説明

方向性電磁鋼板の製造方法

【課題】鉄損特性と被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法を提案する。
【解決手段】mass%で、C:0.001〜0.10%、Si:1.0〜5.0%、Mn:0.01〜1.0%、SおよびSe:合計0.01〜0.05%、sol.Al:0.003〜0.050%およびN:0.001〜0.020%を含有する鋼スラブを熱間圧延し、冷間圧延し、一次再結晶焼鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍する方向性電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍における500〜600℃間の昇温速度S1を100℃/s以上、600〜700℃間の昇温速度S2を30〜0.6×S1℃/sとし、焼鈍分離剤中に含まれるイオン半径が0.6〜1.3Å、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下の元素のMgOに対する総含有量W(mol%)を、0.01S2−5.5≦Ln(W)≦0.01S2−4.3を満たすよう調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関し、具体的には、製品コイルの全長に亘って鉄損特性と、被膜特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。ここで、上記「被膜」とは、フォルステライト(MgSiO)を主体とするセラミック質の被膜(以降、単に「被膜」ともいう。)のことをいい、また、「被膜特性」とは、色ムラや点状被膜欠陥等の有無といった被膜の外観品質のことをいう。
【背景技術】
【0002】
電磁鋼板は、変圧器や発電機等の鉄心材料として広く用いられている軟磁性材料である。特に、方向性電磁鋼板は、その結晶方位がGoss方位と呼ばれる{110}<001>方位に高度に集積しており、変圧器や発電機等のエネルギーロスの低減に直接つながる良好な鉄損特性を有している。この鉄損特性を改善する手段としては、板厚の低減や、Si等の添加による固有抵抗の増加、結晶方位の配向性の向上、鋼板への張力付与、鋼板表面の平滑化、二次再結晶粒の細粒化、磁区細分化などが有効であることが知られている。
【0003】
このうち、二次再結晶粒を細粒化する技術としては、脱炭焼鈍時に急速加熱する方法や、脱炭焼鈍直前に急速加熱処理し、一次再結晶集合組織を改善する方法が知られている。例えば、特許文献1には、最終板厚まで圧延した鋼板を脱炭焼鈍する前に、雰囲気酸素濃度500ppm以下で、加熱速度100℃/s以上で800〜950℃に急速加熱処理し、脱炭焼鈍工程の前部領域の温度を急速加熱での到達温度よりも低い775〜840℃とし、引き続く後部領域の温度を前部領域よりも高い815〜875℃で脱炭焼鈍を施すことで低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が、また、特許文献2には、最終板厚まで圧延した鋼板を脱炭焼鈍する直前に、PHO/PHが0.2以下の非酸化性雰囲気中で100℃/s以上の加熱速度で700℃以上の温度へ加熱処理することにより、低鉄損の方向性電磁鋼板を得る技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、脱炭焼鈍工程の昇温段階の少なくとも600℃以上の温度域を95℃/s以上の昇温速度で800℃以上に加熱し、かつ、この温度域の雰囲気が体積分率で10−6〜10−1の酸素を含有する不活性ガスで構成され、脱焼焼鈍の均熱時における雰囲気の構成成分をHとHOもしくはH、HOと不活性ガスとし、かつ、PHO/PHを0.05〜0.75とし、また、単位面積あたり雰囲気流量を0.01〜1Nm/min・mの範囲とし、被膜と鋼板の混在領域における鋼板結晶粒の結晶方位粒のGoss方位からの偏差角度を適正範囲に制御することにより、被膜特性と磁気特性に優れる電磁鋼板を製造する技術が、また、特許文献4には、脱炭焼鈍工程の昇温段階の少なくとも650℃以上の温度域を100℃/s以上の昇温速度で800℃以上に加熱し、かつこの温度域の雰囲気を体積分率で10−6〜10−2の酸素を含有する不活性ガスとし、一方、脱炭焼鈍の均熱時における雰囲気の構成成分をHとHO、もしくはHとHOと不活性ガスとし、かつPHO/PHを0.15〜0.65とすることで、被膜のGDS分析のAlの発光強度がピークを示す放電時間と、Feの発光強度がバルクの値の1/2を示す放電時間を適正範囲に制御し、被膜特性と磁気特性に優れる方向性電磁鋼板を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−298653号公報
【特許文献2】特開平07−062436号公報
