説明

新規14−及び15−員環化合物

【化1】


本発明は、式(I)の4”位置換14員環又は15員環マクロライド及びその薬学的に許容される誘導体、その製造方法ならびに人体又は動物体の全身又は局所微生物感染の治療又は予防におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物(antimicrobial)活性、特には抗菌(antibacterial)活性を有する新規な半合成マクロライドに関する。より詳細には、本発明は4”位が置換された14−又は15−員環マクロライド、その製造方法、それを含む組成物、及び医薬におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロライド抗菌剤は細菌感染の治療又は予防において有用であることが知られている。しかしながら、マクロライド耐性菌の出現のために新規なマクロライド化合物を開発する必要がある。例えば、EP 0 895 999は抗菌活性を有するマクロライド環の4”位を修飾した誘導体を記載している。
【発明の開示】
【0003】
本発明によれば、本発明者らは同様に抗菌活性を有する4”位が置換された新規な14−又は15−員環マクロライドを今回見出した。
【0004】
即ち、本発明は、式(I):
【化1】

【0005】
[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択される二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化2】

【0006】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8とR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、またはR8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基はR16から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化3】

【0007】
または
【化4】

【0008】
を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29、-C(O)CH2NO2または-C(O)CH2SO2R7であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルもしくはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素、
ハロゲン、シアノ、フェニルもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルコキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR32R33、-NR32R33、およびニトロもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたフェニルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、
-(CH2)wC3-7シクロアルキル、
-(CH2)wヘテロシクリル、
-(CH2)wヘテロアリール、
-(CH2)wアリール、
C3-6アルケニル、または
C3-6アルキニルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルもしくはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R32およびR33はそれぞれ独立して水素またはフェニルもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R32とR33は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、該ヘテロ環式基は場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、r、sおよびwはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは1〜8の整数である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0009】
別の態様によれば、本発明は、式(IA):
【化5】

【0010】
[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択され二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化6】

【0011】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8およびR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、または
R8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化7】

【0012】
または
【化8】

【0013】
を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、-(CH2)wC3-7シクロアルキル、C3-6アルケニル、またはC3-6アルキニルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R32およびR33はそれぞれ独立して水素または-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R32とR33は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、該ヘテロ環式基は場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、r、sおよびwはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0014】
さらに別の態様によれば、本発明は、式(IB):
【化9】

【0015】
[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択され二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化10】

【0016】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8とR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、または
R8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基はR16から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化11】

【0017】
または
【化12】

【0018】
を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、rおよびsはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0019】
本明細書においては、”薬学的に許容される”という用語は、医薬用途に適する化合物を意味する。医薬における使用に適した本発明の化合物の塩及び溶媒和物は、対イオン又は会合溶媒が薬学的に許容されるものをいう。しかしながら、薬学的に許容されない対イオン又は会合溶媒を有する塩及び溶媒和物は本発明の範囲内であり、例えば、他の本発明の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物の製造における中間体として使用される。
【0020】
本明細書においては、”薬学的に許容される誘導体”という用語は、薬学的に許容される塩、溶媒和物又はプロドラッグ(例えば本発明の化合物のエステル)であって、受容者に投与することにより、本発明の化合物、又はその活性代謝物もしくは残基を(直接又は間接に)提供できるいずれの誘導体をも意味する。かかる誘導体は、不必要な実験をせずに当業者には認識できる。このような次第ではあるが、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practice の手引きを引用しておく(かかる誘導体の教示の範囲で、本願に引用して援用する)。薬学的に許容される好ましい誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバミン酸エステル及びリン酸エステルである。薬学的に許容される特に好ましい誘導体は、塩、溶媒和物及びエステルである。薬学的に許容される最も好ましい誘導体は、塩及びエステルであり、特に塩である。
【0021】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形であることができ、かつ/又は薬学的に許容される塩として投与できる。適切な塩に関する総説については、Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19 を参照のこと。
【0022】
一般的に、薬学的に許容される塩は、必要に応じて、所望される酸又は塩を用いて容易に製造できる。塩は、溶液から沈殿させ、濾過することにより回収でき、あるいは溶媒を留去することにより回収できる。例えば、塩酸などの酸の水溶液を式(I)の化合物の水性懸濁液に加え、得られる混合物を溶媒がなくなるまで留去(凍結乾燥)して、酸付加塩を固体として得ることができる。あるいはまた、式(I)の化合物を適切な溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)に溶解し、酸を同一溶媒又は他の適切な溶媒に溶解して加えることもできる。ついで、得られる酸付加塩を直接に、あるいはジイソプロピルエーテル又はヘキサンなどのより低い極性の溶媒を添加することにより沈殿させ、濾過することにより単離できる。
【0023】
適切な付加塩は、無毒の塩を形成する無機酸又は有機酸から形成され、例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、水素リン酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、アルキルもしくはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩)及びイセチオン酸塩がある。代表例は、トリフルオロ酢酸塩及びギ酸塩(例えば、ビス又はトリストリフルオロ酢酸塩及び一また二ギ酸塩)を含み、特に、トリストリフルオロ酢酸塩及び二ギ酸塩を含む。ギ酸塩のさらなる代表例はトリスギ酸塩である。
【0024】
薬学的に許容される塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩ならびにイソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN−メチル−D−グルカミンなどの一級、二級及び三級アミン塩を含む有機塩基との塩を含む。
【0025】
本発明の化合物は、塩基中心及び酸中心の両方を有することができ、したがって両性イオンの形であることができる。
【0026】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、反応溶媒又は沈殿もしくは結晶化溶媒と錯体を形成することができることを理解するであろう。これらの錯体は、”溶媒和物”として知られている。例えば、水との錯体は”水和物”として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式(I)の化合物の塩は、溶媒和物(例えば水和物)を形成することができ、本発明もまた、すべてのかかる溶媒和物を含む。
【0027】
本明細書においては、”プロドラッグ”という用語は、体内で(例えば血中での加水分解により)医療効果を有する活性体に変換される化合物を言う。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. Higuchi and V. Stella, ”Prodrugs as Novel Delivery Systems”, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series, Edward B. Roche, ed., ”Bioreversible Carriers in Drug Design”, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987, and in D. Fleisher, S. Ramon and H. Barbra ”Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs , Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130, に記載されており、それぞれを本願に引用して援用する。
【0028】
プロドラッグは、患者に投与されるときインビボで式(I)の化合物を放出する、共役結合した担体のいずれをもいう。プロドラッグは、一般的に、通常の操作又はインビボのいずれかで修飾が分解されて親化合物を生成するように官能基を修飾することにより製造される。例えば、患者に投与されたとき、プロドラッグが分解してヒドロキシ、アミン又はスルフヒドリル基を生成する、ヒドロキシ、アミン又はスルフヒドリル基がいずれかの基に結合している本発明の化合物を含む。従って、プロドラッグの代表例は、限定するものではないが、構造(I)の化合物のアルコール、スルフヒドリル及びアミン官能基の酢酸エステル、ギ酸エステル及び安息香酸エステルを含む。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを使用できる。エステルは、それ自身で活性であるか、あるいはまた人体内のインビボ条件で加水分解可能であることができる。薬学的に許容される、インビボで加水分解可能な適切なエステル基は、人体内で容易に分解して元の酸又はその塩を放出するものを含む。
【0029】
以後、本発明に記載の化合物というときは、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される誘導体の両方を含む。
【0030】
立体異性体に関しては、構造(I)の化合物は2以上の不斉炭素原子を有している。記載されている一般式(I)において、実線のくさび形の結合は、結合が紙の面より上であることを示す。破線の結合は、結合が紙の面より下であることを示す。
【0031】
マクロライドの置換基もまた、1以上の不斉炭素原子を有することができることもまた理解されるであろう。従って、構造(I)の化合物は、それぞれのエナンチオマー又はジアステレオマーとして存在できる。すべてのかかる異性体は、その混合物を含めて、本発明の範囲に含まれる。
【0032】
本発明の化合物がアルケニルを含む場合、シス(Z)及びトランス(E)異性もまた存在できる。本発明は、本発明の化合物の各立体異性体を含み、適切な場合には、その混合物と共に、その各互変異性体を含む。
【0033】
ジアステレオ異性体又はシス及びトランス異性体の分離は、例えば分別結晶、クロマトグラフィー又はH.P.L.Cなどの慣用法により達成できる。薬剤の立体異性体混合物はまた、対応する光学的に純粋な中間体から製造されるか、あるいは必要に応じて適切な光学活性酸又は塩基と対応する混合物との反応により生成されるジアステレオ異性体塩の適切なキラル担体を用いる、対応する混合物のH.P.L.C.又は分別結晶により製造できる。
【0034】
構造(I)の化合物は、結晶形であってもよく、無定形であってもよい。さらに、構造(I)の化合物の一部の結晶形は、多型体として存在でき、本発明はこれを含む。
【0035】
R2がヒドロキシル保護基を表す化合物は、一般的に、式(I)の他の化合物を製造するための中間物である。
【0036】
基OR2が保護されたヒドロキシル基であるとき、これはエーテルまたはアシルオキシ基であると好都合である。特に好適なエーテル基の例としてR2がトリアルキルシリル(すなわち、トリメチルシリル)であるエーテル基が挙げられる。基OR2がアシルオキシ基を表すとき、好適な基R2の例としてアセチルまたはベンゾイルが挙げられる。
【0037】
R6は水素または弗素である。しかし、Aが-C(O)NH-または-CH2-N(R7)-であるとき、R6は水素であるのが好ましいであろう。
【0038】
R11が次の構造:
【化13】

【0039】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は5、6、7または8位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、ヘテロ環は6または7位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は5または8位置において連結している。R20基が存在するとき、それは環上のいずれの位置と結合していてもよい。一実施形態において、R20基は6位置と結合している。
【0040】
R11が次の構造:
【化14】

【0041】
[式中、Wは-C(R31)-であり、ここでR31はR20であるかまたはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成する]
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、該ヘテロ環は(i)位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は(ii)または(iii)位置において連結している。
【0042】
R11が次の構造:
【化15】

【0043】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は5、6または7位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、該ヘテロ環は6または7位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は5位置において連結している。
【0044】
R11が次の構造:
【化16】

【0045】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は6、7、8または9位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、該ヘテロ環は7または8位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は6または9位置において連結している。
【0046】
R11が次の構造:
【化17】

【0047】
[式中、Wは-C(R31)-であり、ここでR31はR20であるかまたはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成する]
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、該ヘテロ環は(i)位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は(ii)または(iii)位置において連結している。
【0048】
R11が次の構造:
【化18】

【0049】
を有するヘテロ環式基であるとき、上記ヘテロ環は2、3または4位置において先に定義したX基と連結している。一実施形態において、該ヘテロ環は2または3位置において連結している。他の実施形態において、該ヘテロ環は4位置において連結している。
【0050】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルキル」は、規定された炭素原子数を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、C1-10アルキルは、1個以上で10個以下の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖のアルキルを意味する。本明細書で使用される「アルキル」の例としては、限定されるものでないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t-ブチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。C1-4アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチルまたはt-ブチルが好ましい。
【0051】
本明細書で使用される用語「C3-7シクロアルキル」基は、3〜7個の炭素原子の非芳香族単環式炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロへプチルを意味する。
【0052】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、規定された炭素原子数を含有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を意味する。例えば、C1-6アルコキシは、1個以上6個以下の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖のアルコキシを意味する。本明細書で使用される「アルコキシ」の例としては、限定されるものでないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ-2-オキシ、ブトキシ、ブタ-2-オキシ、2-メチルプロパ-1-オキシ、2-メチルプロパ-2-オキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシが挙げられる。C1-4アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロパ-2-オキシ、ブトキシ、ブタ-2-オキシまたは2-メチルプロパ-2-オキシが好ましい。
【0053】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルケニル」は、規定された炭素原子数を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C2-6アルケニル」は、2個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルケニルを意味する。同様に、用語「C3-6アルケニル」は、3個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルケニルを意味する。本明細書で使用される「アルケニル」の例としては、限定されるものでないが、エテニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、3-メチルブタ-2-エニル、3-ヘキセニルおよび1,1-ジメチルブタ-2-エニルが挙げられる。-O-C2-6アルケニル型の基において、二重結合が好ましくは酸素に隣接していないことが評価されるであろう。
【0054】
基または基の一部分として本明細書で使用される用語「アルキニル」は、規定された炭素原子数を含有しかつ少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C3-6アルキニル」は、3個以上で6個以下の炭素原子を含有しかつ少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分枝鎖のアルケニルを意味する。本明細書に使用される「アルケニル」の例としては、限定されるものでないが、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-ペンチニルおよび3-メチル-1-ブチニルが挙げられる。
【0055】
本明細書で使用される用語「アリール」は芳香族炭素環式部分、例えばフェニル、ビフェニルまたはナフチルを意味する。
【0056】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、特に断らない限り、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素原子を含有する5〜10員の芳香族ヘテロ環を意味し、単環と二環式環系の両方を含む。ヘテロアリール環の例として、限定されるものでないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、1,3-ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルおよびベンゾチオフェニルが挙げられる。
【0057】
本明細書で基または基の部分として使用される用語「5または6員ヘテロアリール」は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する単環式5または6員芳香族ヘテロ環を意味する。例としては、限定されるものでないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびトリアジニルが挙げられる。
【0058】
本明細書で基または基の部分として使用される用語「9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」は、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、1,3-ベンゾジオキサゾリル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジルまたはベンゾチオフェニルを意味する。
【0059】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル」は、特に断らない限り、酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式または二環式3〜10員飽和または非芳香族、不飽和炭化水素環を意味する。好ましくは、ヘテロシクリル環は5個または6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基の例としては、限定されるものでないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリノが挙げられる。
【0060】
本明細書で基または基の部分として使用される用語「5または6員ヘテロ環式基」は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式5または6員飽和炭化水素環を意味する。かかるヘテロシクリル基の例としては、限定されるものでないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニルおよびチオモルホリノが挙げられる。
【0061】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、弗素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0062】
本明細書で使用される用語「場合により置換されたフェニル」、「場合により置換されたフェニルまたはベンジル」、「場合により置換された5または6員ヘテロアリール」、「場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリール」または「場合により置換された5または6員ヘテロ環式基」は、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、C1-4アルキルアミノまたはジC1-4アルキルアミノ、フェニルおよび5または6員ヘテロアリールから選択される1〜3個の基によって置換された基を意味する。
【0063】
一実施形態において、Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-または-CH(NR8R9)-である。他の実施形態において、Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-または-C(=NR10)-である。他の実施形態において、Aは-C(O)-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-または-C(=NR10)-である。他の実施形態において、Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-CH2-N(R7)-または-CH(NR8R9)-である。さらなる実施形態において、Aは-C(O)-、-N(R7)-CH2-または-C(=NR10)-である。Aの代表的な例としては-C(O)-および-N(R7)-CH2-が挙げられる。Aのさらなる代表的な例は-C(=NR10)-である。特に、Aは-C(O)-である。
【0064】
R2の代表的な例は水素である。
【0065】
R3の代表的な例としては、水素およびC1-4アルキル、例えば水素およびメチルが挙げられる。特に、R3はメチルである。
【0066】
一実施形態において、R4およびR5はヒドロキシであり、R4はメトキシなどのC1-4アルコキシでありかつR5はヒドロキシであるか、またはR4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化19】

