説明

新規の置換イミダゾキノリン

置換アミン又はアミド官能基を1−位に含みかつトール様レセプター7アクティベータとして有効である式Iのイミダゾキノリンを開示する。これらの化合物は抗癌剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、イミダゾキノリン誘導体、及び、イミダゾキノリン誘導体を含む医薬組成物に関する。イミダゾキノリン誘導体はトール様レセプターアゴニスト/TLR7アクティベータとして有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
異なる特異性を有する10種類のレセプターの遺伝子ファミリーを現在含んでいるトール様レセプター(TLR)は細胞病原体パターン認識系の一部をなし、様々な感染(細菌、ウイルス、真菌)に対する防御のために進化している。TLRの活性化はサイトカイン応答を導き、たとえば、インターフェロンを開放しそして特定の免疫細胞を活性化させる。組織内で選択されるTLRの機能発現は非常に様々である。レセプターの一部は細胞表面にあり、たとえば、TLR4は、たとえば、上皮細胞上で(大腸菌リポ多糖(LPS)により刺激される)、又は、TLR3、7、8及び9は特定の免疫細胞においてエンドソーム膜にある。後者はすべて核酸によって活性化されるが、その様々なタイプを認識する。たとえば、TLR9はCpGサブシーケンスを含む一本鎖DNAによって活性化され、TLR7及び8は一本鎖RNAによって活性化され、そしてTLR3は二本鎖RNAによって活性化される。
【0003】
幾つかの小分子(SMOL)TLR7又はTLR8アゴニストは特定されている。これらのアゴニストはプリン様分子に分類されることができ、たとえば、7−チア−8−オキソグアノシン(TOG、イサトリビン)又はイミダゾキノリンであるイミキモドである。イミキモドは、これまでで唯一の認可された最も信頼のおけるTLRアゴニストであり、5%クリームとして販売されている(Aldara)。それは、世界中で最も頻繁に起こる癌である表在型基底細胞癌の約80%5年クリアランスを達成している。イミキモドはTLR7を活性化する。TLR7の機能発現は特定の免疫細胞に限定されているようであり、すなわち、ヒトにおいては、これまで、形質細胞様樹状細胞、B−細胞及びおそらく好酸球のみがTLR7アゴニストによって活性化されることが知られている。
【0004】
数年間、癌の治療のためのTLR7、8又は9アゴニストによって誘導される強い免疫活性化を利用しようと世界中で多大な努力がなされてきた。しかしながら、癌の免疫治療は長い失敗の歴史を経験してきた。しかし、近年、癌免疫調査及び免疫細胞の部分集合の機能についての知識は劇的に改善した。TLR7又はTLR9アゴニストは癌の単独又は組み合わせ治療のための、又は、ワクチンアジュバントとしての臨床的開発がされている。
【0005】
癌免疫治療のためのTLRアゴニストのアプローチは、たとえば、サイトカイン、インターフェロン又は単味ワクチン接種を用いる以前の努力とは異なる。TLRアゴニストによる免疫活性化は特定の免疫細胞(主として、樹状細胞及びB−細胞、次いで、他の細胞)を介する多面発現性であり、その活性化により生来的な一次免疫応答を生じる。さらに、1種のインターフェロンだけでなく、多くの異なるアイソフォームが誘導され、タイプI(α、β)だけでなく、(間接的に)タイプII(γ、NK細胞)が誘導される。少なくとも局所投与のためには、Aldaraは注目すべき概念実証を行った。それは抗原が腫瘍から開放され、そして免疫治療が主要な治療、さらには、単独治療で癌の兆候に作用することができることを示す。全身投与経路では、しかしながら、臨床的概念実証(POC)はTLR7又はTLR9アゴニストについて未解決であり、その両方は臨床試験中である。進行癌及び全身投与(好ましくは、皮下注射(s.c.)又は静脈内(i.v.)投与経路)では、このようなTLRアゴニストは他の治療法と組み合わせなければならないことが明らかなようである。
【0006】
初期の癌の場合には、状況は異なる可能性がある。腫瘍転移は患者の腫瘍形成の最も過酷な態様である。その大きな理由は、転移がすでに起こったときには腫瘍の検知は遅すぎるからである。確立されている腫瘍治療は、大抵、かなり狭い治療範囲を持った細胞毒性医薬を含む。このため、初期の腫瘍段階での治療では、転移による広がりの抑制が依然として可能である場合には、良好な許容性及び安全性のある新たな治療法が非常に求められている。
【0007】
免疫系の活性化、特に、トール様レセプター(TLR)シグナル伝達の活性化は新たな有望なアプローチを提供する。H2006又はH1826などのTLR9作動性CpGオリゴ及びグアノシン誘導体イサトリビン又はイミキモド誘導体などのTLR7アゴニストを、マウスの腎がん細胞の肺転移(Renca lung metastasis)モデルで試験した。すべての試験した分子は良好な許容性をもって肺転移の発生を実質的に完全に抑制した。
【0008】
このことは、癌転移の抑制のためのこのような分子の臨床的開発のための確かな合理性を提供し、そしてこのような医薬の全身投与の可能性を示す。しかしながら、SMOLタイプのTLR7アゴニストは、核酸タイプのTLR9アゴニストと比較するならば、確立されかつコスト効率的な合成という利点があり、また、局所投与に好適である。
【0009】
米国特許第6,573,273号明細書は、尿素、チオ尿素、アシル尿素、スルホニル尿素又はカルバメート官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。それらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0010】
米国特許第6,677,349号明細書は1−位にスルホンアミド官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。それらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0011】
米国特許出願公開第2003/0144283号及び国際公開第WO00/76505号明細書は1−位にアミド官能基を含むイミダゾキノリン及びテトラヒドロイミダゾキノリン化合物を記載している。それらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【0012】
国際公開第WO2005/051324号明細書は1−位においてオキシム又は特殊なN−オキシド官能基によって置換されたイミダゾキノリン、ピリジン及びナフチリジンリンド(rind)系を記載している。それらの化合物は免疫調節剤として有用であると言われている。
【発明の概要】
【0013】
発明の要旨
小分子、特に、イミダゾキノリン−4−アミン誘導体は高い効力のTLR7のためのアクティベータであることが判った。これらのイミダゾキノリン誘導体は好ましい物理化学的及び薬物動態学的性質を有する。したがって、本発明は、TLR7のためのアクティベータであることが判った化合物であって、一般構造式I
【0014】
【化1】

【0015】
(上式中、R1、A及びBは下記のとおりである) によって規定される化合物を提供する。
【0016】
式Iの化合物はTLR7アクティベータとして有用である。
本発明は、さらに、式Iの化合物を有効量で含む医薬組成物を提供する。
さらに、式Iの化合物を合成する方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の説明
【図1】図1はPCIR−1細胞におけるTLRアゴニストのサイトカイン誘導に対するクロロキンの効果を示す。H2006、LPS又はレシキモドの単独及びクロロキンとの組み合わせで細胞を16時間インキュベートした後に、TaqMan PCRを用いてIL8mRNAの発現を測定した。
【図2】図2はTLRアゴニストのスクリーニングカスケードを示す。
【図3】図3は3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール(例III、TLR アゴ(ago) 1)で処置したhPBMC中のサイトカインmRNA誘導を示す。
【図4A】図4は腎がん細胞の肺転移モデルにおける参照化合物の研究を示す(Leja A, Hofmann HP, Maier T, Drache D, Grebe C, Fischer S, Gimmnich P, Sanders K, Gekeler V。Balb/cマウスのRenca腎がん細胞の肺への転移はTLR9又はTLR7アゴニストによって強く抑制される。Abstract 3552, Proc Am Cancer Res 48, 2007。TOG=7−チア−8−オキソグアノシン;IMDZQ=イミダゾキノリン誘導体)。特に、それぞれ腎がん細胞(Renca LacZ) 腫瘍細胞注入後の第1日又は第8日から始めて連続して4日間、雌のBalb/cマウス(n=10)を処置した。示しているように化合物(小分子(SMOL))を20%PEG中、ODNを0.9%NaCl中で投与した。腫瘍細胞の注入25日後に肺を切除した(図4Aを参照されたい)。
【図4B】さらに、指示するとおりに雌のBalb/cマウス(n=5)を4日連続で処置した。化合物(SMOL)を20%PEG中、ODNを0.9%NaCl中で投与した。処置の4日目に、環状叢(orbital plexus)を介して血液を回収し、脾臓を切除した。次いで、mRNAをqPCRによる発現分析のために分離した。データをビヒクル対照物に対して正規化した(平均を1に設定)。統計評価をマン・ホイットニー(Mann-Whitney)試験によって行った(図4Bを参照されたい)。
【図5】図5は図4と同様の研究を示すが、腎がん細胞の肺転移モデルにおいて3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール(TLR アゴ(ago) 1、例III)及びN−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド(TLRアゴ(ago)2、例I)で行った。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
下記においてより詳細に記載するイミダゾイミダゾキノール誘導体が有効なTLR7アクティベータであり、そして、驚くべきかつ特に有利な特性を有することが判った。
【0019】
上記のことに加えてそしてそれに基づいて、これらのイミダゾキノール誘導体の特定の医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体又はそれらの組み合わせは驚くべきかつ特に有利な特性を有することが判った。
