説明

新規接着材料、その製造及びその応用

新規組成物、その製造法、多種多様の異なる分野、特に医学、歯学及び獣医学の医療分野での接着剤としてのその応用で(人又は動物)、被験者の身体部分又は組織のようなその要素の再付着や修復処置で、特に例えばぬれ表面接着を含む湿潤状態で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用の新規組成物、その製造法とその応用。その組成は架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物を含有する。典型的水混和性ポリマーは天然存在又は合成生成のアルギン酸ナトリウムのような炭水化物であるアルギン酸の塩型又はアルギン酸自身である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着材料分野に関し、特に新規組成物、その製造法、多種多様の異なる分野、特に医学、歯学及び獣医学の医療分野での接着剤としてその応用に関する。本発明は(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその要素の再付着や修復処置で、特に例えばぬれ表面接着を含むぬれ状態で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーの使用に利用できる。接着剤として機能し使用できる本発明の組成物は、又(乾燥又はぬれ)表面開口部封止又は閉鎖のための封止剤やシール剤として機能し使用できる。
【背景技術】
【0002】
ここでは明確と一貫性のため“接着剤”と云う用語は“糊”と云う用語と同義であり、これによりそれぞれは接着物性、接着特性及び接着挙動を示す材料又は物質を意味する。その結果ここでは接着剤は糊と同義同等を意味し、接着剤という用語使用は通常この用語のいずれかを包含する。
【0003】
医学、歯学及び獣医学の医療分野では、特に例えば(人又は動物)被験者の手術実施の一部又は直後、又は被験者の外傷治療として、創傷組織の身体部分又はその要素の再付着や矯正処置に基づくか少なくとも関与する多くの処置がある。現在使用されている組織再付着処置や修復処置は通常縫合糸、止め金又は/及びワイヤー使用に基づく。これらの処置は十分に確立され広く使用されているが、これらの応用はしばしば被験者に不快感又は/及び痛みを伴う。更に創傷閉鎖での縫合糸使用は通常皮膚に不快な残留小開口部を生ずる。これらの制限により組織再付着や修復での医療処置で異なる材料、特に接着剤(糊)の使用をもたらした(非特許文献1)。
【0004】
組織再付着処置又は修復処置で接着剤を使用する場合、通常接着剤はぬれ組織表面、特に血液、水及び消毒液又は/及び抗生物質液のような薬用液のような任意の組み合わせによりぬれ組織表面に塗布する必要がある。“組織”接着剤の一次機能は互いに組織を結合接着することである。組織を互いに結合接着する直接の結果として、組織接着剤は種々の二次機能、特に出血停止、漏れ封止及び治癒過程促進を行う。
【0005】
合成及び/又は天然素材成分でできた幾つかのタイプの市販組織接着剤があり、組織と結合する三次元(3D)高分子網目を生体内で生成することによりこれら機能が実行される(非特許文献2)。シアノアクリレート(非特許文献3)、ポリウレタン(非特許文献4)、ゼラチンベースの接着剤(非特許文献2)、フィブリンベースの接着剤(非特許文献1)及びコラーゲンベースの接着剤(非特許文献5)は最もよく知られた市販組織接着剤である。最も広く使用される合成接着剤は又“強力接着剤”として知られるシアノアクリレートである。これらは液体モノマーとして塗布し、組織表面と接触して重合し発熱反応により反対に面した創傷端面組織と結合した強固でしかも柔軟な膜を生ずる(非特許文献3)。しかし炎症反応、治癒遅延、壊死又は/及び血栓症のような報告副作用により臓器用接着剤としての使用を制限する(非特許文献1)。ゼラチンベースの接着剤はレゾルシノールとホルムアルデヒドによる架橋により網目を形成する。シアノアクリレートの場合のようにゼラチンベースの接着剤は毒性問題と関連がある(非特許文献2)。最近代替え材料、架橋化学又は光重合のような制御可能な重合反応を用いて毒性のより低い接着剤開発の努力が多くなされた(非特許文献6−12)。現在までこれらの代替え物は市販されていない。
【0006】
合成接着剤のぬれ環境での成功は限定され、通常注意深く清潔にした表面が必要であり、又しばしば化学処理し且つ/又は部分的乾燥をする必要がある(非特許文献13)。一方自然での大部分の接着事象は水中で起こる。ムール貝、フジツボ及び管虫のような多くの海洋固着生物は殆どいずれのぬれ表面でも有効に接着する(非特許文献14)。天然素材接着物質、特にタンパク質及びポリペプチドでできた“ムール貝糊”のようなこれら生物から得た天然接着剤は、例えばぬれ状態を含む医療用途に適すると主張されてきたが、このようなムール貝糊の商業生産は、例えば天然素材接着剤原料(タンパク質及びポリペプチド)1kg抽出に5百万乃至一千万のムール貝が必要であるので現在は実用的ではない(非特許文献1)。
【0007】
他の又同等に有効な接着機構が紅藻及び褐藻に存在し、接着物性、接着特性及び接着挙動と並はずれ高結合力を示すフェノール化合物を産生する。これらの接着性フェノール化合物は水性条件では疎水性表面と親水性表面両者に非特異的に結合する(非特許文献15)。ブリーランド等(Vreeland et al.)(非特許文献16)は褐藻岩藻(Fucus gardneri)接合体による初期基質接着がポリフェノール分泌に関与すると仮定した。しばらくしてこれらポリフェノールがバナジン酸塩ペルオキシダーゼ形酵素触媒により活性化され、細胞外炭水化物繊維とポリフェノールの架橋が可能になり、結局藻類接着剤が形成される。
【0008】
ブリーランド等(Vreeland et al.)(特許文献1)は藻類原料由来の耐水性水溶性フェノール接着剤又は糊の種々の処方を開示した。開示接着剤のフェノール成分は約2乃至500、000個のフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)単位含有の藻類フロログルシノールベースのポリフェノール化合物であり、そのフロログルシノール単位は炭素―炭素結合又はエーテル結合で連結している。藻類由来の接着性ポリフェノール化合物は好ましくはバナジン酸塩が必要なペルオキシダーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、キノコポリフェノールオキシダーゼ又は他の酸化還元酵素のような酵素触媒によるか、又は次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化尿素、次亜塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、硝酸、過マンガン酸カリウム又は重クロム酸カリウムのような酸化剤の添加により活性化される。活性化ポリフェノール化合物は炭水化物(例えばアルギン酸塩又はフコイダン)、タンパク質又は繊維のような種々の天然高分子又は合成高分子と架橋できる。
【0009】
フェノールの基質との共有結合的架橋が又可能である。最近ベルグリン等(Berglin et al.)(非特許文献17)は藻類フカスセラツ(Fucus serratus)抽出フェノールポリマーの酵素的架橋を水晶発振子マイクロバランスを用いて減衰モニター方法論(QCM―D)により研究した。バナジウム依存ハロペルオキシダーゼ酵素、特にブロモペルオキシダーゼ(BPO)を臭化カリウム(KBr)と過酸化水素(H2O2)と共にフェノール性ポリマーに添加すると減衰低下が起こることが示され、架橋工程が起こりうることが示された。四成分全てが必要なことが示されたが、架橋機構は不明のままである。ベルグリン等(Berglin et al.)の研究により藻類フェノールポリマーの組織接着剤成分としての使用に有望で実現の可能性が示された。
【0010】
ブリーランド等(Vreeland et al.)(非特許文献15,特許文献1)が開示した藻類フロログルシノールベースのポリフェノール接着剤のような藻類誘導天然接着剤は、実現可能な商業生産に関してムール貝糊のような前述の海洋生物誘導天然接着剤と同じ限界がある。膨大量の褐藻が非常に少量の天然素材接着剤原料(ポリフェノール)の抽出に必要である。更に一旦適切量の天然素材接着剤原料(ポリフェノール)が入手されると、その“使用可能”な最終形態の藻類誘導天然接着剤を産生するには、比較的長い一連の種々の化学的物理的分離精製工程と手順を実施する必要があり、更にこの天然接着剤の商業的実現の可能性と適用性が疑問になる。
【0011】
膨大量の海洋生物又は水生生物の処理が必要で、それに続く比較的長い一連の種々の化学的物理的分離精製工程と手順が必要なタンパク質、ポリペプチド又はポリフェノールのような天然素材の接着剤原料から商業的に実現可能な量の天然接着剤を産生しようとする代わりに、より実際的な代替え法は“生体模倣”のやり方を取り入れることに基づき、その結果ポリマー類似体を天然素材接着性タンパク質で同定されたアミノ酸から合成する(非特許文献13)。天然素材接着性タンパク質とポリペプチドへ生体模倣近似したランダムブロックコポリマー合成のために多くの努力がなされてきた。これらの試みとしてはムール貝の接着性タンパク質で同定の精巧なペプチド配列(非特許文献18)、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)含有コポリペプチド(非特許文献13)、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)修飾ポリエチレングリコールヒドロゲル(非特許文献19)及びジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)修飾プルロニック(非特許文献20)の合成が挙げられる。しかし今日まで生体模倣接着剤、例えばムール貝糊模造品で得られた接着強度は、大量の工業生産への興味を刺激するには十分ではなかった。更に生体模倣接着剤は水中位の試験表面への塗布硬化は殆どされなかった(非特許文献21)。
【0012】
現在使用されている組織再付着法や修復法での、縫合糸、止め金又は/及びワイヤー使用での上述の不都合、又、合成成分又は/及び天然存在成分でできた天然接着剤処方に伴う上述の限界、又、海洋生物や水生生物でできた天然接着剤処方に伴う限界、さらに、天然接着剤の生体模倣近似に伴う限界、に基づき、身体部分又は組織のようなその要素の再付着や修復処理で、特に例えばぬれ表面接着を含むぬれ状態で、医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用に関し、特に、医学、歯学及び獣医学の医療分野で、新しい接着剤(糊)の開発を続ける必要がある。
【0013】
従って新規組成物、その製造法及び接着剤としてのその応用の必要性があり、且つそれを持つことは非常に有利であろう。(人又は動物)被験者使用に安全且つ有効で、身体部分又は組織のようなその要素の再付着や修復処置、特に例えばぬれ表面接着を含むぬれ状態での使用に医学、歯学及び獣医学医療分野で特に使用できる発明に対する必要性が特にある。商業的に実現可能で、最終形態が使用可能な独創的接着剤産生に関して膨大量の海洋生物又は水生生物を処理し、次いで比較的長い一連の種々の化学的物理的分離精製工程と手順を実施する必要がない発明に対する更なる必要性がある。
【0014】
接着剤として機能し使用できる組成物は、又(乾燥又はぬれ)表面開口部封止又は閉鎖用の封止剤やシール剤として、例えば表面の封止部位又は閉鎖部位からの流体(液体及び/又はガス状)流れを防ぐ機能をもち使用できる発明に対する更なる必要性がある。更に医療分野以外に多種多様の異なる分野で一般的に応用できる発明の必要性がある。
【特許文献1】ブリーランド、ブイ(Vreeland, V)等に公布の米国特許5,520,727、水性藻類ベースのフェノール型接着剤と糊(Aqueous Algal-based Phenolic Type Adhesives and Glues)
【非特許文献1】ウエブスター、アイ(Wesbster, I.)、ウエスト、ピージェイ(West, P.J.)、医療用途用の接着剤(Adhesives for medical applications)、ポリメリックバイオマテリアル(Polymeric Biomaterials)、デゥミトル、エス(Dumitriu, S.)編、マーセルデッカー社(Marcel Dekker, Inc.)、ニューヨーク(New York)、2002年、703頁
【非特許文献2】マックダーモット、エムケイ(McDermott, M.K.)、チェン、ティ(Chen, T.)、ウイリアムス、シーエム(Williams, C.M.)、マークリー、ケイエム(Markely, K.M.)、ペイン、ジーエフ(Payne, G.F.)、バイオマクロモレキュール(Biomacromolecules)、2004年、5巻、1270頁
【非特許文献3】ジンガー、エイジェイ(Singer, A.J.)、ソード、エッチシー(Thode, H.C.)、アメリカンジャーナルオブサージェリー(American Journal of Surgery)、2004年、187巻、238頁
【非特許文献4】リパトバ、ティイー(Lipatova, T.E.)、アドバンスインポリマーサイエンス(Advances in Polymer Science)、1986年、79巻、65頁
【非特許文献5】リーチェ、ティビー(Reece, T.B.)、マッキシー、ティエス(Maxey, T.S.)、クロン、アイエル(Kron, I.L.)、アメリカンジャーナルオブサージェリー(American Journal of Surgery)、2001年、182巻、40S頁
【非特許文献6】モー、エックス(Mo, X.)、岩田、エッチ(Iwata, H.)、松田、エス(Matsuda, S.)、筏、ワイ(Ikada, Y.)、ジャーナルオブバイオマテリアルサイエンス、ポリマーエディション(Journal of Biomaterials Science, Polymer edition)、2000年、11巻、341頁
【非特許文献7】石原、エム(Ishihara, M.)、中西、ケイ(Nakanishi, K.)、小野、ケイ(Ono, K.)、佐藤、エム(Sato, M.)、菊池、エム(Kikuchi, M.)、斉藤、ワイ(Saito, Y.)、由良、エッチ(Yura, H.)、松井、ティ(Matsui, T.)、服部、エッチ(Hattori, H.)、上野山、エム(Uenoyama, M.)、栗田、エイ(Kurita, A.)、バイオマテリアル(Biomaterials)、2001年、23巻、833頁
【非特許文献8】ホワイト、ジェイケイ(White, J.K.)、ティタス、ジェイエス(Titus, J.S.)、田辺、エッチ(Tanabe, H.)、アレッツ、エッチティ(Aretz, H.T.)、トーチアーナ、ディエフ(Torchiana, D.F.)、ハートサージェリーフォーラム(Heart Surgery Forum)、2000年、3巻、56頁
【非特許文献9】エンカー、アイシー(Ennker, I.C.)、エンカー、ジェイ(Ennker, J.)、スクーン、ディ(Schoon, D.)、スクーン、エッチエイ(Schoon, H.A.)、リンプラー、エム(Rimpler, M.)、ヘッツァー、アール(Hetzer, R.)、アナールオブソラシックサージェリー(Annals of Thoracic Surgery)、1994年、57巻、1622頁
【非特許文献10】真鍋、ティ(Manabe, T.)、沖野、エッチ(Okino, H.)、田中、エム(Tanaka, M.)、松田、ティ(Matsuda, T.)、バイオマテリアル(Biomaterials)、2004年、25巻、5867頁
【非特許文献11】増田、ティ(Masuda, T.)、古江、エム(Furue, M.)、松田、ティ(Matsuda, T.)、ティッシュエンジニアリング(Tissue Engineering)、2004年、10巻、523頁
【非特許文献12】リ、シー(Li, C.)、佐治木、ティ(Sajiki, T.)、中山、ワイ(Nakayama, Y.)、福井、エム(Fukui, M.)、松田、ティ(Matsuda, T.)、ジャーナルオブバイオメディカルマテリアルリサーチ、パートB、アプライドバイオマテリアル(Journal of Biomedical Materials Research, Part B: Applied Biomaterials)、2003年、66B、439頁
【非特許文献13】ユー、エム(Yu, M.)、デミング、ティジェイ(Deming, T.J.)、マクロモレキュール(Macromolecules)、1998年、31巻、4739頁
【非特許文献14】ウエイト、ジェイエッチ(Waite, J.H.)、インターナショナルジャーナルオブアドへションアンドアドヘシブ(International Journal of Adhesion and Adhesives)、1987年、7巻、9頁
【非特許文献15】ブリーランド、ブイ(Vreeland, V)、グロトコップ、イー(Grotkopp, E.)、酸化剤で活性化した藻類由来抽出の耐水性水性フロログルシノール型接着剤と糊の研究(Research of Aqueous Water-resistant Phlorogluciol-type Adhesives and Glues Derived and Extracted from Algae and Activated by Oxidizing Agents)、カルフォルニア大学(University of California)、米国
【非特許文献16】ブリーランド、ブイ(Vreeland, V)、ウエイト、ジェイエッチ(Waite, J.H.)、エプシュタイン、エル(Epstein, L.)、ジャーナルオブフィコロジー(Journal of Phycology)、1998年、34巻、1頁
