説明

新規な5−チオキシロピラノース誘導体

【課題】新規な5−チオキシロピラノース誘導体の提供。
【解決手段】本発明は、新規な5−チオキシロース化合物、好ましくは5−チオキシロピラノース型誘導体、またその調製プロセス、及び医薬品の活性成分としてのその使用、特に血栓症の治療又は予防を目的とする医薬品の活性成分としてのその使用に関する。上記化合物は、化学式(I)を有する。化学式(I)の式中、下記ペンタピラノシル基は無置換又は置換5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を表し、R’、R’’及びR’’’がそれぞれ独立して水素原子、C〜Cアシル基を表すか、又は、それらのうちの隣接した2つが1−メチルエチリデン橋かけ構造を形成し、X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、Y及びYはそれぞれ、互いに独立して、炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す。さらに、化学式(I)の化合物の付加塩、及び化学式(I)の化合物の活性代謝物も提供される。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な5−チオキシロース化合物、好ましくは5−チオキシロピラノース型誘導体、またその調製プロセス、及び医薬品の活性成分としてのその使用、特に血栓症の治療又は予防において使用される医薬品の活性成分としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
D−キシロース誘導体は、例えば特許文献1〜4、又は非特許文献1により既に公知である。これらの公知化合物は、ヒトの静脈血栓症のリスクを低減するものとして推奨されている。これらの化合物の作用機構は、血漿中のグリコサミノグリカンにおける効果であると思われる(非特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第051023号明細書
【特許文献2】米国特許第4877808号明細書
【特許文献3】欧州特許第421829号明細書
【特許文献4】国際公開第05/030785号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J.Med.Chem.Vol.36 n° 7,p898−903
【非特許文献2】J.Biol.Chem.,Vol 270 n° 6 p2662−68
【非特許文献3】Thromb.Haemost.1999,81 p945−950
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抗血栓活性が良好であり、かつ効率的に合成可能な、チオキシロースから誘導された新規化合物群が本発明において見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る新規化合物は、
a)下記化学式:
【0007】
【化1】

(式中、
・上記ペンタピラノシル基は、無置換又は置換5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を表し、
・R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立して水素原子若しくはC〜Cアシル基を表すか、又は、それらのうちの隣接した2つが1−メチルエチリデン橋かけ構造を形成し、
・X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、
・Y及びYはそれぞれ、互いに独立して、炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、
・R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す)
の化合物;
b)上記化学式Iの化合物の付加塩;
c)上記化学式Iの化合物の活性代謝物
から選択される
ことを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、薬理活性物質として使用するための、化学式Iの化合物にも関する。
【0009】
特に、本発明は、医薬品の製剤のための、ヒト又は動物の治療における使用のための、又は血栓症、特に静脈血栓症の予防又は治療のための、化学式Iの化合物及び非毒性のその付加塩から選択される少なくとも1種の物質の使用に関する。本発明に係る化合物は、グリコサミノグリカン類が関与する作用機序に従って活性を示すので、上記化合物は、グリコサミノグリカン類が関与する他の疾病の治療又は予防において使用される医薬品の活性成分として有用な可能性もある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
化学式Iにおいて、「C〜Cアルキル基」という用語は、1〜4つの炭素原子を含む、直鎖若しくは分枝鎖の飽和炭化水素鎖、又は部分的に環構造であるか、若しくは全体が環構造の飽和炭化水素鎖(この環部分は3つ若しくは4つの炭素原子を含む)を意味するものである。C〜Cアルキル基の具体例としては、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、シクロプロピル基又はシクロプロピルメチル基等が挙げられる。
【0011】
「C〜Cアシル基」という用語は、R−CO−基(式中、Rは、1〜5つの炭素原子を含む、上記で定義されたようなアルキル基を表す)を意味するものである。C〜Cアセチル基の具体例としては、特にアセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基又はヘキサノイル基、さらにその同族体(分枝鎖であってもよい)が挙げられる。
【0012】
「C〜Cアルコキシ基」という用語は、RO−基(式中、Rは、上記で定義されたような1〜4つの炭素原子を含むアルキル基である)を意味するものである。C〜Cアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、1−メチルエトキシ基、1,1−ジメチルエトキシ基、1−メチルプロポキシ基、2−メチルプロポキシ基又はシクロプロピルメトキシ基等が挙げられる。
【0013】
「付加塩」という用語は、化学式Iの化合物を鉱酸又は有機酸と反応させることで得られる付加塩を意味するものである。上記塩は薬学的に許容される付加塩であることが好ましい。化学式Iの化合物の、又は化学式Iの化合物の塩の水和物若しくは溶媒和物もまた、本発明の一部である。
【0014】
化学式Iの塩基性化合物を塩化するのに好適な鉱酸の中では、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸及び硫酸が好ましい。化学式Iの塩基性化合物を塩化するのに好適な有機酸の中では、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸及びトリフルオロ酢酸が好ましい。
【0015】
「活性代謝物」という用語は、生物学的環境において化学式Iの化合物から生成する化合物を意味するものであり、本願の明細書で説明しているように、上記「活性代謝物」は、化学式Iの化合物と同じ性質の薬理活性を有している。例えば、化学式Iの化合物(式中、Rはアシル基を表す)は、ケトン官能基のアルコール官能基(−CHOH−)への還元によって代謝されることで、化学式Iの化合物と同じ性質の薬理活性を保持する新規化合物(代謝物)を生じる。
【0016】
本発明の化合物の実例としては、化学式Iのうち、以下のようなものが挙げられる。
上記化学式Iの式中、
・ペンタピラノシル基が、無置換の、若しくはアシル化された、好ましくはアセチル化された5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を表すか、又は
・X及びYが窒素原子を表し、かつX及びYが炭素原子を表すか、又は
・Yが酸素原子を表し、かつX、X及びYが炭素原子を表すか、又は
・Yが窒素原子を表し、かつX、X及びYが炭素原子を表すか、又は
・Xが酸素原子を表し、Yが窒素原子を表し、かつX及びYが炭素原子を表すか、又は
・Xが硫黄原子を表し、Yが窒素原子を表し、かつX及びYが炭素原子を表すか、又は
・X及びYが窒素原子を表し、かつX及びYが炭素原子を表すか、又は
・Yが窒素原子を表し、Yが酸素原子を表し、かつX及びXが炭素原子を表すか、又は
・Yが酸素原子を表し、Yが窒素原子を表し、かつX及びXが炭素原子を表すか、又は
・X、Y及びYが窒素原子を表し、かつXが炭素原子を表すか、又は
・X、X及びYが窒素原子を表し、かつYが炭素原子を表す。
【0017】
本発明に係る化合物の中では、X及びYが窒素原子を表し、かつX及びYが炭素原子を表す化合物、さらにX、X及びYが窒素原子を表し、かつYが炭素原子を表す化合物が好ましい。
【0018】
本発明に係る化合物の中では、Rが水素原子又は−COCH基である化合物が好ましい。
【0019】
本発明に係る化学式Iの化合物は、当業者に公知のグリコシル化法、具体的には
a)書籍“The Carbohydrate,Chemistry and Biochemistry”,2nd edition,Academic Press,New York−London 1972,Volume IA pages292−294に記載された、ルイス酸存在下で過アセチル化糖を芳香族ヒドロキシ複素環式化合物と縮合させることによるHELFERICH法、
b)シアン化水銀、銀イミダゾレート又はトリフルオロメチルスルホン酸銀等のプロトン受容体存在下でハロゲン化アシロース(acylose)をフェノール性ヒドロキシル基と縮合させることによるKOENIGS−KNORR法(idem,pages295−299)、
c)アルキルアゾジカルボキシレート及びルイス塩基の存在下で、部分的にアセチル化されたアシロース、及び芳香族ヒドロキシ複素環式化合物を縮合させることによるMITSONOBU法(Duynstee et al.,Tet.Lett.39(1998),p.4129−4132)
等によって調製されてもよい。
【0020】
化学式Iの化合物は、上記に参照したプロセスに由来する方法に従って調製されるのが好ましい。
【0021】
第一の概括的なプロセスによれば、
a)下記化学式:
【0022】
【化2】

