断熱改修壁
【課題】容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱改修壁を提供する。
【解決手段】コンセント11と電灯スイッチ12とを有し室内空間を構成する断熱改修面10に設けられた複数の面シール多芯真空断熱材14,15は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材13が、互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、複数の芯材13のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材の間に芯材13が無い部分の外被材同士を密着させて、密着した外被材同士を熱溶着してなり、面シール多芯真空断熱材14は、コンセント11と電灯スイッチ12の位置に相当する段には芯材13が配置されておらず外被材同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されている。
【解決手段】コンセント11と電灯スイッチ12とを有し室内空間を構成する断熱改修面10に設けられた複数の面シール多芯真空断熱材14,15は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材13が、互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、複数の芯材13のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材の間に芯材13が無い部分の外被材同士を密着させて、密着した外被材同士を熱溶着してなり、面シール多芯真空断熱材14は、コンセント11と電灯スイッチ12の位置に相当する段には芯材13が配置されておらず外被材同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱改修壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制(地球環境保護)の観点より、家電製品や産業機器の省エネルギー化と並び住宅等の建物の省エネルギー化も取り組むべき重要な課題となっている。そのため、様々な断熱改修壁が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に示されているように、昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅(築24年の木造在来軸組工法2階建て住宅)の2階天井及び1階床下の断熱改修を行った場合、天井では小屋裏の既存断熱を残し、その上に新規断熱材を吹き込み、また床では床下から根太間に断熱材を充填し根太下にも同様の断熱材の充填を行う。施工はそれぞれ作業員3名(約5時間)・監督1名、作業員5名(約10時間)・監督2名で行い、約16万円と約37万円の費用がかかっている。
【0004】
図5は、特許文献1により開示されている従来の断熱改修壁の概略断面図である。図5に示すように、特許文献1における従来の断熱改修壁は、躯体α上にボード102を形成した既存壁よりなる下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成し、次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103上に乾式壁材107を施工している。
【非特許文献1】齋藤宏昭ら、”昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅を対象とする実用的断熱改修方法の検証”、独立行政法人 建築研究所、2006年
【特許文献1】特開平7−11717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の断熱改修(非特許文献1)では、2階天井の施工においては作業員3名(約5時間)・監督1名で約16万円の費用を要し、1階床下の施工においては作業員5名(約10時間)・監督2名で約37万円の費用を要する。
【0006】
また特許文献1による従来の断熱改修壁では、住宅駆体の断熱性能を向上させるため、下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地101全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成する。次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103の表面に貼付した粘着テープによって、胴縁103上に防水シート106と乾式壁材107を施工する。
【0007】
このように、断熱改修については本格的な工事が伴い、簡易に高性能な断熱改修を行うことが困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱改修壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の断熱改修壁は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0010】
また、別の本発明の断熱改修壁は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1に記載の断熱改修壁の発明は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の断熱改修壁には、断熱改修用の断熱材として、複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材の間に芯材が無い部分の外被材同士を密着させて、密着した外被材同士を熱溶着してなり、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材(以下、面シール多芯真空断熱材と称する)が使用されており、面シール多芯真空断熱材は、複数の各芯材がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0015】
また、本発明で用いる面シール多芯真空断熱材は、外被材同士が熱溶着された箇所にコンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているものであり、コンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔の断面には芯材が無いため芯材がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0016】