【非特許文献17】ベルグリン、エム(Berglin, M.)、デラゲー、エル(Delage, L.)、ポチン、ピー(Potin, P.)、ビルター、エッチ(Vilter, H.)、エルウイング、エッチ(Elwing, H.)、バイオマクロモレキュール(Biomacromolecules)、2004年、5巻、2376頁
【非特許文献18】山本、エッチ(Yamamoto, H.)、坂井、ワイ(Sakai, Y.)、大河、ケイ(Ohkawa, K.)、バイオマクロモレキュール(Biomacromolecules)、2000年、1巻、543頁
【非特許文献19】リー、ビー(Lee, B.)、ダルシン、ジェイピーエム(Dalsin, J.P.M.)、バイオマクロモレキュール(Biomacromolecules)、2002年、3巻、1038頁
【非特許文献20】フアン、ケイ(Huang, K.)、リー、ビー(Lee, B.)、メッサースミス、ピービー(Messersmith, P.B.)、ポリマープリプリント(アメリカンケミカルソサイアティ、ディビジョンオブポリマーケミストリー(Polymer Preprints (American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry))、2001年、42巻、147頁
【非特許文献21】ルーカス、ジェイエム(Lucas, J.M.)、バッカロ、イー(Vaccaro, E.)、ウエイト、ジェイエッチ(Waite, J.H.)、バイオポリマー(Biopolymers)、2003年、8巻、359頁
【非特許文献22】イスマイリア、エル(Ismailia, L.)、レフォウヴェルタ、ビー(Refouveleta, B.)、キシクルナー、エイ(Xiclunaa, A.)、ロベルタ、ジェイエフ(Roberta, J.F.)、ギラウメ、ワイシー(Guillaume, Y.C.)、ジャーナルオブファルマシュティカルバイオメディカルアナリシス(J. Pharm. Biomed. Anal.)、2003年、32巻、549頁
【非特許文献23】デゥミトル、エス(Dumitriu, S.)、生体材料としての多糖類(Polysaccharides as Biomaterials)、デゥミトル、エス(Dumitriu, S.)編、マーセルデッカー社(Marcel Dekker, Inc.)、ニューヨーク(New York)、2002年、1頁
【非特許文献24】ドラゲット、ケイアイ(Draget, K.L.)、オストガード、ケイ(Ostagaad, K.)、スミドロッド、オー(Smidrod, O.)、アプライドマイクロバイオロジーバイオテクノロジー(App. Microbiol. Biotechnol.)、31巻、79頁、1989.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は新規組成物、その製造法、多種多様の異なる分野、特に医学、歯学及び獣医学の医療分野でのその応用に関する。本発明は組織のような(人又は動物)被験者の身体部分又はその要素の再付着や修復処置で、特に例えばぬれ表面接着を含むぬれ状態で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用に特に利用できる。接着剤として機能し使用できる本発明の組成物は、又(乾燥又はぬれ)表面開口部封止又は閉鎖用の封止剤やシール剤として、例えば表面の封止部位又は閉鎖部位からの流体(液体及び/又はガス状)流れを防ぐ機能をもち使用できる。この封止剤又はシール剤は多種多様の用途、例えば(乾いた又はぬれた)身体部分、医療器具、水槽又は多種多様の他対象物や構成要素の(乾いた又はぬれた)表面の開口部を封止又は閉鎖するために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の組成物は架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物を含有する。
【0017】
この組成物で任意数の指示フロログルシノール型化合物はモノマー型又は/及び(非架橋又は/及び架橋)ポリマー型である。通常任意数のポリマー型指示フロログルシノール型化合物(非架橋又は/及び架橋)は複数の約2乃至500,000モノマー単位のフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体を含有しても良い。任意数のポリマー形指示フロログルシノール型化合物(非架橋又は/及び架橋)はモノマー、オリゴマー又は/及びポリマーからその中で形成しても良い。ポリマー型はオリゴマー、即ち比較的低分子量又は/及び比較的少数のモノマー単位、例えば二量体、三量体、、、、、四量体、、、、、などを有しても良い。ポリマー型は線形、非線形、分岐又は樹枝状(例えば分岐ポリマー又はデンドリマー)、星形、多角形、楕円形及びそれらに任意の組み合わせからなる一群から選択される“幾何”形状、形態又は配置を有しても良い。
【0018】
本発明の好ましい典型的実施形態では、組成物は任意にモノマー型又は/及び架橋ポリマー型である任意数の上述フロログルシノール型化合物含有組成物が生ずる方法で製造される。この好ましい典型的実施形態を得るには、少なくとも一つのモノマー型フロログルシノール型化合物の架橋又は/及びポリマー型フロログルシノール型化合物の架橋が、任意に少なくとも一つの活性化剤を用いて達成される。より具体的には架橋ポリマー型は、モノマー型又は/及びポリマー型の架橋を達成するために、任意に少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合して得られる。
【0019】
従ってこの好ましい典型的実施形態では、任意に少なくとも一つの活性化剤を任意のフロログルシノール型化合物の反応、可能な架橋又は/及び酸化、又は/及び幾つかの他の修正を促進する製造法で使用する。この活性剤としては、例えばハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びそれらの組み合わせがある。
【0020】
通常水混和性ポリマーは実質的に水中で混和できる任意形式又は種類の天然産生ポリマー又は合成作成ポリマーである。
【0021】
本発明の好ましい典型的実施形態では、水混和性ポリマーはアルギン酸のような天然産生又は合成作成炭水化物(多糖類)又は/及びアルギン酸自身である。より好ましくは水混和性ポリマーはアルギン酸塩であるアルギン酸の塩形態のような天然産生又は合成作成炭水化物(多糖類)の塩形態である。アルギン酸又はアルギン酸塩ポリマーは約25パーセント乃至約75パーセント程度のベーターD―マンヌロン酸(M)単位又はアルファーL−グルクロン酸(G)単位のいずれかからなり、対応M/G比は約0.3と約3の間範囲である。アルギン酸の典型的塩形態はアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムのようなアルギン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルギン酸のアルカリ金属塩であるアルギン酸ナトリウムが本発明実施に使用される。水混和性ポリマーは架橋型である。水混和性ポリマーがアルギン酸塩又はアルギン酸である本発明の組成物実施形態では、好ましくはアルギン酸塩又はアルギン酸は二価イオン、例えば塩化カルシウム(CaCl2)又は炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせで供給される二価カルシウムイオン(Ca2+)との相互作用により架橋する。
【0022】
従って本発明によると水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成作成のポリマーからなる一群から選んだ少なくとも一つのフロログルシノール型化合物からなる組成物が提供される。
【0023】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は単量体型である。
【0024】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型である。
【0025】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、非架橋ポリマー型又は/及び該架橋ポリマー型はオリゴマーである。
【0026】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋ポリマー型は該架橋ポリマー型に影響するように少なくとも一つの活性化剤を該水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合することで得られる。
【0027】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つの活性化剤はハロペルオキシダーゼ酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びこれらの組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0028】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は以下の一般構造で表されるフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体であり、
【0029】
【化1】

R1―R3はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル及びアリールからなる一群から選ぶ。
【0030】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物はフロログルシノールである。
【0031】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は合成的に作る。
【0032】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は、フロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成的に作るポリマーである。
【0033】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、合成作成のポリマーは複数の約2乃至約500,000のフロログルシノールモノマー単位を含有する。
【0034】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、合成作成のポリマーはオリゴマーである。
【0035】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、合成作成のポリマーは非架橋型である。
【0036】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、合成作成のポリマーは架橋型である。
【0037】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋型は該架橋型の架橋に影響するように少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合することで得られる。
【0038】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つの活性化剤はハロペルオキシダーゼ酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びこれらの組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0039】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロペルオキシダーゼ酵素はブロモペルオキシダーゼ、カリウムペルオキシダーゼ及びその組み合わせ型からなる一群から選ぶ。
【0040】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロペルオキシダーゼ酵素はブロモペルオキシダーゼである。
【0041】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、酸化剤は過酸化物、強酸、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム及びこれらの組み合わせである。
【0042】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、酸化剤は過酸化物である。
【0043】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、酸化剤は過酸化物は過酸化水素である。
【0044】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロゲン塩はヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム及びその組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0045】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロゲン塩はヨウ化カリウム、臭化カリウム及びその組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0046】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロゲン塩はヨウ化カリウムである。
【0047】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、ハロゲン塩は臭化化カリウムである。
【0048】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、フロログルシノール型化合物は組成物全重量の約0.01重量パーセントと約10重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0049】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、フロログルシノール型化合物は組成物全重量の約0.1重量パーセントと約2重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0050】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、フロログルシノール型化合物は組成物全重量の約0.4重量パーセントと約1重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0051】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、水混和性ポリマーは天然存在型か合成作成型炭水化物である。
【0052】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、炭水化物はアルギン酸塩の形、アルギン酸及びそれらの組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0053】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、アルギン酸塩の形又はアルギン酸はアルファーL―グルクロン酸(G)単位を約25パーセントと約75パーセント間の範囲で含有する。
【0054】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、アルギン酸塩の形又はアルギン酸はアルファーL―グルクロン酸(G)単位を約50パーセントと約70パーセント間の範囲で含有する。
【0055】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、炭水化物はアルギン酸塩の形である。
【0056】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、アルギン酸塩の形はアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びそれらの組み合わせからなる一群かれ選んだアルギン酸のアルカリ金属塩である。
【0057】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、組成物は更に該水混和性ポリマーの該架橋形に影響する架橋剤を含む。
【0058】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋剤は二価イオンからなる。
【0059】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、二価イオンはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン及びその組み合わせからなる一群から選ぶ。
【0060】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、二価イオンは二価カルシウムイオンである。
【0061】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋型水混和性ポリマーは組成物全重量の約0.1重量パーセントと約10重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0062】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋型水混和性ポリマーは組成物全重量の約0.5重量パーセントと約5重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0063】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋型水混和性ポリマーは組成物全重量の約2重量パーセントと約3重量パーセント間範囲の濃度を有する。