【0067】
[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]
を有する環式基を形成する。他の実施形態において、R4およびR5はヒドロキシである。さらなる実施形態において、R4はメトキシなどのC1-4アルコキシでありかつR5はヒドロキシである。あるいは、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化20】

【0068】
[式中、Yは-O-および-N(R13)-から選択される二価の基である]
を有する環式基を形成する。
【0069】
R6の代表的な例は水素である。
【0070】
R7の代表的な例はC1-6アルキル、例えばC1-4アルキル、特にメチルである。
【0071】
R10の代表的な例は-OR17である。
【0072】
一実施形態において、R11としては、次の構造:
【化21】

【0073】
[式中、ヘテロ環は6または7位置において先に定義したX基と連結している]を有するヘテロ環式基および次の構造:
【化22】

【0074】
[式中、Wは-C(R31)-であり、ここでR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-、特に-(CH2)t-を形成し、かつ上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置、特に(ii)位置において先に定義したX基と連結している]
を有するヘテロ環式基が挙げられる。
【0075】
R11の代表的な例として、次の構造:
【化23】

【0076】
[式中、ヘテロ環は6または7位置において先に定義したX基と連結している]を有するヘテロ環式基が挙げられる。
【0077】
さらなるR11の代表的な例として、次の構造:
【化24】

【0078】
[式中、Wは-C(R31)-であり、ここでR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-、特に-(CH2)t-、特に-(CH2)t-を形成しかつ上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置、特に(ii)位置において先に定義したX基と連結している]を有するヘテロ環式基が挙げられる。
【0079】
一実施形態において、R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルである。他の実施形態において、R13は水素またはC1-4アルキルである。R13の代表的な例は水素である。R13のさらなる代表的な例はメチルである。
【0080】
R17の代表的な例としては水素および-OR27により場合により置換されたC1-6アルキル、例えばC1-4アルキル、特にメチルが挙げられる。
【0081】
一実施形態において、R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2である。他の実施形態において、R18は-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2である。他の実施形態において、R18は-C(O)OR29である。さらなる実施形態において、R18は-C(O)OR29[式中、R29は水素、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、-(CH2)wC3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたはC3-6アルキニルである]である。R18の代表的な例は-C(O)OR29(式中、R29は水素またはC1-4アルキル、例えば水素またはメチルである)である。さらなるR18の代表的な例としては、-C(O)OR29[式中、R29は水素;メトキシなどのC1-4アルコキシ、-OC(O)t-ブチルなどの-OC(O)C1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチルまたはn-ブチルなどのC1-4アルキル);-(CH2)wC3-7シクロアルキル(例えば-(CH2)wシクロプロピルなどの-(CH2)wC3-6シクロアルキル);C3-6アルケニル(例えば2-プロペニルまたは3-ブテニルなどのC3-4アルケニル);またはC3-6アルキニル(例えば2-ブチニルなどのC3-4アルキニルである)である]が挙げられる。特に、R29は水素である。
【0082】
一実施形態において、R19は、C1-4アルコキシ、例えばメトキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、例えばメチルまたはエチルであるかまたはR19はC3-7シクロアルキル、例えばシクロプロピルなどのC3-6シクロアルキルである。R19の代表的な例はC1-4アルキル、特にエチルである。
【0083】
R20の代表的な例はハロゲン、特に弗素である。
【0084】
R27の代表的な例はC1-4アルコキシC1-4アルキルである。
【0085】
一実施形態において、R29は水素、またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキルおよび-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個以下の基によって場合により置換されたC1-6アルキルである。他の実施形態において、R29は水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキルおよび-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基によって場合により置換されたC1-6アルキル、-(CH2)wC3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたはC3-6アルキニルである。さらなる実施形態において、R29は水素、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基によって場合により置換されたC1-6アルキル;-(CH2)wC3-7シクロアルキル;C3-6アルケニル;またはC3-6アルキニルである。R29の代表的な例としては、水素;メトキシなどのC1-4アルコキシ、-OC(O)t-ブチルなどの-OC(O)C1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、2-メチルプロピルまたはn-ブチルなどのC1-4アルキル;-(CH2)wC3-7シクロアルキル、例えば-(CH2)wシクロプロピルなどの-(CH2)wC3-6シクロアルキル;C3-6アルケニル、例えば2-プロペニルまたは3-ブテニルなどのC3-4アルケニル;およびC3-6アルキニル、例えば2-ブチニルなどのC3-4アルキニルが挙げられる。特に、R29は水素である。
【0086】
一実施形態において、R30は水素またはC1-4アルキルである。R30の代表的な例は水素である。
【0087】
一実施形態において、R31は水素であるかまたはR31とR19は連結して二価の基-(CH2)t-を形成する。R31の代表的な例は水素である。
【0088】
一実施形態において、R32およびR33はそれぞれ独立して水素または場合により-C(O)OC1-6アルキルにより置換されたC1-6アルキルであるかまたはR32とR33はそれらが結合している窒素原子と一緒に、場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロ環式基を形成する。
【0089】
他の実施形態において、R32およびR33はそれぞれ独立して水素または場合により-C(O)OC1-6アルキル、例えば-C(O)Oエチルなどの-C(O)OC1-4アルキルにより置換されたC1-6アルキル、例えばC1-4アルキルである
さらなる実施形態において、R32とR33はそれらが結合している窒素原子と一緒に、場合により1個のさらなる酸素原子を含有する5または6員ヘテロ環式基を形成する。
【0090】
一実施形態において、Xは-U(CH2)v-[式中、Uは-N(R30)-、-O-および-S(O)z-から選択される二価の基である]である。さらなる実施形態において、Xは-U(CH2)v-[式中、Uは-N(R30)-および-O-から選択される二価の基である]。Xの代表的な例は-U(CH2)v-[式中、Uは二価の基-N(R30)-である]である。Xのさらなる代表的な例は-U(CH2)v-[式中、Uは二価の基 -O-である]である。
【0091】
Wの代表的な例は-C(R31)-である。
【0092】
Yの代表的な例としては-O-および-N(R13)-が挙げられる。
【0093】
一実施形態において、dは2〜5の整数である。dの代表的な例は1〜3、例えば2である。dのさらなる代表的な例は5である。
【0094】
wの代表的な例は1である。
【0095】
tの代表的な例は2および3である。特に、tは3である。
【0096】
一実施形態において、vは2〜8の整数である。vの代表的な例は2〜4、例えば3である.
jの代表的な例としては0および1が挙げられる。特に、jは0である。
【0097】
本発明が、本明細書に以上記載した特定のおよび好ましい基の全ての組み合わせを包含することは当然である。本発明がまた、特定の基またはパラメーター、例えばR7、R14、R15、R16、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R32、R33、k、m、n、p、q、r、およびsが1回以上現れる式(I)の化合物を包含することも当然である。かかる化合物において、それぞれの基またはパラメーターは、掲げた値から独立して選択されることが好ましい。
【0098】
一実施形態において、Aが-C(O)-であるとき、dは2であり、Xは-NH(CH2)3-でありかつR11は次式:
【化25】

【0099】
[式中、ヘテロ環は7または8位置においてX基と連結し、jは0であり、R18はカルボキシでありそしてR19はエチルである]
のヘテロ環式基である。
【0100】
さらなる実施形態において、Aが-C(O)-であるとき、dは2であり、Xは-NH(CH2)3-でありかつR11は次式:
【化26】

