚さ(インチ単位)は、メリーランド州ゲイサースバーグ(Gaithersburg)のフラジール・プレシジョン・インスツルメント・カンパニー、インク(Frazier Precision Instrument Company,Inc)から商業的に入手可能なフラジール精密縮み計(Frazier Compressometer)を用いて測定した。6g/cm2での厚さを測定するために、次式を用いてダイヤル上にPSI(平方インチ当たりのポンド)(平方センチメートル当たりのキログラム)をセットした。
【0034】
【数1】

【0035】
フラジール精密縮み計較正チャート(1インチ、または2.54cm直径押え)上の0.8532の読みは、トップダイヤルを3.5psi(平方センチメートル当たり0.2キログラム)にセットすることによって、6g/cm2での厚さが測定されたことを示す。
【0036】
次にサーモラボII計器を較正した。次に温度センサー箱(BT箱)を室温の10℃上にセットした。BT箱は3.3インチ×3.3インチ(8.4cm×8.4cm)であった。2インチ×2インチである熱板を箱の中心に置き、スチロールフォームで包んだ。室温水を、金属水箱を通して循環させて一定温度に維持した。試料を水箱の上に置き、BT箱を試料の上に置いた。BT箱がその温度を1分間維持するのに必要とされるエネルギーの量(ワット単位)を記録した。試料を3回試験し、次の計算を行った。
【0037】
【数2】

【0038】
式中、
W=ワット
D=6g/cm2でのインチ単位で測定された試料の厚さ。(BT箱の重量が150gであり、BT箱上の熱板の面積が25cm2であったので、6g/cm2を使用した)。
該厚さに2.54を乗じることは、それをセンチメートルに変換した。
【0039】
A=BT板の面積(25cm2
T=10℃
【0040】
【数3】

【0041】
0.00164の値は、熱抵抗をcm2×℃/ワット単位に変換するための補正項0.0006461の2.54倍の補正(厚さをインチからセンチメートルに補正する)を含む組合せ係数であった。熱伝導率を抵抗に変換するために、伝導率を方程式の分母に置いた。
【実施例1】
【0042】
面材料10および20を供給ロールから供給する代わりに、それらを別個のシートとしてニップに供給したことを除いて、図7に関して上述の方法に従ってラベル素材を製造した。ラベル素材を、ラベルを形成するための長さにカットした。商標サーモライト(登録商標)アクティブオリジナルで本願特許出願人によって販売されているタイプの繊維入りバットを断熱層として使用した。該繊維入りバットは、0.25インチ(0.63cm)の指定厚さで100g/m2の面積重量、または0.013g/cm3の嵩密度を有した。
【0043】
面材料として使用したフィルムは、商標メリネックス(登録商標)301−Hでデラウェア州ウィルミントンのデュポン帝人フィルムによって販売されているタイプのものであった。(このフィルムは、上述のようなメリネックス(登録商標)854と同じフィルムであったが、図1に示した12および26のような、プライマーコーティングを含まなかった)。ヒート−シール性層(例えば、図1の14および24)の組成物は、イソフタル酸ベースのコポリエステルであり、全フィルム厚さの10〜50%を構成し、15〜30%が好ましかった。この実施形態において、面材料10は1.2ミル(0.0012インチ、または0.0030cm)厚さであり、面材料20は0.48ミル(0.00048インチ、または0.00122cm)厚さであった。積層後の最終ラベル素材厚さは0.025インチ(0.064cm)であった。このラベル素材からラベルを作り、それを缶の周りに巻きつけた。別のラベルをこのラベル素材から作り、それをブローしたポリエステルボトルの周りに巻きつけた。
【0044】
ヒート−シール性層を、240と350°Fとの間(116〜177℃)の温度で活性化した。データを下の表1に示し、図8および9にグラフ化する。図8および9から理解できるように、異なる活性化温度を用いる結果は、より低い温度でより大きな厚さとより大きな断熱値とを、より高い温度でより小さい厚さとより低い断熱値とを与えることである。
【0045】
【表1】

