説明

新しい小板状の形態の2,9−ジクロロキナクリドン

本発明は、新しい小板状の形態での2,9−ジクロロキナクリドン、その製造方法および高分子量有機材料を着色するためのその使用に関する。小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンは、長さ1〜45μm、幅0.1〜20μm及び平均厚さ0.01〜5μm、特に0.03〜0.200μmを有し、規約反射における色彩値hが≦31であり、及び/又は透過における明度Lが≧20であり、及び/又は照射角及び視野角(鏡面反射角)45°/110°(+25°)〜45°/90°(+45°)からの減少するb値及び増大するa値を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい小板状の形態での(Platelet form)2,9−ジクロロキナクリドン、その製造方法および高分子量有機材料を着色するためのその使用に関する。
【0002】
US4,370,270には、少なくとも長さ10μm及び幅3μmのフレークの形態で合成される小板状の形態でのβ−修飾の銅フタロシアニンが記述されている。焼き付けワニスに組み込まれる時、この顔料は青色の金属効果仕上げを付与する。
【0003】
7,14−ジオキソ−5,7,12,14−テトラヒドロキノロノ(2,3−b)アクリドン(7,14-dioxyo-5,7,12,14-tetrahydroquinolono(2,3-b)acridone)ともいわれるキナクリドンは、貴重な顔料である。多くの特許には、粒径1μm以下を有する特別な透明又は不透明なキナクリドン顔料型の製造が記述されている。
【0004】
さらに、以下の式:
【0005】
【化1】

【0006】
の直鎖状2,9−ジクロロキナクリドンは、3種の同質異像で存在することが知られている(Chemical Reviews, 67, 1, 1-18 (1967))。帯青赤色γ−修飾は、商業上非常に興味深い。
【0007】
一般的に、熱安定性の有機顔料を高温で昇華させ得ることが知られている。2,9−ジクロロキナクリドン粉末を350℃超える温度まで加熱することにより、厚さ2−3μm及び長さ50−150μmの板状構造を有する過大な薄板結晶が成長し、それらの形成は科学的に考察された(Farbe und Lack, 77, 8, 759-769 (1971))。
【0008】
EP0466649には、粒径0.1〜5μmを有する針状角柱粒子の形態で存在することが知られている粗2,9−ジクロロキナクリドンが、長鎖チオール化合物及び塩基の存在下、極性溶媒中での再結晶により、小板様の形態を有する「エフェクト(effect)」顔料に容易かつ効果的に転換することができることを開示されている。得られた小板状の形態は、さまざまなコーティング系に組み込まれる時、優れた光沢効果を提供すると言われている。
【0009】
EP0466649のプロセスは、粗2,9−ジクロロキナクリドンを、極性溶媒(例えば、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、そして好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドなど)中で、脂肪族長鎖チオール化合物(例えば、n−デカンチオール、n−ドデカンチオール及びtert−ドデカンチオールなど)及び塩基と一緒に撹拌し、転換が完了するまで、選ばれた条件により通常1〜24時間、50℃以上の温度に、好ましくは還流温度で混合物を加熱して行われる。小板状の形態への転換の間、水は、プロセスを妨げない量で存在してもよい。EP0466649にしたがって得られた顔料小板状体は、長さ1−45μm、幅0.1−20μm及び厚さ0.05−5μmを示す。特に好ましい顔料は、長さ1−20μm、幅0.1−7μm及び厚さ0.5−2.0μmの小板状体を少なくとも50重量%を含有する。
【0010】
今や、驚くべきことに、粒径0.01〜5μmを有する針状角柱粒子の形態で存在することが知られている粗2,9−ジクロロキナクリドンが、脂肪族長鎖チオール化合物を使用しないで小板状様の形態を有する「エフェクト」顔料に容易かつ効率よく転換できることが発見された。
【0011】
こうして、本発明は小板状体及び顔料の形態において請求項1の2,9−ジクロロキナクリドンの製造方法に関し、この方法は、
(a) 粗2,9−ジクロロキナクリドンを塩基の存在下、高温で、極性溶媒中に分散させ、次いで部分的に溶解すること、
(b) 水を加えて、随意に(optionally)温度を下げることにより所望の小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンを沈殿させること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンのマイクロ写真である。
【図2】図2は、CIELAB色空間における2種の顔料の角度依存色変化を示す。
【図3】図3は、本発明の実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折パターンである。
【0013】
2,9−ジクロロキナクリドンの小板状体の形態を製造するための新規な方法は、塩基の存在下、高温で、極性溶媒中に粗2,9−ジクロロキナクリドンを分散させ、次いで部分的に溶解させて行われる。高温とは、100℃から溶媒の還流温度まで、特に120℃から溶媒の還流温度までを意味する。前記プロセス工程において、少量の水が存在することがある。所望の小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンの沈殿は、水を加えて、温度を下げることにより達成され、ここで、水の添加速度並びに温度調節が最も決定的なポイントである。転換は、圧力下で実施することができるが、大気圧での転換が好ましい。再結晶を水の添加並びに温度を下げて達成される非常に厳密な制御により、EP0466649に記述されるものと比較してより角度のある小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンを得ることが可能である。析出の完了後、懸濁液を室温に冷却し、濾過し、濾液を水で洗浄して、ナトリウムメチラートを除去し、次いで顔料を乾燥させる。
