説明

新規スルフェンアミド

本発明は、生理学的活性、特に抗菌作用を有する新規なスルフェンアミド類、それらの合成方法、それらを含む医薬組成物、及び患者、特に、細菌感染した患者の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌作用(antimicrobial action)を有する新規なスルフェンアミド類、それらの合成方法、それらを含む医薬組成物、及び細菌(microbial)感染した患者の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1
衰退したと一旦は考えられていた多くの細菌性疾患が再び出現し始め、毎年多くの国々の人々に被害を与えるようになっている。この問題は、これら疾患を引き起こす多種の新しい薬剤耐性微生物株の出現によって深刻化している。本発明者らは、グリコフラノース化学(Owenとvon Itzstein, 2000)に関心を抱き、その結果下に記載する新種の抗菌剤を見出すに至った。グリコフラノース化学・生物学の分野においては重要な化学的・生物学的報告が既に文献発表されている(例えば、Marino, Marino, Miletti, Alves, Colliとde Lederkremer, 1998; Miletti, Marino, Marino, de Lederkremer, ColliとAlves, 1999; ZhangとLiu, 2001; Brimacombe, GentとStacey, 1968; Brimacombe, Da'aboulとTucker, 1971; LemieuxとStick, 1975; de Lederkremer, CirelliとSznaidman, 1986; ShinとPerlin, 1979; de Lederkremer, CiceroとVarela, 1990; de Lederkremer, MarinoとMarino, 2002; Pathak, Pathak, Suling, Gurcha, Morehouse, Besra, MaddryとReynolds, 2002; Ernst, HartとSinay, 2000を参照のこと)が、現在までに、臨床的に有用な抗菌性薬剤となる化合物を提供した者は誰一人としていない。
【発明の開示】
【0003】
本発明は一般に、新規なスルフェンアミド類に関する。
【0004】
本発明は、その第一の様相において、一般式(I):
【0005】
【化1】

【0006】
〔式中、Aは、O、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O及びC(O)からなる群から選択され;
【0007】
AがOであり且つqが1である場合、RおよびRの一方は、水素、置換されていてもよいC1−3又は>C30アルキル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキル、置換されていてもよいC2−3又は>C30アルケニル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルケニル、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環及び炭水化物基からなる群から選択され、RおよびRの他方は、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択され;
【0008】
しかし、AがS、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが1であるか、或いは、AがO、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが0である場合は、RおよびRは、無関係に、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択されるか、或いはRとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和または不飽和の、置換されていてもよいヘテロ環基(ヘテロ環基は、O、N及びSからなる群から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し;
【0009】
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、又はオキソ基、=S、=NOR若しくは=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
【0010】
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、又はオキソ基、=S、=NOR若しくは=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
【0011】
及び X’は、無関係に、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、或いはXは、=O、=S、=NOR又は=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
【0012】
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、或いはオキソ基、=S、=NOR又は=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
【0013】
は、水素、CN、−C=(Z)(T)11、S(O)R11、S(O)11、S(O)OR11、PO11R’11、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルキルアリール(alkaryl)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、及び置換されていてもよいアシルからなる群から選択され;
’、X’、X’及びX’は、同一であるか又は異なっていて、水素、CN,置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルキルアリール(alkaryl)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、及び置換されていてもよいアシルからなる群から選択され;
【0014】
或いは、XとX、XとX’、X’とA(Aが炭素又は窒素原子を含む場合)、XとA(Aが炭素又は窒素原子を含む場合)、及びXとXの中の1つが共同して二重結合を形成しているか、或いはX’とX又はXとXは共同して二重結合を形成しているか、或いはRとX、RとX、RとX、RとX、RとX、RとX、RとX’、RとX’、XとX、XとX、XとX、XとX、XとX’、XとX’、XとX’又はXとX’は共同して環構造の一部を形成しており、当該環構造は、O、S及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく且つ置換されていてもよく;
【0015】
m、n及びqは、無関係に、0又は1であり、Y、Z及びTは、無関係に、O、S、及びNR10からなる群から選択され;
【0016】
、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R、R、R’、R10、R11及びR’11は同一であるか又は異なっていて、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択され;
【0017】
但し、X、X、X及びXの内の少なくとも2個は、水素以外のものであるか又は炭素−炭素結合により環結合された基以外のものであり、且つ、一般式(I)で表される化合物は、1−(9H−プリニル)−S−(3−デオキシ−ペンタフラノシル)スルフェンアミド、5−ホルムアミド−2’,3’,5’−トリ−O−ホルミル−1−(β−D−リボフラノシルチオ)イミダゾール−4−カルボキサミド、N−フェニル−S−(2,3:5,6−ジ−O−イソプロピリデニル−β−D−マンノフラノシル)スルフェンアミド又はN,N−ジエチル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミドではない。〕
で表される化合物又は医薬的に許容されるこれらの塩を提供する。
【0018】
前記一般式における置換基の表し方は、特定の立体化学も置換基の配向も含意していないことが理解されるであろう。
【0019】
「アルキル」という語は、単独で使用される場合と「置換されていてもよいアルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」等、複合語の一部として使用される場合があるが、いずれにおいても、直鎖アルキル、分枝アルキル、或いはモノ−又はポリ−環状アルキルを表す。直鎖及び分枝アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオクチル及び1−又は2−ペンチルヘプチル等が挙げられる。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル等が挙げられる。
【0020】
「アルケニル」という語は、単独で使用される場合と「アルケニルオキシ」等、複合語の一部として使用される場合があるが、いずれにおいても、直鎖、分枝、又は環状アルケン(上に定義した、エチレン性のモノ−、ジ−又はポリ−不飽和のアルキル基又はシクロアルキル基を含む)から生成する基を表す。C4−30アルケニルの例としては、ブテニル、iso−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル及び1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。