〔式中、
・X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、
・Y及びYは炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、
・R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す〕
の、フェノール性ヒドロキシル基を含む芳香族系を
下記化学式:
【0023】
【化3】

(式中、Halはハロゲン、好ましくは臭素を表し、かつR’、R’’及びR’’’は、C〜Cアシル基、好ましくはアセチル基を表す)
の5−チオキシロピラノース誘導体と、
アセトニトリル又はトルエン等の非プロトン性溶媒中で、無水媒体中の銀塩、特に酸化銀若しくは銀イミダゾレートの存在下、又は無水媒体中の亜鉛塩(特にその酸化物、若しくはその塩化物)の存在下、25〜110℃の温度で1〜10時間反応させて、
下記化学式:
【0024】
【化4】

(式中、X、X、Y、Y、R’、R’’、R’’’、R、R、R、R及びRは、上記出発化合物と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
b)必要であれば、上記で得られた化学式Iの化合物をメタノール中のアンモニア溶液と反応させて、上記チオキシロピラノシル残基の脱アシル化を行うことで上記アシル基を水素原子に置換し、下記化学式:
【0025】
【化5】

(式中、X、X、Y、Y、R、R、R、R及びRは、上記と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
c)必要であれば、上記で得られた化合物I又はIaのうちの1つを酸と、当業者に公知の方法に従って反応させて、対応する付加塩を得る
ステップと
が行われる。
【0026】
上述したステップb)の変形として、0〜30℃の温度で0.5〜2時間、メタノール中の金属アルコキシド、好ましくはナトリウムメトキシドを触媒量で作用させることにより、アシル基を水素原子へ置換して、化学式Iの化合物(式中、RはC〜Cアシル基を表す)から化学式Iaの化合物を得てもよい。
【0027】
第二のプロセスによれば、化学式Iの化合物は、以下のステップにより得ることができる。即ち、下記化学式:
【0028】
【化6】

(式中、Acはアセチル基を表す)
のテトラ−O−アセチル−5−チオキシロピラノースを
下記化学式:
【0029】
【化7】

〔式中、
・X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、
・Y及びYは炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、
・R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す〕
の化合物に、
例えばジクロロメタン等の非プロトン性溶媒中で、四塩化スズ等のルイス酸型の触媒の存在下、20〜60℃の温度で1〜2時間作用させて、下記化学式:
【0030】
【化8】

(式中、X、X、Y、Y、R、R、R、R及びRは、上記出発化合物と同じ意味である)
の化合物を得る。
【0031】
その後、化学式Ibの化合物を、上記プロセス中で説明されたプロトコルに従って反応させて、化学式Iaの非置換のピラノシル化合物、及び/又は酸との塩を得ることができる。
【0032】
上述の化学式IIの化合物は、市販されているか、又は文献に記載される技術に従って当業者により容易に合成される製品である。
【0033】
第三のプロセスによれば、本発明に係る化合物は、以下のプロセスに従って、直接グリコシル化により調製することもできる。即ち、フェノール性ヒドロキシル基を有する複素環式芳香族誘導体を2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノースと、ジエチルアゾジカルボキシレート等のアルキルアゾジカルボキシレート化合物、トリフェニルホスフィン等のルイス塩基、及びテトラヒドロフラン等の非プロトン性極性溶媒の存在下、−20℃〜70℃の温度で5分〜72時間反応させて、対応するグリコシル化化合物を得る。
【0034】
その後、上記化合物を、上記プロセス中で説明されたプロトコルに従って反応させて、化学式Iaの非置換のピラノシル化合物、及び/又は酸との塩を得てもよい。
【0035】
また、下記化学式:
【0036】
【化9】

の、本発明に係る化合物(式中、X及びYは窒素原子を表し、かつX及びYは炭素原子を表す、イミダゾ[1,2−a]ピリジン群の誘導体)は、ピリジン環の窒素に対してオルト位にアミン基を有するグリコシル化ピリジンとカルボキシル化塩素化誘導体の環化により調製されてもよい(J.J.Kaminski et al,J.Med.Chem,28(7),1985 p876)。
【0037】
上記プロセスによれば、
a)下記化学式:
【0038】
【化10】

(式中、
R’、R’’及びR’’’は、C〜Cアシル基を表し、かつ
、R及びRは独立して、水素原子;フェニル環若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す)
の化合物を
下記化学式:
【0039】
【化11】

〔式中、
Halはハロゲン原子、好ましくは塩素又は臭素を表し、かつ
及びRは独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくはCOOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す〕
のα−ハロゲン化ケトンと、
エタノール等のプロトン性極性溶媒存在下、60℃〜130℃の温度で5分〜4時間反応させて、
下記化学式:
【0040】
【化12】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、上記出発物質と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
b)必要であれば、脱保護反応を行い、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を脱保護して、化学式Vの化合物(式中、R’、R’’及びR’’’は、水素原子を表す)を得る
ステップと
が行われる。
【0041】
また、下記化学式:
【0042】
【化13】