【0064】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、組成物は少なくとも約5kPaの接着強度を有する。
【0065】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、組成物は少なくとも約35kPaの接着強度を有する。
【0066】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、組成物は少なくとも約100kPaの接着強度を有する。
【0067】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、本発明の組成物製造法を提供し、該方法は上記の水混和性ポリマーを提供し、上記の架橋剤を提供し、上記の少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を提供し、且つ水混和性ポリマー、架橋剤及びすくなとも一つのフロログルシノール型化合物を混合することにより組成物を得る方法である。
【0068】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は単量体型である。
【0069】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物は非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型である。
【0070】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型はオリゴマーである。
【0071】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、架橋ポリマー型は該架橋型ポリマーに影響するように少なくとも一つの活性化剤を該水混和性ポリマーと少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物と混合することで得られる。
【0072】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、方法が更にフロログルシノール型化合物の架橋に影響するように少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合することを含む。
【0073】
本発明の他様態によると本発明の組成物が接着剤の使用用に提供される。
【0074】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、接着剤は乾燥条件でも湿潤条件でも使用できる。
【0075】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、接着剤は乾燥条件で第一表面と第二表面のそれぞれが乾燥している場合、第一表面の第二表面への接着に使用できる。
【0076】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、接着剤は湿潤条件で第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが湿潤な場合、第一表面の第二表面への接着に使用できる。
【0077】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが人又は動物被験者の身体部分かその構成要素である。
【0078】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、構成要素は組織である。
【0079】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、接着剤は表面の開口部を封止又は閉鎖するための封止剤又はシール剤として使用できる。
【0080】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、封止又は閉鎖は乾燥条件又は湿潤条件で起こる。
【0081】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、開口部を有する表面は人又は動物被験者の身体部分かその構成要素である。
【0082】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、構成要素は組織である。
【0083】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、第一表面の第二表面への接着法が提供され、その方法が有効量の本発明組成物を第一表面の指定領域に塗布し、この指定領域を少なくとも第二表面の一部と接触し、第一表面が第二表面に接着するに十分な時間を与えることで第一表面を第二表面に接着する方法である。
【0084】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、第一表面と第二表面のそれぞれが乾燥している。
【0085】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、その方法が第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが湿潤な場合に湿潤条件で実施される。
【0086】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが人又は動物被験者の身体部分かその構成要素である。
【0087】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、構成要素は組織である。
【0088】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、包装材料からなる製品が上記の本発明組成物が包装材料内に含有され、組成物が接着剤としての使用で特定される製品が提供される。
【0089】
以下に記載の該発明での好ましい実施形態の追加特性によると、接着剤は表面の開口部を封止又は閉鎖するための封止剤又はシール剤として使用できる。
【0090】
本発明は現在使用されている組織再付着法や修復法での縫合糸、止め金又は/及びワイヤー使用での不都合を克服し、合成成分又は/及び天然存在成分でできた現在の市販組織接着剤に伴う限界を克服する。本発明は又海洋生物や水生生物でできた天然接着剤処方に伴う限界を克服すると共に、天然接着剤の生体模倣近似に伴う限界を克服する。
【0091】
本発明は(人又は動物)被験者での使用に安全且つ有効であり、医学、歯学及び獣医学の医療分野で特にぬれ表面接着を含むぬれ状態で身体部分又は組織のようなその構成要素の再付着法や修復法で、医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用に利用できる。本発明は商業化が可能で応用でき、発独創的接着剤の使用に適した形態を生産するために膨大量の海洋生物や水生生物処理に続く比較的長時間の化学的物理的分離精製工程を必要としない。更に接着剤として有効且つ使用可能な本発明組成物は、例えば表面封止部又は閉鎖部からの(液体又は/及びガス状)流体流れを防ぐために(乾燥又は湿潤)表面開口部を封止又は閉鎖するための封止剤又はシール剤として機能し利用できる。更に本発明は通常医療分野以外に多種多様の異なる分野に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
本発明は接着としての新規組成物、その製造法、多種多様の異なる分野、特に医学、歯学及び獣医学の医療分野でのその応用に関する。本発明は医学、歯学及び獣医学の医療分野で特にぬれ表面接着を含むぬれ状態で(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素の再付着法や修復法で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用に利用できる。接着剤として利用される本発明の組成物は、例えば(表面封止部又は閉鎖部からの液体又は/及びガス状)流体流れを防ぐために、(乾燥又は湿潤)表面開口部を封止又は閉鎖するための封止剤又はシール剤として機能し利用できる。この封止剤又はシール剤は、例えば(乾燥又は湿潤)身体部分、或いは医療器具、水槽又は多種多様の他対象物や構成要素の(乾燥又は湿潤)表面開口部の封止又は閉鎖で多種多様な応用に使用できる。
【0093】
本発明の主様態は以下に実例で記述するように、架橋形水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成の生成ポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物を含有する組成物の提供である。
【0094】
この組成物で任意数の指示フロログルシノール形化合物はモノマー型又は/及び(非架橋又は/及び架橋)ポリマー型である。通常ポリマー形の任意数の指示フロログルシノール型化合物(非架橋又は/及び架橋)は複数の約2乃至500,000モノマー単位のフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体を含有しても良い。ポリマー型の任意数の指示フロログルシノール型化合物(非架橋又は/及び架橋)はモノマー、オリゴマー又は/及びポリマーからその中に形成しても良い。ポリマー型はオリゴマー、即ち比較的低分子量又は/及び比較的少数のモノマー単位、例えば二量体、三量体、、、、、四量体、、、、、などを有しても良い。ポリマー形は線形、非線形、分岐又は樹枝状(例えば分岐ポリマー又はデンドリマー)、星形、多角形、楕円形及びそれらに任意の組み合わせからなる一群から選択される“幾何”形状、形態又は配置を有しても良い。
【0095】
本発明の好ましい典型的実施形態では、組成物は任意にモノマー型又は/及び架橋ポリマー型である任意数の上述フロログルシノール型化合物含有組成物が生ずる方法で製造される。この好ましい典型的実施形態を得るには、少なくとも一つのモノマー型フロログルシノール型化合物の架橋又は/及びポリマー型フロログルシノール型化合物の架橋は任意に少なくとも一つの活性化剤を用いて達成される。より具体的には架橋ポリマー型は、モノマー型又は/及びポリマー型の架橋を達成するために、任意に少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合して得られる。
【0096】
従ってこの好ましい典型的実施形態では、任意に少なくとも一つの活性化剤を任意のフロログルシノール型化合物の反応、可能な架橋又は/及び酸化、又は/及び幾つかの他の修正を促進する製造法で使用する。この活性剤としては、例えばハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びそれらの組み合わせがある。
【0097】
通常水混和性ポリマーは実質的に水中で混和する任意形式又は種類の天然産生ポリマー又は合成作成ポリマーである。本発明の好ましい典型的実施形態では、水混和性ポリマーはアルギン酸のような天然産生又は合成作成炭水化物(多糖類)又は/及びアルギン酸自身である。より好ましくは水混和性ポリマーはアルギン酸塩であるアルギン酸の塩形態のような天然産生又は合成作成炭水化物(多糖類)型である。アルギン酸又はアルギン酸塩ポリマーは約25パーセント乃至約75パーセント程度のベーターD―マンヌロン酸(M)単位又はアルファーL−グルクロン酸(G)単位のいずれかからなり、対応M/G比は約0.3と約3の間範囲である。アルギン酸の典型的塩形態はアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムのようなアルギン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルギン酸のアルカリ金属塩であるアルギン酸ナトリウムが本発明実施に使用される。水混和性ポリマーは架橋型である。水混和性ポリマーがアルギン酸塩又はアルギン酸である本発明の組成物実施形態では、好ましくはアルギン酸塩又はアルギン酸は二価イオン、例えば塩化カルシウム(CaCl2)又は炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせで供給される二価カルシウムイオン(Ca2+)との相互作用により架橋する。
【0098】
本発明の他の主様態では本発明の組成物製造法を提供し、該方法は水混和性ポリマーを提供し、架橋型水混和性ポリマーを得るための架橋剤を提供し、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を提供し、且つ水混和性ポリマー、架橋剤及びすくなとも一つのフロログルシノール型化合物を混合することにより組成物を得る方法の提供である。
【0099】
本発明の他の主様態は本発明組成物の接着剤としての使用提供である。接着剤は湿潤条件で第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが乾燥している場合、又は変わりに第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが湿潤な場合、第一表面の第二表面への接着に乾燥条件でも湿潤条件でも使用できる。第一表面と第二表面の内の少なくとも一つが人又は動物被験者の身体部分かその構成要素(例えば組織)である。接着剤は、例えば表面封止部又は閉鎖部から(液状又は/及びガス状)流体の流れを防ぎ表面開口部を封止又は閉鎖するための封止剤又はシール剤として使用できる。封止又は閉鎖は乾燥条件又は湿潤条件で起こる。封止又は閉鎖する開口部を有する表面は、人又は動物被験者の身体部分かその構成要素(例えば組織)である。
【0100】
本発明の他の主様態では第一表面の第二表面への接着法が提供され、その方法は有効量の本発明組成物を第一表面の指定領域に塗布し、この指定領域を少なくとも第二表面の一部と接触し、第一表面が第二表面に接着するに十分な時間を与えることで第一表面を第二表面に接着する手順を含む。
【0101】
本発明の他の主様態では(a)包装材料及び(b)組成物が接着剤としての使用で特定される本発明組成物を包装材料内に含有する製品が提供される。製品では接着剤は、例えば表面の封止部又は閉鎖部から(液状又はガス状)流体の流れを防ぐために表面の開口部を封止又閉鎖するための封止剤又はシール剤として機能し使用できる。
【0102】
本発明はムール貝や藻類のような海洋生物と水生生物が乾燥条件か湿潤条件で表面に高効率で接着する自然の生来固有の接着機構を有するという知見に主として基づいて到達した。例えば以前に背景の項で示したように(非特許文献15,16、特許文献1)、藻類の天然存在フェノール化合物は接着物性、接着特性、接着挙動、及び異常に大きい結合力を示す。これらの接着性フェノール化合物は水性条件で疎水性表面と親水性表面両者に非特異的に結合する。例えば天然存在フロログルシノール化合物、特に約2乃至500,000個のフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)単量体単位含有の藻類フロログルシノール型ポリフェノール化合物は乾燥条件又は湿潤条件で接着強度を示す天然接着剤や糊処方に用いられた。
【0103】
しかし極めて少量の天然存在接着剤原料(ポリフェノール)を抽出するのに膨大量の藻類が必要であることが明らかに分かる。更に一旦適切量の天然に存在する接着剤原料(ポリフェノール)が得られると、“利用可能な”最終形状でのこの藻類由来天然接着剤を生産するには、比較的長い連続の種々の化学的物理的分離精製工程と手順の実施が必要で、この天然接着剤商業化の可能性と適用性が疑問となる。
【0104】
従って本発明者達はポリフェノールのような天然存在接着剤原料の大規模な商業的入手性に伴う現在のこの大きな限界と、それから有用な形状の接着剤製造に伴う対応限界を克服しようとすると同時に(人又は動物)被験者での使用に安全且つ有効であり、医学、歯学及び獣医学の医療分野で特にぬれ表面接着を含むぬれ状態で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーの使用に特に利用できる接着剤組成物を提供する。
【0105】
本発明はその応用で以下の記述、随伴図面や実施例に示した接着剤としての開示組成物成分の詳細、その開示製造法を実施するための手順、段階及び副段階の順序、手順及び回数の詳細に制限されないと理解される。例えば本発明の実施を例示するために以下の実施例の項で例示的に記載するように、異なる典型的(乾燥又は湿潤)表面、特に細長いマイラー(プラスチック)片、乾燥コラーゲン、湿潤コラーゲン、乾燥ガラス、乾燥ポリスチレン又は乾燥動物組織の指定領域に塗布した所定処方に対する種々処方開示組成物の接着強度又は引っ張り強度を測定した。
【0106】
更に例えばここに開示の組成物は通常乾燥条件又は湿潤条件で、例えば第一表面又は/及び第二表面が組織のような(人又は動物)被験者の身体部分かその構成要素の場合、第一表面を第二表面に接着する接着剤用途に利用できる。接着剤は表面封止部又は閉鎖部から(液状又は/及びガス状)流体の流れを防ぐために表面開口部の封止又閉鎖するための封止剤又はシール剤として機能し使用できる。封止又は閉鎖は乾燥条件又は湿潤条件で起こる。封止又は閉鎖する開口部を有する表面は人又は動物被験者の身体部分かその構成要素(例えば組織)である。この封止剤又はシール剤は、例えば(乾燥又は湿潤)身体部分、或いは医療器具、水槽又は多種多様の他対象物や構成要素の(乾燥又は湿潤)表面の開口部の封止又は閉鎖で多種多様な応用に使用できる。
【0107】
本発明は医学、歯学及び獣医学の医療分野で、例えば特にぬれ表面接着を含むぬれ状態で身体部分や組織のようなその構成要素の再付着法や矯正法で、医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーの使用に利用できる。しかし本発明は又通常多種多様な他分野でも利用できる。従って本発明は他の実施形態が可能であり、種々な方法で実践実行できる。ここに記載に類似又は同等の成分、手順、段階、副段階、材料及び本発明の実施試験に使用できるが、適切な成分、手順、段階、副段階及び材料をここに記載する。