【0021】
「アシル」という語は、単独で使用される場合と「置換されていてもよいアシル」、「置換されていてもよいアシルオキシ」等、複合語の一部として使用される場合があるが、いずれにおいても、脂肪族アシル基、芳香環を含むアシル基(芳香族アシルと称する)、又はヘテロ環を含むアシル基(ヘテロ環アシルと称する)を表し、好ましくはC1−30アシルである。アシルの例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル及びイコサノイル等の直鎖又は分枝アルカノイル;シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及びシクロヘキシルカルボニル等のシクロアルキルカルボニル;ベンゾイル、トルオイル及びナフトイル等のアロイル;フェニルアルカノイル(例えばフェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチル、フェニルペンタノイル及びフェニルヘキサノイル)及びナフチルアルカノイル(例えばナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル及びナフチルブタノイル)等のアラルカノイル;フェニルアルケノイル(例えばフェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリリル、フェニルペンテノイル及びフェニルヘキセノイル)及びナフチルアルケノイル(例えばナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル及びナフチルペンテノイル)等のアラルケノイル;ヘテロ環カルボニル;チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチル及びテトラゾリルアセチル等のヘテロ環アルカノイル;及びヘテロ環プロペノイル、ヘテロ環ブテノイル、ヘテロ環ペンテノイル及びヘテロ環ヘキセノイル等のヘテロ環アルケノイルが挙げられる。
【0022】
「アリール」という語は、単独で使用される場合と「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいアリールオキシ」、又は「置換されていてもよいヘテロアリール」等、複合語の一部として使用される場合があるが、いずれにおいても、芳香族炭化水素環系(「炭素環式アリール」若しくは「カルボアリール」)又は芳香族へテロ環系(「ヘテロアリール」)の単環、多核、共役、及び縮合残基を表す。炭素環式アリールの例としてはフェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、インデニル、アズレニル、クリセニルが挙げられる。ヘテロアリールの例としてはピリジル、4−フェニルピリジル、3−フェニルピリジル、チエニル、フリル、ピリル、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピリジニル、ピペリジニル、インドリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベンゾキサゾリル及びベンゾチアゾリル等が挙げられる。好ましくは、炭素環式芳香族環系は、6〜10個の炭素原子を含有し、芳香族ヘテロ環系は、環中に、N、O及びSから無関係に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、9個までの炭素原子を含有する。
【0023】
「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」という語又は「ヘテロ環(heterocyclic)」のような同義の語は、単独で使用される場合と「置換されていてもよい飽和又は不飽和のヘテロシクリル基」等、複合語の一部として使用される場合があるが、いずれにおいても、窒素、硫黄及び酸素から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環又は多環ヘテロシクリル基を表わす。好適なヘテロシクリル基としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル等、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジリニル等、1〜4個の窒素原子を含有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル等、1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基;
オキシラニル、ピラニル、フリル等、1個の酸素原子を含有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
チエニル等、1〜2個の硫黄原子を含有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル等、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
モルホリニル等、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
ベンゾキサゾリル、ベンゾキサジアゾリル等、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基;
チアゾリル、チアジアゾリル等、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
チアゾリジニル等、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;及び
ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル等、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合ヘテロ環基
等のN含有ヘテロ環基が挙げられる。
【0024】
「炭水化物」という語は、炭水化物残基又は官能基を導入した若しくは脱酸素化した炭水化物残基を表し、単糖類及びオリゴ糖類を含む。炭水化物残基は、非環式ポリヒドロキシアルデヒド若しくはケトン、又はそれらの環状互変異性体の1つであり、アルデヒド若しくはケト基の還元から生じる化合物、例えばアルジトールを含む。酸素原子は、水素によって置換されていてもよく、又は、ハロゲン、窒素、硫黄若しくは炭素原子に結合していてもよく、或いは、エーテル又はエステルのような炭素−酸素結合が導入されていてもよい。炭水化物の例としては、D−ガラクトフラノース、N−アセチル−D−ガラクトフラノース、D−グルコフラノース、N−アセチル−D−グルコフラノース、D−ガラクトピラノース、N−アセチル−D−ガラクトピラノース、D−グルコピラノース、N−アセチル−D−グルコピラノース、及び、酸素原子が、選択した位置で水素で置換されている、又は、ハロゲン、窒素、硫黄若しくは炭素と結合している、それらの等価物、並びに、これらの部分(基)を含むオリゴ糖類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において「置換されていてもよい」とは、ある基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアミノ(heterocyclamino)、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、ベンジルチオ、アシルチオ、リン含有基等、並びに、特にラクトン、ラクタム及び環状イミドのような環構造中の置換基として、必要に応じて、例えば=O、=S,=N−等の基から選択される1つ以上の官能基によって、更に置換されていてもよい、或いは置換されていなくてもよいことを意味する。但し、上に列記したいずれの置換基も本発明化合物の形成を妨げない限りにおいてである。
【0026】
存在する炭素原子数によってその長さが決められる前記の部分(基)はいずれも、特定範囲内の任意数の炭素原子を有することができる。しかしながら、この範囲内ではあっても、前駆体の入手可能性やコスト、合成の容易さ、効率等の要因から、特定の種が好ましいことがある。
【0027】
一実施形態において、AはOであり且つqは1であり、R及びRの一方が水素、置換されていてもよいC1−3又は>C30アルキル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキル、置換されていてもよいC2−3又は>C30アルケニル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルケニル、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環及び炭水化物基からなる群から選択され、RおよびRの他方は、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基である。
【0028】
他の一実施形態においては、AがS、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが1であるか、或いは、AがO、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが0であり、RおよびRは、無関係に、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択されるか、或いはRとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和または不飽和の、置換されていてもよいヘテロ環基(ヘテロ環基は、O、N及びSからなる群から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成している。
