説明

新規なクマリン化合物

【課題】高耐熱性、高相溶性を有すると共に、近紫外域から可視短波長域に吸収を有する新規クマリン化合物の提供。
【解決手段】一般式(I)


で表される高耐熱性、高相溶性のビクマリン化合物(ここでR1〜R7はそれぞれ独立に水素原子または特定の置換基を表す)。例としては7−ジエチルアミノエチル−4’−3,6’−ビクマリンが挙げられる。これらのビクマリン化合物は、耐熱性が高く、合成樹脂材料に易溶性であることから、紫外線吸収材料、紫外線遮蔽材料、紫外線検知材料等として、ポリイミド系樹脂やポリカーボネート系樹脂に添加し、その遮蔽効果によって両面同時露光を可能とし、作業性の高効率化が達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド樹脂類、ポリカーボネート樹脂類等に適用される、高耐熱性、高相溶性を有すると共に、紫外域から可視短波長域に強い吸収能を有する、新規なクマリン化合物、およびこれを用いた樹脂基板、両面基板または多層基板等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動化、高速化、微細化がますます要求されるフォトレジスト関連分野において使用される構成材料には、種々の高度な性能が求められている。
【0003】
とりわけ耐熱性の強化が重要視されることから、樹脂基材として、高耐熱性に加えて、電気的、機械的にも良好な特性を持つ、ポリイミド系樹脂や、ポリカーボネート系樹脂が用いられつつある。そしてこれに関連して、添加剤についても高耐熱性のものが求められている。
【0004】
添加剤である蛍光材料もそのひとつである。従来のエポキシ樹脂への適用において、蛍光材料には今ほど高耐熱性が要求されなかった。しかしながら、従来の蛍光材料は、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂に適用するには、耐熱性が十分でない。
【0005】
特許文献1には、紫外線領域と高波長領域とに反射ピークを有する蛍光増白剤を配合することによって、広い範囲の紫外線遮蔽性に優れ、両面同時露光等に対応し、印刷配線板の変色や、耐溶剤性の低下、各種性能の熱劣化等の欠点を生じない、ピラゾリン化合物を有するフオトソルダーレジストが記載されている。
また、特許文献2には、物質自体として着色が少なく、各種溶剤、樹脂への相容性および分散性にすぐれた、ピラゾリン化合物を用いた蛍光材料が記載されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載されているピラゾリン化合物は、ポリイミド系樹脂基板に特有の高温反応処理を行えば、昇華や分解を伴うため、本来の蛍光力価を十分に発揮することが出来ないという欠点があり、耐熱性の良好な蛍光材料が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−220894号公報
【特許文献2】特開平6−184531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プリント配線基板の自動外観検査(AOI)における導体パターン検査では、導体以外の樹脂層(絶縁層、蛍光含有層)から蛍光反射を検出するための検出部への感度不足の問題があった。
また、自動パターン修正装置における不要導体パターン部分(短絡部分)の導体自動削り取り工程では、その終点部分、すなわち、導体パターンが削り取られたすぐ下の絶縁層(蛍光含有層)からの蛍光反射を検出するための検出器への感度不足により、削り過ぎ(絶縁層の一部まで削り取られる)等の問題を引き起こしていた。
【0008】
さらに、プリント配線基板のソルダレジスト印刷においても、スクリーン印刷法よりも感光性レジストインクによる方法が多く用いられている。
紫外線硬化型感光性レジストインクは、紫外線を照射することによって硬化するが、両
面同時露光の場合には、照射した紫外線が基板内部を透過し、反対面のレジストインクまで互いに影響し合う。
これを防止するために蛍光材料や、紫外線吸収材料が添加されているが、ポリイミド多層基板は、作製時に非常な高温処理を施されるので、従来の蛍光材料や紫外線吸収材料では、一部が分解を起こし、吸収遮蔽効果が低下していた。
【0009】
さらに、液晶表示装置のバックライト(反射膜)等に使用されるポリカーボネート樹脂においても、高温処理を要するため、従来の蛍光増白剤では、一部が分解を生じ、満足な増白効果が得られなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は一般式(I)
【化1】

