説明

新規なオリゴ官能性の光開始剤

本発明は式(1)又は(1A)(式中、R及びRはメチルであるか又は一緒になって−(CH−であり;且つnは2又は3である)の新規なオリゴ官能性光開始剤に関し、(1A)の溶媒は水又は有機溶媒であり;またそれらの光重合性組成物、特にインクでの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な高分子光開始剤及びその製造方法並びに光重合性組成物、特に印刷インクでの該光開始剤の使用に関する。
【0002】
照射硬化性系は、多数の用途、例えば、オーバープリント塗料、印刷インクにおいて、電子プリント回路基板及び印刷版の製造において、並びに木材、プラスチック、紙、ガラス又は金属などの種々の基材の被覆に使用できる。かかる系の効果的な重合のために、電磁放射線との相互作用の結果、ラジカル又はカチオン(プロトン)などの反応性粒子が生じる、光開始剤の使用が必要である。実際に多用される大部分の開始剤の欠点は、それが使用される際に望ましくない匂いを生成することである。従って、当該技術分野では低臭性の、低揮発性の光開始剤が要求されている。更に、光開始剤は、取り扱いが容易な形態で利用され、硬化膜の黄変を最小にし、且つ照射硬化性系に容易に溶解しなければならない。
【0003】
従って、当該技術分野では、前記照射硬化性のオーバープリント塗料、印刷インクにおいて、及び木材、プラスチック、紙、ガラス又は金属などの種々の基材の被覆に使用できる、低臭性の、低揮発性の光開始剤が要求されている。更に、橋かけ密度の改善に貢献し且つ移動可能な少数の光分解生成物を生成する光開始剤が望ましい。この判定基準は食品包装に関する用途にとって特に重要である。更に、光開始剤は、取り扱いが容易な形態で利用され、硬化膜の黄変を最小にし、且つ照射硬化性系に容易に溶解しなければならない。
【0004】
光開始剤の使用にとって更に重要な判定基準は、配合物の反応性成分が重合される効率である。これは使用中に達成され得る硬化速度に直接影響し、且つ得られるポリマーの架橋の程度に影響を与える。
【0005】
ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]メタノール、[CAS−Regno 793686−13−2]が、第二のヒドロキシル基でイソシアネートと反応すると、活性な低臭性の、低揮発性の光開始剤であるウレタンが得られることはWO2004/099262号から公知である。しかしながら、その特許出願による[793686−13−2]の製造は、光による照射及び/又はその前駆体2−クロロ−1−{4−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンの臭素化中に四塩化炭素を溶媒として使用することが必要である。更に、イソシアネート基が二量体(ウレトジオン)又は三量体(イソシアヌレート)の形成などの異なる第二の反応に関与し(例えば、International Journal of Adhesion & Adhesives 2007, 第28巻, 第29頁に記載)、これが所望の反応生成物の精製中に厄介な問題を引き起こし得ることが公知である。
【0006】
従って、都合良く製造できる低臭性の、低揮発性の、高効率の光開始剤が必要とされ続けている。
【0007】
従って、本発明の対象は、式(1)又は(1A)
【化1】

(式中、
及びRはメチルであるか又は一緒になって−(CH−であり;且つ
nは2又は3である)の化合物であり、且つ(1A)における溶媒は水又は有機溶媒である。
【0008】
好ましいのは、R及びRがメチルである、上記の式(1)又は(1A)の化合物である。
【0009】
以下の基
【化2】

は、例えば、1,3,5−位で、1,4−位で、1,2−位で、好ましくは1,4−位でフェニル環に結合する。
【0010】
興味深いのは、nが2である、式(1)又は(1A)の化合物である。
【0011】
及びRが一緒になって−(CH−である場合、以下の構造:
【化3】

(式中、nは上で定義された通りである)
が形成される。
【0012】
好ましい化合物は、
【化4】

である。
【0013】
本発明の化合物は、例えば、−30〜100℃、好ましくは15〜+40℃の間の温度で、有機溶媒、例えば、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド中で、塩基、例えば、トリエチルアミン又はピリジンなどの第4級アミンの存在下で、塩化フタロイル、塩化イソフタロイル、又は塩化トリメソイルと第2級ヒドロキシル基とのエステル化によってビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]メタノール(WO2004/099262号)から製造することができる。
【0014】
あるいは、それらは、触媒量又は化学量論的(stoechiometric)量の好適な試薬の存在下で同じアルコールと対応する酸との反応によって得られる。多くの触媒が、全ての標準の有機化学の教科書、例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry, Wiley, 1992, 第4版、第393−396頁に記載されている。極めて普及している触媒は、鉱酸、例えば、硫酸、又は有機酸、例えば、4−トルエンスルホン酸である。水の除去は、例えば、共沸蒸留によって行うことができる。脱水剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又は分子ふるいも使用してよい。ベンズヒドロールのヒドロキシル基のエステル化に適した他の試薬及び条件、例えば、ピリジン(日本特許出願JP56150092A号)、又は塩化シアヌル(Heterocycles 1990, 31, 2055)の存在下で、例えば、リンのトリフェニルホスフィン及びブロムも提案されている。4−ジメチルアミノピリジン(Chemistry Letters 1998 第679頁)の存在下で、第4級アルコール、例えば、ジ−2−ピリジルチオノカーボネートの存在下で第2級アルコールの選択的なエステル化のための試薬も公知である。反応に適した溶剤及び温度は公知である。例えば、水と共沸混合物を形成する溶剤、例えば、トルエン、m−キシレン、シクロヘキサン、シクロペンタノンも使用できる。共沸混合物の沸点の温度、例えば、40〜120℃も反応に適している。
【0015】
テレフタル酸、イソフタル酸、及びメシト酸と、ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]メタノールとのC−C−アルキルエステルのエステル交換反応も可能である。かかるエステル交換反応は、種々の溶剤中で、例えば、除去されるべきアルコールと共沸混合物を形成する溶剤中で、実施することができる。適した溶剤は、例えば、アセトン、トルエン、ジオキサン、シクロヘキサン、クロロベンゼン、m−キシレン等である。共沸混合物の沸点の温度、例えば、40〜120℃も反応に適している。広範なエステル交換反応に適した触媒が当業者に公知である。多くの場合、エステル交換反応を容易にし且つ低温使用を可能にする触媒の使用が有利である。有用な触媒は、例えば、ルイス酸又はブレンステッド酸、ルイス塩基又はブレンステッド塩基又は求核性試薬又は金属塩である(例えば、 A. G. Grasaら、Synthesis (2004), (7), 971; J. Oteraら、Acc. Chem. Res. (2004), 37, 288; H. E. Hoydonckxら、Topic in Catalysis (2004), 27, O. A. Mascarettiら、Aldrichimica Acta (1997), 30, 55; R. Sridharanら、J. Scient. & Indust. Research (1974), 33, 178を参照のこと)。好適な酵素も、エステル交換反応を容易にするために頻繁に使用されている(例えば、E. Santanielloら、Current Org. Chem (2006), 10, 1059; S. Negishi, Handbook of Industrial Biocatalysis, CRC Press, (2005), 12/1-12/14; H. J. Altenbach, Nachrichten aus Chemie, Technik, und Laboratorium (1988), 36(10), 11 14を参照のこと)。
【0016】
従って、本発明の対象は、上で定義される式(I)の化合物の製造方法であって、式(2)
【化5】

(式中、n、R及びRは上で定義される通りである)のn個の化合物と、式(3)
【化6】

(式中、nは上で定義される通りである)の酸塩化物とを、塩基、特にトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(1)の化合物を得て;次に溶剤からの結晶化によって式(1A)の化合物を得る該製造方法でもある。
【0017】
式(1A)の化合物は、例えば、水又は酢酸エチルエステル、好ましくは酢酸エチルエステルなどの適切な溶剤からの結晶化によって式(1)の化合物から製造される。
【0018】
上述のように、中間体ビス[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]メタノールは、WO2004/099262号に記載された方法によって得られる。
【0019】
2−クロロ−1−{4−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンと2−クロロ−1−{4−[3−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンとの異性体混合物をベンジル臭素化して1−(4−{ブロモ−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−クロロ−2−メチル−プロパン−1−オンと1−(4−{ブロモ−[3−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−クロロ−2−メチル−プロパン−1−オンとの対応混合物を得るための複数の手順がWO2004/099262号に記載されている。
【0020】
WO2004/099262号の実施例2aは、光の照射下でのオルト−ジクロロベンゼン中のビス[4−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メタンと[3−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−[4−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メタンとの異性体混合物の溶液のエノール塩素化及びその後のベンジル臭素化を開示している。この臭素化の手順は、少量の生成物の製造に適しているが、スケールアップした際にランプの使用に費用がかかり、光による照射が必要なために浸漬したランプのウェル上に不透明な膜の形成などの問題を引き起こす。更に、臭素の取込みが遅く、長引いた反応時間並びに過剰の臭素が要求される。水蒸気蒸留による溶剤のオルトジクロロベンゼンの除去によっても、相当の費用が大規模に生成物に追加される。後処理の後に、生成物は38%の合計収量になる2つのクロップで得られる。
【0021】
実施例2b(WO2004/099262号)は、エノール塩素化及びその後のビス[4−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メタンと[3−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−[4−(2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メタンとの異性体混合物の四塩化炭素溶液のベンジル臭素化を記載している。再び、臭素化のために光による照射が要求され、且つ過剰の臭素が出発材料の完全な変換を達成するために要求されている。ここで、生成物は77%の収率になる複数のクロップで得られるが、この材料は二重のベンジル臭素化から生じる生成物で汚染されている。
【0022】
驚くことに、昇温でWO2004/099262号の実施例2aに記載されたエノール塩素化から得られる、2−クロロ−1−{4−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン及び2−クロロ−1−{4−[3−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オンのオルト−ジクロロベンゼン溶液の臭素化が、光による照射の必要性なしに及び過剰の臭素の使用なしに達成されることが判明した。更に、臭素化は、典型的にはかかる臭素化反応に添加されている、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)又は過酸化ジベンゾイルなどのラジカル開始剤の不在下でも進行する。溶剤オルト−ジクロロベンゼンを真空下で部分除去し且つヘキサンを添加した後に、生成物が84%の収率で単一のクロップとして得られる。驚くことに、二重のベンジル臭素化から得られる生成物も芳香核の臭素化から得られる生成物も、全く生成物に含有されていない。また、塩素原子の臭素による置換も全く見られない。
【0023】
従って、本発明の対象は、式(2)
【化7】