また、請求項2に記載の断熱改修壁の発明は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の断熱改修壁には、面シール多芯真空断熱材が使用されており、面シール多芯真空断熱材は、複数の各芯材がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0018】
また、本発明で用いる複数の面シール多芯真空断熱材のうちコンセントまたはスイッチと対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材は、外被材同士が熱溶着された箇所にコンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているものであり、コンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔の断面には芯材が無いため芯材がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0019】
また、コンセントまたはスイッチと対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材のみを、コンセントまたはスイッチの位置や形状、大きさに合わせた貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材とし、コンセントまたはスイッチと対向する箇所以外に設けられる面シール多芯真空断熱材を汎用の面シール多芯真空断熱材とすることで、汎用の面シール多芯真空断熱材を量産してコスト低減が図れ、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材の大きさを請求項1に記載の発明で用いる面シール多芯真空断熱材より小さくでき、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材の製造が容易になる。
【0020】
また、請求項3に記載の断熱改修壁の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貫通孔の周囲の前記芯材が無く前記外被材同士が熱溶着されている部分に、前記真空断熱材と略同じ厚みの発泡断熱材を配置したことを特徴とする。
【0021】
この断熱改修壁は、請求項1に記載の発明の効果に加え、任意の形状に容易に加工できる発泡断熱材により、面シール多芯真空断熱材における貫通孔(コンセントまたはスイッチ)周辺の芯材の無い部分の断熱強化を図ることができる効果が得られる。
【0022】
また、請求項4に記載の断熱改修壁の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置したことを特徴とする。
【0023】
面シール多芯真空断熱材は、芯材がある部分と無い部分とで厚みが異なることにより表面に凹凸があり、また、芯材がある部分は断熱性が優れるが、芯材が無い部分は断熱性能が悪く、10mmを超える厚みに製造することが困難である。そこで、真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置することにより、芯材が無い部分の断熱性能を向上させ、室内側からの真空断熱材への衝撃を発泡断熱材で緩和し、また、真空断熱材に室内側からの衝撃が直接加わることを発泡断熱材で防いで、芯材がある部分の破袋等による断熱劣化の可能性を大きく低減し、室内側の断熱改修面の平面性の確保を図ることができる効果が得られる。
【0024】
また、請求項5に記載の断熱改修壁の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記発泡断熱材が、ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームであることを特徴とするものであり、これらの発泡断熱材は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れているため、請求項3または4の発明の効果を得るのに適している。
【0025】
次に、面シール多芯真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0026】
芯材に使用する材料は、気相比率90%前後の多孔体をシート状または板状に加工したものであり、工業的に利用できるものとして、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。但し、外被材同士を熱溶着する時の熱で融けないものが好ましい。
【0027】
このうち、発泡体としては、耐熱性に優れた材料の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
【0028】
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
【0029】
また、これら、発泡体、粉体、および繊維体等の混合物も適用することができる。
【0030】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0031】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0032】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0033】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における断熱改修壁の構成図、図2は同実施の形態の断熱改修壁に用いた面シール多芯真空断熱材の断面図である。
【0035】
実施の形態1における断熱改修壁は、断熱改修対象外部分としてコンセント11と電灯スイッチ12とを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の断熱改修面10に、複数の面シール多芯真空断熱材14,15を設けた断熱改修壁であって、複数の面シール多芯真空断熱材14,15は、熱溶着層18同士が対向するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材16の間に、複数の厚さ3〜10mmの繊維積層体からなる芯材13が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して横に3列、縦に複数段、碁盤目状に配置されて減圧密封されており、複数の芯材13のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材16の間に芯材13が無い部分の外被材16同士を密着させて、密着した外被材16同士を熱溶着してなり、外被材16同士が密着する全ての部分の外被材16同士が熱溶着されており、複数の面シール多芯真空断熱材14,15のうちコンセント11と電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14は、コンセント11と電灯スイッチ12の位置に相当する最下段と中央の段には芯材13が配置されておらず外被材16同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されている。
