説明

新聞巻取紙無人搬送車

【課題】輪転機に支持された新聞巻取紙への押付け力の正確な制御を実現するとともに給紙効率の向上並びに脱荷時の安全性の向上を実現する新聞巻取紙無人搬送車を提供する。
【解決手段】床面上を自走する走行台車120と、走行台車120に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブル140と、載荷テーブル140を垂直方向に油圧シリンダ190によって昇降駆動するメインリフタ160と、メインリフタ160の昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備し、油圧シリンダ190が、油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサ194を有し、メインリフタ160による新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサ194によって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、制御ユニットが、メインリフタ160の上昇動作を停止させることにより上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞巻取紙を新聞印刷工場内の保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する新聞巻取紙無人搬送車に関するものであって、さらに詳しくは、新聞巻取紙を垂直方向に昇降し輪転機に対して装着・回収するメインリフタを備えた新聞巻取紙無人搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、新聞印刷工場においては、輪転機に対して新しい新聞巻取紙を供給したり、使用途中の新聞巻取紙を回収するために新聞巻取紙無人搬送車が一般に用いられている。なかでも、メインリフタを備え新聞巻取紙をトラバーサを介さず輪転機に対して装脱着することができる新聞巻取紙無人搬送車に対するニーズが高まっている。
【0003】
図6は、輪転機10に装備されている左右一対の巻取紙保持アーム12のセンターカラー14によって支持されている新聞巻取紙Pを、従来の新聞巻取紙無人搬送車500によって回収する状態を示した側面図である。ここでは、新聞巻取紙Pとして、使用した後の中残紙を示している。新聞巻取紙無人搬送車500の車体上には円筒状に巻回された新聞巻取紙Pが載置される載荷テーブル540が2本の並設された昇降フレーム561、562上にスライド可能に横架されている。そして、昇降フレーム561、562は、インナーアーム571とアウターアーム572とを連結ピン579で軸支してなるX字状のパンタアームと称されるメインリフタ560によって昇降自在に支持されている。さらに、このメインリフタ570が油圧シリンダ590によって昇降駆動されるように構成されている。
【0004】
このような新聞巻取紙無人搬送車500は、輪転機10に装着されている使用した後の新聞巻取紙P(中残紙)を脱荷する際、載荷テーブル540を上昇させて新聞巻取紙Pに押し付ける。そして、新聞巻取紙Pを若干持ち上げることにより、センターカラー14に掛かっている負荷を軽くし、その状態で巻取紙保持アーム12を開くことにより、センターカラー14による新聞巻取紙Pの支持を開放し、新聞巻取紙Pを輪転機10から新聞巻取紙無人搬送車500の載荷テーブル540へ移す。
【0005】
この時、新聞巻取紙Pの持ち上げ量が足りないとセンターカラー14を新聞巻取紙Pの巻芯Rから抜くのに大きな力が必要となる。一方、持ち上げ過ぎると輪転機10に過大な負荷が加わり、輪転機10の故障の原因となる。そこで、載荷テーブル540上に着座センサ542を設置し、このセンサで載荷テーブル540に新聞巻取紙Pが着座したことを検知し、着座後の押付け時間をタイマで計測することによって新聞巻取紙Pの持ち上げ量を制御していた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3035234号公報(第3頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前述した従来の新聞巻取紙無人搬送車500では、着座センサ542がONになるタイミングにばらつきがあるため着座の検出精度が悪く、輪転機10に過大な負荷が加わることを確実に防止することはできないという課題があった。また、着座後の押付け時間と新聞巻取紙Pの持ち上げ量との関係の定量的な検証を実施するためにはロードセルのような計測機器を設置するなど、その調整に多くの時間が必要で給紙効率が低下するという課題があった。さらに、新聞巻取紙の着座が不完全な状態で脱荷を行って、新聞巻取紙が載荷テーブルから落下するという虞があった。