(式中、R及びRは上で定義される通りである)の化合物の製造方法でもあり、
その工程段階1では、式(4)
【化8】

(式中、R及びRは上で定義される通りである)の化合物を、ランプによる照射なしに又はラジカル開始剤を添加する必要なしに臭素で処理して式(5)
【化9】

(式中、R及びRは上で定義される通りである)の臭素化した化合物を得て、
その工程段階2では、式(5)の化合物を、塩基、例えば、炭酸アルカリ金属、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、特に炭酸ナトリウムで処理することによって式(2)の対応するヒドロキシル化合物に変換する、前記製造方法である。
【0024】
興味深いのは、上で定義される式(1)又は(1A)の化合物の製造方法であって、
その工程段階1では、
式(4)
【化10】

(式中、R及びRは上で定義される通りである)の化合物を、ランプによる照射なしに臭素で処理して式(5)
【化11】

(式中、R及びRは上で定義される通りである)の臭素化した化合物を得て、
その工程段階2では、
式(5)の化合物を、塩基、例えば、炭酸アルカリ金属、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、特に炭酸ナトリウムで処理することによって式(2)の対応するヒドロキシル化合物に変換し、且つ
その工程段階3では、
n個の式(2)
【化12】

(式中、n、R及びRは上で定義される通りである)の化合物と、式(3)
【化13】

(式中、nは上で定義される通りである)の酸塩化物とを、塩基、特にトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(1)の化合物を得て、その後、溶剤から結晶化させて式(1A)の化合物を得る、前記製造方法でもある。
【0025】
式(1A)の化合物は、既に述べられた通り、例えば、水又は酢酸エチルエステルなどの適切な溶剤からの結晶化によって式(1)の化合物から製造される。
【0026】
上記の全ての方法の生成物は、任意に当業者に公知の慣用法によって精製してよい。
【0027】
本発明の光開始剤化合物は、硬化した生成物からの低移行性を提供する。光開始剤化合物の光分解生成物も前記特性を提供する。光開始剤は低臭性のみを有し且つ優れた反応性を提供する。
【0028】
用語「及び/又は」又は「又は/及び」は、本願の文脈において、定義された選択肢の1つだけではなく、定義された選択肢の幾つかが一緒に、即ち、異なる選択肢(置換基)の混合物も存在し得ることを表すことを意味する。
【0029】
用語「少なくとも」は、1つ又は2つ以上、例えば、1つ又は2つ又は3つ、好ましくは1つ又は2つを定義することを意味する。
【0030】
本明細書及び以下の請求項を通じて、特段、文脈が要しない限り、用語「含む」、又はその変化形、例えば「含む」又は「含んでいる」は、述べられた整数又は工程又は整数群又は工程群の包含を含意するが、任意の他の整数又は工程又は整数群又は工程群を除外しないと理解されるものとする。
【0031】
本願の文脈において、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート並びに対応するメタアクリレートを示すことを意味する。
【0032】
本発明による化合物について上で示された選好は、本発明の文脈において、特許請求の範囲の全てのカテゴリー、即ち、組成物、使用、方法及び製造の請求項も同様に示すことが意図されている。
【0033】
本発明によれば、式(1)の化合物は、エチレン性不飽和化合物の又はかかる化合物を含む混合物の光重合のための光開始剤として使用できる。
【0034】
従って、本発明は
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物、及び
(B)少なくとも1つの式(1)の光開始剤
を含む、光重合性組成物にも関する。
【0035】
該組成物は、成分(B)に加えて、少なくとも1つの更なる光開始剤(C)及び/又は他の慣用の添加剤(D)を含んでよい。
【0036】
不飽和化合物(A)は、1つ以上のオレフィン性二重結合を含んでよい。それらは、低分子量(モノマー)又は高分子量(オリゴマー)であってよい。
【0037】
二重結合を含むモノマーの例は、(メタ)アクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル、例えば、アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、2−クロロエチル、N−ジメチルアミノエチル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソボルニル[2−エキソボルニル]エステル、フェニル、ベンジル及びo−、m−及びp−ヒドロキシフェニルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル又はグリセリン[1,2,3−プロパントリオール]エステル、エポキシアルキルエステル、例えば、グリシジル、2,3−エポキシブチル、3,4−エポキシブチル、2,3−エポキシシクロヘキシル、10,11−エポキシウンデシルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)−アクリルアミド、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニル−メタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド及びN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、IBMAA(N−イソブトキシメチルアクリルアミド)、(メタ)アクリロニトリル、不飽和酸無水物、例えば、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、不飽和エステル、例えば、マレイン酸エステル、フタル酸エステル、イタコン酸エステル[メチレンコハク酸エステル]、スチレン、例えば、メチルスチレン、クロロメチルスチレン及びo−、m−及びp−ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル及びフェニルビニルエーテル、ビニル及びアリルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルアクリレート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート及びビニルベンゾエート、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、ビニルクロリド及びビニリデンクロリド、イソシアヌレート、例えば、トリアリルイソシアヌレート及びトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート、N−ビニル−ヘテロ環化合物、例えば、N−ビニルピロリドン又は置換N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム又は置換N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピリジンである。
【0038】
好適なエステルの更なる例は以下のものである:
ジアクリル酸エステル、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセリンジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0039】
また、アルコキシル化アルコールのアクリル酸エステル、例えば、グリセリンエトキシレートトリアクリレート、グリセリンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレートも頻繁に使用されている。
【0040】
高分子量不飽和化合物(オリゴマー、プレポリマー)の例は、エチレン性不飽和モノ−又はポリ−官能性カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及びエチレン性不飽和基を鎖内又は側鎖内に有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖内に(メタ)アクリル酸基を含有するポリマー及びコポリマー、さらには1つ以上のかかるポリマーの混合物である。
【0041】
好適なモノ−又はポリー官能性不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、不飽和脂肪酸、例えば、リノレン酸又はオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0042】
しかしながら、不飽和カルボン酸との混合物中の飽和ジ−又はポリ−カルボン酸も使用してよい。好適な飽和ジカルボン酸又はポリカルボン酸の例として、例えば、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、フタル酸無水物、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
【0043】
ポリオールとして、芳香族の、特に脂肪族及び脂環式のポリオールが好適である。芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、さらにはノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、述べられたポリオール、特に芳香族ポリオールに基づくもの、及びエピクロロヒドリンである。さらに、ポリオールとして適したものは、ポリマー鎖内又は側鎖内にヒドロキシル基を含有するポリマー及びコポリマー、例えば、ポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル又はそれらのコポリマーである。更に適したポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0044】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びソルビトールである。
【0045】
該ポリオールは、1つの不飽和カルボン酸又は種々の不飽和カルボン酸で、部分的又は完全にエステル化されてよく、部分エステルにおいて、遊離ヒドロキシル基が変性される、例えば、他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化されることが可能である。
【0046】
ポリウレタンの例は、飽和ジイソシアネート及び不飽和ジオールから構成されるもの、又は不飽和ジイソシアネート及び飽和ジオールから構成されるものである。
【0047】
好ましいものは、メタクリル化エポキシエステル、メタクリル化ポリエステル、ビニル基を有するポリエステル、メタクリル化ポリウレタン、メタクリル化ポリエーテル及びポリオールである。
【0048】
好適な成分(A)は、さらに上述の通り、例えば、GaskeのUS3844916号に、WeissらのEP280222号に、MeixnerらのUS5482649号に、又はReichらのUS5734002号に記載される通り、第1級又は第2級アミンとの反応によって変性したアクリレートである。かかるアミン変性アクリレートはアミンアクリレートとも呼ばれる。アミンアクリレートは、例えば、UCB Chemicals社からEBECRYL80、EBECRYL81、EBECRYL83、EBECRYL7100の名称で、BASF社からLaromer PO 83F、Laromer PO 84F、Laromer PO 94Fの名称で、Cognis社からPHOTOMER4775F、PHOTOMER4967Fの名称で、Cray Valley社からCN501、CN503、CN550の名称で及びRahn社からGENOMER5275の名称で得られる。
【0049】
特に低抽出物及び臭気用途を意図した幾つかのアクリレートバインダーは、配合物中にも使用できる。かかる樹脂は、例えば、エベクリル(Ebecryl)LEO樹脂の商品名で市販されている。
【0050】
更に、カチオンUV硬化性組成物は、ハイブリッドのカチオン/ラジカルUV硬化のための成分(A)の一部として使用してよい。かかる系は典型的には脂肪族及び/又は芳香族エポキシド、少なくとも1つのポリオール又はポリビニルポリオール又はオキセタン及びさらにカチオンを発生させる少なくとも1つの光開始剤を含む。前記エポキシド、ポリオール及びポリビニルポリオールは当該技術分野で公知であり且つ市販されている。通例、使用されている光開始剤は、例えば、US6306555号に記載されたヨードニウム及びスルホニウム塩である。その上、エチレン性不飽和化合物は前記カチオンUV硬化性組成物に添加してよい。本発明による方法で使用される組成物に溶剤又は水を添加することも可能である。好適な溶剤は、当該技術分野で公知であり且つ特に表面被覆技術において慣用の溶剤である。例は、種々の有機溶剤、例えば、ケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン;芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン又はテトラメチルベンゼン;グリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル;エステル、例えば、エチルアセテート;脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン;又は石油溶剤、例えば、石油エーテルである。
【0051】
本発明は、成分(A)として、水中に溶解又は乳化された少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物を含む組成物にも関する。
【0052】
かかる照射硬化性の水性プレポリマー分散液は、多くのバリエーションで商業的に得られる。それらは、水及びそこに分散された少なくとも1つのプレポリマーからなる分散液であると理解されている。それらの系の水の濃度は、例えば、5〜80質量%、特に30〜60質量%である。照射硬化性プレポリマー又はプレポリマー混合物は、例えば、95〜20質量%、特に70〜40質量%の濃度で存在する。それらの組成物における水及びプレポリマーについて示されるパーセンテージの合計は、それぞれの場合に100であり、意図した用途に応じて種々の量で存在する、助剤及び添加剤をそれに添加する。
【0053】
水に分散した又は多くの場合に水に溶解した、照射硬化性被膜形成プレポリマーは、フリーラジカルによって開始可能であり且つ水性プレポリマー分散液がそれ自体公知である単官能性又は多官能性のエチレン性不飽和プレポリマーであり;例えば、それらはプレポリマー100g当たり0.01〜1.0モルの重合可能な二重結合の含量を有し、且つ例えば、少なくとも400、特に500〜10000の平均分子量を有するが、意図した用途に応じて、高分子量を有するプレポリマーも考慮する。
【0054】