【0101】
[式中、Wは-C(R31)-であり、ここでR31とR19は連結して二価の基-(CH2)t-を形成し、上記ヘテロ環は(ii)または(iii)位置においてX基と連結し、jは0であり、R18はカルボキシである]
のヘテロ環式基である。
【0102】
特に好ましい本発明の化合物は:
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA;
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル) プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン-11,12-カルボナート;
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル) プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA 11,12-カルバメート;
およびその薬学的に許容される誘導体である。
【0103】
さらなる特に好ましい本発明の化合物は:
4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-({[2-(メチルオキシ)エチル]オキシ}メタノオキシイミノエリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノエリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノエリスロマイシンA;
およびその薬学的に許容される誘導体である。
【0104】
加えて本発明の特に好ましい化合物は:
4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-アジスロマイシン;
4-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-クラリスロマイシン;
およびその薬学的に許容される誘導体である。
【0105】
本発明に記載の化合物はまた、広範囲の臨床病原微生物に対して、広域スペクトルの抗微生物活性(特に抗菌活性)を示す。標準的なマイクロタイター培養液連続希釈試験を用いて、広範囲の病原微生物に対して本発明の化合物が有用レベルの活性を示すことが見出された。特に、本発明の化合物は、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、モラクセラ・カタラーリス、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌、エンテロコッカス・フェカリス、クラミジア・ニューモニエ、マイコプラズマ・ニューモニエ及びレジオネラ・ニューモフィラの菌種に対して活性であることができる。本発明の化合物は、耐性株(例えば、エリスロマイシン耐性株)に対しても活性であることができる。特に、本発明の化合物は、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌及び黄色ブドウ球菌のエリスロマイシン耐性株に対して活性であることができる。
【0106】
従って、本発明の化合物は、病原微生物(特に細菌)により引き起こされる、ヒト及び動物の種々の疾患の治療のために使用できる。治療というとき、既往症状の緩和と共に、急性期治療又は予防を含むことは理解されるであろう。
【0107】
従って、本発明の他の側面によれば、我々は、治療における使用のための式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0108】
本発明のさらなる側面によれば、我々は、ヒト又は動物被験者の全身又は局所微生物感染の治療又は予防における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を提供する。
【0109】
本発明のさらなる側面によれば、我々は、人体又は動物体の全身又は局所微生物感染の治療又は予防における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体の使用を提供する。
【0110】
本発明のよりさらなる側面によれば、我々は、微生物感染を阻止するための、人体又はヒト以外の動物体の治療方法であって、このような治療を必用とする人体又はヒト以外の動物体に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される誘導体の有効量を投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0111】
治療における使用のために、本発明の化合物を未加工の化学物質として投与することは可能であるが、例えば、対象とする投与経路及び標準的製薬技法の観点から選択された適切な医薬賦形剤、希釈剤又は担体と薬剤とを混合した医薬製剤として活性成分が提供されることが好ましい。
【0112】
従って、1つの側面において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体と混合した少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を含んでなる医薬組成物又は製剤を提供する。賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、製剤の他の成分と適合し、受容者自身に有害でないという意味で”許容される”ものでなければならない。
【0113】
他の側面において、本発明は、治療における使用のための、そして特に、抗菌化合物により改善を受けやすい疾患を患うヒト又は動物被験者の治療における使用のための、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体と混合した少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を活性成分として含んでなる医薬組成物を提供する。
【0114】
他の側面において、本発明は、本発明の化合物の治療的有効量ならびに薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体(それらの組み合わせを含む)を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0115】
さらに、本発明により、医薬組成物の製造方法であって、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤及び/又は担体とともに少なくとも1つの本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体を混合することを含む該方法が提供される。
【0116】
本発明の化合物は、医学又は獣医学における使用のための、いずれの便利な投与のためにも製剤化でき、従って本発明は、医学又は獣医学における使用のために適合させた本発明の化合物を含んでなる医薬組成物を、その範囲内に含む。かかる組成物は、1以上の適切な賦形剤、希釈剤及び/又は担体を用いて、通常の使用のために提供できる。治療上の使用のための許容される賦形剤、希釈剤及び担体は医薬品業界に公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985) に記載されている。医薬賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、対象とする投与経路及び標準的製薬技法を考慮して選択できる。医薬組成物は、賦形剤、希釈剤及び/又は担体として、あるいはこれらに加えて、いずれの適切な結合剤(単数又は複数)、滑沢剤(単数又は複数)、懸濁化剤(単数又は複数)、コーティング剤(単数又は複数)、可溶化剤(単数又は複数)を含むことができる。
【0117】
防腐剤、安定化剤及び色素、さらに風味剤であっても医薬組成物に使用することができる。防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含む。酸化防止剤及び懸濁化剤もまた使用できる。
【0118】
本発明の薬剤はまた、一部の実施形態のために、シクロデキストリンと組み合わせて使用できる。シクロデキストリンは、薬物分子と包摂及び非包接錯体を形成することが知られている。薬剤−シクロデキストリン錯体の形成により、薬剤分子の溶解性、溶出速度、生物学的利用率及び/又は安定性を調節することができる。薬剤−シクロデキストリン錯体は、一般的に、大部分の製剤及び投与経路に有用である。薬剤との直接の錯体形成の代わりに、シクロデキストリンは、例えば担体、希釈剤又は可溶化剤などの補助添加剤として使用できる。α、β及びγシクロデキストリンが最もよく用いられ、適切な例は、WO91/11172、WO94/02518及びWO98/55148に記載されている。
【0119】
湿式粉砕などの公知の粉砕工程を用いて本発明の化合物を粉砕し、錠剤又は他の製剤タイプに適した粒子径を得ることができる。微細に粉砕した(ナノ粒子)本発明の化合物の調整品は、当該技術分野に公知の方法で調整できる(例えば、国際特許出願番号WO02/00196(SmithKline Beecham)を参照のこと)。
【0120】
投与経路(送達経路)は、限定するものではないが、以下:経口(例えば錠剤、カプセル、又は摂取用溶液として)、局所、経粘膜(例えば点鼻スプレー又は吸入用エアゾールとして)、経鼻、非経口(例えば注射剤で)、消化管内、髄腔内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、脳内、皮下、眼内(水晶体内又は前房内を含む)、経皮、直腸、頬、硬膜外及び舌下の1以上を含む。
【0121】
それぞれのデリバリーシステムに応じて、異なる組成物/製剤の必要条件が存在する。例として、本発明の医薬組成物は、例えば、点鼻スプレーもしくは吸入用エアゾール又は摂取用溶液としてミニポンプ又は経粘膜経路を用いて、あるいは例えば静脈内、筋肉内又は皮下経路の送達のための注射剤として組成物が製剤化されている非経口で送達するために製剤化できる。あるいはまた、両方の経路で送達されるように製剤を設計することもできる。
【0122】
胃腸粘膜を介して経粘膜で薬剤が送達される場合、消化管を通過する間、薬剤が安定でなければならず;例えば薬剤は、タンパク質分解に抵抗性を示し、酸のpHで安定であり、胆汁の界面活性効果に抵抗力を有さなければならない。
【0123】
適切な場合には、吸入で、座剤又はペッサリ−の形で、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は粉末の形の局所で、皮膚パッチの使用で、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤を含有する錠剤の形の経口で、単独あるいは賦形剤との混合物のいずれかのカプセルもしくは膣座剤の形で、又は風味剤もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液もしくは懸濁液の形で医薬組成物を投与でき、あるいは静脈内、筋肉内又は皮下などの非経口で医薬組成物を注射できる。非経口投与のためには、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又は単糖類などの他の物質を含むことができる滅菌水溶液の形で組成物を使用するのが最も良い。頬又は舌下投与のためには、通常の方法で製剤化できる錠剤又はロゼンジの形で組成物を投与することができる。
【0124】
必ずしもすべての物質が同一経路で投与される必要は無いことが理解されるべきである。同様に、組成物が2以上の活性成分を含む場合、これらの成分は異なる経路で投与できる。
【0125】
本発明の組成物は、非経口、経口、頬、経直腸、局所、インプラント、点眼、経鼻ま非尿生殖器の用途のために特別に製剤化したものを含む。一部の適用のために、本発明の薬剤は、全身的に送達され(経口、頬、舌下など)、さらに好ましくは経口で送達される。従って、好ましくは、本薬剤は経口送達のために適切な形である。
【0126】
本発明の化合物が非経口で投与される場合、かかる投与の例は、以下:静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内もしくは皮下への薬剤投与;及び/又は輸液技術を用いる薬剤投与の1以上を含む。
【0127】
非経口投与のためには、例えば、溶液を血液と等張にするために十分な塩又はグルコースなどの他の物質を含むことができる滅菌水溶液の形で本化合物を使用するのが最も良い。必要に応じて、水溶液を適切に緩衝化(好ましくはpH3〜9に)しなければならない。滅菌条件下での適切な非経口製剤の製造は、当業者に公知の標準的製薬技法により容易に達成できる。
【0128】
本発明に記載の化合物は、注射(例えば静脈内ボーラス注射もしくは輸液又は筋肉内、皮下もしくは鞘内経路)の、医学又は獣医学における使用のために製剤化でき、必要に応じて防腐剤を加えて、単位服用量形、アンプルもしくは他の投薬単位容器、又は複数回投与容器に入れて提供できる。注射のための組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、又はエマルジョンの形であることができ、懸濁化剤、安定化剤、可溶化剤及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含むことができる。あるいはまた、活性成分は、例えば滅菌パイロジェンフリー水などの適切なビヒクルを用いて使用前に再構成するための滅菌粉末であることができる。
【0129】
本発明の化合物は、即時放出、遅延放出、放出調節、持続放出、パルス放出又は放出制御適用のために、風味剤又は着色剤を含むことができる、錠剤、カプセル、座剤、エリキシル剤、溶液又は懸濁液の形で投与(例えば、経口又は局所)できる。
【0130】
本発明の化合物はまた、例えば、所望により風味剤及び着色剤を加えた、溶液、ゲル、シロップ、口内洗浄剤もしくは懸濁液、又は使用前に水又は他の適切なビヒクルを用いて再構成するための乾燥粉末の形で、経口又はバッカル投与に適切な形で医学又は獣医学用途のために提供することもできる。錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒剤、ブレット、又はプレミックス調整物などの固体組成物もまた使用できる。経口投与のための固体又は液体組成物は、当業界に公知の方法によって製造できる。かかる組成物はまた、固体又は液体形であることができる、1以上の薬学的に許容される担体及び賦形剤を含むこともできる。
【0131】
錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはコーン、ポテト又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム及び特定の複合ケイ酸塩、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン及びアカシアゴムなどの造粒用結合剤を含むことができる。
【0132】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクなどの滑沢剤を含むことができる。
【0133】
同様なタイプの固体組成物をゼラチンカプセルの充填剤として使用することもできる。この点で好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤のためには、種々の甘味剤もしくは風味剤、着色剤もしくは色素、乳化剤及び/又は懸濁化剤ならびに水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン、ならびにそれらの組み合わせなどの希釈剤と薬剤を組み合わせることができる。
【0134】
本発明の化合物はまた、薬学的に許容される担体又は賦形剤とともに、活性成分の溶液、懸濁液又は分散剤などの水薬の形で獣医学において経口で投与することもできる。
【0135】
本発明の化合物はまた、例えば、医学又は獣医学における使用のための通常の座剤基剤を含む座剤、あるいは例えば通常のペッサリー基材を含むペッサリーとして製剤化することもできる。
【0136】
本発明に記載の化合物は、軟膏、クリーム剤、ゲル、ハイドロゲル、ローション、溶液、シャンプー、粉末剤(スプレーもしくは撒布剤を含む)、ペッサリー、タンポン、スプレー、侵液、エアゾール、滴剤(例えば目、耳又は鼻の滴剤)又はプアオンの形で、医学又は獣医学における使用のための局所投与のために製剤化できる。
【0137】
皮膚への局所適用のために、本発明の薬剤は、例えば以下:鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水の1以上との混合物に懸濁又は溶解した活性化合物を含む適切な軟膏として製剤化できる。
【0138】
あるいはまた、本発明の化合物は、例えば以下:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1以上の混合物に懸濁又は溶解した適切なローション又はクリームとして製剤化できる。
【0139】
本化合物はまた、例えば、皮膚パッチの使用により、皮膚又は経皮投与することもできる。
【0140】
眼科用のために、本化合物は、所望により塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と組み合わせて、等張でpH調節した滅菌生理食塩水中のマイクロ懸濁液として、又は好ましくは、等張でpH調節した滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化できる。あるいはまた、本化合物はペトロラタムなどの軟膏中に製剤化できる。
【0141】
前述のとおり、本発明の化合物は鼻内投与又は吸入投与でき、好都合には、乾燥粉末吸入器又は、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134AT””)もしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤の使用を用いる加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーからのエアゾールスプレー噴射の形で送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は、所定量を送達するバルブを供与することにより測定できる。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、例えばエタノール及び噴射剤の混合物を溶媒として用いる、活性化合物の溶液又は懸濁液(さらに例えばトリオレイン酸ソルビタンなどの滑沢剤を含むことができる)を含むことができる。
【0142】
吸入器又は吹き入れ器における使用のための、カプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本化合物及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含むように製剤化できる。
【0143】
吸入による局所投与のために、本発明に記載の化合物は、医学又は獣医学における使用のために、ネブライザーにより送達できる。
【0144】
本発明の化合物はまた、他の治療剤と組み合わせて使用できる。従ってさらなる側面において、本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体とともに、さらなる治療剤を含んでなる組み合わせを提供する。
【0145】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される誘導体が同一の病状に対して有効な第2の治療剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の投与量は、該化合物が単独で用いられる場合と異なることができる。適切な投与量は、当業者により容易に認識されるであろう。治療における使用のための本発明の化合物の量は、治療される疾患の性質及び患者の年齢及び状態によって変わり、最終的には担当医師又は獣医の判断によって決まることは認識されるであろう。本発明の化合物は、必要に応じて、例えばコルチコステロイド又は抗真菌剤などの他の活性成分とともに局所投与に使用できる。
【0146】
上記の組み合わせは、医薬製剤の形での使用のために好都合に提供でき、従って上記で定義した組み合わせとともに薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでなる医薬製剤は、本発明のさらなる側面を構成する。かかる組み合わせの各成分は、任意の便利な経路を用いて、分離又は混合された医薬製剤で順次又は同時のいずれかで投与できる。
【0147】
順次投与される場合、本発明の化合物又は第二の治療剤のいずれかが最初に投与される。同時投与される場合、組み合わせは、同一又は異なる医薬組成物のいずれかで投与できる。
【0148】
同一製剤に組み合わせる場合、2つの化合物は安定でかつそれぞれの化合物に対して、及び製剤の他の成分に対して適合するものでなければならない。個別に製剤化される場合、2つの化合物はいずれの好都合な製剤で提供されることもでき、好都合には、かかる化合物に対して公知の製剤で提供されることができる。
【0149】
本組成物は、0.01〜99%の活性物質を含むことができる。例えば、局所投与のためには、本組成物は一般的に0.01〜10%の活性物質を含み、さらに好ましくは0.01〜1%の活性物質を含む。
【0150】
一般的に、医師は、各被験者にもっとも適切と考えられる実際の投与量を決定する。特定の個人に対する特定の投与レベル及び投与頻度は多様であり、特定の使用化合物の活性、該化合物の代謝的安定性及び作用時間、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与法及び投与回数、排泄速度、薬剤の組み合わせ、特定の疾患の重篤度、ならびに治療受容者によって決まる。
【0151】
ヒトへの経口及び非経口投与のためには、本薬剤の1日量は、1回量又は分割量であることができる。
【0152】
全身投与のためには、成人のヒトの治療に用いる1日量は、2〜100mg/体重(kg)であり、好ましくは5〜60mg/体重(kg)であるが、例えば投与経路及び患者に疾患に応じて、1日に1〜4回で1日量を投与することができる。組成物が投与単位を含む場合、各ユニットは、好ましくは、200mg〜1gの活性成分を含む。治療期間は、任意の日数よりもむしろ反応速度によりきまる。
【0153】
一般式(I)の化合物とその塩は、以下に概説する一般的方法により製造することができて、上記方法は本発明のさらなる態様を構成する。以下の記載において、基R1〜R33、A、X、Y、U、W、d、e、f、g、h、i、j、k、m、n、p、q、r、s、t、v、wおよびzは、特に断らない限り、式(I)の化合物に対して定義された意味を有する。
【0154】
基XaR11aは式(I)に対して定義されたXR11またはXR11に変換しうる基である。基XaR11aのXR11基への変換は、典型的には、以下に記載の反応中に保護基を必要とする場合に行われる。かかる基を保護する方法および得られる保護された誘導体を切断する方法の包括的な考察は、例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M Wuts, 「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」 第2版, John Wiley & Son, Inc 1991およびP.J. Kocienski, 「保護基(Protecting Groups)」, Georg Thieme Verlag 1994に記載されていて、これらの文献は本明細書に参照により組み入れられる。好適なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えばホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えばベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換されたCbz、ならびに9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc))、脂肪族ウレタン保護基(例えばt-ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えばベンジル、トリチルおよびクロロトリチル)が挙げられる。好適な酸素保護基の例としては、例えば、トリメチルシリルまたはtert-ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルまたはtert-ブチルなどのアルキルエーテル;または酢酸エステルなどのエステルが挙げられる。ヒドロキシ基は、無水酢酸、無水安息香酸またはトリアルキルシリルクロリドとの非プロトン溶媒中の反応により保護することができる。非プロトン溶媒の例は、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどである。
【0155】
式(I)の化合物は、式(II):
【化27】

【0156】
[式中、R2はヒドロキシ保護基である]の4"ヒドロキシ化合物と好適な活性化されかつ保護されたカルボン酸の誘導体(III)との反応を行った後に、必要な場合には、続いてヒドロキシル保護基R2の除去およびXaR11a基のXR11への変換により製造することができる。
【0157】
好適な活性化されたカルボキシル基の誘導体としては、対応するハロゲン化アシル、混合無水物またはチオエステルなどの活性化エステルが挙げられる。反応は、好ましくは、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)またはN,N-ジメチルホルムアミドなどの好適な非プロトン溶媒中で、任意にジメチルアミノピリジンまたはトリエチルアミンなどの三級有機塩基の存在のもとでまたは無機塩基(例えば水酸化ナトリウム)の存在のもとで、0〜120℃の範囲内の温度にて行う。式(II)と(III)の化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミドの存在のもとで反応させてもよい。
【0158】
本発明のさらなる実施形態においては、式(I)[式中、Uは-N(R30)-および-S-から選択される基である]は、式(IV):
【化28】

【0159】
[式中、dは1〜5の整数でありかつLは好適な脱離基である]の化合物とXaR11a(V)[ここでUは-N(R30)-および-S-から選択される基である]との反応により製造することができる。反応は、好ましくは、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたは酢酸エチルら、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドまたは1-メチル-ピロリジンなどの溶媒中でかつ塩基の存在のもとで行った後に、所望であれば、ヒドロキシル保護基R2を除去し、そしてXaR11a基をXR11へ変換する。利用しうる塩基の例としては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンおよび1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンなどの有機塩基、ならびに水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムらなどの無機塩基が挙げられる。この反応のための好適な脱離基としては、ハロゲン化物(例えば塩化物、臭化物またはヨウ化物)またはスルホニルオキシ基(例えばトシルオキシまたはメタンスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0160】
式(IV)の化合物は、式(II)[式中、R2はヒドロキシル保護基である]の化合物とカルボン酸の好適な活性化誘導体HOC(O)(CH2)dL(VI)[式中、Lは先に定義した好適な脱離基である]との反応により製造することができる。好適な活性化されたカルボキシル基の誘導体はカルボン酸(III)に対して先に定義したものである。反応は、式(II)の化合物とカルボン酸(III)との反応に対して先に記載した条件を用いて行う。
【0161】
好ましい本発明の実施形態において、式(I)の化合物[式中、dは2でありかつUは-N(R30)-および-S-から選択される基である]は、式(VII):
【化29】