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、輪転機に支持された新聞巻取紙への押付け力の正確な制御を実現するとともに、給紙効率の向上並びに脱荷時の安全性の向上を実現する新聞巻取紙無人搬送車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、本請求項1に係る発明は、床面上を自走する走行台車と、該走行台車に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブルと、該載荷テーブルを垂直方向に油圧シリンダによって昇降駆動するメインリフタと、該メインリフタの昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備した新聞巻取紙無人搬送車において、前記油圧シリンダが、該油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサを有し、前記メインリフタによる新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサによって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、前記制御ユニットが、メインリフタの上昇動作を停止させることにより、前記課題を解決したものである。
【0010】
また、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車において、前記閾値が、メインリフタの上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0011】
そして、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る新聞巻取紙無人搬送車において、前記新聞巻取紙の着座を検知する着座センサが載荷テーブルに装着され、前記メインリフタの上昇動作が停止された後、新聞巻取紙の正常な着座が着座センサによって検知されたときに、新聞巻取紙の保持開放要求が輪転機に対して発せられることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の新聞巻取紙無人搬送車は、床面上を自走する走行台車と、走行台車に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブルと、載荷テーブルを垂直方向に油圧シリンダによって昇降駆動するメインリフタと、メインリフタの昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備していることによって、輪転機前のトラバーサが不要となり、新聞印刷工場内の床面がフラットになるので作業環境が一新でき、加えて、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【0013】
すなわち、本請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車によれば、油圧シリンダが、油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサを有し、メインリフタによる新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサによって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、制御ユニットが、メインリフタの上昇動作を停止させることにより、輪転機に支持された新聞巻取紙への押付け力の正確な制御ができるので、輪転機に過大な負荷が加わることを確実に防止することができる。
【0014】
また、本請求項2に係る新聞巻取紙無人搬送車によれば、請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車において、閾値が、メインリフタの上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることにより、次の理由により、新聞巻取紙の太さ、つまり重量に応じたきめ細かな押付け力の制御が実現できる。
【0015】
すなわち、メインリフタが小さな上昇ストロークで新聞巻取紙に当接した場合、新聞巻取紙の太さが太い、つまり重量が重いことが認識される。この場合、センターカラーに掛かっている負荷を軽くする程度に新聞巻取紙を持ち上げるためには、新聞巻取紙の重量に見合った押付け力が必要になる。そこで、メインリフタの上昇動作を停止させるタイミングを決定する油圧シリンダの圧力の閾値を大きく設定しておく。一方、メインリフタが大きな上昇ストロークで新聞巻取紙に当接した場合、新聞巻取紙の太さが細い、つまり重量が軽いことが認識される。この場合、センターカラーに掛かっている負荷を軽くする程度に新聞巻取紙を持ち上げるために必要な押付け力は、新聞巻取紙の太さが太い場合に比べて小さくてよい。そこで、メインリフタの上昇動作を停止させるタイミングを決定する油圧シリンダの圧力の閾値を小さく設定しておく。このように、閾値が、メインリフタの上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることにより、新聞巻取紙の太さ、つまり重量に応じたきめ細かな押付け力の制御が自動で行われるので、人手による押付け力調整作業が不要になり、新聞巻取紙の脱荷に要する時間が短縮され、給紙効率の向上が実現できる。