例えば、重合可能なC−C二重結合を含有し且つ10以下の酸価を有するポリエステル、重合可能なC−C二重結合を含有するポリエーテル、分子1つ当たり少なくとも2つのエポキシド基を含有するポリエポキシドと少なくとも1つのα,βエチレン性不飽和カルボン酸とのヒドロキシル基含有反応生成物、ポリウレタン(メタ)アクリレート、さらにα,βエチレン性不飽和アクリルラジカルを含有するアクリル酸コポリマーが、例えば、EP012339号に記載される通りに使用されている。それらのプレポリマーの混合物も使用してよい。例えば、EP033896号に記載された重合性プレポリマーも好適であり、それらは重合性プレポリマーのチオエーテル付加物であり、少なくとも600の平均分子量、0.2〜15%のカルボキシル基含有率及びプレポリマー100g当たり0.01〜0.8モルの重合性C−C二重結合の含量を有する。特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合生成物をベースとした、他の好適な水性分散液は、EP041125号に記載されており;ウレタンアクリレートから得られる、好適な水分散性の照射硬化性プレポリマーは、例えば、DE2936039号に見出される。
【0055】
光重合性化合物(A)は、単独で又は任意の所望の混合物で使用される。
【0056】
成分(A)は、光重合性化合物が液体又は粘性物質である時に特に有利である、バインダーも含んでよい。バインダーの量は、全固体材料を基準として、例えば、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、特に40〜90質量%であってよい。バインダーは、用途の分野及びそれに要求される特性、例えば、水性溶剤及び有機溶剤系における展開性(developability)、基材への付着性及び酸素に対する感受性に応じて選択される。
【0057】
好適なバインダーは、例えば、約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000の分子量を有するポリマーである。例は次のものである:アクリレート及びメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル);セルロースエステル及びエーテル、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース;ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、環化ゴム、ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びポリテトラヒドロフラン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルとのコポリマー、メチルメタクリレート及び酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリマー、例えば、ポリカプロラクタム及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル、例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)及びポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)。
【0058】
不飽和化合物を、非光重合性の膜形成成分との混合物中で使用してもよい。それらは例えば、物理的に乾燥しているポリマー又は有機溶剤中のそれらの溶液、例えばニトロセルロース又はセルロースアセトブチレートであってよいが、化学的に又は熱的に硬化性の樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂であってもよい。メラミン樹脂は、メラミン(=1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)の縮合物だけでなく、それらのメラミン誘導体も含むものと理解される。一般に、バインダーは熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂をベースとした膜形成バインダーである。それらの例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂及びそれらの混合物である。熱硬化性樹脂の併用は、いわゆるハイブリッド系での使用にとって重要であり、これらは共に光重合し、また熱により架橋する。
【0059】
成分(A)は、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂をベースとした膜形成バインダーも含んでよい。それらの例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂及びそれらの混合物である。それらの例は、例えば、ウルマン工業化学事典、第五版、Vol.A18,第368〜426頁、VCH,Weinheim,1991年に記載されている。
【0060】
バインダーは、低温又は高温で完全に硬化するバインダーであってよく、そのために硬化触媒の添加が有利である。バインダーの完全な硬化を促進する好適な触媒は、例えば、ウルマン工業化学事典、Vol.A18,第469頁、VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim,1991年に記載されている。
【0061】
DSMのWO99/03930号、WO2000/010974号及びWO2000/020517号はマレイミド変性バインダーを記載している。その種のマレイミド変性バインダーも同様に存在してよい。
【0062】
バインダーの例は以下のものである:
1.低温又は高温架橋性のアルキド樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂又はメラミン樹脂又はかかる樹脂の混合物をベースとし、任意に硬化触媒を添加した表面コーティング;
2.ヒドロキシル基含有アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとした2成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
3.チオール基含有アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとした2成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
4.加熱乾燥の間にブロック化されない、ブロック化イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとし、任意にメラミン樹脂の添加も可能である、1成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
5.脂肪族又は芳香族ウレタン又はポリウレタン及びヒドロキシル基含有アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂をベースとした1成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
6.ウレタン構造中に遊離アミン基を有する脂肪族又は芳香族ウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート、及び任意に硬化触媒が添加されている、メラミン樹脂又はポリエーテル樹脂をベースとした1成分ポリウレタン表面コーティング組成物;
7.(ポリ)ケチミン及び脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとした2成分表面コーティング組成物;
8.(ポリ)ケチミン及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルをベースとした2成分表面コーティング組成物;
9.カルボキシル基又はアミノ基含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースとした2成分表面コーティング組成物;
10.無水物基含有アクリレート樹脂及びポリヒドロキシ又はポリアミノ成分をベースとした2成分表面コーティング組成物;
11.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドをベースとした2成分表面コーティング組成物;
12.(ポリ)オキサゾリン及び無水物基含有アクリレート樹脂又は不飽和アクリレート樹脂又は脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとした2成分表面コーティング組成物;
13.不飽和(ポリ)アクリレート及び(ポリ)マロネートをベースとした2成分表面コーティング組成物;
14.エーテル化したメラミン樹脂と組み合わせた、熱可塑性アクリレート樹脂又は外部架橋アクリレート樹脂をベースとした熱可塑性ポリアクリレート表面コーティング組成物;
15.架橋剤(酸触媒された)としてメラミン樹脂(例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン)を用いるマロネートブロック化イソシアネートをベースとした、表面コーティング系、特にクリアコート;
16.オリゴマーウレタンアクリル酸樹脂及び/又はアクリレートアクリル酸樹脂をベースとし、任意に他のオリゴマー又はモノマーを添加する、UV硬化系;
17.表面コーティング組成物の成分が、UV光及び光開始剤によって及び/又は電子ビーム硬化によって反応され得る二重結合を含有する、最初に熱で硬化し、次いでUV硬化した、又はその逆に硬化した、二重硬化系。
【0063】
1成分(1C)系と2成分(2C)系の両方がバインダーとして使用され得る。かかる系の例は、ウルマン工業化学事典、Vol.A18,塗料及びコーティング、第404〜407頁、VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim(1991年)に記載されている。
【0064】
組成物は、配合物を特に変性する、例えば、バインダー/架橋剤の比率を変化させることによって最適化できる。コーティング又はインク技術の当業者であれば、このような手段に精通している。
【0065】
本発明の対象は、追加的にバインダーポリマー、特にメタクリレート及びメタクリル酸のコポリマーを含む、上記の光重合性組成物である。
【0066】
光開始剤に加えて、光重合性混合物は様々な添加剤(D)を含んでよい。それらの例は、早期重合を防ぐことが意図された熱阻害剤、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)及びその誘導体、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル−4−イル)−デカンジオエート又はポリアルキル−ピペリジン−N−オキシルラジカル、3−アリール−ベンゾフラン−2−オン及びその誘導体、例えば、5,7−ジ−tert−ブチル−3−フェニル−3H−ベンゾフラン−2−オン(例えば、WO01/42313号に記載される)、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトール又は立体障害フェノール、例えば、2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾールである。暗所貯蔵安定性を高めるために、例えば、銅化合物、例えば、ナフテン酸銅、ステアリン酸銅又はオクタン酸銅、リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスフィット、トリフェニルホスフィット又はトリベンジルホスフィット、第4級アンモニウム化合物、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム又は塩化トリメチルベンジルアンモニウム、又はヒドロキシルアミン誘導体、例えば、N−ジエチルヒドロキシルアミンを使用することが可能である。重合の間、大気の酸素を除外するために、パラフィン、又は同様のワックス状物質を添加することが可能であり、それはポリマー中に不溶性であり、重合の開始時に表面に移動し、そして空気の侵入を妨げる透明な表面層を形成する。酸素に対して不浸透性の層の適用が同様に可能である。
【0067】
光安定剤として、UV吸収剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド又はヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものを添加することが可能である。かかる化合物は、それ自体で又は混合物の形態で、立体障害アミン(HALS)を用いて又は用いずに使用できる。
【0068】
かかるUV吸収剤及び光安定剤の例は、WO04/074328号、第12頁、第9行目〜第14頁、第23行目に開示されており、前記開示は本願明細書に援用されている。
【0069】
更に、当該技術分野で慣用の添加剤、例えば、耐電防止剤、流動性改良剤及び付着促進剤を使用してよい。
【0070】
本発明によれば、配合物がバインダーを含む場合、熱乾燥又は硬化触媒を追加の添加剤(D)として追加的に配合物に添加してよい。可能な乾燥触媒、又は熱硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン又は/及びホスフィンである。有機金属化合物は、例えば、金属カルボン酸塩、特に金属Pb、Mn、Hf、Co、Zn、Zr又はCuのカルボン酸塩、又は金属キレート化合物、特に金属Hf、Al、Ti又はZrのキレート化合物、又は有機金属化合物、例えば、有機錫化合物である。金属カルボン酸塩の例は、Pb、Mn又はZnのステアリン酸塩、Co、Zn又はCuのオクタン酸塩、Mn及びCoのナフテン酸塩又は対応するリノール酸塩又はタル油酸塩(ロジン酸、オレイン酸及びリノール酸を含有するタル油)である。金属キレート化合物の例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチルトリフルオロアセチルアセテートのアルミニウム、チタン又はジルコニウムのキレート化合物、及びそれらの金属のアルコキシドである。有機錫化合物の例は、ジブチル錫酸化物、ジブチル錫ジラウレート及びジブチル錫ジオクトエートである。アミンの例は、特に第4級アミン、例えば、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン及びジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びそれらの塩である。更なる例は、第4級アンモニウム塩、例えば、トリメチルベンジルアンモニウム塩化物である。例えば、トリフェニル−ホスフィンなどのホスフィンを硬化触媒として使用することも可能である。好適な触媒は、例えば、J. Bielemann, Lackadditive, Wiley-VCH Verlag GmbH, Weinheim, 1998年,第244〜247頁にも記載されている。例は、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼン−スルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸及びジノニルナフタレンジスルホン酸などのカルボン酸である。例えば、潜在性又はブロック化スルホン酸も使用してよく、イオン性又は非イオン性の酸のブロック化が可能である。
