新規の両親媒性ブロック共重合体、その製造方法、それを含む高分子電解質及びそれを利用した高分子電解質膜
【課題】100℃以上の高温でも水素イオン伝導度が増加し、高い熱的/化学的寸法安定性を見せる両親媒性ブロック共重合体と、その製造方法及びこれを利用した燃料電池用膜を提供する。
【解決手段】前記ブロック共重合体は疎水部としてPSEKと親水部としてPSSANを含み、PSEKから、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階と、前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階とにより製造されることを特徴とする。
【解決手段】前記ブロック共重合体は疎水部としてPSEKと親水部としてPSSANを含み、PSEKから、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階と、前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階とにより製造されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両親媒性ブロック共重合体、その製造方法、及びそれを利用した電解質膜に係り、より詳しくは、100℃以上の高温でも水素イオン伝導度が増加して高い熱化学的寸法安定性を示す燃料電池用の新規の両親媒性ブロック共重合体、その製造方法及びこれを利用した電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質燃料電池用電解質膜として、一般的にフッ素系電解質膜を使用する。フッ素系電解質膜は化学的、機械的安定性が高く、高いイオン伝導度を示すが、製造過程が複雑で製造単価が高く、80℃以上で急激な性能低下を表すという短所がる。このようなフッ素系電解質膜の問題点を解決するために、PAES、sPEEK、sPPBP、PIなど炭化水素系電解質膜が報告されているが、イオン伝導度を付与するために多くの親水性グループを導入しなければならず、これによって膜の高い含湿特性で寸法安定性に問題を引き起こす。これは膜電極接合体(MEA)の製造工程及び長期安定性に悪い影響を及ぼす。前記問題点を解決するために、ブロック共重合体高分子電解質膜が提案されている。ブロック共重合体は、小さい含湿率でも高いイオン伝導度及び安定した寸法特性を示す。
【0003】
ナフィオン(登録商標、デュポン社)は最も広く利用されるプロトン交換膜(PEM)により高い水素イオン伝導度と優れた化学的安定性を示す。このような高い水素イオン伝導度は、親水基と疎水基の相分離によるものであるが、高い製造費と80℃以上の高温で急激な性能低下を見せる限界点を有している。しかし、100℃以上の高温で高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)を作動させる場合は、(i)不純物に対する白金(Pt)触媒の抵抗性の向上、(ii)酸化電極と還元電極での反応速度の向上、(iii)電池内部の水管理が容易であること、(iv)冷却システムの簡素化が可能、など多くの長所を有するため、高温用高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の開発が要請されている。
【0004】
高温条件で駆動可能な電解質膜を開発するために、熱的、機械的安定性が優れたエンプラ(engineering plastic)を利用した スルホン化ポリ(エーテルケトン)、スルホン化ポリ(アリレンエーテルスルホン)などについて多くの研究が行われている。しかし、このようなエンプラを利用する場合、イオン通路を形成するために必要な親水と疎水成分間の相分離が満足に行われないという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−156397公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、本発明は、水素イオン伝導度が高く、優れた機械的物性を示す両親媒性ブロック共重合体と、前記両親媒性ブロック共重合体の製造方法、及び、前記両親媒性ブロック共重合体を利用した高分子電解質膜の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、疎水性を有する単独高分子と親水性を有する高分子を各々1以上含むブロック共重合体であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含むことを特徴とする。
[数1]
[数2]
数2において、p、m及びrは相互独立する整数であり、m>rである。
【0008】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が50乃至300質量部含まれることを特徴とする。
【0009】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が250乃至300質量含まれることを特徴とする。
【0010】
前記ブロック共重合体においてスルホン化度は1乃至10%であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、PSEK[poly(arylene sulfone ether ketone)]から、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSAN[PSEK−b−poly(styrene−co−acrylonitrile)]ブロック共重合体を合成する段階と、前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階は、前記PSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミン基に置換する段階と、ブロキシカルボニル基保護グループの除去段階と、末端基に臭素を導入する段階と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、前記攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、前記塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された共重合体を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項9に記載された高分子電解質からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の両親媒性ブロック共重合体は、熱的、機械的安定性が優れた高分子であり、特に、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)用電解質膜として使用される場合、高温でも高い水素イオン伝導度を保ちつつ、熱的、化学的、機械的安定性が優れ、高温駆動条件を要求する高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1で合成したPSEKマクロ開始剤の化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例1のPSEKマクロ開始剤合成段階のFT−IRスペクトルである。
【図3】実施例2のPSEK−b−PSANの化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図4】実施例2でのブロック共重合体の分子量とPDI値である。
【図5】実施例3でのPSEK−b−PSANの化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図6】実施例4での電解質膜の熱質量分析結果である。
【図7】実施例4での電解質膜に対するフェントン試薬(Fenton’s reagent)下での質量変化に対するグラフである。