【0016】
そして、本請求項3に係る新聞巻取紙無人搬送車によれば、請求項1又は請求項2に係る新聞巻取紙無人搬送車において、新聞巻取紙の着座を検知する着座センサが載荷テーブルに装着され、メインリフタの上昇動作が停止された後、新聞巻取紙の正常な着座が着座センサによって検知されたときに、新聞巻取紙の保持開放要求が輪転機に対して発せられることにより、新聞巻取紙の着座状態が不良の状態で輪転機の巻取紙保持アームによる新聞巻取紙の保持が開放されることが回避されるので、新聞巻取紙の脱荷作業時の安全性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の新聞巻取紙無人搬送車は、床面上を自走する走行台車と、走行台車に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブルと、載荷テーブルを垂直方向に油圧シリンダによって昇降駆動するメインリフタと、メインリフタの昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備し、油圧シリンダが、油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサを有し、メインリフタによる新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサによって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、制御ユニットが、メインリフタの上昇動作を停止させることにより、輪転機に支持された新聞巻取紙への押付け力の正確な制御を実現するとともに、給紙効率の向上並びに脱荷時の安全性の向上を実現するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0018】
例えば、本発明の新聞巻取紙無人搬送車に用いられる走行制御方式としては、(1)床面に電磁誘導線を埋設し、そこに交流電流を流して生じる磁界を車体側の磁気センサで検出することによって、走行ルートを検出する電磁誘導方式(誘導線埋設方式)、(2)床面に磁気テープを誘導線として貼り付け、車体側の磁気センサで磁気テープが発生する磁束を検出することによって、走行ルートを検出する磁気誘導方式、(3)床面に光反射テープを誘導線として貼り付け、車体側の光センサで光反射テープを検知して、走行ルートを検出する光誘導方式など、公知の走行制御方式の何れであっても構わないが、保守管理や据付現場(既設工場など)への適応性、工期短縮化、経済性などの観点から、磁気誘導方式が特に好ましい。
【0019】
本発明の一実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車の全体斜視図であり、図2は、図1に示した新聞巻取紙無人搬送車を矢視II方向から見た時の側面図であり、図3は、図1に示した新聞巻取紙無人搬送車による新聞巻取紙の押付け状態を示した側面図であり、図4は、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車の油圧シリンダの圧力とストロークとの関係を示したグラフであり、図5は、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車による脱荷作業時の動作フローを示したフローチャートである。
【0020】
まず、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100の構造について説明する。本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100は、図1に示すように、キャスター122及び図示はされていない駆動輪を有し、新聞印刷工場などの床面に所定の搬送経路に沿って敷設された磁気テープに誘導されて自走する走行台車120と、走行台車120に装着されて新聞巻取紙を載置する載荷テーブル140と、載荷テーブル140を垂直方向に昇降駆動するメインリフタ160とを具備している。
【0021】
