説明

新規イソプレノイドキノン類

【課題】 ノカルディア科微生物の新規な化学分類指標物質及び該物質の微生物を用いた製造法、ノカルディア科微生物の化学分類方法を提供する。
【解決手段】 下記の式(I)と(II)で表される化合物、並びに微生物を用いる該化合物の製造方法、並びにそれら化合物を指標とした微生物の分類法。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分類の指標として有用な新規化合物、および微生物を用いたその製造法、並びにそれら化合物を指標とした微生物の分類法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細菌の化学分類の重要な指標として、一般的にほとんどの細菌に含まれている菌体内脂肪酸組成とイソプレノイドキノン(以下単に「キノン」と称する)組成が主に使用されてきた(非特許文献1)。キノンは、細菌の細胞膜に含まれる呼吸鎖や光合成電子伝達鎖の必須成分である。構造的にはナフトキノン型およびベンゾキノン型の2つに大別され、それぞれメナキノン(2-Methyl-3-polyprenyl-1,4-naphthoquinone)とユビキノン(2-methyl-1,3-methoxy-3-polyprenyl-1,4-benzquinone)に代表される。両キノングループにはいくつかの生合成上の誘導体が存在する。化学分類上有効な指標となりうるのは、キノン骨格の構造的差異の他、イソプレノイド側鎖の長さと水素飽和度、修飾基の有無等である。このような分類群に特有なキノンの構造的差異は遺伝的に安定しており、培養環境条件の影響による優占キノン種の変動もほとんどない。
【0003】
グラム陽性菌のノカルディア科に属する微生物は、炭化水素分解能を有しているものは活性汚泥中で重要な役割を果たしていたり(特許文献1、2)、魚の感染症の原因となる場合もあり、菌の分類学的同定が必要なことが多い。今までの研究で、ノカルディア属の微生物の優占キノン種は、メナキノンのイソプレノイド側鎖の末端がシクロヘキセン環になった珍しいものであることが明らかになっている(非特許文献2、3)。しかしながら、調べられた微生物はノカルディア科のなかの限られた属でしかないので、それ以外の属の新規優占キノン種の解明と、その新規キノン化合物の提供が望まれている。
【0004】
【非特許文献1】Goodfellow, M. and O’Donnell, A. G. (eds.) (1994) Chemical methods in prokaryotic systematics. John Wiley & Son, Chichester.
【非特許文献2】Howarth, O. W., Grund, E., and Kroppenstedt, R. M. Biochem. Res. Commun., 140, 916-923(1986).
【非特許文献3】Collins, M. D., Howarth, O. W., Grund, E., and Kroppenstedt, R. M., FEBS Microbial. Lett., 41, 35-39(1987).
【特許文献1】特開2002−101872号公報
【特許文献2】特開2004−222526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、新規な優占キノン種をノカルディア科の新規微生物から検索し、その新規 キノン化合物およびその製造法、ならびに新規キノン化合物を指標とした化学分類法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、自然界から新たに分離されたノカルディア科の新規微生物の生産する優占キノン種が、新規キノン化合物であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供するものである。
【0008】
(1)下記式(I)で表される化合物。
【0009】
【化3】