【0014】
出発する2,9−ジクロロキナクリドン粗製物は、粒径0.01〜5μmを有する従来の商業的に入手可能な針状(針状角柱)2,9−ジクロロキナクリドン粗製物である。
【0015】
適切な極性溶媒は、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、及びN−メチル−ピロリドン(NMP)である。N,N−ジメチルホルムアミド及びN−メチル−ピロリドンが好ましく、N−メチル−ピロリドンが最も好ましい。溶媒は、水が存在していない必要はない。工程a)における少量の水の添加は、有利な結果になることが分かった。
【0016】
適切な塩基は、アルカリ金属水酸化物、又はメトキシドである。この目的のために特に適していると判明している塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又はそれらのメトキシド、好ましくはナトリウムメトキシドである。
【0017】
粗2,9−ジクロロキナクリドンと水のモル比は、1:2〜1:20である。水の量が十分でない場合、2,9−ジクロロキナクリドン小板状体の収率は乏しく、不要な顔料形態(針状物)が形成される。
【0018】
溶媒の量は、溶媒の極性及び使用する塩基の量、すなわち、アルカリ性溶媒中の2,9−ジクロロキナクリドンの溶解度に依存する。
【0019】
溶媒がNMPである場合、NMPは、顔料の重量部あたり、3〜30重量部、特に4〜20重量部の量で存在し、そして塩基(例えば、ナトリウムメトキシド)は、顔料の重量部あたり、0.01〜1.0重量部、特に0.1〜0.8重量部の量で存在する。
【0020】
2,9−ジクロロキナクリドンの小板状体の形態を製造するための新規な方法は、溶媒としてNMPに関してさらに詳細に例示されるが、それに限定されない。
【0021】
塩基、特にナトリウムメチラートを、室温でNMPと混合する。針状の2,9−ジクロロキナクリドン粗製物を加える前に、少量の水を加えて、NMP及びナトリウムメチラートの混合物にすることは有利な結果になった。次に、この混合物を約170℃からNMPの還流温度に加熱して、0.25〜8時間、前記温度で撹拌する。水を非常にゆっくり1〜3時間以内に加えて、それにより、混合物の温度を下げる。約130℃で、所望の2,9−ジクロロキナクリドンの小板状体の形態が沈殿する。沈殿の完了後、懸濁液を室温に冷却し、濾過し、濾液を水で洗浄して、ナトリウムメチラートを除去し、次いで顔料を乾燥させる。
【0022】
所望の小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンの沈殿は、水を加えて、温度を下げることにより達成され、ここで、水の添加速度並びに温度調節が最も決定的なポイントである。普通は、十分な温度降下は、加えた水により達成されるが、場合により加熱を減少することができる。
【0023】
粗2,9−ジクロロキナクリドンと水のモル比は、1:2〜1:20である。水の量が十分でない場合、2,9−ジクロロキナクリドンの小板状体の収率は乏しく、不要な顔料型(針状物)が形成される。
【0024】
顔料の量、塩基及び溶媒は、本質的に、工程a)で用いられる温度、したがって、塩基及び溶媒の混合物中の粗2,9−ジクロロキナクリドンの分解度と関係がある。NMPは、一般的に、顔料の重量部につき、3〜30重量
部、特に4〜20重量部の量で存在し、そして塩基は、一般的に、顔料の重量部につき、0.01〜1.0重量部、特に0.1〜0.8重量部の量で存在する。
【0025】
本発明にしたがって得ることができる小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンは、長さ1〜45μm、幅0.1〜20μm及び平均厚さ0.01〜5μm、特に、0.03〜<2μm、とりわけ特に、0.03〜0.200μmを有する。2,9−ジクロロキナクリドンは、C−C18チオール化合物を含まない。
【0026】
特に好ましい顔料は、長さ1〜20μm、幅0.1〜7μm、及び厚さ0.05〜<0.200μmの小板状体を少なくとも50重量%を含有する。
【0027】
応用例1に例示されるような0.4mmロールPVCシート中に組み込まれる場合、本発明にしたがって得ることができる小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン(1.0%顔料)は、
− 規約反射(remission)における色彩値(hue-value) hが≦31であり、
− 透過(transmission)における色彩値 hが≧351.0であり、そして/又は
− Leneta B&W上でMinolta CM3610dで色を測定する場合、透過における明度 Lは、≧20である。好ましい実施態様において、透過における彩度 Cは、≧50である
ことを特徴とする。
【0028】
加えて、本発明の2,9−ジクロロキナクリドンのb値は減少し、本発明の2,9−ジクロロキナクリドンのa値は同じであるか又は照射角及び視野角(鏡面反射角(aspecular angle))45°/110°(+25°)から45°/90°(+45°)に増加する。本発明の好ましい実施態様において、本発明の2,9−ジクロロキナクリドンのb値が減少して、本発明の2,9−ジクロロキナクリドンのa値は、照射角及び視野角(鏡面反射角)45°/110°(+25°)から45°/90°(+45°)〜45°/60°(+75°)に増加する。「角度依存」測定は、Datacolor FX 10及びBlack Leneta cardsを使用して達成される。EP0466649の実施例1の2,9−ジクロロキナクリドンのb値もまた、照射角及び視野角(鏡面反射角)45°/110°(+25°)から45°/90°(+45°)に増加すると同時に、そのa値は照射角及び視野角(鏡面反射角)45°/110°(+25°)から45°/90°(+45°)に増加する。前記相違は、本発明の2,9−ジクロロキナクリドンがより濃い/より広い色変化を有するという影響をもたらす。