そして、図1乃至図3に示すように、メインリフタ160は、走行路面に対して平行に並設された2本の昇降フレーム161、162と、2本の昇降フレーム161、162の間隔を所定間隔に維持する円弧状の繋ぎ部材163と、2本の昇降フレーム161、162の上面にそれぞれ固設されたリニアガイド165、166とを備えている。さらに、2本のリニアガイド165、166に案内されてスライド移動する載荷テーブル140が昇降フレーム161、162を横架するように配備されている。この載荷テーブル140は、幅方向(スライド方向と垂直な方向)の左右両側から中央線に向けて傾斜する断面V字状の傾斜面を有しているとともに、中央線上に新聞巻取紙の着座を検知する少なくとも一つの着座センサ142が装着されている。この着座センサには、圧電センサやリミットセンサなどの公知のセンサを用いることができるが、耐久性の観点から非接触で着座を検知することができる静電容量型近接センサを用いることが特に好ましい。
【0022】
また、本実施例において用いられたメインリフタ160は、2本の昇降フレーム161、162の対向する内側面に形成されたスライドレール161a、162aの一端側に回動ピン176によって一端が枢設された一対のアウターアーム172と、スライドレール161a、162aに案内されてインナーローラ177を介して一端がスライドする一対のインナーアーム171とを備えた一対のX字状のパンタアームを有するシザーズ式リフタを採用している。
【0023】
このアウターアーム172とインナーアーム171は、図3に示すように、それぞれのほぼ中心で連結ピン179により軸支されている。そして、アウターアーム172の他端は、走行台車120内の昇降ベース164に固設されたベースレール167、168にアウターローラ178を介してスライド可能に支持されており、インナーアーム171の他端は、ベースレール167、168の一端側に回動ピン169によって枢設されている。
【0024】
さらに、一対のX字状のパンタアームの間隔を保つため、インナーアーム171にインナー間隔保持棒174が固設されており、アウターアーム172にアウター間隔保持棒175が固設されている。インナー間隔保持棒174とアウター間隔保持棒175は、昇降フレーム161、162が昇降範囲の上限付近に位置する場合において、円弧状の繋ぎ部材163の内周の最下面よりも低い位置に取り付けられている。また、インナー間隔保持棒174よりも下方であって、且つ、連結ピン179よりも上方に昇降支持棒181が固設されている。さらに、アウターアーム172のスライド端側、すなわち、アウターローラ178が軸支されている側にスライド支持棒182が設けられており、このスライド支持棒182と昇降支持棒181との間に2本の油圧シリンダ190が装着されている。
【0025】
また、油圧シリンダ190には、油圧ポンプ192が接続されている。そして、油圧シリンダ190と油圧ポンプ192とを結ぶ配管の途中に圧力センサ194が設置されており、油圧シリンダ190内の圧力を測定することができるようになっている。
【0026】
この油圧シリンダ190内の圧力を高めていくことにより、インナーアーム171とアウターアーム172の交差角が小さくなっていき、昇降フレーム161、162が上昇していく。逆に、油圧シリンダ190内の圧力を下げていくことにより、インナーアーム171とアウターアーム172の交差角が大きくなっていき、昇降フレーム161、162が下降していく。そして、最終的には、昇降フレーム161、162は、走行台車120の中に収納される。
【0027】
本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100は、メインリフタ160を前述のような構造にしたことによって、載荷テーブル140上に載置された新聞巻取紙の長さが昇降フレーム161、162の長さよりも短く、しかも、その太さが輪転機の巻取紙保持アームの直径より細い場合であっても輪転機の巻取紙保持アームがメインリフタ160の構成部材と干渉することなく、載荷テーブル140上の新聞巻取紙に接近し、これを確実に保持することができる。
【0028】
次に、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100の主要部であるメインリフタ160の上昇動作を停止させる機構について説明する。新聞巻取紙無人搬送車100は、メインリフタ160の昇降駆動を制御するためのメモリー、CPUなどからなる制御ユニットを具備している。そして、制御ユニットのメモリーには、油圧シリンダ190のストロークに対応した複数の閾値が予め記憶されている。図4は、新聞巻取紙無人搬送車100の油圧シリンダ190の圧力とストロークとの関係を示したグラフである。ここで、曲線Aは使用前の新聞巻取紙、曲線Bは使用後の新聞巻取紙、すなわち中残紙、曲線Cは残芯を受け取るときの油圧シリンダ190の圧力とストロークとの関係を示しており、曲線Dは、無負荷のときの油圧シリンダ190の圧力とストロークとの関係を示している。なお、各曲線とも最初(ストローク<S1のとき)、圧力が高く、その後、ストロークの増加とともに圧力が低下し、無負荷のときにストロークがS3を超えると圧力が再び増加している理由は、パンタアームを最下位置の状態から立ち上げる時に大きな力を必要とし、パンタアームが伸びるに連れて必要とする力が減少し、パンタアームが伸びきる前に再び大きな力を必要とするというシザーズ式リフタの特性によるものである。
