説明

新規ラクトサミン誘導体

本発明は新規ラクトサミン誘導体、およびN-アセチルラクトサミン、ラクトサミン、多くのラクトサミン塩および多くのラクトサミン含有オリゴ糖の大スケール生産を含む製造に適した関連方法を提供する。好ましい化合物は:


[式中、R1は適宜置換されていてもよいアシルおよび適宜置換されていてもよいアルキルオキシ-カルボニルからなる群から選択され;R2は適宜置換されていてもよいベンジル、適宜置換されていてもよいベンズヒドリル、適宜置換されていてもよいトリチルおよび適宜置換されていてもよいナフチルメチルからなる群から選択され(またはR2は左側の式にて水素であり);R3は適宜置換されていてもよいC1-6-アルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいC2-6-アシルおよび水素からなる群から選択され;Q1およびQ2は独立して電子吸引性置換基からなる群から選択される]である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規ラクトサミン誘導体を提供し、N-アセチルラクトサミン、ラクトサミン、多数のラクトサミン塩および多くのラクトサミン含有オリゴ糖の製造に適切な方法に関する。本発明はまた、N-アセチルラクトサミン、ラクトサミンおよび多数のラクトサミン塩の大スケール生産のための新規な経済的方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ラクトサミンは重要な生物学的事象に不可欠な役割を果たす天然のオリゴ糖の最も一般的な成分の一つである。天然オリゴ糖および複合糖質の構造において、ラクトサミン残基のアミノ基はアシル化されて、N-アセチルラクトサミンまたはN-脂溶性アシル化ラクトサミン誘導体を提供する。いくつかのグリコサミノグリカン構造は、多くのヒト疾患の発症にも関与するN-硫酸化形態におけるラクトサミン成分と組み合わされる。
【0003】
ラクトサミン誘導体の化学的製造は、N-アセチルグルコサミン誘導体のC-4位におけるヒドロキシル基の極端に低い求核性に起因してむしろグリコシル化化学によりなされている。グルコサミン誘導体の4-O-ガラクトシル化に基づく手順の収率は、適用されたグリコシル化化学から独立して常に低い。
【0004】
N-アセチルラクトサミン自体は、化学者の主な合成標的であることが多い。従って、多くの異なるアプローチが保護された中間体の多工程合成中のクロマトグラフィーにより標的化合物を提供することが記載されている1-3。すべての場合において、総収率が低いままであり、合成工程は不十分である。
【0005】
グリコシダーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼの両方を用いたN-アセチルラクトースアミン(acetylactosamine)の製造のための酵素的アプローチは、経済的大スケール生産工程のまさに基礎を提供することができないことが記載されている2-9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多くのラクトサミン誘導体の製造のための前駆体としてラクツロースを用いることによりグルコサミンアクセプターの低収率4-O ガラクトシル化の優れた置換方法を提供する。
【0007】
ケトシル(ketosyl)アミンのHeyns転位が種々の収率にてアルドースアミンの形成をもたらすことが文献から知られている10-11。反応の立体選択性は主に、ケトシルアミンの形成のために用いられるアミンの構造に依存する。
一連の反応はベンジルアミンを用いて行われ、生成物の混合物中にはグルコ異性体のみが存在した12
本発明は、Heyns転位後の粗製の反応混合物から高経済的な方法で製造することができる、新規ラクトサミン誘導体を提供する。形成された新規生成物は、工業スケールにてラクトサミン、N-アセチルラクトサミンおよびラクトサミンの種々の塩の製造のために用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様は、ラクトサミンおよびその多くの塩の新規な適宜置換されていてもよいN-ベンジル誘導体を提供する。
本発明の第二態様は、ラクトサミンおよびその塩の置換および非置換N-ベンジル誘導体の製造および使用に適した新規な方法を提供する。
【0009】
本発明の第三態様は、新規な適宜置換されていてもよいN-ベンジルラクトサミン前駆体を用いたラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造のための新規な方法を提供する。
本発明の第四態様は、ラクトサミンの新規な適宜置換されていてもよいN-ベンジルオキシカルボニル誘導体を提供する。
本発明の第五態様は、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造などラクトサミンの適宜置換されていてもよいN-ベンジルオキシカルボニル誘導体の製造方法および使用を提供する。
【0010】
本発明の第六態様は、ラクトサミンの新規N-Dmc誘導体を提供する。
本発明の第七態様は、ラクトサミン、その塩およびN-アセチルラクトサミンの製造などラクトサミンのN-Dmc-誘導体の製造方法および使用を提供する。
本発明の第八態様は、ラクトサミンの新規な非環式ビニル性アミド誘導体を提供する。
【0011】
本発明の第九態様は、ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体の製造方法および使用、特にラクトサミンおよびN-アセチルラクトサミンの製造方法を提供する。
本発明の第十態様は、機能性食品、機能性食品添加物、プレバイオティクス物質、特殊調製粉乳の成分および離乳食の成分としてラクトサミン、その塩およびN-アセチルラクトサミンの新規な使用を提供する。
本発明の第十一態様は、インスリン分泌増強剤、GLP1分泌増強剤および哺乳類免疫系増強剤としてのラクトサミン、その塩およびN-アセチルラクトサミンのための新規な使用を提供する。
【0012】
本発明の第十二態様は、ガレクチン阻害剤および抗菌特性により特徴付けられる医薬組成物の有効成分としてのラクトサミン、その塩およびN-アセチルラクトサミンの新規な使用を提供する。
【0013】
発明の詳細な記載
ラクトサミンおよびその誘導体は生物学的系において重要な役割を果たす。この単純な二糖残基は血液型抗原、細胞表面抗原および人乳オリゴ糖などの多くの生物学的に活性なオリゴ糖に見られうる。より複雑な構造のビルディング・ブロックまたは中間体としてラクトサミン、N-アセチルラクトサミンおよび多くの他のラクトサミン誘導体の大スケールかつ経済的な生産に対して有意な要求がある。
本発明の主題は、いくつかの異なる新規なラクトサミン誘導体およびこれらの物質の製造方法および使用を提供することである。
【0014】
本発明の第一態様は、一般式1で特徴付けられる新規化合物をHeyns転位反応混合物から単離することによりラクトサミンの新規な置換および非置換N-ベンジル誘導体およびそれらの多くの塩を提供する。Heyns転位におけるベンズヒドリルアミン、トリチルアミン、ナフチルメチルアミンの使用はまた、本発明の新規な特徴であるとも考えられる。ラクトサミン構造におけるこれらの嵩高い置換基は、転位自体を立体選択的にするエクアトリアル位を排他的に占有する。
【0015】
これらの化合物は、本発明者の知識の限りでは、単離困難性のため単離されておらず、完全に特徴付けされていない。本発明は、これらの化合物が単離され、特徴付けられ、その純粋な形態にてさらなる化学に用いられうる最初のケースを示す。
【化1】

