説明

新規化合物、若しくはその塩、及び抗腫瘍剤、並びに新規化合物の生産方法

【課題】抗がん活性を有する新規化合物の提供。
【解決手段】下記の式で表される化合物、若しくはその塩、該化合物、若しくはその塩は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有し、がん細胞に対し細胞死を誘導し、抗がん活性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗がん活性を有する新規化合物に関する。より詳細には、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する新規化合物、若しくはその塩、及び抗腫瘍剤、並びに前記新規化合物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アドリアマイシン、ブレオマイシンと言った抗腫瘍剤の多くは、微生物代謝産物をはじめとする天然より単離されている。がん化学寮法の進歩により、白血病など多くのがん種において、治療効果が上がってきている。しかしながら、がんは我が国において依然として死因の一位を占める疾患であり、新たな抗腫瘍剤の開発が切望されている。
【0003】
近年、大腸がん細胞では、APC遺伝子の異常によってβ-cateninの分解が阻害され、細胞内β-cateninのレベルが上昇することが分かった。ここで、「APC遺伝子」とは、がん抑制遺伝子の一つであり、がん発生初期に関与する遺伝子として知られている。また、「β-catenin」とは、ingless/Wntシグナル伝達系の必須因子で、通常、β-cateninは細胞膜に存在し、細胞質に遊離したものは、速やかに分解され、また、APC遺伝子産物によって分解制御されている(非特許文献1、及び2参照)。Wntもまた、そのレセプターを介して、β-cateninの分解を阻害しβ-cateninを蓄積させる。
【0004】
細胞内に蓄積されたβ-cateninは、TCFファミリーと複合体を作る。ここで、「TCF」とは、遺伝子の転写因子として働くタンパク質で、発生の過程のいくつかの段階で、個々の細胞が将来からだのどの部分になっていくのかという運命を決定する働きを担うタンパク質である。
【0005】
β-cateninと結合していないTCFファミリーは、遺伝子の転写を抑制する働きがあるが、β-catenin/TCF複合体になると、逆に遺伝子の転写を活性化するため、がん遺伝子であるc−MYCの活性化を引き起こし、その結果、がん細胞の異常増殖が起こる。
【0006】
このようなWnt-シグナル系関連分子と大腸がん細胞の増殖に関する知見より、これらの分子機構を制御すること、すなわちβ-cateninとTCFの結合を阻害することによって大腸がん細胞の増殖抑制が可能であると考えられる。そこで、新規抗がん剤として、TCF−β-catenin間相互作用を阻害することによりがん細胞を制御する試みが、各種行われている(非特許文献3〜非特許文献8など参照)。
【0007】
ここで、本発明と関連性のある化合物、polypropionate類縁体について説明する。Polypropionate類縁体は、化学式2を代表とする化合物で、aureothin、spectinabilinなどが知られている。
【化2】

【0008】
Aureothinは4つのC3ユニットを有し、spectinabilinは7つのC3ユニットからなる化合物である。共に、ニトロ基をベンゼン骨格上に有するのが特徴である。
【0009】
Aureothinは、放線菌「ストレプトマイセス チオルテウス」属の菌株の代謝産物から同定された物質で、抗菌・抗ヘリコバクターピロリ活性物質としての報告はあるが(非特許文献9、10)、具体的な作用・用途は報告されていない。Spectinabilinは、その化学構造が知られているが(例えば非特許文献11参照)、具体的な作用・用途は報告されていない。Spectinabilinの化学構造を、化学式3に示す。
【化3】