【0010】
(2)下記式(II)で表される化合物。
【0011】
【化4】

【0012】
(3)ノカルディア科に属し、(1)記載の化合物と(2)記載の化合物とを生産することを特徴とする微生物。
【0013】
(4)配列番号1記載の塩基配列と97%以上の相同性を示す塩基配列で表される16S rRNA遺伝子を持つ(3)記載の微生物。
【0014】
(5)(1)記載の化合物又は(2)記載の化合物を生産する能力を有するノカルディア科微生物を培地に培養し、培養物中に(1)記載の化合物又は(2)記載の化合物を生成蓄積させ、該培養物から(1)記載の化合物又は(2)記載の化合物を採取することを特徴とする(1)記載の化合物又は(2)記載の化合物の製造法。
【0015】
(6)(1)記載の化合物又は(2)記載の化合物を指標とするノカルディア科に属する微生物の分類法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、微生物の新規な化学分類指標物質及び該物質の微生物を用いた製造法を提供する。本発明の化合物は、ノカルディア科微生物の分類の指標として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の化合物は、最初にノカルディア科新規(新属新種)微生物 Hou_blue株から単離・精製された化合物である。本発明の化合物の性質及びその製造方法について以下に詳述する。
【0019】
1.本発明の化合物の性質
本発明の化合物は、下記式(I)ならびに(II)により表される化合物である。
【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
上記式(I)で表される化合物の理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :黄色
(2)分子量 :720
(3)分子式 :C51H76O2
(4)質量分析 :高分解能FABMS(高速中性粒子衝突イオン化質量分析)
実測値 720.5858 [M]
計算値 720.5842(C51H76O2
(5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中) λmax(logε) 248nm (4.07)、262nm (3.99)、328nm (3.29)
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、750MHz)
δppm 0.81(3H, d, J=6.6Hz), 0.82(3H, s), 0.83(3H, d, J=6.6Hz), 0.90(3H, s), 0.96-1.16(5H, m), 1.17-1.40(13H, m), 1.44(1H, m), 1.52(3H, m), 1.57(3H, s), 1.58(6H, s), 1.65(2H, m), 1.71(1H, m), 1.76(3H, s), 1.92(4H, m), 1.96(6H, m), 2.05(5H, m), 2.18(3H, s), 3.36(2H, d, 6.9Hz), 4.52 (1H, s), 4.74 (1H, s), 5.00(1H, t, 6.8Hz), 5.10(3H, m), 7.68(1H, m), 8.07(1H, m)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 12.77, 16.05, 16.11, 16.19, 16.40, 16.73, 19.78, 23.84, 24.50, 24.90, 25.40, 25.57, 26.09, 23.36, 26.76, 26.80, 28.53, 32.53, 32.63, 32.72, 34.95, 36.46, 36.74, 37.19, 37.36, 37.46, 38.29, 39.83, 39.85, 40.09, 53.65, 108.74, 108.77, 123.95, 124.24, 124.89, 126.12, 126.24, 132.11, 132.16, 133.17, 133.22, 134.49, 134.81, 135.40, 137.88, 143.25, 146.15, 149.30, 184.38, 185.32
(8)溶解性 :クロロホルム、アセトン、メタノールに可溶。
【0023】
上記式(II)で表される化合物の理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :黄色
(2)分子量 :734
(3)分子式 :C52H78O2
(4)質量分析 :高分解能FABMS
実測値 734.5914 [M]
計算値 734.6002(C52H78O2
(5)紫外線吸収スペクトル(メタノール中) λmax(logε) 248nm (4.08)、262nm (4.00)、329nm (3.29)
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、750MHz)
δppm 0.80(3H, d, J=6.6Hz), 0.81(3H, s), 0.82(3H, s), 0.83(3H, d, J=6.6Hz), 0.90(3H, s), 1.00 (3H, s), 0.96-1.16(6H, m), 1.17-1.40(14H, m), 1.40-1.52(5H, m), 1.56(6H, s), 1.57(1H, m), 1.65 (2H, m), 1.76 (3H, s), 1.88-1.94 (6H, m), 1.96-2.06(4H, m), 2.10-2.22 (2H, m), 2.18(3H, s), 3.36(2H, d, 6.9Hz), 4.55(1H, s), 4.75(1H, s), 5.00(1H, t, 6.8Hz), 5.06 (1H, t, 6.8Hz), 7.68(1H, m), 8.07(1H, m)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 12.77, 16.34, 16.40, 18.49 , 19.74, 19.78, 23.82, 24.50, 24.59, 25.41, 25.41, 25.59, 26.09, 26.48, 27.57, 28.52, 29.74, 30.96, 32.58, 32.58, 32.73, 34.78, 34.97, 36.35, 36.74, 37.01, 37.23, 37.37, 37.47, 39.01, 40.09, 41.40, 51.90, 54.67, 108.72, 118.77, 124.08, 126.12, 126.24, 127.24, 132.11, 132.16, 133.18, 133.23, 135.65, 137.89, 140.04, 143.25, 146.15, 149.49, 184.38, 185.32
(8)溶解性 :クロロホルム、アセトン、メタノールに可溶。
【0024】
2.本発明の化合物の製造
2.1.式(I)又は(II)の化合物の製造
本発明の式(I)又は(II)の化合物は、微生物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積させ、該培養物から該化合物を採取することにより製造することができる。
【0025】
(1)微生物
本発明の製造方法において用いることのできる微生物としては、ノカルディア科に属し、かつ上記式(I)又は(II)で表される化合物を生産することが可能な微生物であれば特に限定されない。そのような微生物としては、例えば、ノカルディア科Hou_blue株を挙げることができる。ノカルディア科Hou_blue株は自然界から新たに単離した株であり、細菌学的性質については以下の通りである。
【0026】
a.形態的性質
1) 細胞の形及び大きさ :球菌、0.86×0.86μm
2) 運動性の有無 :無し
b.培養的性質
1) ISP培地 No.2 平板培養 :灰緑色のコロニー形成
2) ISP培地 No.4 平板培養 :生育しない
3) ISP培地 No.5 平板培養 :生育しない
4) ISP培地 No.6 平板培養 :灰緑色のコロニー形成
5) ISP培地 No.7 平板培養 :生育しない
6) 1/10 Tryptic Soy 寒天平板培養 :灰緑色のコロニー形成
c.生理学的性質
1) 生育温度範囲 :4−37度
2) メラニン様色素の生成 :生成しない
3) アルカリホスファターゼ活性 :陰性
4) エステラーゼ(C4)活性 :陽性
5) エステラーゼリパーゼ(C8)活性 :陽性
6) エステラーゼ(C4)活性 :陽性
7) ロイシン アリルアミダーゼ活性:陽性
8) バリン アリルアミダーゼ活性 :陰性
9) シスチン アリルアミダーゼ活性:陰性
10) トリプシン活性 :陰性
11) キモトリプシン活性 :陰性
12) 酸性フォスファターゼ活性 :陰性
13) ナフトール-AS-BI-ホスホハイドロラーゼ活性:陽性
14) α-ガラクトシダーゼ活性 :陰性
15) β-ガラクトシターゼ活性 :陰性
16) β-グルクロニダーゼ活性 :陰性
17) α-グルコシダーゼ活性 :陰性
18) β-グルコシダーゼ活性 :陰性
19) α-マンノシダーゼ活性 :陰性
20) α-フコシダーゼ活性 :陰性
21)炭素源の利用性
L-アラビノース :−
D-フルクトース :+
D-グルコース :+
イノシトール :−
D-マンニトール :−
L-ラムノース :−
ラフィノース :−
シュークロース :−
D-キシロース :−
酪酸 :+
ヘキサデカン :+
基礎培地としてW培地(組成下記)を使用した。
【0027】
【表1】