【0071】
かかる触媒は、当該技術分野で慣例の濃度で使用され且つ当業者に公知である。
【0072】
光重合を促進するために、アミン、特に第4級アミン、例えば、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、Michlerのケトン、N−メチル−ジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)、18−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)及びそれらの塩を、更なる添加剤(D)として添加してよい。更なる例は、第4級アンモニウム塩、例えば、トリメチルベンジルアンモニウム塩化物である。アミンの作用を、ベンゾフェノン型の芳香族ケトンの添加によって強化してよい。酸素捕捉剤として適したアミンは、例えば、EP339841号に記載されているN,N−ジアルキルアニリンである。更なる促進剤、共開始剤及び自動酸化剤は、チオール、チオエーテル、ジスルフィド及びホスフィンであり、例えば、EP438123号及びGB2180358号に記載されている。
【0073】
当該技術分野で慣用の連鎖移動剤を、本発明による組成物に添加することも可能である。例は、メルカプタン、アミン及びベンゾチアゾールである。
【0074】
光重合は、更なる添加剤(D)として、スペクトル感度をシフトさせるか又は広げる光増感剤の添加によって促進することもできる。これらの添加剤として、特に、芳香族カルボニル化合物、例えばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、特にイソプロピルチオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、テルフェニル、スチリルケトン、及び3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、カンファキノン及びさらにエオシン、ローダミン及びエリトロシン染料が挙げられる。
【0075】
上記のアミンを、例えば、光増感剤と見なしてもよい。適した増感剤化合物(D)の例は、WO06/008251号、第36頁、第30行目〜第38頁、第8行目に開示されており、その開示は本願明細書に援用されている。
【0076】
特に、着色(例えば、二酸化チタンで着色)組成物の硬化プロセスは、熱的な条件下でフリーラジカルを形成する成分である追加の添加剤(D)、例えば、アゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエン又はペルオキシ化合物、例えば、ヒドロペルオキシド又はペルオキシカーボネート、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド(例えば、EP245639号に記載される)を添加することによっても補助できる。
【0077】
更なる慣用の添加剤(D)は、意図される使用に応じて、蛍光増白剤、充填剤、例えば、カオリン、タルク、バライト、石膏、チョーク又はシリケート型充填剤、湿潤剤又は流動性改良剤である。
【0078】
厚く且つ着色されたコーティングを硬化するために、例えば、US5013768号に記載される通り、ガラス微小球又は微粉砕ガラス繊維を添加することが適切である。
【0079】
配合物は、染料及び/又は白色又は着色顔料[更なる添加剤(D)として]も含んでよい。意図した用途に応じて、無機顔料と有機顔料の両方を使用してよい。かかる添加剤は当業者に公知であり、いくつかの例は、例えば、ルチル型又はアナターゼ型の二酸化チタン顔料、カーボンブラック、亜鉛酸化物、例えば、亜鉛白、鉄酸化物、例えば、酸化鉄黄色、酸化鉄赤、クロム黄、クロム緑、ニッケルチタン黄、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、バナジウム酸ビスマス、カドミウム黄又はカドミウム赤である。有機顔料の例は、モノ−又はビスアゾ顔料、並びにそれらの金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、例えば、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、キナクリドン顔料又はトリフェニルメタン顔料、並びにジケト−ピロロピロール顔料、イソインドリノン顔料、例えば、テトラクロロイソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、ベンズイミダゾロン顔料及びキノフタロン顔料である。
【0080】
該顔料は、単独の配合物で又は混合物で使用してよい。
【0081】
該顔料は、意図される用途に従って、当該技術分野で慣用の量で、例えば、全質量を基準として、1〜60質量%、又は10〜30質量%の量で配合物に添加されている。
【0082】
配合物は、例えば、非常に広範なクラスの有機染料も含んでよい。例は、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料又は金属錯体染料である。慣例的な濃度は、例えば、全質量を基準として0.1〜20%、特に1〜5%である。
【0083】
添加剤の選択は、特定の使用分野及び該分野に望ましい性質に基づく。
【0084】
本発明の対象は、更なる添加剤(D)として顔料又は染料又は顔料もしくは染料の混合物を含む光重合性組成物でもある。
【0085】
上記の添加剤(D)は当該技術分野で慣用のものであり、従って当該技術分野で慣例的な量で使用されている。
【0086】
本発明の化合物と公知の光開始剤(C)との混合物、例えば、カンファキノン;ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン4,4’−ビス(クロロメチル)ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシ−ベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、3−メチル−4’−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾ−フェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;ケタール化合物、例えば、ベンジルジメチルケタール;アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン又はα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン;2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;オリゴマーα−ヒドロキシケトン;ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノアセトフェノン、例えば、(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン;4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えば、ジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸エステルス及びその誘導体、例えば、メチルα−オキソベンゼンアセテート、オキソ−フェニル−酢酸2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル、ダイマーフェニルグリオキサル酸エステル、例えば、オキソ−フェニル−酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル;オキシムエステル、例えば、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、9H−チオキサンテン−2−カルボキサルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、又は例えば、オキシムエステルとα−アミノケトンとの組み合わせ、例えば、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンと[4−(2−メチルフェニルカルボキシ)フェニル]−ビス[4−(O−アセチルオキシミン)フェニル]アミンとの組み合わせ;過酸エステル、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸過酸エステル(例えば、EP126541号に記載)、モノアシルホスフィンオキシド、例えば、(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;ビスアシルホスフィンオキシド、例えば、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば、2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5−]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば、2−メルカプトベンズチアゾールと組み合わせたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール、フェロセニウム化合物、又はチタノセン、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタンとの混合物も当然ながら使用可能である。さらに、ボレート化合物を共開始剤として使用できる。
【0087】
前記追加の光開始剤(C)の多くは、例えば、Ciba社よりDAROCUR(登録商標)及びIRGACURE(登録商標)の商品名で市販されている。
【0088】
上記の光重合性組成物は、例えば、組成物を基準として0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜5質量%の光開始剤(B)又は光開始剤(B)+(C)を含む。
【0089】
本発明による組成物は、多様な目的、例えば、オーバープリント塗料において、印刷インク、例えば、スクリーン印刷インク、オフセット又はフレキソ印刷用のインク、インクジェットインク、枚葉印刷用インク、電子写真インク、凹版インクとして、例えば、木材又は金属用のクリアコート、ホワイトコート又は着色コートとして、粉末コーティングとして、塗料、特に紙、木材、金属又はプラスチック用の塗料として、構造物及び道路のマーキング用の昼光硬化性塗料、ビル、建造物、自動車等用の塗料、写真再現プロセス用の塗料、ホログラフィ記録材料用の塗料、画像記録プロセス用の塗料、又は有機溶剤を使用して又は水性アルカリ媒体を使用して現像できる印刷版の製造における塗料として、スクリーン印刷用のマスクの製造用の塗料として、歯科充填化合物として、接着剤として、感圧性接着剤として、積層用樹脂として、液体及び乾燥フィルムの両方のためのエッチングレジスト又は永久レジストとして、感光性誘電体(photostructurable dielectrics)として、及び電子回路のためのソルダマスクとして、全型の表示画面用の色フィルタの製造又はプラズマディスプレイ及びエレクトロルミネッセンスディスプレイの製造の間の構造物の製造におけるレジスト、光スイッチ、光格子(干渉格子)の製造におけるレジスト、素材の硬化(透明型でのUV硬化)による又は立体リソグラフィープロセスによる三次元物品の製造におけるレジスト(例えば、US4575330号に記載される通り)、ゲルコートの複合材料(例えば、ガラス繊維及び/又は他の繊維及び他の補助剤を含んでよいスチレンポリエステル)及び厚層組成物の製造におけるレジスト、電子要素のコーティング又はシーリングにおけるレジストとして、又は光学繊維のためのコーティングとして使用できる。該組成物は光学レンズ、例えば、コンタクトレンズ又はフレネルレンズの製造、さらには医療用装置、補助道具又は埋没物の製造にも適している。該組成物は熱互変性を有するゲルの製造にも使用できる。かかるゲルは、例えば、DE19700064号及びEP678534号に記載されている。
【0090】
更に光硬化は印刷用途にとって非常に重要である。というのは、インクの乾燥時間はグラフィック製品の製造速度にとって重要な要素であり、且つ、何分の1秒のオーダーであるべきだからである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷、オフセットインク、インクジェットインク、フレキソ印刷インク、凹版インク、電子写真インク、枚葉インク、刷り重ねワニス又は下塗り剤にとって特に重要である。
【0091】
既に上記で述べられた通り、新規の光開始剤混合物は、印刷版、例えば、フレキソ印刷版又はオフセット印刷版の製造にも高度に適している。この用途は、例えば、可溶性の直鎖ポリアミド又はスチレン/ブタジエン及び/又はスチレン/イソプレンゴムの混合物、カルボキシル基含有ポリアクリレート又はポリメチルメタクリレート、光重合性モノマー、例えば、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド、又はアクリレート及び/又はメタクリレートを有するポリビニルアルコール又はウレタンアクリレート、及び光開始剤を使用する。それらの系の膜及び版(湿潤又は乾燥)を、印刷された原型のネガ(又はポジ)上で露光し、且つ硬化されていない部分を次に、適切な溶剤又は水溶液を使用して洗い落とす。
【0092】
印刷インクは当業者に公知であり、当該技術分野で広範に使用され且つ文献に記載されている。
【0093】
それらは、例えば、顔料印刷インク及び染料で着色された印刷インクである。
【0094】
印刷インクは、例えば、着色剤(顔料又は染料)、バインダー及び更に任意に溶剤及び/又は任意に水及び添加剤を含む液体又はペースト形態の分散液である。液体印刷インク中で、バインダー及び、適切であれば、一般に添加剤が溶剤に溶解される。B型粘度計における慣例的な粘度は、液体印刷インクの場合、例えば、20〜5000mPa・s、例えば、20〜1000mPa・sである。ペースト形態の印刷インクの場合、値は例えば、1〜100Pa・s、好ましくは5〜50Pa・sの範囲である。当業者であれば、印刷インクの成分及び組成物に精通している。当該技術分野において慣用の印刷インク配合物のような適した顔料は、一般に公知であり且つ幅広く記載されている。
【0095】
印刷インクは、有利には、印刷インクの全質量を基準として、例えば、0.01〜40質量%、好ましくは1〜25質量%、特に5〜15質量%の濃度で顔料を含む。
【0096】
印刷インクは、一般に公知の配合物を使用して本発明の方法に従って前処理された材料上への、例えば、凹版印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、リソグラフィー又は連続的又は滴下インクジェット印刷のために、例えば、出版、梱包又は運送において、ロジスティックスにおいて、広告において、証券印刷(security printing)において、又は事務用品の分野において使用できる。
【0097】
適した印刷インクは、溶剤ベースの印刷インク及び水ベースの印刷インクの両方である。例えば、水性アクリレートをベースとした印刷インクが興味深い。かかるインクは、以下の基
【化14】

