説明

新規クロメン−2−オン誘導体

本発明は、薬剤合成の出発物質として有用な新規クロメン−2−オン誘導体に関する。他の態様では、本発明は、本発明のクロメン−2−オン誘導体の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤合成の出発物質として有用な新規クロメン−2−オン誘導体に関する。
【0002】
他の態様では、本発明は、本発明のクロメン−2−オン誘導体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2006/035034号には、モノアミン神経伝達物質再取込阻害剤として有用な一群のクロメン−2−オン誘導体が開示されている。その文書では、(8−H−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルオキシ)−クロメン−2−オン−イル誘導体は、当該の8−メチル−又は8−tert−ブトキシカルボニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルオキシ−クロメン−2−オン誘導体の脱保護により合成される。
【0004】
しかし、比較的大量の医薬化合物を合成する際には、例えば、結晶性の中間体と、クロマトグラフィー精製を必要としない最終生成物とを生成するために、大規模化できることが必要とされる。
【0005】
さらに、そのプロセスが、純度及び再現性に関する特定の要件に適合すべきである。
【0006】
したがって、この群の化合物のスケールアップに関連して、より適切な合成が発明された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
その第一の態様では、本発明は式Iの化合物:
【化1】


その任意の立体異性体若しくはその立体異性体の任意の混合物、又はその付加塩を提供する(式中、Qは下記の定義に従う)。
【0008】
その第二の態様では、本発明は式Iの化合物を調製する方法を提供する。
【0009】
本発明のその他の目的は、下記の詳細な説明及び実施例から当業者には明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
クロメン−2−オン誘導体
その第一の態様では、本発明は、式Iの化合物:
【化2】


その任意の立体異性体若しくはその立体異性体の任意の混合物、又はその付加塩を提供する(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)。
【0011】
式Iの化合物の別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−イルを表す。式Iの化合物の特殊な実施形態では、Qはクロメン−2−オン−7−イルを表す。式Iの化合物の別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−6−イルを表す。式Iの化合物のさらに別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−4−イルを表す。
【0012】
式Iの化合物のさらに別の実施形態では、Qは置換クロメン−2−オン−イルを表す。別の実施形態では、クロメン−2−オン−イル基は、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で置換されている。式Iの化合物の特殊な実施形態では、Qはハロ、シアノ又はアルキル置換クロメン−2−オン−7−イル等の置換クロメン−2−オン−7−イルを表す。式Iの化合物の別の実施形態では、Qはハロ、シアノ又はアルキル置換クロメン−2−オン−6−イル等の置換クロメン−2−オン−6−イルを表す。式Iの化合物のさらに別の実施形態では、Qはハロ、シアノ又はアルキル置換クロメン−2−オン−4−イル等の置換クロメン−2−オン−4−イルを表す。
【0013】
別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、クロメン−2−オン−イル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルから成る群から選択される置換基で3位で置換されている。特殊な実施形態では、クロメン−2−オン−イルは、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で3位で置換されている。
【0014】
さらに別の特殊な実施形態では、Qは3−ハロ−クロメン−2−オン−6−イル又は3−ハロ−クロメン−2−オン−7−イル等の3−ハロ−クロメン−2−オン−イルを表す。特殊な実施形態では、Qは3−ブロモ−クロメン−2−オン−6−イル、3−ブロモ−クロメン−2−オン−7−イル、3−クロロ−クロメン−2−オン−6−イル又は3−クロロ−クロメン−2−オン−7−イルを表す。
【0015】
別の特殊な実施形態では、Qは3−シアノ−クロメン−2−オン−6−イル又は3−シアノ−クロメン−2−オン−7−イル等の3−シアノ−クロメン−2−オン−イルを表す。
【0016】
さらに別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、クロメン−2−オン−イルは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルから成る群から選択される置換基で4位で置換されている。特殊な実施形態では、クロメン−2−オン−イルは、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で4位で置換されている。別の実施形態では、Qは4−メチル−クロメン−2−オン−イル、4−メチル−クロメン−2−オン−6−イル等の4−アルキル−クロメン−2−オン−イルを表す。
【0017】
別の実施形態では、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、クロメン−2−オン−イルは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニルから成る群から独立して選択される置換基で3位及び4位で置換されている。特殊な実施形態では、クロメン−2−オン−イルは、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から独立して選択される置換基で3位及び4位で置換されている。別の特殊な実施形態では、Qはメチル−シアノ−クロメン−2−オン−イル、4−メチル−3−シアノ−クロメン−2−オン−イル等のアルキル−シアノ−クロメン−2−オン−イルを表す。特殊な実施形態では、Qは4−メチル−3−シアノ−クロメン−2−オン−6−イル又は4−メチル−3−シアノ−クロメン−2−オン−7−イルを表す。
【0018】
さらに別の実施形態では、Qは任意選択で置換されたクロメン−2−オン−4−イル基を表す。
【0019】
別の実施形態では、Qは任意選択で置換されたクロメン−2−オン−6−イル基を表す。
【0020】
さらに別の実施形態では、Qは任意選択で置換されたクロメン−2−オン−7−イル基を表す。
【0021】
特殊な実施形態では、本発明の化合物は、エキソ−3−(2−オキソ−2H−クロメン−7−イルオキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル又はその付加塩である。
【0022】
調製方法
その第二の態様では、本発明は式Iの化合物:
【化3】


