説明

施療機

【課題】
足首付近に限らず、脛部や他の脚部における部位をも効果的にストレッチする事が可能な施療機を提供する。
【解決手段】
左右に凹部を設けた脛施療部131a及び足先施療部133aを備えた施療機1aであり、施療者の足先や脛部を施療または保持するための各凹部に膨縮袋4aを対設させている。また、脛施療部131aと足先施療部133aとを互いに可動連結する可動連結部6aを設けると共に、該可動連結部6aよりも後方に脛施療部131aと足先施療部133aとの間を拡縮させるための拡縮機構61aを設けて構成する。椅子の座部前端に取り付けた椅子型や、足載せ部のみで構成した持ち運びできる携帯型など、多様な形態の施療機1aである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療者の足首付近に限らず、脛部や他の脚部における部位をも効果的にストレッチする事が可能な施療機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ストレッチ機能を備えた施療機はよく知られており、例えば、施療者の足首などをストレッチしてアキレス腱を伸ばす構成のものが存在している。
【0003】
この種の従来技術例として、例えば図19に示すように、左側側壁部3と右側側壁部5と仕切壁部7とを備えた枠体1で構成されるものが開示されており、該枠体1の左側側壁部3と仕切壁部7との間には左側膝下足部受入凹部9が形成されると共に、右側側壁部5と仕切壁部7との間には右側膝下足部受入凹部11が形成され、左右の足の裏部に対向するように足裏支持壁部13が設置されている。
【0004】
前記左側膝下足部受入凹部9内には膝下足部固定手段15が内装されており、この膝下足部固定手段15は、一対の足首固定用エアーバック17・17と、一対の脹脛固定用エアーバック19・19とから構成されている。
【0005】
同様に、前記右側膝下足部受入凹部11内にも膝下足部固定手段21が内装され、この膝下足部固定手段21は、一対の足首固定用エアーバック23・23と、一対の脹脛固定用エアーバック25・25とから構成されている。
【0006】
また、上記足裏支持壁部13の内側には足裏付勢手段としての足裏付勢用エアーバッグ27・29が内装されている。
【0007】
図面に示すコントローラボックス31内には空気ポンプが内装されており、該空気ポンプの起動により、それらエアーバッグの17、19、23、25内にエアーを供給して左右の膝下足部を固定し、次いで、足裏付勢用エアーバック27・29内にエアーを供給する事で、左右の足裏がアキレス腱の伸びる方向に付勢されるようにしている。
【特許文献1】特開2004−89672号公報(第10頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記のようなストレッチ効果をもたらす施療機は、アキレス腱などの足首付近にしかストレッチを施す事ができず、足首と共に脛部などの他の部位をストレッチして、脚部全体に対する効果を及ぼす事ができなかった。そのため、脚部全体の中で筋肉繊維のほぐれた部位と凝り固まった部位が生じて、血流の偏りを招くという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、足首付近に限らず、脛部や他の脚部における部位をも効果的にストレッチする事が可能な施療機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の施療機は、人体脛部を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた脛施療部と、脛施療部の下方に人体足先を施療するための凹部を左右に夫々設けた足先施療部を備え、前記各凹部に空気の給排気により膨縮する膨縮袋を対設させた足載せ部において、脛施療部と足先施療部とを互いに可動連結する可動連結部を設けると共に、脛施療部と足先施療部との間を拡縮させるための拡縮機構を設けたものであり、拡縮機構は可動連結部よりも後方に位置するように設けた事を特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の施療機は、前記脛施療部には、脛施療部の長さ方向に設けられた支持部材によって支持されると共に支持部材に対し可動するための可動機構が設けられており、該脛施療部と前記足先施療部とは可動連結部で回動可能に連結されている事を特徴とするものである。
【0012】
更に、本発明の施療機は、前記拡縮機構は、空気の給排気により拡縮する拡縮袋、または進退棒からなる進退部材である事を特徴とするものである。
【0013】
更にまた、本発明の施療機は、前記支持部材は、施療者の大腿部または臀部が当接する位置に設けた座部の前端に取り付けるか、または、設置面に当接させて設置可能に形成する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
