説明

新規トリアリールイミダゾール

一般式(I)の化合物は、ガン及びガン関連疾患の処置にとって有益な薬物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規トリアリールイミダゾール及びそれらの医薬として許容される塩に関する。この化合物はプロテイン−チロシンキナーゼ阻害剤、特にc−metキナーゼであり、そしてそれ故にガンの処置にとって優れた療法である。本発明はまた、この新規化合物をガン及びガン関連疾患の処置のための活性物質として含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテイン−チロシンキナーゼ(PTK)は、ATPのγリン酸をタンパク質基質のチロシン残基に転移させるのを触媒する酵素であり、細胞性の増殖及び分化を制御するシグナル伝達経路の必須成分である。PTKは、2つの大きなファミリー、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)及び非受容体型チロシンキナーゼ(NRTK)に細分することができる。RTKは、原形質膜を貫通しており、そしてリガンドと結合する細胞外ドメイン、及び触媒活性と制御配列を保持している細胞内部分、を含んでいる。多くのRTKは、肝細胞増殖因子受容体であるc−metのように、一本鎖のポリペプチド鎖を保持しており、そしてリガンドの不在下では単量体である。RTKの細胞外部分とのリガンドの結合は、単量体受容体の二量体化を招き、細胞質部分における特定のチロシン残基の自己リン酸化をもたらす(概説については、Blume-Jensen, P., and Hunter, T. , Nature 411 (2001) 355-365; Hubbard, S. R. , et al., J. Biol. Chem. 273 (1998) 11987-11990; Zwick, E. , et al., Trends Mol. Med. 8 (2002) 17-23を参照のこと)。通常、チロシンの自己リン酸化は、受容体の内因性の触媒的なキナーゼ活性を刺激するか、あるいは、ホスホチロシン認識ドメイン、例えばSrcホモロジー2(SH2)ドメイン又はホスホチロシン結合(PTB)ドメインを含む下流のシグナル伝達タンパク質のための補充ドメインを生成する。
【0003】
プロテインチロシンキナーゼは、様々な細胞性応答、例えば増殖、アポトーシス及び分化を引き起こす細胞内シグナル伝達経路において重要な役割を果たす。その結果、これらの酵素は、ガン細胞の増殖、転移、血管新生を防ぎ、そしてアポトーシスを促進するように設計される新規治療薬の開発のための主要な標的となっている。臨床開発における最先端の戦略は、モノクローナル抗体を使用して増殖因子受容体チロシンキナーゼをターゲティングすることである。小分子であるチロシンキナーゼ阻害剤の使用は、モノクローナル抗体よりも重大な理論的な利点を有することがある。小分子阻害剤は、組織透過性が優れていることがあり、細胞内標的及び突然変異型の標的に対して活性を有することがあり、そして経口バイオアベイラビリティを有するよう設計することができる。複数のリード化合物がEGFR、血管内皮細胞増殖因子受容体及びbcr−ablのような標的に対し有望な活性を示している。
【0004】
肝細胞増殖因子受容体c−metは、NIH 3TSマウス線維芽細胞を形質転換する能力によりN−メチル−N’−ニトロソグアニジン処理したヒト骨原性肉腫細胞系(MUNG−HOS)における活性型オンコジーンとして最初に同定された。c−metプロトオンコジーンがコードする受容体(第7染色体に位置する)は、50kDa(α)鎖と、これとジスルフィド結合した145kDa(β)鎖から成る190kDaのαβ複合体の二本鎖タンパク質である。前記α鎖は細胞表面に曝露されており、一方、β鎖は細胞膜を貫通し、且つ細胞内チロシンキナーゼドメインを保持している。この細胞内チロシンキナーゼドメインの存在は、細胞表面分子の受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーの一員としてグループを成す。
【0005】
肝細胞増殖因子(HGF)は、散乱因子(SF)としても知られており、これは、異なる細胞及び組織における多様な応答を誘発する多機能サイトカインである。HGF/SHの最初の発見及び特徴づけは、特にガンの増殖及び進行におけるその役割に関して、激しい研究の対象であった。多くの証拠が現在、発ガン、ガンの浸潤及び転移の制御因子としてのその役割を指摘している(概説については、Herynk, M. H. , and Radinsky, R. , In Vivo 14 (2000)587-596 ; Jiang, W. , et al., Crit. Rev. Oncol. Hematol. 29 (1999)209-248 ; Longati, P. , et al. , Curr. Drug Targets 2 (2001) 41-55; Maulik, G. , et al., Cytokine Growth Factor Rev. 13 (2002) 41-59; Parr, C. , and Jiang, W. G. , Histol. Histopathol. 16 (2001)251-268を参照のこと)。
【0006】
HGF/SHは、成熟c−met受容体β鎖と結合し、そしてそのチロシンリン酸化を誘導する。そのようなイベントは、srcホモロジー(SH)領域を含む細胞内シグナル伝達タンパク質、例えばPLC−γ、Ras−GAP、PI−3キナーゼpp60c−src及びGRB−2Socs複合体とその活性型受容体との結合を促進すると考えられている。各SH2含有タンパク質は、シグナル伝達ホスホペプチドの異なるサブセットを活性化し、その結果異なる応答を細胞内に誘発させうる。
【0007】
c−metの突然変異は、遺伝性で且つ散発性のヒト乳頭状腎細胞ガンでよく説明されており、そして卵巣ガン、小児期の肝細胞ガン、転移性頭頸部扁平上皮細胞ガン、及び胃ガンで報告されている。c−metはまた、非小細胞肺ガン及び小細胞肺ガン細胞両方、乳房、結腸及び前立腺の腫瘍において過剰発現している。c−metは様々な腫瘍の発ガンにおいて重要な役割を果たしているようなので、種々の阻害戦略がこの受容体チロシンキナーゼを治療上ターゲティングするために利用されている。
【0008】
腫瘍の増殖及び浸潤を阻害するためにタンパク質チロシンキナーゼc−metを阻害することの有用性は、多数のよく裏付けられた前臨床の実験において証明されている(例えば、Abounader, R. , et al. , J. Natl. Cancer Inst. 91 (1999) 1548-1556; Laterra, J. , et al. , Lab. Invest. 76 (1997) 565-577; Tomioka, D. , Cancer Res. 61 (2001) 7518-7524; Wang, R., et al., J. Cell Biol. 153 (2001) 1023-1033)。
【0009】
WO96/18626は、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾールの誘導体である、チロシンキナーゼとc−metキナーゼの阻害剤を記載している(実施例5,6及び55)。しかしながら、それらは不所望なチトクロームP450相互作用を示す。
【0010】
本発明の化合物はこの欠点を回避し、そしてc−metキナーゼの強力で良好な溶解性を有する阻害剤であることが明らかとなった。
【0011】
本発明の要約
本発明は一般式(I)
【化1】