【0108】
別なように定義しない限りここに用いた全ての科学技術単語、用語又は/及び慣用句は本開示を通して本発明が属する技術の一通常技術者が通常理解する同一か類似の意味を持つと理解すべきである。本開示を通してここに用いた熟語法、術語及び表記法は説明目的のためであり、限界であると見なしてはならない。例えば以下の記述は、接着剤として機能し利用可能である以外に、本発明の実施を説明するために(乾燥又は湿潤)表面の開口部の封止又は閉鎖する封止剤又はシール剤としても機能し利用できる接着剤としての組成物を意味する。上に以前述べたようにここでの明確化と一貫性のために、“接着剤”という用語は“糊”と同義であり、それぞれが接着物性、接着特性及び接着挙動を示す材料又は物質に関するものと十分に理解する必要がある。従ってここでは接着剤は糊と同義且つ同等を意味し、接着剤という用語の使用は通常この用語のいずれかを含むことを意味する。更に上記の背景の項で導入、定義、記載又は/及び例示の全科学技術単語、用語又は/及び慣用句は、本発明の実施形態、実施例及び付随請求項での以下の説明記述で同等又は類似に適応できる。更にここで用いる“約”という用語は関連値の±10%を意味する。
【0109】
本発明による組成物の好ましい典型的実施形態、好ましい代替え実施形態、具体的配置及び追加様態や任意様態の構成要素、手順、段階、副段階、材料、操作、実施、その特徴又は特性、その製造法及び接着剤としてのその用途は、以下の説明記述と随伴図面を参考にしてより良く理解される。
【0110】
以下の本発明の説明記述では開示組成物、その製造法及び接着剤としてのその応用で適切な“実現可能な”使用実施を十分に理解するに必要な主な又は第一の成分、手順、段階、副段階及び材料が含まれる。従って技術の一通常技術者には周知であるか、又は/及び先行技術と技術文献で利用できる種々の可能な必要又は/及び任意の予備、中間、副次の成分、手順、段階、副段階又は/及び材料で該発明の実施可能性で二次的に重要な記載はここではせいぜい簡単に示唆するだけである。
【0111】
従って本発明の主様態により架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物を含有する組成物が提供される。
【0112】
ここで用いた“フロログルシノール誘導体”という慣用句は、フロログルシノール分子構造の主要部が変化しないままか誘導体化合物の分子構造が損なわれないようなフロログルシノール分子構造の“化学修飾”の結果として分子構造が誘導される化合物を意味する。フロログルシノール分子構造の化学修飾は、フロログルシノール誘導体の能動型形成のために、例えば有機合成化学法や技法を用いて能動的形式で行われる。代わり又は追加にフロログルシノール分子構造の化学修飾は、フロログルシノール誘導体の受動型形成のために受動的形式、即ち天然素材工程、天然素材機構及び/又は天然素材現象により行われる。例えば分子構造がフロログルシノール分子構造に少なくとも一つの置換基を付加するか、又は/及びフロログルシノール分子構造で少なくとも一つの置換基の変化により誘導される化合物である。例えば分子構造がフロログルシノール分子の(能動的又は/及び受動的)酸化又は加水分解により誘導される化合物である。
【0113】
従って通常本発明組成物の好ましい実施形態又は処方は、架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物との多数の異なる組み合わせのいずれかからなる。更に通常本発明組成物の好ましい実施形態又は処方は、フロログルシノール基化合物のいずれかを特定数持つように限定はされない。
【0114】
より具体的には本発明組成物の好ましい実施形態又は処方は、架橋型水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール形化合物の以下の異なる組み合わせのいずれかからなる。
>架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール
>架橋型水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール誘導体
>架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体又はそのポリマー(例えばオリゴマー)から合成生成される少なくとも一つのポリマー
>架橋型水混和性ポリマー、フロログルシノール及び少なくとも一つのフロログルシノール誘導体
>架橋型水混和性ポリマー、フロログルシノール及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体又はそのポリマー(例えばオリゴマー)から合成生成される少なくとも一つのポリマー
>架橋型水混和性ポリマー、フロログルシノール及び少なくとも一つのフロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体又はそのポリマー(例えばオリゴマー)から合成生成される少なくとも一つのポリマー
【0115】
フロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)の化学構造を図1に示す。フロログルシノールとその誘導体は、例えばそのトリメトキシ誘導体(1,3,5−トリメトキシベンゼン)は周知であり(非特許文献22)、その化合物製造法も周知である。
【0116】
本発明との関連で使用に適するフロログルシノールとその代表的誘導体は図2に示す一般構造で表され、ここでR1―R3はそれぞれ独立に水素、アルキル、シクロアルキル及びアリールからなる一群から選ぶ。
【0117】
ここで用いた“アルキル”という用語は直鎖基及び分岐鎖基含有の飽和脂肪族炭化水素を意味する。好ましくはアルキル基は1乃至20個の炭素原子を有する。ここで数値範囲、例えば“1−20”と云われる場合、その基、この場合のアルキル基は一個の炭素原子、二個の炭素原子、三個の炭素原子など20個の炭素原子までそれも含むことを意味する。より好ましくはアルキルは1乃至10個の炭素原子を有する中ぐらいのアルキルである。最も好ましくは別に示唆しない限りアルキルは1乃至4個の炭素原子を有する低級アルキルである。
【0118】
“シクロアルキル”基とは一個以上の環が完全共役パイ電子系を持たない全炭素単環又は縮合環(即ち隣接炭素原子対を共有する)基を意味する。制限無しでのシクロアルキル基の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエン及びアダマンタンである。
【0119】
“アリール“基とは完全共役パイ電子系を持つ全炭素単環又はポリ縮合環(即ち隣接炭素原子対を共有する)基を意味する。制限無しでのアリール基の例としてはフェニル、ナフタレニル、アントラセニルである。
【0120】
本発明の組成物で少なくとも一つの任意数のフロログルシノール型化合物は単量体型又は/及び(非架橋型又は/及び架橋型)ポリマー型である。通常任意数の指定フロログルシノール型化合物(非架橋型又は/及び架橋型)のポリマー型は複、数の約2乃至500,000個のフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体のモノマー単位を含んでも良い。任意数のフロログルシノール型化合物(非架橋型又は/及び架橋型)のポリマー型はそのままでモノマー、オリゴマー又は/及びポリマーで形成される。ポリマー型はオリゴマー、即ち比較的低分子量を有するオリゴマー又は/及び比較的小数のモノマー単位、例えば二量体、三量体、、、、、四量体である。ポリマー型は線形、非線形、分岐又は樹枝状(例えば分岐ポリマー又はデンドリマー)、星形、多角形、楕円形及びそれらに任意の組み合わせからなる一群から選択される“幾何”形状、形態又は配置を有しても良い。
【0121】
このフロログルシノール型ポリマーは通常有機合成技術、特に有機モノマーからのポリマー合成技術で周知の重合法と技法を用いて合成生成できる。この手順と技法を用いて、例えばフロログルシノールモノマー単位が炭素―炭素又はエーテル結合で連結した、例えば約2乃至約500,000個の間のいずれかで複数含有する種々のフロログルシノール型ポリフェノール化合物が合成できる。任意数のフロログルシノール型化合物(非架橋型又は/及び架橋型)のポリマー型はそのままでモノマー、オリゴマー又は/及びポリマーで形成される。
【0122】
従ってこの好ましい典型的実施形態では任意に少なくとも一つの活性化剤を任意のフロログルシノール型化合物の反応、可能な架橋又は/及び酸化、又は/及び幾つかの他の修正を促進する製造法で使用する。この活性剤としては、例えばハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びそれらの組み合わせがある。
【0123】
合成的に産生するフロログルシノール型ポリフェノール化合物は天然存在フロログルシノール型化合物、特にブリーランド等(Vreeland et al.)(非特許文献15,特許文献1)が説明記載し使用した乾燥条件又は湿潤条件で接着強度を示す天然接着剤又は糊処方のように、種々の数のフロログルシノールモノマー単位含有の藻類フロログルシノール型ポリフェノール化合物を“模倣”する。
【0124】
従って上に説明記載した一般構造に一致し本発明実施に使用できる好ましい化合物は、フロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物である。
【0125】
通常以下に記載のようにこれから製造形成した本発明の組成物は、モノマー型又は/及び(非架橋型又は/及び架橋型)ポリマー型の任意数の上記フロログルシノール型化合物を含有する。より具体的には以下に記載のようにこれから製造形成した本発明の組成物は、モノマー型又は/及び(非架橋型又は/及び架橋型)ポリマー型のフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物を含む。
【0126】
通常本発明の組成物において、モノマー型又は/及び(非架橋型又は/及び架橋型)ポリマー型のフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物(単数/複数の)の濃度(組成物全重量の重量パーセントで表す)は、好ましくは約0.01重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲、より好ましくは約0.1重量パーセント乃至約2重量パーセント範囲、最も好ましくは約0.4重量パーセント乃至約1重量パーセント範囲である。従ってモノマー型又は/及び(非架橋型又は/及び架橋型)ポリマー型のフロログルシノール含有の本発明組成物の好ましい典型的実施形態では、フロログルシノール濃度は、好ましくは約0.01重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲、より好ましくは約0.1重量パーセント乃至約2重量パーセント範囲、最も好ましくは約0.4重量パーセント乃至約1重量パーセント範囲である。
【0127】
本発明組成物の好ましい典型的実施形態では、組成物は任意にモノマー型又は/及び架橋型ポリマー型である任意数の上述フロログルシノール型化合物含有組成物を生ずる方法で製造される。この好ましい典型的実施形態を得るには少なくとも一つのフロログルシノール型化合物のモノマー型架橋又は/及びポリマー型架橋が任意に少なくとも一つの活性化剤を用いて得られる。より具体的にはモノマー型又は/及びポリマー型架橋を得るために任意に少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合して得る。
【0128】
この本発明組成物の好ましい典型的実施形態を実施するためには、典型的活性化剤はハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びそれらの組み合わせからなる一群から選ぶ。典型的ハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素はブロモペルオキシダーゼ(BPO)、カリウムペルオキシダーゼ(PPO)及びその組み合わせである。典型的酸化剤は過酸化物、例えば過酸化水素(H2O2)、強酸、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム及びこれらの組み合わせである。典型的ハロゲン塩はヨウ化カリウム(KI)、臭化カリウム(KBr)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、臭化ナトリウム(NaBr)及び塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0129】
ハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、例えばブロモペルオキシダーゼ(BPO)を反応及び可能な架橋を促進するために活性化剤として単一又は一つ以上の活性化剤と組み合わして用いる本発明の組成物で、通常ハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素の濃度(組成物のml容積当たりの酵素活性単位として表す)は、好ましくは約0.1単位/ml乃至約5単位/ml範囲、より好ましくは約0.5単位/ml乃至約2単位/ml範囲、最も好ましくは約0.6単位/ml乃至約1単位/ml範囲である。
【0130】
この過酸化物、例えば過酸化水素(H2O2)を反応及び可能な架橋を促進するために活性化剤として単一又は一つ以上の活性化剤と組み合わして用いる本発明の組成物で、通常過酸化物の濃度(組成物全重量の重量パーセントとして表す)は、好ましくは約0.01重量パーセント乃至約3重量パーセント範囲、より好ましくは約0.02重量パーセント乃至約1重量パーセント範囲、最も好ましくは約0.04重量パーセント乃至約0.5重量パーセント範囲である。
【0131】
ハロゲン塩、例えばヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)を反応及び可能な架橋を促進するために活性化剤として単一又は一つ以上の活性化剤と組み合わして用いる本発明の組成物で、通常ハロゲン塩の濃度(組成物全重量の重量パーセントとして表す)は、好ましくは約0.1重量パーセント乃至約1重量パーセント範囲、より好ましくは約0.2重量パーセント乃至約0.7重量パーセント範囲、最も好ましくは約0.4重量パーセント乃至約0.6重量パーセント範囲である。
【0132】
本発明の組成物に架橋型で存在する水混和性ポリマーは、通常水と混和する(実質的に溶解する)(非架橋型で)実質的に任意形態又は種類の天然存在ポリマー又は合成生成ポリマーである。
【0133】
本発明組成物の好ましい典型的実施形態の水混和性ポリマーは、アルギン酸のような天然存在型か合成作成型炭水化物(多糖類)又は/及びアルギン酸そのものである。より好ましくは水混和性ポリマーはアルギン酸塩であるアルギン酸の塩型のような天然存在型か合成作成型炭水化物(多糖類)の塩型である。
【0134】
技術に関する技術文献で“アルギン酸塩”という用語は通常アルギン酸の塩に対して用いられるが、アルギン酸の任意誘導体と同様にアルギン酸自身をも意味することを指摘する。或文献では“アルギン”という用語がアルギン酸塩の代わりに用いられる。ここで用いた“アルギン酸塩”という用語は厳密にはアルギン酸の塩型を意味する。
【0135】
アルギン酸とアルギン酸塩(アルギン酸の塩型)は周知である。アルギン酸塩はアルギン酸のカルシウム、マグネシウム及びナトリウム塩として褐藻類細胞壁に存在する。アルギン酸カルシウムとアルギン酸マグネシウムは水に不溶であるが、アルギン酸ナトリウムは可溶である。
【0136】
アルギン酸とアルギン酸塩は二つのモノマー単位、アルファーL−グルクロン酸(G)とベーターD−マンヌロン酸(M)からなる線形生体高分子である(非特許文献23)。図3aと図3bに本発明組成物の好ましい典型的実施形態での典型的水混和性ポリマーであるアルギン酸モノマー単位のアルファーL―グルクロン酸(G)(図3a)とベーターD−マンヌロン酸(M)(図3b)化学構造の二次元概略図を示す。
【0137】
アルギン酸とアルギン酸塩ポリマーはこれらモノマー単位をC1位及びC4位で結合して形成する。エーテル酸素架橋により一つの分子の1位と他分子の4位の炭素を連結する。ポリマー鎖がよりランダム分布のM単位とG単位領域が交互に割り込まれたGとMブロックの三種類の領域又はブロックからなるブロックコポリマー構造であることは周知である。GブロックはアルファーL―グルクロン酸(G)由来単位のみを含有し、Mブロック全てはベーターD−マンヌロン酸であり、MGブロックはベーターD−マンヌロン酸とアルファーL―グルクロン酸からなる交互単位からなり、これらブロックの割合は藻類供給源により変わる。典型的市販の藻類供給源としてはベーターD−マンヌロン酸(M)単位又はアルファーL―グルクロン酸(G)単位のいずれかが約25パーセント乃至75パーセント範囲で、相応M/G比が約0.3乃至約3範囲を有する組成のアルギン酸及びアルギン酸塩ポリマーが挙げられる。
【0138】
三ブロックの大きさは広範囲に変化でき、異なる物性のアルギン酸塩を生じる。その代表としてはGブロックがより豊富なアルギン酸塩ゲルはより高い弾性率を有し、又より高い溶質拡散性を示す。二価カチオン存在下でのアルギン酸塩のゲル化能が広く研究された。例えばアルギン酸塩溶液に二価カルシウムイオン(Ca2+)を添加すると、鎖は転位して鎖セグメントが幾つかの層間カルシウムイオン(Ca2+)に整列し、架橋ポリマー構造を生ずる所謂エッグボックス構造を形成する。アルギン酸カルシウムゲルは広範囲に研究され、ドラッグデリバリー、創傷被覆材及び組織工学のような多数の薬学用途及び生物医学用途に用いられた(非特許文献23)。
【0139】
