説明

新規な置換されたアザベンゾオキサゾール

本発明は、式(I)で表される新規なアミロイド結合性化合物、および、生存している患者のアミロイド斑レベル変化を測定することによる該化合物の効果を測定するための方法に関する。より具体的には、本発明は、脳におけるアミロイド沈着をインビボで研究するためのポジトロン放射断層撮影(PET/)画像化のトレーサーとして本発明の化合物を用いることによりアルツハイマー病の診断を可能にする方法に関する。つまり、本発明は、新規アミロイド結合性化合物の診断薬としての使用に関する。本発明はさらにアルツハイマー病治療薬の臨床有効性を測定する方法に関する。具体的には、本発明は、新規なアリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体[式中、Xは、0またはSであり、AおよびYは、独立して、NまたはCHである]またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル、組成物、ならびに治療使用およびこれらの化合物の製造方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体、組成物、ならびにそのような化合物の治療使用および製造方法に関する。本発明はさらにH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131I同位体標識化アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体化合物に関する。特に、本発明は、アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾールの11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH同位体およびその調製方法に関する。
【0002】
本発明はまた生存している患者のアミロイド沈着を撮像するのに適している新規なアリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体に関する。より具体的には、本発明は、脳におけるアミロイド沈着をインビボで研究するためのポジトロン放射断層撮影[positron emission tomography](PET)画像化のトレーサーとして本発明の化合物を用いることによりアルツハイマー病の診断を可能にする方法に関する。本発明はさらにアルツハイマー病治療薬の臨床有効性を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
実験動物、健康人および患者を含めたさまざまな生存している被験者の生理および生化学についての基本ならびに診断情報を得るためには非侵襲的核画像化技術が用いられ得る。この技術は、そのような生存している被験者に投与された放射性トレーサーから放射される放射線を検出することができる精巧な画像化計測装置を使用することによってなっているものである。得られた情報は再構成されて、時間の関数としての放射性トレーサー分布を表示する二次元断層画像がもたらされ得る。適切に設計された放射性トレーサーを用いると、構造、機能、および、最も重要なこととして、被験者の生理および生化学についての情報を含有する画像がもたらされ得る。この情報の多くは他の手段では得ることができない。このような研究で用いられる放射性トレーサーは規定されたインビボ挙動をもつように設計されており、これにより被験者の生理または生化学に関してのまたはさまざまな疾患または薬物が有する被験者の生理または生化学に対しての効果に関しての特定の情報の測定が可能になっている。現在では、心機能、心筋血流量、肺灌流、肝機能、脳血流、局所的脳グルコースおよび酸素代謝などのことに関しての有用な情報を得るための放射性トレーサーが利用可能である。
【0004】
非侵襲的インビボ画像化撮像では、化合物は、ポジトロン放射またはガンマ線放射放射性核種で標識化され得る。最もよく使われるポジトロン放射(PET)放射性核種は11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらはすべて加速器で生成されるものであり、半減期はそれぞれ20分、110分、2分および10分である。これら放射性核種の半減期は非常に短いので、それらを用いるのは現場に加速器を有する機関またはそれらの製造が非常に近いところにある機関でのみ実現可能であり、結果としてその使用は限定されている。実質的に米国のどの病院でもまた世界中の多くの病院で用いられ得るいくつかのガンマ線放射放射性トレーサーが利用可能である。そうようなものの中で最も広く使われているのが99Tc、201Tlおよび123Iである。
【0005】
典型的なPET研究では、少量の放射性トレーサーが、試験されている実験動物、健康人または患者に投与される。放射性トレーサーはこのあと被験者の血液中に循環し、いくつかの組織に吸収され得る。放射性トレーサーは特異的酵素変換のためまたはタンパク質などの高分子構造体への特異的結合によりそのような組織の一部に選択的に保持され得る。ポジトロン放射を検出するための精巧な画像化計測装置を用いて、身体のさまざまな組織における放射性トレーサーの量がこのあと非侵襲的に評定される。得られたデータは解析されてインビボ生体プロセスについての定量的空間情報がもたらされる(この生体プロセスに対してトレーサーは設計されている)。PETは医薬研究調査員に薬物候補のインビボ生化学的変化または代謝効果を長期間に亘って評定する能力を授けることになるので、PETは薬物分布を測定するのに用いることができ、結果として研究下にある特定の薬物候補についての薬理および薬物動態評価を可能にしている。重要なこととしては、PETトレーサーは組織中での結合部位の存在を定量化するように設計され得るものであり、またそのように用いられるものである。結果としては、同位体標識化生化学物質が開発されたことおよび放射能を外部からの画像化により検出するための適切な検出デバイスが開発されたことにより薬物開発用PETトレーサーへの関心は拡大してきている。
【0006】
PETのような非侵襲核画像化技術は、脳卒中、パーキンソン病、癲癇、脳腫瘍およびアルツハイマー病を含めた、神経系の疾患および障害を研究する能力をもたらすのに特に重要であった。アルツハイマー病は最も一般的な認知症の形態である。アルツハイマー病は毎日の生活の正常な活動を妨げるのに十分深刻な知能の喪失を特徴とする神経疾患である。アルツハイマー病は普通老齢で発症し、記憶、理解、および発想などの認知機能が低下していくことで特徴づけられる。すべてのアルツハイマー病病理の形態は、アミロイドAβ−ペプチド蓄積によって特徴づけられる。Cai、L.ら、Current Medicinal Chemistry、2007年、14、19−52頁;Chandra、R.ら、J.Med.Chem.2007年、50、2415−2423頁;Qu、W.ら、J.Med.Chem.2007年、50、3380−3387頁;Cai、L.ら、J Med.Chem.2007年、50、4746−4758頁;およびQu、W.ら、J Med.Chem.2007年、50、2157−2165頁を参照されたい。PETならびに単フォトン放射断層撮影装置[single photon emission computed tomography](SPECT)は、脳におけるアミロイド沈着の蓄積をモニターしてそれをADの進行に相関させるのに有効である(Shoghi−Jadidら、The American Journal of Geriatric Psychiatry、2002年、10、24頁;Miller、Science、2006年、313、1376頁;Coimbraら、Curr.Top.Med.Chem.2006年、6、629頁;Nordberg、Lancet Neurol.2004年、3、519頁)。つまり、血液脳関門を迅速に横切ることができる、診断で用いられ得る強力な特異的結合特性および低非特異的結合特性を有する、および系から迅速にクリアランスされ得る非毒性のアミロイド結合性放射性トレーサーに対してニーズがある。そのような化合物は、アミロイド斑レベルの変化を測定することによって、アルツハイマー病患者が受けている治療プログラムの有効性をモニターするのにも用いられ得る。アミロイド結合の特性に関する背景議論についてはCoimbraら、Curr.Top.Med.Chem.2006年、6、629頁;Mathisら、J.Med.Chem.2003年、46、2740頁;Klunkら、Ann Neurol.2004年、55、306頁を参照されたい。化合物の例およびアルツハイマー病の治療で用いられている方法についてはWO2007/086800、WO2007149030、WO2007/002540、WO2007/074786、WO2002/016333、WO2003048137、WO2002085903、およびWO2004/083195を参照されたい。米国特許第6696039号、US2004/0131545、US6001331、WO2004/032975、WO2004/064869、US2005/0043377、WO2007/033080、US4038396、WO2006044503、WO2006044503、WO2007070173、WO2008108729、WO2008108730、およびUS3899506も参照されたい。
【0007】
本発明の同位体標識化化合物の主な使用は、インビボ解析技術であるポジトロン放射断層撮影においてであるが、同位体標識化化合物のいくつかはPET解析以外の方法に用いられ得る。特に、14CおよびH標識化化合物は、結合、受容体占拠、および共有結合標識を含む代謝研究を測定するためのインビトロ法ならびにインビボ法で用いられ得る。特に、いくつかの同位体標識化化合物は、磁気共鳴画像化、オートラジオグラフィー、および他の類似の解析ツールに有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/086800号
【特許文献2】国際公開第2007149030号
【特許文献3】国際公開第2007/002540号
【特許文献4】国際公開第2007/074786号
【特許文献5】国際公開第2002/016333号
【特許文献6】国際公開第2003048137号
【特許文献7】国際公開第2002085903号
【特許文献8】国際公開第2004/083195号
【特許文献9】米国特許第6696039号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0131545号明細書
【特許文献11】米国特許第6001331号明細書
【特許文献12】国際公開第2004/032975号
【特許文献13】国際公開第2004/064869号
【特許文献14】米国特許出願公開第2005/0043377号明細書
【特許文献15】国際公開第2007/033080号
【特許文献16】米国特許第4038396号明細書
【特許文献17】国際公開第2006044503号
【特許文献18】国際公開第2007070173号
【特許文献19】国際公開第2008108729号
【特許文献20】国際公開第2008108730号
【特許文献21】米国特許第3899506号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Cai、L.ら、Current Medicinal Chemistry、2007年、14、19−52頁
【非特許文献2】Chandra、R.ら、J.Med.Chem.2007年、50、2415−2423頁
【非特許文献3】Qu、W.ら、J.Med.Chem.2007年、50、3380−3387頁
【非特許文献4】Cai、L.ら、J Med.Chem.2007年、50、4746−4758頁
【非特許文献5】Qu、W.ら、J Med.Chem.2007年、50、2157−2165頁
【非特許文献6】Shoghi−Jadidら、The American Journal of Geriatric Psychiatry、2002年、10、24頁
【非特許文献7】Miller、Science、2006年、313、1376頁
【非特許文献8】Coimbraら、Curr.Top.Med.Chem.2006年、6、629頁
【非特許文献9】Nordberg、Lancet Neurol.2004年、3、519頁
【非特許文献10】Mathisら、J.Med.Chem.2003年、46、2740頁
【非特許文献11】Klunkら、Ann Neurol.2004年、55、306頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、新規なアミロイド結合性化合物、および、生存している患者のアミロイド斑レベルの変化を測定することによる、該化合物の効果を測定するための方法に関する。より具体的には、本発明は、脳におけるアミロイド沈着をインビボで研究するためのポジトロン放射断層撮影(PET)画像化のトレーサーとして本発明の化合物を用いてアルツハイマー病の診断を可能にする方法に関する。つまり、本発明は、診断薬としての新規なアミロイド結合性化合物の使用に関する。本発明はさらにアルツハイマー病治療薬の臨床有効性を測定する方法に関する。具体的には、本発明は、新規なアリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体、組成物、ならびにそのような化合物の治療使用および製造方法に関する。本発明は、さらに、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131I同位体標識化アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体化合物、組成物、これらの調製方法、ならびにアルツハイマー病の治療における化合物の効果の測定および診断用PETトレーサーとしてのそれらの使用に関する。本発明は、血液脳関門を迅速に横切ることができる、低非特異的結合特性を有する、および系から迅速にクリアランスされる非毒性のアミロイド結合性化合物にも関する。本発明のこの態様および他の態様は、本明細書全体をレビューすると了解される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様で、式I:
【0012】
【化1】