【0028】
ゲノムDNAのG+C含量 63.7 mol% (HPLC法で測定)
ノカルディア科Hou_blue株の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、配列番号1に示すとおりである。Gen BankのデータベースならびにBLAST programを用い、16S rRNA遺伝子の塩基配列の相同性で近い微生物種を探索ところ、最も近いノカルディア科ロドコッカス属の既知株AJ002749.1 Rhodococcus sp. 16S rRNA gene, strain GW-86a と94%の相同性しか無く、本発明の微生物はノカルディア科の新属新種の微生物と判明した。
【0029】
なお、ノカルディア科Hou_blue株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、平成16年6月8日に、寄託番号NITE P-3として寄託されている。
【0030】
ノカルディア科Hou_blue株の代わりに、該菌株に由来する変異株、あるいは該菌株の類似菌株を挙げることができる。ここでいう「変異株」や「類似菌株」としては、例えば、ノカルディア科Hou_blue株の16S rRNA遺伝子(配列番号1)と高い相同性を示す16S rRNA遺伝子を持つ菌株を挙げることができる。「高い相同性」とは、通常、97%以上相同であることを意味し、好ましくは、98%以上相同であることを意味し、最も好ましくは100%相同あることを意味する。
【0031】
(2)微生物の培養
本発明における微生物の培養は、通常の微生物の培養方法が用いられる。培地としては、資化可能な炭素源、窒素源、無機物及び必要な生育・生産促進物質を適宜含有する培地であれば、合成培地又は天然培地のいずれでも使用可能である。炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フラクトース、糖蜜などを単独又は組み合わせて用いられる。さらに、必要に応じて炭化水素、アルコール類、有機酸、アミノ酸(トリプトファン等)なども用いられる。窒素源としては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、綿実かす、カザミノ酸などが単独又は組み合わせて用いられる。そのほか、必要に応じて食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛などの無機塩類を加える。さらに使用する微生物の生育や本発明の化合物の生産を促進する微量成分を適当に添加することができ、そのような成分は当業者であれば適当なものを選択することができる。
【0032】
培養法としては、液体培養が適しているが、これに限定されるものではない。培養温度は、20〜30℃が適当であり、培養中の培地のpHは7〜9に維持することが望ましく、震盪速度が30〜120rpmで回転又は往復震盪培養することが望ましい。液体培養で通常10〜14日間培養を行うと、目的化合物が菌体中に生成蓄積される。培養物中の生成量が最大に達した時に培養を停止する。
【0033】
(3)化合物の単離・精製
培養菌体から本発明の化合物を単離・精製するには、微生物代謝生産物をその培養物から単離・精製するために常用される方法に従って行われる。例えば培養物を濾過や遠心分離により培養瀘液と菌体に分け、菌体を凍結乾燥後クロロホルム/メタノール(2:1)混合溶媒などで抽出する。ついで、菌体抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー、HPLCなどにより精製を行い、本発明の化合物を得る。得られた化合物は、NMR解析などの通常の化学的手法により、上記「1.本発明の化合物の性質」に記載した性質を示すか否かを調べることにより、本発明の化合物であることを確認することができる。
【0034】
なお、培養、精製操作中の本発明の化合物の動向は、フォトダイオードアレイ検出器(PDA)付きHPLCならびHLPC/APCI-MSにより、紫外線吸収と質量分析値を指標として追跡することができる。
【0035】
3.本発明の化合物の用途
本発明の化合物は、下記のようにしてノカルディア科微生物の分類の指標として利用することができる。
【0036】
(1)菌体中のイソプレノイドキノンの組成分析
凍結乾燥菌体(10〜100 mg)をクロロホルム/メタノール(2:1)混合溶媒約5mLで溶解後、遠心分離により上澄み液を分離する。それを、濃縮乾固し、残査を5〜10μLのアセトンに溶解し、HPLC/PDA/APCI-MS/MS分析の試料とする。供した試料中のキノンについて、HPLCにおける保持時間、PDAによる紫外線吸収スペクトルおよびMS/MSパターンを、既知各種キノン類ならびに本発明の化合物の保持時間およびパターンと比較してキノン分子種の同定を行う。同定されたキノン類について、HPLCにおけるピーク面積の比から組成比を算出し、化学分類のためのデータとする。
【0037】
(2)キノンプロファイルによる活性汚泥中の細菌の群集解析
汚泥懸濁液にクロロホルム/メタノール(2:1)混合溶媒を加えホモジナイズあるいは超音波処理をする。遠心分離後上層の水層を捨て、中間層ならびに下層(クロロホルム層)をろ紙でろ過する。それを、濃縮乾固し、さらにヘキサン-水(1:1)で溶解後、ヘキサン層を分離する。ヘキサン層を濃縮乾固し、少量のアセトンに溶解してHPLC/PDA/APCI-MS/MS分析の試料とする。上記(1)菌体中のイソプレノイドキノンの組成分析と同様にして組成分析を行い、活性汚泥のキノンプロファイルを作成する。一般的に1つの菌種・菌属には1つの主要キノン種が存在している。したがって、活性汚泥中のキノン種の存在比はそのまま、各キノン系分類群の分布比を反映するとみなされる。活性汚泥中で炭化水素分解などの重要な働きをするノカルディア科の各属の細菌の存在比を、既知キノン種ならびに本発明の化合物を指標にして見積もることができる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕 式(I)と(II)の化合物の製造
式(I)と(II)の化合物の生産菌としてHou_blue株を用いた。該菌株を、300mLのW培地にヘキサデカンを1g加えた液体培地を入れた1Lバッフル付き三角フラスコ中で、30℃にて10日間回転振盪(100rpm)培養した。培養中、培地のpHは特に制御しなかった。
【0040】
このようにして得られた培養液10Lを遠心分離(6000×g、20分間)し、菌体のみ集めた後、クロロホルム/メタノール(2:1)で抽出した。次に、得られた菌体抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ワコーゲルC200(和光純薬)を担体として用い、移動層として、ヘキサン-酢酸エチル(8:2)(7:3)(1:1)にて準じ溶出、該化合物を含む画分を得た。
【0041】
次に、それら画分をHPLC(カラム:野村化学Develosil ODS-HG-5(直径4.6mm、長さ250mm)、移動相メタノール-イソプロパノール(7:3、v/v)にて精製し、本発明の式(I)と(II)の化合物をそれぞれ3 mg、1.5mg得た。ここで得た(I)と(II)の化合物は、前記した理化学的性質を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物。
【化1】