【特許文献3】特開2003−27194号公報
【特許文献4】特許第3537339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの技術を適用することで、二次再結晶粒が微細化し、被膜特性も改善されるものの、まだ完全とはいい難い状況にある。例えば、特許文献1の技術は、一旦高温まで昇温した後、その到達温度よりも低い温度で保定処理を行っているが、到達温度の制御が困難であり、目標温度から外れることがしばしばであった。その結果、同一コイル内あるいはコイル毎に品質のバラつきが大きく、安定性に欠けるという問題がある。また、特許文献2の技術は、昇温時の雰囲気のPHO/PHを0.2以下に低下させているが、特許文献4に開示されているように、最終的に被膜特性に影響を及ぼすのはHOとHの分圧比PHO/PHだけではなく、HOの絶対分圧であるため、被膜特性の改善は十分なものとはいえず、更なる改善の余地がある。
【0007】
また、特許文献3の技術は、被膜と地鉄の混在領域における結晶粒の方位をゴス方位からずらしてやるところに特徴があるが、これは切り板での磁気特性を改善するものではあっても、トランスに組み込んだときのような複雑な磁化過程に起因する高調波成分が重畳するような場合には、却って磁気特性の劣化を招くことがある。さらに、特許文献4の技術は、特許文献3と同様の酸素分圧で昇温するため、特許文献3と同じく被膜と地鉄の混在領域における結晶粒の方位がGoss方位からずれるという問題がある。また、鋼板成分や冷延工程での製造条件の微妙な変動によって、GDSのAlのピーク位置が変化し、安定しないという問題があった。すなわち、AlやC,Si,Mn等の成分の微妙な変動や、熱延板焼鈍時の温度プロファイルや雰囲気などによりAlピーク位置が鋼板表面側にずれることがあり、それが原因で磁気特性や被膜特性が安定しないという問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術が抱える上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次再結晶粒を細粒化することで製品コイル全長に亘って低鉄損を実現すると共に、均一な被膜を被成することができる方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記課題を解決するべく、一次再結晶焼鈍における昇温過程と、焼鈍分離剤中に添加する微量成分に着目し、安定的に二次再結晶粒を細粒化し、かつ、被膜の均一性を確保するために必要とされる条件を追求した。その結果、一次再結晶焼鈍の加熱過程を低温域と高温域とに分け、両温度域における昇温速度をそれぞれ別々に適正範囲に制御してやることが有効であることを見出した。すなわち、一次再結晶焼鈍の昇温速度を高めることで、二次再結晶粒径が細粒化することは従来から知られているが、発明者らはさらに検討した結果、一次再結晶の前駆過程である回復過程の昇温速度を、通常の脱炭焼鈍における昇温速度よりも高くすると共に、一次再結晶が起こる高温域の昇温速度を、上記低温域の昇温速度の60%以下に制限してやることで、それまでの間の製造条件の変動による悪影響を回避し、安定して鉄損低減効果を享受できることを見出した。さらに、上記高温域での昇温速度に合わせて、焼鈍分離剤中に添加する微量成分量を適正範囲に調整することで、均一な被膜を安定して被成することができることを見出し、本発明を開発するに至った。
【0010】
上記知見に基づく本発明は、C:0.001〜0.10mass%、Si:1.0〜5.0mass%、Mn:0.01〜1.0mass%、SおよびSeのうちから選ばれる1種または2種:合計0.01〜0.05mass%、sol.Al:0.003〜0.050mass%およびN:0.001〜0.020mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚とし、一次再結晶焼鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、上記一次再結晶焼鈍における500〜600℃間の昇温速度S1(℃/s)を100℃/s以上、600〜700℃間の昇温速度S2(℃/s)を30〜0.6×S1℃/sとすると共に、上記焼鈍分離剤中に含まれるイオン半径が0.6〜1.3Å、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下の元素のMgOに対する総含有量W(mol%)を、上記S2との関係において下記(1)式;
0.01S2−5.5≦Ln(W)≦0.01S2−4.3 ・・・(1)
を満たすよう調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0011】