[式中、
Xは、OまたはSであり、
AおよびYは、独立して、NまたはCHであり、
Zは、1から3個の基R、RまたはRですべてが場合によって置換されているフェニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、ピリジル、ピラゾロピリジニル、ベンゾジオキソリル、およびピロロピリジニルからなる群から選択され、
Rは、水素または−C1−6アルキルを表し、
は、水素、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、CN、−(CHハロ、CF、−O(CHR、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−C1−6アルキル、−OCF、−O(CHF、−(O(CHハロ、−(O(CHOR、−C(O)OR、またはヘテロ−スピロ環を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、但し、R、R、RおよびRは同時に水素ではなく、またはRが水素であり、Zがフェニルであり、R、RおよびRのうちの2つが水素である場合、他のR、RおよびRはメチル、フリル、ハロ、ヒドロキシル、エトキシ、ジメトキシ、イソプロピルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシではなく、
、RおよびRは、独立して、水素、−(CHハロ、−C1−6アルキル、−CF、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、−N(R)を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、
は、−CN、NO、ハロ、CF、−C1−6アルキル、−C1−6アルケニル、−C1−6アルキニル、−(CHハロ、−OR、−NRR、−C(=NR)NR、−N(=NR)NR、−NRCOR、−NRCO、−NRSO、−NRCONR,−SR、−SOR、−SO、−SONR、−COR、−CO、−CONR、−C(=NR)R、または−C(=NOR)Rを表し、
nは、0−6を表し、
sは、2−4を表し、
pは、1−3を表す。]
による化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルが提供される。
【0013】
本発明の1つの態様は、Rが、Zのフェニル、ピリジルおよびベンゾチアゾリルのパラ位に結合しており、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0014】
本発明の別の態様は、Zがその6員環を介してアザベンゾオキサゾールに結合しており、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0015】
本発明の別の態様は、XがOであり、YがNであり、AがCHであり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0016】
本発明の別の態様は、XがSであり、YがNであり、AがCHであり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0017】
本発明の別の態様は、Xが0であり、YがCHであり、AがNであり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0018】
本発明の別の態様は、Zが、
【0019】
【化2】

からなる群から選択されるとき実現される。
【0020】
本発明の別の態様は、Zが、
【0021】
【化3】

であり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0022】
本発明の別の態様は、Zが、
【0023】
【化4】

であり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。本発明の1つの下位実施形態は、Rが水素であり、Zがフェニルであり、R、RおよびRのうちの2つが水素であって他のR、RおよびRがメチル、フリル、ハロ、ヒドロキシル、エトキシ、ジメトキシ、イソプロピルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシでないとき実現される。
【0024】
本発明のなお別の態様は、Zが、
【0025】
【化5】

であり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0026】
本発明のなお別の態様は、Zが、
【0027】
【化6】

であり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0028】
本発明のなお別の態様は、Zが、
【0029】
【化7】

であり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0030】
本発明の別の態様は、Rが、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、−(CHハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、または−(O(CHOR、−(O(CHハロからなる群から選択され、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0031】
本発明の別の態様は、Rが、ハロ、−C5−10ヘテロシクリル、−N(Rからなる群から選択され、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0032】
本発明の別の態様は、Rがフルオロまたはクロロ(好ましくはフルオロ)であるとき実現される。
【0033】
本発明の別の態様は、Rが−N(Rであり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。本発明の1つの下位実施形態は、RがH、C1−6アルキル、−(CHOR、−(CH5−10ヘテロシクリルであるとき実現される。
【0034】
本発明の別の態様は、Rが−C5−10ヘテロシクリルであり、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。本発明の1つの下位実施形態は、ヘテロシクリルが、モルホリニル、フラニル、ピロリジニルからなる群から選択されるとき実現される。
【0035】
本発明のなお別の態様は、R、RおよびRが、独立して、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、−N(R)を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルが1−3個の基Rで場合により置換されていて、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0036】
本発明のなお別の態様は、R、RおよびRが、独立して、ジアルキルアミノ、C1−6アルキルアミノ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルを表し、他のすべての可変部が最初に記載されているとおりであるとき実現される。
【0037】
本発明のなお別の態様は、Rが、ハロ、−CN、NO、−C1−6アルキル,−OR、−N(R)、−NRCOR、−NRCOR、または−C5−10ヘテロシクリルを表すとき実現される。
【0038】
本発明の別の態様は、式Iの化合物が、同位体標識化H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36CL、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131Iであるとき実現される。
【0039】
本発明のなお別の態様は、構造式Ia:
【0040】
【化8】

[式中、R、およびRは、本明細書に記載されているとおりである]で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルで実現される。式Iaの別の下位実施形態は、Rが、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、ハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択されるとき実現される。式Iaのなお別の実施形態は、Rが、ハロ、−C5−10ヘテロシクリル、−N(Rであるとき実現される。式Iaのなお別の下位実施形態は、Rが、ハロ(好ましくはフッ素)であるとき実現される。式Iaのなお別の下位実施形態は、Rが、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から選択されるとき実現される。式Iaの別の下位実施形態は、RがHまたはC1−6アルキル(好ましくはC1−6アルキル、なお好ましくはメチル)であるとき実現される。本発明のなお別の下位実施形態は、式Iaの化合物が、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH(好ましくは11C、および18F)として同位体標識されているとき実現される。
【0041】
本発明のなお別の態様は、構造式Ib:
【0042】
【化9】

[式中、R、およびRは、本明細書に記載されているとおりである]で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルで実現される。この1つの下位実施形態は、Rが水素であってRがメチル、フリル、ハロ、ヒドロキシル、エトキシ、ジメトキシ、イソプロピルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシでないとき実現される。式Ibの1つの下位実施形態は、R、およびRが同時に水素でないとき実現される。式Ibの別の下位実施形態は、Rが、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、ハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択されるとき実現される。式Ibのなお別の実施形態は、Rが、ハロ、−C5−10ヘテロシクリル、および−N(Rであるとき実現される。式Ibのなお別の下位実施形態は、Rが、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から選択されるとき実現される。本発明のなお別の下位実施形態は、式Ibの化合物が11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH(好ましくは11C、および18F)として同位体標識されているとき実現される。
【0043】
本発明のなお別の態様は、構造式Ic:
【0044】
【化10】

[式中、R、R、RおよびRは、本明細書に記載されているとおりである]で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルで実現される。式Icの別の下位実施形態は、Rが、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、ハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択されるとき実現される。式Icのなお別の実施形態は、Rが、ハロ、−C5−10ヘテロシクリル、−N(Rであるとき実現される。式Icのなお別の下位実施形態は、R、RおよびRが、独立して、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から選択されるとき実現される。本発明のなお別の下位実施形態は、式Icの化合物が、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH(好ましくは11C、および18F)として同位体標識されているとき実現される。
【0045】
本発明の化合物の例は、
【0046】
【表1】




またはこれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルである。
【0047】
本発明の化合物のさらなる例は、
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−メチル−アミン、
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−ジメチル−アミン、
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N−メチルアニリン、
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリン、
5−フルオロ−2−(1H−インドール−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン;
またはこれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルである。
【0048】
本発明は、生存している患者のアミロイド斑レベルの変化を測定することによる、化合物の効果を測定するための方法にも関する。より具体的には、本発明は、脳におけるアミロイド沈着をインビボで研究するためのポジトロン放射断層撮影(PET)画像化のトレーサーとして本発明の化合物を用いてアルツハイマー病の診断を可能にする方法に関する。つまり、本発明は、新規アミロイド結合性化合物の診断薬としての使用に関する。本発明は、さらに、アルツハイマー病治療用医薬の製造におけるこの新規なアミロイド結合性化合物の使用に関する。本発明はさらにアルツハイマー病治療薬の臨床有効性を測定する方法に関する。具体的には、本発明は、新規なアリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体、組成物、ならびにそのような化合物の治療使用および製造方法に関する。本発明は、さらに、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36CL、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131I(好ましくは11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH、より好ましくは11C、および18F)同位体標識化アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体、組成物およびその調製方法に関する。本発明は、血液脳関門を迅速に横切ることができる、低非特異的結合特性を有する、および系から迅速にクリアランスされる非毒性のアミロイド結合性化合物にも関する。
【0049】
本発明の化合物は不斉中心、キラル軸およびキラル面を有し得るものであり、ラセミ体、ラセミ混合物として、ならびに個々のジアステレオマーとしても生成し得るものであり、光学異性体も含めたあらゆるあり得る異性体は、本発明に含まれる。(E.L.ElielおよびS.H.Wilen Stereochemistry of Carbon Compounds (John Wiley and Sons、New York 1994)(特に1119−1190頁)を参照されたい。)。
【0050】
任意の可変部(例えばアリール、ヘテロ環、R1a、Rほか)が任意の構成要素において1回より多く出現する場合、各出現におけるその定義は他のすべての出現とは独立したものである。また、置換基/または可変部の組合せは、そのような組合せが安定な化合物を生じる場合のみ許される。
【0051】
加えて、本明細書に開示されている化合物は互変異性体として存在し得るものであり、ただ1つの互変異性構造が図示されていても、いずれの互変異性体も本発明の範囲によって包含されるものとする。例えば、以下
【0052】
【化11】