【0162】
[式中、R2は任意にヒドロキシル保護基である]
の化合物と式XaR11a(V)の化合物とのMichael反応により製造することができる。反応は、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-ピロリドン、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはジメトキシエタン)、アセトニトリルまたはアルコール(例えばメタノールまたはイソプロパノール)などの溶媒中で、かつ塩基の存在のもとで好適に行われ、続いて、もし所望であれば、ヒドロキシル保護基R2の除去およびXaR11a基のXR11への変換を行う。
【0163】
式(I)の化合物を、式(I)の他の化合物に変換することができる。従って、式(I)の化合物[式中、Uは-S(O)z-でありかつzは1または2である]は、式(I)の対応する化合物[式中、zは0である]の酸化により製造することができる。酸化を好ましくは過酸、例えばペルオキシ安息香酸を用いて行った後に、トリフェニルホスフィンなどのホスフィンを用いて処理することができる。反応は、塩化メチレンなどの有機溶媒中で好適に行われる。式(I)の化合物[式中、Uは-N(R30)-でありかつR30はC1-4アルキルである]は、化合物[式中、R30は水素である]から還元アルキル化により製造することができる。
【0164】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり、R4またはR5はヒドロキシでありかつR3は水素でありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらは当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、EP 507595およびEP 503932に記載の手順によって製造することができる。
【0165】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-または-NHC(O)-であり、R4またはR5はヒドロキシでありかつR3は場合により9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより置換されたC1-4アルキルまたはC3-6アルケニルでありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらは当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、WO 9951616およびWO 0063223に記載の手順によって製造することができる。
【0166】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化30】

【0167】
を有する環状基を形成しかつR3は9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC1-4アルキルまたはC3-6アルケニルでありかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらは、US 6262030に記載の手順によって製造することができる。
【0168】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-または-CH(NR8R9)-でありかつR4またはR5はヒドロキシであるかまたはR4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化31】

【0169】
を有する環状基(式中、Yは-O-および-N(R13)-から選択される二価の基である)を形成しかつR3は9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC1-4アルキル、またはC3-6アルケニルである]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、EP 307177、EP 248279、WO 0078773、WO 9742204に記載の手順によって製造することができる。
【0170】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(CH3)-CH2-または-CH2-N(CH3)-であり、R4またはR5はヒドロキシであるかまたはR4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化32】

【0171】
を有する環状基を形成しかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物は、EP 508699およびJ. Chem. Res.Synop(1988, 152-153頁)、US 6262030に記載の手順によって製造することができる。
【0172】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(=NR10)-であり、R4またはR5はヒドロキシであるかまたはR4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化33】

【0173】
を有する環状基を形成しかつR6は水素である]は公知の化合物であるかまたはこれらの化合物は当技術分野で公知の方法と類似の方法により製造することができる。従って、これらの化合物、EP 284203に記載の手順によって製造することができる。
【0174】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化34】

【0175】
を有する環状基を形成し、R6は水素でありかつR3はC1-4アルキルである]は、式(VIII):
【化35】

【0176】
の化合物[式中、R34はヒドロキシ保護基である]の脱カルボキシル化を行った後に、必要な場合には、続いて保護基R2またはR34の除去により製造することができる。
【0177】
脱カルボキシル化は、塩化リチウムなどのリチウム塩の存在のもとで、好ましくは、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒中で行うことができる。
【0178】
式(II)の化合物[式中、Aは-C(O)-であり、R4とR5は介在する原子と一緒になって次の構造:
【化36】

【0179】
を有する環状基を形成しかつR3はC1-4アルキルである]は、WO 02/50091およびWO 02/50092に記載の手段によって製造することができる。
【0180】
式(III)の化合物[式中、Xは-U(CH2)v-であり、ここでUは-N(R30)-、-O-または-S-である]は、XaR11a(V)[式中、Xaはさきに定義した意味を有する]とR35OC(O)(CH2)dL(IX)[式中、R35はカルボキシル保護基でありかつLは好適な脱離基である]との反応を行った後に、R35の除去により製造することができる。好適なR35カルボキシル保護基としてはt-ブチル、アリルまたはベンジルが挙げられる。
【実施例】
【0181】
本発明をさらに完全に理解しうるように、次の実施例を単に説明の方法として記載する。
【0182】
次の略語を文中に用いる:Acはアセチル、BOCはt-ブトキシカルボニル、DCMはジクロロメタン、DMAPは4-ジメチルアミノピリジン、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMSOはジメチルスルホキシド、EtOAcは酢酸エチル、Meはメチル、MeOHはメタノール、TEAはトリエチルアミンおよびTFAはトリフルオロ酢酸をそれぞれ意味する。
【0183】
実施例
2'-O-アセチル-6-O-メチル-エリスロマイシンAは、W. R. Bakerら, J. Org. Chem. 1988, 53, 2340に記載の手順により製造することができ、2'-O-アセチル-アジスロマイシン-11,12-カルボナートはS. Djokicら, J. Chem. Res. (S) 1988, 152に記載の手順により製造することができ、そして11-O-(9E)-メトキシイミノエリスロマイシンAはE. Huntら, J. Chem. Soc., 1989, 1726に記載の手順により製造することができる。
【0184】
命名法
実施例において、R11が三環式ヘテロ環式基である式(I)の化合物は、以下の番号付けを用いて参照する:
【化37】

【0185】
1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン、および
【化38】

【0186】
6-オキソ-1,2-ジヒドロ-1H,5H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン。
【0187】
中間体1: 7-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸ナトリウム塩
a) 7-(3-t-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-7-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(0.495g、1.265mmol)、ヨウ化銅(I)(26mg、0.13mmol)およびトリエチルアミン(6.16mL、44mmol)を乾燥アセトニトリル(22mL)中に懸濁化した。明るい緑色の懸濁液を、アルゴンを通してバブリングしながら、50℃に加熱した。20分後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.026g、0.0379mmol)およびN-t-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(0.341g、2.05mmol)を加えて、褐色の懸濁液を還流下で加熱した。2時間後、反応混合物を冷却し、濾過しそして濃縮した。残留物をジクロロメタン中に移し、水を用いて洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮して褐色の油を得て、これをシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-2.5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物をベージュ色の固体として得た;ESMS m/z 417 [M+H]+
【0188】
1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-7-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸は、例えば、次の方法:
【化39】