[式中、R〜R、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基を示し、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基、フェニル基、フェニル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基、ナフチル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)を示す]で表される、高耐熱性、高相溶性を有する新規なビクマリン化合物に関する。
【0011】
また、本発明は、ポリイミド系またはポリカーボネート系樹脂の一表面または両面に、金属箔を有する両面基板あるいは多層基板において、該樹脂中に、近紫外域から可視短波長域に吸収を有する一般式(I)の化合物を、一種以上含有することを特徴とする両面基板
あるいは多層基板に関する。
【発明の効果】
【0012】
実施例および参考例から明らかなように、本発明のビクマリン化合物は、高熱処理を行っても蛍光強度、紫外線遮蔽効果が低下することがなく安定であった。したがって、本発明のビクマリン化合物を用いることにより、従来の蛍光材料では得られなかった蛍光材料含有ポリイミド樹脂や、蛍光材料含有ポリカーボネート樹脂を得ることができ、多層板作製時の両面同時露光を可能とし、自動配線検査(自動外観検査=AOI)等への応用が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のビクマリン化合物の代表例として、以下のものをあげることができる。
7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジブチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ブチルアミノ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−メチル−3,6'−ビクマリン、
4',6−ジメチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
【0014】
7−ジメチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
6−メチル−4'−トリフルオロメチル−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ジエチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−メトキシ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ヒドロキシ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−アミノ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−エチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ジメチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−メチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−エトキシ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−6−クロロ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−6−ブロモ−3,6'−ビクマリン、
3'−アセチル−6,8−ジブロモ−3,6'−ビクマリン、
【0015】
3'−アセチル−6−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−フェニル−3,6'− ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−フェニルル−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
6−メチル−4'−フェニル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−メトキシ−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−ヒドロキシ−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
【0016】
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−メチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−メトキシ−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−ヒドロキシ−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−ジメチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−メチルアミノ−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−メチル−3,6'−ビクマリン、
【0017】
7−ジエチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,6'−ビクマリン、
4'−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
【0018】
4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
6−メチル−4'−ナフチル−3,6'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジブチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ブチルアミノ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−メチル−3,8'−ビクマリン、
【0019】
4',6−ジメチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
6−メチル−4'−トリフルオロメチル−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ジエチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−メトキシ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ヒドロキシ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−アミノ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−エチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−ジメチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
【0020】
3'−アセチル−7−メチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−7−エトキシ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−6−クロロ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−6−ブロモ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−6,8−ジブロモ−3,8'−ビクマリン、
3'−アセチル−6−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−フェニル−3,8'− ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−フェニルル−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
6−メチル−4'−フェニル−3,8'−ビクマリン、
【0021】
7−ジエチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−メトキシ−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−ヒドロキシ−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−7−メチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−メトキシ−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−ヒドロキシ−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−ジメチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−7−メチルアミノ−3,8'−ビクマリン、
【0022】
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−メトキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−(4−メトキシフェニル)−3,8'−ビクマリン、
4'−(4−メトキシフェニル)−6−メチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジエチルアミノ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
【0023】
7−メトキシ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−ヒドロキシ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−アミノ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−エチルアミノ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−ジメチルアミノ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−メチルアミノ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
7−エトキシ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
6−クロロ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
6−ブロモ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
6,8−ジブロモ−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン、
6−メチル−4'−ナフチル−3,8'−ビクマリン
等が挙げられる。
【0024】
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0025】
また、本発明の化合物は、次に示す通り、公知の方法で製造することができる。
【0026】
例えば、相当するサリチルアルデヒド類と相当するヒドロキシフェニル酢酸類を、公知の方法により合成した、一般式(II)
【化2】

(式中、R〜R、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基を示す)で表されるクマリン化合物を、3−オキソカルボン酸類と、公知の方法により反応させることにより、一般式(I)
【化3】

[式中、R〜R、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基を示し、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基、フェニル基、フェニル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基、ナフチル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)を示す]で表される本発明のビクマリン化合物を得ることができる。
【0027】
本発明の新規なビクマリン化合物は、耐熱性が高く、合成樹脂材料に易溶性であることから、紫外線吸収材料、紫外線遮蔽材料、紫外線検知材料等として、ポリイミド系樹脂やポリカーボネート系樹脂に添加し、その遮蔽効果によって両面同時露光を可能とし、作業性の高効率化が達成できる。
また、反射蛍光を利用して自動配線検査(自動外観検査=AOI)等に用いられる。勿論、他の各種多層板にも使用することができ、一般樹脂材料の蛍光増白剤としても使用することができる。
【0028】
本発明の多層樹脂板は、合成樹脂の前駆共重合体に、得られる樹脂固形分に対し、0.01〜3.0質量%、好ましくは0.05〜1.0質量%の本発明のビクマリン化合物を混合し、金属板上で焼成するなどして高温処理することにより得られることができる。
【0029】
本発明の樹脂多層板に使用しうる合成樹脂として、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂をはじめとする様々な樹脂が挙げられる。
【0030】
本発明の樹脂多層板に使用しうる金属箔として、金、銀、銅、その他の金属が挙げられる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0032】
実施例1
【化4】