【特許文献1】WO/2003/044209
【非特許文献1】Orsulic S, Huber O, Aberle H, Arnold S, Kemler R 1999 E-cadherin binding prevents b-catenin nuclear localization and b-catenin/LEF-1-mediated transactivation. J Cell Sci,112:1237-1245
【非特許文献2】Polakis P 1999 The oncogenic activation of b-catenin. Curr Opin Genet Dev 9:15-21
【非特許文献3】He TC, Sparks AB, Rago C, et al. 1998, Identification of c-MYC as a target of the APC pathway. Science 281:1509-1512
【非特許文献4】Tetsu O, McCormick F “b-catenin regulates expression of cyclin D1 in colon carcinoma cells“ Nature 398: 422-426 (1999)
【非特許文献5】Korinek V, Barker N, Morin PJ, et al. “Constitutive transcriptional activation by a b-catenin-TCF complex in APC-/- colon carcinoma“ Science 275: 1784-1787 (1999)
【非特許文献6】H. Dvory-Sobol, E. Sagiv et al. “Tarageting the active beta-catenin pathway to treat cancer cells“ 1172810931375_0.'); 5: 2861-2871 (2006)
【非特許文献7】H. Dvory-Sobol, E. Sagiv et al. “Suppression of gastric cancer cell growth by targeting the beta-catenin/T-cel factor pathway“ Cancer 109: 188-197 (2006)
【非特許文献8】K. Y. Kwong, Y. Zou et al. “The suppression of colon cancer cell growth in nude mice by targeting beta-catenin/TCF pathway“ Oncogene, 21: 8340-8346 (2002)
【非特許文献9】J. L. Schwartz et al “Identification of mycolutein and pulvomycin as aureothin and labilomycin respectively” J. Antibiot. 29: 236-241 (1976)
【非特許文献10】M. Taniguchi et al “γ-Pyrone compounds with selective and potent anti-Helicobacter pylori activity” J. Antibiot. 53: 844-847 (2000)
【非特許文献11】K. Kakinuma et al “Spectinabilin, a new nitro-containing metabolite isolated from Streptomyces spectabilis” Tetrahedron 32: 217-222 (1976)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記の通り、がん細胞において、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する物質は、抗がん剤として有効な可能性が高い。
【0011】
そこで、本発明は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有し、抗がん活性を示す新規化合物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する物質について、種々の探索を行った結果、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有し、抗がん活性を示す化合物を新規に見出した。
【0013】
本発明は、化学式1で表される新規化合物(以下「alloaureothin」と称する。)、若しくはその塩を提供する。
【化1】

該化合物、若しくはその塩は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する。
新規化合物Alloaureothin、若しくはそれらの塩は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有するので、これらを有効成分として少なくとも含有させることで、抗腫瘍剤を提供することができる。
なお、本発明に係る新規化合物Alloaureothinは、例えば、ストレプトマイセス属に属する前記新規化合物の生産菌を培養する工程と、培養物から前記新規化合物を採取する工程と、を少なくとも含む生産方法により生産することができる。
生産菌は、新規化合物Alloaureothinの生産能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ストレプトマイセス属MM23株を好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する新規な化合物、及び新規な抗腫瘍剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0016】
<本発明に係る化合物について>
本発明に係る新規化合物alloaureothinの一例として、シス体化合物alloaureothinの物理学的性状を表1に示す。
【表1】

【0017】
表1中、
(1)「Appearance」は物質の性状を示し、「Yellowish amorphous solid」は黄色みがかった非結晶質固体であることを示す。
(2)「MP」は融点(Melting Point)を示す。
(3)[α]は、比旋光度を示す。「25」は測定温度を示し、「D」はナトリウムD線を用いて測定したことを示す。「c0.12」は溶液濃度を、「CHCl3」はクロロホルム中で測定したことを示す。
(4)「HR-ES MS (High-Resolution Electronspray Ionaization Mass Spectra)」は高分解能ESI質量分析装置によって測定した、alloaureothinの精密質量(m/z)を示す。「found」は実測値([M+H]+)を、「calcd」は計算値を示す。
(6)「UV」は紫外線吸収スペクトルを、「λmax nm(ε)」は極大吸収波長およびモル吸光係数を、「MeOH」はメタノール中で測定したことを示す。
(7)「IR」は赤外線吸収スペクトルを、「υmax cm−1」は極大吸収波数を、「KBr」は臭化カリウム錠剤法で測定したことを示す。
【0018】
また、シス体化合物alloaureothinの13C−核磁気共鳴スペクトル及び1H−核磁気共鳴スペクトルを表2に示す。
【表2】