[式中、
R1は適宜置換されていてもよいアシルおよび適宜置換されていてもよいアルキルオキシカルボニルからなる群から選択され;
R2は適宜置換されていてもよいベンジル、適宜置換されていてもよいベンズヒドリル、適宜置換されていてもよいトリチルおよび適宜置換されていてもよいナフチルメチルからなる群から選択される]
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定義
本明細書において、用語「アルキル」はメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、tert-ブチル、イソ-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの1〜20の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味するものとする。
用語「アシル」は「C1-19-C(=O)-、C1-19OC(=O)-」を意味する。
【0017】
特許請求の範囲を有する明細書において、用語「適宜置換されていてもよい」は問題の基が置換基を有していてもよいか、または非置換であってもよいことを意味する。
【0018】
特許請求の範囲を有する明細書において、R1 R2の定義および本明細書における他の置換基の定義における用語「置換」は、置換基自体が鎖の一般的な化学的特徴を改変する基で置換されることを意味する。好ましい置換基としては、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アジド、オキソ、ヒドロキシル、チオール、1〜3の炭素原子のカルボキシ、カルボキシエステル、カルボキサミド、アルキルアミノ、アルキルジチオ、アルキルチオ、アルコキシ、アシルアミド、アシルオキシまたはアシルチオが挙げられるが、これらに限定されない。そのような置換基は概して、安定性、溶解性および結晶を形成する能力などの分子の特徴を改変するために用いることができる。当業者は同様のサイズおよび電荷特性の他の適切な置換基に気付き、これは与えられた状況下、別法として用いることができる。
【0019】
より一般的には、用語「アルキル」および「アシル」と結合して、用語「適宜置換されていてもよい」は、問題の基がヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合している場合、互変異性ケト形態にて存在することができる)、C1-6-アルコキシ(すなわちC1-6-アルキル-オキシ)、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能基を形成)、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノカルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6-アルキル-スルホニル-アミノ、アリール-スルホニル-アミノ、ヘテロアリール-スルホニル-アミノ、C1-6-アルカノイルオキシ、C1-6-アルキル-スルホニル、C1-6-アルキル-スルフィニル、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群から選択される基で1回以上、好ましくは1〜3回置換されていてもよいことを意味するものであり、ここに、いずれのアリールおよびヘテロアリールも「適宜置換されていてもよいアリールおよびヘテロアリール」について以下に具体的に記載されているように置換されていてよく、置換基を示すいずれのアルキル、アルコキシなどもヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6-アルキルチオ、C1-6-アルキル-スルホニル-アミノまたはグアニジノで置換されていてよい。
【0020】
好ましくは、置換基はヒドロキシ(不飽和炭素原子に結合している場合、互変異性ケト形態にて存在することができる)、C1-6-アルコキシ(すなわちC1-6-アルキル-オキシ)、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、オキソ(ケトまたはアルデヒド官能基を形成)、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ;カルバモイル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノカルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、グアニジノ、カルバミド、C1-6-アルキル-スルホニル-アミノ、C1-6-アルキル-スルホニル、C1-6-アルキル-スルフィニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群から選択され、ここに、いずれのアリールおよびヘテロアリールも「適宜置換されていてもよいアリールおよびヘテロアリール」について以下に具体的に記載されているように置換されていてよい。
【0021】
特に好ましい例はヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、アミノ、モノ-およびジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6-アルキルチオ、C1-6-アルキル-スルホニル-アミノおよびグアニジノである。
本発明の第二態様は、一般式2で特徴付けられるラクトサミン化合物の確実に新規な群を提供する。
【0022】
非環式ビニル性試薬が一般式2の構造を提供するN-置換ラクトサミン誘導体と反応することができることは本発明の重要な実現である。これらの新規非環式ビニル性ラクトサミン誘導体は、多成分Heyns転位混合物から結晶化、選択的沈殿または単純なクロマトグラフィーにより容易に分離することができることが多い。これらの新規化合物は、マルチ・トン・スケール生成方法のための不可欠な精製ツールさえも提供することができる。
【化2】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであるか、またはR2は水素であり;
R3は適宜置換されていてもよいC1-6-アルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいC2-6-アシルおよび水素からなる群から選択され;
Q1およびQ2は独立してCN、C=OOH、C=OOR4、C=OR4、C=ONH2、C=ONHR4、C=ONR4R5、適宜置換されていてもよいアリール、CF3、CCl3、SOR4、SO2R4、適宜置換されていてもよいアシルなどの電子吸引性置換基から選択され;
ここに、R4およびR5は適宜置換されていてもよいアルキル、適宜置換されていてもよいアリールである]。
【0023】
好ましい具体的態様において、新規N-置換ラクトサミン誘導体は一般式3:
【化3】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであるか、またはR2は水素であり;
R3およびQ1は一般式2で定義されているとおりであり;
R6はR4、OH、OR4、NH2、NHR4およびNHR4R5からなる群から選択され;
ここに、R4およびR5は一般式2で定義されているとおりである]
で特徴付けられる。
【0024】
さらに好ましい具体的態様において、新規N-置換ラクトサミン誘導体は一般式4:
【化4】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであるか、またはR2は水素であり;
R3は一般式2で定義されているとおりであり;
R6は一般式3で定義されているとおりである]
で特徴付けられる。
【0025】
さらに好ましい具体的態様において、新規N-置換ラクトサミン誘導体は一般式5:
【化5】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであり;
Xは当分野にて知られるいずれかの無機または有機アニオンである]
で特徴付けられる。
【0026】
アニオンXは一価または多価であることができ、錯塩を形成することができる。アニオンの例はハライド、有機酸のアニオン、鉱酸のアニオンなどである。本明細書の例はクロリド(Cl-)、ブロミド(Br-)、ヨージド(I-)、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩などである。
【0027】
本発明のさらなる態様は、置換および非置換N-ベンジル、N-ベンズヒドリル、N-トリチル、ラクトサミンのN-ナフチルメチル誘導体およびその塩の製造に適した新規な方法を提供する。
【0028】
適宜置換されていてもよい誘導体N-ベンジル、適宜置換されていてもよい誘導体N-ベンズヒドリル、N-トリチルの適宜置換されていてもよい誘導体およびN-ナフチルメチルラクトサミンの適宜置換されていてもよい誘導体は、純粋な形態にて単離され、特徴付けられている。本発明は水性アンモニアを含む高塩基性溶離液を用いた標記化合物の単純なクロマトグラフィー分離を提供する。これらの敏感な化合物の遊離塩基としての分解は、アンモニアの存在により防止することができ、溶媒の留去、凍結乾燥、選択的沈殿によるさらなる単離が可能となる。
【0029】
遊離N-置換ラクトサミン塩基の製造は、水溶液または無水溶液中にて対応する酸を用いた多くのラクトサミン塩形成に直接関与した。
【0030】
従って、例えばN-ベンジルラクトサミンはN-ベンジルラクツロシルアミンのHeyns転位を用いて優れた収率にて得ることができる。続くクロマトグラフィー分離により純粋な塩基としてN-ベンジル-ラクトサミンを与えた。さらに、水性HCl、MeOH中の無水HCl、硫酸などの酸との塩形成により定量的収率にて新規N-置換ラクトサミン塩を得た。
本発明は、一般式5で特徴付けられる精製N-置換ラクトサミンの使用のための新規な方法を提供する。
【0031】
一般式5の新規化合物の最も重要な用途の一つは、水素化分解または当分野にて知られる任意の他の方法によるR2置換基を除去し、異なるラクトサミン塩を産生することである。本反応は、広範囲の温度および圧力にて多くのPd、Niまたは当分野にて知られる他の金属触媒で触媒することができる。水素化生成物は優れた純度を有し、さらなる精製を必要としない。
N-アシル化はまた、一般式1にて記載されるN-アシル-ラクトサミン誘導体を提供する一般式5で特徴付けられる新規化合物の重要な誘導体化でもある。
【0032】
典型的に、本反応は塩基の存在下/非存在下にてアシル化剤を用い、水溶液または無水溶液中にて行う。溶媒としてはアセトン、メタノール、水、1,4-ジオキサン、DMF、テトラヒドロフラン、アルコールなどおよびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
アシル化剤は当分野にて知られる活性化有機酸である。典型的に、無水酢酸などの酸無水物、または塩化アセチルなどの酸ハロゲン化物がアシル化剤として用いられる。反応に用いられる塩基は当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、本反応に適用される無機塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。アシル化の反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度、および用いられるアシル化剤および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物は典型的に80〜95%の高収率にて得られる。
【0034】
本発明の好ましい方法は、新規N-ベンジルラクトサミン誘導体の製造に適しており、遊離アミンのカルバモイル化である。典型的に、本反応は塩基の存在下または非存在下にてカルバモイル化剤と溶液中にて行った。溶媒としては、アセトン、メタノール、水、1,4-ジオキサン、DMF、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換のために用いることができる。
【0035】
カルバモイル化剤は当分野にて知られる活性化非環式カーバメートである。典型的に、ベンジルオキシカルボニルクロリド、トリクロロエチルオキシカルボニルクロリド、当分野にて知られるO-アルキル-置換炭酸の活性化エステルなどのハロゲン化アシルは、アシル化剤として用いることができる。アシル化反応に適用される塩基触媒は、当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、反応に適用される無機塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。カルバモイル化のための反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度および用いられるカルバモイル化剤および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物は典型的に、80〜95%の高収率にて得られる。
【0036】
本発明はまた、N-置換アミンの非環式ビニル性試薬での保護により、新規N-置換(N-ベンジル、N-ナフチルメチル、N-ベンズヒドリル、N-トリチルなど)ラクトサミン誘導体の製造方法も提供する。
【0037】
典型的に、反応は、塩基の存在下または非存在下にて活性化ビニル性試薬を用い、溶液中にて行う。溶媒としては、アセトン、メタノール、水、1,4-ジオキサン、DMF、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換のために用いることができる。
【0038】
好ましくは、適用されたビニル性試薬の脱離基は、オルトギ酸トリアルキルまたはN,N ジメチルホルムアミドジメチルアセタールで活性化メチレン誘導体から製造されたアルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基であることができる。反応に用いられる塩基は、当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、本反応に適用される無機塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度および用いられる反応剤および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物は典型的に、80〜95%の高収率にて得られる。
【0039】
本発明のさらなる態様は、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミン、および一般式1〜5で特徴付けられる新規な適宜置換されていてもよいN-ラクトサミン誘導体を用いた他のラクトサミン誘導体の製造のための新規な方法を提供する。
【0040】
ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンおよび他のラクトサミン誘導体の製造のための好ましい方法は、酸の存在下の一般式1〜5の基質の金属触媒水素化分解に関与する。
【0041】
還元に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換のために用いることができる。
本反応に用いられる金属としては、パラジウム・カーボン、酸化白金、ラネーニッケルなどの任意の形態におけるパラジウム、白金またはニッケルが挙げられるが、これらに限定されない。
本反応に用いられる酸は、HClなどの無機酸、酢酸などの有機酸であることができる。反応に適用される圧力は1〜50 barで変化した。
【0042】
ラクトサミン、ラクトサミン塩、N-アセチルラクトサミンおよび多くの他のラクトサミン誘導体の別の好ましい製造方法は、酸の存在下における一般式2〜4で特徴付けられる基質の金属触媒水素化、次いで窒素求核剤またはハロゲンガスによる非環式ビニル性アミドの除去に関する。還元に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。
【0043】
本反応に用いられる金属としては、パラジウム・カーボン、酸化白金、Raneyニッケルなどの任意の形態におけるパラジウム、白金またはニッケルが挙げられるが、これらに限定されない。本反応に用いられる酸はHClなどの無機酸、酢酸などの有機酸であることができる。本反応に適用される圧力は1〜50 barで変化した。
【0044】
非環式ビニル性アミドの除去は典型的に、エチルアミン、ブチルアミンなどの水性もしくは無水第一級アミン、またはヒドラジン水和物、酢酸ヒドラジンなどのヒドラジン、ヒドロキシルアミン誘導体またはアンモニア水溶液もしくは無水条件下のアンモニアガスを用いることによりなされる。
本発明はまた、ラクトサミン塩酸塩を一工程にて提供する非環式ビニル性アミド保護基の除去のための塩素ガスを用いた方法も提供する。
【0045】
本発明のある好ましい具体的態様は、一般式6:
【化6】