【0029】
一実施形態において、R及びRが無関係にC4−30アルキルである場合、C6−12アルキルであるかC8−10アルキルであることができる。R及びRの一方又は両方がアルケニルである場合、C4−30アルケニルであることができ、別の実施形態においては、C6−12アルケニル、さらに別の実施形態においては、C8−10アルケニルであることができる。R及びRの一方又は両方が、1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキル又はアルケニルであるか又はを含む場合、ヘテロ原子は、典型的には酸素であり、R及び/又はRは、式CH(CHO(CHO(CHで表わすことができる。同様に、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R、R、R’、R10、R11及びR’11のうちの1つがアルキル、アルケニル、或いは、1以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキル又はアルケニルである場合、好ましい形態は、R及びRについて記載したのと同様である。
【0030】
一実施形態において、スルフェンアミドのアミン部分は、付加的な結合を通じて炭水化物基につながれており、例えば、そのアミン自体が有毒である場合、そのアミンが、スルフェンアミド結合の生体内(in vivo)での切断によって遊離されないようにすることができる。アミン部分は結合によって炭水化物基中の任意の位置につながれてよいとはいえ、R又はRのいずれかを通じたC2位置への結合がXと共に環を形成するのが好ましい。ほんの一例として、この結合は、置換されていてもよいアルキル鎖が炭水化物環の2の位置にある官能基の末端に連結し且つR又はRの中の官能基に連結している形態をとることもできる。
【0031】
一実施形態において、XはORである。Rは水素又は置換されていてもよいアシルであるのが好ましい。
【0032】
一実施形態において、XはORである。Rは水素又は置換されていてもよいアシルであるのが好ましい。
【0033】
一実施形態において、XはORである。Rは水素又は置換されていてもよいアシルであるのが好ましい。
【0034】
一実施形態において、Xは、存在する場合ORである。Rは水素又は置換されていてもよいアシルであるのが好ましい。
【0035】
一実施形態において、置換基R、R、R、及びRのうちのいずれか1つは、置換されていてもよいアシル、特にアシル基上の置換基が、化合物の疎水性または水溶性をもたらす置換されていてもよいアシルであるのが好ましい。一例として、好ましい化合物は、アミノ酸側鎖が化合物の疎水性を所定の疎水性をもたらすように選択されたアミノ酸エステルを含む。想定されるアミノ酸側鎖は、天然のアミノ酸側鎖の全てだけでなく一般の合成アミノ酸も含む。或いは、当該化合物は水溶性を改善するアミドで終わるスクシニルエステルであってもよい。
【0036】
一実施形態において、本発明の化合物はガラクトフラノシル化合物であり、それ故、一般式(Ia)で表される構造を有している:
【0037】
【化2】

【0038】
さらに別の実施形態において、本発明の化合物は、一般式(Ib)で表されるアラビノフラノシル誘導体である:
【0039】
【化3】

【0040】
一般式(I)のスルフェンアミドは、有利には、N−ベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、N,N−ジベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、N,N−ジオクチル−S−(2,3−ジ−O−アセチル−5−O−[tert−ブチルジフェニルシリル]−α−D−アラビノフラノシル)スルフェンアミド、N,N−ジベンジル−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、及びN,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミドからなる群から選択される。
【0041】
本発明の特に好ましい一実施形態において、一般式(I)の化合物は、N,N−ジベンジル−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド又はN,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミドである。
【0042】
本発明の第二の様相によれば、一般式(I):
【0043】
【化4】

【0044】
の化合物の製造方法であって、一般式(II):
【0045】
【化5】

【0046】
(式中、Lは脱離基、好ましくはアセチルであり、X、X’、X、X’、X、X’、X、X’、X及びX’は、前述と同様に定義される)
で表される化合物を、一般式(III)
【0047】
【化6】

【0048】
(式中、R及びRは、前述と同様に定義される)
と、ビス活性化アルキルハロゲン化物の存在下に反応させることを含む、方法が提供される。
【0049】
通常、ビス活性化アルキルハロゲン化物は、ジエチルブロモマロネート、トリメチルブロモホスホノアセテート、又はN−ブロモスクシンイミドである。一般に、反応は過剰の一般式(III)の第二級アミンの存在下、DMF、THF等の不活性溶媒中、メタノール、エタノール等のアルコール溶剤中、或いはこれら溶媒の混合物中、20℃〜60℃、好ましくは25℃〜40℃の温度で、窒素又はアルゴン雰囲気下で行われる。分離及び精製、又は脱保護の前に、反応混合物を通常2〜160時間、好ましくは12時間より長時間攪拌してもよい。一実施形態において、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’及びR’’は保護基であってもよく、その場合本方法はさらに保護基を除去することを含む。好適な保護基は、当業者に周知であり、この場合はアセチル又はベンゾイル基が好ましい。アセチル又はベンゾイル保護基は、通常、メタノール中でナトリウムメトキシドによる加水分解によって除去される。本発明化合物は、スルフェニルハロゲン化物と一般式(III)の第二級アミンとの縮合により合成することもでき、酸化試薬の存在下、該当するチオールとアミンとの反応、或いは銀塩又は第二水銀塩の存在下、該当するジスルフィド又はチオスルホネートとアミンとの反応によって合成することもできる(例えば、CraineとRaban, 1989; Koval', 1996; Illyes, 2004に記載されている;これらの内容を、本明細書の一部を構成するものとして、ここに援用する)。フラノーステンプレートの各位置を操作(manipulate)するために、例えば、次に開示される非常に多くの方法が開発されてきた;Marino, Marino, Miletti, Alves, Colliとde Lederkremer, 1998; Miletti, Marino, Marino, de Lederkremer, ColliとAlves, 1999; ZhangとLiu, 2001; Brimacombe, GentとStacey, 1968; Brimacombe, Da'aboulとTucker, 1971; LemieuxとStick, 1975; de Lederkremer, CirelliとSznaidman, 1986; ShinとPerlin, 1979; de Lederkremer, CiceroとVarela, 1990; de Lederkremer, MarinoとMarino, 2002; Pathak, Pathak, Suling, Gurcha, Morehouse, Besra, MaddryとReynolds, 2002; Ernst, HartとSinay, 2000(これらの内容を、本明細書の一部を構成するものとして、ここに援用する)。
【0050】
本発明の第三の様相によれば、細菌感染症の患者(動物を含む)の治療方法であって、当該患者に、治療有効量の一般式(I)の化合物を投与することを含む、治療方法が提供される。
【0051】
本発明の第四の様相によれば、細菌感染症の治療に使用するための薬物の製造における一般式(I)の化合物の使用が提供される。
【0052】
本明細書において「治療有効量」とは、所望の治療的応答を得るのに有効な本発明化合物の量、例えば医薬としての活性を有する剤の投与によって疾病を予防又は治療するために有効な本発明化合物の量を意味する。
【0053】
無論、具体的な「治療有効量」は、治療される特定の状態や、対象(subject)の身体的状態及び臨床履歴、治療対象動物の種類、治療期間、(もし存在すれば)同時進行中の治療の性質、用いられる特定の製剤、本化合物又はその誘導体の構造等の各種因子によって変化する。
【0054】
本明細書において「医薬的担体」とは、一般式(I)の化合物を対象に到達させるための医薬的に許容される溶剤、懸濁剤、補助剤(excipient)又は賦形剤(vehicle)を意味する。この担体は液体でも固体でもよく、計画された投与方法を考慮して選択される。
【0055】
一般式(I)の化合物は、通常の無毒且つ医薬的に許容される担体、アジュバント、及び賦形剤を含む用量単位調製物として、経口投与、局所投与、又は非経口投与することができる。本明細書において、「非経口」とは皮下、静脈内、筋肉内、髄膜下(intrathecal)、頭蓋内の注射や注入の各手法を含む。
【0056】
本発明は、本発明の新規治療方法に用いるために適切な局所、経口、エアロゾル、及び非経口の各医薬調製物も提供する。本発明化合物は、錠剤、水性若しくは油性懸濁剤、ドロップ剤、トローチ剤、粉剤、顆粒剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、又はエリキシル剤として経口投与することができる。経口投与用の組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群より選択される1種以上の剤を含むことができ、見た目と味のよい医薬製剤とすることができる。錠剤は、錠剤製造に適する無毒の医薬的に許容される補助剤との混合状態で活性成分を含む。