【0029】
本実施例では、ストロークが0〜S1のときの閾値をP0、ストロークがS1〜S2のときの閾値をP1、ストロークがS2〜S3のときの閾値をP2、ストロークがS3以上のときの閾値をP3としている。
【0030】
すなわち、使用前の新聞巻取紙を受け取る場合、新聞巻取紙は太いため短いストロークでメインリフタ160の載荷テーブル140が新聞巻取紙と接触する。載荷テーブル140と新聞巻取紙が接触すると油圧シリンダ190内の圧力が急激に上昇する。そして、この圧力が閾値P1となったときに脱荷に適した押付け力になったものと認識しメインリフタ160の上昇動作を停止させる。また、使用後の新聞巻取紙、すなわち中残紙を受け取る場合、油圧シリンダ190内の圧力が閾値P2となったときに脱荷に適した押付け力になったものと認識しメインリフタ160の上昇動作を停止させる。さらに、残芯を受け取る場合、油圧シリンダ190内の圧力が閾値P3となったときに脱荷に適した押付け力になったものと認識しメインリフタ160の上昇動作を停止させる。
【0031】
このように、閾値が、メインリフタの上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることによって、メインリフタ160が、新聞巻取紙の重量に対応した押付け力を新聞巻取紙に付勢することができるので、新聞巻取紙の脱荷時に新聞巻取紙の自重を確実に新聞巻取紙無人搬送車100側で支持することができ、その結果、輪転機側の巻取紙保持アームに過大な負荷を与えず、新聞巻取紙のスムーズな脱荷動作を実現することができる。
【0032】
なお、本実施例においては、閾値を4段階に設定しているが、閾値の数はこれに限られることなく、必要とされる精度や費用対効果を考慮して適宜決めることができる。輪転機の耐負荷能力に余裕があり、それほど厳密な押付け力の制御を必要としない場合には、閾値を1つとすることによって、制御ユニットの回路構成および制御プログラムの簡略化を図ることが可能である。
【0033】
最後に、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100を用いて輪転機から新聞巻取紙を脱荷するときの動作フローについて、図5に基づいて説明する。なお、図5及び以下の説明において、新聞巻取紙無人搬送車のことをAGVと称する。
【0034】
新聞印刷工場内に設置された中央制御盤から特定の輪転機の新聞巻取紙を脱荷することが指示されると、脱荷プログラムがスタートし、所定のAGVが輪転機の給紙装置に進入を開始する(S1)。そして、AGVが新聞巻取紙を脱荷するための正しい位置に着いたかどうかを確認する(S2)。位置が正しくない場合は、AGVを一旦後退させた後、再び進入させる。AGVが正しい位置に着いたことが確認されたら、AGVを停止させる(S3)。そして、メインリフタを上昇させる(S4)。そして、圧力センサの出力が閾値以上であるかを判断する(S5)。圧力センサの出力が閾値以上になったら、メインリフタを停止する(S6)。そして、着座センサがONになっているかを確認する(S7)。着座センサがONになっていない場合、新聞巻取紙の着座の状態が不良であると判断して新聞巻取紙の着座を確認するように作業者に対して警告を発する(S8)。着座センサがONになっていることが確認されたら、輪転機に対してセンターカラーを開放するように指令を発する(S9)。そして、センターカラーの開放が完了したかどうかを確認する(S10)。センターカラーの開放が完了したら、再度、着座センサがONになっているかを確認する(S11)。着座センサがONになっていることが確認されたらメインリフタを降下させる(S12)。そして、下限センサがONになったかどうかを確認する(S13)。下限センサがONになったことが確認されたら、AGVを輪転機から後退させる(S14)。そして、AGVが輪転機と干渉しない位置に退避したかどうかを確認する(S15)。AGVが輪転機と干渉しない位置に退避したことが確認されたら、輪転機に対してセンターカラーを閉じてもよい状態になったことを通知し(S16)、脱荷プログラムが終了する。このように、輪転機とAGVとが連携して脱荷プログラムが実行されることにより、より速く、より確実に、より安全に新聞巻取紙の脱荷作業が行われ、紙給効率が向上する。
【0035】