【請求項2】
下記式(II)で表される化合物。
【化2】

【請求項3】
ノカルディア科に属し、請求項1記載の化合物と請求項2記載の化合物とを生産することを特徴とする微生物。
【請求項4】
配列番号1記載の塩基配列と97%以上の相同性を示す塩基配列で表される16S rRNA遺伝子を持つ請求項3記載の微生物。
【請求項5】
請求項1記載の化合物又は請求項2記載の化合物を生産する能力を有するノカルディア科微生物を培地に培養し、培養物中に請求項1記載の化合物又は請求項2記載の化合物を生成蓄積させ、該培養物から請求項1記載の化合物又は請求項2記載の化合物を採取することを特徴とする請求項1記載の化合物又は請求項2記載の化合物の製造法。
【請求項6】
請求項1記載の化合物又は請求項2記載の化合物を指標とするノカルディア科に属する微生物の分類法。

【公開番号】特開2006−160699(P2006−160699A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357556(P2004−357556)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構、エネルギー使用合理化技術開発(産業システム全体の環境調和型への革新技術開発)/生物機能を活用した生産プロセスの基盤技術開発/宿主細胞創製技術の開発、細胞モデリング技術の開発、微生物遺伝資源ライブラリーの開発、総合調査研究 産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(591001949)株式会社海洋バイオテクノロジー研究所 (33)
【Fターム(参考)】