本発明実施のためのアルギン酸及びアルギン酸塩ポリマーは、通常ベーターD−マンヌロン酸(M)単位又はアルファーL―グルクロン酸(G)単位のいずれかが約25パーセント乃至75パーセント範囲で、対応M/G比が約0.3乃至約3範囲からなる。大規模商業生産工程に必要な大量に含まれるこのアルギン酸又はアルギン酸塩組成が容易に市販されている。好ましくはアルギン酸及びアルギン酸塩ポリマーは、約50パーセント乃至70パーセント範囲で、相応M/G比が約1乃至約0.43範囲のアルファーL―グルクロン酸(G)単位を含有する。
【0140】
本発明実施のためのアルギン酸の典型的塩型はアルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カリウムのようなアルギン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルギン酸のアルカリ金属塩のアルギン酸ナトリウムが本発明実施に使用される。好ましくはアルギン酸ナトリウムは約50パーセント乃至70パーセント範囲で、相応M/G比が約1乃至約0.43範囲のアルファーL―グルクロン酸(G)単位を含有する。
【0141】
以下に記載のそれから製造形成される本発明組成物は、通常架橋型の水混和性ポリマーを含有する。架橋型の水混和性ポリマーの濃度(組成物全重量の重量パーセントとして表す)は、通常好ましくは約0.1重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲、より好ましくは約0.5重量パーセント乃至約5重量パーセント範囲、最も好ましくは約2重量パーセント乃至約3重量パーセント範囲である。従って水混和性ポリマーがアルギン酸のアルカリ金属塩のアルギン酸ナトリウムである本発明組成物の好ましい典型的実施形態では、アルギン酸ナトリウムの濃度(組成物全重量の重量パーセントとして表す)は、通常好ましくは約0.1重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲、より好ましくは約0.5重量パーセント乃至約5重量パーセント範囲、最も好ましくは約2重量パーセント乃至約3重量パーセント範囲である。
【0142】
水混和性ポリマーがアルギン酸塩又はアルギン酸である本発明組成物の好ましい典型的実施形態では、好ましくはアルギン酸塩又はアルギン酸は二価イオンとの相互作用により架橋する。本発明実施に適する典型的二価イオンとしてはアルカリ土類元素の二価イオンである。例えばそれぞれカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)対応アルカリ土類元素の二価カルシウムイオン(Ca2+)、二価マグネシウムイオン(Mg2+)、二価ストロンチウムイオン(Sr2+)及び二価バリウムイオン(Ba2+)である。これら二価イオンの代表的供給源は塩化カリウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化ストロンチウム(SrCl2)及び塩化バリウム(BaCl2)のようなアルカリ土類元素のハロゲン塩がある。二価カルシウムイオン(Ca2+)の他の代表的具体的供給源としては炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせで与えられる(非特許文献24)。
【0143】
通常アルギン酸塩又はアルギン酸は他の二価イオンで架橋できる。好ましくはアルギン酸塩又はアルギン酸は二価カルシウムイオン(Ca2+)により架橋される。水混和性ポリマーがアルギン酸塩、例えばアルギン酸ナトリウムである水混和性ポリマーの架橋を促進するために二価イオン、例えば二価カルシウムイオン(Ca2+)を用いる本発明組成物の好ましい典型的実施形態では、二価カルシウムイオン(Ca2+)の濃度(組成物全重量の重量パーセントとして表す)は、好ましくは約0.01重量パーセント乃至約2重量パーセント範囲、より好ましくは約0.05重量パーセント乃至約1重量パーセント範囲、最も好ましくは約0.1重量パーセント乃至約0.5重量パーセント範囲である塩化カルシウム(CaCl2)により供給される。
【0144】
以下に記載のように本発明組成物の上述の好ましい実施形態又は処方のいずれかは、乾燥条件又は湿潤条件で種々の異なるタイプの表面に接着剤として使用でき、接着組成物が接着物性、接着特性及び接着挙動を示す。以下の実施例の項で詳細に説明記載するように、本発明の選択処方の接着剤組成での剪断型接着強度又は引っ張り型接着強度を、乾燥条件又は湿潤条件で50N荷重セルを備えたルロイド(Lloyd)引っ張り試験機を用いて、接着結合強度評価の最も普通に周知で使用される方法の二つである剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)(実施例1−10)及び引っ張り強度試験(Tensile Test)(実施例11−15)を用いてそれぞれ測定した。
【0145】
本発明組成物の上述の好ましい実施形態又は処方のいずれかは、通常好ましくは少なくと約5kPa、より好ましくは少なくとも約35kPa、最も好ましくは少なくとも100kPaの引っ張り強度(例えばルロイド(Lloyd)引っ張り試験機による剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)及び引っ張り強度試験(Tensile Test)を用いて測定)を有する。
【0146】
通常接着剤として使用可能な本発明組成物の上述の好ましい実施形態又は処方のいずれかでの接着剤は、表面の封止部又は閉鎖部から(液状又はガス状)流体が流れるのを防ぐための封止剤又はシール剤として機能し使用できる。従って封止又は閉鎖は乾燥条件又は湿潤条件でも起こる。封止又は閉鎖する開口部を有する表面は、人又は動物被験者の身体部分又は構成要素(例えば組織)でも良い。この封止剤又はシールは、例えば(乾燥又は湿潤)身体部分、医療器具、水槽又は多種多様な他対象物又は構成要素の(乾燥又は湿潤)表面の開口部を封止又は閉鎖するための多種多様な用途に使用できる。
【0147】
本発明の他の主様態では上記の本発明の組成物製造法を提供し、該方法は水混和性ポリマーを提供し、架橋剤を提供し、少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を提供し、且つ水混和性ポリマー、架橋剤及び少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を混合することにより組成物を得る手順を含む。
【0148】
上記の本発明の組成物は通常化学製品形成目的の化学薬品と化学試薬との混合技術で周知の標準的手順と技法を用いて製造される。
【0149】
上述の本発明組成物の好ましい実施形態又は処方は、水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール形化合物の多数の異なる組み合わせのいずれかからなる。
【0150】
従って組成物の好ましい異なる対応実施形態又は処方は、本発明での以下の異なる対応実施形態法により製造される。
>水混和性ポリマーとフロログルシノールとの混合
>水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール誘導体との混合
>水混和性ポリマーとフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマー又はそのポリマー(例えばオリゴマー)との混合
>水混和性ポリマー、フロログルシノール及び少なくとも一つのフロログルシノール誘導体との混合
>水混和性ポリマー、フロログルシノール及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体又はそのポリマー(例えばオリゴマー)から合成生成される少なくとも一つのポリマーとの混合
>水混和性ポリマー、フロログルシノール及び少なくとも一つのフロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体又はそのポリマー(例えばオリゴマー)から合成生成される少なくとも一つのポリマーとの混合
【0151】
上述の本発明組成物の好ましい実施形態又は処方のいずれかの製造で各成分、即ち水混和性ポリマー、フロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール及びフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーは、本発明組成物記載に関する上記のものに対応する。
【0152】
上述の本発明組成物の好ましい実施形態又は処方のいずれかは、組成物が任意数の上記フロログルシノール型化合物をモノマー型又は/及び(非架橋又は/及び架橋)ポリマー型で含有するように製造する。より具体的にはここに記載の製造形成した本発明組成物は、フロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール及びフロログルシノール誘導体から合成生成されるポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール型化合物をモノマー型又は/及び(非架橋又は/及び架橋)ポリマー型で含有する。
【0153】
従って本発明組成物の製造法は任意に又その成分と少なくとも一つの活性化剤との混合を含む。以前に上述したようにこの活性化剤を用いて任意にいずれかのフロログルシノール型化合物の架橋又は/及び酸化又は/及び幾つかの他修飾をもたらすことが可能なラジカル反応を促進できる。任意のモノマー型又は/及びポリマー型フロログルシノール型化合物の架橋は少なくとも一つの活性化剤により得られる。従ってこの好ましい典型的実施形態では、少なくとも一つの活性化剤をいずれかのフロログルシノール型化合物の反応及び可能な架橋又は/及び酸化又は/及び幾つかの他修飾を促進する製造法に使用する。より具体的にはモノマー型の架橋又は/及びポリマー型架橋を得るために、架橋ポリマー型が任意に少なくとも一つの活性化剤を水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物と混合して得る。
【0154】
本発明製造法のこの好ましい典型的実施形態を実施するための代表的活性化剤は、ハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びそれらの組み合わせからなる一群から選ぶ。典型的ハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素はブロモペルオキシダーゼ(BPO)、カリウムペルオキシダーゼ(PPO)及びその組み合わせである。典型的酸化剤は過酸化物、例えば過酸化水素(H2O2)、強酸、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム及びこれらの組み合わせである。典型的ハロゲン塩はヨウ化カリウム(KI)、臭化カリウム(KBr)、塩化カリウム(KCl)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、臭化ナトリウム(NaBr)及び塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0155】
この好ましい典型的実施形態では本発明組成物の製造法は、上述の任意数のフロログルシノール型化合物を架橋ポリマー型で含有する組成物を形成するように、成分(水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物)をハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、例えばブロモペルオキシダーゼ(BPO)、酸化剤、例えば過酸化水素(H2O2)及びハロゲン塩、例えばヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)と混合する。
【0156】
本発明組成物の製造法のこの好ましい典型的実施形態では、少なくとも一つの活性化剤、即ちハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、酸化剤及びハロゲン塩の濃度範囲は、本発明組成物記載に関して以前に上述したものに対応する。
【0157】
上述の本発明組成物の好ましい実施形態又は処方のいずれかの製造で、本発明組成物記載に関する以前に上述した任意のタイプ又は種類の水混和性ポリマーが使用される。
【0158】
特に好ましくは水混和性ポリマーはアルギン酸のような天然存在又は合成生成型炭水化物(多糖類)型又は/及びアルギン酸自身である。より好ましくは水混和性ポリマーはアルギン酸塩であるアルギン酸の塩のような天然存在又は合成生成される炭水化物(多糖類)の塩型である。本発明の製造法で用いるアルギン酸又はアルギン酸塩ポリマーは本発明組成物記載に関して以前に上述提供した種々の物性、特性、挙動更には濃度範囲を有する。特にアルギン酸及びアルギン酸塩ポリマーは、通常ベーターD−マンヌロン酸(M)又はアルファーL―グルクロン酸(G)のいずれかが約25パーセント乃至75パーセント範囲で、相応M/G比が約0.3乃至約3範囲の組成を有する。大規模商業生産工程に必要な大量に含まれるこのアルギン酸又はアルギン酸塩組成が容易に市販されている。好ましくはアルギン酸及びアルギン酸塩ポリマーは、約50パーセント乃至70パーセント範囲で、相応M/G比が約1乃至約0.43範囲のアルファーL―グルクロン酸(G)単位を含有する。
【0159】
本発明の製造法で実施するアルギン酸の典型的塩型は、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムのようなアルギン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルギン酸のアルカリ金属塩であるアルギン酸ナトリウムを本発明の製造法実施に用いる。好ましくはアルギン酸ナトリウムはアルファーL―グルクロン酸(G)が約50パーセント乃至70パーセント範囲で、相応M/G比が約1乃至約0.43範囲の組成を有する。
【0160】
通常本発明組成物の製造法は組成物の生成水混和性ポリマーが非架橋型又は/及び架橋型であるように実施する。生成水混和性ポリマーがアルギン酸塩、好ましくはアルギン酸である本発明組成物の製造で、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)又はアルギン酸は二価イオンで架橋される。従ってこの実施形態では製造法はこの成分と少なくとも一つの二価イオンとの混合を含む。
【0161】
本発明の製造方法に適する典型的二価イオンとしてはアルカリ土類元素の二価イオンである。例えばそれぞれカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)対応アルカリ土類元素の二価カルシウムイオン(Ca2+)、二価マグネシウムイオン(Mg2+)、二価ストロンチウムイオン(Sr2+)及び二価バリウムイオン(Ba2+)である。これら二価イオンの代表的供給源は塩化カリウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化ストロンチウム(SrCl2)及び塩化バリウム(BaCl2)のようなアルカリ土類元素のハロゲン塩がある。
【0162】
本発明の製造法を実施するに適した典型的二価イオンはアルカリ土類元素の二価イオンである。好ましくはアルギン酸塩又はアルギン酸は二価カルシウムイオン(Ca2+)で架橋する。水混和性ポリマーが、例えばアルギン酸ナトリウムである水混和性ポリマーの架橋を促進するために二価イオン、例えば二価カルシウムイオン(Ca2+)を用いる本発明製造法の好ましい典型的実施形態では、二価カルシウムイオン(Ca2+)は好ましくは本発明組成物記載に関して以前に上述したいずれの範囲の濃度をもつ塩化カルシウム(CaCl2)で与えられる。
【0163】
製造法の好ましい典型的実施形態では本発明組成物は、例えば指示の“典型的”順序で以下の各成分量の水中混合物を混合により溶解して溶液を作成できる:
>フロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びモノマー型のフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体、例えばフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)の合成生成ポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール型化合物
>例えばハロペルオキシダーゼ(HPO)酵素、特にブロモペルオキシダーゼ(BPO)、酸化剤、例えば過酸化水素(H2O2)及びハロゲン塩、例えばヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)の少なくとも一つの活性化剤
>水混和性ポリマー、例えばアルギン酸の塩(アルギン酸塩)、特にアルギン酸ナトリウム
>架橋化剤(水混和性ポリマー用)、例えば二価イオン、特に塩化カルシウム(CaCl2)又は炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせで供給される二価カルシウムイオン(Ca2+
【0164】
本発明組成物のいずれかの上述実施形態と処方の製造で、各成分は質量分割量の重さを量る固体微粒子形の“現状通り”で使用するか、体積分割量を計る少容積ラボスケール原液又は大容積商業規模原液の形で使用する。
【0165】
製造法の好ましい典型的実施形態では、モノマー型のフロログルシノールとアルギン酸ナトリウムの水混和性ポリマーはそれぞれ固体微粒子形のままで使用する一方、ブロモペルオキシダーゼ(BPO)であるハロペルオキシダーゼ酵素型活性化剤、過酸化水素(H2O2)である酸化剤型活性化剤、ヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)であるハロゲン塩型活性化剤、塩化カルシウム(CaCl2)又は炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせである二価イオン型アルギン酸塩架橋化剤は、体積分割量を計る少容積ラボスケール原液又は大容積商業規模原液の形で使用する。
【0166】