を含有する少なくとも1つのモノマーの重合によって得られ、且つ水又は水含有有機溶剤に溶解されるポリマー又はコポリマーを含むものとして理解されている。適した有機溶剤は、当業者によって慣例的に使用される水混和性溶剤、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール並びにプロパノール、ブタノール及びペンタノールの異性体、エチレングリコール及びそれらのエーテル、例えば、エチレングリコールメチルエーテル及びエチレングリコールエチルエーテル、及びケトン、例えば、アセトン、エチルメチルケトン又はシクロ、例えば、イソプロパノールである。水及びアルコールが有利である。
【0098】
適した印刷インクは、例えば、バインダーとして、主にアクリレートポリマー又はコポリマーを含み、溶剤は、例えば、水、C−Cアルコール、エチレングリコール、2−(C−Cアルコキシ)−エタノール、アセトン、エチルメチルケトン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0099】
バインダーに加えて、印刷インクは、慣用の濃度で当業者に公知の慣用の添加剤も含んでよい。
【0100】
凹版又はフレキソ印刷の場合、印刷インクは、通常、印刷インク濃縮物の希釈によって製造され、次いでそれ自体公知の方法に従って使用できる。印刷インクは、例えば、酸化乾燥させるアルキド系も含んでよい。印刷インクは、当該技術分野で慣用の公知の方法で、任意にコーティングの加熱によって乾燥される。
【0101】
好適な水性印刷インク組成物は、例えば、顔料又は顔料、分散剤及びバインダーの組み合わせを含む。
【0102】
本発明の対象は、従って、分散剤又は分散剤の混合物を含む更なる添加剤(D)としての上記の光重合性組成物でもある。
【0103】
考慮に入れる分散剤として、例えば、慣用の分散剤、例えば、1種以上のアリールスルホン酸/ホルムアルデヒド濃縮生成物又は1種以上の水溶性オキサルキル化フェノールをベースとした水溶性分散剤、非イオン性分散剤又は重合酸が挙げられる。かかる分散剤は公知であり且つ例えば、US−A−5186846号及びDE−A−19727767号に記載されている。適したオキサルキル化フェノールも同様に公知であり且つ例えば、US−A−4218218号及びDE−A−19727767号に記載されている。好適な非イオン性分散剤は、例えば、アルキレンオキシド付加物、ビニルピロリドン、ビニルアセテート又はビニルアルコールの重合生成物及びビニルピロリドンとビニルアセテート及び/又はビニルアルコールとのコポリマー又はターポリマーである。
【0104】
例えば、分散剤として及びバインダーとして作用する重合酸を使用することも可能である。
【0105】
記載され得る好適なバインダー成分の例として、(メタ)アクリレート基含有、ビニル基含有及び/又は、意図する用途に応じて、エポキシ基含有モノマー、プレポリマー及びポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。更なる例はメラミンアクリレート及びシリコーンアクリレートである。アクリレート化合物は、非イオン変性(例えば、アミノ基の提供)又はイオン変性(例えば、酸基又はアンモニウム基の提供)されてもよく、且つ水性分散液又はエマルションの形態で使用されてよい(例えば、EP−A−704469号、EP−A−12339号)。更に、所望の粘度を得るために、無溶剤のアクリレートポリマーと、いわゆる反応性希釈液、例えば、ビニル基含有モノマーとを混合することができる。更に好適なバインダー成分はエポキシ基含有化合物である。
【0106】
印刷インク組成物は、追加の成分、例えば、保水作用(湿潤剤)を有する剤、例えば、多価アルコール、ポリアルキレングリコールを含んでもよく、これは該組成物を特にインクジェット印刷に適したものにする。
【0107】
印刷インクは、特に(水性)インクジェットインクに並びに印刷及びコーティング産業において慣用の、更なる助剤、例えば、防腐剤(例えば、グルタルジアルデヒド及び/又はテトラメチロールアセチレン尿素、酸化防止剤、脱ガス剤/脱泡剤、粘度調整剤、流動性改良剤、沈降防止剤、光沢向上剤、潤滑剤、接着促進剤、皮張り防止剤、艶消剤、乳化剤、安定剤、疎水化剤、光安定剤)を含んでよく、改良剤及び帯電防止剤を扱うことが理解されている。かかる剤が組成物中に存在する場合、その総量は調製物の質量を基準として、一般に1質量%より低い。
【0108】
印刷インクとして、例えば、染料を含むもの(インクの全質量を基準として、例えば、1〜35質量%の全含量の染料を有する)が挙げられる。印刷インクなどの着色に好適な染料は、当業者に公知であり且つ例えば、Ciba Spezialitaetenchemie AG,Baselから広範に市販されている。
【0109】
かかる印刷インクは、有機溶剤、例えば、水混和性有機溶媒、例えば、C−Cアルコール、アミド、ケトン又はケトンアルコール、エーテル、窒素含有ヘテロ環式化合物、ポリアルキレングリコール、C−Cアルキレングリコール及びチオグリコール、更なる多価アルコール、例えば、グリセロール及び多価アルコールのC−Cアルキルエーテルを、印刷インクの全量を基準として、通常、2〜30質量%の量で含んでよい。
【0110】
印刷インクは、例えば、可溶化剤、例えば、ε-カプロラクタムも含んでよい。
【0111】
印刷インクは、とりわけ、粘度を調整するために、天然又は合成由来の増粘剤を含んでよい。増粘剤の例として、市販のアルギン酸増粘剤、デンプンエーテル又はイナゴマメ粉エーテルが挙げられる。印刷インクはかかる増粘剤を、例えば、印刷インクの全質量を基準として、0.01〜2質量%の量で含む。
【0112】
印刷インクが緩衝物質、例えば、ホウ砂、ホウ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩又はクエン酸塩を、例えば、4〜9のpH値、特に5〜8.5のpH値を確立するために、例えば、0.1〜3質量%の量で含むことも可能である。
【0113】
更なる添加剤として、かかる印刷インクは界面活性剤又は湿潤剤を含んでよい。考慮される界面活性剤として、市販の陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が挙げられる。考慮される湿潤剤として、例えば、印刷インクの例えば、0.1〜30質量%、特に2〜30質量%の量で、尿素又は乳酸ナトリウム(有利には50〜60%の水溶液の形態)及びグリセロールの混合物及び/又はプロピレングリコールが挙げられる。
【0114】
更に、印刷インクは、慣用の添加剤、例えば、消泡剤又は特に真菌類及び/又は細菌の増殖を抑制する物質も含んでよい。かかる添加剤は、通常、印刷インクの全質量を基準として、0.01〜1質量%の量で使用されている。
【0115】
印刷インクは、慣用法で、例えば、所望の量の水と一緒に個々の成分を混合することによって製造されてよい。
【0116】
既に述べられた通り、用途の性質に応じて、例えば、印刷インクの粘度又は他の物理的性質、特に、当該物質の場合、印刷インクの親和性に影響を与えるそれらの特性がそれに応じて適合されることが必要である。
【0117】
印刷インクは、例えば、印刷インクが液滴の形態で小開口部から押出され、これが画像が形成される基材に向けられる種類の記録システムでの使用にも適している。適した基材は、例えば、本発明による方法によって前処理された織物繊維材料、紙、プラスチック又はアルミニウム箔である。適した記録システムは、例えば、市販のインクジェットプリンターである。
【0118】
水性印刷インクが使用される印刷方法が有利である。
【0119】
好ましくはインクジェットインク配合物に、(メタ)アクリル化エポキシエステル;(メタ)アクリル化ポリエステル又はビニル−エーテル基含有ポリエステル、(メタ)アクリレート化ポリウレタン、ポリ−エーテル及びポリオールが含まれている。
【0120】
UV硬化性インクジェットに使用される有利な成分は、例えば、US3844916号、EP280222号、US5482649号又はUS5734002号に記載される通り、第1級又は第2級アミンとの反応によって変性されたアクリレートである。かかるアミン変性アクリレートはアミノアクリレートとも呼ばれる。例は既に上記に与えられている。アミノアクリレートの存在下で、UV硬化系は硬化性能の向上を示すことが知られている。それらは、典型的には、ラジカル誘導重合反応、特にUV硬化性インクジェットのような低粘度系に見られる酸素阻害に打ち勝つために有用である。
【0121】
全てのこれらの引用されたモノマー、プレポリマー、ポリマー及びオリゴマーの混合物は、本発明による新規な光開始剤を含むインク組成物中で使用できることが明らかである。
【0122】
この文脈では光重合性モノマー、オリゴマー又はプレポリマーの量は、例えば、10〜80質量%、好ましくは10〜60質量%である。
【0123】
本発明の光開始剤を含むインクは、ラジカル重合性成分に加えて、低粘度を有するカチオン硬化性成分も含んでよく、これは上述の通り少なくとも1種の脂肪族又は芳香族エポキシド、少なくとも1種のポリオール又はポリビニルポリオール、及び少なくとも1種のカチオン生成光開始剤を含む。多数のこれらのエポキシドは当該技術分野で公知であり且つ市販されている。カチオン光重合性組成物に使用できる光開始剤は、例えば、アリールヨードニウム塩及びアリールスルホニウム塩である。
【0124】
カチオン性及びラジカル重合性及び光重合性の原料を含有する、かかるハイブリッド系が強調されている。カチオン重合性系の例として、環状エーテル、特にエポキシド及びオキセタン、及び更にビニルエーテル及びヒドロキシ含有化合物が挙げられる。ラクトン化合物及び環状チオエーテル並びにビニルチオエーテルも使用できる。更なる例として、アミノプラスチック又はフェノールレゾール樹脂が挙げられる。これらは特にメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂であるが、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はアルキド樹脂とメラミン樹脂との混合物である。照射硬化性樹脂はエチレン性不飽和化合物、特に(メタ)アクリレート樹脂を含有する。例は上記にも挙げられている。
【0125】
更に興味深いものは、第1段階で光重合され、次に第2段階で熱の後処理によって架橋される又はその逆のハイブリッド系である。かかるハイブリッド系は、非光重合性の皮膜形成成分との混合物中に不飽和化合物を含有する。これらは例えば、物理的に乾燥しているポリマー又は有機溶剤中のそれらの溶液、例えばニトロセルロース又はセルロースアセトブチレートであってよい。しかしながら、それらは化学的又は熱硬化性の樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド又はメラミン樹脂であってもよい。
【0126】
例えば、インクジェットインクとして適した他の組成物は、二重硬化組成物であり、これは最初に熱により、次いでUV又は電子照射によって硬化されるか、又はその逆に硬化され、その成分は光開始剤、即ち、本発明の文脈において、上記の式(1)の新規な光開始剤の存在下で、UV光による照射時に反応可能な上記のようなエチレン二重結合を含有する。
【0127】
インクジェットインクは、例えば、着色剤を含有する。広範の有機染料及び無機染料並びに顔料は、単独で又は組み合わせて、インクジェットインク組成物での使用のために選択され、当業者は適切な選択に精通している。放出ノズルでのインクの自由流動を可能にするためには、顔料粒子は十分に小さく(0.005〜15μm)なければならない。顔料粒子は好ましくは0.005〜1μmでなければならない。
【0128】
顔料の非常に微細な分散液及びその調製は例えば、US5538548号に開示されている。該インクは、好ましくは、インクの総質量を基準として、総含有率1〜35質量%、特に1〜30質量%、及び好ましくは1〜20質量%の着色剤を含む。2.5質量%、特に5質量%、及び好ましくは7.5質量%の限界が、ここでは下限として好ましい。
【0129】
適した着色剤は、例えば、Cyan IRGALITE(登録商標)Blue GLO(Ciba社)などの純粋な顔料粉末、又はMICROLITH−顔料調製物などの顔料調製物である。インクジェットインクは、例えば、界面活性剤、殺生剤、緩衝剤、かび防止剤、pH調節剤、導電性調整剤、キレート剤、防錆剤、重合禁止剤、光安定剤などの種々の更なる添加剤を含んでよい。かかる添加剤は、所望の通り、有効量でインクジェットインクに含まれてよい。
【0130】
有利な使用の分野は、オーバープリント塗料、更には着色薄膜塗料(層厚さ<20μm)を含み、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、グラビア印刷、凸版印刷、タンポン印刷及びインクジェット印刷などの印刷方法において使用される印刷インクである。
【0131】
オーバープリント塗料は典型的にはエチレン性不飽和化合物、例えば、オリゴマー及び/又はモノマーのアクリレートを含む。アミンアクリレートも含まれてよい。
【0132】
上記のように、オーバープリント塗料及び印刷インクは更に光開始剤及び共開始剤も含んでよい。
【0133】
本発明の対象は、従って、印刷インク、特にオフセット印刷インクである、上記の光重合性組成物でもある。
【0134】
本発明による式(1)の光開始剤は、UV硬化性接着剤における使用、例えば、感圧性接着剤、貼合せ用接着剤、ホットメルト接着剤、湿分硬化接着剤、シラン反応性接着剤又はシラン反応性封止剤及びその種のもの、及び関連する用途における使用にも適している。前記の接着剤は、ホットメルト接着剤、並びに水媒性又は溶剤媒性の接着剤、液体の無溶剤接着剤、又は2成分反応性接着剤であってよい。特に適しているのは、感圧性接着剤(PSA)、例えばUV硬化性ホットメルト感圧性接着剤である。前記の接着剤は例えば、少なくとも1つのゴム成分、粘着付与剤としての少なくとも1つの樹脂成分、及び少なくとも1つのオイル成分を、例えば30:50:20の質量比で含む。適した粘着付与剤は、天然又は合成樹脂である。当業者は、適した対応する化合物並びに適したオイル成分又はゴムを認識している。