本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、一次再結晶焼鈍後、脱炭焼鈍することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法における、イオン半径が0.6〜1.3Å、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下である元素は、Ca,Sr,LiおよびNaのうちから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法における鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cu:0.01〜0.2mass%、Ni:0.01〜0.5mass%、Cr:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.1mass%、Sn:0.01〜0.5mass%、Mo:0.01〜0.5mass%およびBi:0.001〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法における鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、B:0.001〜0.01mass%、Ge:0.001〜0.1mass%、As:0.005〜0.1mass%、P:0.005〜0.1mass%、Te:0.005〜0.1mass%、Nb:0.005〜0.1mass%、Ti:0.005〜0.1mass%およびV:0.005〜0.1mass%から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、方向性電磁鋼板の製品コイル全長に亘って二次再結晶粒を細粒化し、低鉄損化するとともに、コイル全長に亘って均一な被膜を被成することができるので、製品歩留りを大幅に向上することができる。さらに、本発明の方法で製造された方向性電磁鋼板を用いることで、変圧器等の鉄損特性を大きく向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の方向性電磁鋼板の素材となる、鋼スラブの成分組成について説明する。
C:0.001〜0.10mass%
Cは、ゴス方位粒を発生させるのに有用な成分であり、斯かる効果を発現させるためには、0.001mass%以上の含有を必要とする。一方、Cが0.10mass%を超えると、後工程の脱炭焼鈍で磁気時効を起こさない0.005mass%以下まで脱炭することが難しくなる。よって、Cは0.001〜0.10mass%の範囲とする。好ましくは、0.01〜0.08mass%の範囲である。
【0017】
Si:1.0〜5.0mass%
Siは、鋼の電気抵抗を高めて鉄損を低下させると共に、鉄のBCC組織を安定化させ、高温での熱処理を可能とするために必要な成分であり、少なくとも1.0mass%の添加を必要とする。しかし、5.0mass%を超える添加は、鋼を硬質化し、冷間圧延することを困難とする。よって、Siは、1.0〜5.0mass%の範囲とする。好ましくは、2.5〜4.0mass%の範囲である。
【0018】
Mn:0.01〜1.0mass%
Mnは、鋼の熱間脆性の改善に有効に寄与すると共に、SやSeを含有している場合には、MnSやMnSe等の析出物を形成し、インヒビタとしての機能を発揮する元素である。Mnの含有量が0.01mass%より少ないと、上記効果が十分に得られず、一方、1.0mass%を超えると、MnSe等の析出物が粗大化してインヒビタとしての効果が失われるようになる。よって、Mnは0.01〜1.0mass%の範囲とする。好ましくは、0.04〜0.40mass%の範囲である。
【0019】
sol.Al:0.003〜0.050mass%
Alは、鋼中でAlNを形成して分散第二相として析出し、インヒビタとして作用する有用成分である。しかし、添加量がsol.Alで0.003mass%未満では、AlNの析出量が十分ではなく、一方、0.050mass%を超えて添加すると、AlNが粗大に析出してインヒビタとしての作用が失われるようになる。よって、Alはsol.Alとして0.003〜0.050mass%の範囲とする。好ましくは、0.01〜0.04mass%の範囲である。
【0020】
N:0.001〜0.020mass%
Nは、Alと同様、AlNを形成するために必要な成分である。しかし、添加量が0.001mass%未満では、AlNの析出が不十分であり、一方、0.020mass%を超えて添加すると、スラブ加熱時にふくれ等を生じるようになる。よって、Nは0.001〜0.020mass%の範囲とする。好ましくは、0.005〜0.010mass%の範囲である。
【0021】
SおよびSeの1種または2種:合計0.01〜0.05mass%