[式中、R2は一般式1で定義されているとおりである]
で特徴付けられる新規N-ベンジルオキシカルボニルラクトサミン誘導体を提供する。
【0046】
本発明のさらなる態様は、一般式6のラクトサミンの適宜置換されていてもよいN-ベンジルオキシカルボニル誘導体の製造および使用のための方法、例えばラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法を提供する。
【0047】
ラクトサミンの適宜置換されていてもよいN-ベンジルオキシカルボニル誘導体の好ましい製造方法は、Heyns転位生成物の水素化分解により得られる粗製混合物のN-ベンジルオキシカルボニル保護、次いで生成物の精製を含む。
反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチル、DMF、THFなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換のために用いることができる。
【0048】
反応に用いられる反応剤は、Z-ClまたはZ-OSuなどの活性化カルボベンジルオキシ(Z)誘導体である。
反応に用いられる塩基は、当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、反応に適用される無機塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度、および用いられる反応剤および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物は典型的に、80〜95%の高収率にて得られる。
【0049】
好ましい具体的態様は、上記と同様の反応条件下にてラクトサミンの精製N-ベンジル誘導体を用いる。
【0050】
本発明の最も重要な好ましい具体的態様の一つは、酸の存在下における一般式6で特徴付けられる基質の金属触媒水素化分解を用いたラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの大スケール製造に適切である。
【0051】
還元に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。
【0052】
反応に用いられる金属としては、パラジウム・カーボン、酸化白金、Raneyニッケルなどの任意の形態におけるパラジウム、白金またはニッケルが挙げられるが、これらに限定されない。本反応に用いられる酸は、HClなどの無機酸、酢酸などの有機酸であることができる。反応に適用される圧力は1〜50 barまで変化した。
N-アセチルラクトサミン製造の場合、水素化分解し、次いで水、メタノールまたは無水酢酸もしくは塩化アセチルの処理で適切な他の溶媒中にて行われる選択的なN-アセチル化工程を行う。
【0053】
本発明の別の態様は、一般式7:
【化7】

で特徴付けられるラクトサミンの新規N-Dmc誘導体を提供する。
ラクトサミンのN-Dmc誘導体は製造されていない。本発明がHeyns転位、次いでN-誘導体化および結晶化を用いた一般式7の化合物の製造のための唯一の方法を提供することを強調することは極めて重要である。この手順をスケールアップし、大スケール生産の基礎を提供することができる。
【0054】
本発明のさらなる態様は、ラクトサミン、その塩およびN-アセチルラクトサミンの製造など一般式7のラクトサミンのN-Dmc-誘導体の製造および使用のための方法を提供する。
ラクトサミンの新規N-Dmc誘導体の製造のための好ましい方法は、ジメドンのN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとの縮合により製造されるHeyns転位生成物の非環式ビニル性試薬との水素化により得られる粗製の反応混合物の反応である。
【0055】
典型的に、反応は塩基の存在下または非存在下における活性化Dmc試薬(脱離基はO-アルキル、O-アリール、N-アルキル、N,N-ジアルキルである)と溶液中にて行う。
溶媒としては、アセトン、メタノール、水、1,4-ジオキサン、DMF、テトラヒドロフラン、水、メタノール、エタノールなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。
【0056】
試薬製造のために、ジメドンのメチレン官能基はオルトギ酸トリメチルまたはN,N ジメチルホルムアミドジメチル-アセタールで活性化される。
本反応に用いられる塩基は当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、反応に適用される無機塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
【0057】
反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度、および用いられる反応剤および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで80〜95%の高収率で得られる。選択的沈殿に用いられる溶媒は、エタノール(99%〜96%)またはメタノールである。
【0058】
新規Dmc保護ラクトサミンからのラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造のためのさらなる好ましい方法は、Dmc保護基の窒素求核剤またはハロゲンガスによる除去に基づく。脱保護反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチルなどおよびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Dmc基の除去は典型的に、エチルアミン、ブチルアミンなどのような第一級アミン、またはヒドラジン水和物、酢酸ヒドラジンなどのヒドラジン、アンモニア水溶液もしくは無水条件下のアンモニアガスを用いることによりなされる。Dmc保護基は塩素ガスを用いて開裂し、ラクトサミン塩酸塩を一工程にて提供することができる。生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ヘキサン、酢酸エチル、アセトンなどの非極性溶媒を加えた選択的沈殿により80〜95%の高収率にて得られる。
【0059】
本発明のさらなる態様は、一般式8:
【化8】

[式中、R3、Q1およびQ2は一般式2で定義されているとおりである]
で特徴付けられるラクトサミンの新規非環式ビニル性アミド誘導体を提供する。
一般式8で特徴付けられる新規ラクトサミン誘導体の製造は、ラクトサミン自体のビニル性アミド保護、Heyn's転位反応混合物のビニル性試薬処理または一般式2〜4および一般式6で特徴付けられるビニル性化合物の水素化分解により起こりうる。
【0060】
本発明の好ましい具体的態様は、一般式9:
【化9】

[式中、
R2およびQ1は一般式2で定義されているとおりであり;
R6は一般式3で定義されているとおりである]
で特徴付けられる新規ラクトサミン誘導体を提供する。
【0061】
本発明のさらに好ましい具体的態様は、一般式10:
【化10】