【0135】
イソシアネートを含有する予備重合した接着剤は、例えば、ブロックされた形態で、例えば、ホットメルトプロセスに従って高温で処理されて基材の上に被覆された後に、完全な硬化がブロック化イソシアネートを含む追加の硬化工程によって達成され、これは光潜在性触媒の光活性化によって実現される。
【0136】
本発明による化合物は、乳化重合、粒状重合又は懸濁重合プロセスの開始剤として、又は液晶モノマー及びオリゴマーの配向状態を固定するための重合開始剤として、又は有機材料上の染料を固定するための開始剤として使用してもよい。
【0137】
本発明による化合物及びその混合物も、フリーラジカル光開始剤として又は照射硬化性粉末コーティングのための光開始系として使用してよい。該粉末コーティングは、固体樹脂及び反応性二重結合を含有するモノマー、例えばマレエート、フマレート、ビニルエーテル、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド及びそれらの混合物をベースとしてよい。フリーラジカルUV硬化性粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリルアミド(例えば、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエステル)及び本発明によるフリーラジカル光開始剤とを混合することによって配合されてよく、例えば、M.Wittig及びTh.Gohmannによる論文"Radiation Curing of Powder Coating"、Conference Proceedings,Radtech Europe(1993年)に記載されている。フリーラジカルUV硬化性粉末コーティングは、不飽和ポリエステル樹脂と、固体のアクリレート、メタクリレート又はビニルエーテル、及び本発明による光開始剤(又は光開始剤混合物)とを混合することによって配合してもよい。該粉末コーティングは、例えば、DE4228514号及びEP636669号に記載される通り、バインダーも含んでよい。EP636669号に記載された粉末コーティング配合物は、例えば、a)(半)結晶又は非晶質不飽和ポリエステル、不飽和ポリアクリレート又はその不飽和ポリエステルとの混合物の群からの不飽和樹脂(特に、マレイン酸又はフマル酸から誘導されるものが好ましい);b)エーテル、ビニルエステル又は(メタ)アクリレート官能基を含有するオリゴマー又はポリマーの架橋剤(特にビニルエーテルオリゴマー、例えば、ジビニルエーテル官能化ウレタンが好ましい);c)光開始剤を含む。
【0138】
該UV硬化性粉末コーティングは、更には、白色又は着色顔料を含んでよい。従って、例えば、良好な隠ぺい力の硬化粉末コーティングを得るために、好ましくはルチル型の二酸化チタンを50質量%までの濃度で用いてよい。その手順は、通常、基材、例えば金属又は木材上への粉末の静電噴霧又は摩擦静電(tribostatic)噴霧、加熱の結果として粉末の溶融、及び平坦な膜が形成された後の、例えば中圧水銀ランプ、メタルハライドランプ又はキセノンランプを使用した紫外線及び/又は可視光を用いたコーティングの照射硬化を含む。対応する熱硬化性コーティングと比較して照射硬化性粉末コーティングの特別の利点は、平坦で高光沢のコーティングを確実に形成するために、粉末粒子の溶融後の流動時間を望み通りに延長できることである。熱硬化性系とは異なり、照射硬化性粉末コーティングは、それらが、望ましくない保存性の効果低減なしに、比較的低い温度で溶融するように配合され得る。この理由のために、それらは感熱性の基材、例えば木材又はプラスチックへのコーティングとしても適している。しかしながら、粉末コーティングが非感熱性の基材、例えば、金属(自動車コーティング)に塗布される場合、本発明による光開始剤を使用して「二重硬化」粉末コーティング配合物を利用できるようにすることも可能である。かかる配合物は当業者に公知であり、それらは熱、更にはUVによって硬化され、例えば、US5922473号に見出され得る。
【0139】
本発明による化合物は、ポリマー分散液中で、例えば、水性ポリウレタン分散液、いわゆるPUD中で、例えば、0.5〜5質量%、好ましくは0.5〜2質量%の水性分散液の形態で使用されてもよい。
【0140】
本発明による光硬化性組成物は、例えば、全種類の基材、例えば、木材、テキスタイル、紙、セラミックス、ガラス、プラスチック、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又は酢酸セルロース、特に膜の形態のもの、更には金属、例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo及びGaAs、Si又はSiOへの被覆物質として適しており、これらに保護層又は、画像用の露光によって、画像が施される。
【0141】
基材は、液体組成物、溶液又は懸濁液又は粉末を該基材に塗布することによって被覆できる。溶剤及びその濃度の選択は、主に組成物の性質及びコーティング方法によって決定される。溶剤は不活性でなければならず、即ち、成分との化学反応に入らず且つコーティング作業後の乾燥時に再び除去可能でなければならない。適した溶剤は、例えば、ケトン、エーテル及びエステル、例えば、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、n−ブチルアセテート及びエチル3−エトキシプロピオネートである。
【0142】
配合物は、公知のコーティング方法によって、例えば、印刷方法、例えば、フレキソ印刷、リソグラフィー印刷、インクジェット、スクリーン印刷、スピン塗布、浸漬塗布、ローラー塗布、ナイフ塗布、カーテン注入、ブラシ塗布又は噴霧によって、特に静電噴霧及びリバースロール塗布によって、更には電気泳動堆積によって、基材に均一に塗布される。感光性の層を一次的に柔軟性のある支持体に適用し、その後、張り合わせを通じて、その層を転写することにより、最終的な基材を被覆することも可能である。適用タイプの例は、例えば、ウルマン工業化学事典、第五版、Vol.A18,第491〜500頁に見出される。
【0143】
適用される量(層厚さ)及び基材(層支持体)の性質は、所望の分野の用途に依存する。
【0144】
更なる使用分野は、ガラス繊維のコーティング、内部層、更には中間層及び外部層のコーティングに適した組成物を含む。被覆されたガラス繊維は束に集まって更なるコーティングをもたらす。かかるコーティング層はUV硬化性オリゴマー、UV硬化性モノマー及び更には少なくとも1つの光開始剤及び添加剤を含む。
【0145】
任意のUV硬化性オリゴマーがガラス繊維のコーティングに適している。
【0146】
光硬化を使用する更なる分野は、金属コーティングであり、例えば、金属板及び管、缶又は瓶のクロージャーへの仕上げ塗布、更にはプラスチックコーティング、例えば、PVCベースの床又は壁被覆材上での光硬化である。
【0147】
紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、梱包材又は本の表紙への無色の仕上げ塗りの適用である。
【0148】
本発明による組成物の感光性は、通常、約150nmからIR範囲に及ぶ。適した光線は、例えば、日光又は人工光源からの光の中に存在する。従って、多くの殆どの多様な種類の光源を使用してよい。点光源及び扁平な照射器(ランプアレイ)の両方が適している。例は次のものである:カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧、及び低圧水銀照射器(適切な場合、金属ハライドでドープされている)(金属ハライドランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、超化学線蛍光管、蛍光ランプ、アルゴン白熱ランプ、フラッシュランプ、例えば、高エネルギーフラッシュランプ、写真用フラッドランプ、発光ダイオード(LED)、電子線及びX線。ランプと露光される基材との間の距離は、意図される使用によって代わり、ランプの種類及び出力は、例えば、2cm〜150cmであってよい。特に適しているものはレーザー光源であり、例えば、248nmでの露光のためのクリプトンFレーザーなどのエキシマレーザーである。可視及び赤外又はNIR範囲のレーザーも使用してよい。
【0149】
既に述べられた通り、本発明による方法における硬化は、電磁放射線による照射だけで実行できる。しかしながら、硬化されるべき配合物の組成に応じて、照射の前に、その間に又はその後に熱硬化することが有利である。
【0150】
熱硬化は当業者に公知の方法によって実施される。一般に、硬化は、炉、例えば、空気循環炉で、熱板において、又はIRランプで照射することによって実施される。室温だけによる硬化も、使用されるバインダー系に応じて可能である。硬化温度は、一般に、室温と150℃の間、例えば、25〜150℃又は50〜150℃である。粉末コーティング又はコイルコーティングの場合、硬化温度は更に高く、例えば、350℃までであってよい。
【0151】
本発明は、エチレン性不飽和二重結合を含有する化合物を含む組成物の光重合のための光開始剤としての式(1)の化合物の使用に関し、またエチレン性不飽和二重結合を含有する化合物の光重合法に関し、該方法は、150〜600nmの範囲の電磁放射線で、又は電子ビームで又はX線で上記の組成物を照射することを含む。
【0152】
本発明の別の対象は、着色及び無着色塗料並びにワニス、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、感圧接着剤、歯科組成物、ゲル被覆物、エレクトロニクス用フォトレジスト、電気メッキレジスト、液膜及び乾燥膜の両方のためのエッチングレジスト、ソルダレジスト、種々のディスプレイ用途のカラーフィルタを製造するためのレジスト、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイ及びLCDの製造プロセスにおいて構造を生成するレジスト、LCD用スペーサを製造するための、電気及び電子要素を封入するための組成物としての、ホログラフィックデータストレージ(HDS)のための、磁性記録材料、マイクロ機械部品、導波管、光スイッチ、メッキマスク、エッチングマスク、着色防止系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するための、画像記録材料としての、立体リソグラフィーによって三次元物体を製造するための、ホログラフィ記録、超小形電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、UV及び可視レーザー直接結像系用フォトレジスト材料としての、プリント回路基板の連続ビルドアップ層における誘電層の形成用フォトレジスト材料としての、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための、上記の組成物の使用;並びに着色及び無着色塗料並びにワニス、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、感圧接着剤、歯科組成物、ゲル被覆物、エレクトロニクス用フォトレジスト、電気メッキレジスト、液膜及び乾燥膜の両方のためのエッチングレジスト、ソルダレジスト、種々のディスプレイ用途のカラーフィルタを製造するためのレジスト、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイ及びLCDの製造プロセスにおいて構造を生成するレジスト、LCD用スペーサを製造するための、電気及び電子要素を封入するための組成物としての、ホログラフィックデータストレージ(HDS)のための、磁性記録材料、マイクロ機械部品、導波管、光スイッチ、メッキマスク、エッチングマスク、着色防止系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するための、画像記録材料としての、立体リソグラフィーによって三次元物体を製造するための、ホログラフィ記録、超小形電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、UV及び可視レーザー直接結像系用フォトレジスト材料としての、プリント回路基板の連続ビルドアップ層における誘電層の形成用フォトレジスト材料としての、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための、上記の方法である。
【0153】
有利なものは、着色した及び着色していない表面コーティング、オーバープリントコーティング、粉末コーティング、印刷インク、インクジェットインク、ゲル被覆物、組成物材料又はガラス繊維コーティングの製造のための上記の方法;並びに着色した及び着色していない表面コーティング、オーバープリントコーティング、粉末コーティング、印刷インク、インクジェットインク、ゲル被覆物、組成物材料又はガラス繊維コーティングの製造のための上記の組成物の使用である。
【0154】
本発明は、上記の組成物を用いて少なくとも1つの表面上で被覆された被覆基材にも関する。
【0155】
特に興味深いものは、食品包装材料のための表面コーティングとしての上記の組成物の使用、並びに上記の組成物を利用する食品包装材料用の表面コーティングを製造するための上記の方法である。
【0156】
以下の実施例は本発明を更に詳細に説明する。部及びパーセントは、明細書の残りにおいて、及び特許請求の範囲において、特段指定されない限り、質量によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は実施例3bの結晶構造のX線粉末スペクトルを示す。
【図2】図2は実施例3cの結晶構造のX線粉末スペクトルを示す。
【0158】
調製例
実施例1:1−(4−{ブロモ−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−クロロ−2−メチル−プロパン−1−オン
【化15】