よって、本発明の施療機は、脛施療部と足先施療部とは互いに可動連結する可動連結部を設けると共に、脛施療部と足先施療部との間を拡縮させるための拡縮機構を設けたものであり、拡縮機構は可動連結部よりも後方に位置するように設けた事を特徴とするため、拡縮機構を拡張させる場合、脛施療部は上方に移動すると共に足先施療部は下方に移動するので、例えば、前記各凹部に対設する膨縮袋により脛部及び足先を保持しつつ、拡縮機構を拡張させると、足首付近と共に少なくとも脛部に対しストレッチ効果をもたらし、拡縮機構の拡縮を繰り返すと、屈伸効果をもたらす。
【0015】
また、本発明の施療機は、前記脛施療部には、脛施療部の長さ方向に設けられた支持部材によって支持されると共に支持部材に対し可動するための可動機構が設けられており、該脛施療部と前記足先施療部とは可動連結部で回動可能に連結されている構成のものであるため、拡縮機構を拡張させる時、脛施療部は、支持部材によって常時安定した状態で可動し、且つ、脛施療部と足先施療部間の可動連結部によって両者に互いに安定したスムーズな回動動作を行わせ、人体脛部や足首や足先部の他、足首後方のアキレス腱等を伸張させる効果的なストレッチが可能となる。
【0016】
更に、本発明の施療機は、前記拡縮機構は、空気の給排気により拡縮する拡縮袋、または進退棒からなる進退部材である事を特徴とするものであるため、拡縮機構が拡縮袋の場合は、前記膨縮袋と同じ動力源を適用して簡素化を図る事ができる。また、進退部材の場合は、動力源を電気とするモータを適用する事ができて製作し易くなるし、モータ以外の他の動力を導入する事が容易である。
【0017】
更にまた、本発明の施療機は、前記支持部材は、施療者の大腿部または臀部が当接する位置に設けた座部の前端に取り付けるか、または、設置面に当接させて設置可能に形成する事を特徴とするため、前記支持部材を座部の前端に取り付ける場合は、施療者が着座しながら脚部の施療を行う事ができ、また座部に対して支持部材が上下回動するように取り付けて、施療者の所望する足載せ部の位置で施療を行う事ができる。また、支持部材を設置面に当接させて設置可能に形成する場合は、施療機を施療者の所望する場所に設置し、自由な姿勢で施療を受ける事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の施療機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。図1は本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す斜視図であり、図2は本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図であり、図3乃至図5は本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す右側面図であり、図6及び図7は本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す斜視図であり、図8乃至図15は本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図であり、図16乃至図18は本発明の施療機における携帯型の一実施形態を示す右側面図であり、図19は従来技術を示す参考図である。
【0019】
すなわち、本発明の施療機は、椅子型や携帯型、またその他の形態を取る事が可能な多様性を有するものである。
【0020】
まず、椅子型における本発明の施療機の構成を説明するが、少なくとも施療者の大腿部または臀部が当接する座部を設けた施療機であり、図1及び図2の実施例で示したものは、座部11aと共に、該座部11aの後側にリクライニング可能に連結する背凭れ部12aと、座部11aの前側において上下方向へ揺動可能に連結した足載せ部13aとから構成した施療機1aである。
【0021】
更に、前記座部11aの両側に肘掛け部14aを立設すると共に、前記背凭れ部12aの左右両側に前方に向かって突出した側壁部2aを夫々配設している。
【0022】
図1に示すように、前記背凭れ部12aには、その中央部に左右一対の施療子31aを備えた昇降自在の施療子施療機構3aを設けている。該施療子施療機構3aは、背凭れ部12aの内部左右に設けた左右一対のガイドレール32aに沿って背凭れ部12aの上端から下端にかけて昇降するようにしている。
【0023】
前記左右一対の施療子31aは、モータ等を駆動源とした機械式の施療機構であり、前記背凭れ部12aに凭れた施療者の首部、背部、腰部、臀部等の背面全域を、たたき、揉み、ローリング、振動、指圧などの多様な形態で施療するようにしたものである。
【0024】