[式中、
R3は一般式2で定義されているとおりであり;
R6は一般式3で定義されているとおりである]
で特徴付けられる新規ラクトサミン誘導体を提供する。
【0062】
本発明の次の態様は、一般式10の非環式ビニル性アミドラクトサミン誘導体の製造および使用、特に、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造のための方法を提供する。
一般式10のラクトサミンの新規な非環式ビニル性アミド誘導体の好ましい製造方法は、遊離ラクトサミンまたはHeyns転位混合物それ自体の活性化非環式ビニル性試薬による処理に関与する。
【0063】
典型的に、本反応は塩基の存在下または非存在下の活性化ビニル性試薬と溶液中にて行う。溶媒としては、アセトン、メタノール、水、1,4-ジオキサン、DMF、テトラヒドロフラン、アルコール、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。
必要なビニル性試薬の製造のために、活性化メチレン化合物のメチレン官能基はオルトギ酸トリメチルまたはN,N ジメチルホルムアミドジメチルアセタールまたは当業者により知られる任意の他の試薬で活性化される。
【0064】
本反応に用いられる塩基は当分野にて知られる無機または有機塩基である。典型的に、反応に適用される無機塩基は炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムであり、有機塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
反応時間は典型的に、基質の構造、設定温度、および用いられる反応性ビニル性試薬および塩基の性質に応じて30分〜24時間で変化する。生成物はいずれのクロマトグラフィーもしないで、典型的に80〜95%の高収率にて得られる。
【0065】
さらに好ましい具体的態様は、ビニル性アミド保護基の窒素求核剤またはハロゲンガスでの除去によりラクトサミンの新規な非環式ビニル性アミド誘導体からのラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造のための方法を記載する。
本反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、水、酢酸、酢酸エチル、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。
【0066】
ビニル性アミド部分の除去は典型的に、エチルアミン、ブチルアミンなどのアミン、またはヒドラジン水和物、酢酸ヒドラジンなどのヒドラジン、アンモニア水溶液もしくは無水条件下のアンモニアガスを用いることによりなされる。通常の反応停止処理手順は、反応混合物の溶媒を留去して乾燥するか、またはヘキサン、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリルなどの非極性溶媒の添加による選択的沈殿をして粗製の反応混合物とすることに基づくことができる。
【0067】
クロマトグラフィー分離は、遊離塩基としてのラクトサミンおよび/または非環式ビニル性アミド脱保護反応の反応混合物からの任意のラクトサミン塩の単離に必要ではない。
ビニル性アミド保護部分はまた、塩素ガスを用いて開裂することもできる。
生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの非極性溶媒を添加する選択的沈殿により80〜95%の高収率で得られる。
【0068】
種々の使用
本発明に記載の方法により得ることができる本明細書記載の化合物および生成物は、医薬産業および栄養成分における大量の使用を有すると考えられる。これらの予想される多くの使用は、本明細書に記載の化合物(例えばラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミン)がガレクチン阻害剤であると考えられるという仮説に存在する。従って、本発明はまた、以下にも関する:
【0069】
機能性食品、機能性食品添加物、ノンカロリー機能性食品、高齢者用機能性食品としてのラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの使用。
特殊調製粉乳の成分としてのラクトサミン、ラクトサミン塩の使用。
離乳食の成分としてのラクトサミン、ラクトサミン塩の使用。
特殊調製粉乳の成分としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
【0070】
離乳食の成分としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
供給材料としてのラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの使用。
プレバイオティクス物質としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩酸塩の使用。
プレバイオティクス物質としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
インスリン分泌増強剤としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩の使用。
【0071】
インスリン分泌増強剤としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
GLP1分泌増強剤としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩の使用。
GLP1分泌増強剤としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
免疫系増強剤としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩の使用。
免疫系増強剤としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
【0072】
医薬組成物の活性化抗菌剤としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩の使用。
医薬組成物の活性化抗菌剤としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
医薬組成物のガレクチン阻害剤としてのラクトサミンおよびラクトサミン塩の使用。
医薬組成物のガレクチン阻害剤としてのN-アセチルラクトサミンの使用。
【0073】
参照
1. a) H. Paulsen, Angew. Chem. Int. Ed. Engl 1990, 29, 823-938; b) K. Toshima, K. Tatsuta, Chem. Rev. Ed. Engl. 1993, 93, 1503-1531; c) R.R. Schmidt, W. Kinzy, Adv. Carbohydr. Chem. Biochem. 1994, 50, 21-123; d) P.J. Garegg, Adv.Carbohydr. Chem. Biochem. 1997, 52, 179-266; e) P.P. Deshpande, H.M. Kim, A. Zatorski, T.-K. Park, G. Ragupathi, P.O. Livingston, D. Live, S.J. Danishefsky, J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1600-1614; f) A. K. Sakar, J. R. Brown, J. D. Esko, Carbohydr. Res., 2000, 329, 287 - 300.
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【0074】
5. T. Kimura, S. Takayama, H. Huang, C.-H. Wong, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1996, 35, 2348-2350.
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10. K. Heyns, K.-H. Meinecke, Chem. Ber., 1953, 86, 1453-1462.
11. K. Heyns, K.-W. Pflughaupt, D. Muller, Chem. Ber., 1968 101, 2807-2814.
12. T.M. Wrodnigg, A.E. Stutz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1999, 38, 827-828.
【実施例】
【0075】
適宜置換されていてもよいマロン酸ジアミドの製造のための一般手順:
マロン酸ジメチルエステル1 mmolおよびアルキルアミン2 mmolを丸底フラスコ中に混合し、混合物を出発化合物が完全に反応するまで撹拌した。反応時間は30分〜24時間で、温度は室温から還流温度まで変化した。反応が終了したとき、生成物を白色固体/結晶として単離した。
収率は80%〜定量までであった。
【0076】
【化11】

マロン酸ジメチルエステル6 gおよびベンジルアミン10 gは丸底フラスコ中に混合し、混合物を110℃にて20分間撹拌した。反応が終了したとき、生成物を白色結晶12 gとして単離した。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.77 (bs, 2 H, NH), 7.25 (m, 10 H, aromatic), 4.35 and 4.32 (s, 4 H, 2 x -CH2Ph), 3.19 (s, 2 H, COCH2CO).
13C NMR (CDCl3) δ: 167.69 (2 x CO), 137.99, 128.90, 127,86, 127.86, 127.70 and 127.70 (aromatic), 43.76, 43.76 and 43.13 (2 x -CH2Ph and COCH2CO).
【0077】
【化12】

マロン酸ジメチルエステル13.2 gおよびブチルアミン21.9 gは丸底フラスコ中に混合し、混合物を85℃にて2時間撹拌した。反応が終了したとき、生成物を白色結晶29 gとして単離した。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.56 (bs, 2 H, NH), 3.18 (m, 6 H, COCH2CO and 2 But), 1.38 (m, 8 H, But), 0.88 (t, 6 H, 2 x -CH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 167.56 (2 x CO), 43.00 (COCH2CO), 39.24, 31.20, 19.95 and 13.61 (ブチル).
【0078】
【化13】

マロン酸ジメチルエステル13.2 gおよびヘキシルアミン25.2 gは丸底フラスコ中に混合し、混合物を70℃にて3時間撹拌した。反応が終了したとき、生成物を白色結晶31 gとして単離した。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.51 (bs, 2 H, NH), 3.18 (m, 6 H COCH2CO and 2 ヘキシル), 1.48 (m, 4 H, ヘキシル), 1.24 (m, 12 H, Hex), 0.83 (m, 6 H, 2 x -CH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 167.84 (2 x CO), 43.9 (COCH2CO), 39.88, 31.66, 29.44, 26.79, 22.75 and 14.21 (ヘキシル).
【0079】
アルコキシメチル化およびジアルキルアミノメチル化したマロン酸誘導体の製造のための一般手順:
マロン酸誘導体1 mmolを無水有機溶媒に溶解し、ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタールまたはオルトギ酸トリメチルを混合物に加え、生成物が形成されるまで撹拌した。溶媒としては、DCM、トルエン、クロロホルム、MeCN、アセトン、EtOAc、ジオキサン、DMF、THFなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。反応温度は-10℃から試薬の還流温度まで変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて10分〜2日まで変化した。生成物は75%から90%までの高収率で単離する。
【0080】
【化14】

DCM 5 mL、トルエン2 mLおよびMeCN 5 mLの混合物中のマロン酸ジヘキシルアミド500 mgの溶液に、N,N ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタール250μLをゆっくりと加えた。次いで混合物を50℃まで加熱し、5 h撹拌した。混合物を濃縮し、次いで結晶化した後、生成物を単離した(250 mg)。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.44 (s, 1 H, -CH=), 7.29 and 6.54 (2 bs, それぞれ1 H, 2 x NH), 3.25 (m, 4 H, ヘキシル), 2.90 (s, 6 H, 2 x -NCH3), 1.50 (m, 4 H, ヘキシル), 1.25 (m, 12 H, Hex), 0.85 (m, 6 H, 2 x -CH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 169.46 and 167.74 (2 x CO), 150.69 (-HN-CH=), 98.09 (C qvat.), 43.57 and 39.94 (2 x -NCH3), 39.83, 39.77, 31.78, 31.73, 29.95, 29.89, 26.96, 26.82, 22.80, 22.78, 14.27 and 14.24 (ヘキシル).
【0081】
【化15】