の、本発明に係る化合物(式中、X、X及びYは窒素原子を表し、かつYは炭素原子を表す、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン群の誘導体)は、グリコシル化N,N−ジメチル−N’−2−ピリジニルメタンイミドアミドとヒドロキシルアミン−O−スルホン酸の環化により調製されてもよい。
【0043】
上記プロセスによれば、
a)下記化学式:
【0044】
【化14】

(式中、
R’、R’’及びR’’’は、C〜Cアシル基を表し、かつ
、R及びRは独立して、水素原子;フェニル環若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す)
の化合物を
下記ジメチルホルムアミドジアセタール:
【0045】
【化15】

と、エタノール等のプロトン性極性溶媒存在下、60℃〜130℃の温度で5分〜4時間反応させて、
下記化学式:
【0046】
【化16】

(式中、R’、R’’、R’’’、R、R及びRは、上記出発物質と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
b)上記化学式XIの化合物をヒドロキシルアミン−O−スルホン酸と、例えばメタノール等の極性溶媒中で、ピリジン存在下、周囲温度の範囲内で1〜3時間反応させて、化学式VIIIの[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシドを得る
ステップと、
c)必要であれば、脱保護反応を行い、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を脱保護して、化学式VIIIの化合物(式中、R’、R’’及びR’’’は、水素原子を表す)を得る
ステップと
が行われる。
【0047】
本発明によれば、化学式Iの特定の化合物は、R’及びR’’が共に1−メチルエチリデン橋かけ構造を表しかつR’’’が水素原子を表すか、又は、R’’及びR’’’が共に1−メチルエチリデン橋かけ構造を表しかつR’が水素原子を表すといったものである。これらの化合物をそれぞれ、下記化学式:
【0048】
【化17】