(NMRの割当てに対応する番号付け、名称ではない)
2121BrCl、分子量=456.21
【0159】
撹拌機、還流冷却器及び均圧滴下漏斗を取り付けた350mlのスルホン化フラスコに、2−クロロ−1−{4−[4−(2−クロロ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(113.1g、0.3モル)及びオルト−ジクロロベンゼン(150ml)を装入する。混合物を150℃に加熱し、次いで臭素(49.6g、0.3モル)のオルト−ジクロロベンゼン溶液(50ml)を、臭素溶液の次の滴加の前に臭素が反応するように、ゆっくりと添加する。臭素を全て添加した時に、混合物を更に10分間150℃で維持し、次いでオルト−ジクロロベンゼンを回転蒸発器で慎重に除去する。その残留物をヘキサンから再結晶化させると融点93℃のオフホワイトの結晶として生成物(116.3g、理論値の85%)が得られる。

【0160】
実施例2:2−ヒドロキシ−1−(4−{ヒドロキシ−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン
【化16】

(NMRの割当てに対応する番号付け、名称ではない)
【0161】
実施例1(20g、43.8ミリモル)からの生成物、アセトン(100ml)、水(100ml)、及び炭酸ナトリウム(10.0g、94.3ミリモル)の混合物を60℃で60時間撹拌する。次にアセトンを回転蒸発器で除去し、その残留物に水(50ml)を添加する。この生成物を酢酸エチルで抽出する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を除去すると無色の固体(15.7g)が得られ、これをtert.ブチルメチルエーテル(TBME)中に再溶解し、次いでHyfloのパッドを通して濾過する。約50gの材料がフラスコ内に残留するまで溶媒を回転蒸発器で除去し、次いで混合物が混濁状になるまで効率的に撹拌しながらヘキサンを慎重に添加する。結晶の形成後、更に少しヘキサンを添加して生成物を結晶化し、これを濾過して乾燥させる。収率11.32g(72.5%)、融点=130℃