(ここで、
Wは−N=であり;且つ
Xは水素であり;
Yは水素又は基A2−Rであり;
2はC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rはヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nは1又は2であり;且つ
Zは、ハロゲン;ヒドロキシ;アリルオキシ;メチル;ピリジニルで任意に置換されているC1−C3−アルコキシ;メトキシメトキシ;(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ;メチルチオ;エトキシメトキシ;メチレンジオキシ;エチニル;トリメチルシリルエチニル及びベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ又はエトキシで任意に置換されているもの、から成る群から独立して選択される1又は2個の置換基を表し、あるいは
Wは−CH=であり;且つ
Xは水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1はC1−C3−アルキレン基を表し;
QはOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1は、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1はC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1はヒドロキシ又はNR34であり;
2はC1−C3−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4は、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yは水素又は基A2−Rであり;
2はC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rはヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nは1又は2であり;且つ
Zは、nが1である場合ピリジニルで置換されたC1−C3−アルコキシを表し;そしてnが2である場合には一方の置換基がピリジニルで置換されたC1−C3−アルコキシを表し、そして第二の置換基が、ハロゲン;ヒドロキシ;アリルオキシ;メチル;C1−C3−アルコキシ;メトキシメトキシ;(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ;メチルチオ;エトキシメトキシ;メチレンジオキシ;エチニル;トリメチルシリルエチニルから成る群から独立して選択される)の化合物、及び医薬として許容されるその塩に関する。
【0012】
驚いたことに、本発明の化合物のc−met阻害に起因する医薬活性及び抗腫瘍活性は、前記イミダゾール環の2位の2,6−ジクロロフェニル又は−ピリジル残基の存在により提供されることが明らかとなった。
【0013】
本発明の詳細な説明
1,R2、R3,R4及びA2に関する好ましいC1−C6−アルキル基はメチル、エチル及びプロピルである。
【0014】
1、R及びZに関する好ましいC1−C6−アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ又はイソプロピルオキシである。
【0015】
3とR4が一緒に形成する好ましい環系は、1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−又は4−メチルピペラジン−1−イルを表す。
【0016】
好ましくは、X=A1−Qは−CH2OH又は−CH2−CH2−OHを表す。
【0017】
好ましくは、X=−O−A1−Q1は−O−CH2−CH2−OH;−O−CH2−COOH又は−O−CH2−CNである。
【0018】
Y=A2−Rの好ましい基は、2−ヒドロキシエチル;3−ヒドロキシプロピル、2−メトキシエチル;3−メトキシプロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(R)−3−ヒドロキシブチル;(S)−3−ヒドロキシブチル;2−モルホリノエチル;3−モルホリノプロピル;(CH23COOH;2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル;3−ヒドロキシ−1−フェニルプロピル;3−tert−ブチルオキシエチル;2−アミノエチル;3−アミノプロピル;4−アミノブチル;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル;3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル;3−(ピロリジン−1−イル)プロピル;CH2COOH;(CH22COOH;CH(C25)COOH;(CH23COOC(CH33;(CH22−N−COOC(CH33;(CH23−N−COOC(CH33;(CH22−O−(CH22−N(CH32;(CH22−O−(CH22−NH2;(CH22−S−(CH22−N(CH32;(CH22−S−(CH23−N(CH32;(CH23−S−(CH22−N(CH32;(CH23−S−(CH23−N(CH32;(1,2,4−トリアゾール−1−イル)エチル;3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)プロピルである。
【0019】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
【0020】
好ましくはnは1であり、且つ前記置換基Zは3位又は4位に位置する。Zがピリジニルで置換されたメトキシ;ベンジルオキシ又は置換されたベンジルオキシ基を表す場合、Zは好ましくは3位に位置する。
【0021】
特に好ましいものは、Wが−N=であり;Zが3−クロロ;4−クロロ;3−ブロモ;3−ヨード;3−エチニル;3−メトキシメトキシ;3−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ;3−メチルチオ;3−エトキシメトキシ;3,4−メチレンジオキシ又は3−ベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ又はエトキシで任意に置換されているものから成る群から選択される、一般式(I)の化合物及び医薬として許容されるその塩である。
【0022】
また、特に好ましいものは、Wが−N=であり;
Xが水素であり;
Yが2−ヒドロキシエチル;3−ヒドロキシプロピル;2−メトキシエチル;3−メトキシプロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(R)−3−ヒドロキシブチル;(S)−3−ヒドロキシブチル;3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル;2−モルホリノエチル;3−モルホリノプロピル;2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;3−ヒドロキシ−1−フェニルプロピル;2−アミノエチル;3−アミノプロピル;4−アミノブチル;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル;3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル;3−(ピロリジン−1−イル)プロピル;CH2COOH;(CH22COOH;(CH23COOH;CH(C25)COOH;;(CH22−O−(CH22−N(CH32;(CH22−O−(CH22−NH2;(CH22−S−(CH22−N(CH32;(CH22−S−(CH23−N(CH32;(CH23−S−(CH22−N(CH32又は(CH23−S−(CH23−N(CH32を表し;
nは1であり;且つ
Zは3−クロロ;4−クロロ;3−ブロモ;3−ヨード;3−エチニル;3−メトキシメトキシ又は3−ベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ若しくはエトキシで任意に置換されているものから成る群から選択される、
一般式(I)の化合物である。
【0023】
また、特に好ましいものは、Wが−N=であり;
Xが水素であり;
Yが2−ヒドロキシエチル;3−ヒドロキシプロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2−モルホリノエチル;3−モルホリノプロピル;2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;2−アミノエチル;3−アミノプロピル;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル;3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル又は3−(ピロリジン−1−イル)プロピルであり;
nは1であり;且つ
Zは3−クロロ;4−クロロ;3−ブロモ;3−ヨード;3−エチニル;3−メトキシメトキシ又は3−ベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ若しくはエトキシで任意に置換されているものから成る群から選択される、
一般式(I)の化合物である。
【0024】
前記化合物は、例えば:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾールである。
【0025】
本発明の更なる態様は、Wが−CH=であり;
Xが水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1がC1−C3−アルキレン基を表し;
QがOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシ又はNR34であり;
2がC1−C6−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4が、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yが3−ヒドロキシプロピルであり;且つ
Zが、ハロゲン;メトキシ又はシアノで任意に置換されている3−ベンジルオキシである、一般式(I)の化合物である。
【0026】
本発明の更に別の態様は、Wが−CH=であり;
Xが水素;又はOR1であり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシであり;
Yが3−ヒドロキシプロピルであり;且つ
Zが3−ベンジルオキシである、
一般式(I)の化合物である。
【0027】
本発明の更なる態様は、Wが−CH=であり;
Xが水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1がC1−C3−アルキレン基を表し;
QがOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシ又はNR34であり;
2がC1−C6−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4が、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yが水素又は基A2−Rであり;
2がC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rがヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nは1又は2であり;且つ
Zがピリジニルで置換されているC1−C3−アルコキシを表す、一般式(I)の化合物である。
【0028】
本発明の更に別の態様は、Wが−CH=であり;
Xが水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1がC1−C3−アルキレン基を表し;
QがOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシ又はNR34であり;
2がC1−C6−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4が、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yが3−ヒドロキシプロピルであり;
nが1であり;且つ
Zがピリジン−2−イルメトキシ;ピリジン−3−イルメトキシ又はピリジン−4−イルメトキシである、一般式(I)の化合物である。
【0029】
前記化合物は、例えば:
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール、
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール、及び
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール
である。
【0030】
式(I)は、2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−(4−ピリミジニル)−1H−イミダゾールを表し、これは2−(2,6−ジクロロフェニル)−5−フェニル−4−(4−ピリミジニル)−1H−イミダゾールの互変異性体である。両互変異性体は同一構造により表され、それらの命名法は同義で使用されることがあり、そして両互変異性体は本発明の一部をなしている。本発明の化合物は1又は複数の不斉炭素を含んでもよく、そしてラセミ体、ラセミ混合物、個々のジアステレオマーとして生じることもあり、但し全ての可能性のある異性体、例えば光学異性体が本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
一般式(I)の化合物は、一般式(VI)又は(VII)の化合物とアミンY−NH2(ここで、W,X,Y,n及びZは本明細書の上文で定義した意味を有する)とを、80〜180℃の範囲内の温度で反応させ、そしてその後前記化合物を単離することで調製することができる。好ましくは、化学量論的な量の又は過剰な前記アミンが使用される。この反応は、溶媒を用いることなく、又はジオキサン、ジメトキシエタン若しくはトルエンのような溶媒中で
実施することができる。
【0032】
【化2】