【0057】
これらの補助剤は、例えば、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム等の不活性な希釈剤、コーンスターチ、アルギン酸等の顆粒化剤及び崩壊剤、スターチ、ゼラチン、アカシア等の結合剤、又はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク等の滑沢剤である。錠剤は被覆されていなくてもよいが、公知の技法により被覆されて崩壊や消化管での吸収を遅らせ、もってより長期間に亘る持効性を提供することもできる。例えば、グリセリルモノステアレートやグリセリルジステアレート等の遅延材料を使用することができる。錠剤の被覆は、米国特許第4256108号、同4160452号及び同4265874号に記載の技法を用いて行うことにより、放出性が調節された浸透性治療用錠剤とすることもできる。
【0058】
本発明の一般式(I)の化合物は、インビボでの使用としては、注射又は経時的に徐々に進行する潅流を、無関係に又は共に行うことによって、非経口で投与することができる。投与形式は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、又は経皮とすることができる。インビトロの研究には、本剤を適切な生物学的に許容されるバッファーに添加又は溶解し、細胞又は組織に添加することができる。
【0059】
非経口投与製剤は、滅菌された水性又は非水性の液剤、懸濁剤及び乳剤を含む。非水溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、及び、オレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルが挙げられる。水性担体としては、生理食塩水や緩衝媒体の他、水、アルコール性/水性の溶液、エマルジョン又は懸濁液が挙げられる。非経口用の賦形剤としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸加リンガーが挙げられる。静注用の賦形剤としては、液体栄養補充液、電解質補充液、例えばリンガーのデキストロースを主体とするもの、等が挙げられる。保存剤や他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、成長因子、不活性ガス等が存在していてもよい。
【0060】
一般式(I)の化合物は、抗菌剤であって、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(M. avium intracellulare)、マイコバクテリウム・フォルトゥイートゥム(M. fortuitum)、マイコバクテリウム・アブセッサス(M. abscessus)、迅速成長非定型マイコバクテリア株(rapid growing atypical Mycobacterial strains)等のマイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ノカルジア属(Nocardia)、特にノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)及びノカルジア・ノバ(N. nova)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、黄色ブドウ球菌(コアグラーゼ陰性)(S. aureus (Coagulas-negative))等のブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus spp.)、並びに腸球菌種(Enterococci species)に特に活性を示すが、これらに限定されない。一般式(I)の化合物は、これらの生物に関連する感染症の治療に特に有用である。
【0061】
本明細書において使用される「治療する(treating)」「治療( treatment)」等の用語は、一般に、対象(subject)、組織又は細胞に影響を与えて所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、感染を完全に又は部分的に防ぐという点において予防的であり得、及び/又は、感染症の部分的又は完全な治癒という点から治療的(therapeutic)であり得る。本明細書で使用される「治療する」とは、脊椎動物、哺乳類(特にヒト)の感染の治療、又は予防の如何なるものをも意味し、感染性の作因に曝露された可能性はあるが、冒されたと診断されていない対象において感染症の発生を予防すること;感染症を阻害する、即ちその進行を阻止すること;又は感染症の影響を緩和又は改善すること、即ち感染症の影響を後退させることを含む。
【0062】
本発明の第五の様相によれば、一般式(I)の化合物と医薬的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
【0063】
本発明の一実施形態による医薬組成物は、担体、補助剤、添加剤又は助剤(auxiliaries)を用いて一般式(I)の化合物を、対象への投与に適した剤形とすることによって調製される。
【0064】
通常用いられる担体又は助剤の例としては、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及び他の糖類、タルク、乳タンパク、ゼラチン、スターチ、ビタミン類、セルロース及びその誘導体、動・植物性油、ポリエチレングリコール及び溶媒(例えば滅菌水、アルコール、グリセロール、多価アルコール等)が挙げられる。静注用賦形剤としては、液体栄養補充液が挙げられる。保存剤としては、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性ガスが挙げられる。他の医薬的に許容される担体の例としては水溶液、無毒補助剤(塩類、保存剤、バッファー等を含む)が挙げられ、これらは例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第15版 Easton: Mack Publishing Co., 1405〜1412,1461〜1487(1975)及びThe National Formulary XIV., 第14版 Washington: American Pharmaceutical Association(1975)に記載されている(これら文献の内容を本発明の一部を構成するものとしてここに援用する)。本医薬組成物のpHと種々の成分の正確な濃度は、本技術分野における通常の技能に基いて調整される。Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis for Therapeutics(第7版)を参照されたい。
【0065】
本医薬組成物は、用量単位として調製され投与されることが好ましい。固形の用量単位としては、錠剤、カプセル剤、及び座剤が挙げられる。対象の治療のため、当該化合物の活性、投与形態、疾患の性質と重度、対象の年齢と体重に応じて、種々の日用量を使用することができる。しかしながら、ある条件下においては、より高い又はより低い日用量が適切なこともある。日用量の投与は、一用量単位又は小用量単位数個による単回投与でも、分割用量を一定間隔おいて複数回投与することによっても行うことができる。
【0066】
本発明の医薬組成物は、治療効果用量を局所的に又は全身に投与することができる。勿論、この使用のための有効量は、細菌感染症の重度及び対象の体重と全体の状態に依存するであろう。通常、インビトロで用いられる用量は、本医薬組成物のin situ 投与に有用な量の良きガイダンスを提供するであろうし、動物モデルを用いて細胞毒性副作用を治療するための有効用量を決定することができる。種々の考慮すべき事柄が、例えばLanger、Science、249: 1527、(1990)に記載されている。経口使用の調製物は、硬質ゼラチンのカプセル剤の形態であってもよく、カプセル中で活性成分は不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合されている。これら調製物は、ソフトゼラチンのカプセル剤の形態であってもよく、カプセル中で活性成分は水又は油性媒体(例えば、ピーナツ油、液状パラフィン又はオリーブ油)と混合されている。
【0067】
水性懸濁物は通常、活性材料を、水性懸濁物の製造に適した補助剤との混和物として含有する。このような補助剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム等の懸濁剤;分散剤又は湿潤剤であることができる。分散剤又は湿潤剤は、(a)レシチン等の天然ホスファチド;(b)アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート);(c)エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール);(d)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート);又は(e)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であることができる。
【0068】