【0020】
本発明は式I
【化2】

(上式中、Rは、−H、アルキル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、ここで、
アルキル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ヘテロシクリル又はヘテロアリールは1つ以上の基によって場合により置換されていてよく、その基は、たとえば、−H、−OH、ハロゲン、−CO−N(R、−N(R、−CO−C1−10アルキル、−CO−O−C1−10アルキル、−N、場合により置換されているアリール、ヘテロシクリル又は−CO−アリールからなる群より選ばれ、
各Rは−H、−C1−10アルキル、−C1−10アルキル−アリール、アリールからなる群より独立に選ばれ、
AはC−Cアルキルであり、
Bは−N(R)(R)であり、
は水素又は−(CO)−Rであり、
は、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、ここで、その各々は1つ以上の基によって場合により置換されていてよく、その基は、たとえば、−H、−OH、ハロゲン、−CN、−NO、−COOH、−SH、−CO−C1−6アルキル、−CO−O−C1−6アルキル、−N、場合により置換されているアリール、ヘテロシクリル、−CO−アリール又は−CO−ヘテロサイクルからなる群より選ばれ、
は、−H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルからなる群より選ばれ、ここで、
アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクリルは未置換であっても又は1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、その基は、たとえば、−H、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲン、−OH、−N、トリフルオロメチル、−アルキル−アリール、−O−アルキル−アリール、−CO−アリール、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CO−ヘテロアリール、−CO−置換アリール、−CO−置換ヘテロアリール、−CO−O−アルキル、−CO−N−アルキル、−CO−N−アリールからなる群より選ばれる)の化合物、又は、その医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体、又はそれらの組み合わせを提供する。
【0021】
本明細書中で使用される際に、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」及び接頭語「アルク(alk)」は直鎖基及び枝分かれ鎖基の両方を含み、そして環式基、すなわち、シクロアルキル及びシクロアルケニルを含む。特に指示がないかぎり、これらの基は1〜20個の炭素原子を含み、アルケニル基及びアルキニル基は2〜20個の炭素原子を含む。好ましい基は合計で10個以下の炭素原子を含む。環式基は単環式であるか又は多環式であることができ、そして好ましくは3〜10個の環炭素原子を有する。例示の環式基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルが挙げられる。
【0022】
特に、用語「アルキル」は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは枝分かれ鎖アルキル基を指す。その例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。置換アルキルは上記のとおりである。
【0023】
さらに、用語「アルキニル」は少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基であって、炭素−炭素三重結合を含む基を指す。置換アルキニルは上記のとおりである。
【0024】
同様に、用語「アルケニル」は少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基であって、炭素−炭素二重結合を含む基を指す。
【0025】
さらに、用語「アルコキシ」は酸素原子を介して結合されたアルキル基を指す。
さらに、用語「アリール」としては、本明細書中で使用される際に、炭素同素環の芳香環もしくは環系が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル及びインデニルが挙げられる。特に、用語「アリール」はフェニル又はナフタレンを指す。好ましい実施形態において、アリールはフェニルである。置換アリールは上記のとおりである。
【0026】
用語「ヘテロアリール」としては、少なくとも1つの環ヘテロ原子(たとえば、O、S、N)を含む芳香環もしくは環系が挙げられる。特に、例示のヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、チオナフテニル、イソチオナフテニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、プリニル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル及びベンズオキサジニルが挙げられ、それらは、各々の場合に、未置換であっても、又は、1つ以上の位置で場合により置換されていてもよい。
【0027】
置換ヘテロアリールは、たとえば、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アルキル、アラルキル、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はそれらの組み合わせによって置換されている。
【0028】
本明細書中で使用される際に、用語「ヘテロシクリル」は少なくとも1つの環ヘテロ原子(たとえば、好ましくは、O、SOx又はNから選ばれ、xは0、1又は2である)を含む非芳香環又は単環もしくは二環系を指す。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロピラニル、アザビシクロオクタニル、たとえば、1−アザビシクロ[2.2.2]−オクタニル、1−オキソ及びジオキソ−テトラヒドロチオフェニル又はシクロペンチルスルホニル、ならびに、それらのベンゾ縮合形及び/又はn−オキシドが挙げられ、それらは各々場合に、未置換であるか、又は、1つ以上の位置で場合により置換されていてもよい。置換ヘテロシクリルは、たとえば、1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アルキル、アラルキル、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はそれらの組み合わせによって置換されている。
【0029】
本発明は、上記の置換基のすべての組み合わせを網羅するものと理解されるべきである。特に、本発明は上記の好ましい基のすべての組み合わせを網羅する。
【0030】
本発明に係る化合物の医薬上許容される塩としては、すべての無機酸及び有機酸の付加塩ならびに塩基との塩が挙げられ、特に、すべての医薬上許容される無機酸及び有機酸の付加塩ならびに塩基との塩、特に、薬学上慣用されている、すべての医薬上許容される無機酸及び有機酸の付加塩ならびに塩基との塩が挙げられる。
【0031】
酸の付加塩の例としては、限定するわけではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、D−グルコン酸塩、安息香酸塩、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、酪酸塩、スルホサリチル酸塩、マレイン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩及びトリフルオロ酢酸塩が挙げられる。
【0032】
塩基との塩の例としては、限定するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン及びグアニジニウム塩が挙げられる。これらの中で、ナトリウム及びアンモニウム塩は好ましい。
【0033】
塩としては水不溶性塩、及び特に、水溶性塩が挙げられる。
【0034】
本発明の化合物及びその塩は、たとえば、結晶形で分離されたときに様々な量の溶媒を含むことができる。本発明の範囲には、それゆえ、式(I)の化合物のすべての溶媒和物及びその塩が含まれる。水和物は上記の溶媒和物の好ましい例である。
【0035】
本発明に係る化合物のN−オキシド及びその塩は、置換基部分の窒素原子が酸化されている化合物を含む。
【0036】
特定の実施形態において、本発明に係る化合物及びその塩としては、立体異性体を挙げることができる。立体異性体中に存在する各々の不斉中心は絶対配置R又は絶対配置S(カー ン・インゴ ルド・プレローグ(Cahn, Ingold and Prelog)の規則による)を有することができる。すべてのこのような立体異性体及びその塩は本発明の一部である。本発明は、さらに、ラセミ混合物を含め、比率に関係ない上記の立体異性体のすべての混合物をさらに含む。
【0037】
二重結合を含む本発明の化合物及びその塩はE−異性体及びZ−異性体として存在することができる。上記の異性体の両方は本発明に含まれる。Z−異性体は二重結合によって結合された2つの炭素原子の各々が2つの最もランキングの高い基(the two highest ranking groups)を二重結合の同一の側に有する、幾何異性体である。E−異性体は二重結合によって結合された2つの炭素原子の各々が2つの最もランキングの高い基(the two highest ranking groups)を二重結合の反対側に有する、幾何異性体である。
【0038】
本発明に係る化合物及び塩の幾つかは異なる結晶形(結晶多形)として存在することができ、それらは本発明の範囲に入る。
【0039】
さらに、生体系内で式(I)の化合物及びその塩に転化される、式(I)の化合物の誘導体及びその塩(バイオ前駆体又はプロドラッグ)は本発明に網羅される。上記の生体系は、たとえば、哺乳類生物、特に、人体である。バイオ前駆体は、たとえば、代謝プロセスによって式(I)の化合物又はその塩に転化される。