マロン酸ジブチルアミド500 mgのDCM 5 mL溶液に、N,N ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタール310μLをゆっくり加えた。次いで混合物を室温にて2日間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで結晶化した後、生成物を単離した(310 mg)。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.32 and 7.10 (2 bs, それぞれ1 H, 2 x NH), 7.30 (s, 1 H, -CH=), 3.22 and 3.12 (2 m, それぞれ2 H, 2 x But), 2.81 (s, 6 H, 2 x -NCH3), 1.40 and 1.25 (2 m, それぞれ4 H, But), 0.81 (m, 6 H, 2 x -CH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 169.38 and 167.89 (2 x CO), 150.53 (-HN-CH=), 97.50 (C qvat.), 43.42 and 43.42 (2 x -NCH3), 39.63, 39.37, 32.01, 31.99, 20.54, 20.37, 13.97 and 13.89 (ブチル).
【0082】
【化16】

DCM 5 mL、トルエン2 mLおよびMeCN 2 mLの混合物中のマロン酸ジベンジルアミド500 mgの溶液に、N,N ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタール240μLをゆっくり加えた。次いで混合物を室温にて2日間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで結晶化した後、生成物を単離した(320 mg)。
1H NMR. (CDCl3) δ: 8.00 and 7.80 (2 bs, それぞれ1 H, 2 x NH), 7.44 (s, 1 H, -CH=), 7.25 (m, 10 H, aromatic), 4.49 and 4.43 (2 m, それぞれ2 H, 2 x -CH2Ph), 2.73 (bs, 6 H, 2 x -NCH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 169.12 and 167.92 (2 x CO), 151.53 (-HN-CH=), 97.02 (C qvat.), 43.78, 43.78, 43.60 and 62.62 (2 x -CH2Ph and 2 x -NCH3).
【0083】
【化17】

マロン酸ジアミド1 gのDMF 15 mL溶液に、N,N ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタール1.4 gをゆっくり加えた。次いで混合物を50℃まで加熱し、3時間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで結晶化した後、生成物を単離した(410 mg)。
1H NMR. (DMSO d6) δ: 7.45 and 7.02 (それぞれbs, 4 H, 2 x -NH2), 7.40 (s, 1 H, -CH=), 2.94 and 2.89 (2 x s, それぞれ3 H, 2 x -NCH3).
13C NMR (DMSO d6) δ: 169.16 and 169.15 (2 x CO), 151.08 (-HN-CH=), 96.37 (C qvat.), 43.07 and 42.95 (2 x NCH3).
【0084】
【化18】

マロン酸ジベンジル2 gのDMF 10 mL溶液に、N,N ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタール904 mgをゆっくりと加えた。次いで混合物を110℃まで加熱し、30分間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで結晶化した後、生成物を単離した(910 mg)。
1H NMR. (CDCl3) δ: 7.60 (s, 1 H, -CH=), 7.30 (m, 10 H, aromatic), 5.22 (s, 4 H, 2 x -CH2Ph), 2.80 (bs, 6 H, 2 x -NCH3).
13C NMR (CDCl3) δ: 167.41 (2 x CO), 154.70 (-HN-CH=), 92.38 (C qvat.), 66.72 and 65.91 (2 x -CH2Ph and 2 x -NCH3).
【0085】
アルコキシメチル化およびジアルキルアミノメチル化した1,3-シクロヘキセンジオン誘導体の製造のための一般手順:
1,3-シクロヘキセンジオン誘導体1 mmolは無水有機溶媒中に溶解し、ジメチルホルムアミド-ジメチルアセタールまたはオルトギ酸トリメチルを混合物に加え、生成物が形成されるまで撹拌した。
【0086】
溶媒としては、DCM、トルエン、クロロホルム、MeCN、アセトン、EtOAc、ジオキサン、DMF、THFなどが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。反応温度は-10℃〜試薬の還流温度まで変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて10分〜2日まで変化した。生成物を75%から90%までの高収率で単離する。
【0087】
【化19】

ジメドン10 gをCHCl3 60 mLに溶解し、混合物を0℃まで冷却した。CHCl3 20 mL中のN,N ジメチルホルムアミドジメチル-アセタール9.5 mLを混合物にゆっくり加えた。次いで混合物を還流温度まで30分間加熱した。混合物を濃縮し、次いでEtOAc:ヘキサン(1:10, 50 mL)で結晶化することにより生成物を単離し、黄色結晶12.8 gを得た。
1H NMR. (DMSO d6) δ: 8.01 (s, 1 H, -CH=), 3.40 and 3.18 (2 x s, それぞれ3 H, 2 x NCH3), 2.36 (s, 4 H, 2 x CH2), 1.08 (s, 6 H, 2 x CH3).
13C NMR (DMSO d6) δ: 195.71 and 195.70 (2 x CO), 161.92 (-HN-CH=), 108.28 (C qvat.), 52.34 (2 x CH2), 48.44 and 44.93 (2 x NCH3), 31.14 and 31.05 (2 x CH3), 28.66 C-(CH3)2).
【0088】
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体の製造のための一般手順:
本反応は典型的に、塩基の存在下または非存在下にてラクトサミンを活性化ビニル性アミド試薬で処理することにより溶液中にて行う。出発ラクトサミンはHeyns転位反応後、純粋な物質または混合物となることができる。溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。ビニル性アミド試薬のメチレン基はオルトギ酸トリメチルまたはN,N ジメチルアミドジメチルアセタールで活性化する。反応に用いられる塩基は無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(ピリジン、トリエチルアミン、Hunig塩基など)である。反応温度は-10℃〜溶媒の還流温度まで変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて10分〜2日間で変化した。生成物は75%〜90%まで高収率で単離する。
【0089】
分析目的のために、生成物はピリジンおよびAc2O中にてアセチル化することができる。
【0090】
【化20】

ラクトサミン500 mgをMeOH 5 mLに溶解し、TEA 430μLを加えた。活性化マロン酸ジベンジルアミド500 mgをその混合物に加え、2時間撹拌した。次いで濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した。
【0091】
【化21】

ラクトサミン500 mgをMeOH 5 mLに溶解し、TEA 430μLを加えた。活性化マロン酸ジブチルアミド500 mgをその混合物に加え、2時間撹拌した。次いで濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した。
【0092】
【化22】

ラクトサミン500 mgをMeOH 5 mLに溶解し、TEA 430μLを加えた。活性化マロン酸ジヘキシルアミド500 mgをその混合物に加え、2時間撹拌した。次いで濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した。
【0093】
【化23】

Heyns転位反応の粗製混合物530 mgをMeOH 5 mLに溶解し、TEA 430μLを加えた。メトキシメチレンマロン酸ジメチルエステル324 mgをその混合物に加え、2時間撹拌した。次いで濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した。分析のため:化合物20 mgをピリジン2 mLに溶解した後、Ac2O 1 mLを加え、12時間撹拌した。混合物を濃縮し、クロマトグラフィーし、完全にアセチル化された生成物を得た。
1H NMR. (CDCl3) δ: 9.09 (dd, 1 H, JNH,HC= 13.45 Hz, JNH,2 9.85 Hz, NH), 7.92 (d, 1 H, -CH=), 6.18 (d, 1 H, J1,2 3.70 Hz, H-1), 5.35 (m, 2 H, H-3 and H-4'), 5.12 (dd, 1 H, J1',2' 7.83 Hz, J2',3' 10.34 Hz, H-2'), 4.97 (dd, 1 H, H-3'), 4.49 (d, 1 H, J1,2 7.85 Hz, H-1), 3.94 (m, 1 H, H-4), 3.78 and 3.72 (2 x s, それぞれ3 H, 2 x OCH3), 3.54 (m, 1 H, H-2), 2.26, 2.17, 2.12, 2.08, 2.05, 2.05 and 1.97 (7 x s, それぞれ3 H, 7 x OAc).
13C NMR (CDCl3) δ: 170.25, 170.14, 170.04, 170.04, 169.99, 169.38, 168.99, 168.7 and 165.08 (9 x CO), 158.55 (-HN-CH=), 100.98 (C-1'), 91.93 (C qvat.), 90.18 (C-1), 75.19 (C-5), 70.19 (C-5'), 70.55 (C-4), 70.54 (C-3'), 70.51 (C-3), 68.92 (C-2') 66.38 (C-4'), 61.40, 60.95 and 60.56 (C-2, C-6 and C-6') 51.41 and 51.34 (2 x OCH3), 20.76, 20.73, 20.59, 20.58, 20.57, 20.57 and 20.43 (7 x OAc).
【0094】
ラクトサミンの(2-メチリジニル1,3-シクロヘキセンジオン誘導体の製造のための一般手順:
本反応は典型的に、塩基の存在下または非存在下にて活性化ビニル性アミド試薬と溶液中にて行う。出発ラクトサミンはHeyns転位反応後、きれいな生成物または混合物とすることができる。溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。1,3-シクロヘキセンジオン誘導体のメチレン基はオルトギ酸トリメチルまたはN,N ジメチルアミド ジメチルアセタールで活性化する。反応に用いられる塩基は無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(ピリジン、トリエチルアミン、Hunig塩基など)である。反応温度は-10℃から溶媒の還流温度まで変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて10分〜2日間まで変化した。生成物は75%〜90%までの高収率で単離する。
【0095】
【化24】