その任意の立体異性体又はその立体異性体の任意の混合物を調製するプロセスを提供し、
(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)
そのプロセスは、
3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチルエステルをヒドロキシクロメン−2−オンと反応させることを含み、
ヒドロキシクロメン−2−オンが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択でさらに置換されている。
【0023】
その第三の態様では、本発明は式IIの化合物:
【化4】


その任意の立体異性体又はその立体異性体の任意の混合物を調製するプロセスを提供し、
(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)
そのプロセスは、
遷移金属触媒の存在下、式Iの化合物:
【化5】


を、酸と反応させることを含む(式中、Qは式IIにおける定義に従う)。
【0024】
1つの実施形態では、遷移金属触媒は亜鉛である。
【0025】
本発明の化合物は、例えば、実施例に記述されている方法等の従来の化学合成方法により調製することができる。本願に記述されているプロセスの出発物質は既知のものであるか、又は市販されている化学物質から従来の方法で容易に調製することができる。
【0026】
また、本発明の1つの化合物は、従来の方法を使って、本発明の別の化合物に変換することができる。
【0027】
本明細書に記述する反応の最終生成物は、従来の手法、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィー等によって、単離することができる。
【0028】
前記実施形態の2つ以上の任意の組合せは、本発明の範囲内と見なされる。
【0029】
置換基の定義
本発明との関連において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0030】
本発明との関連において、アルキル基は、一価の飽和、直鎖状又は分枝状炭化水素鎖を表す。炭化水素鎖は好ましくは炭素原子1〜6個を有し(C1〜6−アルキル)、これはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む。好ましい実施形態において、アルキルはC1〜4アルキル基を表し、これはブチル、イソブチル、s−ブチル及びt−ブチルを含む。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、アルキルはC1〜3−アルキル基を表し、これは特にメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよい。
【0031】
本発明との関連において、アルケニル基は二重結合を1個又は複数有する炭素鎖を表し、これはジエン、トリエン及びポリエンを含む。好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基は少なくとも1個の二重結合を含む炭素原子2〜6個(C2〜6−アルケニル)を有する。最も好ましい実施形態では、本発明のアルケニル基はエテニル、1−若しくは2−プロペニル、1−、2−若しくは3−ブテニル、又は1,3−ブタジエニル、1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキセニル、又は1,3−ヘキサジエニル、又は1,3,5−ヘキサトリエニルである。
【0032】
本発明との関連において、アルキニル基は三重結合を1個又は複数有する炭素鎖を表し、これはジイン、トリイン及びポリインを含む。好ましい実施形態では、本発明のアルキニル基は少なくとも1個の三重結合を含む炭素原子2〜6個(C2〜6−アルキニル)を有する。その最も好ましい実施形態では、本発明のアルキニル基はエチニル、1−若しくは2−プロピニル、1−、2−若しくは3−ブチニル、又は1,3−ブタジイニル、1−、2−、3−、4−ペンチニル、又は1,3−ペンタジイニル、1−、2−、3−、4−若しくは5−ヘキシニル、又は1,3−ヘキサジイニル、又は1,3,5−ヘキサトリイニルである。
【0033】
本発明との関連において、シクロアルキル基は好ましくは炭素原子3〜7個を含む環状アルキル基(C3〜7−シクロアルキル)を表し、これはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを含む。
【0034】
アルコキシはO−アルキルであり、ここでアルキルは上記の定義に従う。
【0035】
シクロアルコキシはO−シクロアルキルであり、ここでシクロアルキルは上記の定義に従う。
【0036】
シクロアルキルアルキルは、前記シクロアルキル及び前記アルキルを意味し、例えば、シクロプロピルメチルを意味する。
【0037】
アミノはNH又はNH−アルキル又はN−(アルキル)であり、アルキルは上記の定義に従う。
【0038】
付加塩
本発明の化合物はさらなる合成のための出発物質として適するいかなる形で提供されてもよい。適切な形には、付加塩も含まれる。
【0039】
付加塩の例としては、これに限定されないが、無毒の無機及び有機の酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、誘導されたナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩等が含まれる。このような塩は、当技術分野においてよく知られており、記述されている手順によって形成することができる。
【0040】
シュウ酸のような他の酸は、薬学的に許容されると見なし得ないが、それらも有用となり得る。
【0041】