【0033】
一般式(VI)及び(VII)の化合物は、一般式(V)に記載のチオエーテルのスルフィド基の酸化により得ることができる。一般式(VI)のスルホキシドを得るために、酸化は好ましくは3−クロロ安息香酸を用いることで実施される。一般式(VII)のスルホンの合成のために、オキソン(登録商標)が好ましくは使用される。
【0034】
一般式(V)のチオエーテル
【化3】

は、一般式(IV)の化合物のN−脱酸素により得ることができる。当該反応は、好ましくはブロモ酢酸エチルを用い、トリエチルアミンの存在下で実施される(Somei, M. , and Tsuchiya, M., Chem. Pharm. Bull. 29 (1981) 3145-3157)。あるいは、この還元は、亜リン酸トリエチルをジメチルホルムアミド中で使用することで達成することができる。
【0035】
一般式(IV)の化合物は、一般式(III)の化合物を一般式(II)の化合物(ここで、置換基W,X及びZは本明細書の上文で定義した意味を有する)と反応させることにより得ることができる。この反応は縮合であり、好ましくは、アンモニアの存在下、他のアルデヒドについて知られている方法を用いて実施される。
【0036】
【化4】

【0037】
本発明の更なる態様は、一般式(II)の化合物(ここで、置換基Xは上文で言及した方法に記載のような一般式(I)の化合物の製造のために上文で定義した意味を有する)の使用にある。
【0038】
2,6−ジクロロベンズアルデヒドは、本発明の一般式(I)の化合物の製造にとって価値のある中間体である。2,6−ジクロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒドと2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドは当業界で知られている。2,6−ジクロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒドは3−ヒドロキシベンズアルデヒドから合成されているが(Gust, R. , and Schoenenberg, H., Eur. J. Med. Chem. 28 (1993) 103-115)、これには非常に毒性のある塩素の使用が必要であり、そして過酸化のために副産物が生じる。本発明で開示する手順(実施例A2)はこれらの欠点を回避し、2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドをライマー−ティーマン反応(Baldwin, J. J. , et al.,J. Med. Chem. 22 (1979) 687-693)又は臭素化/グリニャールの順序(WO01/44154)のいずれかで3,5−ジクロロフェノールから調製することができる。ライマー−ティーマン反応の手順は、非常に低収率(4%未満)であるので経済的な調製を行うことができず、また、クロロホルムの使用が必要とされることで、生態学的な問題が生じる。臭素化/グリニャールの順序を介する他の既知の反応は、臭素による化学両論的な臭素化、そしてフェノールを保護するための毒性のあるクロロメチルメチルエーテルの使用、を含む合計で4つの段階を要する。更に、全収率はわずかに40%である。
【0039】
本発明は、2,6−ジクロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒドと2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドの製造の改良方法を提供する。この方法は、保護された2,4−ジクロロフェノール又は3,5−ジクロロフェノールをリチウム塩基でメタレーションし、続いてギ酸のエステル又はアミドと反応させ、そして前記化合物を脱保護し単離することを特徴とする。適当なリチウム塩基はメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド又はリチウムビストリメチルシリルアミドであり、好ましくはブチルリチウムである。適切な溶媒はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,2−ジメトキシエタンであり、好ましくはテトラヒドロフランである。メタレーション段階は、−100℃〜−60℃、好ましくは−80℃〜−70℃で実施される。適当な保護基はトリイソプロピルシラニル、t−ブチルジメチルシラニル、フェニルジメチルシラニルであり、好ましくはトリイソ−プロピルシラニルである。ギ酸の適当な誘導体はギ酸メチル、ギ酸エチル、ジメチルホルムアミド又はN−ホルミルピペリジンであり、好ましくはジメチルホルムアミドである。この手順もまた本発明の2,6−ジクロロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒドと2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドの製造に適用することができる。
【0040】
用語「医薬として許容される塩」は、本明細書の前文で使用する場合、式(I)の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、且つ適当な毒性の無い有機酸若しくは無機酸又は有機塩基若しくは無機塩基から形成される常用の酸付加塩又は塩基付加塩を意味する。サンプルの酸付加塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸、並びに有機酸由来のもの、例えば、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等が含まれる。サンプルの塩基付加塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、及び水酸化第四級アンモニウム由来のもの、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムが含まれる。医薬化合物(すなわち薬物)を塩に化学的に修飾することは、薬剤師にとって、改善された化合物の物理的、化学的安定性、吸湿性、流動性及び溶解性を得るのに周知の技術である(例えば、H. Ansel et.al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 6th ed. , (1995), pp. 196 and 1456-1457を参照のこと)。
【0041】
式(I)の化合物及び式(I)の化合物の医薬として許容される塩は、薬物として、例えば医薬品の形態で使用することができる。医薬品は、例えば錠剤、コート錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形態で経口投与することができる。しかしながら、投与は、経直腸的に、例えば座薬の形態で、非経口的に、例えば注射溶液の形態で実施することができる。
【0042】
式(I)の化合物は、医薬品の調製のために、医薬として不活性な無機又は有機性の担体を用いて処理することができる。ラクトース、コーンスターチ又はそれらの誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、コート錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセルのための担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固形ポリポール及び液体ポリオール等である。しかしながら、活性物質の性質によっては、担体は軟質ゼラチンカプセルに通常必要とされない。溶液及びシロップの産生に適した担体は、例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油等である。座薬に適した担体は、例えば、天然油又は硬化油、蝋、脂肪、半固形ポリオール又は液体ポリオール等である。
【0043】
医薬品は更に、保存剤、安定化剤、可溶化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、風味剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含むことができる。それらはまた、更に他の治療的に有効な物質を含むこともできる。
【0044】
式(I)の化合物又はそれらの医薬として許容される塩及び治療上不活性な担体を含む薬物も、本発明の対象であり、これはそれらの製造方法についても同様であり、当該製造方法は、式(I)の1又は複数の化合物及び/又は医薬として許容される塩と、所望により、1又は複数のほかの治療上有益な物質とを、1又は複数の治療上不活性な担体と一緒に生薬の投与形態にすることを含んで成る。
【0045】
一般式(I)の化合物は、それらのチロシンキナーゼ阻害剤、好ましくはc−metキナーゼとしての活性により、c−met受容体又は関連のキナーゼ受容体の発現の増強に対応するガン及び他の疾患の処置を目的とする治療法にとって有益な成分である。