【0189】
[式中、ステップ(i)はC.B. Ziegler, W. V. Curran, N. A. Kuck, S. M. HarrisおよびY-I Lin, J. Het. Chem., 1989, 26, 1141に記載の手順に従って行い、ステップ(ii)はヨウ化ナトリウムを用いて、例えばJ. Med. Chem., 2002, 67, 843の方法により行う]により製造することができる。
【0190】
b) 7-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
ジクロロメタン(12mL)中の中間体1a(0.322mg、0.77mmol)の溶液を10%パラジウム担持炭素(60mg)を用いて処理し、室温かつ大気圧にて終夜、水素化した。反応混合物を濾過し、濃縮して表題化合物を黄色の固体として得た;ESMS m/z 421 [M+H]+
【0191】
c) 7-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
ジクロロメタン(6mL)中の中間体1b(254mg、0.6mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(0.66mL)を加えた。0.75時間後、室温にて反応混合物を濃縮し、残留物をVarian Bond Elute SCXカートリッジに適用した。MeOHを用いて洗い流し、次いでMeOH中の0.04M NH3〜MeOH中の2.0M NH3を用いて溶出して表題化合物を黄色の油として得た;ESMS m/z 321 [M+H]+
【0192】
d) 7-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸ナトリウム塩
中間体1c(188mg、0.59mmol)を1,4-ジオキサン(6mL)中に懸濁化し、2N水酸化ナトリウム水溶液(0.28mL)を用いて処理した。懸濁液を2時間、音波処理し、次いで過剰の固体二酸化炭素を用いて処理した。ジオキサンを蒸発させ、そして得られる混合物を濾過して表題化合物を黄色の固体として得た。ESMS m/z 293 [M+H]+
【0193】
中間体2: 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
a) 1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
1,4-ジヒドロ-6-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸(J. Ellis, E. Gellert, J. Robson, Aust. J. Chem., 1973, 26, 907)(3.15g、10mmol)、炭酸カリウム(6.9g、50mmol)およびヨードエタン(15.6g、100mmol)の乾燥DMF中の混合物を、70℃にて激しく攪拌しながら加熱した。16時間後、混合物を冷却して酢酸エチルを用いて希釈した。得られる混合物を水を用いて洗浄し、有機相を分離し、乾燥し、そして蒸発させて表題化合物を淡黄色の固体として得た;1H NMR δ (CDCl3) 1.41 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.54 (3H, t, J = 7.3 Hz), 4.23 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.40 (2H, q, J = 7.1 Hz), 7.20 (1H, d, J = 8.9 Hz), 7.95 (1H, dd, J = 2.1 & 8.9 Hz), 8.48 (1H, s), 8.86 (1H, d, J = 2.1 Hz)。
【0194】
b) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体2a(0.371g、1mmol)およびN-t-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(0.264g、1.7mmol)の混合物から表題化合物を黄色の固体として得た;ESMS m/z 399 [M+H]+
【0195】
c) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1bに記載のものと類似の手順を用いて、中間体2b(0.366mg、0.77mmol)から表題化合物を黄色の油として得た;ESMS m/z 403 [M+H]+
【0196】
d) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1cに記載のものと類似の手順を用いて、中間体2c(355 mg、0.88 mmol)から表題化合物を黄色の油として得た;ESMS m/z 303 [M+H]+
【0197】
e) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸ナトリウム塩
中間体1dに記載のものと類似の手順を用いて、中間体2d(250mg、0.83mmol)から表題化合物を黄色の固体として得た;ESMS m/z 275 [M+H]+
【0198】
f) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
中間体2e(0.06 g、0.2 mmol)を逆相HPLC精製で処理して表題化合物を白色の固体として得た;1H NMR δ [(CD3)2SO] 1.54 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.0-2.1 (2H, m), 2.9-3.0 (4H, m), 4.58 (2H, q, J = 7.2 Hz), 7.85,(1H, dd, J = 2.2 & 8.8 Hz), 7.96 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.36 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.97 (1H, s)。
【0199】
中間体3: 2'-O-アセチル-4"-O-プロペノイル-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
2'-O-アセチル-アジスロマイシン-11,12-カルボナート(10.9g)のトルエン(300mL)中の溶液を、室温にてアルゴン雰囲気下で攪拌した。この溶液に、TEA(12.66mL)および3-クロロ-プロピオニルクロリド(1.94mL)を二分割して10分間にわたり加えた。20分後に、その溶液をNaHCO3(300mL)飽和水溶液を用いて希釈し、そしてトルエン(4x80mL)を用いて抽出した。集めた有機相を乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮して表題化合物(11.0g)を得た。MS; m/z (ES): 872 [MH]+
【0200】
中間体4: 4"-O-プロペノイル-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
中間体3(11.0g)のMeOH(200mL)中の溶液を室温で48時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて表題化合物(9.81g)を得た。
MS; m/z (ES): 829.1 [MH]+1H-NMR (500 MHz,) δ: 6.45 (d, 1H), 6.17 (dd, 1H), 5.87 (d, 1H), 5.11 (d, 1H), 4.88 (dd, 1H), 4.77 (d, 1H), 4.53 (d, 1H), 4.47-4.40 (m, 3H), 3.72 (m, 1H), 3.60 (d, 1H), 3.33 (s, 3H), 3.25 (dd, 1H), 2.87-2.85 (m, 2H), 2.58 (m, 1H), 2.44-2.38 (m, 2H), 2.32 (s, 6H), 2.21 (s, 3H), 2.06 (m, 1H), 2.00 (m, 1H), 1.92 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 170-1.56 (m, 4H), 1.45 (s, 3H), 1.40 (dd, 1H), 1.29 (s, 3H), 1.25 (m, 1H), 1.22 (d, 3H), 1.18 (d, 6H), 1.12 (s, 3H), 108-1.06 (2d, 6H), 0.93 (m, 6H)。
【0201】
中間体5: 4"-O-プロペノイル-アジスロマイシン
中間体4(1.3g)のアセトニトリル(50mL)中の溶液に、炭酸カリウム(30mL)の飽和水溶液を室温にて加えた。得られる混合物を70℃にて8時間加熱した。次いで混合物を水(100mL)を用いて希釈し、EtOAc(4x30mL)を用いて抽出した。集めた有機相を乾燥し、濾過しそして減圧下で濃縮した。組成生物をフラッシュクロマトグラフィ(溶出液:DCM/MeOH/NH390/9/0.5)により精製して表題化合物(530mg)を得た。
MS; m/z (ES): 804 [MH]+
【0202】
中間体6: 2'-O-アセチル-4"-O-プロペノイル-6-O-メチルエリスロマイシンA
2'-O-アセチル-6-O-メチル-エリスロマイシンA(1.1g)のDCM(20mL)中の溶液に、ピリジン(1.7mL)および塩化アクリル(1.1mL)を0℃にて加えた。2時間後、ピリジン(1.7mL)および塩化アクリル(1.1mL)をさらに加えた。反応混合物をNH4Clの飽和水溶液(10mL)を用いてクエンチし、DCM(3x20mL)を用いて抽出した。有機相をNaHCO3飽和水溶液(10mL)、水(10mL)を用いて洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で蒸発させた。組成生物をフラッシュクロマトグラフィ(DCM/MeOH/NH395/5/0.5)により精製して表題化合物(470mg)を得た;ESMS m/z 844 [M+H]+
【0203】
中間体7: 2'-O-アセチル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA-11,12-カルバメート
6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA-11,12-カルバメート(Alihodzicら、WO 03/042228)のジクロロメタン(50mL)中の溶液に、NaHCO3(478mg)を室温にて加えた。この溶液に無水酢酸(0.153mL)を加えて終夜攪拌した。この混合物にブライン(50mL)および水(20mL)を加えた。有機相を分離し、ブライン(20mL)を用いて洗浄し、乾燥し、濾過し、そして減圧下で蒸発させて表題化合物(1.2g)を得た。MS; m/z (ES): 816.2 [MH]+
【0204】
中間体8: 2'-O-アセチル-4"-O-プロペノイル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA-11,12-カルバメート
中間体7をトルエン(50mL)中に溶解し、溶媒を蒸発させた。これを2回実施した。その後、残留物を再びトルエン(45mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で攪拌した。この溶液に、TEA(1.8mL)および3-クロロプロピオニルクロリド(0.40mL)を(3分割して20分間にわたって)加えた。20分後、NaHCO3(50mL)飽和水溶液を加えた。水溶液をトルエン(3x50mL)を用いて抽出し、組合わせた有機溶液をK2CO3上で乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去して表題化合物(1.04g)を得た。
【0205】
MS; m/z (ES): 870.1 [MH]+
【0206】
中間体9: 4"-O-プロペノイル-6-O-メチルエリスロマイシンA
中間体6(1.82g)をMeOH(100mL)に溶解し、そして60℃にて4時間、次いで室温にて16時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、そして粗生成物フラッシュクロマトグラフィ(溶出液:MeOH/DCM/NH4OH 5/90/0)により精製して表題化合物(1.4g)を得た。
MS; m/z (ES): 802 [MH]+1H-NMR (500 MHz) δ: 6.44 (d, 1H), 6.13 (dd, 1H), 5.89 (d, 1H), 5.07 (d, 1H), 5.00 (d, 1H), 4.75 (d, 1H), 4.60 (d, 1H), 4.38 (m, 1H), 3.97 (s, 1H), 3.80-3.73 (m, 2H), 3.66 (d, 1H), 3.46 (s, 1H), 3.32 (s, 3H), 3.21-3.18 (m, 2H), 3.04 (s, 3 H), 3.00 (m, 1H), 2.92 (m, 1H), 2.56 (m, 2H), 2.43 (d, 1H), 2.31 (s, 6H)。13C-NMR (75 MHz) δ: 221.0; 175.7; 165.8; 131.5; 128.0; 102.1; 96.0; 80.5, 78.8, 78.3; 78.0; 76.6; 74.3, 72.7; 71.1; 69.1; 67.8; 65.3; 63.2: 50.7; 49.5; 45.3; 44.9; 40.3; 39.2; 38.8; 37.2; 35.2; 28.9; 21.7, 21.1; 19.7, 18.3, 18.0, 15.9; 12.3; 10.6; 9.1。
【0207】
中間体10: O-(9E)-メトキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
a) 2'-O-アセチル-O-(9E)-メトキシイミノエリスロマイシンA
11-O-(9E)-メトキシイミノエリスロマイシンA(5.7g、7.4mmol)のジクロロメタン(70mL)中の溶液をトリエチルアミン(1.63g、16mmol)を用いて処理した後に、無水酢酸(1.27g、12.5mmol)により処理した。終夜、室温にて攪拌した後、混合物をジクロロメタンを用いて希釈し、そして炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて洗浄した。有機相を分離し、乾燥し、そして蒸発させて表題生成物を固体として得た。
【0208】
ESMS m/z 806 [MH+]。
【0209】
b) 2'-O-アセチル-(9E)-メトキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体3に記載のものと類似の手順を用いて、中間体10a(5.3g、6.6mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。
【0210】
ESMS m/z 860 [MH+]。
【0211】
c) O-(9E)-メトキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体4に記載のものと類似の手順を用いて、中間体10b(4.17g、4.86mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。
【0212】
ESMS m/z 818 [MH+]。
【0213】
中間体11: 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸ナトリウム塩
a) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(0.469g、1.265mmol)、ヨウ化銅(I)(26mg、0.13mmol)およびトリエチルアミン(6.16mL、44mmol)を乾燥アセトニトリル(22mL)中に懸濁化した。明るい緑色懸濁液を、アルゴンを通してバブリングし、50℃まで加熱した。20分後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.026g、0.0379mmol)およびt-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(0.341g、2.05mmol)を加え、褐色の懸濁液を還流下で加熱した。2時間後、反応混合物を冷却し、濾過し、そして濃縮した。残留物を、ジクロロメタン中に移しそして水を用いて洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮しそして褐色の油を得てこれをシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-2.5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 399 (MH+)。
【0214】
b) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(0.306g、0.77mmol)をジクロロメタン(12mL)に溶解し、10%パラジウム担持炭素(0.06g)を用いて処理し、そして室温および大気圧にて終夜、水素化した。反応混合物を濾過しかつ濃縮して表題化合物を黄色の固体として得た。
ESMS m/z 403 (MH+)。
【0215】
c) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(0.242g、0.6mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解しそしてトリフルオロ酢酸(0.66mL)を加えた。0.75時間後、室温にて反応混合物を濃縮し、残留物をVarian Bond Elute SCXカートリッジに適用した。MeOHを用いて洗い流し、次いでMeOH中の0.04M NH3〜MeOH中の2.0M NH3を用いて溶出し、表題化合物を黄色の油として得た。ESMS m/z 303 (MH+)。
【0216】
d) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸ナトリウム塩
6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(0.179g、0.59mmol)を1,4-ジオキサン(6mL)中に懸濁化し、そして2M水酸化ナトリウム水溶液(0.28mL)を用いて処理した。懸濁液を2時間、音波処理し、次いで過剰の固体二酸化炭素を用いて処理した。ジオキサンを蒸発させ、得られる混合物を濾過して表題化合物を黄色の固体として得た。
ESMS m/z 275 (MH+)。
【0217】
中間体12: 4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-2'-O-アセチル-(9E)-O-メトキシイミノエリスロマイシンA
実施例1aの製造に記載のものと類似の手順を用いて、中間体10b(0.36g、0.41mmol)および中間体2f(0.165g、0.41mmol)から表題化合物を得た。ESMS m/z 1133[MH+]。
【0218】
中間体13: 2-((3,4-ジヒドロ-2H-キノリン-1-イル)メチレン)マロン酸ジエチル
テトラヒドロキノリン(13.32g、100mmol)とエトキシメチレンマロン酸ジエチル(21.62g、100mmol)の混合物を、130℃までDean-Stark装置を用いて加熱した。1時間後、反応混合物を濃縮して表題化合物を褐色の油として得た。
ESMS m/z 304 (MH+)。
【0219】
中間体14: 1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン-2-カルボン酸エチル
中間体13(2.5g、8.24mmol)をポリリン酸中に溶解し、その粘性混合物を4時間110℃にて攪拌した。反応混合物を冷却した後、氷を加えた。得られる沈降物を濾過除去し、水を用いて洗浄し、次いでデシケーター中で五酸化リンの存在のもとで乾燥して表題化合物をベージュ色の固体として得た。
ESMS m/z 258 (MH+). 1H NMR (DMSO-d6) δ 8.55(s, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.54 (dd, 1H), 7.36 (dd, 1H), 4.27 (q, 2H), 4.22 (q, 2H), 3.00 (t, 2H), 2.10 (tt, 2H), 1.28 (t, 3H)。
【0220】
中間体15: 9-ブロモ-1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン-2-カルボン酸エチル
中間体14(290mg、1.13mmol)を酢酸(3mL)に溶解し、臭素(197mg、1.23mmol)を滴下した。反応物をLC/MSにより処理し、さらに臭素(2 X 197mg)を加えた。24時間後、水を加え、そして沈降物を濾過除去し、ジエチルエーテルを用いて洗浄し、次いでデシケーター中で五酸化リンの存在のもとで乾燥してオレンジ色の固体を得て、これをシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-1.5%(9:1MeOH/20MNH3)を用いて溶出して表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 336/338 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.34(d, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 4.37 (q, 2H), 4.17 (t, 2H), 3.03 (t, 2H), 2.23 (tt, 2H), 1.40 (t, 3H)。
【0221】
中間体16: 9-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン-2-カルボン酸エチル
酢酸パラジウム(73mg、0.32mmol)およびトリフェニルホスフィン(191mg、0.72mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(6mL)中の黄色の懸濁液を、アルゴン雰囲気下で0℃に冷却した。n-ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M、284μL)の溶液を滴下し、そして15分後に、暗緑色の懸濁液を室温にて15分間暖めた。次いでこの懸濁液を、アルゴン雰囲気下で、ジエチルアミン(6mL)中の中間体15(337mg、1mmol)、ヨウ化銅(84mg、0.44mmol)およびt-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(198mg、1.28mmol)の白色懸濁液中にカニューレを経て挿入した。褐色の懸濁液を45℃にて2時間暖め、次いで濾過除去し、そしてシリカゲル上に前吸着させた。シリカゲル上のクロマトグラフィを、ジクロロメタン中の0-5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物を褐色の油として得た。ESMS m/z 411 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.23(s, 1H), 8.12 (d, 1H), 7.29 (d, 1H), 5.1 (m, 1H), 4.35 (q, 2H), 4.15 (m, 2x2H), 2.97 (t, 2H), 2.19 (tt, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.38 (t, 3H)。
【0222】
中間体17: 9-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピル)-1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン-2-カルボン酸エチル
中間体16(318mg、0.77mmol)をジクロロメタン(50mL)中に溶解し、10%パラジウム担持炭素(200mg)を用いて処理し、室温および大気圧にて終夜、水素化した。反応混合物を濾過しそして濃縮して褐色の油を得て、これをシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-1%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物を褐色の油として得た。ESMS m/z 415 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.34(s, 1H), 8.11 (bs, 1H), 7.25 (bs, 1H), 4.60 (m, 1H), 4.37 (q, 2H), 4.17 (t, 2H), 3.13 (q, 2H), 3.02 (t, 2H), 2.71 (t,2H), 2.20 (tt, 2H), 1.85 (tt, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.40 (t, 3H)。
【0223】
中間体18: 9-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピル)-1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]キノリン-2-カルボン酸ナトリウム塩
中間体17(240mg、0.59mmol)をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液(0.32mL)を用いて処理した。溶液を50℃に終夜、加熱し、次いで過剰の固体二酸化炭素を用いて処理した。溶媒を蒸発させて表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 387 (MH+)。NMR (DMSO-d6) δ 8.83 (s, 1H), 8.11 (bs, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 6.89 (bt, 1H), 4.41 (bt, 2H), 3.04 (t, 2H), 2.94 (q, 2H), 2.71 (t,2H), 2.13 (m, 2H), 1.74 (m, 2H), 1.37 (s, 9H)。
【0224】
中間体19: 9-(3-アミノ-プロピル)-1-オキソ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド [3,2,1-ij] キノリン-2-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
中間体18(224mg、0.58mmol)をトリフルオロ酢酸(3mL)中に溶解した。0.5時間後、室温にて反応混合物を濃縮して表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 287 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 8.83 (s, 1H), 8.15 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 4.43 (t, 2H), 3.14 (t, 2H), 2.98 (t, 2H), 2.89 (t,2H), 2.66 (tt, 2H), 2.05 (tt, 2H)。
【0225】
中間体20: 2-((2,3-ジヒドロ-インドール-1-イルメチレン)マロン酸ジエチル
中間体13に記載のものと類似の手順を用いて、インドリン(11.9g、100mmol)およびジエチルエトキシメチレンマロン酸(21.62g、100mmol)の混合物から110℃にて表題化合物を褐色の油として得た。ESMS m/z 290 (MH+)。
【0226】
中間体21: 6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸
中間体14に記載のものと類似の手順を用いて、中間体20(28.9g、100mmol)およびポリリン酸(85g)の混合物から130℃にて表題化合物を褐色の油として得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 15.6 (s,1H), 9.11 (s, 1H), 7.97 (dd, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.57 (dd, 1H), 4.77 (t, 2H), 3.57 (t, 2H)。
【0227】
中間体22: 6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸エチル
中間体21(900mg、4.19mmol)を暖かいジメチルホルムアミド(50mL)中に溶解し、次いで炭酸カリウム(2.89g、20.95mmol)およびヨードエタン(3.35mL、41.9mmol)を加えた。褐色の懸濁液を70℃にて3時間攪拌し、次いで反応混合物を濃縮した。残留物をメタノールに移し、固体を濾過除去し、濾液をシリカゲル上に前吸着させた。シリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出し、表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 266 (MNa+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.57 (s, 1H), 8.08(dd, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.32 (dd, 1H), 4.55 (t, 2H), 4.38 (q, 2H), 3.57 (t, 2H), 1.41 (t, 3H)。