SおよびSeは、MnやCuと結合してMnSeやMnS,Cu2−xSe,Cu2−xSを形成し、鋼中に分散第二相として析出し、インヒビタとしての作用を発揮する有用成分である。これらS,Seの合計含有量が0.01mass%未満では、上記の効果が十分には得られず、一方、0.05mass%を超えると、スラブ加熱時における固溶が不完全となるだけでなく、製品板における表面欠陥の原因ともなる。よって、SおよびSeは、単独添加および複合添加のいずれの場合も0.01〜0.05mass%の範囲とする。好ましくは、合計で0.01〜0.03mass%の範囲である。
【0022】
本発明の方向性電磁鋼板の鋼スラブは、上記必須成分に加えてさらに、Cu:0.01〜0.2mass%、Ni:0.01〜0.5mass%、Cr:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.1mass%、Sn:0.01〜0.5mass%、Mo:0.01〜0.5mass%およびBi:0.001〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
Cu,Ni,Cr,Sb,Sn,MoおよびBiは、結晶粒界や表面に偏析しやすい元素であり、補助的なインヒビタとしての作用を有する元素であるため、さらなる磁気特性の向上を目的として添加することができる。しかし、いずれの元素も、添加量が上記下限値に満たない場合は、二次再結晶過程の高温域で一次再結晶粒の粗大化を抑制する効果が十分ではなく、一方、上記上限値を超える添加は、被膜の外観不良や二次再結晶不良を引き起こすおそれがある。よって、添加する場合には、上記範囲で添加するのが好ましい。
【0023】
また、本発明の方向性電磁鋼板の鋼スラブは、上記必須成分および任意の添加成分に加えてさらに、B:0.001〜0.01mass%、Ge:0.001〜0.1mass%、As:0.005〜0.1mass%、P:0.005〜0.1mass%、Te:0.005〜0.1mass%、Nb:0.005〜0.1mass%、Ti:0.005〜0.1mass%およびV:0.005〜0.1mass%から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。
これらのB,Ge,As,P,Te,Nb,TiおよびVも、補助的なインヒビタとしての作用を有し、さらなる磁気特性の改善に有効な元素である。しかし、上記添加量に満たない場合には、二次再結晶過程の高温域で、一次再結晶粒の粗大化を抑制する効果が十分に得られない。一方、上記添加量を超えると、二次再結晶不良や被膜の外観不良を発生しやすくする。よって、これらの元素を添加する場合には、上記範囲で添加するのが好ましい。
【0024】
次に、本発明に係る方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
本発明の方向性電磁鋼板は、上記に説明した成分組成を有する鋼を従来公知の精錬プロセスで溶製し、連続鋳造法または造塊−分塊圧延法等の方法で鋼素材(鋼スラブ)とし、その後、上記鋼スラブを熱間圧延して熱延板とし、必要に応じて熱延板焼鈍を施した後、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により最終板厚の冷延板とし、一次再結晶焼鈍と脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、最終仕上焼鈍を施し、その後、必要に応じて絶縁被膜の塗布・焼付けを兼ねた平坦化焼鈍を経る一連の工程からなる製造方法である。
なお、上記製造方法において、一次再結晶焼鈍および焼鈍分離剤以外の製造条件については、従来公知の方法を採用することができ、特に制限はない。よって、本発明における一次再結晶焼鈍条件および焼鈍分離剤の条件について以下に説明する。
【0025】
<一次再結晶焼鈍>
最終板厚まで圧延した冷延板を一次再結晶焼鈍する条件、特に加熱過程における昇温速度は、先述したように、二次再結晶組織に大きな影響を及ぼすため、厳密な制御が必要とされる。そこで、本発明においては、二次再結晶粒を製品コイル全長に亘って安定的に細粒化し、製品コイル内の鉄損特性に優れる領域の比率を高めるため、上記加熱過程を、回復が進行する低温域と、一次再結晶が起こる高温域とに分け、それぞれの領域の昇温速度を適正に制御することとした。
【0026】
具体的には、一次再結晶の前駆過程である回復が起こる低温域(500〜600℃)の昇温速度S1は、通常よりも高い100℃/s以上とするとともに、一次再結晶が起こる高温域(600〜700℃)の昇温速度S2を30℃/s以上かつ低温域の昇温速度の60%以下とする。これにより、鋼成分や一次再結晶焼鈍以前の製造条件が変動した場合にも、二次再結晶粒を細粒化し、製品コイル全長に亘って低鉄損を実現することができる。
【0027】