本医薬組成物は、滅菌注射用水性又は油性懸濁物の形態とすることができる。この懸濁物は、上述のような適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の方法に従って、調製することができる。滅菌注射用製剤は、無毒で非経口投与が許容される希釈剤又は溶剤中の無菌注射用溶液又は懸濁物であってもよい(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)。使用可能な許容される希釈剤(vehicle)及び溶剤としては、水、リンガー溶液、及び塩化ナトリウム等張溶液がある。更に、滅菌不揮発性油が従来通り溶剤や懸濁媒体として用いられる。この目的のためには、合成モノ−又はジグリセリドをはじめとする、無刺激性の(bland)不揮発性油を使用できる。更に、オレイン酸等の脂肪酸は注射製剤に使用される。
【0069】
一般式(I)の化合物は、小さい単層ベシクル(vesicle)、大きい単層ベシクル、多層ベシクル等のリポソームデリバリーシステムの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等、種々のリン脂質から生成することができる。一般式(I)の化合物は、水溶性を高めるためにシクロデキストリンと組み合わせて投与することもできる。
【0070】
本発明の一般式(I)の化合物の用量レベルは、通常体重1kg当たり約0.05mg〜約20mgであり、好ましい日用量範囲は通常体重1kg当たり約0.05mg〜約10mg(患者当たり約0.1g〜約3g/日)である。単一用量を製造するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分の量は、治療が施されるホストや投与の特定の形式によって変化する。例えば、ヒトに対する経口投与を目的とする調製物は、約1mg〜約1gの活性化合物を適切且つ好都合な量の担体材料と共に含むことができ、担体材料の量は、全組成物中約5%から約95%まで変えることができる。投薬単位形態は、通常、活性成分を約5mg〜約500mg含むであろう。
【0071】
しかしながら、任意の特定患者に対する具体的な用量レベルは、用いる特定化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、代謝時間、薬剤の組み合わせ、治療を受ける特定の疾患の重度等、種々の因子に依存することが理解されよう。
【0072】
更に、本発明化合物のうちの或るものは水又は通常の有機溶剤と溶媒和物を形成することができる。このような溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0073】
本発明化合物は、更に他の化合物と組み合わせて有効な組み合わせを提供することができる。組み合わせることによって本発明の一般式(I)の化合物の活性が除去されない限りにおいて、医薬的活性剤のいかなる化学的に適合する組み合わせも含まれることを意図する。
【0074】
本発明の第六の様相によれば、微生物を死滅させる方法であって、該微生物を、上で定義した一般式(I)の化合物に接触させることを含む方法が提供される。
【0075】
微生物は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム・イントラセルラーレ(M. avium intracellulare)、マイコバクテリウム・フォルトゥイートゥム(M. fortuitum)、マイコバクテリウム・アブセッサス(M. abscessus)、迅速成長非定型マイコバクテリア株(rapid growing atypical Mycobacterial strains)等のマイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ノカルジア属(Nocardia)、特にノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)及びノカルジア・ノバ(N. nova)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等のブドウ球菌属(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus spp.)、黄色ブドウ球菌(コアグラーゼ陰性)(S. aureus (Coagulas-negative))、並びに腸球菌種(Enterococci species)からなる群より選択されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じ、「含む」、「含有する」、「含んでなる」等の表現は、文脈から別の解釈が成り立つ場合を除き、非排他的な意味で使用されている。
【0077】
本明細書において、種々の従来技術に関する刊行物について言及してきたが、これらの文献のどれ一つをとってもオーストラリア又は他のいずれの国において本技術分野における通常の一般知識の一部を構成することをこの言及によって自認するものではないことが明白に理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の好ましい実施形態に従って化合物を製造するために用いる合成スキームを更に詳細に記述する。保護されたガラクトフラノシルスルフェンアミド(化合物3a〜f;実施例1〜5)及び脱保護されたガラクトフラノシルスルフェンアミド(化合物4a、b;実施例7及び8)の合成を、スキーム1に示す。これらの実施例の製造において、1,2,3,5,6−ペンタ−O−アセチル−D−ガラクトフラノース(化合物1、Acyl=アセチル;Bakinovskiiら、1988)及び1−S−アセチル−2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2、Acyl=ベンゾイル;Owenとvon Itzstein、2000)を、公知文献の方法に従って製造し、それらをそのままスキーム1に示す。保護されたアラビノフラノシルスルフェンアミド(化合物8;実施例6)の合成をスキーム2に示す。この実施例の製造において、5−O−(t−ブチルジフェニルシリル)−D−アラビノフラノース(化合物5)を公知文献の方法(IkedaとBando, 1995)に従って製造し、それをそのままスキーム2に示す。全ての新規化合物は、予期された分光分析データを示した。
【0079】
【化7】

【0080】
試薬及び条件:a)Acyl=アセチル、Bakinovskiiら, 1988に従う;Acyl=ベンゾイル、D'Accorsoら, 1983に従う;b)SnCl又はBF.EtO、HSAc、CHCl、0℃〜室温、1〜6時間、N;c)BrCH(COOEt)、HNR、DMF、THF又はMeOH、室温、17〜44時間;d)NaOMe、MeOH、室温、2時間、N
【0081】
【化8】

【0082】
試薬及び条件:a)IkedaとBando, 1995に従う;b)ピリジン、AcO、0℃、1時間、N;c)BF.EtO、CHCl、HSAc、室温、5時間、Ar;d)BrCH(COOEt)、HNR、MeOH、室温、3時間、Ar;e)i.TBAF、AcOH、THF、室温、6時間、N;ii.NaOMe、MeOH、室温、2時間、N
【0083】
1−S−アセチル−2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2、Acyl=アセチル):
1,2,3,5,6−ペンタ−O−アセチル−D−ガラクトフラノース(化合物1)(10.0g、25.6mmol)をN雰囲気下に無水ジクロロメタンに溶解し、この溶液を0℃に冷却した。三酢酸(3.6mL、2当量)及び蒸留したボロントリフルオリドエーテル化合物(3.8mL、1.2当量)を滴加し、反応液を室温に加温した。6時間後、反応液をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムでクエンチングした。有機相を乾燥(NaSO)し、減圧濃縮し、得られた黄色の残渣をクロマトグラフィー(3:2 ヘキサン/EtOAc)に付し、生成物(化合物2)(10.0g、96%)を、黄色のシロップとして得た。H NMR(300 MHz、CDCl):δ 2.03、2.04、2.11、2.12(4x3H、4xs、4xOAc)、2.38(3H、s、SAc)、4.07−4.23(2H、m、H−4、H−6)、3.32(1H、dd、J6’,5 4.2、J6’,6 12.0Hz、H−6’)、5.07(1H、m、H−2)、5.22(1H、t、J2,1〜J2,3 1.8Hz、H−2)、5.37(1H、m、H−5)、5.97(1H、app.t、J1,2 0.9Hz、H−1)。
【0084】
実施例1
N,N−ジベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3a):
1−S−アセチルl−2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2)(1.01g、2.50mmol)をメタノール(75mL)に溶解した。ジエチルブロモマロナート(630μL、3.75mmol)及びジベンジルアミン(1.20mL、6.3mmol)を添加し、反応液を室温で攪拌した。44時間後、溶剤を除去し、残渣をシリカ(1:1 EtOAc/ヘキサン)上のクロマトグラフィーに付して生成物(化合物3a)(1.19g、86%)を透明なシロップとして得た。R 0.58(1:2 EtOAc/ヘキサン)。H NMR(300MHz,CDCl):δ 2.01、2.05、2.09、2.15(それぞれ3H、s、OAc)、3.82(4H、s、CHPh)、4.17−4.40(3H、m、H−4、H−6及びH−6’)、5.00−5.10(2H、m、H−2及びH−3)、5.38(1H、m、H−5)、5.48(1H、d、J1.2=3.0Hz、H−1)、7.20−7.40(10H、m、ArH);LRMS(ESI):m/z 559.9[(M),100%]。
【0085】
実施例2
N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3b):