【0040】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、Rが−H、アルキル、場合により置換されていてよいアリール、ヘテロシクリル又は場合により置換されていてよいヘテロアリールであり、Rが−(CO)−Rであり、Rがアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、Rが−H又はアルキルである式Iの化合物は本発明から除外される。
【0041】
別の好ましい実施形態において、本発明はRが水素である上記のとおりの式Iの化合物である、式Iaの化合物に関する。
【0042】
別の好ましい実施形態において、本発明はRが−(CO)−Rであり、Rがアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルからなる群より選ばれ、その各々が未置換であるか又は1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、上記のとおりの式Iの化合物である、式Ibの化合物に関する。
【0043】
別の好ましい実施形態において、本発明はRがアルキニル又はアルコキシであり、Rが−(CO)−Rである上記のとおりの式Iの化合物である、式Icの化合物に関する。
【0044】
本発明に係る、式Ia、Ib及びIcの化合物を含む、式Iの化合物の好ましい実施形態において、Rはヘテロシクリルであり、それは未置換であっても又は上記のとおりに1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0045】
式Ia、Ib及びIcの化合物を含む、式Iの化合物の別の好ましい実施形態において、Rはアルキルであり、より好ましくはエチルである。
【0046】
式Ia、Ib及びIcの化合物を含む、式Iの化合物の別の好ましい実施形態において、Rはアルキルであり、より好ましくはメチルである。
【0047】
式Ia、Ib及びIcの化合物を含む、式Iの化合物の別の好ましい実施形態において、Rはヘテロシクリルであり、それは未置換であっても、又は、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン又は−OHからなる群より選ばれた1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0048】
式Ia、Ib及びIcの化合物を含む、式Iの化合物の別の好ましい実施形態において、AはC2−4アルキルであり、より好ましくはCアルキルである。
【0049】
本発明に係る化合物の別の好ましい実施形態は、
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド、
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−メチル−1−オキシドピペリジン−4−イル)アセトアミド、
3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール、
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−ベンジル−2−メチル−1−オキシドピロリジン−3−イル)アセトアミド、
2−エチル−1−[4−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ブチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、
1−[4−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミノ)ブチル]−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、又は、
1−{4−[(1,1−ジオキシド−3,4−ジヒドロ−2H−チオクロメン−4−イル)アミノ]ブチル}−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、
から選ばれる式Iの化合物、又は、その医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体、又は、それらの組み合わせに関する。
【0050】
本発明の医薬組成物は、医薬上許容されるキャリアとの組み合わせで、治療に有効な量の本発明に係る式I(式Ia、Ib及びIcを含む)の化合物を含む。
【0051】
用語「治療に有効な量」とは、TLR7の活性化などの治療効果を誘導するために十分な化合物の量を意味する。これにより、サイトカイン誘導、抗腫瘍活性及び/又は抗ウイルス活性を生じることができる。本発明の医薬組成物中で使用される活性化合物の正確な量は、その化合物の物理的及び化学的性質、ならびに、キャリアの性質、及び、意図した投与計画などの当業者に知られる要因によって変動するであろうが、本発明の組成物は、対象に対して約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約5mg/kgの化合物という投与量を提供するのに十分な活性成分を含むであろうということが期待される。
【0052】
慣用の投与形態のいずれを用いることもでき、たとえば、タブレット、錠剤(lozenges)、非経口製剤、シロップ、クリーム、軟膏、エアロゾル製剤、経皮パッチ、経粘膜パッチなどを用いることができる。
【0053】
本発明の化合物は治療計画において単一の治療剤として投与されても、又は、他の1種又は複数種の活性剤との組み合わせで投与されてもよく、他の活性剤としては、追加の抗癌剤、免疫応答調節剤、抗ウイルス剤、抗生物質などが挙げられる。
【0054】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明に係る化合物及びその医薬上許容される塩を、少なくとも1種の医薬上許容される補助剤とともに含む医薬組成物に関する。
【0055】
好ましくは、医薬組成物は、本発明に係る化合物及び医薬上許容される塩を1種又は2種含む。より好ましくは、医薬組成物は本発明に係る化合物及び医薬上許容される塩を1種含む。
【0056】
本発明の特に好ましい実施形態において、医薬組成物は、本発明に係る実施例の化合物を、少なくとも1種の医薬上許容される補助剤とともに含む。
【0057】
医薬組成物は、少なくとも1種の本発明に係る化合物及び医薬上許容される塩(以下において、明細書中で「活性化合物」と呼ぶ)を0.1〜99.9wt%、好ましくは5〜95wt%、より好ましくは20〜80wt%の合計量で含むことができる。
【0058】
医薬上許容される補助剤として、医薬組成物を調製するために適切であることが知られているいかなる補助剤を使用してもよい。その例としては、限定するわけではないが、溶剤、賦形剤、分散剤、乳化剤、可溶化剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、抗酸化剤、防腐剤、安定化剤、キャリア、フィラー、バインダー、増粘剤、錯化剤、分解剤、緩衝剤、浸透促進剤、促進剤、ポリマー、潤滑剤、コーティング剤、プロペラント、張力調節剤、界面活性剤、着色剤、香料、甘味剤及び染料が挙げられる。特に、所望の製剤及び所望の投与形態に適切なタイプの補助剤は用いられる。
【0059】
医薬組成物は、たとえば、タブレット、コーティングされたタブレット(ドラジェ)、ピル、薬包入り薬、カプセル(カプレット)、顆粒剤、粉薬、座薬、溶液(例えば、無菌溶液)、エマルジョン、サスペンション、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、オイル、ゲル、スプレイ及びパッチ(たとえば、経皮治療装置)に製剤できる。さらに、医薬組成物は、たとえば、リポゾームデリバリーシステム、活性化合物がモノクロナール抗体に結合した系、及び、活性化合物がポリマー(たとえば、可溶性又は生分解性ポリマー)に結合した系として製剤できる。
【0060】
活性化合物及び少なくとも1種の補助剤を含む医薬組成物は、当業者に知られた様式で、たとえば、溶解、混合、顆粒化、ドラジェ−製造、微粒化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスなどによって製造されうる。
【0061】
選択される製剤は、とりわけ、医薬組成物の投与経路によって決まる。本発明の医薬組成物は、あらゆる適切な経路によって、たとえば、経口投与、舌下投与、口腔投与、静脈内投与、動脈内投与、筋内投与、皮下投与、皮内投与、局所投与、経皮投与、鼻腔内投与、眼内投与、腹腔内投与、胸骨内(intrasternal)投与、冠動脈内投与、経尿道投与、直腸投与又は膣内投与の経路、又は、吸引もしくは注入によって投与されうる。経口投与は好ましい。
【0062】
タブレット、コーティングされたタブレット(ドラジェ)、ピル、薬包入り薬、カプセル(カプレット)、顆粒剤、溶液、エマルジョン及びサスペンションは、たとえば、経口投与に適する。特に、上記の製剤は、たとえば、腸溶性形態、速放性形態、遅延放出性形態、反復投与放出形態、持続放出形態又は徐放性形態を示すように適合されうる。上記の形態は、たとえば、タブレットをコーティングすること、異なる条件(たとえば、pH条件)下に分解する層によって幾つかのコンパートメントにタブレットを分割すること、又は、活性化合物を生分解性ポリマーに結合させることによって得ることができる。
【0063】
吸入による投与は、好ましくは、エアロゾルを用いることにより行われる。エアロゾルは液−気分散体、固−気分散体、又は、混合液/固−気分散体である。
【0064】
エアロゾルはドライパウダーインへーラー(DPI)、加圧計量投与インへーラー(PMDI)及びネブライザーなどのエアロゾル生成性デバイスによって発生されうる。投与される活性化合物の種類によって、エアロゾル生成性デバイスは活性化合物を粉末、溶液又は分散体の形態で含むことができる。粉末は、たとえば、1つ以上の下記の補助剤:キャリア、安定剤及びフィラーを含むことができる。溶液は、溶剤に加えて、たとえば、1つ以上の下記の補助剤:プロペラント、可溶化剤(共溶剤)、界面活性剤、安定剤、緩衝剤、張力調節剤、防腐剤及び香料を含むことができる。分散体は、分散剤に加えて、1つ以上の下記の補助剤:プロペラント、界面活性剤、安定剤、緩衝剤、防腐剤及び香料を含むことができる。キャリアの例としては、限定するわけではないが、糖類、たとえば、ラクトース及びグルコースが挙げられる。プロペラントの例としては、限定するわけではないが、フルオロハイドロカーボン、たとえば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンが挙げられる。
【0065】
