説明

方向切換弁

【課題】 方向切換弁のスプールの位置を、容易且つ確実にモニタリングすることができる方向切換弁を提供する。
【解決手段】 操作レバーを傾動させることによりスプールの位置を切り換えることができるように構成された方向切換弁において、前記スプールの傾動のための支軸に、前記操作レバーの傾動量を測定するためのセンサを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーを傾動することにより、スプールの位置を切り換えるように構成された方向切換弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のポンプから吐出される作動油を複数の方向切換弁を介してアクチュエータに供給するようにした油圧回路は、建設機械等において使用されている(例えば、特許文献1)。
この種の油圧回路においては、アクチュエータを駆動した状態から停止させた場合に、アクチュエータが駆動し続けるようなことがないように、方向切換弁のスプールの中立状態(非作動状態)を確認できるようにしておく必要がある。スプールの中立状態を検出する方法としては、圧力センサーを方向切換弁からアクチュエータへの接続流路に外部接続する方法や、図1に示されるようにスプール軸1を移動させるためのレバー2にリミットスイッチ3を設ける方法や、或いは、図2に示されるようにスプール軸1にリニアセンサ4を取り付ける方法等が考えられる。
しかしながら、圧力センサーをアクチュエータへの接続流路に設ける方法では、アクチュエータの各位置における作動量とセンサから得られる信号との対応関係を、複数のアクチュエータそれぞれについて決定しておく必要があるため手間がかかるという問題があり、図1に示す方法では、リミットセンサ3をレバー2に取り付けることが難しく、方向切換弁の開度とレバー2との対応関係を複数のアクチュエータそれぞれについて決定しておく必要があるため手間がかかるという問題があり、また、図2に示す方法では、油圧回路内にリニアセンサ4を取り付けるための耐圧構造が必要となりコストがかかるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−131237号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、方向切換弁のスプールの位置を、容易且つ確実にモニタリングすることができる方向切換弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者は、下記の通り解決手段を見出した。
即ち、本発明の方向切換弁は、請求項1に記載の通り、操作レバーを傾動させることによりスプールの位置を切り換えることができるように構成された方向切換弁において、前記スプールの傾動のための支軸に、前記操作レバーの傾動量を測定するためのセンサを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スプールの位置をレバーの傾動量を容易にモニタリングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図3に示される油圧回路は、2つの方向切換弁を備えたマルチプルコントロールバルブを示すものである。
ポンプPは、方向切換弁10を介して、アクチュエータ(A1,B1,A2,B2)に接続される。方向切換弁10は、ポンプPに接続するための一次ポート、アクチュエータに接続するための二次ポート、アクチュエータからの作動油をタンクTへと戻すためのタンクポートを備えている。また、方向切換弁10の筐体内には、作動油の方向を切り換えるためのスプール7が設けられ、このスプール7と一次ポートとの間に圧力補償流量制御弁6が設けられる。この圧力補償流量制御弁6は、アクチュエータに負荷される圧力と、ポンプP側から供給される作動油の圧力との差圧を一定にすることにより流量を制御できるように構成されている。図示されるものでは、1次ポートからスプール7への流路9において、圧力制御弁6は、流路9の圧力と、コントロールライン5を介して供給されるアクチュエータの負荷圧力との差圧を一定にして流量を制御する。
方向切換弁10は、電磁切換式の3位置の2方向の弁として構成され、上側のブロックと下側のブロックとを、操作レバーからの傾動量により各ブロックへの切換を行うように構成されている。図示したものでは、下側のブロックに切り換えるとアクチュエータへの作動油を順方向に供給し、上側のブロックに切り換えるとアクチュエータへの作動油を逆方向に切り換えるようになっている。
【0008】
本発明では、上記のようにスプール7の位置を切り換えるための操作レバーの支軸に傾動量を測定するためのセンサを設けるようにしている。その一例を、図4を参照して説明する。
同図4(a)に示される方向切換弁10の筐体11の外側から装着されるものであって、スプール7に接続され、且つ、スプール7の軸方向に延出する部材12に、固定用の溝12aを設け、操作レバー13の作用点となる部位13aを、溝12aに嵌合等して固定される。尚、操作レバー13は、同図(b)に示すように、支軸13bを支点として傾動できるように構成される。
この構成により、操作レバー13を傾動させると、方向切換弁10のスプール7を切り換えることができる。その際、操作レバー13の傾動量(α)を、支軸13bに設けられたセンサ14により検出することにより、例えば、αが0°の時にスプール7が中立状態等として中立状態を検出することができる。尚、センサ14は、操作レバー12の傾動量を検出できるものであれば特に制限するものではないが、例えば、ロータリーセンサー等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明の方向切換弁は、マルチプルコントロールバルブを備えた油圧ショベル等の建設機械や作業車両等の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の方向切換弁のスプールの中立状態の検出方法の説明図((a)正面図(b)側面図)
【図2】従来の方向切換弁のスプールの中立状態の検出方法の説明図
【図3】本発明の一実施の形態を説明するための油圧回路
【図4】同回路に使用される方向切換弁の概略説明図((a)正面図(b)側面図)
【符号の説明】
【0011】
1 スプール軸
2 レバー
3 リミットスイッチ
4 リニアセンサ
5 コントロールライン
6 圧力補償流量制御弁
7 スプール
9 流路
10 方向切換弁
11 筐体
12 部材
13 操作レバー
14 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーを傾動させることによりスプールの位置を切り換えることができるように構成された方向切換弁において、前記スプールの傾動のための支軸に、前記操作レバーの傾動量を測定するためのセンサを設けたことを特徴とする方向切換弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−185910(P2009−185910A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26681(P2008−26681)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(591005693)ボッシュ・レックスロス株式会社 (27)
【Fターム(参考)】