【0046】
従って、本発明の化合物の投与量は、広範な制限の範囲内で変化することがあり、そしてそれぞれの特定の場合における個々の要件に合わせる必要がある。経口投与の場合、成人用の投与量は、1日当たり約0.01mg〜約1000mgの一般式(I)の化合物又は相当量の医薬として許容されるその塩で変化することがある。日用量は、単回投与又は分割投与で投与してもよく、そして更に、上限も望ましいことがわかった場合には超過することがある。
【0047】
以下の実施例及び調製物は本発明を例示するが、その範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0048】
A 置換2,6−ジクロロベンズアルデヒドの合成
実施例A1
2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(A1)
3,5−ジクロロトリイソプロピルシリルオキシベンゼン(A1.1)の調製
200gの3,5−ジクロロフェノールと330mlの2,6−ルチジンを3.0Lの乾燥塩化メチレンに溶解した溶液に対し、400gのトリイソプロピル−シリルトリフレートを0℃で1時間以内に添加し、そしてこの混合物を更に3時間この温度で攪拌した。1.0Lの水で加水分解した後、有機層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、そして乾燥するまで蒸発させた(70℃/80mbar)。残渣を石油エーテルに溶解させ、そしてシリカを介してろ過し、360g(92%)のA1.1を無色の油として生成せしめた。
【0049】
1H-NMR (250 MHz, CDCl3) δ = 1. 03-1.15 (m, 18 H, CH3) ; 1.16-1. 35 (m, 3H CH); 6.73-6. 80 (m, 2H, CHarom) ; 6.92-6.98 (m, 1 H, CHarom.)
13C-NMR (62.9 MHz, CDCl3) δ = 12.7 (CH); 18.0 (CH3); 119.0, 121.6 (CHarom.) ; 135.2, 157.4 (CHarom.)
【0050】
2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(A1)と2,6−ジクロロ−4−トリイソプロピルシリルオキシ−ベンズアルデヒド(A1.2)の調製
360gのA1.1を2.6Lの乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液に対し、440mlのn−BuLi(ヘキサン中2.7M)を、窒素のもと、温度を−65℃未満に維持しながら添加した。2時間−70℃で攪拌した後、120mlの乾燥ジメチルホルムアミドを、温度を−65℃未満に維持しながら添加した。混合物を一晩室温にまで加温した。700mlの4MHClを添加した後、この混合物を1時間室温で激しく攪拌した。続いて、相を分離し(固形のNaClが必要なこともある)、そして有機層を硫酸ナトリウム上で脱水し、そして真空に減圧した。沈殿物をトルエン/テトラヒドロフランから再結晶化することにより154g(70%)のA1(融点229〜230℃)が生成した。
【0051】
1H-NMR (250 MHz, DMSO-D6) δ = 6.94 (s, 2 H, CHarom.) ; 10.25 (s,1 H,CH=O), 11.46 (s (br), 1H, OH)
13C-NMR (62.9 MHz, DMSO-D6) δ = 117.0 (CHarom.) ; 120.7, 137.8, 162.1 (CHarom.) ; 187.2 (CH=O)
【0052】
実施例A2
エチル(3,5−ジクロロ−4−ホルミルフェノキシ)アセテート(A2)の調製
2.87g(15mmol)のA1と、2.76g(16.5mmol)のブロモ酢酸エチルと、2.90g(21mmol)の炭酸カリウムを50mlの乾燥アセトン中で混合したものを3時間60℃で攪拌した。濾過し、そして溶媒を除去した後、残渣をシリカでのカラムクロマトグラフィーにより精製した(酢酸エチル/メタノール100:2)。収量:3.55g(86%)A2(無色の固体)。
【0053】
1H-NMR (250 MHz, CDCl3): δ = 1.32 (t, 7.2 Hz, 3 H, CH3) ; 4.30 (q, 7.2 Hz, 2 H, CH2); 4.68 (s, 2 H, CH2) ; 6.92 (s, 2 H, CHarom.); 10.41 (s, 1H, CH=O)
13C-NMR (62.9 MHz, CDCl3): δ = 14.3 (CH3) ; 62.1, 65.5 (CH2); 116. 4 (CHarom.) ; 123.8, 139.2, 160.9 (CHarom.) ; 167.3 (C=O) ; 187.8 (CH=O).
【0054】
B 「ワインレブ」型アミドの合成
実施例B1
3−ベンジルオキシ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(B1)
136.8g(0.60mmol)の3−ベンジルオキシ安息香酸を1200mlのジクロロメタン中に懸濁させたものに対し、60.6g(0.6mol)のトリエチルアミンを10℃で添加した。64.8g(0.6mol)のクロロギ酸エチルを100mlのジクロロメタンに溶解させたものを15分かけて温度を10℃〜15℃の間に維持して添加した。40分間攪拌し、そして58.2g(0.6mol)のN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩を添加した後、60.6g(0.6mol)のトリエチルアミンの溶液を20分かけて10〜15℃で添加した。更に30分間攪拌した後、水を添加し、そして有機層を硫酸ナトリウム上で脱水した。真空で分画蒸留することで131.9(81%)のB1が生成した。
MS:273(API+)
【0055】
実施例B2
3−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(B2)
100g(0.37mol)のB1を750mlのテトラヒドロフランに溶解させた溶液に対し、10gのPd/C(10%)を添加し、そしてこの混合物を雰囲気圧で2時間水素化した。触媒を濾過し、そして濾液を蒸発させて66.0gのB2(98%)に生成せしめた。
MS:182(API+)、180(API−)
【0056】
実施例B3
3−(2−ピリジニルメチルオキシ)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(B3)
1.21g(10.0mmol)のB2と、2.89g(11.0mmol)のトリフェニルホスフィンと、1.20g(11.0mmol)のピリジン−2−メタノールを30mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解させた溶液に対し、1.92g(11.0mmol)のジエチルアゾジカルボキシレートを5mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、そしてこの混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を除去し、シリカ上でカラムクロマトグラフィーにかけた後(ヘキサン/酢酸エチル2:1)、2.81gのB3が淡黄色の油として得られた(30モル%の不純物のトリフェニルホスフィンオキシド(NMRにより測定)と仮定して72%の収率)。この特定の実施例における前記不純物の分離に伴う問題により、この実験をPS−結合型のトリフェニルホスフィンを用いて繰り返し、純粋なB3を58%の収率で生成させた。
MS:M=273(API+)
【0057】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 3.25 (s, 3H, CH3) ; 3.45 (s, 3H, OCH3) ; 5.15 (s, 2H, OCH2) ; 6.98-7.04 (m, 1H) ; 7.12-7.28 (m, 4H); 7.40-7.48 (m, 1H) ; 7.60-7.68 (m, 1H) ; 8.46-8.56 (m, 1H).
13C-NMR (100.6 MHz, CDCl3) δ = 34.3 (CH3) ; 61.5 (OCH3) ; 71.0 (OCH2) ; 114.9, 117.6, 121.3, 121.8, 123.2, 129.7, 135.9*, 137.3, 149.6, 157.3*, 158.3* (CaromH) ; 169.9 (C=O). (*=第四級炭素)
【0058】
実施例B4
3−(3−ピリジニルメチルオキシ)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(B4)