【0029】
本発明にしたがって得ることができる小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンは、より少ない隠蔽力(より高い透明性)を有し、(より多い)光彩を示すことが、EP0466649のそれから区別される。加えて、それは、新しい色効果を可能にするその明確な角度の小板状体の形態を特徴とし、その角度は色変化及びそのX線回折像に依存する。図1〜3について述べる。
【0030】
図1は、実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンのマイクロ写真である。
【0031】
図2は、CIELAB色空間における2種の顔料の角度依存色変化を示す:
a) EP0466649の実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン
b) 本発明の実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン。
【0032】
図3は、本発明の実施例1で得られた小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折パターンであり、ここで、x座標は、倍視射角(double glancing angle)2Θを表し、y座標は、彩度を表す。約16.2でのピークが高さで同等であるか、あるいはそれぞれ約15.5及び16.8でのピークより大きいことは、本発明の小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンに関して典型的であってもよい。
【0033】
本発明の生産プロセスは、より角度のある小板状体の形態での簡単な手段において2,9−ジクロロキナクリドン小板状体を再現性よく生産することを可能にする。本発明の2,9−ジクロロキナクリドン小板状体は、プラスチックに組み込んだ時、規約反射/透過における特定の形状、カラーフロップ(color flop)効果及び異なる色を示して、容易に分散させる。
【0034】
本発明の2,9−ジクロロキナクリドン小板状体は、例えば、プラスチック着色、ガラス、セラミック製品、装飾用化粧品調製物(decorative cosmetic preparation)、そして特にコーティング及びインキ〔機密印刷インキ(security printing inks)をはじめとする、印刷インキを包含する〕など多くの目的に非常に有用である。工業的に通例であるすべての印刷プロセスは、例えば、スクリーン印刷、凹版、ブロンズ印刷、フレキソ印刷及びオフセット印刷に適している。
【0035】
これらの適用に関して、本発明の顔料はまた、透明並びに隠蔽白、色及び黒顔料との混合物中、そして、金属酸化物コーティングされたマイカ及び金属顔料に基づく従来の光輝顔料及び公知の(ゴニオクロマチック)光輝顔料でも好都合に使用可能である。
【0036】
本発明による顔料は、通例のすべての目的に対して、例えば、大量での着色ポリマー、表面コーティング(自動車産業部門のものを含む、効果的仕上げ(effect finishes)を含む)及び印刷インキ、また、例えば、化粧品における適用に対しても使用することができる。そのような適用は、参考資料、例えば、「Industrielle Organische Pigmente」(W. Herbst及びK. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995)から知られている。
【0037】
本発明による顔料又は顔料組成物を使用してもよい、着色するための高分子量有機材料は、天然由来又は合成由来であってもよい。高分子有機材料は、通常、約10〜10g/mol又はそれ以上の分子量を有する。それらは、例えば天然樹脂、乾性油、ゴム又はカゼイン、或いは、例えば塩化ゴム、変性油アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテル又はエステル(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセトブチラート又はニトロセルロースなど)などのそれらから誘導された天然物質であってもよいが、特に、重合、重縮合又は重付加により得られる完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチック)であってもよい。重合樹脂の分類から、特に、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン)、また、置換されたポリオレフィン(例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合製品)、また、前記モノマーの共重合製品(例えば、特にABS又はEVA)を挙げることができる。
【0038】
重付加樹脂及び重縮合樹脂のシリーズから、例えば、フェノールを有するホルムアルデヒドの縮合製品(いわゆるフェノール樹脂)、及び尿素、チオ尿素又はメラミンを有するホルムアルデヒドの縮合製品(いわゆるアミノプラスト)、及び表面コーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和樹脂(例えば、アルキド樹脂)又は不飽和樹脂(例えば、マレイン酸樹脂)のどちらか;また直鎖ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンを挙げることができる。