エアロゾル粒子の粒子サイズ(固体、液体又は固体−液体粒子)は好ましくは100μm未満、より好ましくはそれは0.5〜10μmの範囲であり、特に、2〜6μmの範囲である(ID50値、レーザー回折により測定)。
【0066】
吸入投与に使用されうる特定のエアロゾル生成性デバイスとしては、限定するわけではないが、サイクロ(登録商標)へーラー(Cyclohaler)(登録商標)、ディスクへーラー(Diskhaler)(登録商標)、ロタディスク(Rotadisk) (登録商標)、ターボへーラー(Turbohaler)(登録商標)、オートへーラー(Autohaler)(登録商標)、ターボへーラー(Turbohaler)(登録商標)、ノボライザー(Novolizer)(登録商標)、イージーへーラー(Easyhaler )(登録商標)、エアロライザー(Aerolizer)(登録商標)、ジェットへーラー(Jethaler)(登録商標)、ディスクス(Diskus)(登録商標)、ウルトラへーラー(Ultrahaler)(登録商標)及びミスティック(Mystichaler)(登録商標) インへーラーが挙げられる。エアロゾル生成性デバイスは吸入効率を改良するために、スペーサー又はエキスパンダー、たとえば、エアロチャンバー(Aerochamber) (登録商標)、ネブレータ(Nebulator)(登録商標)、ボルマチック(Volumatic) (登録商標)及びロンド(Rondo) (登録商標)と組み合わされてよい。
【0067】
局所投与の場合、適切な医薬製剤は、たとえば、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、粉末、溶液、エマルジョン、サスペンション、オイル、スプレイ及びパッチ(たとえば、経皮治療装置)である。
【0068】
非経口投与形態、たとえば、静脈内投与、動脈内投与、筋内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与及び胸骨内(intrasternal)投与の場合には、好ましくは、溶液(たとえば、無菌溶液、等張性溶液)は用いられる。それは好ましくは注入又は輸液技術によって投与される。
【0069】
鼻腔内投与の場合には、たとえば、液滴形態で投与されるスプレイ及び溶液は好ましい剤形である。
【0070】
眼内投与の場合には、液滴形態で投与される溶液、ゲル及び軟膏は例示の剤形である。
【0071】
一般に、本発明に係る医薬組成物は、活性化合物の投与量がTLR7のアクティベータに常用の範囲となるように投与されうる。特に、0.01〜4000mg、好ましくは0.1mg〜2000mg、より好ましくは0.5mg〜1000mg、最も好ましくは1mg〜500mg活性化合物/日の範囲の投与量は70kgの体重の平均的な成人患者に好ましい。これに関し、投与量は、たとえば、使用される特定の化合物、処置される種、処置される対象の年齢、体重、総体的健康状態、性別及び食事、投与の形態及び時間、排泄速度、処置される疾患の重症度及び薬の組み合わせに依存することに注意すべきである。
【0072】
医薬組成物は一日当たりに単一投与で又は一日当たりに複数の分割投与、たとえば、2〜4回投与で投与されてよい。医薬組成物の単一投与単位は、たとえば、0.01mg〜4000mg、好ましくは0.1mg〜2000mg、より好ましくは0.5〜1000mg、最も好ましくは1〜500mgの活性化合物を含むことができる。さらに、医薬組成物は、たとえば、皮下インプラント又は筋内インプラントなどのインプラントを用いて、又は、わずかに可溶性の塩の形態の活性化合物を用いて、又は、ポリマーに結合した活性化合物を用いて、週毎、月毎又はさらにはより低い頻度の投与に適合されることができる。
【0073】
本発明の化合物は、下記に示す試験に従って行われる実験でTLR7を活性化させることが示された。本発明の化合物は、TLR7活性化に応答性である癌のための抗癌剤として有用である。
【0074】
例示の癌としては、限定するわけではないが、乳癌、膀胱癌、骨癌、脳癌、中枢神経及び末梢神経癌、結腸癌、内分泌腺癌、食道癌、子宮内膜癌、胚細胞癌、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、喉頭癌、咽喉頭癌、中皮腫、肉腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌、小腸癌、軟組織癌、精巣癌、胃癌、皮膚癌、尿管癌、膣癌及び外陰部癌;遺伝性癌、網膜芽腫及びウィルムス腫瘍;白血病、リンパ腫、非ホジキンズ病、慢性及び急性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、ホジキンズ病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫;骨髄異形成症候群、形質細胞新形成、腫瘍随伴症候群、原発部位不明の癌、及び、エイズ(ADIS)関連悪性腫瘍が挙げられる。
【0075】
好ましくは、TLR7アゴニストは皮膚癌又は腎臓癌を治療するために使用される。TLR7の活性化に対する所与の癌の感度は、限定するわけではないが、原発腫瘍量又は転移腫瘍量の減少の測定(微少、部分もしくは完全退縮)、ヘモグラムの変化、血液中の変化したホルモンもしくはサイトカイン濃度、腫瘍量のさらなる増加の抑制、患者における疾患の安定化、疾患に関連するバイオマーカーもしくはサロゲートマーカーの評価、患者の総体的な生存が長引くこと、患者の疾患の進行の時間が長引くこと、進行がなく患者の生存が長引くこと、疾患がなく患者の生存が長引くこと、患者の生活の質が改善すること、又は、患者の併存症の調整(たとえば、限定するわけではないが、痛み、悪液質、動態化、入院、ヘモグラムの変化、体重損失、創傷治癒、熱)によって評価されうる。
【0076】
本発明に係る化合物は、さらに、多くの異なる様式で免疫応答を調節することができる免疫応答調節剤として有用で、それにより、様々な疾患の治療に有用となる可能性がある。
【0077】
本発明に係る化合物の投与により誘導されうるサイトカインとしては、一般に、インターフェロン(IFN)及び/又は腫瘍ネクローシス因子−α(TNF−α)ならびに特定のインターロイキン(IL)が挙げられる。本発明の化合物により生合成が誘導されるサイトカインとしては、IFN−α、TNF−α、IL−1、6、10及び12ならびに様々な他のサイトカインが挙げられる。効果の中でとりわけ、サイトカインはウイルス産生及び腫瘍細胞成長を抑制し、このことが、化合物を腫瘍及びウイルス疾患の治療に有用なものとしている。
【0078】
サイトカインの産生を誘導する能力に加えて、本発明の化合物は生来の免疫応答の他の側面に影響を及ぼす。たとえば、ナチュラルキラー細胞活性は刺激されることができ、その効果はサイトカイン誘導による可能性がある。化合物は、また、マクロファージを活性化することができ、それにより、一酸化窒素の分泌及びさらなるサイトカインの産生を刺激する。さらに、化合物はB−リンパ球の増殖及び分化を生じさせることができる。
【0079】
本発明の化合物は、また、後天性免疫応答に対する効果を有することができる。たとえば、特定の理論に拘束されるつもりはないが、T細胞に対する直接的効果も、T細胞サイトカインの直接誘導に対する直接的効果も存在しないものと信じられ、Tヘルパータイプ1(Th1)サイトカインであるIFN−γの産生は間接的に誘導され、そしてTヘルパータイプ2(Th2)サイトカインであるIL−4、IL−5及びIL−13の産生は化合物の投与時に抑制されている。この活性は、Th1応答の発現上昇及び/又はTh2応答の発現低下が望まれる疾患の治療に有用であることを意味する。式Iの特定の化合物がTh2免疫応答を抑制することができる能力の点で、化合物はアトピー性疾患、たとえば、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、全身性エリテマトーデスなどのTh2応答の過剰刺激に関連する状態の治療において有用であり、細胞性免疫のためのワクチン補助剤として有用であり、そして可能性としては、再発性の真菌類による疾患、歯周病及びクラミジアの治療薬として有用であることが期待される。
【0080】
本化合物の免疫応答調節効果によって、その化合物が幅広い状態の治療に有用となっている。IFN−α及び/又はTNF−α及びIL−12などのサイトカインの産生を誘導する能力のために、本化合物はウイルス性疾患及び腫瘍の治療に特に有用である。この免疫調節活性は、本発明の化合物が、限定するわけではないが、ウイルス性疾患、たとえば、陰部疣贅、尋常性疣贅、足底疣贅、B型肝炎、C型肝炎、単純ヘルペスタイプI及びタイプII、伝染性軟属腫、HIV、CMV、VZV、子宮頸部上皮内腫瘍などの上皮内腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)及び関連腫瘍形成、真菌性疾患、たとえば、カンジダ、アスペルギルス及びクリプトコッカス髄膜炎、腫瘍性疾患、たとえば、基底細胞癌、ヘアリーセル白血病、カポジ肉腫、腎細胞癌、扁平上皮癌、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫及び他の癌、寄生虫病、たとえば、ニューモシスチス−カリニ、クリプトスポリジウム症、ヒストプラズマ症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染及びリーシュマニア症、及び、細菌感染、たとえば、結核及びマイコバクテリウム・アビウムによる感染などの疾患の治療に有用であることを示唆する。本発明の化合物を用いて治療されうる追加の疾患又は状態としては、湿疹、好酸球増多症、原発性血小板血症、ハンセン病、多発性硬化症、オーメン症候群、円盤状ループス、ボーエン病、ボーエノイド・バピュローシス、及び、慢性創傷を含む創傷の治癒能力を改善し又は刺激することが挙げられる。
【0081】
したがって、本発明は有効量の式Iの化合物を動物に投与することを含む、動物、特に哺乳類、好ましくはヒトにおいてTLR7を活性化する方法を提供する。化合物の有効量は当該技術分野において知られている要因によって変動するが、その量は約100ng/kg〜約60mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約30mg/kg、より好ましくは約10μg/kg〜約5mg/kgであるものと期待される。
【0082】