本発明との関連において、N−含有化合物の「オニウム塩」もまた許容される付加塩と想定されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキルオニウム塩、シクロアルキルオニウム塩及びシクロアルキルアルキルオニウム塩が含まれる。
【0042】
立体異性体
本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー又はシス−トランス異性体を含む、様々な立体異性体として存在できることが、当業者により理解されるであろう。
【0043】
例えば、式Iの−O−Q基は、アザビシクロ環に対して特にエキソ又はエンド配置とすることができる。
【0044】
本発明は、このような異性体の全て及びそれらの任意の混合物(ラセミ混合物を含む)を含む。
【0045】
ラセミ体は既知の方法及び技法を使って、光学対掌体に分割することができる。鏡像異性化合物(鏡像異性中間体も含む)を分離する1つの方法は、化合物がキラル酸の場合、光学活性アミンを使い、分割されたジアステレオマー塩を酸で処理することにより遊離させる方法である。ラセミ化合物を光学対掌体に分割するもう1つの方法は、光学活性マトリックス上でのクロマトグラフィーに基づく。すなわち、本発明のラセミ化合物は、例えば、D−又はL−(酒石酸、マンデル酸又はカンファースルホン酸)塩の分別結晶化により、光学対掌体に分割することができる。
【0046】
さらに、本発明の化合物は、本発明の化合物と、(+)若しくは(−)フェニルアラニン、(+)若しくは(−)フェニルグリシン、(+)若しくは(−)カンファン酸から誘導されたもの等の、光学活性な活性化カルボン酸との反応によるジアステレオ異性体アミドの形成により、又は本発明の化合物と光学活性なクロロギ酸エステル等との反応によるジアステレオ異性体カルバメートの形成により分割することもできる。
【0047】
光学異性体を分割するための上記以外の方法も当業者に知られている。このような方法は、Jaques J、Collet A及びWilen Sにより「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」、John Wiley and Sons出版、ニューヨーク(1981)中に記載されている方法を含む。
【0048】
光学活性化合物は、光学活性出発物質からも調製することができる。
【0049】
標識化合物
本発明の化合物は、標識された形又は標識されていない形で使用することができる。本発明との関連において、標識化合物は、自然界で通常見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換された1個又は複数の原子を有する。標識化により、その化合物を定量的に検出することが容易になる。
【0050】
本発明での標識化合物は、様々な診断法における診断ツール、放射性トレーサー又はモニタリング剤として、またin vivoでの受容体イメージングにとって有用となり得る。
【0051】
本発明の標識異性体は、好ましくは、標識として少なくとも1種の放射性核種を含む。陽電子放出放射性核種は全て使用の候補である。本発明との関連において、放射性核種は、H(重水素)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I、及び18Fから選択されることが好ましい。
【0052】
本発明での標識異性体を検出するための物理的方法は、陽電子放射断層撮影法(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴画像(MRI)及びコンピュータX線体軸断層撮影法(CAT)、又はこれらの組合せから選択することができる。
【実施例】
【0053】
以下の例を参照して本発明を詳述するが、これらは請求項に記載されている本発明の範囲に何らの限定を加えることを意図するものではない。
【0054】
調製例
空気に敏感な試薬又は中間体を含む全ての反応を窒素下の無水溶媒中で行った。硫酸マグネシウムを後処理操作で乾燥剤として使用し、溶媒を減圧下に蒸発させた。
【0055】
(実施例1)
【化6】


エンド−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル
エンド−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール(トロピン)(140g、991mmol)及びトルエン(2L)の混合物を、ディーン・スターク装置を用いて還流させ、脱水することにより乾燥させた。クロロギ酸2,2,2−トリクロエチル(420g、1983mmol)を機械的攪拌を使って10〜15分間混合物に添加した。温度が35℃に上昇した後、沈殿が生じた。混合物を4日間、機械的に攪拌した。混合物は濃厚な粥状に変化した。水(500ml)を添加後、10分間、機械的攪拌を行い、それに続き、濾過した。結晶性生成物を石油エーテル(200ml)及び水(200ml)を用いて洗浄した。収量173g(58%)。濾液を分離し、その有機相を水(200ml)で洗浄し、蒸発させて約1Lにした。有機相を15時間、冷蔵庫に入れた後、濾過した。結晶性生成物を石油エーテル(50ml)及び水(50ml)を用いて洗浄した。収量75.6g(25%)。濾液を容積が半分になるまで蒸発させ、石油エーテル(250ml)を添加し、混合物を15時間、冷蔵庫に保管した後、濾過した。結晶性生成物を石油エーテル(20ml)を用いて、さらに水(20ml)を用いて洗浄した。収量10.6g(4%)。濾液を水酸化ナトリウム溶液(50ml、4M)を添加して攪拌し、相を分離し、有機相を水で洗浄した後、蒸発させた。石油エーテル(200ml)を混合物に添加し、15時間冷蔵庫に入れて放置した後、濾過した。結晶性生成物を石油エーテル(20ml)を用いて、さらに水(20ml)を用いて洗浄した。収量3.2g(1%)。総収量262.4g(87%)。
【0056】
(実施例2)
【化7】