【0036】
断熱改修面10のコンセント11と電灯スイッチ12が位置する部分(左右方向の両端)に外周部28及び目地部25以外に芯材13が無い芯材無し部を有する面シール多芯真空断熱材14を適用し、コンセント11と電灯スイッチ12を有しない部分(左右方向の中央部分)には外周部28及び目地部25以外には芯材13なし部を有さない面シール多芯真空断熱材15を適用する。
【0037】
本実施の形態の断熱改修面10は左右方向に5分割され、断熱改修面10の左側より、面シール多芯真空断熱材14、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材14を配置している。
【0038】
外被材16は、芯材13側より、ポリエチレン等よりなる熱溶着層18、10μm以下のアルミ箔19、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第2の保護層20、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第1の保護層21より構成されている。
【0039】
面シール多芯真空断熱材14,15の左右の外周端部の室内側には、面シール多芯真空断熱材14,15の固定用の胴縁26が配置される。胴縁26は、面シール多芯真空断熱材14,15を室内側から覆い保護する突き刺し防止板27の固定にも利用される。
【0040】
本実施の形態の断熱改修壁には、面シール多芯真空断熱材14,15が使用されており、面シール多芯真空断熱材14,15は、複数の各芯材13がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材14,15としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材14,15は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0041】
また、複数の面シール多芯真空断熱材14,15のうちコンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14は、外被材16同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されているものであり、コンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔の断面には芯材13が無いため芯材13がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材13の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0042】
また、コンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14のみを、コンセント11または電灯スイッチ12の位置や形状、大きさに合わせた貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14とし、コンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所以外に設けられる面シール多芯真空断熱材15を汎用の面シール多芯真空断熱材15とすることで、汎用の面シール多芯真空断熱材15を量産してコスト低減が図れ、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14の大きさは、断熱改修面10を左右に5分割した大きさであるため、断熱改修面10を1つの特別な面シール多芯真空断熱材14で覆う場合より小さくでき、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14の製造が容易になる。
【0043】
尚、本実施の形態においては、面シール多芯真空断熱材14,15の芯材13の配列を横方向に3列、面シール多芯真空断熱材14におけるコンセント11と電灯スイッチ12との間の芯材13の配列を縦方向に2段、面シール多芯真空断熱材14における電灯スイッチ12より上方の芯材13の配列を縦方向に3段、面シール多芯真空断熱材15の芯材13の配列を縦方向に7段と説明したが、この数に対してこだわる必要は無い。
【0044】
また、断熱改修対象外部分は、コンセント11、電灯スイッチ12として説明を行ったが、これら以外に電灯、警報装置等の室内の壁に固定されているものは断熱改修対象外部分と考えてよい。
【0045】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における断熱改修壁の構成図である。
【0046】
実施の形態2の断熱改修壁は、実施の形態1の断熱改修壁における面シール多芯真空断熱材14の、貫通孔の周囲の芯材13が無く外被材16同士が熱溶着されている部分に、面シール多芯真空断熱材14と略同じ厚みのウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材23を配置したものである。
【0047】
本実施の形態では、任意の形状に容易に加工できる発泡断熱材23により、面シール多芯真空断熱材14における貫通孔(コンセント11または電灯スイッチ12)周辺の芯材13の無い部分の断熱強化を図ることができる。
【0048】
ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材23は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れている。
【0049】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における断熱改修壁の断面図である。
【0050】
実施の形態3の断熱改修壁は、実施の形態2の断熱改修壁における面シール多芯真空断熱材14,15の室内側に、胴縁26の厚みから面シール多芯真空断熱材14,15の厚みを引いた寸法と略同じ厚みまたは若干薄い厚みのウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材24を配置し、胴縁26と面シール多芯真空断熱材14,15と発泡断熱材24とを室内側から覆う突き刺し防止板27を、胴縁26に固定したものである。
【0051】