7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,6'− ビクマリンの合成
4−ヒドロキシフェニル酢酸10g、4−ジエチルアミノサリチルアルデヒド12.7g、トリエチルアミン100ml、無水酢酸50mlを24時間加熱還流撹拌した。析出物を吸引ろ過にて回収して水、メタノールで洗浄し、乾燥して黄褐色粉末を6.1g得た。この得られたクマリン3.1gを用い、アセト酢酸エチル3.3g、塩化亜鉛0.3g、エタノール110mlと共に22時間加熱還流撹拌した。析出物を吸引ろ過にて回収してエタノールで再結晶し、融点190℃、分解温度363℃、λmax.400nmを示す淡黄色結晶を1.3g得た。
【0033】
実施例2〜11
同様の方法によって式(III)
【化5】


で表される本発明の化合物を合成した。
得られた化合物の具体的な構造、及び、測定結果を以下の表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例12
【化6】

7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,8'− ビクマリンの合成
4−ヒドロキシフェニル酢酸に代えて、2−ヒドロキシフェニル酢酸を用いた以外は、実施例1と同様に反応させ、融点165℃、分解温度348℃、λmax.388nmを示す淡黄色結晶を1.1g得た。
【0036】
実施例13
ポリイミド前駆共重合体(ポリアミック酸)溶液の調整
ピロメリット酸二無水物4.36g(0.02モル)および3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物58.00g(0.18モル)のN−メチルピロリドン600ml溶液に6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンズイミダゾール44.86g(0.2モル)を30℃以下で仕込み、室温下で3時間撹拌し、ポリイミド前駆共重合体(ポリアミック酸)溶液707.2gを得た(固形分濃度15重量%)。得られた溶液は各67.0gに小分けして以下の実施例に適用した。
【0037】
実施例14
ポリイミド樹脂層の形成
ポリアミック酸67.0gに、本発明の蛍光材料7−ジエチルアミノ−4'−メチル−
3,6'− ビクマリン(実施例1)0.02gを添加溶解し、ポリアミック酸に対して0.2%の蛍光剤含有の核溶液を得た。
このポリアミック酸溶液を、銅板上に焼成後厚みが所定の厚みになるようにキャストし、140℃で5分間熱風乾燥した後、350℃で10分間加熱してポリイミド共重合樹脂多層板を得、これをエッチング処理にて銅を除き、ポリイミド樹脂層を得た。得られたポリイミド樹脂層は、島津製作所製RF−5300PCを用いて蛍光反射を測定した。
【0038】
実施15〜25
ポリイミド樹脂層の形成
実施例14の本発明の蛍光材料7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,6'− ビクマ
リン0.02gの代わりに、実施例2〜12のビクマリン化合物0.02gを使用する以外はすべて実施例14と同様に行い、ポリイミド樹脂層を得た。得られたポリイミド樹脂層は、島津製作所製RF−5300PCを用いて蛍光反射を測定した。
【0039】
実施例26
実施例14の本発明の蛍光材料7−ジエチルアミノ−4'−メチル−3,6'− ビクマ
リン0.02gの代わりに、従来品である、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン0.02gを使用する以外はすべて実施例14と同様に行い、ポリイミド樹脂層を得た。得られたポリイミド樹脂層は、島津製作所製RF−5300PCを用いて蛍光反射を測定した。
【0040】
対比例14〜26
対比例の作成
対比例は、本発明の実施例の蛍光材料との比較において、蛍光強度の減衰率を比較するために必要な試料であるが、実施例のような高熱処理を行わずに作成した試料である。
実施例14〜25に使用した本発明の各蛍光材料、および実施例26(比較例)に使用した既知の蛍光材料を、塩化ビニル樹脂に濃度0.2PHR(per hundred resin)で170℃にて通常練り込みを行い、成型処理を施して樹脂層を得た。
得られた樹脂層は、島津製作所製RF−5300PCを用いて蛍光反射を測定した。
【0041】
【表2】

【0042】
参考例
実施例で得られたポリイミド樹脂層の一部を、紫外線照射機(オーク製作所製)及び紫外測定機センサーU−42(オーク製作所製)を用いて照射光E、透過光Eより透過率を求めた。
【表3】

【0043】
上記実施例および参考例から明らかなように、本発明の新規なビクマリン化合物は、従来のクマリン化合物よりも高い分解温度を有することから、高熱処理を行っても蛍光強度や、紫外線遮蔽効果が低下することがなく、安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

[式中、R〜R、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基を示し、Rは水素原子、ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基、フェニル基、フェニル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基、ナフチル基(ハロゲン、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のトリハロアルキル基、水酸基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アミノ基または炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基により置換されている)を示す]で表される高耐熱性、高相溶性のビクマリン化合物。
【請求項2】
ポリイミド系樹脂またはポリカーボネート系樹脂の表面上に金属箔を有する両面基板または多層基板において、該樹脂中に近紫外域から可視短波長域に吸収を有する、請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする両面基板または多層基板。




【公開番号】特開2011−1323(P2011−1323A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147164(P2009−147164)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(391025659)株式会社日本化学工業所 (8)
【Fターム(参考)】