で表すこともできる。
【0049】
これらの化合物は、化学式Iの化合物(式中、R’、R’’及びR’’’は、水素原子を表す)を出発物質として、2−メトキシプロペンを、例えばジメチルホルムアミド等の無水極性溶媒中で、カンファースルホン酸等の酸の存在下、15〜70℃の温度で2〜48時間反応させることにより得ることもできる。その後、上記化合物は、当業者に公知の方法に従って、例えば結晶化によって、又はクロマトグラフィーによって、単離され精製される。
【0050】
概して、β−D−5−チオキシロピラノース誘導体を得ようとする場合、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−α−D−キシロピラノシルブロミド、又はテトラ−O−アセチル−5−チオ−α−D−キシロピラノースを使用するのが好ましい。
【0051】
上述のグリコシル化反応により、通常、α及びβ配置の異性体の混合物が生成されることになるので、β配置異性体が有利な割合で得られるように、操作条件を最適化することが、通例必要である。また、上記と同じ理由から、純粋なβ−異性体が得られるように、再結晶化か、又はクロマトグラフィーのいずれかによって精製を行うことが必要となる場合もある。
【実施例】
【0052】
以下の実施例の目的は、本発明を例証することであり、その範囲を限定することでは決してない。これらの実施例において、融点はコフラーベンチ又は毛細管で測定された。また、核磁気共鳴スペクトル値の特徴は、TMSに対して算出された化学シフトと、シグナルに関連するプロトンの数と、及びシグナルの形(s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線)で示してある。測定周波数及び使用した溶媒は化合物ごとに示してある。周囲温度は、20℃±4℃である。
【0053】
以下の省略形を使用している。
mMは、ミリモル(10−3モル)を示す。
CHClは、クロロホルムを表す。
CHOHは、メタノールを表す。
DMEは、ジメトキシエタンを表す。
DMFは、ジメチルホルムアミドを表す。
DMSOは、ジメチルスルホキシドを表す。
THFは、テトラヒドロフランを表す。
TFAは、トリフルオロ酢酸を表す。
【0054】
調製1:
2−アミノ−3−ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−ニトロ−3−ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド14.5g(35.4mM)をTHF290mlに溶解させた溶液に10%になるようパラジウム炭素1.45gを添加する。混合液を水素雰囲気下、周囲温度で15時間攪拌した後、濾過する。濾液を減圧下で濃縮する。所望の生成物をベージュ色固体として、98%の収率で得る。
Mp=145℃
[α]33=−68°(c=0.44;DMSO)
【0055】
調製2:
5−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシル)オキシ]−1H−インドール−1−カルボン酸1,1−ジメチルエチルエステル
5−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル1.75g(7.51mM)をTHF25mlに溶解させた溶液と、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート2.73g(13.5mM)と、トリフェニルホスフィン3.54g(13.5mM)とを、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノース2.85g(9.75mM)をTHF50mlに溶解させた溶液に添加する。反応混合液を45℃で3時間攪拌した後、減圧下で濃縮する。蒸発残留物を酢酸エチルに溶解させ、有機相を1Nの水酸化ナトリウム溶液で洗滌した後、濃塩化アンモニウム水溶液で洗滌する。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。アセトニトリル/水混液(7/3;v/v)を溶離液として、C18グラフトシリカクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を黄白色固体として、11%の収率で得る。
Mp=58〜62℃
【0056】
調製3:
2−メチル−8−ヒドロキシイミダゾ[1,2−a]ピリジン
ジメチルカルバミン酸2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イルエステル1.27g(5.8mM)をメタノール15mlに溶解させた溶液を、ナトリウム0.2g(8.7mM)とメタノール20mlとから得られたナトリウムメトキシド溶液に添加する。反応混合液を15時間還流させた後、冷却する。次に、2Nの硫酸溶液により媒体のpHを8.5にした後、減圧下で濃縮する。ジクロロメタン/メタノール混液(9/1;v/v)を溶離液として、シリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を褐色固体として、87%の収率で得る。
Mp=154℃
【0057】
調製4:
2−メチル−6−メトキシイミダゾ[1,2−a]ピリジン
2−アミノ−5−メトキシピリジン0.5g(mM)をエタノール17mlに溶解させた溶液にクロロアセトン0.74g(8.04mM)を添加する。混合液を20時間還流させた後、減圧下で濃縮する。酢酸エチルを蒸発残留物に添加し、有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗滌した後、塩化ナトリウム飽和溶液で洗滌する。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。トルエン/イソプロピルアルコール混液(99/1;v/v)を溶離液として、NH(アミノ基)グラフトシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を橙色油状液体として、54%の収率で得る。
H NMR(300MHz;DMSO)δ=8.15(d,1H);7.57(s,1H);7.34(d,1H);16.94(dd,1H);3.77(s,3H);2.29(s,3H)。
【0058】
調製5:
2−メチル−6−ヒドロキシイミダゾ[1,2−a]ピリジン
2−メチル−6−メトキシイミダゾ[1,2−a]ピリジン1.92g(11mM)と臭化水素酸ピリジニウム7.26g(45mM)とから成る混合物を融点まで8時間加熱する。次に、混合物を冷却し、そこに水を添加する。水相を重炭酸ナトリウムで塩基性pHにして、酢酸エチルで抽出を行う。有機相を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。そのようにして、所望の生成物をベージュ色固体として、30%の収率で得る。
Mp=174℃
【0059】
調製6:
N,N−ジメチル−N’−[3−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシル)オキシ]−2−ピリジニル]−メタンイミドアミド
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルエタンアミン(N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール)0.31g(2.6mM)を、2−アミノ−3−ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド(調製1)1g(2.6mM)をエタノール10mlに溶解させた溶液に添加する。電子レンジにおいて、混合液を電子レンジ対応容器中、120℃で20分間攪拌させながら加熱する。その後、反応混合液を減圧下で濃縮する。得られた残留物を酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。所望の生成物を白色固体として、46%の収率で得る。
Mp=120℃
[α]32=−82°(c=0.19;DMSO)
【0060】
調製7:
2,1−ベンズイソオキサゾール−7−オル
三臭化ホウ素のジクロロメタン中1M溶液18.5mlを、7−メトキシ−2,1−ベンズイソオキサゾール1.38g(9.25mM)をジクロロメタン50mlに溶解させ、−78℃まで冷却した溶液に添加した後、混合液を周囲温度で一晩中攪拌する。反応媒体を水に注ぎ込み、炭酸ナトリウム溶液の添加により混合液をpH=7〜8にした後、ジクロロメタンで抽出を行う。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をメチルシクロヘキサン/酢酸エチル混液(勾配:100/0から50/50;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。所望の生成物を黄色固体として、10%の収率で得る。
H NMR(300MHz;DMSO)δ=10.46(s,1H);9.69(s,1H);7.11(d,1H);6.87(dd,1H);6.54(d,1H)。
【0061】
調製8:
3−メチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−オル
1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタノンオキシム1.98g(12mM)及び水酸化カリウム1g(18mM)をメタノール/水混液(100ml/100ml)中で4日間還流する。その後、反応媒体を減圧下で濃縮して、1N HClでpH=1まで酸性化した後、酢酸エチルで抽出を行う。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィー(メチルシクロヘキサン/酢酸エチル勾配:70/30から30/70;v/vへ)により蒸発残留物を精製する。所望の生成物を白色固体(0.39g)として、22%の収率で得る。
Mp=122〜136℃
【0062】
実施例1:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
プロセスA
調製1によって得られた2−アミノ−3−ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド3g(7.8mM)をエタノール15mlに溶解させた溶液にクロロアセトン3.6g(0.39mM)を添加する。混合液を電子レンジ対応容器中、120℃で30分間攪拌しながら加熱する。その後、反応混合液を減圧下で濃縮する。得られた残留物を酢酸エチルに溶解させ、有機相を重炭酸ナトリウム飽和水溶液、水、さらに塩化ナトリウム飽和溶液で連続的に洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。その後、有機相を濾過し、減圧下で濃縮する。3.8gの粗生成物を得る。該生成物をさらに精製することなく次のステップ(実施例2に記載)に直接使用する。
【0063】
プロセスB
8−ヒドロキシ−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン0.44g(3mM)と、トリフェニルホスフィン1.18g(4.5mM)と、ポリスチレン樹脂上に担持されたのジエチルアゾジカルボキシレート(1.3mM/g)の3.46g(4.5mM)とを、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノース1.32g(4.5mM)をTHF30mlに溶解させ、−10℃まで冷却した溶液に添加する。反応混合液を−10℃で30分間攪拌した後、周囲温度で15時間攪拌する。その後、反応混合液を濾過した後、減圧下で濃縮する。得られた残留物を酢酸エチルに溶解させ、有機相を1Nの水酸化ナトリウム溶液で洗滌した後、水洗する。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。水/アセトニトリル勾配の溶離液を用いて、C18グラフトシリカでの逆相クロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を白色固体として、14%の収率で得る。
Mp=180℃
[α]28=−80°(c=0.25;DMSO)
【0064】
実施例2:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例1によって得られた生成物をアンモニアのメタノール中7M溶液40mlに溶解させ、周囲温度で15時間攪拌する。反応混合液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をジクロロメタン/メタノール混液(勾配:100/0から80/20;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。得られた生成物を冷水200ml中で攪拌した後、濾過する。所望の生成物を白色粉末として、53%の収率で得る。
Mp=145℃
[α]30=−89°(c=0.40;DMSO)
【0065】
実施例3:
2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−クロロ−1−フェニルエタノンを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をエクルベージュ色固体として、52%の収率で得る。
Mp=205℃
[α]29=−94°(c=0.38;DMSO)
【0066】
実施例4:
2−フェニルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例3で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、42%の収率で得る。
Mp=173℃
[α]29=−77°(c=0.48;DMSO)
【0067】
実施例5:
3−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−クロロプロパナールを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、24%の収率で得る。
Mp=150℃
[α]29=−83°(c=0.25;DMSO)
【0068】
実施例6:
3−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン―8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例5で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、57%の収率で得る。
Mp=119℃
[α]29=−69°(c=0.38;DMSO)
【0069】
実施例7:
2−アセチル−7−ベンゾフラニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
トルエン13ml及びアセトニトリル13ml中で、1.93g(14.1mM)の無水塩化亜鉛と、1g(5.7mM)の2−アセチル−7−ヒドロキシベンゾフランと、2.2gのモレキュラーシーブ13Xとから成る混合物を攪拌した。混合液を90℃にして、混合液の温度を90℃に保ちつつ、トリエチルアミン1.42g(14.1mM)と2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド2.22g(6.27mM)とを添加する。次に、90℃に保った混合液を20分間攪拌する。その後、混合液を冷却し、0.5Nの水酸化ナトリウム溶液65mlを添加し、その結果得られた混合液を1時間攪拌する。媒体を濾過し、沈殿物を酢酸エチルで洗滌する。その後、濾液を沈降により分離させる。有機相を塩化アンモニウム飽和水溶液で洗滌し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。シクロヘキサン/酢酸エチル混液(7/3;v/v)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を帯黄色固体として、37%の収率で得る。
Mp=208〜209℃
[α]27=−77°(c=0.48;DMSO)
【0070】
実施例8:
2−アセチル−7−ベンゾフラニル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
メタノールにナトリウムメトキシドを18.7重量%(0.41mM)溶解させた溶液0.118mlを、実施例7によって得られた生成物1.85g(4.1mM)をメタノール40mlに懸濁させた懸濁液に周囲温度で添加する。反応混合液を40℃で70分間攪拌する。次に、媒体を攪拌させつつ冷却した後、アンバーライト(登録商標)IR 120 H+樹脂を添加する。その後、上記樹脂を濾別し、メタノール/テトラヒドロフラン混液で洗滌する。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残留物をエーテル中ですりつぶし、濾過する。濾過後、得られた固体を乾燥させる。そのようにして、所望の化合物を黄色結晶として、76%の収率で得る。
Mp=116〜120℃
[α]24=−73°(c=0.55;DMSO)
【0071】
実施例9:
1H−インドール−5−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
アニソール0.089g(0.82mM)とトリフルオロ酢酸7mlとを、調製2によって得られた生成物0.42g(0.82mM)をジクロロメタン60mlに溶解させた溶液に添加する。反応混合液を1時間30分の間、還流させながら攪拌し、次に、冷却後減圧下で濃縮する。トルエン/アセトン混液(95/5;v/v)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物を無色油状液体として、30%の収率で得る。
【0072】
実施例10:
1H−インドール−5−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例9で得られた生成物を出発物質として、実施例8と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、53%の収率で得る。
NMR(250MHz,DMSO)δ=10.95(s,1H),7.29(m,3H),6.84(dd,1H),6.35(m,1H),5.45(d,1H),5.04(d,1H),4.99(d,1H J=8.88Hz),4.94(d,1H),3.52(m,2H),3.13(m,1H),2.55(m,2H)。
【0073】
実施例11:
2−メチル−5−ベンゾチアゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び2−メチル−5−ヒドロキシベンゾチアゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色結晶として、6%の収率で得る。
Mp=158℃(イソプロピルアルコールから再結晶化された)
[α]27=−23°(c=0.48;CHOH)
【0074】
実施例12:
2−メチル−5−ベンゾチアゾリル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例11で得られた生成物を出発物質として、実施例8と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色結晶として、73%の収率で得る。
Mp=210〜211℃
[α]27=−79°(c=0.41;CHOH)
【0075】
実施例13:
5−アセチル−4,7−ジメトキシ−6−ベンゾフラニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び5−アセチル−4,7−ジメトキシ−6−ヒドロキシベンゾフランを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を得る。事前に精製することなく次の脱保護ステップに直接使用する。
【0076】
実施例14:
5−アセチル−4,7−ジメトキシ−6−ベンゾフラニル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例13で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、25%の収率で得る。
Mp=207〜209℃
[α]26=−40°(c=0.29;DMSO)
【0077】
実施例15:
4−ベンゾオキサゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び4−ヒドロキシベンゾオキサゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、41%の収率で得る。
Mp=139℃
[α]29=−61°(c=0.23;DMSO)
【0078】
実施例16:
4−ベンゾオキサゾリル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例15で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をオフホワイト色粉末として、61%の収率で得る。
Mp=172℃
[α]29=−94°(c=0.19;DMSO)
【0079】
実施例17:
7−ベンゾフラニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び7−ヒドロキシベンゾフランを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、14%の収率で得る。
Mp=152℃
[α]30=−47°(c=0.32;DMSO)
【0080】
実施例18:
7−ベンゾフラニル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例17で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、50%の収率で得る。
Mp=160℃
[α]30=−85°(c=0.24;DMSO)
【0081】
実施例19:
3−ベンゾイル−5−ベンゾフラニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び3−ベンゾイル−5−ヒドロキシベンゾフランを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、20%の収率で得る。
Mp=182℃
[α]27=+1°(c=0.22;DMSO)
【0082】
実施例20:
3−ベンゾイル−5−ベンゾフラニル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例19で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、40%の収率で得る。
Mp=163℃
[α]30=−52°(c=0.33;DMSO)
【0083】
実施例21:
2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
8−ヒドロキシ−2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジンを出発物質として、実施例1のプロセスBと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、11%の収率で得る。
Mp=213℃
[α]28=−103°(c=0.23;DMSO)
【0084】
実施例22:
2,3−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例21で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、26%の収率で得る。
Mp=125〜130℃
[α]28=−99°(c=0.22;DMSO)
【0085】
実施例23:
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
ブロモアセトアルデヒドを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をエクルベージュ色固体として、35%の収率で得る。
Mp=130℃
[α]28=−76°(c=0.50;DMSO)
【0086】
実施例24:
イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例23で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、53%の収率で得る。
Mp=102℃
[α]29=−52°(c=0.20;DMSO)
【0087】
実施例25:
2−(1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−メチル−4−ブロモ−3−ブタノンを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、31%の収率で得る。
Mp=182℃
[α]35=−72°(c=0.20;DMSO)
【0088】
実施例26:
2−(1−メチルエチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例25で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、55%の収率で得る。
Mp=83℃
[α]35=−125°(c=0.20;DMSO)
【0089】
実施例27:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド、及び、調製3によって得られた2−メチル−7−ヒドロキシイミダゾ[1,2−a]−ピリジンを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、38%の収率で得る。得られた生成物を脱アセチル化ステップに直接使用する。
【0090】
実施例28:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例27で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を薄桃色固体として、35%の収率で得る。
Mp=172℃
[α]35=−107°(c=0.20;DMSO)
【0091】
実施例29:
1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−4−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド及び4−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ベンズイミダゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、38%の収率で得る。得られた生成物を脱アセチル化ステップに直接使用する。
【0092】
実施例30:
1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−4−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例29で得られた生成物を出発物質として、実施例8と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を褐色固体として、70%の収率で得る。
Mp=180℃
[α]32=−87°(c=0.20;DMSO)
【0093】
実施例31:
2−(クロロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
1,3−ジクロロアセトンを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、42%の収率で得る。
Mp=166℃
[α]29=−75°(c=0.20;DMSO)
【0094】
実施例32:
2−(フェニルメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
炭酸ナトリウム0.108g(1.02mM)を水2mlに溶解させた溶液と、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン0.055g(0.0678mM)と、4,4,5,5−テトラメチル−2−フェニル−1,2,3−ジオキサボロラン0.277g(1.35mM)とを、実施例31によって得られた2−クロロメチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシド0.31g(0.678mM)をDME4mlに溶解させた溶液に添加する。反応混合液を120℃で30分間マイクロ波加熱する。冷却後、水を添加し、結果として得られた混合液に対して酢酸エチルで抽出を行う。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。ジクロロメタン/メタノール混液(97/3;v/v)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製した後、エーテルから結晶化させる。所望の生成物を白色固体として、42%の収率で得る。
Mp=152℃
[α]29=−83°(c=0.19;DMSO)
【0095】
実施例33:
2−(フェニルメチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例32で得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、90%の収率で得る。
Mp=114℃
[α]29=−81°(c=0.20;DMSO)
【0096】
実施例34:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド、及び、調製5によって得られた2−メチル−6−ヒドロキシイミダゾ[1,2−a]ピリジンを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、13%の収率で得る。
Mp=83℃
[α]24=+35°(c=0.20;DMSO)
【0097】
実施例35:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例34で得られた生成物を出発物質として、実施例8と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、66%の収率で得る。
Mp=194℃
[α]31=−21°(c=1.00;DMSO)
【0098】
実施例36:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル2,3−O−(1−メチルエチリデン)−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド(実施例2)725mg(2.66mM)と2−メトキシプロペン406mg(5.63mM)とをDMF1.5mlに溶解させた溶液を周囲温度で調製した後、−8℃まで冷却する。カンファースルホン酸710mg(3.05mM)を上記溶液に添加し、結果として得られた混合液を周囲温度で24時間攪拌し続ける。反応媒体を重炭酸ナトリウム溶液(0.5N)に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出を行う。有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗滌した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた残留物をジクロロメタン/メタノール混液(88/12;v/v)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。所望の生成物を白色粉末として、7%の収率で得る。
Mp=196℃
[α]30=−252°(c=0.25;CHCl
【0099】
実施例37:
2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル3,4−O−(1−メチルエチリデン)−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
上記化合物を実施例36の化合物と同時に得る。シリカゲルでの精製中に2つの生成物を分離させる。所望の生成物を白色粉末として、16.5%の収率で得る。
Mp=190℃
[α]30=−252°(c=0.2;CHCl
【0100】
実施例38:
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−8−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
ピリジン0.1mlとヒドロキシルアミン−O−スルホン酸0.068g(0.6mM)とを、調製6によって得られた化合物0.22g(0.5mM)をメタノール5mlに溶解させた溶液に添加する。混合液を周囲温度で2時間攪拌し、白色沈殿物を得る。その後、反応混合液を減圧下で濃縮する。蒸発残留物をジクロロメタンに溶解させ、有機相を水洗する。その後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた残留物をジクロロメタン/酢酸エチル混液(勾配:90/10から80/20;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。所望の生成物(前のステップの出発物質である生成物との混合物として)を白色固体として、30%の収率で得る。その後、生成物をさらに精製することなく、次のステップに使用する。
【0101】
実施例39:
[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−8−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例38で得られた生成物をアンモニアのメタノール中7M溶液5mlに添加して成る混合液を周囲温度で3時間攪拌する。反応混合液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をジクロロメタン/メタノール混液(97/3;v/v)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。得られた生成物を冷水で洗滌した後、濾過し、乾燥させる。所望の生成物を白色固体として、36%の収率で得る。
Mp=155℃
[α]32=−106°(c=0.2;DMSO)
【0102】
実施例40:
2,1−ベンズイソオキサゾール−7−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
0.25g(1.85mM)の無水塩化亜鉛と0.22gのモレキュラーシーブ13Xとをトルエン2ml及びアセトニトリル2ml中に添加して成る混合液を攪拌し、調製7によって得られた2,1−ベンズイソオキサゾール−7−オル0.1g(0.74mM)とトリエチルアミン0.19g(1.85mM)とを添加する。混合液を90℃にして、この温度を保ちつつ、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノシルブロミド0.29g(0.82mM)を添加する。90℃に保った混合液をさらに20分間攪拌する。その後、混合液を冷却し、濾過した後、減圧下で濃縮する。メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混液(勾配:100/0から50/50;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。所望の生成物をベージュ色固体として、30%の収率で得る。
Mp=157℃
[α]25=−38°(c=0.14;DMSO)
【0103】
実施例41:
2,1−ベンズイソオキサゾール−7−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
メタノール5mlに、実施例40によって得られた生成物とメタノールにナトリウムメトキシドを8%で溶解させた溶液10滴とを添加して成る混合液を周囲温度で3時間攪拌する。その後、反応媒体をIR 120 H樹脂を用いてpH=5まで中和し、濾過して、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をジクロロメタン/メタノール混液(勾配:100/0から80/20;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した後、準分取(semi−preparative)HPLC(カラム:ウォーターズ、Atlantis、19X100mm。溶離液:アセトニトリル/HO/0.1%TFA勾配)により精製する。所望の生成物をベージュ色固体として、32%の収率で得る。
Mp=115℃
[α]28=−116°(c=0.11;DMSO)
【0104】
実施例42:
8−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシル)オキシ]−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−2−酢酸エチルエステル
2−アミノ−3−ピリジニル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド及び4−クロロ−3−オキソブタン酸エチルエステルを出発物質として、実施例1のプロセスAと同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、54%の収率で得る。
Mp=120℃
[α]30=−75°(c=0.29;DMSO)
【0105】
実施例43:
8−[(5−チオ−β−D−キシロピラノシル)オキシ]−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−酢酸のトリフルオロ酢酸との塩
実施例42によって得られた化合物0.55g(1.11mM)をTHF6mlに溶解させた溶液に水6mlを、次に水酸化リチウム0.23g(5.55mM)を添加して、混合液を周囲温度で一晩中攪拌する。反応混合液を減圧下で濃縮した後、塩酸(1M)でpH=3〜4まで酸性化し、凍結乾燥する。最後に、得られた生成物を準分取HPLC(カラム:ウォーターズ、Atlantis、19X100mm。溶離液:アセトニトリル/HO/0.1%TFA勾配)により精製する。所望の生成物をトリフルオロ酢酸との塩の形態で、白色綿様物質として、31%の収率で得る。
Mp=86℃
[α]27=−54°(c=0.33;DMSO)
【0106】
実施例44:
2−メチル−6−ベンゾチアゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−メチル−6−ヒドロキシベンゾチアゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をエクルベージュ色固体として、24%の収率で得る。
Mp=160℃
[α]28=−3°(c=0.3;DMSO)
【0107】
実施例45:
2−メチル−6−ベンゾチアゾリル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例44によって得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、70%の収率で得る。
Mp=184℃
[α]27=−40°(c=0.34;DMSO)
【0108】
実施例46:
2−メチル−5−ベンゾオキサゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−メチル−5−ヒドロキシベンゾオキサゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、26%の収率で得る。
Mp=168℃
[α]28=−30°(c=0.12;DMSO)
【0109】
実施例47:
2−メチル−5−ベンゾオキサゾリル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例46によって得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を2−プロパノールから結晶化させた後、白色固体として、62%の収率で得る。
Mp=187〜189℃
[α]25=−86°(c=0.23;DMSO)
【0110】
実施例48:
2−メチル−4−ベンゾオキサゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
2−メチル−4−ヒドロキシベンゾオキサゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、9%の収率で得る。
Mp=149〜151℃
[α]25=−55°(c=0.27;DMSO)
【0111】
実施例49:
2−メチル−4−ベンゾオキサゾリル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例48によって得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を水から結晶化させた後、白色固体として、91%の収率で得る。
Mp=164〜167℃
[α]25=−73°(c=0.53;DMSO)
【0112】
実施例50:
3−メチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−4−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
3−メチル−4−ヒドロキシ−1,2−ベンズイソオキサゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をクリーム色固体として、14%の収率で得る。
Mp=155〜158℃(MeOH)
[α]25=−83°(c=0.78;DMSO)
【0113】
実施例51:
3−メチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−4−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例50によって得られた化合物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を水から結晶化させた後、白色固体として、89%の収率で得る。
Mp=165〜168℃
[α]28=−74°(c=0.18;DMSO)
【0114】
実施例52:
1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
5−ヒドロキシ−1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、11%の収率で得る。
Mp=80℃
[α]28=−9°(c=0.26;DMSO)
【0115】
実施例53:
1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例52によって得られた化合物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、61%の収率で得る。
Mp=220℃
[α]25=−113°(c=0.26;DMSO)
【0116】
実施例54:
6−ベンゾチアゾリル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロ−ピラノシド
6−ヒドロキシベンゾチアゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、30%の収率で得る。
Mp=166℃
[α]27=−2.4°(c=0.2;DMSO)
【0117】
実施例55:
6−ベンゾチアゾリル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例54によって得られた化合物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、72%の収率で得る。
Mp=192℃
[α]27=−48°(c=0.25;DMSO)
【0118】
実施例56:
6−[(2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシル)オキシ]−1H−インドール−1−カルボン酸,1,1−ジメチルエチルエステル
6−ヒドロキシ−1H−インドール−1−カルボン酸tert−ブチルエステル2.66g(11.41mM)をTHF50mlに溶解させた溶液と、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート4.16g(20.6mM)と、トリフェニルホスフィン5.39g(20.6mM)とを、2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−D−キシロピラノース4.34g(14.84mM)をTHF150mlに溶解させた溶液に添加する。反応混合液を50℃で4時間攪拌した後、減圧下で濃縮する。蒸発残留物を酢酸エチルに溶解させ、有機相を1Nの水酸化ナトリウム溶液で洗滌した後、塩化アンモニウムの濃水溶液で洗滌する。その後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。メチルシクロヘキサン/酢酸エチル混液(勾配:9/1から7/3;v/vへ)を溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィーにより蒸発残留物を精製する。その後、得られた画分をアセトニトリル/水混液(6/4;v/v)を溶離液としてC18グラフトシリカクロマトグラフィーにより精製する。所望の生成物を白色固体として、3%の収率で得る。
Mp=147〜158℃
[α]28=14°(c=0.11;DMSO)
【0119】
実施例57:
1H−インドール−6−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
アニソール0.092g(0.085mM)とトリフルオロ酢酸0.5mlとを、実施例56によって得られた化合物0.043g(0.085mM)をジクロロメタン4.5mlに溶解させた溶液に添加する。反応混合液を還流させながら3時間攪拌し、次に、冷却後減圧下で濃縮する。準分取HPLC(カラム:ウォーターズ、Atlantis、19X100mm。溶離液:アセトニトリル/HO/0.1%TFA勾配)により蒸発残留物を精製する。所望の生成物を灰白色固体として、16%の収率で得る。
Mp=172〜175℃
[α]23=−10°(c=0.16 DMSO)
【0120】
実施例58:
3−メチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
調製8によって得られた生成物を出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、17%の収率で得る。
Mp=170〜180℃
[α]22=−7°(c=0.33 DMSO)
【0121】
実施例59:
3−メチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例58によって得られた化合物を出発物質として、実施例41と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、53%の収率で得る。
Mp=148〜161℃
[α]23=−79°(c=0.13 DMSO)
【0122】
実施例60:
1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−オルを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を白色固体として、60%の収率で得る。
Mp=143℃
[α]24=3°(c=0.2 DMSO)
【0123】
実施例61:
1−メチル−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−6−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例60によって得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を水から結晶化させた後、白色固体として、51%の収率で得る。
Mp=211℃
[α]25=−86°(c=0.24;DMSO)
【0124】
実施例62:
1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−4−イル2,3,4−トリ−O−アセチル−5−チオ−β−D−キシロピラノシド
1,2−ジメチル−4−ヒドロキシ−1H−ベンズイミダゾールを出発物質として、実施例7と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物をベージュ色粉末として、4%の収率で得る。
Mp=192℃
[α]24=−11°(c=0.11 DMSO)
【0125】
実施例63:
1,2−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−4−イル5−チオ−β−D−キシロピラノシド
実施例62によって得られた生成物を出発物質として、実施例2と同様の方法でプロセスを行うことにより、所望の生成物を褐色粉末として、20%の収率で得る。
Mp=153℃
[α]26=−37°(c=0.2;DMSO)
【0126】
上述の化学式Iの化合物の構造を繰り返し下記表に示す。
【化18】