面シール多芯真空断熱材14,15は、芯材13がある部分と無い部分とで厚みが異なることにより表面に凹凸があり、また、芯材13がある部分は断熱性が優れるが、芯材13が無い部分は断熱性能が悪く、10mmを超える厚みに製造することが困難である。そこで、面シール多芯真空断熱材14,15の室内側に発泡断熱材24を配置することにより、芯材13が無い部分の断熱性能を向上させ、室内側からの面シール多芯真空断熱材14,15への衝撃を発泡断熱材24で緩和し、また、面シール多芯真空断熱材14,15に室内側からの衝撃が直接加わることを発泡断熱材24で防いで、芯材13がある部分の破袋等による断熱劣化の可能性を大きく低減し、室内側の断熱改修面の平面性の確保を図ることができる。
【0052】
ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材24は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる断熱改修壁は、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果がある。そのため、住宅用の建物や商業用の建物、その他、断熱が必要な建物に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱改修壁の構成図
【図2】同実施の形態の断熱改修壁に用いた面シール多芯真空断熱材の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における断熱改修壁の構成図
【図4】本発明の実施の形態3における断熱改修壁の断面図
【図5】従来の断熱改修壁の断面図
【符号の説明】
【0055】
10 断熱改修面
11 コンセント
12 電灯スイッチ
13 芯材
14,15 面シール多芯真空断熱材
16 外被材
18 熱溶着層
23 発泡断熱材
24 発泡断熱材
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱改修壁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制(地球環境保護)の観点より、家電製品や産業機器の省エネルギー化と並び住宅等の建物の省エネルギー化も取り組むべき重要な課題となっている。そのため、様々な断熱改修壁が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0003】
非特許文献1に示されているように、昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅(築24年の木造在来軸組工法2階建て住宅)の2階天井及び1階床下の断熱改修を行った場合、天井では小屋裏の既存断熱を残し、その上に新規断熱材を吹き込み、また床では床下から根太間に断熱材を充填し根太下にも同様の断熱材の充填を行う。施工はそれぞれ作業員3名(約5時間)・監督1名、作業員5名(約10時間)・監督2名で行い、約16万円と約37万円の費用がかかっている。
【0004】
図5は、特許文献1により開示されている従来の断熱改修壁の概略断面図である。図5に示すように、特許文献1における従来の断熱改修壁は、躯体α上にボード102を形成した既存壁よりなる下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成し、次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103上に乾式壁材107を施工している。
【非特許文献1】齋藤宏昭ら、”昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅を対象とする実用的断熱改修方法の検証”、独立行政法人 建築研究所、2006年
【特許文献1】特開平7−11717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際の断熱改修(非特許文献1)では、2階天井の施工においては作業員3名(約5時間)・監督1名で約16万円の費用を要し、1階床下の施工においては作業員5名(約10時間)・監督2名で約37万円の費用を要する。
【0006】
また特許文献1による従来の断熱改修壁では、住宅駆体の断熱性能を向上させるため、下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地101全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成する。次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103の表面に貼付した粘着テープによって、胴縁103上に防水シート106と乾式壁材107を施工する。
【0007】
このように、断熱改修については本格的な工事が伴い、簡易に高性能な断熱改修を行うことが困難である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱改修壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の断熱改修壁は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0010】
また、別の本発明の断熱改修壁は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
請求項1に記載の断熱改修壁の発明は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の断熱改修壁には、断熱改修用の断熱材として、複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材の間に芯材が無い部分の外被材同士を密着させて、密着した外被材同士を熱溶着してなり、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材(以下、面シール多芯真空断熱材と称する)が使用されており、面シール多芯真空断熱材は、複数の各芯材がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0015】
また、本発明で用いる面シール多芯真空断熱材は、外被材同士が熱溶着された箇所にコンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているものであり、コンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔の断面には芯材が無いため芯材がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0016】