1−S−アセチルl−2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2)(350mg、0.9mmol)をメタノール(25mL)に溶解した。ジエチルブロモマロナート(273μL、1.7mmol)及びN,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)アミン(479mg、2.4mmol)を添加し、反応液を室温で攪拌した。19時間後、溶剤を減圧除去し、残渣をシリカ(EtOAc)上のクロマトグラフィーに付して生成物(化合物3b)(360mg、72%)を明るい金色(light golden)の油状物として得た。R 0.32(EtOAc)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 1.91、1.93、1.96、1.99(4x3H、4xs、4xOAc)、3.08(4H、t、J=6Hz、NCHCH)、3.23(6H、s、OMe)、3.30−3.60(12H、m、OCH)、4.00−4.25(3H、m、H−5、H−6、H−6’)、4.92(2H、m、H−2、H−3)、5.19(1H、m、H−5)、5.29(1H、d、J1,2 3.3Hz、H−1)。
【0086】
実施例3
N,N−ジシクロヘキシル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3c):
1−S−アセチル−2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2)(750mg、1.85mmol)をメタノール(25mL)に溶解した。ジエチルブロモマロナート(466μL、2.78mmol)及びジシクロヘキシルアミン(920μL、4.63mmol)を添加し、反応液を室温で攪拌した。90分後、溶剤を除去し、残渣をシリカ(1:2 EtOAc/ヘキサン)上のクロマトグラフィーに付して生成物(化合物3c)(688mg、69%)を透明なシロップとして得た。R 0.68(1:2 EtOAc/ヘキサン)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 0.9−1.7(20H、m、シクロヘキシル)、1.95、1.97、2.01、2.04(それぞれ3H、s、OAc)、2.62(2H、m、シクロヘキシル)、4.00−4.30(3H、m、H−4、H−6及びH−6’)、4.94(3H、m、H−1、H−2及びH−3)、5.28(1H、m、H−5);LRMS(ESI):m/z 565.8[(M+Na),100%]。
【0087】
実施例4
1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3d):
1−S−アセチル−2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2)(472mg、1.12mmol)をメタノール(15mL)及びテトラヒドロフラン(15mL)に溶解した。ジエチルブロモマロナート(293μL、2.62mmol)及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(782μL、4.5mmol)を添加し、反応液を室温で攪拌した。20時間後、溶剤を除去し、残渣をシリカ(1:1 EtOAc/ヘキサン)上のクロマトグラフィーに付して生成物(化合物3d)(356mg、61%)を透明なシロップとして得た。R 0.67(1:1 EtOAc/ヘキサン)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 1.10、1.12、1.21、1.23(それぞれ3H、s、Me)、1.3−1.6(6H、m、ピペリジン)、2.03、2.04、2.08、2.12(それぞれ3H、s、OAc)、4.10−4.30(3H、m、H−4、H−6及びH−6’)、5.01(1H、dd、J2,3 6.3Hz、J3,4 3.0Hz、H−3)、5.13(2H、m、H−1、H−2)、5.33(1H、m、H−5);LRMS(ESI):m/z 525.9[(M+Na)、100%]。
【0088】
実施例5
N−ベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3e):
1−S−アセチルl−2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−1−チオ−β−D−ガラクトフラノース(化合物2)(330mg、0.50mmol)をメタノール(15mL)に溶解した。ジエチルブロモマロナート(256μL、0.75 mmol)及びベンジルアミン(218μL、2.1mmol)を添加し、反応液を室温で攪拌した。17時間後、溶剤を減圧除去し、残渣をシリカ(1:1 EtOAc/ヘキサン)上のクロマトグラフィーに付して、生成物(化合物3e)(254mg、77%)を透明なシロップとして得た。R 0.48(1:1 EtOAc/ヘキサン)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 3.13(1H、t、J 5.7Hz、NH)、4.24(2H、d、J 1.5Hz、CHPh)、4.85(3H、m、H−6、H−6’及びH−4)、5.71(1H、d、J1,2 3.0Hz、H−1)、5.74(1H、app.t、J1,2 3.0、J2,3 2.1Hz、H−2)、5.82(1H、dd、J2,3 2.1、J3,4 4.8 H−3)、6.13(1H、m、H−5)、7.2−7.7(17H、m、ベンゾイル基のm,p−ArH及びベンジル基のArH)、7.9−8.2(4x2H、4xm、ベンゾイル基のo−ArH)。
【0089】
実施例6
1,2,3−トリ−O−アセチル−5−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−α/β−D−アラビノフラノース(化合物6):
5−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−α/β−D−アラビノース(化合物5)(2.10g、5.40mmol)を無水ピリジン(20mL)に溶解し、無水酢酸(20mL、過剰)と共に0℃で1時間、次いで室温で18時間N雰囲気下に攪拌した。その後、溶剤を減圧除去し、残渣をシリカ(4:1 ヘキサン/EtOAc)上のクロマトグラフィーに付して生成物(化合物6)(2.67g、96%)を透明なシロップとして得た。R 0.45(4:1 ヘキサン/EtOAc)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 7.33−7.22(m、10H、SiPh)、6.37(d、1H、J1,2 4.7Hz、H−1β)、6.19(bs、1H、H−1α)、5.63(dd、1H、J3,4 6.1、J3,2 7.2Hz、H−3β)、5.38(m、1H、H−3α)、5.33(dd、1H、J2,1 4.8、J2,3 7.2Hz、H−2β)、5.21(app d、1H、J 1.6Hz、H−2α)、4.24(dd、1H、J 4.0、J 8.8Hz、H−4α)、4.12(m、1H、H−4β)、3.87(m、2H、H−5α及びH−5’α)、3.81(m、2H、H−5β及びH−5’β)、2.02−2.13(6xs、18H、6xOAc α及びβ)、1.07(bs、18H、tert−ブチル α及びβ)。
【0090】
1−S−アセチル−2,3−ジ−O−アセチル−5−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−1−チオ−α−D−アラビノフラノース(化合物7):
5−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−1,2,3−トリ−O−アセチル−α/β−D−アラビノフラノース(化合物6)(2.10g、4.08mmol)を無水DCM(20mL)に溶解し、この溶液に0℃でAr雰囲気下にBF.OEt(1.2当量、4.90 mmol)を添加した。10分後、チオ乳酸(1.5当量、4.33mL、6.12mmol)を添加し、反応液を5時間室温でAr雰囲気下に攪拌した。その後、反応液をEtOAc(150mL)及び飽和NaHCO水溶液(150mL)で希釈した。有機層を飽和NaHCO)水溶液(150mL)及びNaCl水溶液(150mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカ(3:1 ヘキサン/EtOAc)上のクロマトグラフィーに付し、生成物(化合物7)(1.88g、87%)を透明なシロップとして得た。R 0.30(4:1 ヘキサン/EtOAc)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 7.65−7.73(m、4H、Si(Ph)、7.34−7.46(m、6H、Si(Ph)、6.00(bs、1H、H−1)、5.37(m、1H、H−2)、5.25(app t、1H,J 1.6Hz、H−3)、4.14(m、1H、H−4)、3.85(m、2H、H−5及びH−5’)、2.39(s,3H,SCOC)、2.11(s、3H、1xOCOC)、2.02(s、3H、1xOCOC)、1.06(s、9H、−C(CH)。
【0091】
N,N−ジオクチル−S−(2,3−ジ−O−アセチル−5−O−[tert−ブチルジフェニルシリル]−1−チオ−α−D−アラビノフラノシル)スルフェンアミド(化合物8、R=R=C17):