その理由について説明すると、ゴス方位{110}<001>の二次再結晶核は、圧延組織において歪エネルギーが蓄積されやすい<111>繊維組織中に生じる変形帯の中に存在することが知られており、上記変形帯は、<111>繊維組織の中でも特に歪エネルギーが蓄積された領域である。
ここで、一次再結晶焼鈍の加熱過程の低温域(500〜600℃)における昇温速度S1が100℃/s未満の場合には、歪エネルギーがきわめて高い変形帯では、優先的に回復(歪エネルギーの緩和)が生じるため、ゴス方位{110}<001>の再結晶を促進させることができない。これに対して、S1を100℃/s以上とした場合には、歪エネルギーが高い状態のままで変形組織を高温まで保持することができるので、ゴス方位{110}<001>の再結晶を比較的低温(600℃近傍)で起こさせることができる。これがS1を100℃/s以上とする理由である。
【0028】
一方、二次再結晶したゴス方位{110}<001>の粒径を制御するためには、ゴス方位{110}<001>に蚕食される<111>組織の量を適正範囲に制御することが重要である。すなわち、<111>方位が多過ぎると、二次再結晶粒の成長が促進され、ゴス方位{110}<001>の核が多数あっても、それぞれが成長する前に一つの組織が粗大化し、粗大粒となるおそれがあり、逆に、<111>方位が少な過ぎると、二次再結晶粒の成長し難くなって二次再結晶不良を起こすおそれがあるからである。
【0029】
この<111>方位は、変形帯ほどではないものの、周囲に比べて歪エネルギーの高い<111>繊維組織から再結晶して生じるものであるため、600℃までの昇温速度S1を100℃/s以上として加熱する本発明のヒートサイクルでは、ゴス方位{110}<001>に次いで再結晶を起こしやすい結晶方位である。そのため、ゴス方位以外の結晶粒が一次再結晶を起こす高温(700℃以上)まで、高い昇温速度で加熱すると、ゴス方位{110}<001>や、その次に再結晶しやすい<111>方位の再結晶が抑制されたまま高温に達した後、一気に全ての方位が再結晶を起こす。そのため、一次再結晶後の集合組織はランダム化し、ゴス方位{110}<001>が少なくなり、二次再結晶粒が十分に成長できなくなる。そこで、本発明では600℃〜700℃の昇温速度S2を、S1で規定する昇温速度よりも低い0.6×S1℃/s以下とする。
逆に、600〜700℃の昇温速度を30℃/s未満にすると、ゴス方位{110}<001>に次いで再結晶を起こしやすい<111>方位が増加するので、二次再結晶粒が粗大化するおそれがある。以上が、S2を30℃/s以上0.6×S1℃/s以下とする理由である。
【0030】
このように、高温域の昇温速度S2を低くすることは、結晶方位だけでなく、被膜形成にもよい影響をもたらす。というのは、被膜の形成は、加熱過程の600℃程度から始まるが、この温度域を急速加熱すると、初期酸化が不足した状態のままで均熱処理に至るため、均熱中に急激な酸化が起こり、サブスケールのシリカ(SiO)が鋼板内部に向かって棒状に伸びたデンドライト状の形態をとるようになる。このような形態で仕上焼鈍しても、SiOが表面に移動し難くなり、地鉄内部にフォルステライトの遊離物ができて、磁気特性や被膜特性が劣化する原因となる。そこで、S2を低下することで、上記急速加熱による弊害を回避することができる。
【0031】
なお、特許文献1〜4には、加熱時の雰囲気を改善する技術が開示されているが、いずれも600〜700℃の高温域で急速加熱しているため、急速加熱終了時の到達温度がばらつき、サブスケールの形態制御が難しくなる。そのため、製品コイル内でのサブスケールの均一性が確保できず、全長で磁気特性と被膜特性に優れる製品板を得ることが難しくなる。
【0032】
なお、最終冷間圧延後の一次再結晶焼鈍におけるその他の条件、例えば、均熱温度、均熱時間、均熱時の雰囲気、冷却速度等の条件については、常法に従って行えばよく、特に制限はない。
また、一次再結晶焼鈍は、一般に脱炭焼鈍と兼ねて行われることが多いが、本発明においても、脱炭焼鈍と兼ねた一次再結晶焼鈍としてもよく、あるいは、別々として一次再結晶焼鈍後に脱炭焼鈍を施してもよい。
さらに、一次再結晶焼鈍の前または後、あるいは、一次再結晶焼鈍中に窒化処理を施してインヒビタを補強することが行われることがあるが、本発明においても窒化処理を適用することは可能である。
【0033】
<焼鈍分離剤>
上記一次再結晶焼鈍あるいはさらに脱炭焼鈍後の鋼板は、その後、焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍を施して二次再結晶させるが、本発明の特徴は、この際、焼鈍分離剤中に添加する微量成分の含有量を上記昇温速度S2に合わせて適正範囲に調節すると共に、上記微量添加成分を、イオン半径が0.6〜1.3Åで、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下の元素に限定するところにある。ここで、このような条件を満たす元素としては、Ca,Sr,LiおよびNa等があり、これらは単独または2種以上を複合して添加してもよい。