また、請求項2に記載の断熱改修壁の発明は、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の断熱改修壁には、面シール多芯真空断熱材が使用されており、面シール多芯真空断熱材は、複数の各芯材がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0018】
また、本発明で用いる複数の面シール多芯真空断熱材のうちコンセントまたはスイッチと対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材は、外被材同士が熱溶着された箇所にコンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているものであり、コンセントまたはスイッチを露出させる貫通孔の断面には芯材が無いため芯材がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材のうち貫通孔に近接する芯材と貫通孔との間の外被材同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0019】
また、コンセントまたはスイッチと対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材のみを、コンセントまたはスイッチの位置や形状、大きさに合わせた貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材とし、コンセントまたはスイッチと対向する箇所以外に設けられる面シール多芯真空断熱材を汎用の面シール多芯真空断熱材とすることで、汎用の面シール多芯真空断熱材を量産してコスト低減が図れ、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材の大きさを請求項1に記載の発明で用いる面シール多芯真空断熱材より小さくでき、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材の製造が容易になる。
【0020】
また、請求項3に記載の断熱改修壁の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貫通孔の周囲の前記芯材が無く前記外被材同士が熱溶着されている部分に、前記真空断熱材と略同じ厚みの発泡断熱材を配置したことを特徴とする。
【0021】
この断熱改修壁は、請求項1に記載の発明の効果に加え、任意の形状に容易に加工できる発泡断熱材により、面シール多芯真空断熱材における貫通孔(コンセントまたはスイッチ)周辺の芯材の無い部分の断熱強化を図ることができる効果が得られる。
【0022】
また、請求項4に記載の断熱改修壁の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置したことを特徴とする。
【0023】
面シール多芯真空断熱材は、芯材がある部分と無い部分とで厚みが異なることにより表面に凹凸があり、また、芯材がある部分は断熱性が優れるが、芯材が無い部分は断熱性能が悪く、10mmを超える厚みに製造することが困難である。そこで、真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置することにより、芯材が無い部分の断熱性能を向上させ、室内側からの真空断熱材への衝撃を発泡断熱材で緩和し、また、真空断熱材に室内側からの衝撃が直接加わることを発泡断熱材で防いで、芯材がある部分の破袋等による断熱劣化の可能性を大きく低減し、室内側の断熱改修面の平面性の確保を図ることができる効果が得られる。
【0024】
また、請求項5に記載の断熱改修壁の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記発泡断熱材が、ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームであることを特徴とするものであり、これらの発泡断熱材は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れているため、請求項3または4の発明の効果を得るのに適している。
【0025】
次に、面シール多芯真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
【0026】
芯材に使用する材料は、気相比率90%前後の多孔体をシート状または板状に加工したものであり、工業的に利用できるものとして、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。但し、外被材同士を熱溶着する時の熱で融けないものが好ましい。
【0027】
このうち、発泡体としては、耐熱性に優れた材料の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
【0028】
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
【0029】
また、これら、発泡体、粉体、および繊維体等の混合物も適用することができる。
【0030】
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
【0031】
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
【0032】
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
【0033】
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における断熱改修壁の構成図、図2は同実施の形態の断熱改修壁に用いた面シール多芯真空断熱材の断面図である。
【0035】
実施の形態1における断熱改修壁は、断熱改修対象外部分としてコンセント11と電灯スイッチ12とを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の断熱改修面10に、複数の面シール多芯真空断熱材14,15を設けた断熱改修壁であって、複数の面シール多芯真空断熱材14,15は、熱溶着層18同士が対向するガスバリア性のラミネートフィルムからなる外被材16の間に、複数の厚さ3〜10mmの繊維積層体からなる芯材13が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して横に3列、縦に複数段、碁盤目状に配置されて減圧密封されており、複数の芯材13のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、外被材16の間に芯材13が無い部分の外被材16同士を密着させて、密着した外被材16同士を熱溶着してなり、外被材16同士が密着する全ての部分の外被材16同士が熱溶着されており、複数の面シール多芯真空断熱材14,15のうちコンセント11と電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14は、コンセント11と電灯スイッチ12の位置に相当する最下段と中央の段には芯材13が配置されておらず外被材16同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されている。