にある化合物Aの請求項には、互変異性構造B、およびその逆、ならびにそれらの混合物が含まれると理解する。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で使われている、「アルキル」には、指定された数の炭素原子を有する分枝および直鎖飽和脂肪族炭化水素基のあらゆるものが含まれるものとし、「アルコキシ」は、酸素架橋を通して結合している指定された数の炭素原子のアルキル基を表す。本明細書で使われている「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0054】
好ましくは、アルケニルは、C−Cアルケニルである。
【0055】
好ましくは、アルキニルは、C−Cアルキニルである。
【0056】
本明細書で使われている、「シクロアルキル」には、指定された数の炭素原子を有する環状飽和脂肪族炭化水素基が含まれるものとする。好ましくは、シクロアルキルは、C−C10シクロアルキルである。そのようなシクロアルキル要素の例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0057】
本明細書で使われている、「アリール」とは、少なくとも1つの環が芳香族である、各環が7員までの安定な一環式または二環式炭素環を意味するものとする。そのようなアリール要素の例としては、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが挙げられる。
【0058】
本明細書で使われている、用語ヘテロシクリル、ヘテロ環またはヘテロ環式は、飽和か不飽和であり、炭素原子、および、N、0、およびSからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子からなる安定な5−7員一環式もしくは安定な8−11員二環式へテロ環を表し、上記に定義されている任意のヘテロ環がベンゼン環に縮合されている二環式基はいずれも含まれる。ヘテロ環は、安定な構造の生成をもたらすヘテロ原子または炭素原子のところにおいて結合し得る。用語ヘテロシクリル、ヘテロ環またはヘテロ環式にはヘテロアリール部分構造も含まれる。そのようなヘテロ環式要素の例としては、限定するものではないが、アゼピニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニル スルホン、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾロピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニル スルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニル、およびトリアゾリルが挙げられる。そのようなヘテロ環式要素の例の実施形態としては、限定するものではないが、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニル スルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、2−ピリジノニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニル スルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられる。
【0059】
好ましくは、ヘテロ環は、2−アゼピノニル、ベンゾイミダゾリル、2−ジアザピノニル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、チエニルおよびトリアゾリルから選択される。
【0060】
本明細書で使われている、「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であり、1から4個の炭素原子がN、0、およびSからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている、各環が7員までの任意の安定な一環式または二環式炭素環を意味するものとする。そのようなヘテロ環式要素の例としては、限定するものではないが、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられる。
【0061】
別に具体的に定義されていない限り、本明細書で使われている、置換されたアルキル、置換されたシクロアルキル、置換されたアロイル、置換されたアリール、置換されたヘテロアロイル、置換されたヘテロアリール、置換されたアリールスルホニル、置換されたヘテロアリール−スルホニルおよび置換されたヘテロ環は、化合物の残りの部分への結合点に加えて1から3個の置換基を含有する部分構造を含む。好ましくは、そのような置換基は、限定するものではないが、F、Cl、Br、CF、NH、N(C−Cアルキル)、NO、CN、(C−Cアルキル)O−、(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリルおよびC−C20アルキルを含む群から選択される。
【0062】
本明細書で使われている、「インビボ加水分解性前駆体」とは、カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式I化合物のインビボ加水分解性(または開裂性)エステルを意味する。例えば、アミノ酸エステル、C1−6アルコキシメチルエステル例えばメトキシメチル;C1−6アルカノイルオキシメチルエステル例えばピバロイルオキシメチル;C3−8シクロアルコキシカルボニルオキシ、C1−6アルキルエステル例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、アセトキシメトキシ、またはホスホルアミド酸環状エステル。
【0063】
「有効量」の例としては、医薬として使用するのに許容される毒性およびバイオアベイラビリティをもたらす、および/または原繊維生成に伴う細胞変性および毒性を防ぐ、アミロイド沈着インビボ画像化を可能にする量が挙げられる。
【0064】
医療で使用するためには、式Iの化合物の塩は薬学的に許容される塩とする。そうでない塩も、しかしながら、本発明による化合物またはその薬学的に許容される塩の調製で有用であり得る。本発明の化合物が酸性である場合、適する「薬学的に許容される塩」とは、無機塩基および有機塩基を含めた薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩のことを言う。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン酸塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基としては、アルギニン、ベタインカフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルクアミン、グルコースアミン、ヒスチジン、ヒドラブアミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルクアミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミンレジン、プロカイン、プリネス、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミントリプロピルアミン、トロメトアミンなどのような、一級、二級ならびに三級アミン、天然に生じる置換されたアミンも含めた置換されたアミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換レジンが挙げられる。
【0065】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含めた、薬学的に許容される非毒性酸から調製され得る。そのような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0066】
上記に記載されている薬学的に許容される塩ならびに他の典型的な薬学的に許容される塩の調製についてはBergら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、1977年:66:149によってより詳しく記載されている。
【0067】
本明細書に示されているように本発明には同位体標識化された本発明の化合物が含まれる。「同位体標識化」化合物、「放射線標識化」化合物、「トレーサー」化合物、「標識化トレーサー」化合物、「放射性リガンド」化合物または「検出可能アミロイド結合性」化合物とは、1つまたはそれ以上の原子が典型的に自然に見られる(すなわち、自然に存在している)原子質量または原子数とは異なる原子質量または原子数を有する原子によって置き換えられているまたは置換されている化合物である。本発明の化合物に組み込まれ得る適する放射性核種(すなわち「検出可能同位体」)としては、限定するものではないが、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131Iが挙げられる。本発明の同位体標識化化合物は、その特定の適用に適している技術で検出することを可能にする程度まで(またはそれ以上に)検出可能同位体で濃縮されていることのみを必要とする。本発明放射線標識化化合物に組み込まれる放射線核種は、その放射線標識化化合物の具体的な用途によって決まるものである。本発明の別の実施形態においては、放射線核種は、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびH(好ましくは、11C、および18F)によって代表される。
【0068】
本発明は、さらに、少なくとも1種の式Iの化合物および薬学的に許容される担体の有効量を含む医薬組成物に関する。組成物は、限定するものではないが、1種またはそれ以上の緩衝剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、滑剤、吸着剤、界面活性剤、防腐剤などを含み得る。組成物は、経口投与用固形剤、液剤、ジェル剤または懸濁剤として(例えば、飲薬、ボーラス剤、タブレット剤、パウダー剤、カプセル剤、マウススプレー剤、エマルジョン剤);非経口投与用固形剤、液剤、ジェル剤または懸濁剤として(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、硬膜外注射);局所投与用固形剤、液剤、ジェル剤または懸濁剤として(例えば、クリーム剤、軟膏剤、制御放出パッチ剤、スプレー剤);膣内、直腸内、経皮、眼内、または鼻内投与用固形剤、液剤、ジェル剤または懸濁剤として製剤化され得る。
【0069】
本発明は、アミロイド画像化剤としての放射線標識化アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体、および、それらを調製するための合成用前駆体化合物を提供するものである。化合物群式Iは、アルツハイマー病のような加齢関連疾患、ならびにダウン症候群およびベータアミロイド性血管症のような他の疾患に対して活性がある。本発明の化合物は、さまざまな認知欠損改善剤との組合せでも用いられ得る。つまり、本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル、または、式(I)の化合物を含む医薬組成物または製剤は、例えばドネペジル、メマンチン、タクリンほか同等薬ならびにこれらものの医薬的活性異性体および代謝産物を含めたアルツハイマー病治療で用いられる他の医薬的活性化合物(複数も)と並行して、または同時に、または順次にまたは別々に投与される。
【0070】
本発明は、さらに、式Iの化合物の治療有効量を投与することを含む、患者におけるAβ関連病変を治療または予防する方法に関する。本発明は、認知症、統合失調症認知欠損[Cognitive Deficit in Schizophrenia]、軽度認知障害[Mild Cognitive Impairment]、加齢性記憶障害[Age Associated Memory Impairment]、加齢性認知能低下[Age−Related Cognitive Decline]、などの、神経変性障害の治療方法も提供する。
【0071】
本発明の究極の目的は、高い比放射能、および、アミロイド斑に対する高いアフィニティーからくる高い標的組織選択性を有する、PET画像化で有用な放射性医薬を提供することである。この組織選択性は、この高度に選択的な放射性医薬を標的因子(例えば微小粒子)とカップリングさせることによってさらなる改善を可能にするものである。
【0072】
本発明の別の態様では、特許請求されている化合物は、意外なほど低いアミロイド非沈着皮質灰白質および隣接白質への結合能を有しており、これにより白質への結合能に関しての向上したプロフィールがもたらされる。
【0073】
本発明によれば、画像化剤として同位体標識化新規アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体が用いられる、患者におけるベータアミロイド斑を画像化するための最も好ましい方法は、次のステップ:患者をPETカメラ中仰臥位に配置するステップ;および患者の脳組織に十分な量(<10mCi)の同位体標識化アリールまたはヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体を投与するステップを含む。脳部分の放射スキャンが行われる。頭部の放射スキャンを行うための技術は当業者には周知である。PET技術は、Freemanら、Freeman and Johnson’s Clinical Radionuclide Imaging.3rd.Ed.Vol.1 (1984);Grune & Stratton、New York;Ennis et Q.Vascular Radionuclide Imaging:A Clinical Atlas、John Wiley & Sons、New York (1983);に記載されている。
【0074】
用語「標識化トレーサー」とは、規定活性をインビボでモニターまたは検出するのに用いられ得る分子のことを言い、例えば、好ましいトレーサーは、ベータアミロイド斑が存在し得る部分に蓄積する分子である。好ましくは、標識化トレーサーは、例えば、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンにより、生存している実験動物、健康人または患者(被験者と呼ばれる)で観測することができるものにする。適する標識としては、限定するものではないが、放射性同位体、蛍光色素、化学発光化合物、染料、およびタンパク質(酵素を含めて)が挙げられる。
【0075】
本発明は酵素や他の分子のインビボ活性の測定方法も提供する。より具体的には、標的活性を特異的にモニターするトレーサーが選択され、標識化される。好ましい実施形態においては、トレーサーは、脳および中枢神経系におけるアミロイドAβ−ペプチドの結合活性をモニターする。トレーサーは、興奮シナプス高速伝達、神経伝達物質放出調節、および長時間相乗作用を含めた、さまざまな神経プロセスを評価する手段を提供する。本発明は、疼痛、不安/落ち込み、薬物中毒と撤退、基底核障害、摂食障害、肥満、長期落ち込み、学習と記憶、シナプス可塑性の発達、低酸素性虚血性損傷と神経細胞死、癲癇発作、視覚処理、の生化学的機序、ならびにいくつかの神経変性障害の発病機序を研究するための手段を研究者に授けるものである。
【0076】
アルツハイマー病状態のバイオマーカー、予後のバイオマーカーおよび進行のバイオマーカーはすべてアルツハイマー病治療薬の一般診断利用のみならず臨床開発計画にも有用である。本発明は、患者達が新規なアルツハイマー治療のための臨床実験に入れられる際バイオマーカーに情報を提供して患者選択およびコホート割り当てに役立つものである。本発明は、正しい患者を適切なPhIIb実験コホートに入れるための疾患状態バイオマーカーのうちの1つとして役立つ。加えて、本発明は、先般のAD臨床実験を悩ませた1つの問題点である、プラセボ治療群でこの疾患は進行するという確率を増大させるための試験対象者エントリー基準[entry inclusion criterion]としての疾患予後についての1つのマーカーとして役立ち得る。最後に、本発明は、治療にある患者の臨床過程をモニターするための疾患進行についての1つのバイオマーカーとして役立ち得るものであり、治療薬剤による治療反応についての独立したバイオマーカー尺度を提供し得るものである。
【0077】
本発明の範囲内に入る化合物は、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)の阻害剤および/または結合剤である。この化合物ならびにその同位体標識化変形体は、アルツハイマー病、うつ病、統合失調症、またはパーキンソン病の診断および/または治療に有用であり得る。標識検出手段は当業者には周知である。例えば、同位体標識は、画像化技術、写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出され得る。好ましい実施形態においては、標識は、画像化技術、例えばポジトロン放射断層撮影(PET)、により被験者の脳中インビボで検出される。
【0078】
本発明の標識化化合物は、好ましくは、少なくとも1種の放射性核種を標識として含有する。ポジトロン放射放射性核種はすべて使用候補である。本発明の文脈では、放射性核種は、好ましくは、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHから選択され、より好ましくは、11C、および18Fから選択される。
【0079】
選択された検出法に応じてトレーサーは選択され得る。本発明の方法を実行する前に、本発明の標識化または無標識化化合物の診断有効量が、ヒトも含めた生存している身体に投与される。
【0080】
本発明のインビボ法を実行する前に投与されることになる本発明の標識化または無標識化化合物の診断有効量は、1kg体重当たり0.1ng−100mgの範囲内、好ましくは1kg体重当たり1ng−10mgの範囲内にある。
【0081】
本発明の別の実施形態により、先に記載されているヘテロ環式化合物の調製方法が提供される。例えば、先に記載したヘテロ環式化合物は、当技術分野で周知の合成化学手法(Comprehensive Heterocyclic Chemistry、Katritzky、A.R.およびRees、C.W.eds.、Pergamon Press、Oxford、1984年を参照されたい。)を用いて式1の置換されたヘテロ環前駆体から以下に略述されているようにして調製され得る。本発明の同位体標識化化合物は、基質分子に11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHのような同位体を組み込むことによって調製される。組み込みは、試薬を原子炉、サイクロトロンなどのような放射能源に入れることによって試薬に含有されている1種またはそれ以上の原子が放射性になされた試薬を利用することで行われる。さらには、O、CI、14Br、ClCH14COClなどのような、多くの同位体標識化試薬が、市販されている。同位体標識化試薬はこのあと標準的有機化学合成手法で用いられて、同位体原子(または原子群)が、式Iの化合物に、以下に記載されているようにして組み込まれる。以下のスキームは式Iの化合物の製造方法を例示するものである。
【実施例】
【0082】
以下の化学についての説明ならびに実施例で使われている略記号については、
CHCl:ジクロロメタン
Boc:tert−ブトキシカルボニル
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
PMB:4−メトキシ−ベンジル
PMBBr:4−メトキシ−ベンジルブロミド
THF:テトラヒドロフラン
TFA:トリフルオロ酢酸
MeOH:メタノール
PS−PPh:ポリスチレントリフェニルホスフィン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
EtOAc:酢酸エチル
AD:アルツハイマー病[Alzheimer’s Disease]
NMR:核磁気共鳴[Nuclear Magnetic Resonance]
DMSO:ジメチルスルホキシド
である。
【0083】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法が以下のスキームおよび実施例に例示される。出発物質および必須中間体については、一部のものは市販されており、そうでないのは文献の方法に従ってまたは本明細書に例示されているようにして調製され得るものである。
【0084】
本発明の化合物は以下のスキームに示されている反応を利用することによって調製され得るが、文献で知られているまたはこの実験手順に例示されている他の標準的操作によっても調製され得る。スキームに示されている置換基付番は請求項で使われている付番とは必ずしも相関しておらず、多くの場合、明確にするために、化合物には単一置換基が付けられて示されているが、本明細書先の定義では複数置換基が許されている。本発明の化合物を生成させるのに用いられている反応は本明細書のスキームおよび実施例に示されている反応を用いることによって調製されるが、文献で知られていてもよいまたはこの実験手順に例示されていてもよい、エステル加水分解、保護基開裂などの他の標準的操作によっても調製される。
【0085】
一部のケースにおいては、最終生成物は、例えば、置換基を操作することによって、さらに改変され得る。そのような操作としては、限定するものではないが、当業者にはよく知られている還元反応、酸化反応、アルキル化反応、アシル化反応、および加水分解反応が挙げられる。一部のケースにおいては、上記した反応スキーム実行順序を変えて、反応を促進させるまたは望まれていない反応生成物を回避することがある。以下の実施例は、発明がより完全に理解され得るように提供されているものである。これらの実施例は一例にすぎず、決して本発明を限定するものととるべきでない。
【0086】
【化12】