【0034】
ここで、添加する微量元素のイオン半径を0.6〜1.3Åの範囲に規定したのは、焼鈍分離剤の主剤であるMgOのマグネシウムイオンのイオン半径0.78Åに近いからである。すなわち、被膜の形成反応は、焼鈍分離剤中のMgOのMg2+イオンやO2−イオンが拡散により移動して鋼板表面のSiOと反応して、
MgO+SiO → MgSiO
となり、フォルステライトを生成する反応であるが、イオン半径が上記範囲にある元素を導入することで、仕上焼鈍中にMg2+イオンと置換させると共に、イオン半径の違いから生じる格子の不整合によりMgO格子中に格子欠陥を導入して拡散を起こし易くし、上記反応を促進させることができるからである。イオン半径が、上記範囲より大き過ぎたり、小さ過ぎたりすると、Mg2+イオンとの置換反応が起こらないため反応促進効果は期待できない。
【0035】
また、上記のようにイオン半径がMgO側に作用するのに対して、イオン−酸素間引力は、原子のイオン半径をR、価数をZ、酸素イオンのイオン半径をR、価数を2としたとき、2Z/(R+Rで表される値であり、添加する微量元素がサブスケール側のSiOに主に作用する程度を表す指標であり、具体的には、この値が小さいほど、仕上焼鈍中にSiOの表層への濃化が促進されることを意味する。
すなわち、SiOは、被膜形成の際に、オストワルド成長のような乖離−再凝集過程を経て鋼板表層に移動していくものと考えられるが、ここに、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下のイオンを導入すると、SiOの結合を切断して上記乖離過程を起こし易くし、SiOが表層に濃化してMgOとの接触の機会が高まるため、フォルステライトの形成反応が促進される。しかし、イオン−酸素間引力が、0.7Å−2を超えると、上記効果が得られなくなる。
【0036】
また、上記条件を満たす成分が焼鈍分離剤中に含まれる含有量は、MgOに対する添加量をW(mol%)とすると、一次再結晶焼鈍の高温域における昇温速度S2に応じて、下記(1)式;
0.01×S2−5.5≦Ln(W)≦0.01×S2−4.3 ・・・(1)
を満たす範囲に制御する必要がある。
というのは、高温域の昇温速度S2が高くなり過ぎると、形成されるサブスケールのデンドライト状シリカ(SiO)が鋼板表層下に深く入り込むようになるので、上記微量添加成分の量を高めて、仕上焼鈍中にSiOが鋼板表面に移動するのを促進させてやる必要がある。逆に、S2が低下すると、デンドライト状シリカが深く入り込まないので、上記微量添加成分量が少なくてもSiOが鋼板表面に移動することができる。したがって、微量添加成分の添加量Wは、昇温速度S2に応じて適正範囲に調整する必要があり、Wが、上記(1)式の範囲よりも低くなると、SiOの表層への移動促進効果がなくなり、一方、上記(1)式の範囲を超えると、SiOの表面への移動が進みすぎて、フォルステライトの形態が劣化し、被膜の外観不良を引き起こすようになる。
【0037】
なお、焼鈍分離剤に添加する微量成分としては、上記元素の他に、従来公知の酸化チタンやホウ酸塩、塩化物等を添加してもよい。これらは、磁気特性を改善する効果や、追加酸化によって被膜を増量する効果があり、上記微量成分とは効果が独立しているため、複合添加することができる。
【0038】
なお、上記焼鈍分離剤は、スラリー状のコーティング液とし、水和水分量が0.5〜3.7mass%の範囲となるようにして、両面で8〜14g/mの範囲として塗布、乾燥するのが好ましい。
【0039】
なお、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上焼鈍し、絶縁被膜を被成した後、レーザーやプラズマ、電子ビーム等を照射する磁区細分化処理を施してもよい。特に、電子ビームを照射する方法では、本発明の被膜強化策を有効に利用することができる。すなわち、電子ビーム照射は、電子ビームが被膜を透過して鋼板の表面温度を上昇させることから、被膜が剥離し易くなる。一方、本発明は、フォルステライト形成反応を促進させることで、均一で強固な被膜を形成することができるので、電子ビーム照射による被膜剥離を抑制することができる。
【実施例1】
【0040】