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0127】
本発明に係る化合物の抗血栓活性を、静脈血栓症を発現させる試験に基づき、ラットにおいて、インビボで検討した。
【0128】
静脈血栓症は、文献:Thromb.Haemost.1992,67(1),176−179に記載されるプロトコルに従って誘発させた。経口投与による活性は、以下の操作プロトコルに従って調査した。
【0129】
それぞれ8〜10個体から成る群に分けた雄のWistarラット(非絶食、体重:250〜280g)に対して実験を行う。試験品は、メチルセルロース(水中0.5%)溶液を溶液又は懸濁液として経口的に(チューブにより)投与する。溶液を10ml/kgの量で経口的に吸収させるように、化合物の濃度を算出する。上記試験品の投与後、時間T(2時間〜8時間)で血栓症を誘発させ、形成された血栓を取り除き、秤量する。上記血栓症を誘発させるために、WESSLERにより述べられた技術(J.Applied Physiol.1959,943−946)に従って、Biogenic社(モンペリエ)により供給された活性化因子X(Xa)の溶液(濃度7.5nKat/kg)を過凝固剤として用いることで、過凝固と共に静脈うっ滞が生じる。静脈うっ滞は、過凝固剤の注射後、ちょうど10秒で生じる。試験される化合物の活性を、様々な用量を投与して確認した。血栓症は、化合物を投与後、2時間〜8時間で誘発された。例として、本発明に係る化合物の幾つかについて上記の試験の結果を下記表にて報告する(活性は、本発明に係る化合物の非存在下で形成された血栓の重量と比較して、上記化合物の存在下で確認された血栓形成阻害率(%)によって表す。
【0130】
【表2】