【図8】(a)は、P30S7のTEMイメージである。 (b)は、P45S9のTEMイメージである。 (c)は、P60S9のTEMイメージである。
【図9】(a)は、P60S2のTEMイメージである。 (b)は、P60S6のTEMイメージである。 (c)は、P60S9のTEMイメージである。
【図10】親水性鎖(PSAN)の長さによるイオン伝導度の変化(100%RH)である。
【図11】スルホン化度によるイオン伝導度の変化(100%RH)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は疎水性を有する疎水部と親水性を有する親水部を各々1以上含むブロック共重合体(PSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体)であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含む。
[数1]
[数2]
但し、数2において、m、p、rは相互独立した整数であり、m>rである。
【0020】
PSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体は、PSEKから、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階と、PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階とを含む方法にて製造される。
具体的には、PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階はPSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)保護グループの除去段階と、末端基に臭素を導入する段階を含む。
【0021】
更に、PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階を含む。
また、PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階を含む。
【0022】
本発明のPSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体において、疎水部100質量部に対して親水部は50乃至300質量部を含まれることが好ましい。親水部が50質量部未満の場合、親水部鎖の長さが短いため、しっかり連結された水素イオン通路を形成できないという点で好ましくない。300質量部を超過する場合、非常に長い親水部鎖により相変移が起きるため、電解質膜の機械的性質の点で好ましくない。更に、親水部を250乃至300質量部含むことが水素イオン伝導度の向上面で好ましい。これは多様な形態のうちラメラ構造の場合、最も高い水素イオン伝導度を発揮できるためである。
【0023】
本発明のPSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体において、スルホン化度は1乃至10%である。
更に、本発明は前記ブロック共重合体を主成分として燃料電池用電解質膜として利用され得る。前記ブロック共重合体は親水性と疎水性基を全て備えており、高温でも高い水素イオン伝導度を有しつつ、熱的、機械的安定性が優れているため、電解質膜の主成分として最適である。ブロック共重合体をジメチルホルムアミドに溶かす段階、溶液をガラス板上に鋳造して乾燥する段階、溶媒を通したアニーリング処理後に乾燥する段階を経て電解質膜が製造される。
【0024】
以下、本発明の製造例について更に詳しく説明する。
[製造例1]ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)マクロ開始剤の合成
[反応式1]
【0025】
反応式1は全体的な合成方法を示したものである。即ち、総4種の段階、ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)の合成、末端基がブロキシカルボニル基(Boc)にて保護されたアミン基への置換、ブロキシカルボニル基(Boc)保護グループの除去、末端基への臭素導入、を経て行われ、その詳しい反応過程は次の通りである。
【0026】
まず、熱的、機械的安定性が優れたロッド形態のポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)を合成するために縮合重合を利用した。4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)(5.085g、0.02mol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)(4.328g、0.02mol)、K2CO3(2.9024g、0.021mol)を3口丸底フラスコに入れ、アルゴン(Ar)環境下でスルホランを入れて均一な溶液を作った。その後、190℃で3時間、220℃で3時間反応させた。両末端を完璧にヒドロキシル基に作るために過量のジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)をスルホランに溶かして反応フラスコに注入させた後、2時間程度更に反応させた。合成された高分子溶液はメタノールに沈殿させた後、ろ過紙に通して得た。収得物は過量の水とメタノールで十分に洗浄した後、90℃の真空オーブンで2日間乾燥させた(7.76g、収得率=82.5%)。
【0027】
末端にアミン基を導入するために、2−(boc−アミノ)臭化エチルを利用した置換反応をさせた。まず、漏斗を設置した3口丸底フラスコにPSEK(6.00g、2.40×10−4mol)、K2CO3(0.0398g、2.88×10−4mol)を入れ、アルゴン(Ar)環境下で無水ジメチルホルムアミド90mLを入れた後、90℃で1時間攪拌した。2−(boc−アミノ)臭化エチル(0.0430g、1.92×10−4mol)は西洋ナシ形態の2口フラスコに入れ、10mLの無水ジメチルホルムアミドに溶かした。この溶液を滴下漏斗に入れて1時間かけて滴下した。反応は2日間進行し、最終的にメタノールに沈殿して改質された高分子を得た(5.66g、収得率=72.9g)。
【0028】
ブロキシカルボニル基(Boc)にて保護されたアミンでブロキシカルボニル基を除去させるために改質されたPSEK(5.66g、2.26×10−4mol)を2口フラスコに入れ、アルゴン(Ar)環境下で精製された塩化メチレン90mLを入れた。次に、トリフルオロ酢酸(3.36mL、4.53×10−2mol)を入れた後、40℃で3時間攪拌した。その後、反応フラスコを氷浴(ice bath)に浸した状態で減圧して全ての溶媒と液体状態の反応物を除去させた後、残った生成物は塩化メチレンに再び溶かしてメタノールに沈殿、濾過して得た(4.13g、収得率=73.0%)。
【0029】
最終的に原子移動ラジカル重合(ATRP)のための開始剤に作るために、末端にハロゲン族に属する臭素を導入した。まず、改質されたPSEK(4.13g、1.65×10−4mol)を3口フラスコに入れた後、アルゴン環境下でジメチルホルムアミド(DMF)120mLを入れた。十分に攪拌して均一な溶液状態に至ると、トリエチルアミン(0.920mL、6.61×10−3mol)をゆっくりと入れた。
50℃で2日間反応させた後、メタノールの沈殿と濾過を通して収得物を得た(4.05g、収得率=98.0%)。
【0030】
[製造例2]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の合成
[反応式2]
反応式2は全体的な合成方法を示したものである。電子移動により再生された活性体原子移動ラジカル重合(ARGET ATRP)を利用して合成したPSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させて、PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)(PSEK−b−PSAN)ブロック共重合体を合成した。まず、シュレンク(schlenk)形態のフラスコにCuCl2(0.549mg、4.08×10−6mol)を入れ、真空とアルゴンの充填を2回反復した。次に、精製されたスチレン(15.6mL、1.36×10−1mol)、アクリロニトリル(5.82mL、8.84×10−2mol)、Me6TREN(33.9μL、1.22×10−4mol)を入れ十分に攪拌した後、冷凍−ポンプ−解凍過程を2回実施して反応フラスコ内の溶存酸素を除去した。