【0039】
前記高分子量化合物は、単独又は混合物中、プラスチック塊又は溶融液の形態で存在してもよい。それらはまた、それらのモノマーの形態、又は、表面コーティング若しくは印刷インキ(例えば、沸騰させた亜麻仁油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及びユリアホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂)のための塗膜形成要素又は結合剤として溶解された形態において重合状態で存在してもよい。
【0040】
意図する目的により、トナー又は調製物の形態として本発明による顔料又は顔料組成物を使用することは有利であると分かっている。コンディショニング方法又は対象とする適用によれば、これが、高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色するためのエフェクト顔料の使用上で悪影響を有さないという条件で、コンディショニング方法の前又は後の顔料に対して一定量のテクスチャ改良剤を添加することが有利でありうる。適切な作用物質は、特に、少なくとも炭素原子18個を含有する脂肪酸(例えば、ステアリン酸又はベヘン酸)、又はアミド又はそれらの金属塩(特にマグネシウム塩)、それと可塑剤、ワックス、樹脂酸(例えば、アビエチン酸など)、ロジン石鹸、アルキルフェノール又は脂肪族アルコール(例えば、ステアリルアルコール)、或いは炭素原子8〜22個を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物(例えば、1,2−ドデカンジオール)、それと修飾されたマレイン酸松脂樹脂若しくはフマル酸松脂樹脂である。テクスチャ改良剤は、最終生成物に基づき、好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で添加される。
【0041】
本発明による顔料は、着色される高分子量有機材料に対して着色的に効果がある任意の量で添加することができる。本発明による顔料の、高分子量有機材料及び高分子量有機材料に基づき0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%を含む色素性物質組成物は有利である。1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を、実際にはしばしば使用することができる。
【0042】
高濃度、例えば30重量%以上のものは、通常、濃縮物の形態(「マスターバッチ」)であり、それらは、比較的低含有量顔料を有する色素性材料、それらが今もなお良好に加工することができるように通例の配合において極めて低粘度を有する本発明による顔料を生産するための着色剤として使用することができる。
【0043】
有機材料を着色する目的で、本発明による顔料は単独で使用してもよい。しかしながら、それはまた、本発明によるエフェクト顔料に加えて高分子量有機物質に対して、任意の所望量のその他色彩付与成分(例えば、白、有色、黒又はエフェクト顔料)を加えることも、異なる色相又は色効果を達成するために可能である。有色の顔料が本発明によるエフェクト顔料と混合して使用される時、総量が高分子量有機材料に基づき、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0044】
本発明による顔料で高分子量有機物質を着色することは、例えば、ロールミル、又は混合装置、又は研削装置を使用する基質と共に、マスターバッチの形態で使用する場合には、そのような顔料を混合することにより実施される。次に、有色素材料は、それ自体が公知の方法(例えば、カレンダ加工、圧縮成形、押出成形、コーティング、鋳込、射出成形)を使用して所望の最終形態をもたらす。プラスチック工業で通例の任意の添加剤(例えば、可塑剤、充填剤又は安定剤)は、顔料の組み込み前又は後で、通例量で、ポリマーに添加することができる。特に、非剛体成形品を生産するため、又はそれらの脆性を減少するために、成形する前に、高分子量化合物に可塑剤(例えば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステル)を添加することが望ましい。2,9−ジクロロキナクリドン小板状体及び有機顔料は、ラッカーシステムの同じ層中に存在することができるが、強化された効果は、有機顔料が下地コートに含有されて、2,9−ジクロロキナクリドン小板状体が下地コートと仕上コートの間の中間コート中に含有される場合には、3つの層システム中で達成することができる。
【0045】
表面コーティング及び印刷インキを着色するために、通例の添加剤(例えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤)と一緒にすることが適切な場合には、本発明による高分子量有機材料及び顔料を、微細分散させるか、又は同じ有機溶媒若しくは溶媒混合物中に溶解させ、それには、個々の成分を別々に溶解させるか又は分散させ、或いは、多くの成分を一緒に溶解させるか又は分散させ、そしてその後にのみすべての成分を一緒にすることが可能である。
【0046】
着色される高分子量有機材料の中に本発明による顔料を分散させること、及び本発明による顔料組成物を加工することは、好ましくは、比較的弱いせん断力のみ起こる条件でエフェクト顔料が細かく砕かれないように実行される。
【0047】
例えば、プラスチック、表面コーティング又は印刷インキにおいて、特に表面コーティング又は印刷インキにおいて、とりわけ特に表面コーティングにおいて得られた着色は、プラスチックで使用する時、優れた特性により、特に極めて高い彩度、傑出した堅牢度特性、角度依存色変化(フロップ)及び規約反射/透過における異なる色により区別される。
【0048】
高分子量材料が着色される時は表面コーティングであり、それは特に特別な表面コーティング、非常に特別には自動車仕上げである。