以上のように、本実施例の新聞巻取紙無人搬送車100は、床面上を自走する走行台車120と、走行台車120に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブル140と、載荷テーブル140を垂直方向に油圧シリンダ190によって昇降駆動するメインリフタ160と、メインリフタ160の昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備していることによって、輪転機前のトラバーサが不要となり、新聞印刷工場内の床面がフラットになるので作業環境が一新できる。加えて、油圧シリンダ190が、油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサ194を有し、メインリフタ160による新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサ194によって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、制御ユニットが、メインリフタ160の上昇動作を停止させることにより、輪転機に支持された新聞巻取紙への押付け力の正確な制御ができるので、輪転機に過大な負荷が加わることを確実に防止することができる。
【0036】
また、閾値が、メインリフタ160の上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることにより、新聞巻取紙の太さ、つまり重量に応じたきめ細かな押付け力の制御が実現できる。
【0037】
さらに、新聞巻取紙の着座を検知する着座センサ142が載荷テーブル140に装着されており、メインリフタ160の上昇動作が停止された後、新聞巻取紙の正常な着座が着座センサ142によって検知されたときに、新聞巻取紙の保持開放要求が輪転機に対して発せられることにより、新聞巻取紙の着座状態が不良の状態で輪転機の巻取紙保持アームによる新聞巻取紙の保持が開放されることが回避されるので、新聞巻取紙の脱荷作業時の安全性が向上するなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施例の新聞巻取紙無人搬送車の全体斜視図。
【図2】図1に示した新聞巻取紙無人搬送車を矢視II方向から見た時の側面図。
【図3】図1に示した新聞巻取紙無人搬送車による新聞巻取紙の押付け状態を示した側面図。
【図4】本実施例の新聞巻取紙無人搬送車の油圧シリンダの圧力とストロークとの関係を示したグラフ。
【図5】本実施例の新聞巻取紙無人搬送車による脱荷作業時の動作フローを示したフローチャート。
【図6】従来の新聞巻取紙無人搬送車が新聞巻取紙を回収する状態を示した側面図。
【符号の説明】
【0039】
10 ・・・ 輪転機
12 ・・・ 巻取紙保持アーム
14 ・・・ センターカラー
100、500 ・・・ 新聞巻取紙無人搬送車
120 ・・・ 走行台車
122 ・・・ キャスター
140、540 ・・・ 載荷テーブル
142、542 ・・・ 着座センサ
160、560 ・・・ メインリフタ
161、162、561、562 ・・・ 昇降フレーム
161a、162a ・・・ スライドレール
163 ・・・ 繋ぎ部材
164 ・・・ 昇降ベース
165、166 ・・・ リニアガイド
167、168 ・・・ ベースレール
169 ・・・ 回動ピン
171、571 ・・・ インナーアーム
172、572 ・・・ アウターアーム
174 ・・・ インナー間隔保持棒
175 ・・・ アウター間隔保持棒
176 ・・・ 回動ピン
177 ・・・ インナーローラ
178 ・・・ アウターローラ
179、579 ・・・ 連結ピン
181 ・・・ 昇降支持棒
182 ・・・ スライド支持棒
190、590 ・・・ 油圧シリンダ
192 ・・・ 油圧ポンプ
194 ・・・ 圧力センサ
P ・・・ 新聞巻取紙
R ・・・ 巻芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を自走する走行台車と、該走行台車に装着され新聞巻取紙を載置する載荷テーブルと、該載荷テーブルを垂直方向に油圧シリンダによって昇降駆動するメインリフタと、該メインリフタの昇降駆動を制御する制御ユニットとを具備した新聞巻取紙無人搬送車において、
前記油圧シリンダが、該油圧シリンダ内の圧力を測定する圧力センサを有し、
前記メインリフタによる新聞巻取紙受け取り動作中に、圧力センサによって測定された油圧シリンダ内の圧力が所定の閾値を超えたとき、前記制御ユニットが、メインリフタの上昇動作を停止させることを特徴とする新聞巻取紙無人搬送車。
【請求項2】
前記閾値が、メインリフタの上昇ストロークが小さいときに大きく設定され、メインリフタの上昇ストロークが大きいときに小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の新聞巻取紙無人搬送車。
【請求項3】
前記新聞巻取紙の着座を検知する着座センサが載荷テーブルに装着され、
前記メインリフタの上昇動作が停止された後、新聞巻取紙の正常な着座が着座センサによって検知されたときに、新聞巻取紙の保持開放要求が輪転機に対して発せられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の新聞巻取紙無人搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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