ラクトサミン8 gをMeOH 30 mLに溶解した後、TEA 3 mLを加えた。次いでジアルキルアミノメチル化ジメドン誘導体4.16 gをMeOH 5 mLに加え、混合物を3時間撹拌した。TLCが完全な変換を示したとき、混合物を濃縮し、生成物を結晶化によりEtOHから単離し、白色結晶2.6 gを得た。
1H NMR. (D2O) δ: 8.02 (s, 1 H, -CH= α), 7.99 (s, 1 H, -CH= β), 5.17 (d, 1 H, J1,2 3.60 Hz, H-1 α), 4.78 (d, 1 H, J1,2 8.16 Hz, H-1 β), 3.43 (m, 1 H, H-2 α), 3.34 (m, 1 H, H-2'), 3.11 (m, 1 H, H-2 β), 2.24 (m, 2 x CH2), 0.84 and 0.83 (2 x s, each 3 H, 2 x -CH3).
13C NMR (D2O) δ: 202.42 and 201.22 (2 x CO), 159.70 (-HN-CH=), 107.76 (C quat.), 102.98 (C-1'), 93.73 (C-1 β), 90.56 (C-1 α), 77.82, 75.44, 72.57, 71.05, 70.57, 69.72 68.64, 63.93, 61.15 and 57.47 (C-2,3,4,5,6, C-2',3',4',5',6', すべてα), 50.45 and 50.09 (2 x -CH2), 27.38 and 27.38 (2 x -CH3).
【0096】
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体の使用によるラクトサミンの製造のための一般手順:
本反応は典型的に、アミン、ヒドラジンまたはアンモニアを用い、溶液中にて行う。
溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなどのアミン、酢酸ヒドラジン、ヒドラジン水和物などのヒドラジンまたは水性アンモニアとしてのアンモニアもしくは溶媒(メタノール、ジオキサンなど)中の無水アンモニア、またはアンモニアガスはビニル性アミド保護基を開裂するために用いられる。生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン エタノール、イソプロパノールなどの非極性溶媒を加えた選択的沈殿により、80%〜95%の高収率で得られる。
【0097】
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体200 mgをDMSO 1 mLに溶解し、ベンジルアミン200 mgを混合物に加え、室温にて1時間撹拌した。生成物をジエチルエーテル20 mLでの沈殿により単離した。
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体200 mgをMeOH 10 mLに溶解し、アンモニアガスを1時間溶液に通してバブリングした。生成物をジエチルエーテル20 mLでの沈殿により単離した。
【0098】
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体500 mgをMeOH 25 mLに溶解し、アンモニアガスを2時間溶液に通してバブリングした。生成物をジエチルエーテル50 mLでの沈殿により単離した。
ラクトサミンの非環式ビニル性アミド誘導体12 gをMeOH中のアンモニア溶液(420 mL, 8m/m %)に加え、混合物を3時間撹拌した。生成物をジエチルエーテル900 mLでの沈殿により単離した。
【化25】

1H NMR. (D2O) δ: 5.23 (d, 1 H, J1,2 3.10 Hz, H-1 α), 4.75 (d, 1 H, J1,2 8.43 Hz, H-1 β), 4.25 (d, 1 H, J1',2' 7.25 Hz, H-1' α and β) 3.34 (m, 1 H, H-2' α and β), 3.14 (dd, 1 H, H-2 α), 2.83 (m, 1 H, H-2 β).
13C NMR (D2O) δ: 103.13 (C-1' β), 103.08 (C-1' α), 92.67 (C-1 α), 88.99 (C-1 β), 78.08, 75.51, 72.54, 71.05, 70.38, 68.62 68.45, 61.23, 59.74 and 54.13 (C-2,3,4,5,6, C-2',3',4',5',6', すべてα).
【0099】
ラクトサミンの(2-メチリジニル1,3-シクロヘキセンジオン誘導体の使用によるラクトサミンの製造のための一般手順:
本反応は典型的に、アミン、ヒドラジンまたはアンモニアを用い、溶液中にて行う。
溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミンなどのアミン、酢酸ヒドラジン、ヒドラジン水和物などのヒドラジンまたは水性アンモニアとしてのアンモニアもしくは溶媒(メタノール、ジオキサンなど)中の無水アンモニアまたはアンモニアガスはビニル性アミド保護基を開裂するために用いられる。生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン、エタノール、イソプロパノールなどの非極性溶媒を加えた選択的沈殿により80%〜95%の高収率で得られる。
【0100】
ラクトサミンの(2-メチリニジル) 1,3-シクロヘキセンジオン誘導体200 mgをDMF 1 mLに溶解し、ベンジルアミン1 mLをその混合物に加え、室温にて2時間撹拌した。生成物をアセトン10 mLでの沈殿により単離した。
ラクトサミンの(2-メチリニジル) 1,3-シクロヘキセンジオン誘導体100 mgをエタノール-メタノール混合物(それぞれ10 mL, 1 mL)に溶解し、アンモニアガスを45分間溶液に通してバブリングした。生成物をジエチルエーテル5 mLでの沈殿により単離した。
【化26】

NMRデータ: 先の実験を参照のこと。
【0101】
ラクトサミンおよびラクトサミン誘導体の塩の一般的製造:
ラクトサミンおよびラクトサミン誘導体の塩の形成は典型的に、無機もしくは有機酸または塩を用いてラクトサミン/誘導体の遊離アミン体から溶液中にて行う。溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。無機酸としては、濃縮または水もしくはメタノール、エタノール、ジオキサンなどの任意の他の溶媒で希釈したHCl、H2SO3、HNO3、H3PO4などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸の塩も同様に用いることができる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸などおよびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。生成物は典型的に、いずれのクロマトグラフィーもしないで、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン エタノール、イソプロパノールなどの非極性溶媒を加えた選択的沈殿により80%〜95%の高収率で、または結晶化により80%〜95%の高収率で得られる。
【0102】
【化27】

ラクトサミン200 mgをMeOH 3 mLに溶解し、混合物を0℃まで冷却した。次いでMeOH中のHCl(430μL, 1.4 mmol/mL)を混合物に加え、10分間撹拌した。生成物をEtOH 3 mLおよびアセトン20 mLを加えることにより単離し、白色粉末120 mgを得た。
1H NMR. (D2O) δ: 5.23 (d, 1 H, J1,2 3.10 Hz, H-1 α), 4.75 (d, 1 H, J1,2 8.43 Hz, H-1 β), 4.25 (d, 1 H, J1',2' 7.25 Hz, H-1' α and β) 3.34 (m, 1 H, H-2' α and β), 3.14 (dd, 1 H, H-2 α), 2.83 (m, 1 H, H-2 β).
13C NMR (D2O) δ: 103.13 (C-1' β), 103.08 (C-1' α), 92.67 (C-1 α), 88.99 (C-1 β), 78.08, 75.51, 72.54, 71.05, 70.38, 68.62 68.45, 61.23, 59.74 and 54.13 (C-2,3,4,5,6, C-2',3',4',5',6', すべてα).
【0103】
【化28】