【0049】
そのコピー不可能な光学的効果のおかげで、本発明による顔料は、紙及びプラスチックから偽造防止材料(forgery-proof material)の生産に有利に使用される。用語、紙から作られる偽造防止材料は、例えば価値のある書類(例えば、紙幣、小切手、税印紙、郵便切手、鉄道及び飛行機の切符)、宝くじ、商品券、入場券、フォーム及び株を意味すると受け取られる。用語「プラスチックから作られる偽造防止材料」は、例えば、小切手保証カード、クレジットカード、テレフォンカード及び身分証明書を意味すると受け取られる。最善の光学的効果を得るために、加工の間、小板状体成形した顔料は良好に配向されるべきである、すなわち、それぞれの中間の表面と可能な限り平行に配列することが確実にされるべきである。この顔料粒子の平行配向は、流動プロセスで最適に実施されて、一般的に、プラスチック加工、塗装、コーティング及び印刷のすべての公知の方法で達成される。
【0050】
本発明による顔料はまた、唇又は肌の化粧、及び髪又は爪の着色に適している。
【0051】
したがって、本発明はまた、本発明による顔料0.0001〜90重量%、及び化粧用調製物又は配合の総重量に基づき、化粧に適切なキャリヤ材料10〜99.9999重量%を含む化粧用調製物又は配合に関する。
【0052】
そのような化粧用調製物又は配合は、例えば、口紅、頬紅、ファンデーション、マニキュア液及びヘアシャンプーである。
【0053】
顔料は、単独又は混合物の形態で使用してもよい。加えて、本発明による顔料を他の顔料及び/又は着色剤と一緒に、例えば、本明細書に記述されたとおりの組み合わせ又は化粧用調製物で公知のとおりの組み合わせにおいて使用することが可能である。
【0054】
本発明による化粧用調製物及び配合は、好ましくは、調製物の総量に基づき、0.005〜50重量%の量で本発明による顔料を含有する。
【0055】
本発明による化粧用調製物及び配合に適切なキャリヤ材料は、そのような組成で使用される通例の材料を包含する。
【0056】
本発明による化粧用調製物及び配合は、例えば、スティック、軟膏、クリーム、乳液、懸濁液、分散体、パウダー又は溶液の形態であってもよい。それらは、例えば、口紅、マスカラ調製物、頬紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はマニキュア液である。
【0057】
調製物がスティック(例えば、口紅、アイシャドウ、頬紅又はファンデーション)の形態である場合、調製物は相当な部分が脂肪族成分で構成され、それは、1個以上のワックス、例えば、オゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、微結晶ワックス、カルナウバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ワセリン、ペトロラタムゼリー、モノ−、ジ−又はトリ−グリセリド、或いはそれらの25℃で固体である脂肪エステル、シリコーンワックス(例えば、メチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサンなど)、ステアリン酸モノエタノールアミン、松脂及びそれらの誘導体(例えば、アビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール)、25℃で固体である硬化油、糖グリセリド並びにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩で構成されてもよい。
【0058】
脂肪族成分はまた、少なくとも1種のワックス及び少なくとも1種の油状物の混合物で構成されてもよく、その場合、以下の油状物、例えば:灯油、パーセリン油、ペルハイドロスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ひまし油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油(例えば、ジメチルポリシロキサン)、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀物油(例えば、小麦胚芽油)、ラノリン脂肪酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコールのオクタン酸塩及びデカン酸塩(例えば、グリコール及びグリセロール)、アルコール及びポリアルコールのリシノール酸塩(例えば、セチルアルコール)、イソステアリルアルコール、ラノリン脂肪酸イソセチル、アジピン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル及びオクチルドデカノールが適している。
【0059】
スティックの形態におけるそのような調製物中の脂肪族成分は、一般的に調製物の総量の99.91重量%までを構成する。
【0060】
本発明による化粧用調製物及び配合は、追加的に、例えば、グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、非着色ポリマーの、無機又は有機の充填剤、防腐剤、紫外フィルター又は他の補助剤及び美容で通例の添加物(例えば、天然又は合成又は部分的合成のジ−又はトリ−グリセリド)、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪族アルコール、ゲルベアルコール(Guerbet alcohol)又はそのエステル、脂溶性機能美容活性成分(日焼け防止フィルターを包含する)、或いはそのような物質の混合物のようなさらなる構成物質を含んでよい。
【0061】
肌美容に適した脂溶性な機能性の美容活性成分、活性成分組成物又は活性成分抽出物は、成分或いは、皮膚又は局所の適用に認可される成分の混合物である。以下に、例の目的で挙げることができる:
− 肌表面及び髪で洗浄作用を有する活性成分;これらは、肌を洗浄する働きをするすべての物質(例えば、オイル、石鹸、合成洗浄剤及び固体物質)を包含する;
− 消臭及び発汗抑制作用を有する活性成分;それらは、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌又は静菌の消臭物質を含む消臭剤(例えば、トリクロサン、ヘキサクロロフェン)、アルコール及び陽イオン物質(例えば、第4級アンモニウム塩)及び臭気吸収剤〔例えば、Grillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛及び様々な添加剤の組み合わせ)〕又はクエン酸トリエチル〔酸化防止剤(例えば、場合によりブチルヒドロキシトルエン)と組み合わせる〕又はイオン交換樹脂を包含する;
− 太陽光に対する保護を提供するための活性成分(UVフィルター):適切な活性成分は、太陽光からのUV照射を吸収して、それを熱に転換することができるフィルター物質(日焼け止め剤)である;所望の反応により、以下の光保護剤が好ましい:およそ280〜315nm(UV−B吸収体)の範囲における日光皮膚炎原因の高エネルギーUV照射を選択的に吸収し、そして例えば、315〜400nm(UV−A域)のより長い波長を伝える光保護剤、並びに315〜400nm(UV−A吸収体)のUV−A域のより長い波長だけを吸収する光保護剤;
適切な光保護剤は、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフラン誘導体の分類からの有機UV吸収剤、1種以上の有機ケイ素ラジカルを含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニル−ベンズイミダゾールスルホン酸及びそれらの塩、アントラニル酸メンチル、ベンゾトリアゾール誘導体、及び/又は、酸化アルミニウムで又は二酸化ケイ素でコーティングされたTiO、酸化亜鉛又はマイカから選択される無機微小顔料(micropigment)である;
− 虫に対する活性成分(防虫剤)は、虫が肌に接触して、そこで活性化することを防ぐことを目的とする薬剤である;それらは、虫を撃退して、ゆっくり蒸発する;最も頻繁に使用される防虫剤は、ジエチルトルアミド(DEET)である;他の普及している防虫剤は、例えば、「Pflegekosmetik」(W. RaabとU. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York,1991)161頁で見られる;
− 化学的及び機械的影響に対する保護のための活性成分:これらは、肌と外部有害物質の間の障壁を形成するすべての物質、例えば、パラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及び水溶液に対して保護するためのラノリン、塗膜形成剤(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミンなど)、有機溶媒の効果に対する保護のためのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール又はセルロースエーテル、或いは、肌上の重度の機械的応力に対する保護のための「潤滑油」として鉱油、植物油又はシリコーン油に基づく物質などを包含する;
− 保湿物質:以下の物質は、例えば、水分制御剤(保湿剤)として使用される:乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸;
− 角質軟化性(keratoplastic)効果を有する活性成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール;
− 抗菌剤、例えば、トリクロサン又は第四級アンモニウム化合物など;
− 皮膚に適用できる油性又は油溶性ビタミン或いはビタミン誘導体:例えば、ビタミンA(遊離酸形態のレチノール又はその誘導体)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、並びにその組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF;必須脂肪酸;又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド);
− ビタミンベースの胎盤抽出物:特にビタミンA、C、E、B、B、B、B12、葉酸及びビオチンを含む活性成分組成物、アミノ酸及び酵素並びに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物;
− 皮膚修復錯体:ビフィズス菌群の細菌の不活性化及び崩壊された培養物から得ることができる;
− 植物及び植物抽出物:例えば、アルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、朝鮮人参、ヘナ、カモミール、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、ツクシ、タイム;
− 動物抽出物:例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、プロテイン又は胸腺抽出物;
− 皮膚に適用できる化粧用油:Miglyol 812タイプの天然油、杏仁油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、ラッカセイ油、γ−オリザノール、ローズヒップ−シード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、ブラックカラントシード油、ホホバ油、サクランボ種油、サーモン油、亜麻仁油、トウモロコシ種子油、マカデミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、イネ種子油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、ブドウ種子油又は小麦胚芽油。