【0046】
本発明の好ましい実施態様を以下に示す。
1. 面材料に積層されている、0.05〜0.5CLO(0.0077〜0.077m2・K/W)の範囲の熱抵抗を有する断熱層を含む断熱ラベル素材であって、少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)厚さであることを特徴とするラベル素材。
2. 前記面材料がフィルム、紙または布の少なくとも1つを含むことを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
3. 前記断熱層が繊維入りバットを含むことを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
4. 前記面材料上にコーティングをさらに含み、該コーティングが印刷可能であることを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
5. 前記ラベル素材のへりがシールされていることを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
6. 前記フィルムが、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む熱可塑性材料から製造されていることを特徴とする、上記2に記載の断熱ラベル素材。
7. 前記面材料が、その上の印刷を容易にするために断熱層から離れて面している表面上で改質されることを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
8. 前記面材料が、接着剤で別の表面に接着するのを容易にするために断熱層から離れて面している表面上で改質されていることを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
9. 前記断熱層がポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含む有機熱可塑性繊維ベース材料を含むことを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
10. 前記断熱層がフォームを含むことを特徴とする、上記1に記載の断熱ラベル素材。
【0047】
11. 少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)の厚さを有する、第1層および第2層を含む少なくとも1枚のシートの共押出フィルムに積層されている断熱層を含む断熱ラベル素材であって、該第1層および該第2層は異なる材料から製造されており、かつ、前記面材料が加熱された場合に該第2層が軟化し、圧力が加えられた時に前記断熱層に接着するように、該第2層が該第1層の材料よりも低い溶融温度を有することを特徴とする素材。
12. 容器の表面積のかなり大きい部分を覆うように断熱ラベル素材で包まれた容器を含む容器/断熱ラベル素材システムであって、該ラベル素材が、面材料に積層されている、0.05〜0.5CLO(0.0077〜0.077m2・K/W)の範囲の熱抵抗を有する断熱層を含み、該ラベル素材が少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)厚さであることを特徴とするシステム。
13. 前記容器が飲料および食品の安全な保管および消費に好適な缶またはボトルであることを特徴とする、上記12に記載の容器/断熱ラベル素材システム。
14. 断熱ラベル素材を製造する方法であって、1枚のシートの断熱層と少なくとも1枚のシートの面材料とを、該断熱層の表面と該面材料の表面とを互いに接着させる加熱されたカレンダーロールニップ中へ供給し、引き続き、該断熱層と該面材料とのへりをシールするホットナイフで所望の幅にカットすることを特徴とする方法。
15. 前記断熱層が、2枚のシートの面材料の間で、加熱されたカレンダーロール中へ供給される繊維入りバットであり、該カレンダーロールが該繊維入りバットと該面材料との表面を互いに接着させることを特徴とする、上記14に記載の方法。
16. 接着剤が前記面材料と前記断熱層との間に挿入されることを特徴とする、上記14に記載の方法。
17. 前記断熱層がカードウェブであることを特徴とする、上記14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】断熱層の両側面上に面材料を示す、本発明によるラベル素材の断面図である。
【図2】図1に似ているが、断熱層の一側面だけに積層された面材料を示す、本発明のラベル素材の断面図である。
【図3】本発明に従ってラベル素材からカットされたラベルで包まれた容器の斜視図である。
【図4】本発明に従ってラベル素材からカットされたラベルで包まれた、へこみを有する容器の斜視図である。
【図5】本発明に従ってラベル素材からカットされたラベルで包まれたボトルの斜視図である。
【図6】本発明に従ってラベル素材からカットされたラベルで包まれたカップの斜視図である。
【図7】本発明によるラベル素材を製造するのに好適な一装置の略図である。
【図8】面材料のヒート−シール性層が活性化される温度対実施例1で製造されたラベル素材の厚さを示すグラフである。
【図9】面材料のヒート−シール性層が活性化されて断熱層に積層されう温度対実施例1で製造されたラベル素材の、CLO単位で測定された断熱値を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)厚さを有し、かつ面材料の少なくとも1つのシートに、接着剤又は他の手段により、直接ラミネートされた断熱層を含むラベル素材であって、断熱層が、繊維、繊維入りバット、フォーム、編布、織られた材料もしくはフリース材料を含むことを特徴とするラベル素材。
【請求項2】
少なくとも0.0075インチ(0.0190cm)厚さを有する断熱ラベル素材であって、該ラベル素材が、その上に接着剤又は他の手段によりラミネートされた面材料、上端と下端を有し、断熱層が、繊維、繊維入りバット、フォーム、編布、織られた材料もしくはフリース材料を含み、面材料はラベル素材の厚みに実質的に影響を与えず、面材料がフォーム、フィルム又は繊維であり、かつ流体が断熱ラベルのへりを透過できないように、上へりと下へりに沿ってシールされていることを特徴とする断熱ラベル素材。
【請求項3】
請求項1記載の断熱ラベル素材で包装されてなる容器。
【請求項4】
1枚のシートの断熱層と少なくとも1枚のシートの面材料とを、加熱されたカレンダーロールニップ中へ供給して、該断熱層の表面と該面材料の表面とを互いに接着させ;断熱層から離れている面材料の表面に接着剤層又は接着剤プライマー層を供給し;流体が断熱ラベルのへりを透過できないように、該断熱層と該面材料とのへりをシールするホットナイフで所望の幅にカットすることを特徴とする断熱ラベル素材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−23356(P2009−23356A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272225(P2008−272225)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2002−581502(P2002−581502)の分割
【原出願日】平成14年4月10日(2002.4.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】