【0031】
別の西洋ナシ形態のフラスコにマクロ開始剤で改質されたPSEK(0.400g、1.6×10−2mol)を入れ、DMF15mLを入れてしっかり溶かした後、冷凍−ポンプ−解凍過程を3回実施した。マクロ開始剤が溶かした溶液を反応フラスコに入れて80℃で6時間、12時間、24時間反応させた。反応の終結は溶液を空気中に露出させて行い、その後、塩化メチレンに希釈させた後、Al2O3で満たされたカラムを通過させて残っている銅複合体を除去した。最終的に、メタノールに沈殿させた後、ろ過及び乾燥させてPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)を得た。PSANの重合程度は反応時間を1時間、2時間、3時間と変えながら調節した。
【0032】
重合時間が1時間である場合、総分子量が30kg/mol、2時間の場合、45kg/mol、3時間の場合、60kg/molを得ることができ、相対的に狭いPDIを有するブロック共重合体を得ることができた。総分子量30kg/molを試料P30、45kg/molを試料P45、60kg/molを試料P60と命名した。
【0033】
[製造例3]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)に硫酸基の導入
[反応式3]
反応式3は全体的な合成方法を示したものである。
最終的にブロック共重合体に親水性基を導入するために、スルホン化反応を進めた。まず、スルホン化のための反応物、1M硫酸アセチルを作るために、2口丸底フラスコに精製された塩化メチレン(5mL)、無水酢酸(0.95mL、1.00×10−2mol)を入れた。氷浴下で硫酸(0.35mL、6.57×10−3mol)をゆっくりと入れた。
【0034】
スルホン化させるブロック共重合体を2口フラスコに入れた後、精製された20mL塩化メチレンを溶かした。反応温度を55℃に維持した状態で1Mの硫酸アセチルを各ブロックのスチレン個数の0.6乃至1.2倍を入れた後、4時間還流させた。反応を終結させるためにメタノールを入れた後、減圧させて全ての溶媒を除去した。得られた高分子はpHが中性になるまで十分な量の水とメタノールで洗浄した。
【0035】
硫酸アセチルの量によって異なるスルホン化度のブロック共重合体を得て、スルホン化度が2%内外である試料はS2、3%内外である試料はS3、4%内外である試料はS4、6%内外である試料はS6、7%内外である試料はS7、9%内外である試料はS9と命名した。
【0036】
[製造例4]電解質膜の製造
合成された高分子を10wt%の濃度を有するようにジメチルホルムアミドに溶かした後、80℃の温度を維持させた。溶けなかった不純物を除去するために、0.45μmPTFEシリンジフィルターでろ過した後、ろ液をガラス板上にドクターブレード法を通して鋳造した。鋳造された電解質膜は窒素環境下の40℃のオーブンで2日間乾燥させた後、残っている溶媒を完全に除去させるために、50℃の真空オーブンで2日間更に乾燥させた。
鋳造された電解質膜をジメチルホルムアミド(DMF)蒸気下で溶媒を通したアニーリング処理をした。ペトリ皿に0.5mLのDMFを入れた後、その上にメンブレインを載せておいたペトリ皿を載せた。全体をよく覆った後、50℃状態のオーブンに入れておいた。総2日間DMF蒸気下で処理した後、乾燥させた。
【0037】
[実験例1]合成された高分子の構造分析及び分子量の測定
合成された高分子の構造を分析するために、1H NMR(ブルカー社、Avance300)、FT−IR(JASCO、FT/IR−660plus)を利用した。更に、スルホン化度を見るために、元素分析(CE Instruments、EA1110)をした。分子量及び分子量の分布分析はゲル浸透クロマトグラフ(Waters、GPC250)を使用し、GPC測定はテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として使用し、矯正のために単分散ポリスチレン(PS)を標準物質として使用した。
【0038】
[実験例2]水分吸収率及びイオン交換容量(IEC)の測定
電解質膜の含水量を測定するために、まず30℃の真空オーブンで乾燥された電解質膜の重量(Wdry)を測定する。次に、吸湿状態の電解質膜の重量を測定するために、まず乾燥された電解質膜を常温状態の蒸留水に約1日漬けて、平衡状態を維持させた後、表面の水を除去してその重量(Wwet)を測定する。水分吸収率(Water uptake)は数3により計算した。
[数3]
【0039】
電解質膜のイオン交換容量(IEC)を測定するために、2.0M NaCl溶液に約2日間漬けておいた後、その溶液を0.025M NaOH溶液にて滴定した。指示薬はフェノールフタレインを使用した。滴定後、電解質膜は蒸留水で洗浄し、30℃の真空オーブンで乾かしてその重量を測定(Wdry)した。イオン交換容量(IEC)値は数4により計算した。
[数4]
ここで、VNaOH=滴定時に使用したNaOH溶液の容積、そしてMNaOH=NaOH溶液のモル濃度である。
【0040】
[実験例3]電解質膜の水素イオン伝導度の測定
電解質膜の水素イオン伝導度はポテンショスタット(Biologic、VMP3)を使用してインピーダンス分析を通して測定した。伝導度を測定するために、まず電解質膜をBekktech誘導率セルに装着させた後、温度と相対湿度は燃料電池装置(Wonatech社、Smart fuel cell test station)を利用してセル内の環境を調節した。水素イオン伝導度は数5により計算した。
[数5]
ここで、L=電極間の距離、R=メンブレインの抵抗、そしてw=メンブレインの幅、d=メンブレインの厚さである。
【0041】
[実験例4]電解質膜の寸法安定性の測定
電解質膜の寸法安定性は、まず乾燥された状態のメンブレインの厚さと長さを測定した後、数6により常温の蒸留水に約1日漬けた後に増加した厚さと長さの比で表した。
[数6]
、
ここで、l=湿った状態のメンブレインの長さ、l0=乾燥状態の長さ、t=湿った状態のメンブレインの厚さ、t0=乾燥状態のメインブレインの厚さである。
【0042】
[評価1]ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)マクロ開始剤の評価
製造例1で合成したPSEKマクロ開始剤の化学構造及び1H NMRスペクトルを図1に表した。更に正確な分析のために、各段階のFT−IRを図2に表示した。まず、1H NMR分析からPSEKが原子移動ラジカル重合(ATRP)が可能なマクロ開始剤で完璧に改質されたことを確認した。更に、この結果はFT−IRを通しても確認することができるが、まず改質されなかったPSEKで鮮明な−OH伸縮ピーク(3500cm−1)が表れることが分かる。しかし、ブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミンで末端を改質させた場合は、−OHピークが完全になくなることが確認できる。ブロキシカルボニル基(Boc)の除去を行った後は、一次アミンで見られるダブルピーク(3300cm−1、3500cm−1)が表れ、最終的に臭化させた結果、アミドのC=Oで見られる伸縮ピーク(1601cm−1)が表れることを確認した。
【0043】
[評価2]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の評価
製造例2で合成されたPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)高分子の化学構造及び1H NMRスペクトルを分析した結果、図3に示す通りスチレンとアクリロニトリルがしっかり共重合されたことが確認できた。