【0062】
スティック形態の調製物は好ましくは無水であるが、ある場合において、一定量の水(しかしながら、一般に、化粧用調製物の総量に基づき、40重量%を超えない)を含んでもよい。
【0063】
本発明による化粧用調製物及び配合が、半固体製品の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態である場合、それらは同様に無水又は含水であってもよい。そのような調製物又は配合は、例えば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、又は目の下のくまを処置するための組成物である。
【0064】
他方で、そのような軟膏又はクリームが含水である場合、それらは、特に、顔料は別として、脂肪相(fatty phase)1〜98.8重量%、水相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む、油中水タイプ又は水中油タイプの乳剤である。
そのような軟膏及びクリームはまた、さらなる従来の添加剤(例えば、香料、抗酸化物質、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルター、着色剤、顔料、真珠光沢剤、非着色(non-coloured)ポリマー並びに無機又は有機充填剤など)を含んでもよい。
【0065】
調製物が粉末形態である場合、それらは本質的に鉱物又は無機若しくは有機充填剤(例えば、タルカム、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末、並びに結合剤、着色剤等のような補助剤など)からなる。
【0066】
そのような調製物は、同様に、芳香剤、抗酸化物質、防腐剤等のような化粧品で従来用いられる様々な補助剤を含んでもよい。
【0067】
本発明による化粧用調製物及び配合がマニキュア液であるならば、それらは本質的に、ニトロセルロース及び溶媒系中の溶液形態で天然又は合成ポリマーからなり、他の補助剤(例えば、真珠光沢剤)を含むことが溶液に対して可能である。
【0068】
その実施態様において、着色されたポリマーはおよそ0.1〜5重量%の量で存在する。
【0069】
本明細書による化粧用調製物及び配合はまた、それらが、化粧品業界で従来用いられる基体及び本発明記載の顔料でできているシャンプー、クリーム又はジェルの形態で使用される場合に、髪をカラーリングするために使用することもできる。
【0070】
本発明による化粧用調製物及び配合は、従来の方法、例えば、混合するか、又は組成物と一緒に、場合により混合物が溶解することができるように加熱して、撹拌することにより製造される。
【0071】
本発明の様々な特性及び特徴は、以下の実施例においてさらに例示される。これらの実施例がこの発明の範囲内に操作する方法を当業者に示すために提示されるとともに、それらは、そのような範囲が請求項に定義されるだけの場合には、本発明の範囲を制限することはない。以下の実施例中、並びに明細書及び請求項において、特にことわりがない限り、すべての部及びパーセンテージは重量により、温度は摂氏温度であり、そして圧力は大気圧であるか、又は大気圧付近である。
【実施例】
【0072】
実施例
色彩値 h、明度L及び彩度Cそしてまた隠蔽力ΔE−S/Wを測定するための分析試料を、小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン1.0重量%を含有する圧縮PVCプレート(0.4mm厚)を使用してDIN 53 775、パート7にしたがって調製した。
【0073】
隠蔽力ΔE−S/Wを、DIN 55984にしたがって測定した。
【0074】
規約反射/透過におけるすべての色測定を、Minolta CM 3610d分光光度計(d/8形状、光沢を包含する、発光体D65、オブザーバー10°)及びBlack&White Leneta cardsを使用して達成した。すべての「角度依存」測定を、Black Leneta cards上にDatacolor FX 10を使用して実行した。DataColor、Fx 10について言及する。
会社のパンフレット:
【0075】
【表1】

【0076】
X線スペクトルを、Siemens D500X線回折計(CuKα照射)を使用する従来の方法にしたがって測定した。
【0077】
実施例1
粗製形態での2,9 ジクロロキナクリドン 10g並びにナトリウムメチラート3.3gを、15分間、N−メチル−ピロリドン(NMP)66ml中に分散させた。水0.15mlを添加後、混合物を最高175℃まで加熱した。この温度をさらに2時間維持した。その後、冷水25mlを90分で熱反応に投与して、それにより温度はゆっくり下降した。約130℃で、すべての顔料を所望の小板状体の形態で沈殿させた。次に、混合物を、外部水浴を使用して室温まで冷却し、濾過して、乾燥させた。
【0078】
実施例2
粗製形態での2,9 ジクロロキナクリドン 10g並びにナトリウムメチラート4.3gを、15分間、ジメチルホルムアミド(DMF)100ml中に分散させた。水0.25mlを添加後、混合物を最高137℃まで加熱した。この温度をさらに6時間維持して、そこで小板状体はすでに形成されている。その後、小板状体の形成を完了させるために、冷水58mlを20分以内に熱反応に投与した。次に、混合物を、外部水浴を使用して室温まで冷却し、濾過して、乾燥させた。
【0079】
比較例1(EP0466649の実施例1)