C:0.06mass%、Si:3.3mass%、Mn:0.08mass%、S:0.023mass%、sol.Al:0.03mass%、N:0.007mass%、Cu:0.2mass%およびSb:0.02mass%を含有する鋼スラブを1430℃×30分加熱後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1000℃×1分の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して板厚0.23mmの冷延板とした。その後、500〜600℃間の昇温速度S1および600〜700℃間の昇温速度S2を表1のように種々に変化させて加熱した後、840℃で2分間均熱保持する脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施し、その後、MgOを主成分とし、TiOを10mass%添加し、さらに、表1に示したように、イオン半径とイオン−酸素間引力の異なる元素を酸化物の形で種々の量添加した焼鈍分離剤をスラリー状にして、水和水分量が3.0mass%となるようにして、12g/m塗布(両面当り)し、乾燥し、コイルに巻き取り、最終仕上焼鈍した後、リン酸マグネシウム−コロイド状シリカ−無水クロム酸−シリカ粉末からなるコーティング液を塗布し、上記塗布液の焼付けと形状矯正を兼ねた800℃×30秒の平坦化焼鈍を施して製品コイルとした。
【0041】
斯くして得られた製品コイルの長さ方向から一定間隔で連続的に試験片を採取し、コイル全長に亘る鉄損を測定し、製品コイル全長に対する鉄損W17/50が0.80W/kg以下となる部分の比率を求めた。また、上記試験片採取時に、鋼板表面を目視検査し、色ムラや点状被膜欠陥等の被膜不良の有無を確認し、被膜不良のない良品部分の全長に対する比率を求めた。
【0042】
表1に、上記の結果を併記した。これから、昇温速度と焼鈍分離剤中の微量添加成分を本発明に適合する条件として製造した本発明例の鋼板は、いずれもW17/50≦0.80W/kgの比率が70%以上で、被膜外観が良好な部分の比率が全長の99%以上であり、磁気特性および被膜特性とも良好であることがわかる。
【0043】
【表1】

【実施例2】
【0044】
表2に示した各種成分組成を有する鋼スラブを1430℃×30分加熱後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1000℃×1分の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して板厚1.5mmとし、1100℃×2分の中間焼鈍を施し、さらに冷間圧延して最終板厚0.23mmの冷延板とした後、電解エッチングにより線状溝を形成して磁区細分化処理を施した。その後、上記冷延板に、500〜600℃間の昇温速度S1を200℃/s、600〜700℃間の昇温速度S2を50℃/sとして700℃まで加熱した後、700〜840℃間を10℃/sの昇温速度で加熱し、PHO/PHが0.4の雰囲気下で840℃×2分の脱炭焼鈍を兼ねた一次再結晶焼鈍を施した後、MgOを主成分とし、TiOを10mass%添加し、さらに、イオン半径:0.88Å、イオン−酸素間引力:0.38Å−2のLiを酸化物の形で種々の量添加した焼鈍分離剤をスラリー状にし、水和水分量を3.0mass%となるようにして、12g/m塗布(両面当り)し、乾燥し、コイルに巻き取り、最終仕上焼鈍した後、リン酸マグネシウム−コロイド状シリカ−無水クロム酸−シリカ粉末からなるコーティング液を塗布し、その焼付けと鋼帯の形状矯正を兼ねた800℃×20秒の平坦化焼鈍を施して製品コイルとした。
【0045】
斯くして得られた製品コイルの長さ方向から一定間隔で連続的に試験片を採取した後、窒素雰囲気中で800℃×3hrの歪取焼鈍を施してから、エプスタイン試験で鉄損W17/50を測定し、製品コイル全長に対する鉄損W17/50が0.80W/kg以下となる部分の比率を求めた。また、上記試験片採取時に、鋼板表面を目視検査し、色ムラや点状被膜欠陥等の被膜不良の有無を確認し、被膜不良のない良品部分の全長に対する比率を求めた。
【0046】
表2に上記測定の結果を併記した。これから、昇温速度と焼鈍分離剤中の微量添加成分を本発明に適合する条件として製造した本発明例の鋼板は、いずれもW17/50≦0.80W/kgが70%以上で、被膜良好部分の比率が全長の99%以上であり、磁気特性および被膜特性とも良好であることがわかる。
【0047】
【表2】

【実施例3】
【0048】