一般反応スキーム1に示されているように、適切に置換された3−アミノ−2−ピリドンをトリクロロアセトニトリルおよびポリスチレン担持トリフェニルホスフィンの存在下で適切に置換されたカルボン酸と反応させて、対応する7−アザ−ベンゾオキサゾールを得る。分子のカルボン酸部分がBocまたはPMB保護基を含有する状況においては、保護基は、このあと、トリフルオロ酢酸と反応させると続いて除去することができて、最終物質が得られる。この例においては、カルボン酸および3−アミノ−2−ピリドンはいずれも市販のものであった。
【0087】
【化13】

【0088】
実施例1
ジメチル−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−フェニル)−アミン
3−アミノ−ピリジン−2−オール(50mg、0.45mmol)、4−ジメチルアミノ−安息香酸(74mg、0.45mmol)、トリクロロアセトニトリル(91μL、0.91mmol)、およびポリスチレントリフェニルホスフィン(425mg、1.362mmol)をアセトニトリル(4.5mL)に懸濁させ、マイクロ波により15分間150℃まで加熱する。この粗製反応混合物を濾過し、濃縮して残留物を得、これを逆相クロマトグラフィーにより精製して、ジメチル−(4−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル−フェニル)−アミン(7.1mg、0.030mmol、収率6.6%)を得る。ES MS(M+H)=240;H NMR(300MHz,CDCl):δ 8.24(d,J=5.1Hz,1H);8.14(d,J=8.6Hz,2H);7.95(d,J=7.8Hz,1H);7.28(dd,J=7.7,4.9Hz,2H);6.78(d,J=8.6Hz,1H);3.09(s,6H);HRMS m/z 240.1122(C1413+H 計算値240.1132)。
【0089】
【化14】

一般反応スキーム2に示されているように、適切に置換されたカルボン酸を1−クロロ−N,N−2−トリメチル−l−プロペニルアミンまたは塩化オキサリルおよび触媒DMFと反応させることで酸塩化物を得ることができ、これを次に適切に置換された2−ハロ−3−アミノピリジンと反応させて対応するアミドを得、これをこのあと高温でKCOまたはCsCOと反応させると対応する7−アザベンゾオキサゾールまたは4−アザベンゾオキサゾールに変換される。一部の例においては、カルボン酸出発物質はBocまたはPMB保護基を含有することがあるが、保護基は、トリフルオロ酢酸と反応させるおよび/または加熱すると続いて除去され得、最終物質が得られる。この例では、カルボン酸、2−アミノフェノール、および3−アミノ−2−ピリドンはいずれも市販のものであったかまたは当業者に知られている手順を用いて調製されたものであった。
【0090】
【化15】