また、前記施療機1aの各所定の位置には、空気の給排気により膨縮を繰り返す事が可能な膨縮袋4aを夫々埋設している。該膨縮袋4aは、エアーコンプレッサー及び各膨縮袋4aに空気を分配するための分配器等からなる空気給排装置41aによる給排気により膨縮動作を行うようにしており、該空気給排装置41aは前記座部11aの下部空間に配備している。
【0025】
前記空気給排装置41aによる各前記膨縮袋4aの膨縮動作によって、施療者の所定の施療部位を押圧、指圧等を実施する事ができ、一定間隔を存して対向するよう複数の膨縮袋4aを対設させるならば、挟圧等の施療も行う事ができる。また膨縮袋4aを膨張状態に保つ場合は、施療者の所定の部位を一定の時間保持する事も可能としている。
【0026】
また、前記施療機1aは、前記背凭れ部12aの左右側において、上部及び下部に夫々膨縮袋4aを設けており、施療者の背中及び腰部を押圧、または左右両側から挟圧するような施療を行うよう構成している。
【0027】
また、前記座部11aには、後部側に臀下部用、また腿部用の膨縮袋4aを夫々埋設して、主に下方から上方に押圧する施療を行うようにしている。
【0028】
前記足載せ部13aは、人体の脛部及び足先部を夫々嵌入させる左右一対の凹部を夫々形成したものであり、各凹部に膨縮袋4aを左右一対として対設するよう設けて、凹部内部で人体の脛部及び足先部に対する挟圧施療を実施するようにしている。該足載せ部13aの構成については後に詳しく説明する。
【0029】
前記左右の肘掛け部14aの上部には、必要に応じて人体の手や前腕を嵌入保持して施療するための凹部を形成する腕保持部15aを設ける事ができる。図1の場合、該腕保持部15aの内部において、上下に各膨縮袋4aを夫々対設するよう設けて、凹部内部で人体の手や前腕に対する挟圧施療を実施するようにしている。
【0030】
前記左右の側壁部2aは、座部11aに着座した施療者の肩または上腕側方となる位置に配設しており、該左右の側壁部2aの内側面には夫々左右方向に重合した膨縮袋4aを並列状態に埋設している。これら重合した膨縮袋4a・4aはその基端部のみを側壁部2aの基端部に取り付けているため、膨張時には重合した膨縮袋4a・4aが扇状に広がって施療者の身体側部を挟圧しつつ、身体前方まで覆うようになる。
【0031】
よって、前記左右側壁部2aの前記膨縮袋4aは、膨縮動作により身体側部を施療する事ができるだけでなく、一定の時間において膨張状態を保つならば、施療者の身体が前記背凭れ部12aから離れないようにしっかりと保持する事ができ、施療者の身体を固定したままの状態で前記施療子施療機構3aの前記施療子31aによる背部からの施療を効果的に受ける事が可能となるのである。
【0032】
本発明である前記施療機1aの前記足載せ部13aは、図1の実施形態で示したように、上部に人体脛部を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた脛施療部131aと、該脛施療部131aの下部に位置する人体足先を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた足先施療部132aとから構成しており、脛施療部131aと足先施療部132aの各凹部内部に、前述のような膨縮袋4aを左右に対設させている。尚、適宜各凹部底部にも膨縮袋4aを設ける事ができる。
【0033】
また、図3及び図6に示す支持部材8aは、前記脛施療部131aを支持するためのものであり、図面の形態は、棒状の支持部材8aを脛施療部131aの内部において、該脛施療部131aの上下である長さ方向に設けている。
【0034】
前記支持部材8aは、前記座部11aの前端に取り付けるようにしている。図面の実施形態では、支持部材8aと前記座部11aの下部にある座部下フレーム111aの前端とが、足載せ回動部133aによって回動可能に連結している。これにより、前述したように前記足載せ部13aが座部11aに対して上下回動可能となる。その上下回動は手動及び自動を問わないが、自動とするならば電動モータを動力源とするアクチュエータ(図示せず)を適用する事ができる。
【0035】
前記脛施療部131aと前記足先施療部132aとは、互いに可動連結するように構成している。図3の実施形態では、脛施療部131aと足先施療部132aとの間において、該脛施療部131aと該足先施療部132aとが前方で回動可能に連結される可動連結部6aが設けられている。尚、該可動連結部6aは、図6に示すように前記足載せ部13aの幅方向左右両側に一対として設けてもよい。または、図示しないが、可動連結部6aを足載せ部13aの幅方向中央に単一のものとして設ける事も可能である。
【0036】
また、前記脛施療部131aと前記足先施療部132aとの間を拡縮させる拡縮機構61aを設けており、図3に示す実施形態は、前記可動連結部6aよりも後方に位置するよう、脛施療部131aと足先施療部132aとの間に該拡縮機構61aを設けている。