3−ピリジニルメタノールを用いて反応した点を除き実施例B3に記載のものと類似の反応により、B4が81%の収率で生成した。
MS:M=273(API+)
【0059】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ = 3.24 (s, 3H, CH3) ; 3.53 (s, 3H, OCH3) ; 5.20 (s, 2H, OCH2) ; 7.12-7. 24 (m, 3H); 7.34-7. 48 (m, 2H); 7.84-7. 92 (m, 1H) ; 8.52-8. 60 (m, 1H) ; 8. 68-8. 72 (m, 1H)
13C-NMR (100.6 MHz, DMSO-D6) δ = 33.7 (CH3) ; 61.1 (OCH3) ; 67.4 (OCH2); 114.1, 117.3, 120.5, 124.0, 129.7, 132. 8, 136.1, 136.2, 149.5, 149.6, 157.9 (CaromH); 169. 0 (C=O).
【0060】
実施例B5
3−(4−ピリジニルメチルオキシ)−N−メトキシ−N−メチルベンズアミド(B5)
4−ピリジニルメタノールを用いて反応した点を除き実施例B3に記載のものと類似の反応により、B5が82%の収率で生成した。
MS:M=273(API+)
【0061】
MS:M = 273 (API+)
1H-NMR (400 MHz,DMSO-D6) δ = 3.24 (s, 3H, CH3) ; 3.51 (s, 3H, OCH3); 5.24 (s, 2H, OCH2) ; 7.12-7.22 (m, 3H); 7.34-7.41 (m,1H) ; 7.42-7.48 (m, 2H); 8.52-8.64 (m, 2H).
13C-NMR (100.6 MHz, DMSO-D6) δ = 33.7 (CH3); 61.0 (OCH3); 67.9 (OCH2) ; 114.1, 117.3, 120.7, 122.1, 129.8, 136.3, 146.4, 150.1, 157.7 (CaromH) ; 169.0 (C=O).
【0062】
C 「エタノン(ethanone)」の合成
実施例C1
1−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−エタノン(C1)
2.1ml(15mmol)のジイソプロピルアミンを70mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解し、そして−70℃に冷却し、そして9.4mlのn−ブチルリチウム(1.6M、15mmol)を10分かけて添加した。−75℃で15分間攪拌した後、1.69g(12mmol)の2−メチルチオ−4−メチルピリミジンを5mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液を10分以内に−75℃で添加し、そしてこの混合物を更に15分間攪拌した。続いて、2.73g(7mmol)のB3(70%の純度)を5mlの乾燥テトラヒドロフランに溶解させた溶液を1時間−75℃で攪拌し、そして次に室温まで加温させ、そして最後に100mlの酢酸エチル/水(1:1)に注いだ。水層を50mlの酢酸エチルで抽出し、そして一まとめにした有機層を硫酸ナトリウム上で脱水した。溶媒を真空で除去し、そしてシリカ上でのカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル3:1)にかけることで、1.52g(62%)のC1(CDCl3中400MHzのNMRで測定したケト−エノール比は約30:70である)が生成した。
MS:M=352(API+)、350(API−)
【0063】
実施例C2
1−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−エタノン(C2)
B4を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、C2が60%の収率で生成した。
MS:M=352(API+)、350(API−)
【0064】
実施例C3
1−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−エタノン(C3)
B5を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、C3が55%の収率で生成した。
MS:M=352(API+)、350(API−)
【0065】
実施例C4
1−(3−ベンジルオキシフェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−エタノン(C4)
B1を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、C4が89%の収率で生成した。
MS:M=351(API+)、349(API−)
【0066】
D 「ケトオキシム」の合成
実施例D1
1−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−イミノエタノン(D1)
1.50g(4.3mmol)のC1を18.6mlの氷酢酸(glacial acid)と、15.0mlのテトラヒドロフランと2.0mlの水の混合物に溶解した。5℃に冷却した後、353mg(5.1mmol)の硝酸ナトリウムを3.5mlの水に溶解した溶液を、温度を5℃〜10℃に維持しながら添加した。冷却を中止し、そしてこの混合物を2時間室温で攪拌した。溶媒を真空で除去した後、35mlの水と240mlの酢酸エチルを添加した。pHを3Nの水酸化ナトリウムで8に調節した。相分離し、そして水層を50mlの酢酸エチルで抽出した。一まとめにした有機層を硫酸ナトリウム上で脱水し、そして溶媒を真空で除去した。収量:1.61g(99%)D1
MS:M=381(API+)、379(API−)
【0067】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ = 2.17 (s, 3H, SCH3); 5.25 (s, 2H, OCH2) ; 7.30- 7.35(m, 1H) ; 7.36-7.42 (m, 3H); 7.47-7.54 (m, 2H); 7.62-7.65 (m, 1H) ; 7.78-7.85 (m, 1H) ; 8.52-8.55 (m, 1H) ; 8.68-8.72 (m, 1H) ; 12.80 (br, 1H, OH).
13C-NMR (100.6 MHz, DMSO-D6) δ = 13.6 (SCH3) ; 70.9 (OCH2) ; 111.7, 113.8, 121.6, 122.0, 122.1, 123.4, 131.0, 136.4, 137.3, 149.5, 154.0*, 156.5, 158.7, 158.9*, 159.3*, 171.8* ; 193.3* (C=O).(* =第四級炭素)
【0068】
実施例D2
1−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−イミノエタノン(D2)
C2を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、D2が92%の収率で生成した。
MS:M=381(API+)、379(API−)
【0069】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ = 2.19 (s, 3H, SCH3); 5.23 (s, 2H, OCH2) ; 7.32-7.46(m, 4H); 7.46-7.56 (m, 1H) ; 7.58-7.68 (m, 1H) ; 7.84-7.92 (m, 1H) ; 8.50-8.56 (m, 1H) ; 8.64-8.72 (m, 2H).
【0070】
実施例D3
1−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−イミノエタノン(D3)
C3を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、D3が97%の収率で生成した。
MS:M=381(API+)、379(API−)
【0071】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ = 2.18 (s, 3H, SCH3) ; 5.27 (s, 2H, OCH2) ; 7.36-7.43(m, 3H); 7.43-7.49 (m, 2H); 7.49-7.55 (m, 1H) ; 7.61-7.68 (m, 1H) ; 8.54-8.63 (m, 2H); 8.68-8.74 (m, 1H) ; 12.78 (s, 1H, OH).
【0072】