【0091】
実施例2
2−(4−メトキシ−フェニル)−5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
ステップ1:N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−3−イル)−4−メトキシ−ベンズアミド
4−メトキシ−ベンゾイルクロリド(4.15mL、30.7mmol)を撹拌・0℃冷却2,6−ジクロロ−ピリジン−3−イルアミン(5g、30.7mmol)/ピリジン(31mL)混合物に滴下で加えた。添加に続いて、この反応混合物を室温まで昇温させ、撹拌を30分間続け、この時点において反応混合物を水に注ぎ入れて、沈殿物の生成を引き起こし、これを濾過により回収した。回収した固形物をさらなる水で洗浄し、そのあと真空で一晩乾燥させてN−(2,6−ジクロロ−ピリジン−3−イル)−4−メトキシ−ベンズアミド(8.66g、29.1mmol、収率95%)を得、これはさらに精製することなく次の反応に用いた。ES MS(M+H)=297。
ステップ2:5−クロロ−2−(4−メトキシ−フェニル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
N−(2,6−ジクロロ−ピリジン−3−イル)−4−メトキシ−ベンズアミド(3.86g、13.0mmol)およびKCO(1.80g、13mmol)をDMF(15mL)中に合わせ、マイクロ波により30分間160℃まで加熱した。得られた混合物を水(100mL)に注ぎ入れて沈殿物の生成を引き起こし、これを濾過により回収し、さらなる水で洗浄し、そのあと真空で一晩乾燥させた。得られた固形物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−60%EtOAc/ヘキサン)で精製して5−クロロ−2−(4−メトキシ−フェニル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(2.0g、7.67mmol、収率59.1%)を得、これはさらに精製することなく次の反応に用いた。ES MS(M+H)=261。
ステップ3:2−(4−メトキシ−フェニル)−5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
5−クロロ−2−(4−メトキシ−フェニル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(25mg、0.096mmol)のDMSO(1mL)中溶液にL−プロリン(11.04mg、0.096mmol)、CuI(18.27mg、0.096mmol)、モルホリン(13μL、0.15mmol)およびKPO(40.7mg、0.192mmol)を加えた。この反応容器を密封し、一晩90℃に加熱し、その時点において反応を水で希釈し、EtOAcで抽出した。この有機物を濃縮すると残留物が残り、これを逆相クロマトグラフィーにより精製して2−(4−メトキシ−フェニル)−5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(4.3mg、0.013mmol、収率14%)を得た。ES MS(M+H)=312;H NMR(499MHz,DMSO−d):δ 8.07−8.02(d,J=8.7Hz,2H);7.98−7.94(m,1H);7.17−7.11(d,J=8.7Hz,2H);6.91(d,J=8.8Hz,1H);3.86(s,3H);3.73(t,J=4.8Hz,4H);3.51(t,J=4.8Hz,4H);HRMS m/z 312.1352(C1717+H 計算値312.1343)
【0092】
【化16】

【0093】
実施例3
[4−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−フェニル]メチル−アミン
4−(tert−ブトキシカルボニル−メチル−アミノ)−安息香酸(70mg、0.28mmol)のCHCl(2mL)中溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(98μL、0.74mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(2mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(30mg、0.23mmol)を1回で加えた。さらなる30分後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これにDMF(2mL)およびKCO(64mg、0.46mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波により10分間150℃まで加熱し、このあと得られた混合物を濾過し、濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−100%EtOAc/ヘキサン)により精製して[4−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−フェニル]−メチル−アミン(50mg、0.21mmol、89%)を得た。ES MS(M+H)=244;H NMR(300MHz,DMSO−d):δ 8.24(t,J=7.7Hz,1H);7.89(d,J=8.4Hz,2H);7.18(d,J=8.4Hz,1H);6.68(d,J=8.5Hz,3H);2.76(s,3H);HRMS m/z 244.0883(C1310FNO+H 計算値244.0881)。
【0094】
【化17】

【0095】
実施例4
5−フルオロ−2−(1−H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
ステップ1:1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸
撹拌され0℃に冷却されたNaH(272mg、6.81mmol)のDMF(23mL)中懸濁液に1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸メチルエステル(400mg、2.27mmol)を加えた。5分後、PMBBr(548mg、2.72mmol)およびKI(377mg、2.27mmol)を加え、この反応混合物を室温まで昇温させ、撹拌を一晩続けた。次の日、水を加えて残っているNaHをクエンチし、この水性混合物をEtOAcで洗浄し、このEtOAcは廃棄した。この水相を回収し、注意しながら酸性化し(pH約3)、そのあとEtOAcで抽出した。合わせた有機物を乾燥させ、蒸発させて、1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(160mg、0.57mmol、収率25%)を得た。ES MS(M+H)=283。
ステップ2:5−フルオロ−2−[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル]−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(47mg、0.17mmol)のCHCl(2mL)中撹拌溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(45μL、0.34mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(2mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(20mg、0.15mmol)を1回で加えた。さらなる30分後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これにDMF(2mL)およびKCO(64mg、0.46mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波により10分間150℃まで加熱し、このあと得られた混合物を濾過し、濃縮して、5−フルオロ−2−[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル]−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンを粗製の残留物として得、これはさらに精製することなく続いて用いた。ES MS(M+H)=375。
ステップ3:5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
ステップ2の粗製5−フルオロ−2−[1−(4−メトキシ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−y1]−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンをTFA(0.5mL)に溶解させ、マイクロ波により25分間170℃まで加熱した。揮発分をこのあと真空で除去し、得られた残留物をHPLCにより精製して5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(2.5mg、9.8μmol、収率6%)を得た。ES MS(M+H)=255;H NMR δ(ppm)(DMSO−d):12.18(1H,s)、9.04(1H,d,J=2.10Hz)、8.76(1H,d,J=2.06Hz)、8.44(1H,dd,J=8.39,7.10Hz)、7.67(1H,t,J=2.75Hz)、7.31(1H,d,J=8.40Hz)、6.68(1H,d,J=3.43Hz);HRMS m/z 255.0675(C13NO+H 計算値255.0677)。
【0096】
【化18】

【0097】
実施例5
[4−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−フェニル]−ジメチル−アミン
4−ジメチルアミノ−安息香酸(635mg、3.84mmol)のCHCl(38mL)中溶液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(0.51mL、3.84mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(7.8mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(500mg、3.84)を1回で加えた。さらなる1時間後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これにDMF(5mL)およびKCO(531mg、3.84mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波により10分間150℃まで加熱し、このあと得られた混合物を濾過し、濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0−100%EtOAc/ヘキサン)により精製して[4−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−フェニル]−ジメチル−アミン(430mg、1.67mmol、44%)を得た。ES MS(M+H)=258;H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.28(1H,dd,J=8.36,7.14Hz)、8.01−7.94(2H,m)、7.24−7.18(1H,m)、6.87(2H,d,J=8.89Hz)、3.05(6H,s);HRMS m/z 258.1039(C1412FNO+H 計算値258.1037)。
【0098】
【化19】

【0099】
実施例6
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
ステップ1:1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル(2.88g、20.1mmol)のDMF(40mL)中撹拌溶液に60%NaH(2.41g、60.4mmol)を加えた。20分後、ヨードメタンを1回で加え(6.3mL、101mmol)、得られた混合物を一晩撹拌した。次の日、水を注意しながら滴下で加えて残っているNaHをクエンチし、そのあとさらなる水を加えて(50mL)、生成物の沈殿を引き起こした。濾過および真空での乾燥により1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル(3.16g、20.1mmol、収率100%)を得、これはさらに精製することなく続いて用いた。ES MS(M+H)=158。
ステップ2:1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸
1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボニトリル(3.16g、20.1mmol)を濃HCl水溶液(15mL)に溶解させ、3時間還流させた。冷却させた後、この混合物を真空で蒸発させて1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(3.54g、20.1mmol、収率100%)を得、これはさらに精製することなく続いて用いた。ES MS(M+H)=177。
ステップ3:5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(68mg、0.38mmol)のCHCl(2mL)中懸濁液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(50μL、0.38mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(2mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(50mg、0.38mmol)を1回で加えた。さらなる30分後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これにDMF(2mL)およびKCO(53mg、0.38mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波により10分間150℃まで加熱し、このあと得られた混合物を濾過し、濃縮した。得られた残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製して5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(13.1mg、0.049mol、収率13%)を得た。ES MS(M+H)=269;H NMR δ(ppm)(DMSO−d):9.07(1H,d,J=2.12Hz)、8.75(1H,d,J=2.13Hz)、8.42(1H,t,J= 7.74Hz)、7.70(1H,d,J=3.52Hz)、7.29(1H,d,J=8.41Hz)、6.69(1H,d,J=3.52Hz)、3.89(3H,s);HRMS m/z 269.0831(C14FNO+H 計算値269.0833)。
【0100】
【化20】

【0101】
実施例7
5−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン
1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(200mg、1.14mmol)のCHCl(4mL)中懸濁液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(600μL、4.54mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(4mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(278mg、1.70mmol)を1回で加えた。さらなる30分後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これにDMA(3mL)およびCsCO(552mg、1.70mmol)を加えた。得られた混合物をマイクロ波により15分間165℃まで加熱し、そのあと得られた混合物を濾過し、濃縮した。得られた残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製して5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(65mg、0.228mmol、収率20%)を得た。ES MS(M+H)=285;H NMR δ(ppm)(DMSO−d):9.10(1H,s)、8.78(1H,d,J=2.29Hz)、8.32(1H,d,J=8.17Hz)、7.75−7.59(2H,m)、6.72(1H,d,J=3.55Hz)、3.91(3H,s)。
【0102】
【化21】