N ベンジル-ラクトサミン200 mgをHeyns転位後のカラムクロマトグラフィーにより単離し、反応物をMeOH 5 mLに溶解し、混合物を0℃まで冷却した。次いでMeOH中のHCl(400μL, 1.4 mmol/mL)を混合物に加え、10分間撹拌した。生成物をEtOH 2 mLおよびアセトン20 mLを加えることにより単離し、白色粉末100 mgを得た。
1H NMR. (D2O) δ: 7.30 (m, 5 H, aromatic), 5.33 (d, 1 H, J1,2 3.57 Hz, H-1 α), 4.90 (d, 1 H, J1,2 8.40 Hz, H-1 β), 4.23 (d, 1 H, J1',2' 7.69 Hz, H-1' α), 4.20 (d, 1 H, J1',2' 7.43 Hz, H-1' β), 3.36 and 3.33 (m, 2 H, H-2' α and β), 3.10 (dd, 1 H, H-2 α), 2.83 (m, 1 H, H-2 β).
【0104】
ラクトサミンのN-ベンジルオキシカルボニル誘導体の製造のための一般手順:
本反応は典型的に、きれいなラクトサミン-ラクトサミン誘導体、またはHeyns転位後の粗製の反応混合物を用い、溶液中にて行う。
溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。本反応に用いられる反応剤はZ-Cl、Z-OSuなどの活性化カルボベンジルオキシ(Z)誘導体である。本反応に用いられる塩基は、無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(ピリジン、トリエチルアミン、Hunig塩基など)である。反応温度は-10℃〜溶媒の還流温度で変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて30分〜1日間で変化した。生成物は80%〜95%の高収率で単離する。
【0105】
【化29】

N-ベンジルラクトサミン1 g(Heyns転位後の混合物のカラムクロマトグラフィーにより精製)をMeOH 20 mLに溶解し、K2CO3 500 mgを混合物に加えた。Z-Clを0℃にて溶液に加え、30分間撹拌した後、濃縮した。固体の残渣をtert-ブチルメチルエーテル50 mLで洗浄し、非極性不純物を除去した。粉状物をEtOH/アセトン(70 mL, 1:1)で洗浄することにより生成物を得た。洗浄物を集め、濃縮した。
1H NMR. (D2O) δ: 7.20 (m, 10 H, aromatic), 4.38 (d, 1 H, J1,2 7.46 Hz, H-1' α and β), 4.27 (d, 1 H, J1,2 2.70 Hz, H-1 α), 4.23 (d, 1 H, J1,2 7.02 Hz, H-1 β), 3.43 (m, 1 H, H-2' α and β), 3.35 (m, 1 H, H-2 α and β).
13C NMR (D2O) δ: 146.13 (CO), 94.86 and 94.08 (C-1 and C-1' α), 76.69, 75.06, 74.34, 73.00, 72.59, 71.95, 71.05, 69.01, 66.00, 61.71, 61.03 and 54.55 (C-2,3,4,5,6, C-2',3',4',5',6', and 2 x -CH2 すべてα).
【0106】
【化30】

メチル 1-デオキシ-1-チオ α D ラクトサミン150 mg(以下のNMRデータを参照のこと)およびNaHCO3 170 mgを水2 mLおよびMeCN 1 mLの混合物に溶解した。混合物を0℃に冷却し、Z-Cl 170μLをMeCN 1 mLに加え、混合物を室温にて1時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物100 mgを得た。
1H NMR. (CD3OD) δ: 7.36 (m, 5 H, aromatic), 5.36 (d, 1 H, J1,2 5.36 Hz, H-1), 4.38 (d, 1 H, J1',2' 7.16 Hz, H-2), 3.88 (m, 1 H, H-2), 3.54 (m, 1 H, H-2'), 2.05 (s, 3 H, SMe).
13C NMR (CD3OD) δ: 157.37 (CO), 103.94 (C-1'), 85.38 (C-1), 80.28, 75.90, 73.58, 71.40, 69.96, 69.07 and 66,37 (C-2, C-3, C-4, C-5, C-3', C-4' and C-5'), 61.29 and 60.68 (C-6 and C-6'), 55.71 (C-2), 12.09 (SMe).
【0107】
【化31】

1H NMR. (D2O) δ: 5.08 (d, 1 H, J1,2 5.20 Hz, H-1), 4.27 (d, 1 H, J1',2' 7.72 Hz, H-1'), 3.97 (m, 1 H, H-5'), 3.73 (m, 1 H, H-4'), 3.71 (m, 2 H, H-6'), 3.57 (m, 2 H, H-6), 3.55 (m, 1 H, H-5), 3.46 (m, 1 H, H-3'), 3.44 (m, 1 H, H-4), 3.42 (m, 1 H, H-3), 3.35 (m, 1 H, H-2'), 2.94 (m, 1 H, H-2), 1.86 (s, 3 H, SMe).
13C NMR (D2O) δ: 103.12 (C-1'), 87.02 (C-1), 79.31 (C-4), 75.49 (C-5), 73.19 (C-3), 72.66 (C-3'), 71.28 (C-5'), 71.05 (C-2'), 68.64 (C-4'), 61.13 C-6'), 60.19 (C-6), 54.81 (C-2), 12.68 (SMe).
【0108】
ラクトサミンのN-ベンジルオキシカルボニル誘導体からのラクトサミンおよびその誘導体の製造のための一般手順:
本反応は典型的に、還元剤としてH2を用い、溶液中にて行う。溶媒としては、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、THF、アルコールが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。本反応は、広範な温度および圧力にて多くのPd、Ni、Ptまたは当分野にて知られる他の金属触媒で触媒することができる。H2源はH2ガスまたはギ酸もしくはギ酸アンモニウムなどの他の試薬であることができる。反応時間は典型的に、構造、設定温度、設定圧力および反応剤の性質に応じて、1時間〜3日間で変化した。生成物は80%〜95%の高収率で単離する。
【0109】
【化32】

N-ベンジル,N-ベンジルオキシカルボニルラクトサミン200 mgをMeOH 30 mLに溶解し、MeOH中のHCl(400μL, 1.4 mmol/mL)を混合物に加えた後、Pd/C 50 mgを加え、H2(20 bar)下8時間撹拌した。触媒をろ別し、ろ液を濃縮し、ラクトサミン100 mgを白色粉末として得た。
MNRデータ: 上記実験を参照のこと(ラクトサミンおよびラクトサミン誘導体の塩の一般的製造)。
【0110】
NAc-ラクトサミンの製造のための一般手順:
二つの異なる手順を用いて標記化合物を製造した。
第一の方法は、選択的N-アセチル化であった。本反応は、塩基の存在下または非存在下にてアシル化剤と溶液中で行った。溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。本反応に用いられる塩基は、無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(ピリジン、トリエチルアミン、Hunig塩基など)である。アシル化剤は当分野にて知られる活性化酢酸誘導体である。典型的に無水酢酸および塩化アセチルをアシル化剤として用いた。反応温度は-10℃〜溶媒の還流温度で変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて、30分〜2日間で変化した。生成物を80%〜90%の高収率で単離する。
【0111】
第二の方法は過アセチル化、次いで脱-O-アセチル化であった。まず、反応は塩基の存在下または非存在下でアシル化剤と溶液中にて行った。溶媒としては、アセトン、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。本反応に用いられる塩基は無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(ピリジン、トリエチルアミン、Hunig塩基など)である。アシル化剤は当分野にて知られる活性化酢酸誘導体である。典型的に、無水酢酸および塩化アセチルをアシル化剤として用いた。反応温度は-10℃〜溶媒の還流温度で変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて30分〜2日間で変化した。生成物は75%〜90%の高収率で単離する。第二反応は塩基の存在下にて溶液中にて行った。溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、水、ジオキサン、DMSO、THF、DMF、アルコール、MeCNが挙げられるが、これらに限定されず、その混合物はそのような化学変換に用いることができる。本反応に用いられる塩基は無機塩基(K2CO3、Na2CO3、NaHCO3など)または有機塩基(NaOMe、NaOEtなど)である。反応温度は0℃〜溶媒の還流温度で変化した。反応時間は典型的に、構造、設定温度および反応剤の性質に応じて30分〜1日間で変化した。生成物は70%〜90%の高収率で単離する。
【0112】
【化33】

第一方法:ラクトサミン50 mgをMeOH 1 mLに溶解し、混合物を0℃まで冷却した。次いでAc2O 100μLを混合物に加え、室温にて20分間撹拌した。生成物をアセトン1 mLおよびヘキサン1 mLでの沈殿により単離し、白色粉末30 mgを得た。
1H NMR. (D2O) δ: 4.98 (d, 1 H, J1,2 2.00 Hz, H-1 α), 4.49 (d, 1 H, J1,2 7.29 Hz, H-1 β), 4.25 (d, 1 H, J1',2' 7.71 Hz, H-1' α and β), 3.68 (dd, 1 H, H-2 α), 3.52 (m, 1 H, H-2 β), 3.34 (m, 1 H, H-2' α and β), 1.82 (s, 3 H, NHAc).
13C NMR (D2O) δ: 174.49 (CO), 102.87 (C-1' α and β), 94.90 (C-1 β), 90.59 (C-1 α), 78.74, 75.41, 72.53, 71.01, 70.31, 69.32 68.59, 61.10, 59.95 and 53.76 (C-2,3,4,5,6, C-2',3',4',5',6', すべてα).
【0113】
【化34】

