説明

新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物

【課題】新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


で示される有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤の摩擦特性を適切なレベルに調整するために摩擦調整剤(フリクションモディファイア)があり、省燃費を目指したギヤ油やエンジン油のような潤滑組成物には摩擦低減作用のある摩擦調整剤が使用されており、自動変速機の湿式クラッチ部分に用いる潤滑組成物ではある程度高い摩擦レベルを維持するため摩擦向上作用のある摩擦調整剤が使用されている。これらの摩擦調整剤としては多くのタイプのものが提案されている。
【0003】
そして、その摩擦調整剤として最も代表的なものが有機モリブデン化合物であるが、非特許文献1にみられるように、これらの有機モリブデン化合物は、下記式(2)および(3)に示されているように1分子中に2個のMo元素を含有する化合物である。
【化3】

また、特許文献1〜5においても1分子中に2個のMo元素含有化合物が開示されている。
そして、前記一般式(2)で示されるように分子中にリンを含有する化合物は、エンジン油に添加される場合、排ガス浄化装置の触媒毒となるという問題を含んでおり、リンを含まない化合物が求められている。
【0004】
【非特許文献1】昭和61年7月25日、株式会社 幸書房発行、桜井俊男編著「新版石油製品添加剤」
【特許文献1】特許第3495764号公報
【特許文献2】特公昭45−24562号公報
【特許文献3】特開昭52−19629号公報
【特許文献4】特開昭52−106824号公報
【特許文献5】特開昭48−56202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、新規な有機モリブデン化合物、それよりなる摩擦調整剤およびそれを含む潤滑組成物を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、下記一般式(1)
【化4】

(式中、AおよびAは置換基を有することもある複素環であり、前記置換基は炭素数1〜30のアルキル基から選択されたものである)
で示される有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第2は、前記置換基を有することもある複素環が、5員環および6員環よりなる群から選ばれた複素環であって、前記5員環は、テトラゾール型、トリアゾール型、ピラゾール型、ピラゾリジン型、イミダゾール型、オキサゾリジン型、チアゾリジン型、ピロリジン型、ピロリン型およびピロール型よりなる群から選ばれた5員環であり、前記6員環は、ピペラジン型、ピラジン型、チオモルホリン型、チアジン型、モルホリン型、オキサジン型およびピペリジン型よりなる群から選ばれた6員環である請求項1記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第3は、
【化2】

(1−ピロリジニル基)である請求項2記載の有機モリブデン化合物に関する。
本発明の第4は、請求項1または3記載の有機モリブデン化合物よりなる摩擦調整剤に関する。
本発明の第5は、請求項4記載の摩擦調整剤を含有する潤滑組成物に関する。
【0007】
本発明の有機モリブデン化合物は、例えば下記の方法により得ることができる。
【0008】
【化6】

【0009】
【化7】

【0010】
【化8】

として表すことができる。式中、Z〜Zは、C、O、NおよびSよりなる群からそれぞれ独立して選ばれた元素であり、これらのうちCやNの場合には隣りのCやNと2重結合を形成してもよい。R〜RおよびR1′〜R4′は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるがZ〜Zが環形成で結合手が飽和している場合はこれらの基は存在しない。
【0011】
【化9】

として表すことができる。式中、Z〜Zは、C、O、NおよびSよりなる群からそれぞれ独立して選ばれた元素であり、これらのうちCやNの場合には隣りのCやNと2重結合を形成してもよい。R〜RおよびR5′〜R9′は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるがZ〜Zが環形成で結合手が飽和している場合はこれらの基は存在しない。
【0012】
前記AまたはAの具体例としては、下記の場合を挙げることができる。

【表1】

【表2】

【0013】
前記テトラゾール型などの5員環やモルホリン型などの6員環にはR〜Rで示される置換基があってもよい。この置環基である炭素数1〜30のアルキル基は、直鎖のものでも分岐のものでもよい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチル−ヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−ペンタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシルなどを挙げることができる。
【0014】
本発明の化合物は、大きく分けると、タイプI〜Vに分けることができる。
(1)タイプI
【化10】

なお、R10およびR11は、水素および炭素数1〜30のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
(2)タイプII
【化11】

(3)タイプIII
およびAが共に5員環のケース
(4)タイプIV
およびAが共に6員環のケース
(5)タイプV
が6員環で、Aが5員環のケース
【0015】
タイプIの化合物をさらに具体化すると下記の化合物群として示すことができる。
下記、式中R〜RおよびR1′〜R4′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものであり、また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。さらに、R10およびR11は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
【化12】

【0016】
【化13】

【0017】
タイプIIの化合物をさらに具体化すると下記化合物群として示すことができる。
【化14】

【0018】
【化15】

なお、式中R〜RおよびR5′〜R9′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものであり、また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。さらに、R10およびR11は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。
【0019】
タイプIIIの化合物としては、AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化16】

【0020】
【化17】

【0021】
【化18】

【0022】
【化19】

【0023】
【化20】

【0024】
【化21】

【0025】
【化22】

【0026】
【化23】

【0027】
【化24】

【0028】
【化25】

【0029】
【化26】

【0030】
【化27】


なお、式中R〜R、R1′〜R4′、R12〜R15およびR12′〜R15′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0031】
タイプIVの化合物における、AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化28】

【0032】
【化29】

【0033】
【化30】

【0034】
【化31】

【0035】
【化32】

【0036】
【化33】

なお、式中R〜R、R5′〜R9′、R16〜R20およびR16′〜R20′は、水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0037】
タイプVの化合物における複素環AおよびAが下記の構造のものを挙げることができる。
【化34】