一般反応スキーム3に示されているように、適切に置換されたカルボン酸を1−クロロ−N,N−2−トリメチル−1−プロペニルアミンまたは塩化オキサリルおよび触媒DMFと反応させることで酸塩化物を生成させることができ、これを次に適切に置換された2−ハロ−3−アミノピリジンと反応させて対応するアミドを得、これをこのあとローソン試薬と高温で反応させると対応する7−アザベンズチアゾールまたは4−アザベンズチアゾールに変換される。一部の例では、カルボン酸出発物質はBocまたはPMB保護基を含有することがあるが、これは、続いて、トリフルオロ酢酸と反応させるおよび/または加熱すると除去されて、最終物質がもたらされ得る。この例では、カルボン酸、2−アミノフェノール、および3−アミノ−2−ピリドンはいずれも市販のものであるかまたは当業者に知られている手順を用いて調製したものである。
【0103】
【化22】

【0104】
実施例8
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−チアゾロ[5,4−b]ピリジン
ステップ1:1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イル)−アミド
1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(3.54g、20.1mmol)のCHCl(400mL)中懸濁液に1−クロロ−N,N−2−トリメチルプロペニルアミン(5.26mL、40.2mmol)を加えた。得られる酸塩化物が生成した後、この反応混合物を濃縮して残留物を得、これをピリジン(100mL)に溶解させ、そのあと2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イルアミン(2.61mg、20.1mmol)を1回で加えた。さらなる30分後この反応混合物を乾固まで濃縮して残留物を得、これに水を加えて分析的に純粋な1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イル)−アミド(4.2g、収率72.5%)の沈殿を引き起こした。ES MS(M+H)=289。
ステップ2:5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−チアゾロ[5,4−b]ピリジン
密封可能バイアル中1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−カルボン酸(2,6−ジフルオロ−ピリジン−3−イル)−アミド(300mg、1.04mmol)のトルエン中懸濁液にローソン試薬(210mg、0.52mmol)を加えた。バイアルに栓をし、130℃に12時間加熱し、室温まで冷却させ、そうして直接シリカゲルカラムに負荷し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0→100%EtOAc/ヘキサン)により精製して5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−チアゾロ[5,4−b]ピリジン(247mg、収率83%)を得た。ES MS(M+H)=285;H NMR δ(ppm)(DMSO−d):8.99(1H,d,J=2.23Hz)、8.64(1H,s)、8.66−8.53(1H,m)、7.67(1H,d,J=3.50Hz)、7.38(1H,dd,J=8.74,1.80Hz)、6.65(1H,d,J=3.49Hz)、3.87(3H,s)。
【0105】
【化23】

【0106】
実施例9
18F]5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの放射化学合成
18F]FはSiemens Biomarker Solutions(North Wales、PA)から取得した。この[18F]Fは、18O濃縮水(Cambridge Isotope Laboratories)を用いて18O(p,n)18F反応により生成されたものである。照射の終わりには、タンタルターゲットの内容物は空にされて、小さなアニオン交換レジンにトラップされ、そうして放射化学実験室まで輸送され、溶離してから使用された。放射化学手順は、Gilson 233XLリクィッドハンドラーを用いて行われた。[18F]F含有アニオン交換レジンを80%アセトニトリル:20%シュウ酸塩溶液[0.05mLの(200mgのK/3mgのKCO/5mLのHO)+0.25mLのHO+1.2mLのMeCN]の混合液(0.7mL)で溶離し、マイクロ波空洞中の1mL v−バイアルに加えた。このバイアルを18G1注射器ニードルを用いてベントした。このフッ化物水溶液にKryptofix222(0.15mL、36mg/mL MeCN)を加え、このフッ化物を、アセトニトリル水溶液を加熱するためのマイクロ波パルス(約50W)を用いてアルゴンフロー下で乾燥させた。共沸乾燥させるためにさらなるアセトニトリルのアリコート(2×0.5mL)を加えた。5−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン(2mg)のDMSO(0.25mL)中溶液をこのマイクロ波バイアルに加え、そうしてこの反応混合物をマイクロ波で200秒間パルス加熱した(約60W、140℃)。1分間冷却させた後、この反応物をアセトニトリル/水(0.4mL、60:40)で希釈し、半分取HPLC装置(Gemni RP C18カラム、7.8×150mm、5μm)により精製した。用いた溶媒系は、5mL/分の45:55アセトニトリル:NaHPO(0.1N)であり、保持時間は約9分であった。5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンに対応するピークを回収し、その溶媒の大半を真空で除去し、そうして洗い流し液として生理食塩水を用いて栓付きバイアルに移して、3,229Ci/mmolの比放射能および>99%(n=l1)の放射化学純度を有する51mCiの[18F]5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンを得た。[18F]5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンの比放射能は、アリコートを線量検定器でカウントし、その質量は分析HPLC装置(C18 XTerra RP18、4.6×150mm、5μm)で基準標準物質に対比して測定することにより測定した。用いた溶媒系は、1mL/分の50:50アセトニトリル:NaHPO(0.1N)であり、保持時間は、約5分であった。
【0107】
本発明を、本発明のいくつかの特定の実施形態を参照にして、記載し、示してきたが、当業者なら、さまざまな脚色、変更、改変、置き換え、削除、または手順およびプロトコルの追加が本発明の思想および範囲から逸脱することなしになされ得ることを理解する。例えば、本明細書上記に開陳されている特定の有効用量以外の有効用量が、先に示した適応症のどれかについて本発明の化合物で治療されている哺乳動物の反応における変化の結果として適用可能であることがある。同様に、観測される特定の薬理反応は、選択されたその特定の活性化合物または医薬担体が存在しているかどうかのみならず、製剤のタイプおよび採用される投与の方式に従ってまたそれらに応じて変わり得るものであり、そのような結果の予測される変化または差異は、本発明の目的および実態に従って考慮されることである。したがって、本発明は、後にある特許請求の範囲によって定義されものとし、そのような特許請求の範囲は、合理的である限りできるだけ広く解釈されるものとする。
【0108】
生物学的実施例
ADヒト脳サンプルおよび非ADヒト脳サンプルからとったホモジネートを抗Aβ抗体6E10に対するそれらの免疫活性について評定した。AD群および非AD対照群には6E10免疫活性の最も高いレベルおよび最も低いレベルをそれぞれ選んだ。候補Aβ化合物を、公開されているアミロイドリガンドとのその構造的類似性から先ず選択し、そのあとAD脳ホモジネートへの[H]PIB結合との競合におけるアフィニティーの高さから選択した。これらの化合物を[H]で放射性同位体標識し、ヒトAD脳ホモジネートへの結合アフィニティーのみならずヒト非AD脳ホモジネートへの結合アフィニティーについても試験した。これらの候補から、ヒトAD脳ホモジネートに対するその結合アフィニティーに基づいて、および非AD対照ホモジネートへの結合が最少であることから、[H]−DMAB(以下にある構造を参照されたい。)を選択した。非置換性結合の割合が低いことも重要な判断基準であった。
【0109】
【化24】