【0036】
断熱改修面10のコンセント11と電灯スイッチ12が位置する部分(左右方向の両端)に外周部28及び目地部25以外に芯材13が無い芯材無し部を有する面シール多芯真空断熱材14を適用し、コンセント11と電灯スイッチ12を有しない部分(左右方向の中央部分)には外周部28及び目地部25以外には芯材13なし部を有さない面シール多芯真空断熱材15を適用する。
【0037】
本実施の形態の断熱改修面10は左右方向に5分割され、断熱改修面10の左側より、面シール多芯真空断熱材14、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材15、面シール多芯真空断熱材14を配置している。
【0038】
外被材16は、芯材13側より、ポリエチレン等よりなる熱溶着層18、10μm以下のアルミ箔19、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第2の保護層20、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第1の保護層21より構成されている。
【0039】
面シール多芯真空断熱材14,15の左右の外周端部の室内側には、面シール多芯真空断熱材14,15の固定用の胴縁26が配置される。胴縁26は、面シール多芯真空断熱材14,15を室内側から覆い保護する突き刺し防止板27の固定にも利用される。
【0040】
本実施の形態の断熱改修壁には、面シール多芯真空断熱材14,15が使用されており、面シール多芯真空断熱材14,15は、複数の各芯材13がその真空レベルに対し独立しており熱伝導率も小さく良好であるため、断熱改修を行う壁への設置等において断熱劣化が生じてもその部分だけの断熱性が悪化するだけで面シール多芯真空断熱材14,15としての断熱性の悪化は小さくできる効果が得られる。また、面シール多芯真空断熱材14,15は、対向する二枚の外被材の外周部同士のみを熱溶着した真空断熱材や三方を熱溶着した袋状の外被材に芯材を入れて袋状の外被材の開口部を熱溶着した真空断熱材と比べて、熱溶着部を広く形成することが可能であるため、断熱改修を行う壁への設置等においてピンホールが発生した場合でも、ピンホール発生箇所と芯材との間に熱溶着部がある可能性が高く、真空断熱材が断熱劣化し難いという効果が得られる。
【0041】
また、複数の面シール多芯真空断熱材14,15のうちコンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14は、外被材16同士が熱溶着された箇所にコンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔が設けられ、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されているものであり、コンセント11または電灯スイッチ12を露出させる貫通孔の断面には芯材13が無いため芯材13がこぼれたり、飛散することが無い効果が得られると共に、芯材13の飛散防止等のために、貫通孔の切断面を加工する必要も無い効果が得られる。更に、貫通孔の周囲は熱溶着されており、複数の芯材13のうち貫通孔に近接する芯材13と貫通孔との間の外被材16同士が熱溶着されているいるため、貫通孔の切断面から侵入する空気量は少なくできるため長期信頼性の向上を図ることができる効果が得られる。
【0042】
また、コンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所に設けられる面シール多芯真空断熱材14のみを、コンセント11または電灯スイッチ12の位置や形状、大きさに合わせた貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14とし、コンセント11または電灯スイッチ12と対向する箇所以外に設けられる面シール多芯真空断熱材15を汎用の面シール多芯真空断熱材15とすることで、汎用の面シール多芯真空断熱材15を量産してコスト低減が図れ、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14の大きさは、断熱改修面10を左右に5分割した大きさであるため、断熱改修面10を1つの特別な面シール多芯真空断熱材14で覆う場合より小さくでき、貫通孔を有する特別な面シール多芯真空断熱材14の製造が容易になる。
【0043】
尚、本実施の形態においては、面シール多芯真空断熱材14,15の芯材13の配列を横方向に3列、面シール多芯真空断熱材14におけるコンセント11と電灯スイッチ12との間の芯材13の配列を縦方向に2段、面シール多芯真空断熱材14における電灯スイッチ12より上方の芯材13の配列を縦方向に3段、面シール多芯真空断熱材15の芯材13の配列を縦方向に7段と説明したが、この数に対してこだわる必要は無い。
【0044】
また、断熱改修対象外部分は、コンセント11、電灯スイッチ12として説明を行ったが、これら以外に電灯、警報装置等の室内の壁に固定されているものは断熱改修対象外部分と考えてよい。
【0045】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における断熱改修壁の構成図である。
【0046】
実施の形態2の断熱改修壁は、実施の形態1の断熱改修壁における面シール多芯真空断熱材14の、貫通孔の周囲の芯材13が無く外被材16同士が熱溶着されている部分に、面シール多芯真空断熱材14と略同じ厚みのウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材23を配置したものである。
【0047】
本実施の形態では、任意の形状に容易に加工できる発泡断熱材23により、面シール多芯真空断熱材14における貫通孔(コンセント11または電灯スイッチ12)周辺の芯材13の無い部分の断熱強化を図ることができる。
【0048】
ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材23は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れている。
【0049】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における断熱改修壁の断面図である。
【0050】