第二方法:ラクトサミン1 gをピリジン6 mLに溶解し、Ac2O 3 mLを混合物に加え、5時間維持した。次いで混合物を濃縮し、トルエンで共濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィーにより単離した。
1H NMR. (CDCl3) δ: 6.06 (d, 1 H, J1,2 3.61 Hz, H-1α), 5.96 (d, 1 H, J2,NH 9.77 Hz, NHβ), 5.74 (d, 1 H, J2,NH 9.14 Hz, NHα), 5.61 (d, 1 H, J1,2 7.77 Hz, H-1β), 5.34 (m, 2 H, H-4'α and β), 5.21 (m, 2 H, H-3α and β), 5.07 (m, 2 H, H-2'α and β), 4.94 (m, 2 H, H-3'α and β), 4.51 (d, 1 H, J1',2' 7.87 Hz, H-1'α), 4.46 (d, 1 H, J1',2' 7.83 Hz, H-1'β), 4.43 and 4.11 (m, 8 H, H-6, H-6' α and β), 4.36 and 4.29 (m, 2 H, H-2α and β), 3.87 and 3.83 (m, 2 H, H-4α and β), 3.84 and 3.77 (m, 4 H, H-5, H-5'α and β).
13C NMR (CDCl3) δ: 171.34, 170.48, 170.30, 170.29, 170.28, 170.27, 170.16, 170.09, 170.04, 170.01, 169.98, 169.97, 169.38, 169.33, 169.25 and 168.76 (16 x CO), 101.19 and 100.74 (C-1'α and β), 92.26 and 90.38 (C-1α and β), 75.64, 74.67, 73.32, 71.93, 70.87, 70.81, 70.66, 70.66, 70.53, 70.26, 68.97 and 68.82 (C-3, C-4, C-5, C-2', C-3', C-5' α and β), 66.51 and 66.47 (C-4'α and β), 61.47, 61.46, 60.74 and 60.69 (C-6 and C-6' α and β), 51.74 and 50.76 (C-2 α and β) 23.04 and 22.95 (NAc α and β).
【0114】
過アセチル化ラクトサミン250 mgをMeOH 20 mLに溶解し、NaOMe 35 mgを混合物に加え、5時間撹拌した。混合物をAmbertlite IR 120 H+で中和し、ろ過し、濃縮し、NAc-ラクトサミンを得た。
NMRデータ: 上記実験を参照のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1:
【化1】

[式中、
R1は適宜置換されていてもよいアシルおよび適宜置換されていてもよいアルキルオキシ-カルボニルからなる群から選択され;
R2は適宜置換されていてもよいベンジル、適宜置換されていてもよいベンズヒドリル、適宜置換されていてもよいトリチルおよび適宜置換されていてもよいナフチルメチルからなる群から選択される]
で示される化合物。
【請求項2】
一般式2:
【化2】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであるか、またはR2は水素であり;
R3は適宜置換されていてもよいC1-6-アルキル、適宜置換されていてもよいヘテロアルキル、適宜置換されていてもよいヘテロシクリル、適宜置換されていてもよいアリール、適宜置換されていてもよいC2-6-アシルおよび水素からなる群から選択され;
Q1およびQ2は独立して電子吸引性置換基からなる群から選択される]
で示される化合物。
【請求項3】
一般式8:
【化3】

[式中、R3、Q1およびQ2は一般式2で定義されているとおりである]
で特徴付けられる、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
一般式3:
【化4】

[式中、
R2は一般式1で定義されているか、またはR2は水素であり;
R3およびQ1は一般式2で定義されているとおりであり;
R6はR4、OH、OR4、NH2、NHR4およびNHR4R5からなる群から選択され;R4およびR5は一般式2で定義されているとおりである]
で特徴付けられる、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
一般式9:
【化5】

[式中、R2およびQ1は一般式2で定義されているとおりである]
で特徴付けられる、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
一般式4:
【化6】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであるか、またはR2は水素であり;
R3は一般式2で定義されているとおりであり;
R6は一般式3で定義されているとおりである]
で特徴付けられる、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
一般式10:
【化7】

[式中、
R3は一般式2で定義されているとおりであり;
R6は一般式3で定義されているとおりである]
で特徴付けられる、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
一般式5:
【化8】

[式中、
R2は一般式1で定義されているとおりであり;
Xはいずれかの無機または有機アニオンである]
で示される化合物。
【請求項9】
一般式6:
【化9】

[式中、R2は一般式1で定義されているとおりである]
で示される化合物。
【請求項10】
一般式7:
【化10】

で示される化合物。
【請求項11】
純粋な物質としてまたはHeyns転位反応の他の成分の混合物としての適宜置換されていてもよいN-ベンジル-、N-ベンズヒドリル-、N-トリチル-およびN-ナフチルメチルラクトサミン誘導体のアシル化、カルバモイル化の工程を含む、一般式1の新規N-置換ラクトサミン誘導体の製造方法。
【請求項12】
純粋な物質としてまたはHeyns転位反応の他の成分の混合物としての置換/非置換N-ベンジル-、N-ベンズヒドリル-、N-トリチル-およびN-ナフチルメチルラクトサミン誘導体の非環式ビニル性アミド保護の工程を含む、一般式2〜4のN-置換ラクトサミン誘導体の新規非環式ビニル性誘導体の製造方法。
【請求項13】
a. クロマトグラフィーにより精製されるN-置換ラクトサミン誘導体の塩形成、
b. Heyns転位の分離されない成分としてのN-置換ラクトサミンの塩形成、次いで精製、
c. 一般式2〜4で特徴付けられる化合物のビニル性アミド脱保護、次いで酸との塩形成、
d. 一般式1で特徴付けられる化合物のN-アシル脱保護、次いで酸との塩形成
の工程を含む、一般式5のN-置換ラクトサミン塩の新規誘導体の製造方法。
【請求項14】
N-置換ラクトサミン誘導体を活性化ベンジルオキシカルボニル試薬で処理する工程を含む、一般式6で特徴付けられる新規N-カルボベンジルオキシ-ラクトサミン誘導体の製造方法。
【請求項15】
純粋な物質としてまたは水素化分解Heyns転位反応に由来する混合物の成分としての適宜置換されていてもよいラクトサミン誘導体のビニル性アミド保護の工程を含む、一般式7の新規N-Dmc-保護ラクトサミン誘導体の製造方法。
【請求項16】
純粋な物質としてまたは水素化分解Heyns転位反応に由来する混合物の成分としての適宜置換されていてもよいラクトサミン誘導体の非環式ビニル性アミド保護の工程を含む、一般式8〜10のラクトサミンの新規非環式ビニル性アミド誘導体の製造方法。
【請求項17】
一般式1で特徴付けられる新規化合物の水素化分解の工程を含む、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法。
【請求項18】
a. N-アセチルラクトサミン製造において一般式1で特徴付けられる新規化合物の水素化分解、次いで非環式ビニル性部位および選択的N-アセチル化の除去
b. N-アセチルラクトサミン製造においてN-求核剤または塩素処理による非環式ビニル性部分の除去、次いで水素化分解および選択的N-アセチル化
の工程を含む、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法。
【請求項19】
N-アセチルラクトサミン製造において一般式6で特徴付けられるラクトサミンの新規ベンジルオキシカーバメート誘導体の水素化分解の工程を含み、水素化分解、次いで選択的N-アセチル化の工程を含む、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法。
【請求項20】
N-アセチルラクトサミン製造においてアンモニア、第一級アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン誘導体、塩基性イオン交換樹脂または塩素ガスの処理を用いた一般式7のDmc-保護ラクトサミンのDmc脱保護の工程を含み、次いで選択的N-アセチル化の工程を含むことができる、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法。
【請求項21】
N-アセチルラクトサミン製造においてアンモニア、第一級アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン誘導体、塩基性イオン交換樹脂または塩素ガスの処理を用いた一般式8〜10の新規ラクトサミン誘導体の非環式ビニル性アミド脱保護の工程を含み、次いで選択的N-アセチル化の工程を含むことができる、ラクトサミン、ラクトサミン塩およびN-アセチルラクトサミンの製造方法。

【公表番号】特表2009−533322(P2009−533322A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558638(P2008−558638)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000123
【国際公開番号】WO2007/104311
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508278309)グリコム・アンパルトセルスカブ (4)
【氏名又は名称原語表記】Glycom ApS
【Fターム(参考)】