本発明は、また、有効量の式Iの化合物を動物に投与することを含む、動物においてウイルス感染症を治療する方法を提供する。ウイルス感染症を治療し又は抑制するための有効量は、未処置の対照の動物と比較して、ウイルス感染症の1つ以上の症状、たとえば、ウイルス病変、ウイルス量、ウイルス産生速度及び死亡率が低減するであろう量である。正確な量は当該技術おいて知られている要因によって変化するであろうが、TLR7の活性化については上記に示したとおりの投与量であることが期待され、又は、約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約5mg/kgの投与量であることが期待される。
【0083】
腫瘍性状態を治療するのに有効な量は腫瘍サイズ又は腫瘍病巣数の減少をもたらす量である。ここでも、正確な量は当該技術おいて知られている要因によって変化するであろうが、TLR7の活性化については上記に示したとおりの投与量であることが期待され、又は、約100mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10mg/kg〜約5mg/kgの投与量であることが期待される。
【0084】
本発明に係る化合物は、たとえば、下記のとおりに、そして、下記の特定の反応工程に従って、又は、特に、下記の実施例の例によって記載されるとおりの様式で調製されうる。
【0085】
反応スキームAに示すように、Rが上記のとおりの意味である式7の化合物は、キノリン−4−オールを硝酸によって処理し、式1のニトロ誘導体を提供し、それを、さらにN,N−ジメチルホルムアルデヒドの存在下にオキシ塩化リンと反応させ、式2の4−クロロ−3−ニトロキノリンを生じさせる。(4−アミノ−ブチル)−カルバミン酸tert-ブチルエステルとの反応時に式2の化合物は式4の化合物となり、その後、それはトルエンの存在下にトリエチルオルトプロピオネートと反応させて、式5の化合物を提供する。式5の[4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチル]−カルバミン酸tert-ブチルエステルを、その後、脱保護して、式6の4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチルアミンを提供する。式6の化合物を、その後、適切な複素環式ケトンで処理して、式7の所望の化合物を得る。
【0086】
【化3】

スキームA
【0087】
反応スキームBに示すように、Rが−CO−Rであり、そして他の全ての符号が上記のとおりの意味である式Iの化合物は、式7の化合物を式R−CO−O−CO−Rの適切な酸無水物と反応させて、式8の化合物を得て、それを、その後、m−クロロ過安息香酸で処理して、式9のN−オキシド誘導体を生じさせることにより得ることができる。式9の化合物を、アンモニア水溶液を用いてアミノ化にさらに付し、所望の式Iの化合物を得る。
【0088】
【化4】

スキームB
【0089】
反応スキームCに示すように、Rが水素であり、そして他の全ての符号が上記のとおりの意味である式Iの化合物は、式7の化合物をジ−tert-ブチルジカーボネートと反応させて、式10の化合物を得て、それを、その後、m−クロロ過安息香酸で処理して、式11のN−オキシド誘導体を生じさせることにより得ることができる。式11の化合物を、アンモニア水溶液を用いてアミノ化にさらに付し、式12の化合物を得て、それを酸性条件を用いて脱保護して、所望の式Iの化合物を得る。
【0090】
【化5】

スキームC
【0091】
もし出発化合物又は中間体化合物に幾つかの反応中心が存在するならば、1つ以上の反応中心を保護基によって一時的にブロックし、所望の反応中心で特に反応を進行させうることが当業者に知られている。
【0092】
本発明に係る化合物は本来的に知られている様式で、たとえば、真空中で溶剤を留去させそして残留物を適切な溶剤から再結晶させること又は慣用の精製法のいずれか1つ、たとえば、適切な支持材料上でのカラムクロマトグラフィーに付すことにより分離されそして精製される。
【0093】
本発明に係る式(I)の化合物の塩は、遊離化合物を適切な溶剤(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどのエーテル、塩化メチレン又はクロロホルムなどの塩素化炭化水素、メタノール、エタノール又はイソプロパノールなどの低分子量脂肪族アルコール)であって、所望の酸又は塩基を含むもの、又は、所望の酸又は塩基をその後に添加するものに溶解させることで得ることができる。酸又は塩基は、一塩基酸もしくは多塩基酸又は塩基が関与するかによって、そしてどの塩を所望するかによって、等モル定量比又はそれとは異なる比で塩形成において使用されうる。塩は、ろ過させ、再沈殿させ、塩のための非溶剤により沈殿させ、又は、溶剤を蒸発させることにより得られる。得られた塩は遊離化合物に転化されてよく、それは、また、塩に転化されてよい。このようにして、工業規模での製造におけるプロセス生成物として得られることがある、医薬上許容されない塩は、当業者に既知の方法によって医薬上許容される塩に転化されうる。
【0094】
本発明に係る式(I)の化合物は、たとえば、メタノール中の過酸化水素の補助により、又は、ジクロロメタン中のm−クロロ過安息香酸の補助により、N−オキシドに転化されうる。当業者はN−酸化を行う反応条件を知っている。
【0095】
立体異性体の形態で存在する本発明に係る化合物及び塩の純粋なジアステレオマー及び純粋な鏡像異性体は、たとえば、非対称合成を用い、合成においてキラル出発化合物を用いそして合成により得られた鏡像異性体及びジアステレオマー混合物を分離することにより得ることができる。
【0096】
鏡像異性体及びジアステレオマー混合物は当業者に既知の方法によって純粋な鏡像異性体及び純粋なジアステレオマーに分離されうる。好ましくは、ジアステレオマー混合物は結晶化、特に、分別結晶化、又は、クロマトグラフィーにより分離される。鏡像異性体混合物は、キラル補助剤とともにジアステレオマーを形成し、得られたジアステレオマーを分解しそしてキラル補助剤を除去することにより分離されうる。キラル補助剤として、たとえば、ジアステレオマー塩の形成により、キラル酸を用いて鏡像異性体塩基を分離することができ、そしてキラル塩基を用いて鏡像異性体酸を分離することができる。さらに、ジアステレオマーエステルなどのジアステレオマー誘導体は、キラル補助剤として、それぞれキラル酸又はキラルアルコールを用いて、それぞれアルコールの鏡像異性体混合物又は酸の鏡像異性体混合物から形成することができる。さらに、ジアステレオマー錯体又はジアステレオマークラスレートを用いて鏡像異性体混合物を分離することができる。又は、鏡像異性体混合物は、クロマトグラフィーにおいてキラル分離カラムを用いて分離されうる。鏡像異性体の別の適切な分離方法は酵素分離である。
【0097】
当業者が評価するであろうとおり、本発明は本明細書中に記載された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲により規定されるとおりの本発明の範囲及び精神の範囲内での上記の実施形態のすべての変更を網羅する。
【0098】
下記の実施例は、本発明を限定することなく、より詳細に本発明を例示する。本発明に係る化合物のうち、調製法が明記されていないさらなる化合物は類似の様式で調製されうる。
【0099】
実施例に記載された化合物及びその塩は本発明の好ましい実施形態を示す。
【実施例】
【0100】
式6の4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチルアミンの調製
工程−I:3−ニトロ−キノリン−4−オール
プロピオン酸中のキノリン−4−オール(1当量)の混合物を攪拌しながら125℃に加熱した。硝酸(2.2当量)を攪拌されている溶液に滴下して加え、その間、反応混合物の温度を125℃に維持した。反応物を125℃で15分間攪拌し、そして周囲温度に冷却した。反応物をエタノールで希釈し、そして固形分を減圧ろ過により回収した。固形分を順次、エタノール、水及びエタノールで洗浄した。得られた黄色の固形分を還流エタノール中で加熱し、そして熱混合物からろ過して、純粋な3−ニトロ−キノリン−4−オールを提供した。
【0101】
工程−II:4−クロロ−3−ニトロ−キノリン
N,N−ジメチルホルムアミド中の工程1で得られた式1の化合物のサスペンションをよく攪拌したものに、オキシ塩化リン(1.2当量)をゆっくりと添加した。30分間攪拌しながら、反応混合物をさらに50℃に加熱した。得られた溶液を周囲温度に冷却し、そして氷/水混合物中に注いだ。固形分をろ過により回収し、そして乾燥して、4−クロロ−3−ニトロ−キノリンを提供した。
【0102】
工程−III:tert-ブチル{4−[(3−ニトロキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメート
(4−アミノ−ブチル)−カルバミン酸tert-ブチルエステル(1.2当量)及びトリエチルアミン(1.5当量)のエタノール中の溶液に、式2の化合物(1当量)を添加した。その後、反応混合物を15分間還流し、その後、水で希釈して、不純物生成物を沈殿させ、それをろ過により分離した。飽和水酸化アンモニウム溶液をろ液に添加し、そして沈殿した固形分を減圧ろ過により回収し、そして乾燥して、式3のtert-ブチル{4−[(3−ニトロキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメートを生じた。
【0103】
工程−IV:tert-ブチル{4−[(3−アミノキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメート
式3の化合物(1当量)、炭素上5%パラジウム(2%wt)及び硫酸マグネシウムの酢酸エチル中のサスペンションをパール装置(parr apparatus)で50psiの水素ガスで4時間水素化した。その後、得られた反応混合物をろ過し、そしてろ液を減圧下に濃縮し、未精製固形分を生じ、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式4のtert-ブチル{4−[(3−アミノキノリン−4−イル)アミノ]ブチル}カルバメートを提供した。
【0104】
工程−V:tert-ブチル[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]カルバメート
式4の化合物(1当量)のトルエン中の溶液に、トリエチルオルトプロピオネート(2当量)を添加し、得られた反応混合物を80〜90℃で5時間加熱した。その後、反応混合物を冷却し、そして溶剤を蒸発させて、トルエンを50%除去した。残りの反応混合物に、氷−水を添加し、そして生成物を白色固形分として沈殿させ、それを、その後、減圧ろ過により分離させ、乾燥して、式5のtert-ブチル[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]カルバメートを提供した。