以前に上述したように本発明組成物の製造法は上に開示の詳細開示組成物成分にも、上記の詳細な順序や手順、方法、段階、副段階や使用材料数の適用にも限定されない。
【0167】
以前に上述したように、本発明者はポリフェノールのような天然存在の接着剤原料の大規模な商業的入手性に伴う現在の大幅な制限と、それから使用可能な形の接着剤製造に伴う制限を克服しようとした。本発明組成物製造に関する本発明の製造法は商業的に実現応用が可能であり、膨大量の海洋生物又は水生生物処理、それに続く有用な最終形の独創的接着剤を生産するために比較的長い連続の種々の化学的物理的分離精製工程と手順を実施する必要がない。
【0168】
本発明の他の主様態により上述のように接着剤としての組成物使用が提供される。
【0169】
通常本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方は接着剤として有用である。以前に上述したよにここで用いた“接着剤”という用語は“糊”という用語と同義であり、その結果それぞれが接着物性、接着特性及び接着挙動を示す材料又は物質を意味することが良く理解される。従ってここで接着剤は糊と同義同等を意味し、接着剤という用語の使用は通常その用語のいずれかを包含することを意味する。従って通常本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方は糊として有用である。
【0170】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で接着剤として有用である。通常本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で接着剤として有用である。接着剤は好ましくは接着強度(例えばルロイド(Lloyd)引っ張り試験機による剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)及び引っ張り強度試験(Tensile Test)を用いて測定)が好ましくは少なくと約5kPa、より好ましくは少なくとも約35kPa、最も好ましくは少なくとも100kPaを有する。
【0171】
特に本発明組成物は、例えば第一表面と第二表面のそれぞれが乾燥した第一表面の第二表面への接着に乾燥条件下で通常接着剤と使用できる。ここで“乾燥”という用語は、若干量の接着剤を塗布する第一表面の指定領域“及び”第一表面の第二表面への接着で指定領域と接触する少なくとも第二表面の一部のそれぞれが実質的に液体又は気相流体不在であるという意味に用いる。
【0172】
代わりに且つ有利に本発明組成物は、通常例えば第一表面がぬれた又は/及び第二表面がぬれた第一表面の第二表面への接着に湿潤条件で通常接着剤と使用できる。ここで“湿潤”という用語は若干量の接着剤を塗布する第一表面の指定領域、“又は/及び”第一表面の第二表面への接着で指定領域と接触する少なくとも第二表面の一部の一方/両者が少なくとも一部液体又は気相流体でぬれるという意味に用いる。
【0173】
本発明組成物を接着剤として乾燥条件又は湿潤条件で第一表面を第二表面に接着するために使用する時、第一表面の指定領域が指定領域と接触した第二表面の一部に接着できるように十分な時間が必要である。この十分な時間は好ましくは少なくとも約1分、より好ましくは少なくとも約5分、最も好ましくは少なくとも約10分程度である。
【0174】
第一表面と第二表面のそれぞれは制限無しで、例えば実質的にいずれのタイプ又は種類の無機材料又は物質、実質的にいずれのタイプ又は種類の有機材料又は物質、例えば(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素を含む実質的にいずれのタイプ又は種類の材料又は物質で出来ているか構成されていると理解する必要がある。
【0175】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で多種多様な異なる分野で、例えば医学、歯学及び獣医学の医療分野、更には商業用途、実験室用途又は家庭用途用の一般産業のような他分野で接着剤として有用である。
【0176】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で医学、歯学及び獣医学の医療分野、特に湿潤条件、例えばぬれ表面の接着を含む(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素の再付着又は修復手順での医科医、歯科医、獣医、外科医のような医療プロバイダーによる使用で接着剤として特に有用である。
【0177】
通常接着剤として有用な本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかに関して、接着剤は例えば表面の封止部位又は閉鎖部位からの流体流れ(液体及び/又はガス状)を防ぐ(乾燥又は湿潤)表面開口部の封止又は閉鎖のための封止剤やシール剤として機能し使用できる。従って封止又は閉鎖は乾燥条件又湿潤条件で起こりうる。封止又は閉鎖される開口部をもつ表面は、人又は動物被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素でも良い。
【0178】
開口部を有する表面は制限無しで、例えば実質的にいずれのタイプ又は種類の無機材料又は物質、実質的にいずれのタイプ又は種類の有機材料又は物質、例えば(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素を含む実質的にいずれのタイプ又は種類の材料又は物質で出来ているか構成されていると理解する必要がある。この封止剤又はシール剤は、例えば(乾燥又は湿潤)身体部分又は医療器具、水槽又は多種多様な他対象物又は構成要素の(乾燥又は湿潤)表面の開口部を封止又閉鎖するための多種多様な用途に使用できる。
【0179】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で多種多様な異なる分野、例えば医学、歯学及び獣医学の医療分野、更には商業用途、実験室用途又は家庭用途用の一般産業のような他分野で接着剤として有用である。
【0180】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、種々の異なる形の表面で乾燥条件又湿潤条件で医学、歯学及び獣医学の医療分野、特に湿潤条件、例えばぬれ表面の開口部の封止又は閉鎖を含む(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素の開口部の封止又は閉鎖手順で医科医、歯科医、獣医、外科医のような医療プロバイダーによる使用で封止剤又はシール剤として機能し、使用可能な接着剤として通常有用である。
【0181】
本発明の他の主様態により第一表面の第二表面への接着法が提供され、その方法はここに記載のように有効量の本発明組成物を第一表面の指定領域に塗布し、少なくとも第二表面の一部と接触し、且つ第一表面と第二表面が接着するに十分な時間を提供して、第一表面を第二表面に接着する手順を含む。
【0182】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、乾燥条件又湿潤条件で第一表面の第二表面への接着法を実施する接着剤として通常有用である。
【0183】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、乾燥条件又湿潤条件で第一表面の第二表面への接着法を実施する接着剤として通常有用である。組成物は好ましくは接着強度(例えばルロイド(Lloyd)引っ張り試験機による剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)及び引っ張り強度試験(Tensile Test)を用いて測定)が、好ましくは少なくと約5kPa、より好ましくは少なくとも約35kPa、最も好ましくは少なくとも100kPaを有する。
【0184】
特にその手順で乾燥条件、例えば第一表面を第二表面に接着する場合、第一表面と第二表面のそれぞれは乾燥している。以前に上述したように“乾燥”という用語は多少の接着剤を塗布する第一表面の指定領域、“及び”第一表面の第二表面への接着で指定領域と接触する少なくとも第二表面の一部のそれぞれが、実質的に液体又は気相流体不在であるという意味に用いる。
【0185】
代わりに特にその手順で湿潤条件、例えば第一表面の第二表面への接着で、第一表面はぬれた又は/及び第二表面はぬれている。以前に上述したように“ぬれ”という用語は、多少の接着剤を塗布する第一表面の指定領域“又は/及び”第一表面の第二表面への接着で指定領域と接触する少なくとも第二表面の一部の一方/両者が、少なくとも一部液体又は気相流体でぬれるという意味に用いる。
【0186】
第一表面の第二表面への接着法の実施に関して、第一表面の指定領域が指定領域と接触した第二表面の一部に接着できるように十分な時間が必要である。この十分な時間は好ましくは少なくとも約1分、より好ましくは少なくとも約5分、最も好ましくは少なくとも約10分程度である。
【0187】
第一表面と第二表面のそれぞれは制限無しで、例えば実質的にいずれのタイプ又は種類の無機材料又は物質、実質的にいずれのタイプ又は種類の有機材料又は物質、例えば(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素を含む実質的にいずれのタイプ又は種類の材料又は物質で出来ているか構成されていると理解する必要がある。
【0188】
乾燥条件又湿潤条件で実行される第一表面の第二表面への接着法は、多種多様な異なる分野で、例えば医学、歯学及び獣医学の医療分野、更には商業用途、実験室用途又は家庭用途用の一般産業のような他分野で通常利用できる。
【0189】
乾燥条件又湿潤条件で実行される第一表面の第二表面への接着法は、医学、歯学及び獣医学の医療分野、特に湿潤条件、例えばぬれ表面の接着を含む(人又は動物)被験者の身体部分又は組織のようなその構成要素の再付着又は修復手順で医科医、歯科医、獣医、外科医のような医療プロバイダーによる使用で通常利用できる。
【0190】
本発明の他の主様態により(a)包装材料と(b)上記のように組成物が接着剤としての使用が規定される包装材料内に含まれる組成物を含む製品が提供される。
【0191】
本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかは、組成物が特に上述のような接着剤使用と規定される包装材料内に含むのに適する。接着剤として通常有用な本発明組成物の上述の好ましい典型的実施形態又は処方のいずれかに関して、接着剤は上記のように(乾燥又は湿潤)表面の開口部の封止又閉鎖のための封止剤又シール剤として機能し、使用可能である。
【0192】
本発明の上記説明の新規で独創的な様態と特性及びその利点は、制限の意図しない以下実施例の説明により技術の通常技術者には更に明白になる。更に上に描写し以下の特許請求項で請求した本発明の種々のそれぞれの実施形態と様態により以下の実施例の実験的裏付けが見出される。
【実施例】
【0193】
上の説明と一緒に限定なしで該発明を説明する以下の実施例が参照される。
【0194】
材料と実験法
材料
合成体のフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)モノマー、ブロモペルオキシダーゼ(BPO)(サンゴ藻に基づく、0.7単位/ml)及び30%過酸化水素(H2O2)はシグマーアルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から取得した。ヨウ化カリウム(KI)及び臭化カリウム(KBr)はスペクトラムケミカル社(Spectrum Chemical)から取得した。1M標準溶液の塩化カルシウム(CaCl2)はフルカ社(Fluka)から取得した。粉末形の炭酸カルシウム(CaCO3)はフルカ(Fluka)から取得した。粉末形のグルコノーδ―ラクトンはフルカ社(Fluka)から取得した。
【0195】
二つのタイプのアルギン酸ナトリウムを用いた。(1)G含量約70パーセントのプロタナル(Protanal)LF200S及び(2)G含量約50パーセントのプロタナル(Protanal)HF120RBS。ミリキュー社(Milli-Q)の脱イオン水を常に用いた。
【0196】
接着剤組成処方の調整
本発明の種々の異なる特定処方の接着剤組成試料を調整し、NMR測定及び剪断型又は引っ張り型接着強度測定に付した。比較目的で参考試料を又調整し、NMR測定又は/及び剪断型又は引っ張り型接着強度測定に付した。
【0197】
本発明の接着剤組成の処方試料は、指示した“代表的”(即ち必要ではない)順序に従い以下の化合物それぞれの若干量の混合物を水中で混合溶解して溶液として調整した。
(a)フロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロ
ログルシノール誘導体の合成生成ポリマーからなる一群から選択される少なくとも一つのフロログルシノール型化合物。フロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)モノマー(合成体)を用いた。
(b)少なくとも一つの(任意の)活性化剤有りか又は無し
(i)ハロペルオキシダーゼ(HPO):ブロモペルオキシダーゼ(BPO)を用いた。
(ii)酸化剤:過酸化水素(H2O2)を用いた。
(iii)ハロゲン塩:ヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)を用いた。
(c)水混和性ポリマー:アルギン酸の塩(アルギン酸塩):アルギン酸ナトリウムを用いた。
(d)架橋化剤(水混和性ポリマー用):二価イオン、カルシウム塩の二価カルシウム(Ca2+)イオン;塩化カルシウム(CaCl2)又は炭酸カルシウム(CaCO3)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)の組み合わせを用いた。
【0198】
実施例1−10では各接着剤組成処方は直ぐ上に示した成分(b)の少なくとも一つの(任意の)活性化剤、(i)、(ii)又は/及び(iii)を添加により(任意の)活性化剤を用いて調整した。実施例11―15では各接着剤組成処方は(任意の)活性化剤を用いずに調整した。
【0199】
各成分は接着剤成分の溶液処方試料調整のために、質量の重さを量る固体微粒子形の“そのまま”で使用するか、体積分割量を計る実験室原液の形で使用した。接着剤成分の溶液処方試料調整のためにフロログルシノールモノマー(合成形)とアルギン酸ナトリウムは固体微粒子形の“そのまま”で用いる一方、ブロモペルオキシダーゼ(BPO)、過酸化水素(H2O2)、ヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)及び塩化カルシウム(CaCl2)は、ラボスケール原液の形で使用した。
【0200】
以下の実験室原液をブロモペルオキシダーゼ(BPO)、過酸化水素(H2O2)、ヨウ化カリウム(KI)又は臭化カリウム(KBr)及び塩化カルシウム(CaCl2)、炭酸カルシウム(CaCO3)(懸濁液)とグルコノーδ―ラクトン(GDL)のそれぞれに対して調整した。
ブロモペルオオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/mlを1ml))
過酸化水素(H2O2)溶液(水8ml中に30パーセント溶液を0.5ml)
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50mlに4.4mg)
臭化カリウム(KBr)溶液(水50mlに4.4mg)
塩化カルシウム(CaCl2)溶液(水90mlに1M溶液を10ml)
炭酸カルシウム(CaCO3)懸濁液、15mM
グルコノーδ―ラクトン(GDL)溶液、30mM
【0201】
各成分の重さを量った質量分割量又は実験室原液の体積分割量を、代表的指示順序で0.5mlのプラスチックミクロ遠心分離管に加え、各成分添加後混合した。接着強度測定に付する接着剤組成のいくつかの溶液処方試料を調整に関して比較目的のために選択した各成分を省略した。
【0202】
核磁気共鳴(HNMR)
核磁気共鳴(HNMR)測定はブルーカー社(Bruker)NMR装置を用いて500MHzで記録した。全NMR測定は約25℃で行った。最良質のプロトンスペクトルを溶剤信号(水)を抑制する選択的ゲート飽和を用いて取得した。
【0203】
剪断型接着強度(乾燥条件又湿潤条件下)
本発明接着剤組成の選択処方での剪断型接着強度は、乾燥条件又湿潤条件で剪断型接着結合強度評価用の最も良く知られ使用される技法である剪断重み継ぎ手試験(Shear Lap Test)を用いて測定した。50N荷重セルを備えたルロイド(Lloyd)引っ張り試験機を剪断重み継ぎ手試験(Shear Lap Test)実施に用いた。図4aと4bは、乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着性組成物選択処方の剪断型接着強度測定における剪断重ね継ぎ手試験実施用試験品ホルダーを用いた剪断型“接着剤接合”(図4b)での典型的“サンドイッチ”型試験品作成(図4a)を示す絵図である。
【0204】
接着剤組成の選択処方での剪断型接着強度は、サンドイッチ形成前に本発明の若干量の接着剤組成処方試料をマイラー(Myler)断片の一端近く又はコラーゲンフィルムの一端に塗布した二枚の(乾燥)マイラーフィルム(プロナット(Pronat)、イスラエル(Israel))又は二枚の(乾燥又は湿潤)コラーゲンフィルム(デブロティーパック(Devro Teepak)、60パーセントコラーゲン)のいずれかの“サンドイッチ”型試験品で測定した。
【0205】