合成されたブロック共重合体の分子量及び分子量の分布をGPCにて確認した。合成したブロック共重合体のGPCデータを図4に示し、PDI値を表1に表した。
[表1]
【0044】
[評価3]硫酸基が導入されたPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の評価
製造例3で硫酸基が導入されたPSEK−b−ポリ(スルホン化スチレン−co−アクリロニトリル)の化学構造とそのFT−IRスペクトルを図5に表した。 1398cm−1で表されるスルホン酸S=Oのピークが1004cm−1で表されるフェニル環のパラ位置に置換が起きた場合に表れる吸収ピークを通してスルホン化が成功裡に起きたことを確認した。
【0045】
[評価4]電解質膜の評価
製造例4で合成された電解質膜のスルホン化度、水分吸収率と理論的、実験的イオン交換容量(IEC)値を表2に整理した。全体的にイオン交換容量(IEC)の値が増加するに従って、水分吸収率が増加することが確認できる。更に、理論的なイオン交換容量(IEC)と滴定を通して測定したイオン交換容量(IEC)を比較した結果、測定値が低いことが確認できるが、これは高分子マトリクス内部に完全に入り込んだ硫酸基が存在するためと考えられる。各試料の寸法安定性を表2に表した。ナフィオン117の場合、Δl=0.117、Δt=0.01であるのに比べ、新しく合成された電解質膜は非常に高い安定性を示すことが分かる。
【0046】
[表2]
高温での熱的安定性を測定するために、熱質量分析(TGA)を施行した。図6にはP60試料の温度による質量変化を示した。
4段階の質量変化を観察できるが、30℃から120℃の間で表れる質量変化は、内部に含まれている残余水による値である。次に、170℃乃至290℃範囲内でスルホン酸の劣化による質量変化が表れ、最終的に350℃と、450℃、450℃以降の温度で表れる質量変化の場合、PSANとPSEKの直接的な分解により表れた結果である。
この結果を基にして発明者が合成した電解質膜の場合、異なる高温用高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)メンブレインに比肩する高い熱的安定性を有することが分かる。以上の結果から、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の理想的な作動温度範囲とされている130℃以上でも応用できることが確認できる。
【0047】
次に、化学的安定性を測定するために、80℃のフェントン試薬下での質量と膜の形態変化を観察した。時間経過に伴う膜の質量変化を図7に表した。30時間以内でも膜の形態を十分維持しており、その質量変化の幅も大きくなく、既存のスチレンからなる高分子と比較すると、非常に優れた化学的安定性を有することが分かる。
また、電解質膜の断面イメージをTEMにより調べた。ミクロ相分離をもう少し向上させるために、溶媒を通したアニーリング法を利用した。TEMイメージに示した黒い部分は親水部分、白い部分は疎水部分に該当する。これは親水部分に付着しているスルホン酸とアクリロニトリルなどの過量の電子グループにより明暗差が生じたものと予想される。
【0048】
図8で親水部分の鎖の長さに伴う構造の変化を調べた。鎖の長さによって多様な構造的変化が表れることが確認できた。最も短い親水鎖を有するP30S7試料の場合、ヘキサゴナル構造(HEX)が発現され、P45S9の場合、ヘキサゴナル状に穴が開いたラメラ構造(HPL)、最も長い親水鎖を有するP60S9試料の場合、ラメラ構造が1μ×1μの非常に広い範囲で整列して表れることを確認した。
【0049】
更に、図9でスルホン化度に伴う構造の変化をスルホン化されたP60試料を利用して調べた。図9に示す通り、ラメラ間隔はスルホン化程度が増加するに従って更に広くなることを観察することができる(56.7nm、62.9nm、65.7nm)。これは巨大な(bulky)スルホン酸グループが導入されたためであると予想される。
また、100%RH状態で温度に伴う水素イオン伝導度を測定した。全ての試料が100℃以上の温度で伝導度が減少せず、継続的に増加する傾向を見せた。これは高分子の高い熱的安定性による結果と予想される。
【0050】
親水鎖の長さに伴って表れる伝導度の変化を図10に示した。全温度範囲内でラメラ構造が表れたP60S9の試料が最も高い水素イオン伝導度を有していた。次に、HPL構造を見せたP45S9、最後にHEX構造が表れたP30S7試料の順であった。
【0051】
スルホン化度に伴う水素イオン伝導度の変化を図11に示した。水素イオン伝導度はスルホン化程度と正比例する関係を有するが、これは水素イオン伝達体がスルホン化程度がひどくなるに従って増加するためである。図11に示す通り、最も低いスルホン化度を有するP60S2(0.08mmol/g)試料が最も低いイオン伝導度を示した。このグラフを通して、水素イオンが異なる自由空間に移動できる活性化エネルギーを計算できるが、この試料の場合、37.4kJ/molであり、ナフィオンに比べては相対的に高い値を有していた。しかし、はるかに高いイオン交換容量(IEC)値を有する(1.2mmol/g)ランダム共重合体であるスルホン化PEEKの場合、活性化エネルギーが我々の試料と類似する値を有することと比較してみると、十分連結された親水チャンネルが形成されることが確認できる。また、スルホン化度に関係なく温度が増加するに従ってイオン伝導度も増加する傾向が継続的に見られた。
【技術分野】
【0001】
本発明は両親媒性ブロック共重合体、その製造方法、及びそれを利用した電解質膜に係り、より詳しくは、100℃以上の高温でも水素イオン伝導度が増加して高い熱化学的寸法安定性を示す燃料電池用の新規の両親媒性ブロック共重合体、その製造方法及びこれを利用した電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質燃料電池用電解質膜として、一般的にフッ素系電解質膜を使用する。フッ素系電解質膜は化学的、機械的安定性が高く、高いイオン伝導度を示すが、製造過程が複雑で製造単価が高く、80℃以上で急激な性能低下を表すという短所がる。このようなフッ素系電解質膜の問題点を解決するために、PAES、sPEEK、sPPBP、PIなど炭化水素系電解質膜が報告されているが、イオン伝導度を付与するために多くの親水性グループを導入しなければならず、これによって膜の高い含湿特性で寸法安定性に問題を引き起こす。これは膜電極接合体(MEA)の製造工程及び長期安定性に悪い影響を及ぼす。前記問題点を解決するために、ブロック共重合体高分子電解質膜が提案されている。ブロック共重合体は、小さい含湿率でも高いイオン伝導度及び安定した寸法特性を示す。
【0003】
ナフィオン(登録商標、デュポン社)は最も広く利用されるプロトン交換膜(PEM)により高い水素イオン伝導度と優れた化学的安定性を示す。このような高い水素イオン伝導度は、親水基と疎水基の相分離によるものであるが、高い製造費と80℃以上の高温で急激な性能低下を見せる限界点を有している。しかし、100℃以上の高温で高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)を作動させる場合は、(i)不純物に対する白金(Pt)触媒の抵抗性の向上、(ii)酸化電極と還元電極での反応速度の向上、(iii)電池内部の水管理が容易であること、(iv)冷却システムの簡素化が可能、など多くの長所を有するため、高温用高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の開発が要請されている。
【0004】