PET放射性トレーサー候補化合物をこのあとAD脳ホモジネートへの結合における[H]−DMABとのアフィニティー競合のその高さから選択した。これらのPET放射性トレーサー候補化合物を試験して、それらが有効なPgP基質なのかを測定した。PgP基質活性がほとんどないそのようなPET放射性トレーサー候補化合物を[H]または[18F]で放射性同位元素標識し、ヒトAD脳ホモジネートへの結合アフィニティーならびにヒト非AD脳ホモジネートへの結合アフィニティーについてさらにはヒトAD脳スライスおよび非AD脳スライスを用いたオートラジオグラフ研究でも試験した。候補放射性リガンドを、ヒトAD脳ホモジネートへのその結合アフィニティーが強いことから、および非AD対照ホモジネートへの結合が最小なことから選択した。非置換性結合の割合が低いことも重要な判断基準であった。白質結合が最少なことは重要な判断基準であった。カウンタースクリーニングにより、これらの化合物は、血小板および星状細胞に発現されているミトコンドリア酵素である、MAO−Bの、強力な阻害物質であることも示された。
【0110】
組織ホモジネート結合アッセイ:
臨床診断がアルツハイマー病(AD)または正常対照被験者(非AD)の死体解剖提供者から得られた冷凍ヒト脳サンプルをAnalytical Biological Services Inc.(住所:701−4 Cornell Business Park、Wilmington、DE 19801)から購入した。前頭皮質の脳ホモジネートを調製し、アリコートに分け、使用まで−70℃で保管した。
【0111】
比放射能が約80Ci/mmolの[H]−DMABを合成した。組織ホモジネート結合アッセイ用の放射性リガンドの最終濃度は1.5nMであった。脳ホモジネートをリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で元の10mg/mLから0.4mg/mL量に希釈し、200μLをアッセイに用いて50μg/アッセイ管の最終濃度にした。非標識化試験化合物を1mMでジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。さまざまな濃度への試験化合物の希釈は2%DMSO含有PBSで行われた。全体結合を競合化合物の不存在下で確定して、非置換性結合を1μM非標識化セルフブロックの存在下で測定した。化合物希釈液(10X)を前記200μL脳ホモジネート希釈液が入っているアッセイ管に加え(各25μL/1管当たり、別々に)、そうしてこの管を室温にて10分間プレインキュベートした。そのあと放射性リガンド希釈液(10X)をこのアッセイ管に加えて(各25μL/1管当たり、別々に)、1管当たり250μLの最終量にした。インキュベーションを室温(25℃)にて90分間行い、そうしてこのあとこのアッセイサンプルをSkatron 12ウェルハーベスターを用いてGF/Cフィルター上に濾過し、5−5−5(約3×2m1)氷冷バッファー(PBS、pH7.4)の設定で洗浄した。SkatronハーベスターのGF/Cフィルターペーパーは使用前に室温にて1時間0.1%BSAにプレソークしたものである。フィルターをシンチレーションバイアル中に打ち抜き、Perkin Elmer Tri−Carb 2900TR上の2mL Ultima Gold中で1分間カウントした。データ分析はPrismソフトウエアで行われた。アッセイはすべて3複製で行い、またヒト組織使用研究指定実験室で行われた。
【0112】
モノアミンオキシダーゼB[MonoamineOxidase B]アッセイ:
機能アッセイ:ヒトMAO−B発現昆虫細胞から調製されたMAO−B含有膜フラクション(BD Supersomes Enzymes、BD Biosciences Discovery Labware、Woburn MA)をMAO−B源として用いた。アッセイは96ウェルプレート中200μLの最終量で行われた。アッセイバッファーは0.1Mリン酸カリウム(pH7.4)であった。アッセイ系は、3つのミックス:a)アッセイバッファーである、阻害物質希釈ミックス;b)基質/バッファー/対照昆虫細胞タンパク質ミックス:4X基質−80μMキヌルアミンおよび4×対照昆虫細胞タンパク質;c)酵素/バッファーミックス:アッセイバッファー中に調製されたMAO−Bの4×コンセントレート;から構成されていた。最終MAO−B濃度は0.015mg/mLであった。対照昆虫タンパク質を用いた、最終全体正規化タンパク質濃度は、0.06mg/mLであった。試験化合物を直接96ウェルプレート中で阻害物質希釈ミックスに3倍連続希釈した(100μLの全体最終量)。50μLの基質/バッファーミックスを各ウェルに加えた。試験化合物およびMAO基質(150μL全体量)が入っている、96ウェルプレートを37℃にプレインキュベートした。反応を50μLの酵素/バッファーミックスで開始させた。20分後、反応を、75μLの2N NaOHを加えることで停止させた。励起/発光波長は330/460nm(20nmスリット幅)であった(注記:4−ヒドロキシキノリンの最適検出波長はおよそ310nm励起および380nm発光である)。生成物生成を、サンプルの蛍光発光を既知量の基準代謝産物標準物質である、4−ヒドロキシキノリン(キヌルアミンを脱アミノ化することにより生成される生成物)のそれに比較することで定量した。試験化合物はすべてDMSOに溶解された。
【0113】
放射性リガンド結合アッセイ:ヒトMAO−B発現昆虫細胞から調製されたMAO−B含有膜フラクション(BD Supersomes Enzymes、BD Biosciences Discovery Labware、Woburn MA)をMAO−B源として用いた。比放射能が約80Ci/mmolの[H]−DMABまたは[H]5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンを合成した。組織ホモジネート結合アッセイ用の放射性リガンドの最終濃度は8−10nMであった。MAO−B膜フラクションをリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)で元の5mg/mLから0.25mg/mL量に希釈し、200μLをアッセイに用いて50μg/アッセイ管の最終質量にした。非標識化試験化合物を1mMでジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた。さまざまな濃度への試験化合物の希釈は2%DMSO含有PBSで行われた。全体結合を競合化合物の不存在下で確定して、非置換性結合を1μM非標識化セルフブロックの存在下で測定した。化合物希釈液(10X)を前記200μL MAO−B膜フラクション希釈液が入っているアッセイ管に加え(各25μL/1管当たり、別々に)、そうしてこの管を室温にて10分間プレインキュベートした。このあと放射性リガンド希釈液(10X)をこのアッセイ管に加えて(各25μL/1管当たり、別々に)、1管当たり250μLの最終量にした。インキュベーションを室温(25℃)にて90分間行い、そうしてそのあとこのアッセイサンプルをSkatron 12ウェルハーベスターを用いてGF/Cフィルター上に濾過し、5−5−5(約3×2m1)氷冷バッファー(PBS、pH7.4)の設定で洗浄した。SkatronハーベスターのGF/Cフィルターペーパーは使用前に室温にて1時間0.1%BSAにプレソークしたものである。フィルターをシンチレーションバイアル中に打ち抜き、Perkin Elmer Tri−Carb 2900TR上の2mL Ultima Gold中で1分間カウントした。データ分析はPrismソフトウエアで行われた。アッセイはすべて3複製で行い、またヒト組織使用研究指定実験室で行われた。
【0114】
インビトロオートラジオグラフィー:
臨床診断がアルツハイマー病(AD)または正常対照被験者(非AD)の死体解剖提供者から得られた冷凍ヒト脳サンプルを商業的供給者から購入した。極低温装置(Leica CM3050)を用いて冷凍脳スライス(20μm厚)を調製し、逐次順序で保存した。この組織スライスをSuperfrost Plusスライドガラス(Cat.# 5075−FR、Brain Research Laboratories、USA)上に置き、室温にて乾燥させ、そうして使用まで−70℃のスライドボックス中に保管した。インビトロオートラジオグラフィー用放射性リガンドの最終濃度は1.OnMであった。結合実験の日に、インビトロオートラジオグラフィー研究対象脳部分それぞれから隣接スライスを選択し、全体結合および非特異的結合(NSB)と表示した。これらのスライスをバイオセーフティーフード中で15分間室温で解凍させた。脳スライス中の放射性リガンドの全体結合を競合の不存在下で確定して、非特異的結合(NBS)を競合(1.0μM非標識化化合物)の存在下で測定した。脳スライスを最初にPBSバッファー(pH7.4)中で20分間室温にてプレインキュベートした。スライスをこのあと先に記載されている放射性リガンドまたは放射性リガンド+競合が入っている新鮮バッファーに移し、そうして90分間室温にてインキュベートした。インキュベーションは、スライスを3回氷冷(4℃)洗浄バッファー(PBS、pH7.4)中で各洗浄を3分続けることで終了させた。洗浄の後、スライスを氷冷(4℃)脱イオン水中で簡単に濯ぎ洗いし、そうしてそのあと送風機により室温で完全に乾燥させた。スライスを密封カセット中でFuji Phosphor Image Plates(TR25、Fuji)に対面で配置して、室温で露光させた。1週間の露光の後、プレートをFuji BAS 5000 Scannerでスキャンし、そのスキャン画像をMCID 7.0ソフトウエアを用いて解析した。[H]−microscales(Amersham Biosciences、GE)、を用いて放射性リガンドの結合密度を定量した。スライス結合アッセイはすべてヒト組織使用研究指定実験室で行われた。
【0115】
これらの判断基準に適合する候補放射性リガンドを[18F]で放射性標識化した。この[18F]標識化放射性リガンドを脳への迅速摂取および脳からのクリアランスについてアカゲザルでインビボ特性評価した。最終PET放射性トレーサーの選択では、白質への結合能の最小化は、>1.5SUVと定義されている、高脳摂取と同じ位に重要な判断基準であった。
【0116】
アカゲザルでのPET画像化
研究は、すべて、American Physiological Societyの指導方針ならびにUS National Institutes of Health(NIH publication No 85−23、revised 1985)から発行されているGuide for the Care and Use for Laboratory Animalsの下に行われ、Merck Research LaboratoriesのWest Point Institutional Animals Care and Use Committeeによって承認されたものである。アカゲザル(約10kg)を最初にケタミン(10mg/kg i.m.)で麻酔し、そのあとプロポホール(5mg/kg i.v.)で誘導し、挿管し、そうして医療等級空気で呼吸させた。体温を循環水式加熱パッドで維持し、そうして温度、SpO、および呼気終末COを、この研究の間中、モニターした。麻酔はこの研究の間中propofol(0.4mg/kg/分)で維持した。PETスキャンは3DモードのECAT EXACT HR+(CTI/Siemens、Knoxville、TN)で行い、伝送データ(後の減衰補正用)を放射性薬品を注射する前に2Dモードで獲得した。放射スキャンはそれぞれのPETトレーサー約5mCiのボーラス注射に続いて直ちに行われた。放射スキャンは減衰、散乱、およびムダ時間に対して補正され、ランプフィルターで再構成されて、_5mmの横軸および縦軸空間FWHM解像度が得られた。
【0117】
各スキャンに対して静止(または合計)PET画像が、獲得の間に獲得された動的フレームを合計することによって得られた。解剖鑑定用のMRI画像を用いて注視領域[regions of interest](ROI)をこの合計PET画像上に描画させた。このあとROIを動的スキャン上に投影して対応する時間放射能曲線[time−activity curve](TAC)を得た。TACは、サルの体重およびトレーサー注射用量を用いる標準摂取率[standard uptake value](SUV)単位でTAC(SUV)=1,000×TAC(Bq)×重量(kg)/トレーサー注射用量(Bq)として表された。
【0118】
アミロイド負荷の評定:
被験者にはミニメンタルステート検査[Mini−Mental State Examination]が実施されて、被験者が正常対照被験者であるのかAD患者であるのかが評定される。PET研究は、本明細書に記載されているPET放射性トレーサーを用いて、およびこの技術に精通している者には知られている方法を用いて、双方の患者群に行われる。アミロイド斑が蓄積すると知られている領域(例えば、前頭皮質領域)での放射性トレーサーの摂取および保持が、アミロイド斑が蓄積しない参照領域(例えば、小脳)での放射性トレーサーの摂取および保持と比較される。そのような領域対間の摂取および保持の差は正常対照被験者に比較してAD患者でより大きく、このより大きい差はAD患者でAβ斑負荷がより大きいことによるものである。第2の、実質的に同じPET研究により、試験・再試験(被験者間)変動が確立される。
【0119】
アミロイド斑を低減させるのに化合物が有効かを決定するためには、アミロイド斑低減化合物を投与する前にPET研究が行われる。治療薬化合物での治療過程がすんだ後、第2のPET研究が行われる。アミロイド斑が蓄積すると知られている領域でのPET放射性トレーサー摂取および保持の(試験・再試験変動よりも大きい)低減は、アミロイド斑負荷の低減を意味する。このような研究では、各被験者は、被験者自体の治療前対照としての役を果たす。
【0120】
本発明の化合物は、ヒトAD脳組織ホモジネートアッセイで0.1nM−1000nMのIC50値を有する。例えば、以下の化合物のIC50は、
【0121】
【表2】