【0038】
【化35】

【0039】
【化36】

【0040】
【化37】

【0041】
【化38】

【0042】
【化39】

【0043】
【化40】

【0044】
【化41】

【0045】
【化42】

【0046】
【化43】

【0047】
【化44】

【0048】
【化45】

【0049】
【化46】

【0050】
【化47】

なお、式中R〜R、R5′〜R9′、R12〜R15およびR12′〜R15′は水素およびアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、前記アルキル基は、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜10のものである。また、これらの基として水素は好ましいものの1つである。
【0051】
TypeIの具体的化合物
テトラゾイルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピローリルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体。
タイプIの例示化合物の名称において、アルキルとはC1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基および炭素数3〜30のアルキル基で、ノルマル体およびIso体を含むプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンタシル等である。
【0052】
TypeIIの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとジチオアルキルカルバマトとのジオキシモリブデン錯体。
タイプIIの例示化合物の名称において、アルキルとはC1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基および炭素数3〜30のアルキル基で、ノルマル体およびIso体を含むプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンタシル等である。
【0053】
TypeIIIの具体的化合物
テトラゾイルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、テトラゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、トリアゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラゾリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、イミダゾイルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサゾリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアゾリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピロリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピローリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体。
【0054】
TypeIVの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとピペラジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチオモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとチアジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとモルホリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとオキサジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピペリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体。
【0055】
TypeVの具体的化合物
ピペラジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペラジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピラジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チオモルホリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、チアジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、モルホリルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体オキサジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、オキサジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとテトラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとトリアゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピラゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピラゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとイミダゾイルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとオキサゾリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとチアゾリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピロリジルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピロリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体、ピペリジルジチオカルバマトとピローリルジチオカルバマトとのジオキシモリブデン錯体。
【0056】
本発明の潤滑組成物としては、潤滑油やグリースなどを挙げることができる。本発明化合物の潤滑組成物中の存在量は、従来の摩擦調整剤と同様であり、例えば通常組成物に対し、0.1〜10重量%程度の割合で配合する。
【発明の効果】
【0057】
(1)新規なリンを含まないMo系摩擦調整剤が得られた。
(2)油中Mo含有量を同量にして既存のMo系摩擦低減剤と比較すると本発明化合物は更に低い摩擦係数を示し、各種省エネルギー潤滑油の添加剤として利用できる。
(3)本発明化合物はリンを含まないことにより、特に省燃費エンジンオイルの摩擦調整剤としての利用に適する。
【実施例】
【0058】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0059】
実施例1
【化48】

以下に示す製法は一例であって必ずしもこれに限るものではない。
NaMoO+2NHCN(C)+4HCl
→MoO(CNCS+2NaCl+2NHCl
モリブデン酸ナトリウム(7.3g、0.03mol)とピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(9.9g、0.06mol)を500mlのナスフラスコに加え100mlの水に溶かした。そこに0.12mol希塩酸300mlを滴下ロートから約2時間かけて滴下した。得られた沈殿物を吸引ろ過し、水・エーテル・メタノール・アセトンでよく洗い、水分を除去した。さらに水分を除去するため、真空下のデシケーター内で2日間放置した。ジクロロメタン・メタノールで再結晶を行う。
目的化合物は黄色粉末であり、収率72%であった。
生成化合物の分析はNMRとMassで行い、目的化合物の生成の確認を行った。
HNMR(CDCl)δ=2.08〜2.11(m,2H×4),3.75〜3.78(m,2H×4)
Mass(EI,70eV)m/z(rel.intensity)=406(M−O,9),422(M,3),114(100,CNCS)
【0060】
実施例2および比較例1
実施例2は、表4に示すように、実施例1で得られた化合物を、比較例1は、
【化49】

を、「分散剤(アルケニルコハク酸ポリアルキレンポリイミド 商品名InfinumC9266)5%を添加したAPIグループIII鉱油(100℃における粘度4.23mm/s)」中に、Mo含有量500ppmとなるようにそれぞれ調整する。
これら試料油をSRV試験機(図2に示すシリンダー・オン・ディスク型の往復動試験機)により、下表3の条件にて30分間摩擦係数の測定評価を行い、その結果を図1に示す。試験片は52100鋼である。
【表3】

【表4】

【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例2および比較例1の試料油が時間の経過と共に、どのような摩擦係数をもつかを示すグラフである。
【図2】摩擦係数の測定に用いたシリンダー・オン・ディスク型の往復動試験機の概念概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、AおよびAは置換基を有することもある複素環であり、前記置換基は炭素数1〜30のアルキル基から選択されたものである)
で示される有機モリブデン化合物。
【請求項2】
前記置換基を有することもある複素環が、5員環および6員環よりなる群から選ばれた複素環であって、前記5員環は、テトラゾール型、トリアゾール型、ピラゾール型、ピラゾリジン型、イミダゾール型、オキサゾリジン型、チアゾリジン型、ピロリジン型、ピロリン型およびピロール型よりなる群から選ばれた5員環であり、前記6員環は、ピペラジン型、ピラジン型、チオモルホリン型、チアジン型、モルホリン型、オキサジン型およびピペリジン型よりなる群から選ばれた6員環である請求項1記載の有機モリブデン化合物。
【請求項3】
【化2】

(1−ピロリジニル基)である請求項2記載の有機モリブデン化合物。
【請求項4】
請求項1または3記載の有機モリブデン化合物よりなる摩擦調整剤。
【請求項5】
請求項4記載の摩擦調整剤を含有する潤滑組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189561(P2008−189561A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23130(P2007−23130)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】