エキソ−3−(2−オキソ−2H−クロメン−7−イルオキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル
トリフェニルホスフィン(269.4g、1027mmol)をジオキサン(1L)に溶解した。氷冷下、1時間、20℃以下でアゾジカルボン酸ジエチルの40%トルエン溶液(450ml、1027mmol)を混合物に添加した。エンド−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル(259g、856mmol)を5分間添加した。温度変化は起こらなかった。混合物を30分間攪拌した。7−ヒドロキシクマリン(153g、942mmol)を10分間、複数回に分けて添加した。温度は42℃に上昇し、混合物を15時間、室温で攪拌した。反応混合物は粥状に変化した。水酸化ナトリウム溶液(1L、4M)を添加した後、15分間、攪拌した。混合物を濾過し、結晶を水(500ml)及び無水エタノール(2×200ml)で洗浄した。収量194.9(51%)。
【0057】
(実施例3)
この例では、医薬化合物を合成するための本発明の化合物の使用法を説明する。
【化8】


7−[(3−エキソ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イルオキシ]−クロメン−2−オン塩酸塩
エキソ−3−(2−オキソ−2H−クロメン−7−イルオキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル(190g、425mmol)をTHF(1L)に溶解した。水(500ml)及び酢酸(250ml)を添加した。亜鉛粉末(69.5g、1063mmol)を2時間添加し、温度を最高35℃まで上昇させた。反応混合物を週末をかけて攪拌した。混合物は粥状に変化した。水(500ml)及び濃塩酸(100ml、1.2mmol)を添加した。混合物を室温で15分間攪拌した後、1時間攪拌し、氷冷した。混合物を濾過し、生成物を冷水(2×200ml)で洗浄した。温熱濾過による不純物のエキソ−3−(2−オキソ−2H−クロメン−7−イルオキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2−ジクロロエチルエステル(18g、43.7mmol)の分離を含め、結晶を水(4L)から再結晶化させた。生成物を15時間放置して、結晶化させた。結晶を水(2×100ml)、エタノール(3×50ml)及びジエチルエーテル(2×150ml)を用いて洗浄した。収量73.6(56%)。アンモニア液を添加することにより、母液をアルカリ性にした後、濾過した。遊離塩基を単離した。収量21.3(19%)。最終ステップの総収量75%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】


その任意の立体異性体若しくはその立体異性体の任意の混合物、又はその付加塩
(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)。
【請求項2】
Qがクロメン−2−オン−イルを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から選択される置換基で3位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で3位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から選択される置換基で4位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から選択される置換基で4位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される置換基で3位及び4位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Qがクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、ハロ、シアノ及びアルキルから成る群から独立して選択される置換基で3位及び4位で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Qが任意選択で置換されたクロメン−2−オン−4−イル基を表す、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Qが任意選択で置換されたクロメン−2−オン−6−イル基を表す、請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Qが任意選択で置換されたクロメン−2−オン−7−イル基を表す、請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
エキソ−3−(2−オキソ−2H−クロメン−7−イルオキシ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル、又は医薬として許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
式Iの化合物:
【化2】


その任意の立体異性体、又はその立体異性体の任意の混合物を調製する方法であって、
(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)
3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸エチルエステルをヒドロキシクロメン−2−オンと反応させることを含み、
ヒドロキシクロメン−2−オンが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択でさらに置換されている
方法。
【請求項15】
式IIの化合物:
【化3】


その任意の立体異性体、又はその立体異性体の任意の混合物を調製する方法であって、
(式中、Qはクロメン−2−オン−イルを表し、
クロメン−2−オン−イルが、
ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル及びアルキニル
から成る群から独立して選択される1個又は複数の置換基で任意選択で置換されている)
式Iの化合物を遷移金属触媒の存在下、酸と反応させることを含む方法
【化4】


(式中、Qは式IIにおける定義に従う)。

【公表番号】特表2010−526122(P2010−526122A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506937(P2010−506937)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055683
【国際公開番号】WO2008/138854
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】