【0105】
工程VI:4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブタン−1−アミン
工程Vで得られた式5の [4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルのトリフルオロ酢酸中の溶液を40℃で4時間攪拌した。その後、反応混合物を氷−水混合物上に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮して、式6の4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブタン−1−アミンを提供した。
【0106】
例I:N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド
工程I:N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロチオフェン−3−アミン
工程VIで得られた4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチルアミンのテトラヒドロフラン中のサスペンションに、酢酸(1当量)及びジヒドロチオフェン−3−オン(1.1当量)を添加した。得られた反応混合物を10分間攪拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(2.2当量)を反応混合物に1時間にわたって添加し、そして得られたサスペンションを、その後、4〜5時間攪拌した。その後、反応をメタノールでクエンチし、乾燥まで濃縮した。反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性化し、そしてクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下に濃縮し、粘性固形分を生じた。その後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、[4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチル]−(テトラヒドロチオフェン−3−イル)−アミンを提供した。
【0107】
工程II:N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(テトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド
[4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチル]−(テトラヒドロ−チオフェン−3−イル)−アミンのジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(1.5当量)及び無水酢酸(1.5当量)を添加し、そして周囲温度で4時間攪拌した。その後、反応混合物をジクロロメタン中で希釈し、そして重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮し、N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(テトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミドを提供した。
【0108】
工程III:N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)−N−[4−(2−エチル−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−アセトアミド
N−[4−(2−エチル−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(テトラヒドロチオフェン−3−イル)−アセトアミドのクロロホルム中の溶液に、m−クロロ過安息香酸(4当量)を添加し、周囲温度で2時間攪拌した。その後、反応混合物をクロロホルムで希釈し、そして重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮して、粘性塊を生じた。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて生成物を精製し、N−[(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)−N−[4−(2−エチル−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アセトアミドを提供した。
【0109】
工程IV:N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド
(1,1−ジオキソ−テトラヒドロ−1λ−チオフェン−3−イル)−N−[4−(2−エチル−5−オキシ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−ブチル]−アセトアミドのクロロホルム中の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(1.2当量)を添加し、次いで、水酸化アンモニウム水溶液を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩攪拌した。その後、反応混合物をクロロホルムにより希釈し、そして重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮し、粘性固形分を提供し、その後、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、題記の化合物を提供した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.29(dd, 1H, J=8,4&J=3.OHz), 8.21(dd, 1H, J=8.4Hz, J=3.0Hz), 7.65(m, 2H), 5.49(s, 2H), 4.58(t, 2H), 3.78(t, 2H), 3.3(t, 2H), 3.02(q, 2H), 2.34(d, 2H), 2.2(t, 1H), 2.1(s, 3H), 2.09(m, 2H), 1.9(m, 2H), 1.79(m, 2H), 1.55(t, 3H)
例2〜4も例1の手順に従って調製した。
【0110】
例II:N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−メチル−1−オキシドピペリジン−4−イル)アセトアミド
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.24(dd, 1H, J=8.4&J=3.0Hz), 8.19(dd, 1H, J=8.4&J=3.0Hz), 7.60(m, 2H), 5.60(s, 2H), 4.52(t, 2H), 3.75(t, 2H), 3.4(m, 1H), 3.2(m, 4H), 3.12(q, 2H), 2.16(s, 3H), 2.01(m, 2H), 1.99(m, 4H), 1.70(m, 2H), 1.51(t, 3H)
【0111】
例III:3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm):8.35(dd, 1H, J=8.4&J=3.OHz), 8.29(dd, 1H, J=8.4&J=3.0Hz), 7.63(m, 2H), 5.56(s, 2H), 4.50(t, 2H), 4.42(m, 1H), 3.70(t, 2H), 3.62(m, 1H), 3.35(t,2H), 3.12(q, 2H), 2.15(s,3H), 2.05(m, 2H),1.92(d, 3H),1.8(t, 2H) 1.70(m, 2H), 1.51(t, 3H)
【0112】
例IV:N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−ベンジル−2−メチル−1−オキシドピロリジン−3−イル)アセトアミド
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 8.31(dd, 1H, J=8.4&J=3.0Hz), 8.15(dd, 1H, J=8.4Hz, J=3.0Hz), 7.62(m, 2H), 7.55(m, 5H), 5.59(s, 2H), 4.50(t, 2H), 3.71(t, 2H),3.35(t, 2H), 3.23(s, 2H), 3.21(q, 2H),2.19(d, 2H), 2.15(t, 1H), 2.10(s, 3H), 2.09(m, 2H), 1.9(m, 2H),1.79(m, 2H), 1.55(t, 3H)
【0113】
例V:2−エチル−1−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ブチル]−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−4−アミン
工程−I:N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン
例Iの工程IVで得られた4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブタン−1−アミンのテトラヒドロフラン中のサスペンションに、酢酸(1当量)及びテトラヒドロピラン−4−オン(1.1当量)を添加した。得られた反応混合物を10分間攪拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(2.2当量)を反応混合物に1時間にわたって添加し、その後、得られたサスペンションを4〜5時間攪拌した。その後、メタノールで反応をクエンチし、乾燥まで濃縮した。反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液を用いて塩基性化し、そしてクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮し、粘性固形分を提供した。その後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを提供した。