実施例D4
1−(3−ベンジルオキシフェニル)−2−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−2−ヒドロキシイミノエタノン(D4)
C4を用いて出発した点を除き実施例C1に記載のものと類似の反応により、D4が86%の収率で生成した。
MS:M=380(API+)、378(API−)
【0073】
1H-NMR (250 MHz, DMSO-D6) δ = 2.19 (s, 3H SCH3) ; 5.17 (s, 2H, OCH2) ;7. 24-7.53 (m, 9H); 7.59-7.69 (m, 1H) ; 8.63-8.72 (m, 1H) ; 12.83 (br, 1H, OH).
13C-NMR (62.9 MHz, DMSO-D6) δ = 13.6 (SCH3) ; 69.9 (OCH2) ; 111.7, 113.7, 121.6, 122.1, 128.1, 128.3, 128.8, 130.9, 136.5, 136.9*, 154.0*, 158.6, 159.1*, 159.4*, 171.8* ; 193.5* (C=O).(* =第四級炭素)
【0074】
E 「N−ヒドロキシイミダゾール」の合成
実施例E1
2−(2,6−ジクロロ−4−[エトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−ヒドロキシ−イミダゾール(E1)
1.60g(4.2mmol)のD1と、1.40g(5.0mmol)のA2と3.25g(42mmol)の酢酸アンモニウムを40mlの酢酸に混合したものを105℃で3.5時間攪拌した。溶媒を蒸留して除き、そして残渣を40mlの氷水と60mlの酢酸エチルとの間に分配し、そして濃アンモニア水でpH8に調節した。水層を酢酸エチルで抽出し、そして一まとめにした有機層を硫酸マグネシウム上で脱水し、そして乾燥するまでエバポレーションにかけることで、3.60gの淡褐色のゆっくりと固化する油が生成し、これを次の段階(実施例F1)で更に精製することなく使用した。
MS:M=638(API+)、636(API−)
【0075】
実施例E2
2−(2,6−ジクロロ−4−[エトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−ヒドロキシ−イミダゾール(E2)
D2を用いて出発した点を除き実施例E1に記載のものと類似の反応により、E2が橙色の油として生成した。
MS:M=638(API+)、636(API−)
【0076】
実施例E3
2−(2,6−ジクロロ−4−[エトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−ヒドロキシ−イミダゾール(E3)
D3を用いて出発した点を除き実施例E1に記載のものと類似の反応により、E3が黄色の油として生成した。
MS:M=638(API+)、636(API−)
【0077】
実施例E4
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−ヒドロキシ−イミダゾール(E4)
D4と3,5−ジクロロピリジン−4−カルボキシアルデヒド(J. Med. Chem.44(2001) 997)を用いて出発した点を除き実施例E1に記載のものと類似の反応により、E4が橙色の固形として生成した。
MS:M=536(API+)、534(API−)
【0078】
F 「N−Hイミダゾール」の合成
実施例F1
2−(2,6−ジクロロ−4−[メトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F1)
3.59g(4.2mmol)のE1と、1.41g(8.4mmol)のブロモ酢酸メチルと2.85g(28mmol)のトリエチルアミンを80mlのメタノールに混合したものを一晩60℃で攪拌した。溶媒を真空で除去した後、シリカ上でクロマトグラフィー(酢酸エチル/イソ−ヘキサン3:1)にかけることにより2.08g(81%)の純粋なF1が生成した(メタノール中でのエステル交換反応)。
MS:M=608(API+)、606(API−)
【0079】
実施例F2
2−(2,6−ジクロロ−4−[メトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F2)
E2を用いて出発した点を除き実施例F1に記載のものと類似の反応により、65%のF2が生成した。
MS:M=608(API+)、606(API−)
【0080】
実施例F3
2−(2,6−ジクロロ−4−[メトキシカルボニルメトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチル−オキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F3)
E3を用いて出発した点を除き実施例F1に記載のものと類似の反応により、66%のF3が生成した。
MS:M=608(API+)、606(API−)
【0081】
実施例F4
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F4)
2.07g(3.3mmol)のF1を50mlの乾燥THFに溶解したものに対し、窒素雰囲気でLiAlH4(THF中で1M)をF1がもはやHPLCで検出できなくなるまで0℃で添加した。0.5mlの水で加水分解し、そして溶媒を除去した後、残渣をシリカ上でカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール9:1)にかけることで93%のF4が生成した。
MS:M=580(API+)、578(API−)
【0082】
実施例F5
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F5)
F2を用いて出発した点を除き実施例F4に記載のものと類似の反応により、64%のF5が生成した。
MS:M=580(API+)、578(API−)
【0083】
実施例F6
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F6)
F3を用いて出発した点を除き実施例F4に記載のものと類似の反応により、69%のF6が生成した。
MS:M=580(API+)、578(API−)
【0084】
実施例F7
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−メチルチオピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(F7)
E4を用いて出発した点を除き実施例F1に記載のものと類似の反応により、66%のF7が生成した。
MS:M=520(API+)、518(API−)
【0085】
G 「N−Hイミダゾールスルフィン」と「N−H−イミダゾールスルホン」の合成
実施例G1
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メタンスルフィニルピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(G1)
1.20g(2.1mmol)のF4を300mlの酢酸エチルと50mlのジクロロメタンを溶解させた溶液に対し、0.70g(3.1mmol)のm−クロロペルオキシ安息香酸を20mlの酢酸エチルに溶解させた溶液を10分かけて−40℃で添加した。この温度で1時間経過した後、混合物を室温にまで加温し、そして一晩攪拌した。混合物を洗浄し(飽和NaHCO3水溶液/飽和Na2CO31:1)、硫酸マグネシウム上で脱水し、乾燥するまでエバポレーションにかけ、1.21gの粗製G1を生成させ、これを更に精製することなく使用した。
MS:M=596(API+)、594(API−)
【0086】
実施例G2
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メタンスルフィニルピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(G2)
F5を用いて出発した点を除き実施例G1に記載のものと類似の反応により、G2が生成した。
MS:M=596(API+)、594(API−)
【0087】
実施例G3
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−メタンスルフィニルピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(G3)
F6を用いて出発した点を除き実施例G1に記載のものと類似の反応により、G3が生成した。
MS:M=596(API+)、594(API−)
【0088】
実施例G4
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−メタンスルファニル−ピリミジン−4−イル)−N−H−イミダゾール(G4)