これらの結果は、本発明に係る化合物が抗静脈血栓症活性を有することを示す。
【0131】
従って、本発明の対象は、医薬品として使用するための本発明に係る化学式Iの化合物、及びその薬学的に許容される、酸との塩、溶媒和物、及び水和物である。化学式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物は、特に静脈の循環状態の治療又は予防に使用するための、とりわけ、静脈中濃度の変化に敏感に反応する特定の血液パラメータを調整するための抗血栓剤の製造において使用してもよい。
【0132】
従って、本発明の対象は、化学式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは水和物を含有する薬学的組成物でもある。これらの薬学的組成物は通常、好適な賦形剤を含有する。上記賦形剤は、製剤形態、及び所望の投与経路(特に経口投与、又は注射による投与)に応じて選択される。
【0133】
これらの薬学的組成物は、当業者に公知の従来法に従って調製される。例えば、本発明に係る化合物を、生理学的に許容される賦形剤と共に処方することで、直接使用される注射剤型、用時調製される注射剤型、又は例えばゲルカプセル若しくは錠剤等の経口投与用の固形剤型を得てもよい。
【0134】
例として、注射剤型は、注射のため水を用時添加した際に等張液を得るのに必要かつ充分な量の可溶性賦形剤と、本発明に係る化合物とを含む濾過・滅菌済み溶液を凍結乾燥させることにより調製するのが好ましい場合がある。得られた溶液は、単回皮下若しくは筋肉内注射としてか、又は緩やかな灌流形態としてのいずれかで投与してもよい。経口投与用形態は、本発明の化合物を含有するゲルカプセル型であるのが好ましいだろう。この場合、本発明の化合物は、最終的に粉砕され、又はさらに好適には微粉砕されて、乳糖、α化(pregelatinized)澱粉、又はステアリン酸マグネシウム等の当業者に公知の賦形剤と混合される。
【0135】
所望の治療又は予防効果が得られるように、各投与単位は、本発明に係る少なくとも1種の化合物を10〜500mg含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記化学式:
【化1】