である。
【0122】
本発明の化合物は、0.1nM−1000nMの範囲でMAO−B活性を阻害するまたはMAO−Bに結合する。例えば、以下の化合物は、MAO−B阻害または結合:
【0123】
【表3】

を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Xは、OまたはSであり、
AおよびYは、独立して、NまたはCHであり、
Zは、1から3個の基R、RまたはRですべてが場合によって置換されているフェニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、ピリジル、ピラゾロピリジニル、ベンゾジオキソリル、およびピロロピリジニルからなる群から選択され、
Rは、水素または−C1−6アルキルを表し、
は、水素、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、CN、−(CHハロ、CF、−O(CHR、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−C1−6アルキル、−OCF、−O(CHF、−(O(CHハロ、−(O(CHOR、−C(O)OR、またはヘテロ−スピロ環を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、但し、R、R、RおよびRは同時に水素ではなく、またはRが水素であり、Zがフェニルであり、R、RおよびRのうちの2つが水素である場合、他のR、RおよびRはメチル、フリル、ハロ、ヒドロキシル、エトキシ、ジメトキシ、イソプロピルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシではなく、
、RおよびRは、独立して、水素、−(CHハロ、−C1−6アルキル、−CF、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、−N(R)を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、
は、−CN、NO、ハロ、CF、−C1−6アルキル、−C1−6アルケニル、−C1−6アルキニル、−(CHハロ、−OR、−NRR、−C(=NR)NR、−N(=NR)NR、−NRCOR、−NRCO、−NRSO、−NRCONR,−SR、−SOR、−SO、−SONR、−COR、−CO、−CONR、−C(=NR)R、または−C(=NOR)Rを表し、
nは、0−6を表し、
sは、2−4を表し、
pは、1−3を表す。]
で表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項2】
Zが、
【化2】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項3】
が、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、−(CHハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、ハロ、−C5−10ヘテロシクリル、および−N(Rからなる群から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、フルオロ、クロロ、−N(R、モルホリニル、フラニル、およびピロリジニルからなる群から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
、RおよびRが、独立して、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式Iの化合物が、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36CL、82Br、76Br、77Br、123I、124Iおよび131I同位体標識されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
構造式Ia:
【化3】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項9】
が、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、−(CHハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択され、Rが、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式Iaの化合物が、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHとして同位体標識されている、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
構造式Ib:
【化4】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項12】
が、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、ハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択され、Rが、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から選択される(但し、Rが水素であり、Zがフェニルであり、R、RおよびRのうちの2つが水素である場合、他のR、RおよびRはメチル、フリル、ハロ、ヒドロキシル、エトキシ、ジメトキシ、イソプロピルオキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはメトキシではない)、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式Ibの化合物が、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHとして同位体標識されている、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
構造式Ic:
【化5】

で表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項15】
が、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、ハロ、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−(O(CHハロ、および−(O(CHORからなる群から選択され、R、RおよびRが、水素、C1−6アルキル、ハロ、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、および−N(R)からなる群から独立に選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式Icの化合物が、11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHとして同位体標識されている、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
2−(4−メトキシフェニル)−N−(3−メトキシプロピル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
2−(4−メトキシフェニル)−5−(1,3−オキサゾール−2−イルメトキシ)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−(2−アザスピロ[4,4]ノン−2−イル)−2−(4−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2−(4−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
N−ブチル−2−(4−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
2−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
2−(4−メトキシフェニル)−5−モルホリン−4−イル[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
N−(2−メトキシエチル)−2−(4−メトキシフェニル)[1,3]オキサゾロ、
2−(4−メトキシフェニル)−5−(2−メチルモルホリン−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
N,N−ジメチル−2−[4−(メチルアミノ)フェニル][1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
N−メチル−4−(5−モルホリン−4−イル[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)アニリン、
N−(2−メトキシエチル)−2−[4−(メチルアミノ)フェニル][1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
N−メチル−4−[5−(2−メチルモルホリン−4−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル]アニリン、
N−メチル−2−[4−(メチルアミノ)フェニル]−N−(2−ピロリジン−1−イルエチル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
2−[4−(メチルアミノ)フェニル]−N−(1−メチルエチル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
N−メチル−4−(5−ピロリジン−1−イル[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)アニリン、
N−エチル−2−[4−(メチルアミノ)フェニル][1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N−メチルアニリン、
5−フルオロ−2−(2−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−6−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(1,3−ベンゾチアゾール−6−イル)−5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(2,3−ジメチル−1H−インドール−5−イル)−5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(6−フルオロ−5−メチルピリジン−3−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−[1−(1−メチルエチル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル][1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(4−エトキシフェニル)−5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリン、
5−フルオロ−2−(4−ピペリジン−1−イルフェニル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(4−メトキシフェニル)−N−(1−メチルエチル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−5−アミン、
2−(4−メトキシフェニル)−5−ピロリジン−1−イル[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−[4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)フェニル][1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1H−インドール−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−メチル−アミン、
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−ジメチル−アミン、
5−フルオロ−2−(6−[1,2,4]トリアゾール−1−イル−ピリジン−3−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−[6−(3−メチル−3H−イミダゾール−4−イル)−ピリジン−3−イル]−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−3−メチル−ピリジン−2−イル]−メチル−アミン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−インダゾール−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1H−インドール−6−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(1,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)−5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
2−(3−ブロモ−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル)−5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(3−フルオロ−1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−チアゾロ[5,4−b]ピリジン、
5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−チアゾロ[5,4−b]ピリジン、
[4−(6−フルオロ−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−フェニル]−ジメチル−アミン
である化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項18】
11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHとして同位体標識されている、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−メチル−アミンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項20】
[5−(5−フルオロ−オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−ピリジン−2−イル]−ジメチル−アミンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項21】
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N−メチルアニリンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項22】
4−(5−フルオロ[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項23】
5−フルオロ−2−(1H−インドール−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項24】
5−フルオロ−2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)[1,3]オキサゾロ[5,4−b]ピリジンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項25】
5−フルオロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項26】
5−クロロ−2−(1−メチル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−5−イル)−オキサゾロ[5,4−b]ピリジンである、請求項17に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステル。
【請求項27】
11C、13C、14C、18F、15O、13N、35S、H、およびHとして同位体標識されている、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項29】
請求項1に記載の放射性標識化合物および薬学的に許容される担体を含むアミロイド沈着撮像用組成物。
【請求項30】
アミロイド斑凝集を阻害する有効量で請求項28に記載の組成物を投与することを含む、哺乳動物のアミロイド斑凝集を阻害する方法。
【請求項31】
検出可能量の式II:
【化6】

[式中、
Xは、OまたはSであり、
AおよびYは、独立して、NまたはCHであり、
Zは、1から3個の基R、RまたはRですべてが場合によって置換されているフェニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、ピリジル、ピラゾロピリジニル、ベンゾジオキソリル、およびピロロピリジニルからなる群から選択され、
Rは、水素または−C1−6アルキルを表し、
は、水素、−C5−10ヘテロシクリル、−N(R、CN、−(CHハロ、CF、−O(CHR、−O(CH5−10ヘテロシクリル、−C1−6アルキル、−OCF、−O(CHF、−(O(CHハロ、−(O(CHOR、−C(O)OR、またはヘテロ−スピロ環を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、
、RおよびRは、独立して、水素、−(CHハロ、−C1−6アルキル、−CF、−(CHOR、(CH5−10ヘテロシクリル、−N(R)を表し、前記アルキルおよびヘテロシクリルは1から3個の基Rで場合によって置換されており、
は、−CN、NO、ハロ、CF、−C1−6アルキル、−C1−6アルケニル、−C1−6アルキニル、−(CHハロ、−OR、−NRR、−C(=NR)NR、−N(=NR)NR、−NRCOR、−NRCO、−NRSO、−NRCONR,−SR、−SOR、−SO、−SONR、−COR、−CO、−CONR、−C(=NR)R、または−C(=NOR)Rを表し、
nは、0−6を表し、
sは、2−4を表し、
pは、1−3を表す。]
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくはインビボ加水分解性エステルを投与するステップ
および患者のアミロイド沈着への化合物の結合を検出するステップ
を含む、患者のアミロイド沈着を測定するための方法。
【請求項32】
検出が、ポジトロン放射断層撮影(PET)画像化、単一光子排出コンピューター断層撮影(SPECT)、磁気共鳴撮像、またはオートラジオグラフィーを行うことによって行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
アルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症候群、統合失調症認知欠損、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子ホモ接合体の治療を診断およびモニターするための請求項31に記載の方法。
【請求項34】
アルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、統合失調症認知欠損、ダウン症候群およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子ホモ接合体の予防および/または治療を必要としている患者に請求項1に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む、そのような疾患を予防および/または治療するための方法。
【請求項35】
アルツハイマー病、家族性アルツハイマー病、ダウン症候群、統合失調症認知欠損、およびアポリポタンパク質E4対立遺伝子ホモ接合体を治療および/または予防するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−524864(P2011−524864A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511794(P2011−511794)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045376
【国際公開番号】WO2009/155017
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】