2.38g(4.6mmol)のF7を200mlのメタノール中で懸濁し、そして5.62g(9.1mmol)のオキソン(登録商標)を室温で20分以内に添加した。室温で一晩攪拌した後、メタノールを真空で除去し、そして残渣を酢酸エチルで溶解した。有機層をNaHCO3水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で脱水し、そして乾燥するまでエバポレーションにかけた。粗製G4(47%)は更に精製することなく使用した。
MS:M=552(API+)、550(API−)
【0089】
H 「N−Hイミダゾールアミノピリミジン」の合成
実施例H1
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール(H1)
1.21g(2.0mmol)のG1と3.1g(40.6mmol)の3−アミノ−1−プロパノールを110℃に60分間加熱した。RP18
上での実験規模のHPLC/MS(メタノール−水のグラジエント)により510mg(42%)のH1が生成した。
MS:M=607(API+)、605(API−)
【0090】
実施例H2
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール(H2)
G2を用いて出発した点を除き実施例H1に記載のものと類似の反応により、50%H2が生成した。
MS:M=607(API+)、605(API−)
【0091】
実施例H3
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール(H3)
G3を用いて出発した点を除き実施例H1に記載のものと類似の反応により、32%H3が生成した。
MS:M=607(API+)、605(API−)
【0092】
実施例H4
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール(H4)
G4を用いて出発した点を除き実施例H1に記載のものと類似の反応により、68%H4が生成した。
MS:M=547(API+)、545(API−)
【0093】
実施例J:c−met自己活性化キナーゼアッセイ(AKA)
アッセイ原理
c−metは、腫瘍の転移、増殖/アポトーシスに関与している典型的なチロシンキナーゼである。当該アッセイは、ホスホチロシン特異的抗体を用いてc−metのリン酸化を測定するELISA型のアッセイである。
【0094】
高含量のc−metで知られているヒト結腸腺癌HT29の細胞可溶化物を、抗hHGF受容体抗体(抗hHGFR抗体)を介してマイクロタイタープレート(MTP)の壁に結合させる。c−metのATPリン酸化は、試験化合物の存在下又は不在下でホスホチロシンマウスIgGとPOD標識ヤギ抗マウスIgG検出系を用いることで検出する。古典的なPOD基質であるTMBを用いたときの450nm/620nmでの吸光度を使用して酵素活性を算出する。
【0095】
材料:
プレート:96穴ポリスチレンプレート(NUNC)ストレプトアビジンコーティングマイクロタイタープレート
【0096】
細胞系/可溶化物:HT29(ATCC HTB−38)、ヒト結腸腺癌(コンフルエント:2.5x105細胞/cm2)をPBSで洗浄し、そして可溶化バッファーで10分間氷上で洗浄する。上精を回収し、そしてTBSで希釈する。可溶化物を液体窒素中で瞬間凍結(shockfrozen)し、そして−80℃で保存する。
【0097】
試薬(全ての使用溶液は、特に断らない限り4℃で保持する):
抗hHGFR検出ストック溶液:50μg/ml(R&D Systems、カタログ番号BAF358)
抗体終濃度:1μg/ml
【0098】
p−Tyr(PY99)マウスストック溶液:200μg/ml(Santa Cruz Biotechnology、モノクローナル抗体IgG2b カタログ番号SC−7020)終濃度:0.2μg/ml
【0099】
ヤギ抗マウスIgG:2ml(BIO RAD、カタログ番号170−6516)
(H+L)−HRP複合体;終濃度:1:2000
【0100】
ブロッキング試薬:Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号1112589をELISA用にTBSで1:10に希釈。
【0101】
ATP:アデノシン−5’−三リン酸、ストック溶液10mM、ストック溶液10mM(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号127531)終濃度:40μM
【0102】
TBS:トリス緩衝溶液、50mMのTRIS pH7.5(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号708976)、150mM NaCl(SIGMA、カタログ番号S−3014)
【0103】
洗浄バッファーTBS−T:トリス緩衝溶液、50mMのTRIS pH7.5、150mM NaCl、0.5%Tween20含有
【0104】
キナーゼバッファー:トリス緩衝溶液、50mMのTRIS pH7.5、100mM NaCl、60mM MgCl2(SIGMA Chemical Company、カタログ番号M−1028)
【0105】
可溶化バッファー:50mMのTRIS pH7.5、含有物1%Nonidet P40(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号1754599)、0.5%デオキシコール酸(SIGMA Chemical Company、カタログ番号D−6750)終濃度:1mM 1mM PMSFストック溶液70mM(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号837091 40μl/mlコンプリート(Roche Diagnostics GmbH、カタログ番号1836145)終濃度:40μl/ml
【0106】
TMB:テトラメチルベンジジン(Intergen Company、カタログ番号91000)
【0107】
試料:10mM/DMSO(−20℃で保存)、室温で融解。
【0108】
手順:
1.50μlの抗hHGFR検出抗体/ブロッキング試薬をアッセイプレートに添加し(終濃度1μg/ml)、アッセイプレートを60分間室温でMTPシェーカー上でインキュベートする。
2.抗hHGFR検出抗体溶液をアッセイプレートから除去する。
3.250μlのブロッキング試薬をウェル毎にアッセイプレートに添加し、アッセイプレートを20時間4℃でインキュベートする。
4.ブロッキング試薬をアッセイプレートから除去する。
5.50μlのHT29可溶化物を添加し、アッセイプレートを180分4℃でMTPシェーカー上でインキュベートする。
6.アッセイプレートを2x200μlのTBSバッファーでウェル毎に洗浄する。
7.40μlの0.2%DMSO/キナーゼバッファーをアッセイプレートに添加する。
8.40μlの試料溶液(キナーゼバッファーに溶解したもの−終濃度22.5μM)を添加する。
9.試料を(1:3の比率で)MTPに溶解する。
10.キナーゼバッファーに溶解した10μlのATP(200μM)を試料(終濃度40μMATP)を添加する。ポジティブコントロール:40μlのキナーゼバッファーと10μlの200μMのATPを添加する。ネガティブコントロール:40μlのキナーゼバッファーとATPを含まない10μlのキナーゼバッファーを添加する。アッセイプレートを60分間室温でMTPシェーカー上でインキュベートする。
11.アッセイプレートを2x200μlのTBSバッファーと2x200μlのブロッキング試薬でウェル毎に洗浄する。
12.50μlのP−Tyr(PY99)マウスモノクローナルIgG2b/ブロッキング試薬(終濃度200ng/ml)をアッセイプレートに添加し、アッセイプレートを一晩4℃でMTPシェーカー上でインキュベートする。
13.アッセイプレートを2x200μlのTBSバッファーと2x200μlのブロッキング試薬でウェル毎に洗浄する。
14.50μlのヤギ抗マウスIgG(H+L)−HRP複合体/ブロッキング試薬(1:2000の割合)で添加し、アッセイプレートを60分間室温でMTPシェーカー上でインキュベートする。
15.アッセイプレートを6x200μlのTBS−Tバッファーでウェル毎に洗浄する。
16.50μlのTMB溶液を添加し、30分間室温でMTPシェーカー上でインキュベートし、25μlの1M H2SO4を添加する。
17.450nm/620nmの光学密度(E)を測定する。
18.阻害率(%)を1−[(E試料−Eネガティブコントロール)/(Eポジティブコントロール−Eネガティブコントロール)x100]として算出する。
【0109】
本発明の薬剤は、上記アッセイで試験した場合、約1nM〜約100nMの範囲内でキナーゼ阻害についてのIC50値を典型的に有する。
【0110】
【表1】