高温条件で駆動可能な電解質膜を開発するために、熱的、機械的安定性が優れたエンプラ(engineering plastic)を利用した スルホン化ポリ(エーテルケトン)、スルホン化ポリ(アリレンエーテルスルホン)などについて多くの研究が行われている。しかし、このようなエンプラを利用する場合、イオン通路を形成するために必要な親水と疎水成分間の相分離が満足に行われないという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−156397公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであって、本発明は、水素イオン伝導度が高く、優れた機械的物性を示す両親媒性ブロック共重合体と、前記両親媒性ブロック共重合体の製造方法、及び、前記両親媒性ブロック共重合体を利用した高分子電解質膜の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、疎水性を有する単独高分子と親水性を有する高分子を各々1以上含むブロック共重合体であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含むことを特徴とする。
[数1]
[数2]
数2において、p、m及びrは相互独立する整数であり、m>rである。
【0008】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が50乃至300質量部含まれることを特徴とする。
【0009】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が250乃至300質量含まれることを特徴とする。
【0010】
前記ブロック共重合体においてスルホン化度は1乃至10%であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、PSEK[poly(arylene sulfone ether ketone)]から、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSAN[PSEK−b−poly(styrene−co−acrylonitrile)]ブロック共重合体を合成する段階と、前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階は、前記PSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミン基に置換する段階と、ブロキシカルボニル基保護グループの除去段階と、末端基に臭素を導入する段階と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、前記攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階と、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、前記塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載された共重合体を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項9に記載された高分子電解質からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の両親媒性ブロック共重合体は、熱的、機械的安定性が優れた高分子であり、特に、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)用電解質膜として使用される場合、高温でも高い水素イオン伝導度を保ちつつ、熱的、化学的、機械的安定性が優れ、高温駆動条件を要求する高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1で合成したPSEKマクロ開始剤の化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例1のPSEKマクロ開始剤合成段階のFT−IRスペクトルである。
【図3】実施例2のPSEK−b−PSANの化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図4】実施例2でのブロック共重合体の分子量とPDI値である。
【図5】実施例3でのPSEK−b−PSANの化学構造及び1H NMRスペクトルである。
【図6】実施例4での電解質膜の熱質量分析結果である。
【図7】実施例4での電解質膜に対するフェントン試薬(Fenton’s reagent)下での質量変化に対するグラフである。
【図8】(a)は、P30S7のTEMイメージである。 (b)は、P45S9のTEMイメージである。 (c)は、P60S9のTEMイメージである。
【図9】(a)は、P60S2のTEMイメージである。 (b)は、P60S6のTEMイメージである。 (c)は、P60S9のTEMイメージである。
【図10】親水性鎖(PSAN)の長さによるイオン伝導度の変化(100%RH)である。
【図11】スルホン化度によるイオン伝導度の変化(100%RH)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は疎水性を有する疎水部と親水性を有する親水部を各々1以上含むブロック共重合体(PSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体)であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含む。
[数1]
[数2]
但し、数2において、m、p、rは相互独立した整数であり、m>rである。
【0020】
PSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体は、PSEKから、これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階と、PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階とを含む方法にて製造される。
具体的には、PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階はPSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)保護グループの除去段階と、末端基に臭素を導入する段階を含む。
【0021】
更に、PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階を含む。
また、PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階を含む。
【0022】
本発明のPSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体において、疎水部100質量部に対して親水部は50乃至300質量部を含まれることが好ましい。親水部が50質量部未満の場合、親水部鎖の長さが短いため、しっかり連結された水素イオン通路を形成できないという点で好ましくない。300質量部を超過する場合、非常に長い親水部鎖により相変移が起きるため、電解質膜の機械的性質の点で好ましくない。更に、親水部を250乃至300質量部含むことが水素イオン伝導度の向上面で好ましい。これは多様な形態のうちラメラ構造の場合、最も高い水素イオン伝導度を発揮できるためである。
【0023】
本発明のPSEK−b−PSSAN系ブロック共重合体において、スルホン化度は1乃至10%である。
更に、本発明は前記ブロック共重合体を主成分として燃料電池用電解質膜として利用され得る。前記ブロック共重合体は親水性と疎水性基を全て備えており、高温でも高い水素イオン伝導度を有しつつ、熱的、機械的安定性が優れているため、電解質膜の主成分として最適である。ブロック共重合体をジメチルホルムアミドに溶かす段階、溶液をガラス板上に鋳造して乾燥する段階、溶媒を通したアニーリング処理後に乾燥する段階を経て電解質膜が製造される。
【0024】
以下、本発明の製造例について更に詳しく説明する。
[製造例1]ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)マクロ開始剤の合成