【0019】
その他、本発明に係る各化合物には、その塩、溶媒和物なども広く包含する。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、金属塩(アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩など)、無機塩(酢酸塩、アンモニウム塩など)、有機アミン塩(ジベンジルアミン塩、グルコサミン塩、エチレンジアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、ジエタノールアミン塩、テトラメチルアンモニア塩など)、アミノ酸塩(グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、アスパラギン塩など)などが適用できる。
【0020】
溶媒和物としては、例えば、大気中に放置したり、再結晶をしたりすることにより、水分を吸収、吸着水の付着などで水和物となった溶媒和物も本発明に包含される。
【0021】
更に、本発明に係る各化合物には、生体内において代謝されて本発明に係る各化合物に変換される化合物(プロドラッグ)も全て含まれる。
【0022】
本発明に係る各化合物は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する。そのため、がん細胞に対し細胞死を誘導し、抗がん活性を示す。
【0023】
<本発明に係る抗腫瘍剤について>
本発明に係る抗腫瘍剤は、本発明に係る新規化合物alloaureothin、若しくはその塩を有効成分として少なくとも含有するもの全てを含む。
【0024】
本発明に係る抗腫瘍剤は、単独で用いることもでき、また既存のあらゆる薬剤等と併用することができる。更には、本発明の抗腫瘍効果を損なわない範囲において、既存のあらゆる薬剤等と合剤とすることもできる。
【0025】
本発明に係る抗腫瘍剤の剤型は特に限定されない。一例としては、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、丸剤等の経口剤、注射剤、又は、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤、点鼻液剤等の外用剤などに製剤化することも可能である。
【0026】
前記経口剤には、有効成分である本発明に係る新規化合物等に加え、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤、潤沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。また、ドラックデリバリーシステム(DDS)を利用して、徐放性製剤等にすることもできる。
【0027】
前記注射剤には、有効成分である本発明に係る新規化合物等に加え、例えば、溶剤、安定剤、溶解補助剤、懸濁化剤、保存剤、等張化剤、防腐剤、酸化防止剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【0028】
前記外用剤には、有効成分である本発明に係る新規化合物等に加え、例えば、基材、保存剤、乳化剤、着色剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等の、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【0029】
<本発明に係る新規化合物の生産方法について>
なお、本発明に係る新規化合物Alloaureothinは、それ自体が新規であって、その生産方法は限定されないが、例えば、ストレプトマイセス属菌などの放線菌の代謝産物として生産することができる。
【0030】
ストレプトマイセス属菌は、新規化合物Alloaureothinの生産能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ストレプトマイセス属MM23株を好適に用いることができる。
【0031】
具体的な生産方法としては、本発明に係る新規化合物Alloaureothinの生産菌を培養し、その培養物より新規化合物Alloaureothinを分離・精製することにより行う。
【0032】
前記培養のための培地には、通常の微生物が利用し得る栄養物を含有するものを使用できる。また、栄養源としては、従来から培養に利用されている公知のものが使用できる。具体的には、炭素源としては、グルコース、水飴、デキストリン、澱粉、糖蜜、玄米、油脂類などが使用できる。また、窒素源としては大豆粉、小麦胚芽、綿実粕、コーンステイープリカー、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、などの有機物ならびに硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウムなどの無機物が利用できる。その他必要に応じて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバルト、塩素、燐酸、硫酸及びその他のイオンを生成することができる無機塩類を添加することができる。また、菌の発育を助け、本発明におけるステロイド化合物の生産を促進するような有機および無機物を適当に添加することができる。
【0033】
培養方法は特に限定されないが、放線菌を用いる場合であれば、好気的液体培養法(振盪培養、通気撹拌培養など)が最も適している。培養に適当な温度は20〜30℃であるが、27℃付近がより好適である。
【0034】
大量液体培養を行う場合、例えば、まず、2〜3日前培養を行った後、本培養を行ってもよい。少量の培地で前培養を行うことにより、菌株の増殖を活性化できるため、前培養後、その培養液を大量の培地に摂取することにより、培養の効率化を図ることができる。
【0035】
なお、培養温度、通気量、培養時間などの培養条件は、適宜、変更可能である。
【0036】
培養物より新規化合物Alloaureothinを分離・精製する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、まず、前記培養液を遠心分離又はろ過などした後、菌体成分を回収し、菌体をアセトンにて抽出する。次に、例えば、シリカゲルなどの担体を用いた吸着カラムクロマト法、ゲル濾過用樹脂を用いたゲルろ過カラムクロマト法、溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、分配カラムクロマト法、透析法、沈澱法、TCF−b-catenin間相互作用阻害活性を利用した方法などを単独で又は適宜組み合わせて抽出精製する。
【実施例1】
【0037】
実施例1では、ストレプトマイセス属MM23株を用いて、本発明に係る新規化合物を生産した。
【0038】
<ストレプトマイセス属MM23株の同定>
まず、広島県で採取した土壌から放線菌を分離した。分離した放線菌よりゲノムDNAを抽出した。PCRにより16Sリポソーム遺伝子を増幅し、塩基配列を決定した。
【0039】
上記配列を、BLAST検索を行った結果、多くのストレプトマイセス属の16Sリポソーム遺伝子と非常に高い相同性を示した。以上の結果、本菌株をストレプトマイセス属と決定した。
【0040】
<ストレプトマイセス属MM23株の培養>
まず、表3に示す組成の前培養培地15mlを、50mlの大型試験管に分注、殺菌後、本菌株を培養スラント上より白金耳接種し、27℃、3日間、培養したものを種母とした。
【表3】