【0111】
実施例K:錠剤の処方(湿式顆粒化)
【表2】

【0112】
製造手順
1.項目1,2,3及び4を混合し、そして精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適当なミル粉砕装置に通過させる。
4.項目5を添加し、そして3分間混合し;適当なプレス機で圧縮する。
【0113】
実施例L:カプセル処方
【表3】

【0114】
製造手順
1.項目1,2及び3を適当なミキサー中で30分間混合する。
2.項目4及び5を添加し、そして3分間混合する。
3.適当なカプセル内に充填する。
【0115】
引用文献リスト
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(ここで、
Wは−N=であり;且つ
Xは水素であり;
Yは水素又は基A2−Rであり;
2はC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rはヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nは1又は2であり;且つ
Zは、ハロゲン;ヒドロキシ;アリルオキシ;メチル;ピリジニルで任意に置換されているC1−C3−アルコキシ;メトキシメトキシ;(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ;メチルチオ;エトキシメトキシ;メチレンジオキシ;エチニル;トリメチルシリルエチニル及びベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ又はエトキシで任意に置換されているもの、から成る群から独立して選択される1又は2個の置換基を表し、あるいは
Wは−CH=であり;且つ
Xは水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1はC1−C3−アルキレン基を表し;
QはOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1は、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1はC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1はヒドロキシ又はNR34であり;
2はC1−C3−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4は、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yは水素又は基A2−Rであり;
2はC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rはヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nは1又は2であり;且つ
Zは、nが1である場合ピリジニルで置換されたC1−C3−アルコキシを表し;そしてnが2である場合には一方の置換基がピリジニルで置換されたC1−C3−アルコキシを表し、そして第二の置換基が、ハロゲン;ヒドロキシ;アリルオキシ;メチル;C1−C3−アルコキシ;メトキシメトキシ;(2−メトキシエトキシ)メチルオキシ;メチルチオ;エトキシメトキシ;メチレンジオキシ;エチニル;トリメチルシリルエチニルから成る群から独立して選択される)の化合物、及び医薬として許容されるその塩。
【請求項2】
Wが−N=であり;
Xが水素であり;
Yが2−ヒドロキシエチル;3−ヒドロキシプロピル;2−メトキシエチル;3−メトキシプロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(R)−3−ヒドロキシブチル;(S)−3−ヒドロキシブチル;3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル;2−モルホリノエチル;3−モルホリノプロピル;2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;3−ヒドロキシ−1−フェニルプロピル;2−アミノエチル;3−アミノプロピル;4−アミノブチル;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル;3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル;3−(ピロリジン−1−イル)プロピル;CH2COOH;(CH22COOH;(CH23COOH;CH(C25)COOH;;(CH22−O−(CH22−N(CH32;(CH22−O−(CH22−NH2;(CH22−S−(CH22−N(CH32;(CH22−S−(CH23−N(CH32;(CH23−S−(CH22−N(CH32又は(CH23−S−(CH23−N(CH32を表し;
nは1であり;且つ
Zは3−クロロ;4−クロロ;3−ブロモ;3−ヨード;3−エチニル;3−メトキシメトキシ又は3−ベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ若しくはエトキシで任意に置換されているものから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wが−N=であり;
Xが水素であり;
Yが2−ヒドロキシエチル;3−ヒドロキシプロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2−モルホリノエチル;3−モルホリノプロピル;2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル;2−アミノエチル;3−アミノプロピル;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル;3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル又は3−(ピロリジン−1−イル)プロピルであり;
nは1であり;且つ
Zは3−クロロ;4−クロロ;3−ブロモ;3−ヨード;3−エチニル;3−メトキシメトキシ又は3−ベンジルオキシであって、ハロゲン;メトキシ;シアノ;ニトロ;メチレンジオキシ;カルボキシ若しくはエトキシで任意に置換されているものから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−4−(3−ベンジルオキシフェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾールである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Wが−CH=であり;
Xが水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1がC1−C3−アルキレン基を表し;
QがOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシ又はNR34であり;
2がC1−C6−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4が、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yが水素又は基A2−Rであり;
2がC1−C5−アルキレンであり、これは任意にC1−C6−アルキル;フェニル又はヒドロキシで置換してもよく;
Rがヒドロキシ;直鎖又は分枝鎖C1−C6−アルコキシ;アミノ;ジメチルアミノ;ジエチルアミノ;t−ブチルオキシカルボニルアミノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;トリアゾリル;シアノ;ピペリジノ;1−ピロリジニル;モルホリノ;4−メチルピペラジン−1−イル;O−A1−NR34;S−A1−NR34;4−カルボキシフェニル;フラン−3−イル;チオフェン−2−イル又は3−メチルチオフェン−2−イルを表し;
nが1であり;且つ
Zがピリジニルで置換されているC1−C3−アルコキシを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Wが−CH=であり;
Xが水素;OR1;SR2;(SO)R2;(SO2)R2;CH2−S−CH2−C(O)2−CH2−CH3;CH2−S−(CH22−OH又は基A1−Qであり;
1がC1−C3−アルキレン基を表し;
QがOR1;SR2;SOR2;SO22;NR34;NHCH2CH2NR34又はハロゲンであり;
1が、水素;C1−C3−アルキル;アリル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;(R)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;(S)−2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル;3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−1−プロピル;2−メトキシエトキシメチル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1からなる群から選択され;
1がC1−C2−アルコキシ;シアノ;カルボキシル;C1−C6−アルコキシカルボニル;カルボキサミド;−CO−NR34;C1−C6−アルキルスルファニル;C1−C6−アルキルスルフェニル;C1−C6−アルキルスルホニルを表し、そして
1が1,2−エチレン−又は1,3−プロピレン基を表す場合、Q1がヒドロキシ又はNR34であり;
2がC1−C6−アルキル;ジメチルホスホニルメチル;2,3−エポキシ−1−プロピル;2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル;2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル又は基A1−Q1であり;
3,R4が、水素;C1−C6−アルキルから成る群から独立して選択され、あるいは一緒に、任意にメチル基で置換されており、且つN又はOから独立して選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和又は不飽和環を形成し;
Yが3−ヒドロキシプロピルであり;
nが1であり;且つ
Zがピリジン−2−イルメトキシ;ピリジン−3−イルメトキシ又はピリジン−4−イルメトキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(4−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール、
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(3−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール、又は
2−(2,6−ジクロロ−4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)−4−(3−(2−ピリジニルメチルオキシ)フェニル)−5−(2−[3−ヒドロキシプロピルアミノ]ピリミジン−4−イル)−N−1H−イミダゾール、
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、
a)一般式(VI)
【化2】

又は(VII)
【化3】

の化合物を、一般式(V)
【化4】

に記載のチオエーテルのスルフィド基の酸化により取得し、ここで、一般式(V)の化合物は、一般式(IV)
【化5】

の化合物のN−脱酸素により得られ、
ここで、一般式(IV)の化合物は、
一般式(II)
【化6】

の化合物を一般式(III)
【化7】

の化合物と反応させることで得られる;そして
b)一般式(VI)又は(VII)の前記化合物を、式Y−NH2の化合物と反応させて式(I)の化合物を生成させ、
ここで、置換基W,X,Y及びZ並びにnは請求項1に記載の意味を有する、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物と適当なアジュバントを含む組成物。
【請求項10】
活性成分としての請求項1〜8のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物と、医薬として許容されるアジュバントとを含む医薬組成物。
【請求項11】
c−metキナーゼにより媒介される疾患の処置のための薬物の製造のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項12】
ガンの処置のための薬物の製造のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項13】
ガンの処置のための請求項1〜8のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項14】
患者のガンの処置方法であって、医薬として有効な量の請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物を当該患者に投与することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2007−508345(P2007−508345A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534697(P2006−534697)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011600
【国際公開番号】WO2005/040153
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】