1−S−アセチル−2,3−ジ−O−アセチル−5−O−(tert−ブチルジフェニルシリル)−1−チオ−α−D−アラビノフラノース(化合物7)(1.48g,2.79mmol)を無水メタノール(20mL)に溶解した。次いでジエチルブロモマロナート(938μL、5.58mmol、2モル当量)を添加し、混合物を10分間室温でAr雰囲気下に攪拌した。ジオクチルアミン(3.36mL、11.15mmol、4モル当量)を加え、反応液を3時間室温でAr雰囲気下に攪拌した。反応液を濃縮し、残渣をEtOAc(100ml)に溶解し,飽和NaClで洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、溶剤を減圧除去した。残渣をシリカ(6:1 ヘキサン/EtOAc)上のクロマトグラフィーに付し、生成物(化合物8)(1.30g,64%)を淡黄色のシロップとして得た。R 0.70(4:1 ヘキサン/EtOAc)。H NMR(300MHz、CDCl):δ 7.66−7.73(m、4H、Si(Ph)、7.33−7.47(m、6H、Si(Ph)、5.44(d、1H、J1,2 4.1Hz、H−1)、5.34(dd、1H、J3,4 5.4、J3,2 3.2Hz、H−3)、5.12(dd、1H、J2,3 3.2、J2,1 4.0Hz、H−2)、4.22(m、1H、H−4)、3.85(d、2H、J 3.9Hz、H−5及びH−5’)、2.90(m、4H、N(C)、2.05(s、6H、2xOCOC)、1.18−1.63(m、24H、12xCH ジオクチル鎖),1.06(s、9H、−C(CH)、0.87(m、6H、2xCH)。
【0092】
ベンゾエート及びアセテート保護基の脱保護の一般的方法:
保護されたスルフェンアミド(0.5mmol)の無水メタノール(10mL)溶液に、N雰囲気下に1当量のナトリウムメトキシド(1M無水メタノール溶液)を加える。得られた反応液を室温で2時間攪拌する。その後、反応液をアンバーライト(H)樹脂で中和する。ろ過により樹脂を除去し、メタノールで洗浄し、溶剤を減圧除去する。残渣を、シリカ上のクロマトグラフィーに付し、脱保護された化合物を得る。
【0093】
tert−ブチルジフェニルシリル保護基の脱保護の一般的方法:
シリル保護されたスルフェンアミド(0.5mmol)の無水THF(5mL)溶液に、 ℃でN雰囲気下に、1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウム(1M THF溶液)及び酢酸(0.1mL)を添加する。得られた反応液を室温で15時間攪拌し、次いで、さらに酢酸(0.5mL)を添加して反応液をさらに1時間攪拌する。その後、反応混合物を減圧下に蒸発させる。残渣をシリカ上のクロマトグラフィーに付して、脱シリル化化合物を得る。
【0094】
実施例7
N,N−ジベンジル−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物4a):
N,N−ジベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3a)(275mg、0.49mmol)を脱−O−アセチル化して、生成物(化合物4a)(47%)を白色固体として得た。R 0.21(8.5:1.5 EtOAc/メタノール)。H NMR(300MHz、CDOD):δ.3.60−3.80(4H、m、H−2、H−5、H−6、H−6’)、3.90(1H、dd、J3,4 7.8Hz、J3,4 2.7Hz、H−4)、4.07(1H、m、H−3)、4.11(4H、s、CH−Ph)、5.31(1H、d、J1,2 5.1Hz、H−1)、7.10−7.40(10H、m、ArH);LRMS(ESI):m/z 413.9[(M+Na)、100%]。
【0095】
実施例8
N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物4b):
N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物3b)を脱−O−アセチル化して、生成物(化合物4b)(55%)をロウ様固形物として得た。R 0.24(14:5:1 EtOAc/メタノール/HO)。H NMR(300 MHz、DO):δ 3.13(4H、m、NCHCH)、3.38(6H、s、OMe)、3.50−3.75(15H、重複m、OCH2、H−5、H−6及びH−6’)、3.79(1H、t、J3,4 3Hz、H−4)、3.92(1H、dd、J2,3 7.5Hz J3,4 3Hz、H−3)、4.07(1H、dd、J1,2 5.4Hz J2,3 7.5Hz、H−2)、5.20(1H、d、J1,2 5.4Hz、H−1);LRMS(ESI):m/z 438.4[(M+Na),100%]。
【0096】
生物学的データ
実施例9
化合物4a(R=R=CHPh)による各種バクテリアの阻止を表1に示す。既報告の化合物であるN,N−ジオクチル−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド(化合物10)(R=R=C17;von Itzsteinら, 2003)に関するデータを比較のために示す。生物学的データはゾーン阻止アッセイ法により決定した。これらの化合物は、100μgの化合物をメタノール溶液として、LB寒天プレート表面のバクテリア叢上に置かれた滅菌フィルタディスクにスポッティングして試験した。37℃で72時間(恥垢菌(M. smegmatis))又は一晩(他種)インキュベートした後、阻止ゾーンを、任意スケールを用いて測定した(任意スケール:+++=比較的大きい阻止ゾーン、−=阻止ゾーン無)。
【0097】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0098】
一般式(I)の化合物は、薬剤、特に抗菌剤として有用である。
【0099】
参考文献
以下の文献の開示を、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
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【0100】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、Aは、O、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O及びC(O)からなる群から選択され;
AがOであり且つqが1である場合、RおよびRの一方は、水素、置換されていてもよいC1−3又は>C30アルキル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキル、置換されていてもよいC2−3又は>C30アルケニル、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルケニル、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアシル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環及び炭水化物基からなる群から選択され、RおよびRの他方は、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロ環、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択され;
しかし、AがS、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが1であるか、或いは、AがO、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)であり且つqが0である場合は、RおよびRは、無関係に、水素、置換されていてもよいアルキル(置換されていてもよいアルキルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアルケニル(置換されていてもよいアルケニルは、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアラルキル(置換されていてもよいアラルキルは、そのアルキル基の中に、O、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択されるか、或いはRとRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和または不飽和の、置換されていてもよいヘテロ環基(ヘテロ環基は、O、N及びSからなる群から選択される付加的なヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し;
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、又はオキソ基、=S、=NOR若しくは=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、又はオキソ基、=S、=NOR若しくは=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
及び X’は、無関係に、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、或いはXは、=O、=S、=NOR又は=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
は、OR、SR、NRR’、水素、ハロゲン、−(Y)C=(Z)(T)、−N(C=(Z)(T)、N、CN、OCN、SCN、OSO、OSO、OPOR’、OPOR’、S(O)R、S(O)、S(O)OR、POR’、NRNR’R’’、SNRR’、NRSR’、SSR及びRからなる群から選択されるものであるか、或いはオキソ基、=S、=NOR又は=CRR’であり且つX’が存在しないものであり;
は、水素、CN、−C=(Z)(T)11、S(O)R11、S(O)11、S(O)OR11、PO11R’11、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルキルアリール(alkaryl)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、及び置換されていてもよいアシルからなる群から選択され;