[反応式1]
【0025】
反応式1は全体的な合成方法を示したものである。即ち、総4種の段階、ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)の合成、末端基がブロキシカルボニル基(Boc)にて保護されたアミン基への置換、ブロキシカルボニル基(Boc)保護グループの除去、末端基への臭素導入、を経て行われ、その詳しい反応過程は次の通りである。
【0026】
まず、熱的、機械的安定性が優れたロッド形態のポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)を合成するために縮合重合を利用した。4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)(5.085g、0.02mol)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)(4.328g、0.02mol)、K2CO3(2.9024g、0.021mol)を3口丸底フラスコに入れ、アルゴン(Ar)環境下でスルホランを入れて均一な溶液を作った。その後、190℃で3時間、220℃で3時間反応させた。両末端を完璧にヒドロキシル基に作るために過量のジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)をスルホランに溶かして反応フラスコに注入させた後、2時間程度更に反応させた。合成された高分子溶液はメタノールに沈殿させた後、ろ過紙に通して得た。収得物は過量の水とメタノールで十分に洗浄した後、90℃の真空オーブンで2日間乾燥させた(7.76g、収得率=82.5%)。
【0027】
末端にアミン基を導入するために、2−(boc−アミノ)臭化エチルを利用した置換反応をさせた。まず、漏斗を設置した3口丸底フラスコにPSEK(6.00g、2.40×10−4mol)、K2CO3(0.0398g、2.88×10−4mol)を入れ、アルゴン(Ar)環境下で無水ジメチルホルムアミド90mLを入れた後、90℃で1時間攪拌した。2−(boc−アミノ)臭化エチル(0.0430g、1.92×10−4mol)は西洋ナシ形態の2口フラスコに入れ、10mLの無水ジメチルホルムアミドに溶かした。この溶液を滴下漏斗に入れて1時間かけて滴下した。反応は2日間進行し、最終的にメタノールに沈殿して改質された高分子を得た(5.66g、収得率=72.9g)。
【0028】
ブロキシカルボニル基(Boc)にて保護されたアミンでブロキシカルボニル基を除去させるために改質されたPSEK(5.66g、2.26×10−4mol)を2口フラスコに入れ、アルゴン(Ar)環境下で精製された塩化メチレン90mLを入れた。次に、トリフルオロ酢酸(3.36mL、4.53×10−2mol)を入れた後、40℃で3時間攪拌した。その後、反応フラスコを氷浴(ice bath)に浸した状態で減圧して全ての溶媒と液体状態の反応物を除去させた後、残った生成物は塩化メチレンに再び溶かしてメタノールに沈殿、濾過して得た(4.13g、収得率=73.0%)。
【0029】
最終的に原子移動ラジカル重合(ATRP)のための開始剤に作るために、末端にハロゲン族に属する臭素を導入した。まず、改質されたPSEK(4.13g、1.65×10−4mol)を3口フラスコに入れた後、アルゴン環境下でジメチルホルムアミド(DMF)120mLを入れた。十分に攪拌して均一な溶液状態に至ると、トリエチルアミン(0.920mL、6.61×10−3mol)をゆっくりと入れた。
50℃で2日間反応させた後、メタノールの沈殿と濾過を通して収得物を得た(4.05g、収得率=98.0%)。
【0030】
[製造例2]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の合成
[反応式2]
反応式2は全体的な合成方法を示したものである。電子移動により再生された活性体原子移動ラジカル重合(ARGET ATRP)を利用して合成したPSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させて、PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)(PSEK−b−PSAN)ブロック共重合体を合成した。まず、シュレンク(schlenk)形態のフラスコにCuCl2(0.549mg、4.08×10−6mol)を入れ、真空とアルゴンの充填を2回反復した。次に、精製されたスチレン(15.6mL、1.36×10−1mol)、アクリロニトリル(5.82mL、8.84×10−2mol)、Me6TREN(33.9μL、1.22×10−4mol)を入れ十分に攪拌した後、冷凍−ポンプ−解凍過程を2回実施して反応フラスコ内の溶存酸素を除去した。
【0031】
別の西洋ナシ形態のフラスコにマクロ開始剤で改質されたPSEK(0.400g、1.6×10−2mol)を入れ、DMF15mLを入れてしっかり溶かした後、冷凍−ポンプ−解凍過程を3回実施した。マクロ開始剤が溶かした溶液を反応フラスコに入れて80℃で6時間、12時間、24時間反応させた。反応の終結は溶液を空気中に露出させて行い、その後、塩化メチレンに希釈させた後、Al2O3で満たされたカラムを通過させて残っている銅複合体を除去した。最終的に、メタノールに沈殿させた後、ろ過及び乾燥させてPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)を得た。PSANの重合程度は反応時間を1時間、2時間、3時間と変えながら調節した。
【0032】
重合時間が1時間である場合、総分子量が30kg/mol、2時間の場合、45kg/mol、3時間の場合、60kg/molを得ることができ、相対的に狭いPDIを有するブロック共重合体を得ることができた。総分子量30kg/molを試料P30、45kg/molを試料P45、60kg/molを試料P60と命名した。
【0033】
[製造例3]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)に硫酸基の導入
[反応式3]
反応式3は全体的な合成方法を示したものである。
最終的にブロック共重合体に親水性基を導入するために、スルホン化反応を進めた。まず、スルホン化のための反応物、1M硫酸アセチルを作るために、2口丸底フラスコに精製された塩化メチレン(5mL)、無水酢酸(0.95mL、1.00×10−2mol)を入れた。氷浴下で硫酸(0.35mL、6.57×10−3mol)をゆっくりと入れた。
【0034】
スルホン化させるブロック共重合体を2口フラスコに入れた後、精製された20mL塩化メチレンを溶かした。反応温度を55℃に維持した状態で1Mの硫酸アセチルを各ブロックのスチレン個数の0.6乃至1.2倍を入れた後、4時間還流させた。反応を終結させるためにメタノールを入れた後、減圧させて全ての溶媒を除去した。得られた高分子はpHが中性になるまで十分な量の水とメタノールで洗浄した。
【0035】
硫酸アセチルの量によって異なるスルホン化度のブロック共重合体を得て、スルホン化度が2%内外である試料はS2、3%内外である試料はS3、4%内外である試料はS4、6%内外である試料はS6、7%内外である試料はS7、9%内外である試料はS9と命名した。
【0036】
[製造例4]電解質膜の製造
合成された高分子を10wt%の濃度を有するようにジメチルホルムアミドに溶かした後、80℃の温度を維持させた。溶けなかった不純物を除去するために、0.45μmPTFEシリンジフィルターでろ過した後、ろ液をガラス板上にドクターブレード法を通して鋳造した。鋳造された電解質膜は窒素環境下の40℃のオーブンで2日間乾燥させた後、残っている溶媒を完全に除去させるために、50℃の真空オーブンで2日間更に乾燥させた。
鋳造された電解質膜をジメチルホルムアミド(DMF)蒸気下で溶媒を通したアニーリング処理をした。ペトリ皿に0.5mLのDMFを入れた後、その上にメンブレインを載せておいたペトリ皿を載せた。全体をよく覆った後、50℃状態のオーブンに入れておいた。総2日間DMF蒸気下で処理した後、乾燥させた。