温度計、撹拌棒及び冷却器を装備した1リットルフラスコに窒素を勢いよく流して、次に、工業用N,N−ジメチルホルムアミド190ml、ドデカンチオール−1 36ml、2,9−ジクロロキナクリドン粗製物19.0グラム及びナトリウムメトキシド8.1グラムを仕込んだ。後者を撹拌し、加熱還流して、それにより、顔料を、帯青色溶液が得られるまでほとんど完全に溶解した。8時間の還流時間の間に、銅ブロンズ金属外観を有する2,9−ジクロロキナクリドンの小板状体が溶液から結晶化した。懸濁液を室温に冷却して、新しい小板状体顔料を濾過により単離した。プレスケーク(presscake)をメタノール、続けて水で洗浄して、100℃で乾燥させて、以下の寸法の光沢のある顔料18.5グラムを得た:長さ3−25μm、幅1−10μm、厚さ0.05−2μm。
【0080】
応用例1
0.4mm圧延PVCシートの色彩角度(色彩値)h、明度L及び彩度Cの測定:
−予備混合:
顔料0.4gを、30分間、塩基混合物14.0gと混合して、次にポリ塩化ビニル(PVC)(EVIPOL(登録商標)SH 7020、EVC GmbH)26.0gとゆっくり撹拌した。塩基混合物は、可塑剤(Palatinol(登録商標)10P(フタル酸ジ−2−プロピルヘプチル12.9g、BASF)、Drapex(登録商標)39(エポキシ化大豆油、Witco Vinyl Additives GmbH)0.6g及びMark BZ 561(Crompton Vinyl Additives GmbH)0.5gからなる。
−圧延シートの生産:
上記で得たPVC及び顔料/塩基混合物の混合物を、2ロールミル(Collin model、D−85560 Ebersberg)中で、ロール温度160℃(各ロール)で、以下にしたがって圧延した:
a) 6分間、熱圧延する(圧延シートを全工程で回転させた、ロール間隔0.35mm)。
【0081】
PVCフィルム(1%顔料)における実施例1及び2及び比較例1で得た顔料の規約反射(remission)データは、下記のとおりである。
【0082】
【表2】

【0083】
PVCフィルム(1%顔料)における実施例1及び2及び比較例1で得た顔料の透過データは、下記のとおりである。
【0084】
【表3】

【0085】
応用例2
上記Black Leneta−cardsの応用例1におけるような同じ1%PVC−シートに基づいて実施例1及び2並びに比較例1(CIELAB−L、C、h;又はL、a、b)で得た顔料の色特性:
【0086】
実施例1で得た小板状体の形態での2,9 ジクロロキナクリドン:
【表4】

【0087】
実施例2で得た小板状体の形態での2,9 ジクロロキナクリドン:
【表5】

【0088】
比較例1で得た小板状体の形態での2,9 ジクロロキナクリドン:
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ1〜45μm、幅0.1〜20μm及び平均厚さ0.01〜5μm、特に0.03〜0.200μmを有する小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンであって、
規約反射における色彩値 hが≦31であり、及び/又は透過における明度 Lが≧20であり、及び/又は照射角及び視野角(鏡面反射角)45°/110°(+25°)〜45°/90°(+45°)からの減少するb値及び増大するa値を特徴とする、小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン。
【請求項2】
小板状体及び顔料の形態の、請求項1記載の2,9−ジクロロキナクリドンの製造のための方法であって、
(a) 粗2,9−ジクロロキナクリドンを塩基の存在下、高温で極性溶媒中に分散させ、次いで部分的に溶解すること、
(b) 水を加えて、随意に温度を下げることにより所望の小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドンを沈殿させること、を含む、方法。
【請求項3】
前記塩基が、アルカリ金属水酸化物又はメトキシドである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記極性溶媒が、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、そして好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びN−メチル−ピロリドン(NMP)からなる群より選択される、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、溶媒が、N−メチル−ピロリドンであり、最大150℃〜還流温度まで加熱される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程(b)における温度が、100〜120℃まで下降させられる、請求項5記載の方法。
【請求項7】
粗2,9−ジクロロキナクリドンと水のモル比が、1:2〜1:20である、請求項2記載の方法。
【請求項8】
請求項2〜7記載のいずれかの方法にしたがって得ることができる小板状体の形態での2,9−ジクロロキナクリドン。
【請求項9】
請求項1又は8記載の2,9−ジクロロキナクリドン小板状体の有効着色量を含有する高分子量有機材料。
【請求項10】
前記有機材料中に請求項1又は9記載の2,9−ジクロロキナクリドン小板状体の有効着色量を組み込むことを含む、高分子量有機材料を着色するための方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−509417(P2010−509417A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535670(P2009−535670)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061657
【国際公開番号】WO2008/055807
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】