C:0.06mass%、Si:3.3mass%、Mn:0.08mass%、S:0.023mass%、sol.Al:0.03mass%、N:0.007mass%、Cu:0.2mass%およびSb:0.02mass%を含有する鋼スラブを1430℃×30分加熱後、熱間圧延して板厚2.2mmの熱延板とし、1000℃×1分の熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延して板厚0.23mmの冷延板とした。その後、500〜600℃間の昇温速度S1を200℃/s、600℃〜700℃間の昇温速度S2を50℃/sとして700℃まで昇温後、冷却する一次再結晶焼鈍を施したのち、PHO/PH=0.4の雰囲気で840℃×2分の脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とし、TiOを10mass%、硫酸マグネシウムを5mass%添加し、さらに、イオン半径:1.3Åで、イオン−酸素間引力:0.55Å−2のSrを酸化物の形で種々の量で添加した焼鈍分離剤をスラリー状にして、水和量3.0mass%となるよう、12g/m塗布(両面当り)し、乾燥し、コイルに巻き取り、最終仕上焼鈍し、その後、リン酸マグネシウム−コロイド状シリカ−無水クロム酸−シリカ粉末からなるコーティング液を塗布し、その焼付けと形状矯正を兼ねた800℃×20秒の平坦化焼鈍を施し、さらに、この鋼板表面に、電子ビーム照射による磁区細分化処理を施して製品コイルとした。
【0049】
斯くして得られた製品コイルから、切り板を採取した後、SST試験機(Single Sheet Tester)で鉄損W17/50を測定すると共に、残りの製品コイルから、1000kVAの油入変圧器を製造し、実機変圧器における鉄損を測定した。また、上記切り板採取時には、コイル全長の鋼板表面を目視検査し、色ムラや点状被膜欠陥等の被膜不良の有無を確認し、被膜不良のない良品部分の全長に対する比率を求めた。
【0050】
この結果を表3に示した。この結果から、昇温速度と焼鈍分離剤中に添加した微量成分を本発明に適合する条件として製造した本発明例の鋼板は、製品コイルにおける鉄損特性、被膜特性に優れるだけでなく、ビルディングファクター(BF:変圧器鉄損の鋼板鉄損に対する比)も低く、トランス組立後も良好な鉄損特性を有していることがわかる。
【0051】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
C:0.001〜0.10mass%、Si:1.0〜5.0mass%、Mn:0.01〜1.0mass%、SおよびSeのうちから選ばれる1種または2種:合計0.01〜0.05mass%、sol.Al:0.003〜0.050mass%およびN:0.001〜0.020mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延して最終板厚とし、一次再結晶焼鈍し、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
上記一次再結晶焼鈍における500〜600℃間の昇温速度S1を100℃/s以上、600〜700℃間の昇温速度S2を30〜0.6×S1℃/sとすると共に、
上記焼鈍分離剤中に含まれるイオン半径が0.6〜1.3Å、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下の元素のMgOに対する総含有量W(mol%)を、上記S2との関係において下記(1)式を満たすよう調整することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

0.01S2−5.5≦Ln(W)≦0.01S2−4.3 ・・・(1)
【請求項2】
上記一次再結晶焼鈍後、脱炭焼鈍することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
上記イオン半径が0.6〜1.3Å、イオン−酸素間引力が0.7Å−2以下である元素は、Ca,Sr,LiおよびNaのうちから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Cu:0.01〜0.2mass%、Ni:0.01〜0.5mass%、Cr:0.01〜0.5mass%、Sb:0.01〜0.1mass%、Sn:0.01〜0.5mass%、Mo:0.01〜0.5mass%およびBi:0.001〜0.1mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項5】
上記鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、B:0.001〜0.01mass%、Ge:0.001〜0.1mass%、As:0.005〜0.1mass%、P:0.005〜0.1mass%、Te:0.005〜0.1mass%、Nb:0.005〜0.1mass%、Ti:0.005〜0.1mass%およびV:0.005〜0.1mass%から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。

【公開番号】特開2013−57119(P2013−57119A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−161139(P2012−161139)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】