【0037】
[実験例1]合成された高分子の構造分析及び分子量の測定
合成された高分子の構造を分析するために、1H NMR(ブルカー社、Avance300)、FT−IR(JASCO、FT/IR−660plus)を利用した。更に、スルホン化度を見るために、元素分析(CE Instruments、EA1110)をした。分子量及び分子量の分布分析はゲル浸透クロマトグラフ(Waters、GPC250)を使用し、GPC測定はテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として使用し、矯正のために単分散ポリスチレン(PS)を標準物質として使用した。
【0038】
[実験例2]水分吸収率及びイオン交換容量(IEC)の測定
電解質膜の含水量を測定するために、まず30℃の真空オーブンで乾燥された電解質膜の重量(Wdry)を測定する。次に、吸湿状態の電解質膜の重量を測定するために、まず乾燥された電解質膜を常温状態の蒸留水に約1日漬けて、平衡状態を維持させた後、表面の水を除去してその重量(Wwet)を測定する。水分吸収率(Water uptake)は数3により計算した。
[数3]
【0039】
電解質膜のイオン交換容量(IEC)を測定するために、2.0M NaCl溶液に約2日間漬けておいた後、その溶液を0.025M NaOH溶液にて滴定した。指示薬はフェノールフタレインを使用した。滴定後、電解質膜は蒸留水で洗浄し、30℃の真空オーブンで乾かしてその重量を測定(Wdry)した。イオン交換容量(IEC)値は数4により計算した。
[数4]
ここで、VNaOH=滴定時に使用したNaOH溶液の容積、そしてMNaOH=NaOH溶液のモル濃度である。
【0040】
[実験例3]電解質膜の水素イオン伝導度の測定
電解質膜の水素イオン伝導度はポテンショスタット(Biologic、VMP3)を使用してインピーダンス分析を通して測定した。伝導度を測定するために、まず電解質膜をBekktech誘導率セルに装着させた後、温度と相対湿度は燃料電池装置(Wonatech社、Smart fuel cell test station)を利用してセル内の環境を調節した。水素イオン伝導度は数5により計算した。
[数5]
ここで、L=電極間の距離、R=メンブレインの抵抗、そしてw=メンブレインの幅、d=メンブレインの厚さである。
【0041】
[実験例4]電解質膜の寸法安定性の測定
電解質膜の寸法安定性は、まず乾燥された状態のメンブレインの厚さと長さを測定した後、数6により常温の蒸留水に約1日漬けた後に増加した厚さと長さの比で表した。
[数6]
、
ここで、l=湿った状態のメンブレインの長さ、l0=乾燥状態の長さ、t=湿った状態のメンブレインの厚さ、t0=乾燥状態のメインブレインの厚さである。
【0042】
[評価1]ポリ(アリレンスルホンエーテルケトン)マクロ開始剤の評価
製造例1で合成したPSEKマクロ開始剤の化学構造及び1H NMRスペクトルを図1に表した。更に正確な分析のために、各段階のFT−IRを図2に表示した。まず、1H NMR分析からPSEKが原子移動ラジカル重合(ATRP)が可能なマクロ開始剤で完璧に改質されたことを確認した。更に、この結果はFT−IRを通しても確認することができるが、まず改質されなかったPSEKで鮮明な−OH伸縮ピーク(3500cm−1)が表れることが分かる。しかし、ブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミンで末端を改質させた場合は、−OHピークが完全になくなることが確認できる。ブロキシカルボニル基(Boc)の除去を行った後は、一次アミンで見られるダブルピーク(3300cm−1、3500cm−1)が表れ、最終的に臭化させた結果、アミドのC=Oで見られる伸縮ピーク(1601cm−1)が表れることを確認した。
【0043】
[評価2]PSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の評価
製造例2で合成されたPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)高分子の化学構造及び1H NMRスペクトルを分析した結果、図3に示す通りスチレンとアクリロニトリルがしっかり共重合されたことが確認できた。
合成されたブロック共重合体の分子量及び分子量の分布をGPCにて確認した。合成したブロック共重合体のGPCデータを図4に示し、PDI値を表1に表した。
[表1]
【0044】
[評価3]硫酸基が導入されたPSEK−b−ポリ(スチレン−co−アクリロニトリル)の評価
製造例3で硫酸基が導入されたPSEK−b−ポリ(スルホン化スチレン−co−アクリロニトリル)の化学構造とそのFT−IRスペクトルを図5に表した。 1398cm−1で表されるスルホン酸S=Oのピークが1004cm−1で表されるフェニル環のパラ位置に置換が起きた場合に表れる吸収ピークを通してスルホン化が成功裡に起きたことを確認した。
【0045】
[評価4]電解質膜の評価
製造例4で合成された電解質膜のスルホン化度、水分吸収率と理論的、実験的イオン交換容量(IEC)値を表2に整理した。全体的にイオン交換容量(IEC)の値が増加するに従って、水分吸収率が増加することが確認できる。更に、理論的なイオン交換容量(IEC)と滴定を通して測定したイオン交換容量(IEC)を比較した結果、測定値が低いことが確認できるが、これは高分子マトリクス内部に完全に入り込んだ硫酸基が存在するためと考えられる。各試料の寸法安定性を表2に表した。ナフィオン117の場合、Δl=0.117、Δt=0.01であるのに比べ、新しく合成された電解質膜は非常に高い安定性を示すことが分かる。
【0046】
[表2]
高温での熱的安定性を測定するために、熱質量分析(TGA)を施行した。図6にはP60試料の温度による質量変化を示した。
4段階の質量変化を観察できるが、30℃から120℃の間で表れる質量変化は、内部に含まれている残余水による値である。次に、170℃乃至290℃範囲内でスルホン酸の劣化による質量変化が表れ、最終的に350℃と、450℃、450℃以降の温度で表れる質量変化の場合、PSANとPSEKの直接的な分解により表れた結果である。
この結果を基にして発明者が合成した電解質膜の場合、異なる高温用高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)メンブレインに比肩する高い熱的安定性を有することが分かる。以上の結果から、高分子電解質膜燃料電池(PEMFC)の理想的な作動温度範囲とされている130℃以上でも応用できることが確認できる。
【0047】
次に、化学的安定性を測定するために、80℃のフェントン試薬下での質量と膜の形態変化を観察した。時間経過に伴う膜の質量変化を図7に表した。30時間以内でも膜の形態を十分維持しており、その質量変化の幅も大きくなく、既存のスチレンからなる高分子と比較すると、非常に優れた化学的安定性を有することが分かる。
また、電解質膜の断面イメージをTEMにより調べた。ミクロ相分離をもう少し向上させるために、溶媒を通したアニーリング法を利用した。TEMイメージに示した黒い部分は親水部分、白い部分は疎水部分に該当する。これは親水部分に付着しているスルホン酸とアクリロニトリルなどの過量の電子グループにより明暗差が生じたものと予想される。
【0048】
図8で親水部分の鎖の長さに伴う構造の変化を調べた。鎖の長さによって多様な構造的変化が表れることが確認できた。最も短い親水鎖を有するP30S7試料の場合、ヘキサゴナル構造(HEX)が発現され、P45S9の場合、ヘキサゴナル状に穴が開いたラメラ構造(HPL)、最も長い親水鎖を有するP60S9試料の場合、ラメラ構造が1μ×1μの非常に広い範囲で整列して表れることを確認した。
【0049】
更に、図9でスルホン化度に伴う構造の変化をスルホン化されたP60試料を利用して調べた。図9に示す通り、ラメラ間隔はスルホン化程度が増加するに従って更に広くなることを観察することができる(56.7nm、62.9nm、65.7nm)。これは巨大な(bulky)スルホン酸グループが導入されたためであると予想される。