各マイラー(Myler)フィルム試験品は、それぞれ長さ50mm、幅15mm及び厚さ0.1mmの二枚のマイラー(Myler)フィルムで作成した。各コラーゲンサンドイッチ試験品作成では、先ず各コラーゲンフィルムを水に浸してぬらし、合成糊を用いて各コラーゲンフィルム裏側を別個の細長い支持用マイラー(Myler)断片に接着した。本発明の接着剤組成処方試料の若干量(1μl)をマイラー(Myler)フィルム又は各コラーゲンフィルムの一つの先端近くの5mmx5mm表面領域に塗布した。接着剤組成を第一の細長いマイラー(Myler)断片又はコラーゲンフィルムの指示表面領域に塗布後直ちに、第二のマイラー(Myler)断片又はコラーゲンフィルムをそれぞれ第一のマイラー(Myler)断片又はコラーゲンフィルム上端に配置した。次いで各サンドイッチ試験品を荷重0.5kgで12分間押圧し、直ちに続いて荷重1kgで3分間押圧した。所定マイラー(Myler)又はコラーゲンサンドイッチ試験品作成後2時間で、ルロイド(Lloyd)引っ張り試験機で剪断重ね継ぎ手試験(Lap Shear Test)を行った。所定マイラー(Myler)又はコラーゲンサンドイッチ試験品の二枚の細長いマイラー(Myler)断片又は二枚のコラーゲンフィルム(細長いマイラー断片上に支えられた)分離に必要な力(圧力)をそれぞれクロスヘッド速度1mm/分で測定した。単位kPaで測定した分離力(圧力)は、本発明の所定接着剤組成処方の剪断型接着強度に相当する。
【0206】
引っ張り型接着強度(乾燥条件下)
本発明の接着剤組成の選択処方での引っ張り型接着強度を乾燥条件で引っ張り型接着結合強度評価用の引っ張り試験(Tensile Test)を用いて測定した。50N荷重セルを備えたルロイド(Lloyd)引っ張り試験機を引っ張り試験(Tensile Test)実施に用いた。図4cと図4dは乾燥条件下での本発明接着性組成物選択処方の引っ張り型接着強度測定における引っ張り試験(Tensile Test)実施用試験品ホルダーを用いる引っ張り型“接着剤接合”(図4d)での典型的“サンドイッチ”型試験品作成(図4c)を示す絵図である。
【0207】
接着剤組成の選択処方での引っ張り型接着強度は、サンドイッチ形成前に本発明の若干量の接着剤組成処方試料を細長い(乾燥)マイラー(Myler)断片の一つ、又は(乾燥)コラーゲンフィルムの一つ、又は(乾燥)(顕微鏡用)スライドガラスの一つ、又は(乾燥)ポリスチレンペトリディッシュの一つ、又は動物組織の切れ端の一つの中心近くの小表面上に塗布された一端に塗布して、二枚の細長い(乾燥)マイラー(Myler)フィルム断片又は二枚の(乾燥)コラーゲンフィルム(デブロティーパック(Devro Teepak)、60パーセントコラーゲン)又は二枚の(乾燥)(顕微鏡用)スライドガラス、又は二個の(乾燥)ポリスチレンペトリディッシュ又は動物組織(ニワトリ胸肉)の二個の切れ端の“サンドイッチ”型試験品で測定した。
【0208】
引っ張り型接着強度測定の実施例(実施例11−15)では、剪断型接着強度測定に使用のマイラー(Myler)又はコラーゲンサンドイッチ試験品作成に関する上記と同様の方法で、マイラー(Myler)、コラーゲン、ガラス、ポリスチレン又は動物組織それぞれのサンドイッチ試験品を作成した。
【0209】
本発明の接着剤組成処方試料の若干量(1μl)を細長いマイラー(Myler)断片の一つ、コラーゲンフィルムの一つ、スライドガラスの一つ、ポリスチレンペトリディッシュの一つ、又は動物組織の切れ端の一つの中心近くの2.5cmx2.5cm表面領域に塗布した。細長いマイラー(Myler)断片、コラーゲンフィルム、スライドガラス、ポリスチレンペトリディッシュ、又は動物組織の切れ端のそれぞれの第一指示表面領域に接着剤組成を塗布後直ちに、第二の細長いマイラー(Myler)断片、コラーゲンフィルム、スライドガラス、ポリスチレンペトリディッシュ、又は動物組織の切れ端を、それぞれ第一のマイラー(Myler)断片、コラーゲンフィルム、スライドガラス、ポリスチレンペトリディッシュ、又は動物組織の切れ端上端に配置した。
【0210】
各サンドイッチ試験品を荷重0.5kgで12分間押圧し、直ちに続いて荷重1kgで3分間押圧した。所定サンドイッチ試験品作成後2時間にルロイド(Lloyd)引っ張り試験機で引っ張り試験(Tensile Test)を行った。各サンドイッチ試験品の二枚の細長いマイラー(Myler)断片、二枚のコラーゲンフィルム、二枚のスライドガラス、二個のポリスチレンペトリディッシュ、又は二個の動物組織の切れ端の分離に必要な力(圧力)を測定した。単位kPaで測定した分離力(圧力)は本発明の所定接着剤組成処方の引っ張り型接着強度に相当する。
【0211】
実験結果
核磁気共鳴(HNMR)
NMR測定により本発明接着剤組成処方の分子構造に関する情報を得ようと試み、もしあれば各成分(フロログルシノールモノマー、活性化剤:ハロペルオキシダーゼ(例えばブロモペルオキシダーゼ)、酸化剤(例えばH2O2)、ハロゲン塩(例えばヨウ化カリウム又は臭化カリウム)、水混和性ポリマー:アルギン酸塩(例えばナトリウムアルギン酸)及び架橋化剤:二価イオン(例えばカルシウム塩、例えばCaCl2での二価カルシウム(Ca2+))が本発明接着剤処方での物性、特性及び挙動に対する影響とその可能な程度の同定を試みた。接着剤処方の所定成分濃度の変化範囲又は程度により、接着剤分子構造、その結果接着剤処方プロトンの物理化学的環境が種々の範囲と程度で影響し変化する可能性が予期され、NMRにより検出可能になる。
【0212】
モノマーのフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)化学構造を示す図1を再度参考にする。図5はフロログルシノールの単量体形のHNMRスペクトルを示す。予期されるようにただ一種のプロトンがフロログルシノールの芳香族領域に存在することが明らかに見られる。これは水酸基の1,3及び5位の間にある2,4,及び6位プロトンに対応する。水酸基の存在によりプロトン共鳴をより高磁場(より低いppm値)にシフトさせる。
【0213】
酸化剤、特に過酸化水素、活性化剤のタイプによる本発明接着剤処方の物性、特性及び挙動に対する影響がもしあるならばその可能性と程度を確認しようとして、二種の接着組成の試料処方を調整し、NMR測定にかけ、フロログルシノールの反応“活性化”(例えば重合又は/及び架橋)で機能する過酸化水素濃度だけを特に0.082重量パーセントから0.574重量パーセント(処方全重量の)に変えた。これらの過酸化水素濃度以外は、これら二つの試料処方の全他成分は以下の実施例1に示す処方と同じである。
【0214】
図6に接着剤組成の二種の試料処方でのHNMRスペクトルを示す。ここではフロログルシノール活性化過酸化水素濃度が0.082重量パーセントである試料接着剤処方のNMRスペクトルは、約5.8ppmに比較的強いシグナルを示すことが明らかに分かる。この結果により恐らく調整接着剤処方のフロログルシノールモノマープロトンは芳香族領域に存在することが示唆される。非常に対照的にフロログルシノール活性化過酸化水素濃度が0.574重量パーセントである試料接着剤処方のNMRスペクトルではこのシグナルは全く存在しない。これらの結果はこの接着剤組成には芳香族領域プロトンが恐らく存在しないことを示唆する。
【0215】
これらの結果とそれが示唆するものを組み合わすと、接着剤処方の過酸化水素濃度の閾値以下ではフロログルシノールモノマーの大部分の芳香族領域プロトンが変化しないままである一方、過酸化水素濃度の閾値以上ではフロログルシノール芳香環が互いにラジカル結合し、フロログルシノールモノマーの芳香族領域プロトンが消失する。
【0216】
本発明の接着剤組成形成時に生ずる一つ又は複数の実際の反応機構にかかわらず、NMR測定結果は接着剤組成処方の上記試験試料では、少なくとも0.082重量パーセント乃至0.574重量パーセント範囲間で酸化剤型活性化剤である過酸化水素の濃度変化によりフロログルシノールがモノマー型、ポリマー型又は/及び架橋型であるという点で、本発明接着剤組成の分子構造に変化を起こすという結論に明らかに達する。
【0217】
剪断型接着剤強度(乾燥条件又は湿潤条件下)
主な特徴物性、即ち例えば乾燥表面又は湿潤表面の剪断型接着を含む乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着剤組成処方の接着強度を決定するために、上述のように調整したマイラー(Myler)サンドイッチ又はコラーゲンサンドイッチ試験品(乾燥条件又は湿潤条件(表面)下で)について剪断型接着強度を測定した。
【0218】
ここでそれぞれが異なる処方の接着剤組成をもつマイラー(Myler)サンドイッチ又はコラーゲンサンドイッチ試験品を用いた剪断型接着剤強度を10の実施例で測定した。実施例1−3は接着剤処方調整でハロゲン塩型活性化剤としてヨウ化カリウム(KI)を含む“標準的”接着剤処方のサンドイッチ試験品である。実施例4では接着剤処方調整でハロゲン塩型活性化剤としてヨウ化カリウムを臭化カリウム(KBr)で置換した。
【0219】
比較目的で各成分による発明接着剤処方の物性、特性及び挙動に対する影響がもしあるならばその可能性と程度を確認するために、剪断型接着剤強度測定に影響するいくつかの接着剤処方試料で選択した各成分を省略するか、その濃度を変えた。特に実施例5−7では、ハロペルオキシダーゼ(特にブロモペルオキシダーゼ(BPO))型活性化剤を指定接着剤処方で省略する一方、実施例8では水混和性ポリマー(特にアルギン酸ナトリウム)を接着剤処方で省略した。実施例9及び10では接着剤処方のフロログルシノール濃度が実施例1−8の接着剤処方より非常に高い。
【0220】
実施例1(剪断接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)
フロログルシノール、2.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約187kPa
【0221】
実施例2(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)
フロログルシノール、2.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約52kPa
【0222】
実施例3(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、湿潤条件(ぬれ表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)
フロログルシノール、2.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約69kPa
【0223】
実施例4(剪断接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(ヨウ化カリウムの代わりに臭化カリウム)
フロログルシノール、2.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
臭化カリウム(KBr)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液10ml)、5μl
剪断接着強度:約21kPa
【0224】
実施例5(剪断接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(ハロペルオキシダーゼ(ブロモペルオキシダーゼ(BPO)なし)
フロログルシノール、2.5mg
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約187kPa
【0225】
実施例6(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(ハロペルオキシダーゼ(ブロモペルオキシダーゼ(BPO)なし)
フロログルシノール、2.5mg
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、15μl
剪断接着強度:約113kPa
【0226】
実施例7(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、湿潤条件(ぬれ表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(ハロペルオキシダーゼ(ブロモペルオキシダーゼ(BPO)なし)
フロログルシノール、2.5mg
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、15μl。
剪断接着強度:約49kPa
【0227】
実施例8(剪断接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(水混和性ポリマー(アルギン酸ナトリウム)なし)
フロログルシノール、2.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約0kPa
【0228】
実施例9(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(より高濃度のフロログルシノール)
フロログルシノール、7.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
剪断接着強度:約38kPa
【0229】
実施例10(剪断接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、湿潤条件(ぬれ表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤あり)、(より高濃度のフロログルシノール)
フロログルシノール、7.5mg
ブロモペルオキシダーゼ(BPO)溶液(水1ml中に0.0089mg/ml(0.7単位/ml)を1ml)、5μl
過酸化水素(H)溶液(水8ml中に30%溶液を0.5ml)、120μl
ヨウ化カリウム(KI)溶液(水50ml中に4.4mg)、25μl
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液10ml)、5μl
剪断接着強度:約7kPa
【0230】
上記の実施例1−10で記載のように種々の本発明接着剤組成で実施した剪断型接着剤強度測定結果を基に注目すべき意見とハイライトは以下のように選ばれる。以下の意見とハイライトは上に示した条件下で試験した接着剤組成処方で適切である。類似処方の接着剤組成を異なる条件での試験、又異なる処方の接着剤組成の類似条件での試験でも明らかに類似又は異なる結論に達する。
【0231】
例えばアルギン酸の塩、特にアルギン酸ナトリウムの形の水混和性ポリマーが本発明組成処方に不在の場合の実施例8の結果で示されるように、この処方は実質的に接着強度を示さない。従って少なくとも上記の試験組成処方と条件では、処方が接着強度を示すには水混和性ポリマーが本発明組成処方に存在する必要があると結論される。明らかに水混和性ポリマーがフロログルシノールと一緒に処方されると、水混和性ポリマーが接着強度を示す組み合わせを生ずる形でフロログルシノールと反応する。
【0232】
コラーゲンサンドイッチ試験品に関しては本発明の接着剤組成処方は乾燥条件(乾燥コラーゲン表面での接着)でも、湿潤条件(ぬれコラーゲン表面での接着)でも大きな接着強度を示す。
【0233】
同一処方又は類似処方の接着剤組成を含む同様な形で調整のマイラー(Myler)サンドイッチ試験品及びコラーゲンサンドイッチ試験品については、乾燥条件での接着強度値はコラーゲンサンドイッチ試験品に比して通常マイラー(Myler)サンドイッチ試験品の方が大きい。従ってこの処方の本発明接着剤組成は、乾燥条件下で二枚の細長いマイラー(Myler)断片表面の方が二枚のコラーゲンフィルム表面上で示すものより大きな接着強度を示す。
【0234】
類似の方法で調整したマイラー(Myler)サンドイッチ試験品では、ハロゲン塩型活性化剤としてヨウ化カリウム(KI)で調整した接着剤処方(実施例1)は、ハロゲン塩型活性化剤として臭化カリウム(KBr)で調整した接着剤処方(実施例4)より非常に大きな接着強度、即ちそれぞれ約187kPa対約27kPaを生ずる。
【0235】
従って上述の新規性と発明性の特性に基づくか、それに加えるか、又はその結果により、上に実例的に記載例証した本発明はいくつかの有益且つ有利な様態、特徴又は特性を有する。
【0236】
特に本発明は現在使用されている組織再付着法や修復法での縫合糸、止め金又は/及びワイヤー使用での不都合を克服し、合成成分又は/及び天然存在成分でできた現在の市販組織接着剤に伴う限界を克服する。本発明は又海洋生物や水生生物でできた天然接着剤処方に伴う限界を克服すると共に、天然接着剤の生体模倣近似に伴う限界も克服する。
【0237】
本発明は(人又は動物)被験者での使用に安全且つ有効であり、医学、歯学及び獣医学の医療分野で特にぬれ表面接着を含むぬれ状態で身体部分又は組織のようなその構成要素の再付着法や修復法で医科医、口腔外科医、獣外科医、外科医のような医療プロバイダーによる使用に利用できる。本発明は商業化が可能で応用でき、独創的接着剤の使用に適した形態を生産するために膨大量の海洋生物や水生生物処理に続く比較的長時間の化学的物理的分離精製工程と手順を必要としない。更に本発明は又多種多様な他分野に通常利用できる。
【0238】
引っ張り型接着強度(乾燥条件下)
主な特徴物性、即ち例えば乾燥表面の引っ張り型接着(引っ張り)を含む乾燥条件での本発明接着剤組成処方の引っ張り強度を決定するために、上述のように調整したマイラー(Myler)サンドイッチ、コラーゲンサンドイッチ、ガラスサンドイッチ、ポリスチレンサンドイッチ、又動物組織(ニワトリ胸)サンドイッチ試験品(乾燥条件又は湿潤条件(表面)下で)について引っ張り型接着強度を測定した。
【0239】
以下の実施例11−15の五つの実施例で異なる処方の接着剤組成を含むマイラー(Myler)、コラーゲン、ガラス、ポリスチレン、又動物組織(ニワトリ胸)サンドイッチ試験品を用いて引っ張り接着強度を測定した。
【0240】
実施例11(引っ張り接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤なし)
フロログルシノール、2.5mg
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
引っ張り接着強度:約267kPa
【0241】
実施例12(引っ張り接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤なし)
フロログルシノール、5mg
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg
炭酸カルシウム(CaCO)懸濁液容積、5mM及び
グルコノーδ―ラクトン(GDL)溶液容積、10mM
引っ張り接着強度:約131kPa
【0242】
実施例13(引っ張り接着強度)
試験品:コラーゲンサンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤なし)
フロログルシノール、5mg
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg
炭酸カルシウム(CaCO)懸濁液容積、7.5mM及び
グルコノーδ―ラクトン(GDL)溶液容積、15mM
引っ張り接着強度:約323kPa
【0243】
実施例14(引っ張り接着強度)
試験品:マイラー(Myler)サンドイッチ、コラーゲンサンドイッチ、ガラスサンドイッチ又はポリスチレンサンドイッチ;乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤なし)
フロログルシノール、5mg
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、15mg、及び
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、10μl
引っ張り接着強度:図7に示す。
【0244】
実施例15(引っ張り接着強度)
試験品:動物組織(ニワトリ胸)サンドイッチ、乾燥条件(乾燥表面の接着)
接着剤処方(随意的活性化剤なし)
フロログルシノール、2.5mg
アルギン酸ナトリウム(プロタナル(Protanal)LF200S、G含量は約70パーセント)、12.5mg
塩化カルシウム(CaCl)溶液(水90ml中に1M溶液を10ml)、5μl
引っ張り接着強度:約153kPa
【0245】
上記の実施例11−15で記載のように種々の本発明接着剤組成で実施した引っ張り強度測定結果を基に注目すべき意見とハイライトは以下のように選ばれる。以下の意見とハイライトは上に示した条件下で試験した接着剤組成処方に適切である。類似処方の接着剤組成の異なる条件での試験、又異なる処方の接着剤組成の類似条件での試験でも明らかに類似又は異なる結論に達する。
【0246】
実施例11―15の結果に示すように異なる処方の接着剤組成では、引っ張り強度は通常剪断接着強度より高い。更に図7に示すように表面のタイプが引っ張り強度に大きく影響する。実施例15に示す結果は接着剤組成が動物組織に良い接着性を示し、この接着剤組成が医療用途に利用可能なことを示唆する。
【0247】
明確化のために別の実施形態の本文で記載の該発明の特定様態と特徴は、単一実施形態と組み合わして提供されることが分かる。逆に簡単化のために単一実施形態の本文で記載の該発明の特定様態と特徴が別に提供されるか、任意の適切な副結合で提供される。
【0248】
本明細書に記載の出版物、特許及び特許出願の全ては、出版物、特許及び特許出願のそれぞれが文献としてここに具体的且つ個別的に指定が仮定される程度に該明細書に文献としてその全てを組み入れる。更に本出願の任意の文献引用及び同定によりこの文献が本発明の先行技術として利用できることを承認すると解釈してはならない。
【0249】
該発明はその特定実施形態と実施例と関連して記載したが、技術の熟知者には多くの代替え、修正及び変形が明白であることが明らかである。従って付随特許請求項の精神と広範囲内のこの代替え、修正及び変形全ての包含を意図する。
【図面の簡単な説明】
【0250】
本発明をここに実施例の目的だけに付随図面に関して記載する。次いで詳細図面を特定的に参照して、提示の明細は実施例の目的であり、本発明の好ましい実施形態の実例記述目的のためだけあり、本発明の原理と概念的様態を最も有用で容易に理解できる記述と考えられるものを提供するために提示されたことを強調したい。この点で該発明の幾つかの形態が実際に如何に具体化できるかを技術の熟知者に明白な図面を伴う記述で、該発明の基本的理解に必要以上に本発明の構造的詳細を示そうとはしない。図面は以下の通りである。
【0251】
【図1】本発明組成物の典型的な好ましい実施形態に含まれる構成要素としてのフロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)の化学構造の二次元概略図を示す。
【図2】本発明組成物の典型的な好ましい実施形態に含まれる構成要素としてのフロログルシノールとその誘導体の化学構造の二次元概略図を示す。
【図3a】本発明組成物の典型的な好ましい実施形態での架橋形で含まれる典型的水混和性ポリマーであるアルギン酸モノマー単位のアルファーL―グルクロン酸(G)化学構造の二次元概略図を示す。
【図3b】本発明組成物の典型的な好ましい実施形態での架橋形で含まれる典型的水混和性ポリマーであるベーターD−マンヌロン酸(M)化学構造の二次元概略図を示す。
【図4a】本発明に従う実施例1―10に詳述の乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着性組成物選択処方において、剪断型接着強度測定用剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)実施のための試験品ホルダーを用いる剪断型“接着剤接合”での典型的“サンドイッチ”型試験品作成を示す絵図である。
【図4b】本発明に従う実施例1―10に詳述の乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着性組成物選択処方において、剪断型接着強度測定用剪断重ね継ぎ手試験(Shear Lap Test)実施のための試験品ホルダーを用いる剪断型“接着剤接合”を示す絵図である。
【図4c】本発明に従う実施例11―14に詳述の乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着性組成物選択処方において、引っ張り型接着強度測定用引っ張り試験(Tensile Test)実施のための試験品ホルダーを用いる引っ張り型“接着剤接合”での典型的“サンドイッチ”型試験品作成を示す絵図である。
【図4d】本発明に従う実施例11―14に詳述の乾燥条件又は湿潤条件での本発明接着性組成物選択処方において、引っ張り型接着強度測定用引っ張り試験(Tensile Test)実施のための試験品ホルダーを用いる引っ張り型“接着剤接合”を示す絵図である。
【図5】単量型フロログルシノールのプロトンNMRスペクトルを示す。
【図6】過酸化水素濃度が処方全重量の0.082重量パーセントと0.054重量パーセントである本発明の接着剤組成の二つの試料処方のプロトンNMRスペクトルを比較的に示す。
【図7】本発明に従う実施例14に詳述の異なる形の表面に対する本発明の接着剤組成の典型的処方での引っ張り強度(kPa)測定値のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物で、架橋型水混和性ポリマーとフロログルシノール、フロログルシノール誘導体及びフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体の合成生成ポリマーからなる一群から選択した少なくとも一つのフロログルシノール型化合物からなる組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がモノマー型である請求項1の組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物が非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型である請求項1の組成物。
【請求項4】
非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型がオリゴマーである請求項3の組成物。
【請求項5】
該架橋ポリマー型が該水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を該架橋ポリマー型が生じるように混合することで得られる請求項3の組成物。
【請求項6】
少なくとも一つの該活性化剤がハロペルオキシダーゼ酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びその組み合わせからなる一群から選んだ請求項5の組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がフロログルシノール又は下記一般構造で表されるフロログルシノール誘導体である請求項1の組成物で、
【化1】

R1-R3はそれぞれ水素、アルキル、シクロアルキル及びアリールからなる一群から互いに独立して選択される組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がフロログルシノールである請求項1の組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物が合成生成される請求項1の組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの該フルオログルシノール型化合物がフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成される該ポリマーである請求項1の組成物。
【請求項11】
合成生成される該ポリマーが複数の約2乃至約500、000フロログルシノールモノマー単位を含有する請求項10の組成物。
【請求項12】
合成生成される該ポリマーがオリゴマーである請求項10の組成物。
【請求項13】
該フロログルシノール型化合物が組成物全重量の約0.01重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲の濃度である請求項1の組成物。
【請求項14】
該水混和性ポリマーが天然存在又は合成生成される炭水化物型である請求項1の組成物。
【請求項15】
該炭水化物がアルギン酸の塩型、アルギン酸及びその組み合わせからなる一群から選択される請求項14の組成物。
【請求項16】
アルギン酸の該塩型又は該アルギン酸が約25パーセント乃至約75パーセント範囲のアルファーL―グルクロン酸(G)を含有する請求項15の組成物。
【請求項17】
該炭水化物がアルギン酸の塩型である請求項14の組成物。
【請求項18】
更に該架橋型の該水混和性ポリマーを得るために少なくとも一つの架橋剤を含む請求項1の組成物。
【請求項19】
少なくとも一つの架橋剤が二価イオンからなる請求項18の組成物。
【請求項20】
該二価イオンが二価カルシウムイオンである請求項19の組成物。
【請求項21】
該架橋型の該水混和性ポリマーが組成物全重量の約0.1重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲の濃度である請求項1の組成物。
【請求項22】
接着強度が少なくとも約5kPaを有する請求項1の組成物。
【請求項23】
請求項1の組成物製造方法で、その方法が
水混和性ポリマーを提供し、
架橋剤を提供し、
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物を提供し、且つ
該水混和性ポリマー、該架橋剤及び少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物を混合し、それにより組成物を得る製造方法。
【請求項24】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がモノマー型である請求項23の製造方法。
【請求項25】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物が非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型である請求項23の製造方法。
【請求項26】
非架橋ポリマー型又は/及び架橋ポリマー型がオリゴマーである請求項25の製造方法。
【請求項27】
該架橋ポリマー型が該水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を該架橋ポリマー型が生じるように混合することで得られる請求項25の製造方法。
【請求項28】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がフロログルシノール又は下記一般構造で表されるフロログルシノール誘導体である請求項27の製造方法で、
【化2】

R1-R3は水素、アルキル、シクロアルキル及びアリールからなる一群から互いに独立して選択される製造方法。
【請求項29】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がフロログルシノールである請求項23の製造方法。
【請求項30】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物が合成生成される請求項23の製造方法。
【請求項31】
少なくとも一つの該フロログルシノール型化合物がフロログルシノール又はフロログルシノール誘導体から合成生成される該ポリマーである請求項23の製造方法。
【請求項32】
合成生成される該ポリマーが複数の約2乃至約500、000フロログルシノールモノマー単位を含有する請求項31の製造方法。
【請求項33】
合成生成される該ポリマーがオリゴマーである請求項32の製造方法。
【請求項34】
少なくとも一つのフロログルシノール型化合物を架橋させるように、更に少なくとも一つの活性化剤と該水混和性ポリマーと少なくとも一つのフロログルシノール型化合物との混合を含む請求項23の製造方法。
【請求項35】
少なくとも一つの該活性化剤がハロペルオキシダーゼ酵素、酸化剤、ハロゲン塩及びその組み合わせからなる一群から選択される請求項34の製造方法。
【請求項36】
該フロログルシノール型化合物が組成物全重量の約0.01重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲の濃度である請求項23の製造方法。
【請求項37】
該水混和性ポリマーが天然存在又は合成生成される炭水化物型である請求項23の製造方法。
【請求項38】
該炭水化物がアルギン酸の塩型、アルギン酸及びその組み合わせからなる一群から選択される請求項37の製造方法。
【請求項39】
アルギン酸の該塩型又は該アルギン酸が約25パーセント乃至約75パーセント範囲のアルファーL―グルクロン酸(G)単位を含有する請求項38の製造方法。
【請求項40】
該炭水化物がアルギン酸の塩型である請求項37の製造方法。
【請求項41】
少なくとも一つの架橋剤が二価イオンからなる請求項23の製造方法。
【請求項42】
該二価イオンが二価カルシウムイオンである請求項41の製造方法。
【請求項43】
該水混和性ポリマーが組成物全重量の約0.1重量パーセント乃至約10重量パーセント範囲の濃度である請求項23の製造方法。
【請求項44】
接着剤としての請求項1組成物の使用。
【請求項45】
該接着剤が乾燥条件又は湿潤条件で使用可能な請求項44の使用。
【請求項46】
該接着剤が第一表面を第二表面と接着する際該第一表面と該第二表面のそれぞれが乾燥している乾燥条件で使用可能な請求項44の使用。
【請求項47】
該接着剤が第一表面を第二表面と接着する際該第一表面と該第二表面の内の少なくとも一つがぬれている湿潤条件で使用可能な請求項44の使用。
【請求項48】
該第一表面と該第二表面の内の少なくとも一つが人又は動物被験者の身体部分又は構成要素である請求項47の使用。
【請求項49】
該構成要素が組織である請求項48の使用。
【請求項50】
該接着剤が表面開口部を封止又は閉鎖する封止剤又はシール剤として使用できる請求項44の使用。
【請求項51】
該封止又は閉鎖が乾燥条件又は湿潤条件下で起こる請求項44の使用。
【請求項52】
該開口部を有する該表面が人又は動物被験者の身体部分又その構成要素である請求項50の使用。
【請求項53】
該構成要素が組織である請求項52の使用。
【請求項54】
有効量の請求項1の組成物を該第一表面の指定領域に塗布し、少なくとも該第二表面の一部と該指定領域と接触し、且つ該第一表面を該第二表面に接着するに十分な時間を提供し、その結果該第一表面を該第二表面に接着することからなる第一表面を第二表面に接着する方法。
【請求項55】
該第一表面と該第二表面のそれぞれが乾燥している請求項54の方法。
【請求項56】
該第一表面と該第二表面の少なくとも一つぬれている湿潤条件下で実施する請求項54の方法。
【請求項57】
該第一表面と該第二表面の内の少なくとも一つが人又は動物被験者の身体部分又は構成要素である請求項56の方法。
【請求項58】
該構成要素が組織である請求項57の方法。
【請求項59】
包装材料及び包装材料内に含有される請求項1の組成物からなる製品で、製品が接着剤としての使用が確認される製品。
【請求項60】
該接着剤が表面開口部を封止又閉鎖する封止剤又シール剤として使用可能な請求項59の製品。

【図2】
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【図1】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−536958(P2008−536958A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557669(P2007−557669)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000289
【国際公開番号】WO2006/092798
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(399042535)テクニオン・リサーチ・アンド・ディベロップメント・ファウンデーション・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】