【0228】
中間体23: 8-ブロモ-6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸エチル
中間体15に記載のものと類似の手順を用いて、中間体22(320mg、1.3mmol)、酢酸(3ml)及び臭素(222μL、4.34mmol)の混合物から表題化合物を黄色の固体として得た。ESMS m/z 322/324 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.49(s, 1H), 8.15 (bs, 1H), 7.53 (bs, 1H), 4.56 (t, 2H), 4.36 (q, 2H), 3.56 (t, 2H), 1.39 (t, 3H)。
【0229】
中間体24: 8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸エチル
中間体16に記載のものと類似の手順を用いて、酢酸パラジウム(158mg、0.69mmol)、トリフェニルホスフィン(415mg、1.56mmol)、テトラヒドロフラン(13mL)、n-ブチルリチウム(ヘキサン中の1.5M、968μL)、中間体23(700mg、2.17mmol)、ヨウ化銅(182mg、0.96mmol)、t-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(430mg、2.77mmol)およびジエチルアミン(13mL)の混合物から、表題化合物を褐色の固体として得た。ESMS m/z 397 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.43(s, 1H), 7.98 (bs, 1H), 7.36 (bs, 1H), 4.95 (m, 1H), 4.53 (t, 2H), 4.36 (q, 2H), 4.17 (m, 2H), 3.50 (t, 2H), 1.48 (s, 9H), 1.39 (t, 3H)。
【0230】
中間体25: 8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピル)-6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸エチル
中間体17に記載のものと類似の手順を用いて、中間体24(396mg、1mmol)、ジクロロメタン(80mL)および10%パラジウム担持炭素(400mg)の混合物から、表題化合物を黄色の油として得た。ESMS m/z 401 (MH+)。1H NMR (CDCl3) δ 8.54(s, 1H), 7.88 (bs, 1H), 7.32 (bs, 1H), 4.57 (m, 1H), 4.54 (t, 2H), 4.37 (q, 2H), 3.54 (t, 2H), 3.14 (td, 2H), 2.75 (t, 2H), 1.83 (tt, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.40 (t, 3H)。
【0231】
中間体26: 8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-プロピル)-6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸ナトリウム塩
中間体18に記載のものと類似の手順を用いて、中間体25(290mg、0.72mmol)、テトラヒドロフラン(3mL)、ジオキサン(3mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(800uL)の混合物を60℃に加熱して表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 373 (MH+)。1H NMR (DMSO-d6) δ 8.80 (bs, 1H), 7.68 (bs, 1H), 7.48 (bs, 1H), 6.85 (bt, 1H), 4.62 (bt, 2H), 3.51 (t, 2H), 2.95 (td, 2H), 2.73 (t,2H), 1.71 (tt, 2H), 1.34 (s, 9H)。
【0232】
中間体27: 8-(3-アミノ-プロピル)-6-オキソ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]キノリン-5-カルボン酸2,2,2-トリフルオロ酢酸塩
中間体19に記載のものと類似の手順を用いて、中間体26(285mg、0.72mmol)およびトリフルオロ酢酸(3mL)から、FLEX精製後に表題化合物をピンク色の固体として得た。ESMS m/z 273 (MH+)。1H NMR (DMSO-d6) δ 15.65 (bs, 1H), 9.07 (s, 1H), 7.85 (bs, 3H), 7.81 (bs, 1H), 7.66 (bs, 1H), 4.77 (t, 2H), 3.55 (hidden t, 2H), 2.83 (m, 4H), 1.91 (tt, 2H)。
【0233】
中間体28a: 2'-O-アセチル-O-(9E)-1-(メチルオキシ)-2-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}エタノオキシイミノエリスロマイシンA
中間体10aに記載のものと類似の手順を用いて、O-(9E)-1-(メチルオキシ)-2-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}エタノオキシイミノエリスロマイシンA(6.25g、7.47mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 880 [MH+]。
【0234】
中間体28b: 2'-O-アセチル-(9E)-1-(メチルオキシ)-2-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}エタノオキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体3に記載のものと類似の手順を用いて、中間体28a(6.57g、7.47mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 934 [MH+]。
【0235】
中間体28c: O-(9E)-1-(メチルオキシ)-2-{[(メチルオキシ)メチル]オキシ}エタノオキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体4に記載のものと類似の手順を用いて、中間体28b(5.45g、5.84mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 892 [MH+]。
【0236】
中間体29a: 2'-O-アセチル-O-(9E)-アセチルヒドロキシイミノ エリスロマイシンA
中間体10aに記載のものと類似の手順を用いて、O-(9E)-ヒドロキシイミノエリスロマイシンA(TetrahedronLett., 1967:1645、1967)(1.63g、1.96mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 834 [MH+]。
【0237】
中間体29b: 2'-O-アセチル-(9E)-アセチルヒドロキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体3に記載のものと類似の手順を用いて、中間体29a(1.20g、1.35mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 888 [MH+]。
【0238】
中間体29c: O-(9E)-オキシイミノ-4"-O-プロペノイルエリスロマイシンA
中間体4に記載のものと類似の手順を用いて、中間体29b(1.00g、1.24mmol)から表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 804 [MH+]。
【0239】
キノロンエステル30(a-p)を製造する一般的手順
6-[3-({[(1,1-ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-3-キノリンカルボン酸(0.85g、2.27mmol)および炭酸カリウム(0.63g、4.54mmol)のDMF(15mL)中の溶液を、60℃にて必要なアルキル化剤(2当量)を用いて処理した。反応はLC/MSにより試験した。反応が完了すると、混合物を冷却し、DMFを蒸発させ、残留物を水とジクロロメタンの間に分配した。有機相を分離し、乾燥し、そして蒸発させた。シリカゲル上のクロマトグラフィで処理し、増加する濃度のメタノール/水酸化アンモニウムを含有するジクロロメタンにより溶出してN-Boc保護された中間体を得た。TFA(1mL)を用いて処理し、蒸発させた後、以下に記載のアミントリフルオロ酢酸塩30(a-p)を得た。
【0240】
中間体30a: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸エチルエステル
ESMS m/z 303 [MH+]。
【0241】
中間体30b: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸ブチルエステル
ESMS m/z 431 [MH+]。
【0242】
中間体30c: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル
ESMS m/z 389 [MH+]。
【0243】
中間体30d: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸2-(1-N-ピペリジニル)エチルエステル
ESMS m/z 386 [MH+]。
【0244】
中間体30e: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸2-メトキシエチルエステル
ESMS m/z 333 [MH+]。
【0245】
中間体30f: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸2-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)メチルエステル
ESMS m/z 360 [MH+]。
【0246】
中間体30g: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸2-(1-N-モルホリノ)エチルエステル
ESMS m/z 388 [MH+]。
【0247】
中間体30h: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸(エトキシカルボニルメチルカルバモイル)メチルエステル
ESMS m/z 418 [MH+]。
【0248】
中間体30i: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸-i-プロピルエステル
ESMS m/z 317 [MH+]。
【0249】
中間体30j: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸-i-ブチルエステル
ESMS m/z 331 [MH+]。
【0250】
中間体30k: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸アリルエステル
ESMS m/z 315 [MH+]。
【0251】
中間体30m: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸シクロプロピルメチルエステル
ESMS m/z 329 [MH+]。
【0252】
中間体30n: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸3-ブテニルエステル
ESMS m/z 329 [MH+]。
【0253】
中間体30p: 6-(3-アミノプロピル)-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロキノリン-3-カルボン酸2-ブチニルエステル
ESMS m/z 327 [MH+]。
【0254】
中間体31: 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
a) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1aに記載のものと類似の手順を用いて、1,4-ジヒドロ-6-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(J. Tucker; V. Vaillancourt; J. Strohbach; K. Romines; M. Schnute; M. Cudahy; S. ThaisrivongsおよびS. Turner, WO 99/32450)(1.97g、5.73mmol)およびN-t-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(1.34g、8.6mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中の混合物から、57℃にて表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 371 [M+H]+
【0255】
b) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1bに記載のものと類似の手順を用いて、ジクロロメタン:メタノール3:1(100mL)中の中間体31a(1.00g、2.71mmol)から、表題化合物を黄褐色の固体として得た;ESMS m/z 375 [M+H]+
【0256】
c) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体31b(0.496g、1.32mmol)および炭酸カリウム(0.274g、1.98mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の混合物に、ヨードメタン(0.17mL、2.65mmol)を加えた。4.5時間後に、混合物を酢酸エチルを用いて希釈し、濾過し、次いで真空中で濃縮した。残留物を水中に移し、酢酸エチルを用いて抽出し、次いで有機相を組合わせて、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして真空中で濃縮して表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 389 [M+H]+
【0257】
d) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸
中間体31c(0.494g、1.27mmol)のテトラヒドロフラン(8mL)中の溶液を、0.2N水酸化ナトリウム水溶液(7.6mL)を用いて処理した。29時間後、その混合物を真空中で濃縮した。得られる残留物を水中に移し、過剰の固体二酸化炭素を用いて処理し、そして濾過して表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 361 [M+H]+
【0258】
e) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
中間体31d(0.388g、1.08mmol)のジクロロメタン(6mL)中の溶液を、トリフルオロ酢酸(2mL)を用いて処理した。35分後、溶媒を真空で除去し、残留物をトルエン(20mL)中に移し、混合物を真空で濃縮し、次いで残留物をジクロロメタン(20mL)中に移し、そして真空で濃縮して表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 261 [M+H]+
【0259】
中間体32: 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
a) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体31b(0.491g、1.31mmol)、炭酸ナトリウム(0.209g、1.97mmol)、およびヨウ化ナトリウム(0.235g、1.57mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の混合物に、1-ブロモ-2-メトキシエタン(0.15mL、1.57mmol)を加えた。室温にて17.5時間攪拌した後、混合物を67℃に加熱してさらに31時間攪拌した。次いでさらに炭酸ナトリウム(0.050g、0.47mmol)および1-ブロモ-2-メトキシエタン(0.04mL、0.43mmol)を加え、加熱をさらに65時間続けた。次いで混合物を酢酸エチルを用いて希釈し、濾過し、そして真空で濃縮した。この残留物を水中に移し、酢酸エチルを用いて抽出し、次いで有機層を組み合わせ、乾燥し(MgSO4)、濾過し、そして真空で濃縮して残留物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、0-50%酢酸エチルを含有するジクロロメタン)により精製して表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 433 [M+H]+
【0260】
b) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸
中間体31dに記載のものと類似の手順を用いて、中間体32a(0.287g、0.66mmol)から表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 405 [M+H]+
【0261】
c) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
中間体31eに記載のものと類似の手順を用いて、中間体32b(0.178g、0.44mmol)から表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 305 [M+H]+
【0262】
中間体33: 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
a) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノ-プロパ-1-イニル)-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1aに記載のものと類似の手順を用いて、1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-6-ヨード-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(S. Turner; J. Strohbach; S. Thaisrivongs; V. Vaillancourt; M. Schnuteおよび J. Tucker, WO 00/40561)(0.647g、1.69mmol)およびN-t-ブトキシカルボニルプロパギルアミン(0.393g、2.53mmol)のアセトニトリル(15mL)中の混合物から、50℃にて表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 411 [M+H]+
【0263】
b) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体1bに記載のものと類似の手順を用いて、ジクロロメタン(20mL)中の中間体33a(0.450g、1.10mmol)から表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 415 [M+H]+
【0264】
c) 6-(3-t-ブトキシカルボニルアミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸
中間体32bに記載のものと類似の手順を用いて、中間体33b(0.447g、1.08mmol)から表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 387 [M+H]+
【0265】
d) 6-(3-アミノプロピル)-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-キノリン-3-カルボン酸トリフルオロ酢酸塩
中間体32cに記載のものと類似の手順を用いて、中間体33c(0.392g、1.01mmol)から表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 287 [M+H]+
【0266】
中間体34: 6-プロパ-2-イニルオキシ-ヘキサン酸エチルエステル
6-ヒドロキシ-ヘキサン酸エチルエステル(0.5mL、3.1mmol)のTHF(5mL)中の溶液に、テトラブチルアンモニウムヨージド(57.2mg、0.155mmol)、ヨウ化ナトリウム(69.7mg、0.465mmol)、3-ブロモ-プロピン(518μl、4.65mmol)および水酸化カリウム(173.9mg、3.1mmol)を加え、混合物を5時間、室温にて攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水(2x20mL)を用いて抽出した。有機相をNaCl(2x20mL)を用いて洗浄し、K2CO3上で乾燥し、そして真空で蒸発させて表題生成物(0.347g)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 199.27。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ ppm: 4.09 (2H, CH2), 4.04 (2H, CH2), 3.40 (2H, CH2), 3.37 (H, C≡CH), 2.27 (2H, CH2), 1.48 (4H, 2xCH2), 1.30 (2H, CH2), 1.17 (3H, CH3)。13C NMR (300 MHz, DMSO) δ ppm: 177.40, 85.14, 81.44, 73.57, 64.26, 61.89, 37.99, 33.21, 29.80, 28.88, 18.74。
【0267】
中間体35: 6-[3-(5-エトキシカルボニル-ペンチルオキシ)-プロパ-1-イニル]1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
中間体2a(312mg、0.84mmol)、ヨウ化銅(I)(16mg、0.084mmol)およびトリエチルアミン(4.072mL、29.4mmol)を、乾燥アセトニトリル(10mL)中に懸濁化した。懸濁液を50℃に加熱し、N2を通してバブリングした。20分後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(18mg、0.0252mmol)および中間体34(347mg、1.75mmol)を加え、懸濁液を50℃にて4時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をEtOAcおよび水(2x50mL)を用いて抽出した。有機相をNaClおよびNaHCO3(2x50mL)を用いて洗浄し、K2CO3上で乾燥し、そして真空で蒸発させて表題生成物(476mg)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 442.25。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ ppm: 8.70 (1H, Q), 8.23 (1H, Q), 7.82 (2x1H, Q), 4.43 (2H, Q-N-CH2-CH3), 4.40 (2H, CH2), 4.23 (2H,Q-CO2-CH2-CH3), 4.03 (2H, CH2), 3.52 (2H, CH2), 2.29 (2H, CH2), 1.55 (4H, 2xCH2), 1.36 (3H, Q-N-CH2-CH3), 1.34 (2H, CH2), 1.29 (Q-CO2-CH2-CH3), 1.16 (3H, CH3)。13C NMR (300 MHz, DMSO) δ ppm: 172.73, 171.87, 164.33, 149.20, 138.32, 134.88, 129.34, 128.15, 118.20, 117.94, 110.55, 87.26, 84.29, 69.11, 59.74, 59.54, 57.82, 47.93, 33.37, 28.57, 25.10, 24.17, 14.23, 14.02。
【0268】
中間体36: 6-[3-(5-カルボキシ-ペンチルオキシ)-プロパ-1-イニル]-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-3-カルボン酸
中間体35(476mg、1.08mmol)のTHF(5.55mL)中の溶液に、水酸化ナトリウム(185mg、4.62mmol)の水(5.5mL)中の溶液を加え、そして混合物を80℃にて2時間、および室温にて12時間攪拌した。反応混合物をEtOAcおよび水(2x20mL)を用いて抽出した。水層のpH値を9.8〜5.2に、2N HClを加えて調節し、そしてその層をDCMを用いて抽出した。有機層を真空で蒸発させて表題生成物(184mg)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 386.19。
【0269】
中間体37: 2'-アセチル-4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-アジスロマイシン
中間体36(184mg、0.48mmol)の乾燥DMF(6mL)(0℃に冷却しかつN2をバブリングした)中の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(131.8mg、0.69mmol)を加え、そして2'OAc-アジスロマイシン(237.3mg、0.3mmol)の乾燥DCM(3mL)中の溶液を滴下した。次いでDMAP(61.6mg、0.504mmol)を反応混合物に加えた。懸濁液を最初に0℃にて3時間攪拌し、次いで徐々に室温まで24時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をEtOAcおよび水(2x20mL)を用いて抽出した。有機層をK2CO3上で乾燥し、真空で蒸発させて表題生成物(325mg)を得た。MS (ES) m/z: [MH]+ 1158.63。
【0270】
中間体38:4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-アジスロマイシン
中間体37(325mg、0.28mmol)のメタノール(40mL)中の溶液を、55℃まで12時間加熱した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH:NH3=90:5:0.5)により精製して粗製の黄色生成物(106mg)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 1117.08。
【0271】
中間体39:2'-アセチル-4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-クラリスロマイシン
中間体37に記載のものと類似の手順を用いて、乾燥DCM(3mL)中の中間体36(148mg、0.38mmol)および2'OAc-クラリスロマイシン(233mg、0.3mmol)から、表題生成物(302mg)を得た。
【0272】
中間体40:4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-クラリスロマイシン
中間体38に記載のものと類似の手順を用いて、中間体39(302mg、0.26mmol)から表題生成物を黄色の固体(78mg)として得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 1115.55。
【0273】
中間体41: 2'-アセチル-4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-11-O-Me-アジスロマイシン
中間体37に記載のものと類似の手順を用いて、乾燥DCM(5mL)中の中間体36(280mg、0.73mmol)および2'OAc-11-O-Me-アジスロマイシン(Kobrehelら, J. Antibiotics, 1982, 45, 527)(489mg、0.61mmol)から表題生成物(250mg)を得た。
【0274】
中間体42:4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ヘキサノイル}-11-O-Me-アジスロマイシン
中間体38に記載のものと類似の手順を用いて、中間体41(250mg、0.21mmol)から表題生成物を黄色の固体(141mg)として得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 1130.56。
【0275】
実施例1:4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA
【化40】