また、100%RH状態で温度に伴う水素イオン伝導度を測定した。全ての試料が100℃以上の温度で伝導度が減少せず、継続的に増加する傾向を見せた。これは高分子の高い熱的安定性による結果と予想される。
【0050】
親水鎖の長さに伴って表れる伝導度の変化を図10に示した。全温度範囲内でラメラ構造が表れたP60S9の試料が最も高い水素イオン伝導度を有していた。次に、HPL構造を見せたP45S9、最後にHEX構造が表れたP30S7試料の順であった。
【0051】
スルホン化度に伴う水素イオン伝導度の変化を図11に示した。水素イオン伝導度はスルホン化程度と正比例する関係を有するが、これは水素イオン伝達体がスルホン化程度がひどくなるに従って増加するためである。図11に示す通り、最も低いスルホン化度を有するP60S2(0.08mmol/g)試料が最も低いイオン伝導度を示した。このグラフを通して、水素イオンが異なる自由空間に移動できる活性化エネルギーを計算できるが、この試料の場合、37.4kJ/molであり、ナフィオンに比べては相対的に高い値を有していた。しかし、はるかに高いイオン交換容量(IEC)値を有する(1.2mmol/g)ランダム共重合体であるスルホン化PEEKの場合、活性化エネルギーが我々の試料と類似する値を有することと比較してみると、十分連結された親水チャンネルが形成されることが確認できる。また、スルホン化度に関係なく温度が増加するに従ってイオン伝導度も増加する傾向が継続的に見られた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性を有する単独高分子と親水性を有する高分子を各々1以上含むブロック共重合体であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含むことを特徴とするブロック共重合体。
[数1]
[数2]
数2において、p、m及びrは相互独立した整数であり、m>rである。
【請求項2】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が50乃至300質量部含まれることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が250乃至300質量含まれることを特徴とする請求項2記載のブロック共重合体。
【請求項4】
前記ブロック共重合体においてスルホン化度は1乃至10%であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項5】
PSEK[poly(arylene sulfone ether ketone)]から、
これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、
前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSAN[PSEK−b−poly(styrene−co−acrylonitrile)]ブロック共重合体を合成する段階と、
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階と、
を含むことを特徴とする両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階は、
前記PSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミン基に置換する段階と、
ブロキシカルボニル基保護グループの除去段階と、
末端基に臭素を導入する段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、
スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、
前記攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、
PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、
前記塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された共重合体を含むことを特徴とする高分子電解質。
【請求項10】
請求項9に記載された高分子電解質からなることを特徴とする高分子電解質膜。
【請求項1】
疎水性を有する単独高分子と親水性を有する高分子を各々1以上含むブロック共重合体であり、疎水性を有する疎水部が数1で表される構造を含み、親水性を有する親水部が数2で表される構造を含むことを特徴とするブロック共重合体。
[数1]
[数2]
数2において、p、m及びrは相互独立した整数であり、m>rである。
【請求項2】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が50乃至300質量部含まれることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記ブロック共重合体は、疎水部100質量部に対して親水部が250乃至300質量含まれることを特徴とする請求項2記載のブロック共重合体。
【請求項4】
前記ブロック共重合体においてスルホン化度は1乃至10%であることを特徴とする請求項1記載のブロック共重合体。
【請求項5】
PSEK[poly(arylene sulfone ether ketone)]から、
これをPSEKマクロ開始剤で改質する段階と、
前記PSEKマクロ開始剤にスチレンとアクリロニトリルを共重合させてPSEK−b−PSAN[PSEK−b−poly(styrene−co−acrylonitrile)]ブロック共重合体を合成する段階と、
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階と、
を含むことを特徴とする両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項6】
前記PSEKをPSEKマクロ開始剤で改質する段階は、
前記PSEKの末端基をブロキシカルボニル基(Boc)で保護されたアミン基に置換する段階と、
ブロキシカルボニル基保護グループの除去段階と、
末端基に臭素を導入する段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項7】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体を合成する段階は、
スチレン、アクリロニトリル及びMe6TRENを入れ攪拌する段階と、
前記攪拌液にマクロ開始剤で改質されたPSEKを入れて重合させる段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記PSEK−b−PSANブロック共重合体をスルホン化する段階は、
PSEK−b−PSANブロック共重合体を塩化メチレンに溶かす段階と、
前記塩化メチレンに硫酸アセチルを混合する段階と、
を含むことを特徴とする請求項5記載の両親媒性ブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された共重合体を含むことを特徴とする高分子電解質。
【請求項10】
請求項9に記載された高分子電解質からなることを特徴とする高分子電解質膜。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−168763(P2011−168763A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209931(P2010−209931)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】
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