(式中、
・前記ペンタピラノシル基は、無置換又は置換5−チオ−β−D−キシロピラノシル基を表し、
・R’、R’’及びR’’’は、それぞれ独立して水素原子若しくはC〜Cアシル基を表すか、又は、それらのうちの隣接した2つが1−メチルエチリデン橋かけ構造を形成し、
・X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、
・Y及びYはそれぞれ、互いに独立して、炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、
・R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す)
の化合物;
b)前記化学式Iの化合物の付加塩;
c)前記化学式Iの化合物の活性代謝物
から選択される
ことを特徴とする、新規なチオキシロース化合物。
【請求項2】
前記化学式Iにおいて、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;フェニル環若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表すことを特徴とする、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式Iにおいて、X及びYは窒素原子を表し、かつX及びYは炭素原子を表すことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化学式IにおけるR’、R’’及びR’’’は、水素原子を表すことを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化学式Iにおいて、R’、R’’及びR’’’は、COCH基を表すことを特徴とする、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
a)下記化学式:
【化2】

〔式中、
・X及びXはそれぞれ炭素又は窒素原子を表し、
・Y及びYは炭素、窒素、硫黄又は酸素原子を表すが、但し、Yが酸素又は硫黄原子の場合にはYは炭素又は窒素原子を表し、
・R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子;−COOR基(式中、Rは水素原子若しくはC〜Cアルキル基を表す);フェニル環、ハロゲン原子若しくは−COOR基で置換されていてもよいC〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;C〜Cアシル基;ベンゾイル基;又は、フェニル環を表す〕
の、フェノール性ヒドロキシル基を含む芳香族系を
下記化学式:
【化3】

(式中、Halはハロゲン、好ましくは臭素を表し、かつR’、R’’及びR’’’は、C〜Cアシル基、好ましくはアセチル基を表す)
の5−チオキシロピラノース誘導体と、
アセトニトリル又はトルエン等の非プロトン性溶媒中で、無水媒体中の銀塩、特に酸化銀若しくは銀イミダゾレートの存在下、又は無水媒体中の亜鉛塩(特にその酸化物、若しくはその塩化物)の存在下、25〜110℃の温度で1〜10時間反応させて、
下記化学式:
【化4】

(式中、X、X、Y、Y、R’、R’’、R’’’、R、R、R、R及びRは、前記出発化合物と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
b)必要であれば、前記で得られた化学式Iの化合物をメタノール中のアンモニア溶液と反応させて、前記チオキシロピラノシル残基の脱アシル化を行うことで前記アシル基を水素原子に置換し、下記化学式:
【化5】

(式中、X、X、Y、Y、R、R、R、R及びRは、前記と同じ意味である)
の化合物を得る
ステップと、
c)必要であれば、前記で得られた化合物I又はIaのうちの1つを酸と、当業者に公知の方法に従って反応させて、対応する付加塩を得る
ステップと、
d)必要であれば、前記で得られた化学式Iaの化合物を2−メトキシプロペンと、無水溶媒中及び酸性媒体中で反応させて、化学式I(式中、前記置換基R’、R’’及びR’’’のうちの隣接した2つが1−メチルエチリデン橋かけ構造を表し、かつ残りの3つ目が水素原子を表す)の化合物を得る
ステップと
を含むことを特徴とする、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の生成プロセス。
【請求項7】
薬理活性物質として使用するための、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
血栓症、特に静脈血栓症の予防又は治療において使用される医薬品の製剤のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−542784(P2009−542784A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518938(P2009−518938)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051647
【国際公開番号】WO2008/007027
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(596160894)ラボラトワール フルニエ エス・アー (16)
【Fターム(参考)】