【0276】
a) 2'-O-アセチル-4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA
中間体6(0.089g、0.1mmol)および中間体1のトリフルオロ酢酸塩(0.1g、0.25mmol)のDMSO(3mL)、水(5滴)およびトリエチルアミン(0.127g、1.25mmol)中の混合物を80℃にて加熱した。3日後、さらなる中間体6(0.089g、0.1mmol)を加え、混合物をさらに2日間加熱した。混合物を冷却し、ジクロロメタンと水の間で分配し、有機相を乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィで処理し、ジクロロメタン中の0〜2.5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出し、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1136 [M+H]+
【0277】
b) 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA
実施例1a(0.04g、0.035mmol)をメタノール(5mL)に溶解し、50℃に24時間加熱した。反応混合物を濃縮して表題化合物をベージュ色の固体として得た;ESMS m/z 1094 [M+H]+
【0278】
実施例2: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン−トリストリフルオロ酢酸塩
【化41】

【0279】
メタノール(3mL)中の中間体1(0.117g、0.34mmol)および中間体5(0.273g、0.34mmol)を、64℃にて終夜加熱した。反応混合物をシリカゲル上のクロマトグラフィで処理し、ジクロロメタン中の0-10%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出した後に、逆相HPLC精製を行って表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1095 [M+H]+
【0280】
実施例3: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
【化42】

【0281】
イソプロパノール(4mL)、水(1滴)およびトリエチルアミン(0.069g、0.68mmol)中の中間体4(0.282g、0.34mmol)および中間体1(0.117g、0.34mmol)を、80℃にて加熱した。3日後、DMSO(2mL)を加え、混合物を終夜加熱し、反応混合物をメタノールを用いて希釈し、そして逆相HPLC精製を行った後にシリカゲル上のクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン中の0-5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出し、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1121 [M+H]+.
実施例4: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA
【化43】

【0282】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体9(0.120g、0.15mmol)および中間体2(0.058g、0.15mmol)から表題化合物を白色の固体として得た;1H NMR δ (CDCl3) 4.99 (1H, d, J = 5.0 Hz), 5.06 (1H, d, J = 8.9 Hz), 7.57 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.69 (1H, d x d, J = 2.1 & 8.7 Hz), 8.37 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.77 (1H, s); ESMS m/z 1076 [M+H]+
【0283】
実施例5: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン
【化44】

【0284】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体5および中間体2e(0.082g、0.26mmol)から表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1077 [M+H]+
【0285】
実施例6: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
【化45】

【0286】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体4(0.216g、0.26mmol)および中間体2e(0.082g、0.26mmol)から、表題化合物を白色の固体として得た;1H NMR δ (CD3OD) 4.85 (1H, d, J = 6.0 Hz), 5.09 (1H, d, J = 4.4 Hz), 7.78 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.86 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.30 (1H, d, J = 1.6 Hz), 8.84 (1H, s);ESMS m/z 1103 [M+H]+
【0287】
実施例7: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメート二蟻酸塩
【化46】

【0288】
a) 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル-2'-O-アセチル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメート
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体8(0.108g、0.125mmol)および中間体2eからクロマトグラフィ処理後に、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1143 [M+H]+。また、4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル-2'-O-アセチル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメートメチルエステルも単離し、白色の固体として得た;ESMS m/z 1157 [M+H]+
【0289】
b) 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメート二蟻酸塩
実施例1bに記載のものと類似の手順を用いて、実施例7aの化合物を表題化合物に変換した。逆相HPLCにより精製して白色の固体を得た;1H NMR δ (CD3OD) 4.98 (1H, d, J = 4.8 Hz), 5.05 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.84 (1H, d x d, J = 2.0 & 9.2 Hz), 7.95 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.36 (1H, d, J = 1.6 Hz), 8.97 (1H, s); ESMS m/z 1102 [M+H]+
【0290】
実施例8: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメートメチルエステル二蟻酸塩
【化47】

【0291】
実施例1bに記載のものと類似の手順を用いて、実施例7aで得た4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル-2'-O-アセチル-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA11,12-カルバメートメチルエステルを、表題化合物に変換した。逆相HPLCにより精製して白色の固体を得た;ESMS m/z 1116 [M+H]+
【0292】
実施例9: 4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-メトキシイミノエリスロマイシンA
【化48】

【0293】
実施例1bの製造について記載したものと類似の手順を用いて、中間体12 (0.14 g, 0.12 mmol)から 表題化合物を 白色の固体として得た。ESMS m/z 1091 [MH]+
【0294】
実施例10: 4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンA
【化49】

【0295】
中間体9(0.116g、0.145mmol)および中間体19(0.116g、0.29mmol)のDMSO(1mL)、水(1滴)およびトリエチルアミン(0.13μL、0.9mmol)中の混合物を、80℃に加熱した。2日後、混合物を冷却し、そして質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製で処理した後にシリカゲル上のクロマトグラフィにより処理し、ジクロロメタン中の0-5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 1089 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 8.70 (s, 1H), 8.07 (bs, 1H), 7.55 (bs, 1H), 5.13 (dd, 1H)。
【0296】
実施例11: 4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]アジスロマイシントリス蟻酸塩
【化50】

【0297】
中間体5(0.088g、0.11mmol)および中間体19(0.066g、0.165mmol)のDMSO(1mL)、水(1滴)およびトリエチルアミン(0.072μL、0.49mmol)中の混合物を、80℃にて終夜加熱した。混合物を冷却し、そして質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製で処理して表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 1090 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 8.82 (s, 1H), 8.45 (s, 3H), 8.15 (bs, 1H), 7.63 (bs, 1H), 5.10 (d, 1H)。
【0298】
実施例12:4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]アジスロマイシン-11,12-カルボナート
【化51】

【0299】
中間体4(0.120g、0.145mmol)及び中間体19(0.116g、0.29mmol)のDMSO(1mL)、水(1滴)及びトリエチルアミン(0.13μL、0.9mmol)中の混合物を、80℃にて加熱した。2日後、混合物を冷却し、そして質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製で処理した後にシリカゲル上のクロマトグラフィにより処理し、ジクロロメタン中の0-5%(9:1 MeOH/20M NH3)を用いて溶出して表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 1116 (MH+)。NMR (CDCl3) δ 8.65 (s, 1H), 8.15 (d, 1H), 7.44 (d, 1H), 5.10 (d, 1H)。
【0300】
実施例13: 4"-O-[3-[4-(5-カルボキシ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]-6-オキソ-8-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンAビス蟻酸塩
【化52】

【0301】
実施例10に記載のものと類似の手順を用いて、中間体9(0.160g、0.2mmol)および中間体27(0.094g、0.24mmol)のDMSO(1mL)、水(1滴)及びトリエチルアミン(0.104μL、0.72mmol)中の混合物から、質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製後に表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 1075 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 9.01 (s, 1H), 8.37 ( s, 2H), 7.91 (bs, 1H), 7.67 (bs, 1H), 5.15 (dd, 1H)。
【0302】
実施例14: 4"-O-[3-[4-(5-カルボキシ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]-6-オキソ-8-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]アジスロマイシントリス蟻酸塩
【化53】

【0303】
実施例11に記載のものと類似の手順を用いて、中間体5 (0.051 g, 0.063 mmol), 中間体27 (0.039 g, 0.1 mmol), DMSO (2 mL), 水 (1 滴)およびトリエチルアミン (0.300 μL, 2.04 mmol)の混合物から、質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製後に表題化合物を白色の固体として得た。ESMS m/z 1076 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 9.0 (s, 1H), 8.39 (s, 3H), 7.91 (bs, 1H), 7.67 (bs, 1H), 5.10 (d, 1H)。
【0304】
実施例15: 4"-O-[3-[4-(5-カルボキシ-1,2-ジヒドロ-6H-ピロロ[3,2,1-ij]-6-オキソ-8-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]アジスロマイシン-11,12-カルボナートトリス蟻酸塩
【化54】

【0305】
実施例12に記載のものと類似の手順を用いて、中間体4 (0.1 g, 0.2 mmol), 中間体27 (0.094 g, 0.24 mmol), DMSO (1 mL), 水 (1 滴) 及び トリエチルアミン (0.104 μL, 0.72 mmol)の混合物から、質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製後に表題化合物をベージュ色の固体として得た。ESMS m/z 1102 (MH+)。NMR (MeOD-d4) δ 8.93 (s, 1H), 8.87 (s, 1H), 8.39 (s, 3H), 7.66 (s, 1H), 5.09 (d, 1H)。
【0306】
実施例16: 4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-メトキシイミノエリスロマイシンAビスホルマート
【化55】

【0307】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体10cおよび中間体19から、質量基準自動分取(Mass Directed Auto Prep)精製後に表題化合物を白色の固体として得た;ESMS 1104 m/z [M+H]+
【0308】
実施例17: 4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル) プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-({[2-(メチルオキシ)エチル]オキシ}メタノオキシイミノエリスロマイシンAビスホルマート
【化56】

【0309】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体28cおよび中間体2から、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1166 [M+H]+
【0310】
実施例18: 4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-({[2-(メチルオキシ)エチル]オキシ}メタノオキシイミノエリスロマイシンAビスホルマート
【化57】

【0311】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体28cおよび中間体19から、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1178 [M+H]+
【0312】
実施例19: 4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノエリスロマイシンA
【化58】

【0313】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体29bおよび中間体2から、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1078 [M+H]+
【0314】
実施例20: 4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノエリスロマイシンA
【化59】

【0315】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体29cおよび中間体19から、表題化合物を白色の固体として得た;ESMS m/z 1090 [M+H]+
【0316】
実施例4のエステルを製造するための一般的手順
表題化合物を実施例1aに記載のように、中間体9(0.54g、0.64mmol)および必要なキノロン3-カルボン酸エステル、中間体30(a-p)(1.28mmol)から製造した。LC/MSで測定して反応が完了すると、反応液を冷却し、水とジクロロメタンの間で分配した。有機層を分離し、乾燥し、そして蒸発させて粗生成物を得た。これをシリカゲル上のクロマトグラフィで処理し、増加する濃度のメタノール/水酸化アンモニウム(0〜10%)を含有するジクロロメタンを用いて溶出し、下記の化合物を得た。
【0317】
実施例21: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAエチルエステル
【化60】

【0318】
ESMS m/z 1105 [MH+]。
【0319】
実施例22: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA-n-ブチルエステル
【化61】

【0320】
ESMS m/z 1133 [MH+]。
【0321】
実施例23: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAピバロイルオキシメチルエステル
【化62】

【0322】
ESMS m/z 1191 [MH+]。
【0323】
実施例24: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-(1-N-ピペリジニル)エチルエステル
【化63】

【0324】
ESMS m/z 1188 [MH+]。
【0325】
実施例25: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-メトキシエチルエステル
【化64】

【0326】
ESMS m/z 1135 [MH+]。
【0327】
実施例26: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)メチルエステル
【化65】

【0328】
ESMS m/z 1162 [MH+]。
【0329】
実施例27: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-(1-N-モルホリノ)エチルエステル
【化66】

【0330】
ESMS m/z 1140 [MH+]。
【0331】
実施例28: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-(2-(エトキシ)-2-オキソエチルアミノカルボニル)エチルエステル
【化67】

【0332】
ESMS m/z 1220 [MH+]。
【0333】
実施例29: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAi-プロピルエステル
【化68】

【0334】
ESMS m/z 1119 [MH+]。
【0335】
実施例30: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAi-ブチルエステル
【化69】

【0336】
ESMS m/z 1134 [MH+]。
【0337】
実施例31: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAアリルエステル
【化70】

【0338】
ESMS m/z 1117 [MH+]。
【0339】
実施例32: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンAシクロプロピルメチルエステル
【化71】

【0340】
ESMS m/z 1131 [MH+]。
【0341】
実施例33: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA3-ブテニルエステル
【化72】

【0342】
ESMS m/z 1131 [MH+]。
【0343】
実施例34: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA2-ブチニルエステル
【化73】

【0344】
ESMS m/z 1129 [MH+]。
【0345】
実施例35: 4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノメチル-エリスロマイシンA11,12-カルバメート二蟻酸塩
【化74】