実施の形態3の断熱改修壁は、実施の形態2の断熱改修壁における面シール多芯真空断熱材14,15の室内側に、胴縁26の厚みから面シール多芯真空断熱材14,15の厚みを引いた寸法と略同じ厚みまたは若干薄い厚みのウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材24を配置し、胴縁26と面シール多芯真空断熱材14,15と発泡断熱材24とを室内側から覆う突き刺し防止板27を、胴縁26に固定したものである。
【0051】
面シール多芯真空断熱材14,15は、芯材13がある部分と無い部分とで厚みが異なることにより表面に凹凸があり、また、芯材13がある部分は断熱性が優れるが、芯材13が無い部分は断熱性能が悪く、10mmを超える厚みに製造することが困難である。そこで、面シール多芯真空断熱材14,15の室内側に発泡断熱材24を配置することにより、芯材13が無い部分の断熱性能を向上させ、室内側からの面シール多芯真空断熱材14,15への衝撃を発泡断熱材24で緩和し、また、面シール多芯真空断熱材14,15に室内側からの衝撃が直接加わることを発泡断熱材24で防いで、芯材13がある部分の破袋等による断熱劣化の可能性を大きく低減し、室内側の断熱改修面の平面性の確保を図ることができる。
【0052】
ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームからなる発泡断熱材24は、低い熱伝導率を有しており、加工性・平面性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかる断熱改修壁は、真空断熱材にピンホールが発生した時に真空断熱材全体の断熱性能の大幅な低下を防止できる。また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的で、従来の住宅の壁・床・天井等をそのまま利用することによる簡易的・高性能な断熱改修を行うことができ、コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁にも適用できる効果がある。そのため、住宅用の建物や商業用の建物、その他、断熱が必要な建物に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱改修壁の構成図
【図2】同実施の形態の断熱改修壁に用いた面シール多芯真空断熱材の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における断熱改修壁の構成図
【図4】本発明の実施の形態3における断熱改修壁の断面図
【図5】従来の断熱改修壁の断面図
【符号の説明】
【0055】
10 断熱改修面
11 コンセント
12 電灯スイッチ
13 芯材
14,15 面シール多芯真空断熱材
16 外被材
18 熱溶着層
23 発泡断熱材
24 発泡断熱材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、
前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする断熱改修壁。
【請求項2】
コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、
前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、
前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする断熱改修壁。
【請求項3】
前記貫通孔の周囲の前記芯材が無く前記外被材同士が熱溶着されている部分に、前記真空断熱材と略同じ厚みの発泡断熱材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の断熱改修壁。
【請求項4】
前記真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の断熱改修壁。
【請求項5】
前記発泡断熱材は、ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームであることを特徴とする請求項3または4に記載の断熱改修壁。
【請求項1】
コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、
前記真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする断熱改修壁。
【請求項2】
コンセントまたはスイッチを有し室内空間を構成する既存壁の室内側の面に、複数の真空断熱材を設けた断熱改修壁であって、
前記複数の真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性の外被材の間に、複数の芯材が、厚み方向に略垂直な方向に互いに所定間隔以上離して配置されて減圧密封されており、前記複数の芯材のそれぞれが独立した減圧空間内に位置するように、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、
前記複数の真空断熱材のうち前記コンセントまたは前記スイッチと対向する箇所に設けられる前記真空断熱材は、前記外被材同士が熱溶着された箇所に前記コンセントまたは前記スイッチを露出させる貫通孔が設けられ、前記複数の芯材のうち前記貫通孔に近接する前記芯材と前記貫通孔との間の前記外被材同士が熱溶着されていることを特徴とする断熱改修壁。
【請求項3】
前記貫通孔の周囲の前記芯材が無く前記外被材同士が熱溶着されている部分に、前記真空断熱材と略同じ厚みの発泡断熱材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の断熱改修壁。
【請求項4】
前記真空断熱材の室内側に発泡断熱材を配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の断熱改修壁。
【請求項5】
前記発泡断熱材は、ウレタンフォーム、発泡スチロール、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームであることを特徴とする請求項3または4に記載の断熱改修壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−293183(P2009−293183A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144486(P2008−144486)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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