【0041】
次に、500ml容コブ付き三角フラスコに、表4に示す組成の生産培地100mlずつ分注後、殺菌した。そして、各フラスコに、上記種母を2mlずつ添加し、ロータリーシェーカー上で、27℃、5日間、培養した。
【表4】

【0042】
<新規化合物alloaureothinの分離・精製>
培養菌体をアセトンで抽出、ろ過後、濃縮した。酢酸エチルに溶解する画分をシリカゲルクロマトグラフィーにより分離した。さらに、高速液体クロマトグラフィーとODSカラムを用いて70%メタノール水溶液で分離、精製した。
【実施例2】
【0043】
実施例2では、実施例1で取得した新規化合物alloaureothinのTCF−b-catenin間結合阻害作用の有無を調べた。
【0044】
まず、TCFおよびb-cateninに、二分したフラグメントmKGをそれぞれ繋いだコンストラクトを調製し、ベクターに挿入した。「mKG」とは、蛍光タンパク質の一つであって、蛍光励起光の照射により蛍光を発するタンパク質である。
【0045】
宿主細胞として、HEK293細胞を用いて、前記ベクターを宿主細胞内に遺伝子導入し、二分したフラグメントmKGを繋いだTCF及びb-cateninを、細胞内に発現させた。その後、蛍光強度を検出した。
【0046】
結果を図1に示す。図中、縦軸「阻害率 (%)」は、無添加の場合の蛍光強度に対するはサンプル(alloaureothin)添加群の蛍光強度の逆数を示す。
【0047】
図1に示す通り、発色強度が減少していることが分かる。また、濃度が高くなるに従い、発色強度がより減少した。なお、サンプル添加群のIC50値(発色強度が50%阻害される濃度)は10nMだった。
【0048】
細胞内に発現したTCF、及びb-cateninは無刺激で結合する。そのため、細胞内にダイマー化したmKGフラグメントが形成され、細胞内に蛍光タンパク質が蓄積することとなる。従って、実施例2の結果より、本発明に係る新規化合物alloaureothinに、TCF−b-catenin間結合阻害作用があることが分かった。
【実施例3】
【0049】
実施例3では、本発明に係る新規化合物alloaureothinの、がん細胞増殖阻害活性の有無を調べた。
【0050】
ヒト線維肉腫細胞HT1080を播種し、alloaureothinを培地に添加した。添加24時間後にWST-8試薬を加え、さらに1時間後に450nmで吸光度を測定した。未処理群の生細胞数を100%として、alloaureothin処理群の生細胞数を示した。
【0051】
結果を図2に示す。図2に示す通り、alloaureothinの濃度が高くなるに従い、細胞の増殖が減少した。なお、alloaureothinのIC50値(細胞増殖が50%阻害される濃度)は30μMだった。
【0052】
実施例3より、本発明に係る新規化合物alloaureothinは、がん細胞の増殖を阻害することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る各化合物は、TCF−b-catenin間結合阻害作用を有する。そのため、がん細胞に対し細胞死を誘導し、抗がん活性を示す。従って、本発明に係る各化合物を有効成分として医薬に含有させれば、新規な抗腫瘍剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る新規化合物AlloaureothinのTCF−b-catenin間結合阻害作用を示す図面代用グラフである。
【図2】本発明に係る新規化合物Alloaureothinのがん細胞増殖阻害活性を示す図面代用グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1で表される化合物、若しくはその塩。
【化1】

【請求項2】
TCF−b-catenin間結合阻害作用を有することを特徴とする請求項1記載の化合物、若しくはその塩。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物、若しくはその塩を有効成分として少なくとも含む抗腫瘍剤。
【請求項4】
ストレプトマイセス属に属する請求項1又は2記載の化合物若しくはその塩の生産菌を培養する工程と、
培養物から前記化合物若しくはその塩を採取する工程と、
を少なくとも含む請求項1又は2記載の化合物若しくはその塩の生産方法。
【請求項5】
前記生産菌は、ストレプトマイセス属MM23株であることを特徴とする請求項4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−214243(P2008−214243A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52584(P2007−52584)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「化合物等を活用した生物システム制御基盤技術開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(500535301)社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム (22)
【Fターム(参考)】