【0346】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体2(0.090g、0.23mmol)および中間体31(S. Alihodzicら、WO 03/042228)(0.103g、0.23mmol)からクロマトグラフィ処理、2'OAcのメタノール分解、その後のクロマトグラフィ処理によって、表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS m/z 1116 [MH+]。
【0347】
実施例36: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
【化75】

【0348】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体31eおよび中間体4から表題化合物を白色の固体として得た。;ESMS 1090 m/z [M+H]+
【0349】
実施例37: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-メチル-4-オキソ-6-キノリニル) プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンA
【化76】

【0350】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体32cおよび中間体9から表題化合物を白色の固体として得た;ESMS 1063 m/z [M+H]+
【0351】
実施例38: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンA
【化77】

【0352】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体32cおよび中間体9から表題化合物を白色の固体として得た;ESMS 1107 m/z [M+H]+
【0353】
実施例39: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-(2-メトキシエチル)-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-アジスロマイシン-11,12-カルボナート
【化78】

【0354】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体32cおよび中間体4から表題化合物を白色の固体として得た。;ESMS 1134 m/z [M+H]+
【0355】
実施例40: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-アジスロマイシン-11,12-カルボナート三蟻酸塩
【化79】

【0356】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体33dおよび中間体4から、クロマトグラフィ処理後に表題化合物をクリーム色の固体として得た;ESMS 1116 m/z [M+H]+
【0357】
実施例41: 4"-O-[3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-シクロプロピル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチルエリスロマイシンA二蟻酸塩
【化80】

【0358】
実施例1aに記載のものと類似の手順を用いて、中間体33dおよび中間体9からクロマトグラフィ処理後に表題化合物を黄褐色の固体として得た。;ESMS 1089 m/z [M+H]+
【0359】
実施例42: 4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-アジスロマイシン
【化81】

【0360】
エタノール(15mL)中の中間体38(106mg、0.095mmol)を10%Pd/C(14mg)を用いてParr装置において5barにて20時間水素化して、表題生成物(51mg)を得た。MS (ES) m/z: [MH]+ 1120.68。
【0361】
実施例43: 4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-クラリスロマイシン
【化82】

【0362】
エタノール(15mL)中の中間体40(44mg、0.04mmol)を10%Pd/C(20mg)を用いてParr装置において5barにて20時間、水素化して表題生成物(41mg)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 1119.5。
【0363】
実施例44: 4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-11-O-メチル-アジスロマイシン
【化83】

【0364】
エタノール(20mL)中の中間体42(55mg、0.05mmol)を10%Pd/C(25mg)を用いてParr装置において5barにて20時間水素化して、表題生成物(50mg)を得た。
MS (ES) m/z: [MH]+ 1134.51。
【0365】
生物学的データ
標準のマイクロタイター中のブロス希釈法を用いて、化合物を抗細菌活性について試験した。上記実施例の化合物は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のエリスロマイシン感受性およびエリスロマイシン耐性株に対して1μg/ml未満の最小阻害濃度(MIC)を与えた。
【0366】
さらに、下記を含む様々な生物に対する試験化合物のMIC(μg/ml)を測定した:
S. aureus Smith ATCC 13709、S. pneumoniae SP030、S. pyogenes 3565、E. faecalis ATCC 29212、H. influenzae ATCC 49247、M. catarrhalis ATCC 23246。
【0367】
実施例1〜4、6および8は、S. aureus Smith ATCC 13709、S. pneumoniae SP030、S. pyogenes 3565およびE. faecalis ATCC 29212に対して、MIC≦1μg/mLを有する。
【0368】
実施例3、4、6および7は、H. influenzae ATCC 49247およびM. catarrhalis ATCC 23246に対してMIC≦2μg/mLを有する。
【0369】
実施例4〜8は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のエリスロマイシン耐性株に対してMIC≦0.25μg/mLを有する。
【0370】
本明細書の説明及び特許請求の範囲が含まれる本出願は、後続のあらゆる出願に対する優先の基礎として用いることができる。このような後続の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載したいずれの特徴または特徴の組合せに関するものであってもよい。これらは製品、組成物、方法又は使用の形態をとってもよく、例示として、限定されることなく、添付の特許請求の範囲を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択される二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化2】

[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8とR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、またはR8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基はR16から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化3】

または
【化4】

を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29、-C(O)CH2NO2または-C(O)CH2SO2R7であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルもしくはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素、
ハロゲン、シアノ、フェニルもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルコキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR32R33、-NR32R33、およびニトロもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたフェニルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、
-(CH2)wC3-7シクロアルキル、
-(CH2)wヘテロシクリル、
-(CH2)wヘテロアリール、
-(CH2)wアリール、
C3-6アルケニル、または
C3-6アルキニルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルもしくはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R32およびR33はそれぞれ独立して水素またはフェニルもしくは-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R32とR33は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、該ヘテロ環式基は場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、r、sおよびwはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは1〜8の整数である]
で表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項2】
Aが-C(O)-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが-N(R30)(CH2)v-である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
dが2である、先行する請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R11が次式:
【化5】

[式中、ヘテロ環は6または7位置で連結されていてかつj、R18、R19およびR20は請求項1に定義された通りである]
のヘテロ環式基である、先行する請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R11が次式:
【化6】

[式中、Wは-C(R31)-であってR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し、そして上記ヘテロ環は(i)、(ii)または(iii)位置で連結されていてかつj、R18およびR20は請求項1に定義された通りである]
のヘテロ環式基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
実施例1〜44のいずれか一つに定義された、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項8】
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチルエリスロマイシンA;
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-アジスロマイシン-11,12-カルボナート;
4"-O-{3-[3-(3-カルボキシ-1,4-ジヒドロ-1-エチル-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル}-6-O-メチル-11-デスオキシ-11-(R)-アミノ-エリスロマイシンA-11,12-カルバメート;
4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-6-O-メチル-エリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-({[2-(メチルオキシ)エチル]オキシ}メタノオキシイミノ-エリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(3-カルボキシ-1-エチル-1,4-ジヒドロ-4-オキソ-6-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノ-エリスロマイシンA;
4"-O-[3-[4-(2-カルボキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピリド[3,2,1-ij]-1-オキソ-9-キノリニル)プロピルアミノ]プロピオニル]-(9E)-O-ヒドロキシイミノ-エリスロマイシンA;
4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-アジスロマイシン;および
4"-O-{6-[3-(3-カルボキシ-1-エチル-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-6-イル)-プロポキシ]-ヘキサノイル}-クラリスロマイシン;
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を製造する方法であって、
a) 式(II):
【化7】

の化合物を、好適な活性化された酸(III)[式中、XaおよびR11aは請求項1に定義されたXおよびR11であるかまたはXおよびR11に変換しうる基である]
の誘導体と反応させるステップ;
b) 式(IV):
【化8】

[式中、Lは好適な脱離基である]
の化合物を、式XaR11a(V)[式中、R11aは請求項1に定義されたR11であるかまたはR11に変換しうる基でありかつXaは-U(CH2)v-であるかまたは-U(CH2)v-に変換しうる基であり、ここでUは-N(R30)-および-S-から選択される基である]
の化合物と反応させて式(I)[式中、Uは-N(R30)-および-S-から選択される基である]の化合物を生成させるステップ;または
c) 式(VII):
【化9】

の化合物を、式XaR11a(V)[式中、R11aは請求項1に定義されたR11であるかまたはR11に変換しうる基でありかつXaは-U(CH2)v-であるかまたは-U(CH2)v-に変換しうる基であり、ここでUは-N(R30)-および-S-から選択される基である]の化合物と反応させて式(I)[式中、dは2でありかつUは-N(R30)-および-S-から選択される基である]の化合物を生成させるステップを含んでなり、その後、所要であれば、得られる化合物を1以上の次の操作:
i) 保護基R2の除去、
ii) XaR11aのXR11への変換、および
iii) 得られる式(I)の化合物の、その薬学的に許容される誘導体への変換
により処理することを含んでなる上記方法。
【請求項10】
治療に使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項11】
ヒトまたは動物の身体における全身または局所微生物感染の治療または予防に使用する医薬の製造における、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項12】
ヒトまたは動物の身体における全身または局所微生物感染の治療または予防における、」請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体の使用。
【請求項13】
微生物感染に対処するためのヒトまたは非ヒト動物の身体の治療方法であって、かかる治療を必要とする身体に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される誘導体の有効量を投与することを含んでなる前記方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物と組み合わせて、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および/または担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項15】
式(IA):
【化10】

[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択され二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化11】

[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8およびR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、または
R8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化12】

または
【化13】

を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキル、-C(O)NR32R33および-NR32R33から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキル、-(CH2)wC3-7シクロアルキル、C3-6アルケニル、またはC3-6アルキニルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
R32およびR33はそれぞれ独立して水素または-C(O)OC1-6アルキルにより場合により置換されたC1-6アルキルであるか、または
R32とR33は、それらが結合している窒素原子と一緒に5または6員ヘテロ環式基を形成し、該ヘテロ環式基は場合により酸素、窒素および硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、r、sおよびwはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体。
【請求項16】
式(IB):
【化14】

[式中、
Aは-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R7)-CH2-、-CH2-N(R7)-、-CH(NR8R9)-および-C(=NR10)-から選択され二価の基であり;
R1は-OC(O)(CH2)dXR11であり;
R2は水素またはヒドロキシル保護基であり;
R3は水素、C1-4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルであり;
R4はヒドロキシ、9〜10員縮合二環式ヘテロアリールにより場合により置換されたC3-6アルケニルオキシ、またはC1-6アルコキシもしくは-O(CH2)eNR7R12により場合により置換されたC1-6アルコキシであり、
R5はヒドロキシであるか、または
R4とR5は介在する原子と一緒に次の構造:
【化15】

[式中、Yは-CH2-、-CH(CN)-、-O-、-N(R13)-および-CH(SR13)-から選択される二価の基である]を有する環式基を形成し;
R6は水素または弗素であり;
R7は水素またはC1-6アルキルであり;
R8とR9はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル、-C(=NR10)NR14R15または-C(O)R14であるか、または
R8とR9は一緒に=CH(CR14R15)fアリール、=CH(CR14R15)fヘテロシクリル、=CR14R15もしくは=C(R14)C(O)OR14(ここで、アルキル、アリールおよびヘテロシクリル基は場合によりR16から独立して選択される3個以下の基により置換されている)を形成し;
R10は-OR17、C1-6アルキル、-(CH2)gアリール、-(CH2)gヘテロシクリルまたは-(CH2)hO(CH2)iOR7(ここで、それぞれのR10基はR16から独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R11は次の構造:
【化16】

または
【化17】

を有するヘテロ環式基であり;
R12は水素またはC1-6アルキルであり;
R13は水素であるか、または場合により置換されたフェニル、場合により置換された5または6員ヘテロアリールおよび場合により置換された9〜10員縮合二環式ヘテロアリールから選択される基により場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R14およびR15はそれぞれ独立して水素またはC1-6アルキルであり;
R16はハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R21、-C(O)OR21、-OC(O)R21、-OC(O)OR21、-NR22C(O)R23、-C(O)NR22R23、-NR22R23、ヒドロキシ、C1-6アルキル、-S(O)kC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、-(CH2)mアリールまたは-(CH2)mヘテロアリール(ここで、アルコキシ基は-NR14R15、ハロゲンおよび-OR14から独立して選択される3個以下の基により場合により置換され、そしてアリールおよびヘテロアリール基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アジド、-C(O)R24、-C(O)OR24、-OC(O)OR24、-NR25C(O)R26、-C(O)NR25R26、-NR25R26、ヒドロキシ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから独立して選択される5個以下の基により場合により置換されている)であり;
R17は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-6アルケニルまたは5または6員ヘテロ環式基(ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびヘテロ環式基は、場合により置換された5または6員ヘテロ環式基、場合により置換された5または6員ヘテロアリール、-OR27、-S(O)nR27、-NR27R28、-CONR27R28、ハロゲンおよびシアノから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されている)であり;
R18は水素、-C(O)OR29、-C(O)NHR29または-C(O)CH2NO2であり;
R19は水素、ヒドロキシもしくはC1-4アルコキシにより場合により置換されたC1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、または場合により置換されたフェニルまたはベンジルであり;
R20はハロゲン、C1-4アルキル、C1-4チオアルキル、C1-4アルコキシ、-NH2、-NH(C1-4アルキル)または-N(C1-4アルキル)2であり;
R21は水素、C1-10アルキル、-(CH2)pアリールまたは-(CH2)pヘテロアリールであり;
R22およびR23はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)qアリールまたは-(CH2)qヘテロシクリルであり;
R24は水素、C1-10アルキル、-(CH2)rアリールまたは-(CH2)rヘテロアリールであり;
R25およびR26はそれぞれ独立して水素、-OR14、C1-6アルキル、-(CH2)sアリールまたは-(CH2)sヘテロシクリルであり;
R27およびR28はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシC1-4アルキルであり;
R29は水素またはハロゲン、C1-4アルコキシ、-OC(O)C1-6アルキル、-OC(O)OC1-6アルキルから独立して選択される3個以下の基により場合により置換されたC1-6アルキルであり;
R30は水素、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、場合により置換されたフェニルまたはベンジル、アセチルまたはベンゾイルであり;
R31は水素もしくはR20であるか、またはR31とR19は連結して二価の基-O(CH2)2-または-(CH2)t-を形成し;
Xは-U(CH2)v-であり;
Uは-N(R30)-、-O-、-S(O)z-、-N(R30)C(O)-、-C(O)N(R30)-および-N[C(O)R30]-から選択される二価の基であり;
Wは-C(R31)-または窒素原子であり;
dは1〜5の整数であり;
eは2〜4の整数であり;
f、g、h、m、p、q、rおよびsはそれぞれ独立して0〜4の整数であり;
iは1〜6であり;
j、k、nおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり;
tは2または3であり;
vは2〜8の整数である]
で表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体。


【公表番号】特表2006−528667(P2006−528667A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529795(P2006−529795)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005083
【国際公開番号】WO2004/101587
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(504183447)プリバ−イストラズィヴァキ インスティテュート ディー.オー.オー. (5)
【Fターム(参考)】