【0162】
実施例3a:
【化17】

[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)フェニル]メタノール、実施例2の化合物(9.35g、26ミリモル)を、アルゴン雰囲気下にて0℃で25mlの無水テトラヒドロフラン(THF)中に溶解する。トリエチルアミン(2.92g、29ミリモル)を添加し、その後、塩化テレフタロイル2.66g(13ミリモル)のTHF溶液5mを添加する(2時間の滴加)。氷浴中で18時間撹拌した後、反応混合液を氷水に注ぎ、これを酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を水で洗浄してpH7にし、MgSOで乾燥し且つ回転蒸発させると7.15gのテレフタル酸ビス−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}エステルがオフホワイトの非晶質固体として得られる。化合物をNMRによって同定する:
【化18】

(NMRの割り当てに相当する番号付け、名称ではない)
505012 MW=842.95

【0163】
実施例3b:
実施例3aの非晶質生成物16.2gを、還流酢酸エチル25gに溶解させて、ゆっくりと室温まで冷却する。少量のヘキサンを添加し、この混合液を撹拌しながら一晩放置する。ヘキサンを更に幾らか添加して0℃に冷却した後、結晶化した生成物を濾過し、真空下で20℃〜50℃の間で乾燥させる。テレフタル酸ビス−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}エステル14.8gが、2モルの酢酸エチルで溶媒和され、白色結晶として得られる(融点102℃)。化学量論的量の溶媒和物がNMRスペクトルから推定され、更なる乾燥時に一定に保たれる。X線粉末スペクトルは結晶構造(図1)を特徴とするラインを示す。
【0164】
実施例3c:
実施例3bの結晶溶媒和生成物3.27gを無水エタノール中で懸濁し、完全溶解しないで2時間加熱還流する。冷却後、白色粉末1.76gが濾過によって得られ、これを50℃で真空乾燥させる。生成物は、結晶の、無溶媒テレフタル酸ビス−{ビス−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−メチル}エステル(融点105℃)からなる。NMRスペクトルは酢酸エチルがないことを証明する。X線粉末スペクトル中のラインは、結晶格子が実施例3bのものとは異なることを示す(図2)。
【0165】
実施例4〜5
実施例4及び5の化合物並びにそれらの物理的データを以下の表にまとめる。それらを実施例3の方法に従って実施例2の化合物から調製し、ジクロロメタン/エタノール95/5を溶離剤として使用して、シリカのカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【表1】

【0166】
適用例
実施例A1
配合物1及びAを以下の成分を混合して調製する:
【表2】

【0167】
配合物Aをバーコーターによってコイル被覆上に塗布して約6μmの膜厚さを与える。塗膜を、アルミ反射板によって200W/cmで空気下にて種々のベルト速度で中圧水銀ランプに更に露光する。Tela組織を使用して塗膜の表面をこすり、塗膜表面での目に見える痕跡はインク表面の不良な硬化を特徴付けるのに対して、目に見えない痕跡は塗膜が良好に硬化されたことを意味する。硬化速度は、それらの条件下での適切な硬化を得るために要求される最大ベルト速度として定義される。このコーティングを60m/分のベルト速度で良好に硬化する。
【0168】
実施例A2
配合物2及びBを以下の成分を混合して調製する:
【表3】

【0169】
実施例3a及び3bの生成物を、60℃で1時間撹拌した後に配合物Bに完全に溶解させる。適用及び試験方法は、適用例A1のものと同じである。これらの生成物は、から研ぎ抵抗試験では両方とも70m/分(ベルト速度)の同じ反応性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)又は(1A)
【化1】

(式中、
及びRはメチルであるか又は一緒になって−(CH−であり;且つ
nは2又は3である)の化合物であって、(1A)の溶媒は水又は有機溶媒である、前記化合物。
【請求項2】
及びRがメチルである、請求項1に記載の式(1)又は(1A)の化合物。
【請求項3】
光重合性組成物であって、
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和光重合性化合物、及び
(B)請求項1に規定される式(1)又は(1A)の少なくとも1つの光開始剤
を含む、光重合性組成物。
【請求項4】
成分(B)に加えて、少なくとも1つの更なる光開始剤(C)、及び/又は他の慣用の添加剤(D)を含む、請求項3に記載の光重合性組成物。
【請求項5】
前記組成物を基準として、0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜5質量%の光開始剤(B)又は光開始剤(B)+(C)を含む、請求項3又は4に記載の光重合性組成物。
【請求項6】
更なる添加剤(D)として顔料又は染料又は顔料もしくは染料の混合物を含む請求項4に記載の光重合性組成物。
【請求項7】
更なる添加剤(D)として分散剤又は分散剤の混合物を含む請求項4に記載の光重合性組成物。
【請求項8】
バインダーポリマー(e)、特にメタクリレート及びメタクリル酸のコポリマーを追加的に含む請求項3から7までのいずれか1項に記載の光重合性組成物。
【請求項9】
印刷インク、特にオフセット印刷インクである、請求項3から8までのいずれか1項に記載の光重合性組成物。
【請求項10】
請求項1に規定される式(1)又は(1A)の化合物の製造方法であって、
n個の式(2)
【化2】

(式中、R及びRは請求項1に規定され通りである)
の化合物と、式(3)
【化3】

(式中、nは請求項1に規定される通りである)
の酸塩化物とを、塩基、特にトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(1)の化合物を得る工程、及び
その後に溶媒から結晶化させて式(1A)の化合物を得る工程
を含む、前記製造方法。
【請求項11】
式(2)
【化4】

(式中、R及びRは請求項1に規定される通りである)の化合物の製造方法において、
その工程段階1では、
式(4)
【化5】

(式中、R及びRは請求項1に規定される通りである)の化合物を、
ランプによる照射なしに又はラジカル開始剤を添加する必要なしに臭素で処理して式(5)
【化6】

(式中、R及びRは請求項1に規定される通りである)の臭素化した化合物を得て、
その工程段階2では、
式(5)の化合物を、塩基で処理することによって式(2)の対応するヒドロキシル化合物に変換する、前記製造方法。
【請求項12】
請求項1に規定される式(1)の化合物の製造方法において、
その工程段階1では、
式(4)
【化7】

(式中、R及びRは請求項1に規定される通りである)の化合物を、
ランプによる照射なしに臭素で処理して式(5)
【化8】

(式中、R及びRは請求項1に規定される通りである)の臭素化した化合物を得て、
その工程段階2では、
式(5)の化合物を、塩基、好ましくは炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムで処理することによって式(2)の対応するヒドロキシル化合物に変換し、且つ
その工程段階3では、
n個の式(2)
【化9】

(式中、n、R及びRは請求項1に規定される通りである)の化合物と、
式(3)
【化10】

(式中、nは請求項1に規定される通りである)
の酸塩化物とを、塩基、特にトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(1)の化合物を得て、その後、溶剤から結晶化させて式(1A)の化合物を得る、前記製造方法。
【請求項13】
エチレン性不飽和二重結合を含有する化合物の光重合法であって、請求項3から9までのいずれか1項記載の組成物を、150〜600nmの範囲の電磁放射線で、又は電子ビームで又はX線で照射することを含む、前記光重合法。
【請求項14】
着色及び無着色塗料並びにワニス、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、感圧接着剤、歯科組成物、ゲル被覆物、エレクトロニクス用フォトレジスト、電気メッキレジスト、液膜及び乾燥膜の両方のためのエッチングレジスト、ソルダレジスト、種々のディスプレイ用途のカラーフィルタを製造するためのレジスト、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイ及びLCDの製造プロセスにおいて構造を生成するレジスト、LCD用スペーサを製造するための、電気及び電子要素を封入するための組成物としての、ホログラフィックデータストレージ(HDS)のための、磁性記録材料、マイクロ機械部品、導波管、光スイッチ、メッキマスク、エッチングマスク、着色防止系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷ステンシルを製造するための、画像記録材料としての、立体リソグラフィーによって三次元物体を製造するための、ホログラフィ記録、超小形電子回路、脱色材料、画像記録材料用の脱色材料のための、UV及び可視レーザー直接結像系用フォトレジスト材料としての、プリント回路基板の連続ビルドアップ層における誘電層の形成用フォトレジスト材料としての、マイクロカプセルを使用する画像記録材料のための、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの表面上を、請求項3に記載の組成物で被覆した被覆基材。
【請求項16】
食品包装材料用の表面コーティングとしての請求項3に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−521386(P2012−521386A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501259(P2012−501259)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053607
【国際公開番号】WO2010/108862
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】