【0114】
工程−II:tert-ブチル[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメート
N−[4−(2−エチル−1H−イミダゾ [4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンのジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(1.5当量)を添加し、次いで、ジ−tert-ブチル−ジカーボネート(1.5当量)を添加し、そして得られた反応混合物を周囲温度で4時間攪拌した。その後、反応混合物を完全に蒸発させ、ジクロロメタン中に溶解させ、水で洗浄し、そして有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下に濃縮し、tert-ブチル[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートを提供した。
【0115】
工程−III:tert-ブチル[4−(2−エチル−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメート
tert-ブチル[4−(2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートのクロロホルム中の溶液に、m−クロロ過安息香酸(4当量)を添加し、そして周囲温度で2時間攪拌した。その後、反応混合物をクロロホルムで希釈し、そして重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下に濃縮し、粘性塊を生じた。その後、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、tert-ブチル[4−(2−エチル−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートを提供した。
【0116】
工程−IV:tert-ブチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメート
tert-ブチル[4−(2−エチル−5−オキシド−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートのクロロホルム中の溶液に、p−トルエンスルホニルクロリド(1.2当量)を添加し、次いで、水酸化アンモニウム水溶液を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮し、粘性塊を生じさせ、それを、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、tert-ブチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートを提供した。
【0117】
工程−V:2−エチル−1−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ブチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
tert-ブチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルバメートのトリフルオロ酢酸中の溶液を40℃で4時間攪拌した。その後、反応混合物を氷−水混合物上に注ぎ、そしてクロロホルムで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下に濃縮し、題記の化合物を提供した。
1H NMR (300 MHz,MeOD) δ (ppm):8.2(d, 1H, J=8.1Hz), 7.75(m, 2H), 7.6(dt, 1H, J=1.5 & 7.2Hz),4.69(t, 2H), 4.01(d, 1H), 3.98(d, 1H), 3.4(m, 3H), 3.2(m, 2H), 3.1(m, 2H), 2.0(m, 4H), 1.9(m, 4H), 1.5(t, 3H)
例6〜7も例5の手順に従って調製した。
【0118】
例VI:1−[4−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミノ)ブチル]−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
1H NMR (300 MHz, MeOD) δ (ppm): 8.01(d, 1H, J=8.4Hz), 7.67(dd, 1H, J=1.2 & 8.4 Hz), 7.4(dt, 1H, J=1.5 & 7.8Hz), 7.33(dt, 1H, J=1.2 & 7.5Hz), 4.5 (m, 2H), 4.2(m, 2H), 3.6(m, 1H), 3.4(m, 1H), 3.1(m, 2H), 3.0(q, 2H), 2.7(m, 2H), 1.9(m, 3H), 1.7(m, 2H), 1.5(t, 3H), 1.4(m, 2H), 1.3(m, 3H)
【0119】
例VII:1−{4−[(1,1−ジオキシド−3,4−ジヒドロ−2H−チオクロメン−4−イル)アミノ]ブチル}−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
1H NMR (300 MHz5 MeOD) δ (ppm);8.2(d, 1H, J=8.1Hz), 7.80(dt, 1H, J=1.5 & 6.3Hz), 7,73(d, 1H, J=7.5Hz), 7.64(dt, 1H, J=1.5 & 7.5Hz), 7.5(m, 4H), 4.59(t, 2H), 3.97(t, 1H), 3.70(m, 1H), 3.02(q, 2H), 2.71(m, 3H), 2.50(m, 2H), 1.99(m, 2H), 1.69(m, 2H), 1.48(t, 3H)
【0120】
例A−インビトロプロファイリング:
TLR7を活性化する化合物を試験するためにヒト癌細胞ライン(PCIR−1)又はヒトPBMCフラクションを用いて細胞アッセイを確立する。
【0121】
エンドソームTLRを通したシグナル伝達を抑制するクロロキンを添加することによりTLR7及び9に対する特異性をチェックした。PCIR−1系は384−ウェルフォーマットにおけるビーズベースのアッセイによってインターフェロン結合サイトカインIP10を測定するのに適する。
PCIR−1におけるTLRmRNA発現(TaqMan PCR分析)
TLR1++,TLR2(+),TLR3+,TLR4++,TLR5(+),TLR6++,TLR7++,TLR8−,TLR9+++,TLR10−
【0122】
TLRアゴニスト参照化合物、LPS(TLR4アゴ(ago))、レシキモド(イミダゾキノリン)及びH2006(CpGオリゴヌクレオチド)によるこの細胞ラインの処理により、強いサイトカインmRNA誘導がもたらされる。ポリ−I−C二本鎖RNA(TLR3アゴ(ago))、15時間後にIP−10の40倍誘導)及びMALP−2(TLR2/6ヘテロダイマーアゴ(ago)、15時間後にIP−10の100倍誘導)に対する応答を検知する。
【0123】
RNA誘導データは、特にIP−10サイトカイン及びIL8サイトカインの強い放出、また、IL6、IL12p40/p70及びIL10の有意なタンパク質レベルを示すパラレルLuminex分析によって確認された。
【0124】
TLR7及びTLR9(両方ともエンドソームにおいて発現)を介したシグナル伝達はエンドソームpH勾配を妨害することが知られているクロロキンの添加によって完全にブロックされうる。対照的に、LPSによるTLR4シグナル伝達は影響されない(図1)。
【0125】
高又は中スループットフォーマットにおけるTLRアゴニスト−スクリーニングカスケードの現在の概念を図2に要約する。
【0126】
本発明の化合物をmRNA又はタンパク質レベルで特定のサイトカイン誘導について試験する。化合物は細胞アッセイにおいて効力を示す(図3)。
【0127】
例B−インビボPDプロファイリング:
以下において、参照化合物及び本発明に係る化合物を用いた研究をLeja A, Hofmann HP, Maier T, Drache D, Grebe C, Fischer S, Gimmnich P, Sanders K, Gekeler Vに記載された腎がん細胞の肺転移(Renca lung metastasis)モデルで示す。Balb/cマウスの腎がん細胞の肺への転移はTLR9又はTLR7アゴニストによって強く抑制される。Abstract 3552, Proc Am Cancer Res 48, 2007。
【0128】
図4A及び4Bは参照化合物(TLR9及びTLR7アゴニストで、それらはSMOL又はオリゴヌクレオチド、TOG=7−チア−8−オキソグアノシン、IMDZQ=イミダゾキノリン誘導体)の結果を示す。
【0129】
特に、雌のBalb/cマウス(n=10)をRenca LacZ腫瘍細胞注入の後、第1日又は第8日から始めて4日間連続で処置した。示しているとおり、SMOLを20%PEG中で投与し、オリゴヌクレオチドを0.9%NaCl中で投与した。肺を腫瘍細胞注入から25日後に切除した(図4Aを参照されたい)。さらに、雌のBalb/cマウス(n=5)を示したとおりに4日間連続で処置した。SMOLを20%PEG中で投与し、オリゴヌクレオチドを0.9%NaCl中で投与した。処置の4日目に、環状叢(orbital plexus)を介して血液を回収し、脾臓を切除した。次いで、mRNAをqPCRによる発現分析のために分離した。データをビヒクル対照物に対して正規化した(平均を1に設定)。統計評価をマン・ホイットニー(Mann-Whitney)試験によって行った(図4Bを参照されたい)。
【0130】
対照化合物としてSMOLについて上記したのと同一の条件下に、3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール(TLR アゴ(ago) 1、例III)及びN−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド(TLRアゴ(ago)2、例I)(これらの両方の化合物は本発明に係る化合物である)を腎がん細胞の肺転移(Renca lung metastasis)モデルにおいて試験する。
【0131】