’、X’、X’及びX’は、同一であるか又は異なっていて、水素、CN,置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルキルアリール(alkaryl)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、及び置換されていてもよいアシルからなる群から選択され;
或いは、XとX、XとX’、X’とA(Aが炭素又は窒素原子を含む場合)、XとA(Aが炭素又は窒素原子を含む場合)、及びXとXの中の1つが共同して二重結合を形成しているか、或いはX’とX又はXとXは共同して二重結合を形成しているか、或いはRとX、RとX、RとX、RとX、RとX、RとX、RとX’、RとX’、XとX、XとX、XとX、XとX、XとX’、XとX’、XとX’又はXとX’は共同して環構造の一部を形成しており、当該環構造は、O、S及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいてもよく且つ置換されていてもよく;
m、n及びqは、無関係に、0又は1であり、Y、Z及びTは、無関係に、O、S、及びNR10からなる群から選択され;
、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R’、R’’、R、R、R、R’、R10、R11及びR’11は同一であるか又は異なっていて、水素、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル,置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいアシル及び炭水化物基からなる群から選択され;
但し、X、X、X及びXの内の少なくとも2個は、水素以外のものであるか又は炭素−炭素結合により環結合された基以外のものであり、且つ、一般式(I)で表される化合物は、1−(9H−プリニル)−S−(3−デオキシ−ペンタフラノシル)スルフェンアミド、5−ホルムアミド−2’,3’,5’−トリ−O−ホルミル−1−(β−D−リボフラノシルチオ)イミダゾール−4−カルボキサミド、N−フェニル−S−(2,3:5,6−ジ−O−イソプロピリデニル−β−D−マンノフラノシル)スルフェンアミド又はN,N−ジエチル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミドではない。〕
で表される化合物又は医薬的に許容されるこれらの塩。
【請求項2】
qが0であるか又はqが1であり、Aが、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)から選択され、R及びRの一方又は両方がアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
及びRの一方又は両方がC4−30アルキルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
及びRの一方又は両方がC6−12アルキルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
及びRの一方又は両方がC8−10アルキルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
及びRの一方又は両方がアラルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
及びRの一方又は両方が(CHPh(Phはフェニルであり、rは1〜12の範囲の整数である)である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
及びRの一方又は両方がO、S、−N=、NR及び−(Y)C=(Z)(T)からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子又は官能基が挿入されているアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
及びRの一方又は両方が1つ以上の酸素原子が挿入されているアルキルである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
及びRの一方又は両方がCH(CHO(CHO(CH(xは、0〜12の範囲の整数であり、y及びzは無関係に1〜12の範囲の整数である)である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
qが0であるか又はqが1であり、Aが、S、SO、SO、Se、Te、NR、CRR’、N→O又はC(O)から選択され、R及びRの一方又は両方がアルケニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の置換されていてもよいヘテロ環基を形成している、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって環状イミド又はラクタムを形成している、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
がORである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
が水素または置換されていてもよいアシルである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
がORである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
が水素又は置換されていてもよいアシルである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
がORである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が水素又は置換されていてもよいアシルである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
が存在する場合ORである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
が水素又は置換されていてもよいアシルである、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
N−ベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジベンジル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジシクロヘキシル−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)−S−(2,3,5,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジオクチル−S−(2,3−ジ−O−アセチル−5−O−[tert−ブチルジフェニルシリル]−α−D−アラビノフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジベンジル−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド、
N,N−ジ(2−メトキシエトキシエチル)−S−(β−D−ガラクトフラノシル)スルフェンアミド
からなる群から選択される化合物。
【請求項23】
一般式(I)
【化2】

で表される化合物の製造方法であって、一般式(II)
【化3】

(式中、Lは脱離基、好ましくはアセチルであり、X、X’、X、X’、X、X’、X、X’、X及びX’は、前述と同様に定義される)
で表される化合物を、一般式(III)
【化4】

(式中、R及びRは、前述と同様に定義される)
と、ビス活性化アルキルハロゲン化物の存在下に反応させることを含む、方法。
【請求項24】
細菌感染症の治療方法であって、このような治療が必要な患者(動物を含む)に、治療有効量の請求項1〜22のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物を投与することを含む方法。
【請求項25】
細菌感染症の治療に使用するための医薬の製造における、請求項1〜22のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物の使用。
【請求項26】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物及び医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項27】
微生物を死滅させる方法であって、微生物を、請求項1〜22のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物に接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2007−502779(P2007−502779A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523487(P2006−523487)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001115
【国際公開番号】WO2005/019237
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(504317503)グリフィス ユニバーシティ (5)
【Fターム(参考)】