3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール(TLR アゴ(ago) 1、例III)は短期間の処置(d1−4)の後に肺での実質的に完全な排除をもって強い転移抑制効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(上式中、Rは、−H、アルキル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、ここで、
アルキル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ヘテロシクリル又はヘテロアリールは未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
AはC−Cアルキルであり、
Bは−N(R)(R)であり、
はH又は−(CO)−Rであり、
は、アルキル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、ここで、その各々は未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、
は、−H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルからなる群より選ばれ、ここで、
アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい)の化合物、又は、その医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体、又はそれらの組み合わせ。
【請求項2】
は、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルからなる群より選ばれ、ここで、その基の各々は未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、その基は、−H、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲン、−OH、−N、トリフルオロメチル、−アルキル−アリール、O−アルキル−アリール、−CO−アリール、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CO−ヘテロアリール、−CO−置換アリール、−CO−置換ヘテロアリール、−CO−O−アルキル、−CO−N−アルキル、−CO−N−アリールからなる群より選ばれる、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項3】
は、アルキル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選ばれ、ここで、その基は1つ以上の置換基によって場合により置換されていてよく、その置換基の各々は、−H、−OH、ハロゲン、−CO−N(R、−N(R、−CO−C1−10アルキル、−CO−O−C1−10アルキル、−N、場合により置換されているアリール、ヘテロシクリル又は−CO−アリールからなる群より選ばれ、
各Rは−H、−C1−10アルキル、−C1−10アルキル−アリール又はアリールからなる群より独立に選ばれる、請求項1又は2記載の式Iの化合物。
【請求項4】
は1つ以上の置換基によって置換されており、その置換基は、−H、−OH、ハロゲン、−CN、−NO、−COOH、−SH、−CO−C1−6アルキル、−CO−O−C1−6アルキル、−N、場合により置換されているアリール、ヘテロシクリル、−CO−アリール及び−CO−ヘテロシクリルからなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項5】
は水素である、請求項1〜4のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項6】
は−(CO)−Rであり、
はアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルからなる群より選ばれ、その各々が未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい、請求項1〜4のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項7】
はアルキニル又はアルコキシであり、
は−(CO)−Rである、請求項1〜4及び6のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項8】
はヘテロシクリルであり、それは未置換であっても、又は、1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、その置換基は、好ましくは、−H、アルキル、アルケニル、ハロゲン及び−OHからなる群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項9】
はジオキソ−テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、ピリジジン、テトラヒドロピラニル及びアザビシクロオクタニルからなる群より選ばれ、その各々は1つ以上の基によって場合により置換されていてよい、請求項1〜8のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項10】
はアルキルであり、好ましくはエチルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項11】
はアルキルであり、好ましくはメチルである、請求項1〜10のいずれか1項記載の式Iの化合物。
【請求項12】
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1,1−ジオキシドテトラヒドロ−3−チエニル)アセトアミド、
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−メチル−1−オキシドピペリジン−4−イル)アセトアミド、
3−{アセチル[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]アミノ}−2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシペンチトール、
N−[4−(4−アミノ−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)ブチル]−N−(1−ベンジル−2−メチル−1−オキシドピロリジン−3−イル)アセトアミド、
2−エチル−1−[4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアミノ)ブチル]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、
1−[4−(1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルアミノ)ブチル]−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、又は、
1−{4−[(1,1−ジオキシド−3,4−ジヒドロ−2H−チオクロメン−4−イル)アミノ]ブチル}−2−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンである、請求項1記載の化合物、又は、その医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体、又はそれらの組み合わせ。
【請求項13】
医薬としての使用のための請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
TLR7活性化に感受性である疾患の治療における使用のための請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
前記疾患はTLR7の活性化に感受性であるウイルス性もしくは腫瘍性疾患又は癌である、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
医薬上許容されるキャリアとの組み合わせで、請求項1〜12のいずれか1項記載の式Iの化合物を治療に有効な量で含む、医薬組成物。
【請求項17】
対象に対して約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約5mg/kgの化合物という投与量を提供するのに十分な量の式Iの化合物、又は、その医薬上許容される溶媒和物、塩、N−オキシドもしくは立体異性体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
TLR7活性化に感受性である疾患の治療における使用のための請求項16又は17記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記疾患はTLR7の活性化に感受性であるウイルス性もしくは腫瘍性疾患又は癌である、請求項18記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物、又は、請求項16又は17記載の医薬組成物のTLR7の活性化のための医薬の製造のための使用。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物、又は、請求項16又は17記載の医薬組成物のウイルス性もしくは腫瘍性疾患の治療のための医薬の製造のための使用。
【請求項22】
請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物、又は、請求項16又は17記載の医薬組成物のTLR7の活性化に感受性である癌の治療のための医薬の製造のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515436(P2011−515436A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501192(P2011−501192)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053399
【国際公開番号】WO2009/118296
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(507208200)4エスツェー アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】