【0037】
図6は前記拡縮機構61aを前記足載せ部13aの幅方向中央に設けたものを示している。尚、適宜該拡縮機構61aを足載せ部13aの幅方向左右両側に設ける事ができる。
【0038】
前記脛施療部131aは、前記支持部材8aに対し可動するようにするため、図6に示すように脛施療部131aと支持部材8aとの間に可動機構7aを設けている。図面の場合は、脛施療部131aが支持部材8aに沿って可動機構7aにより上下に移動自在になるようにしている。
【0039】
上記のように構成した前記足載せ部13aの前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aにおける動作を以下に説明する。
【0040】
図8及び図9に示す実施形態は、前記足先施療部132aが設置面Gに当接した状態であり、また前記拡縮機構61aは、前記空気給排装置41aから給排気される空気により拡縮する袋状の拡縮袋からなるものである。
【0041】
前記拡縮機構61aが拡張する場合、図9に示すように前記脛施療部131aは前記可動機構7aが設けられているため、支持部材8a上を移動して上方に押し上げられる事になる。
【0042】
前記脛施療部131aが上方へ移動するにつれて、前記足先施療部132aは該脛施療部131aと前端にて前記可動連結部6aにより連結されているため、前方が上がる傾斜状態となる。尚、足先施療部132aの左右後端に前記設置面G上を回転する事が可能な回転輪9aを設けて、足先施療部132aと設置面Gとの間に生じる摩擦を可及的に軽減させるようにしてもよい。
【0043】
この時、足先施療部132aの凹部内部に挿入していた人体足先の前側が上方へ押し上げられる事になり、人体脛部や足首、また足裏や足指などの人体脛部や足先部のストレッチが可能となるのである。特に、足首後方のアキレス腱付近を効果的に伸張させられる。
【0044】
その後、前記拡縮機構61aが縮小すると、前記脛施療部131aは支持部材8a上を下方へ移動すると共に、傾斜状態となっていた前記足先施療部132aは水平状態となり、図8の態様に戻る。
【0045】
前記拡縮機構61aの拡縮を繰り返すならば、人体脛部や足先部、または足指や足首または膝や股の関節などのストレッチまたは屈伸を連続的に行うことができるし、また拡縮機構61aの拡張状態を一定時間保持するようにするならば、十分な伸張をもたらす事ができる。
【0046】
更に、前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aには、前述したように、各凹部に膨縮袋4aを左右に対設させているが、これらの膨縮袋4aを併用する事により、さらに効果的なストレッチまたは屈伸が可能となる。
【0047】
例えば、前記足先施療部132aの凹部に対設する前記膨縮袋4aにより人体足先を確実に保持しながら、前記拡縮機構61aを拡縮させて効果的なストレッチまたは屈伸を行う事ができる。
【0048】
その動作に加えて、前記脛施療部131aの凹部に対設する膨縮袋4aを膨縮させるならば、ストレッチまたは屈伸作用と共に人体脛部に対する押圧または挟圧施療を実施する事ができるのである。
【0049】
または、前記足先施療部132aの前記膨縮袋4aを設けた凹部で人体足先を確実に保持すると共に、前記脛施療部131aの前記膨縮袋4aを設けた凹部で人体脛部を確実に保持した状態で、前記拡縮機構61aを拡縮させるならば、足先や足首のストレッチと共に、脛部を上方に引っ張るようなストレッチも行う事ができ、足先から膝関節全体に及ぶストレッチまたは屈伸効果をもたらす。
【0050】
その他、前記脛施療部131aで人体脛部を前記膨縮袋4aでしっかり保持しながら、前記足先施療部132aにおける前記膨縮袋4aでの押圧または挟圧施療を実施する事も可能である。
【0051】
更に、前記拡縮機構61aの拡縮は、脛施療部131aの上下移動を可能とするので、該拡縮機構61aの拡縮により、脛施療部131aの凹部内部に挿入した人体脛部の施療位置を上下方向において変えながら、前記膨縮袋4aによる施療を行う事が可能となる。
【0052】
そして、前記拡縮機構61aの拡縮、前記脛施療部131a及び足先施療部132aに設けた前記各膨縮袋4aの膨縮を同時に行うならば、押圧または挟圧施療と、ストレッチまたは屈伸との相乗効果をもたらす事ができるのである。
【0053】
図10に示すのは、前記足載せ部13aを上方へ移動させた状態であるが、この状態で前記拡縮機構61aを拡張させる場合は、前記足先施療部132aが前記設置面Gに当接していないため、前記脛施療部131aは移動せずに足先施療部132aのみが、その後部を前方に向かうよう前記可動連結部6aを軸として回動する事になる。
【0054】
特に、この状態での前記拡縮機構61aの拡縮や前記脛施療部131a及び足先施療部132aに設けた前記各膨縮袋4aの膨縮のもたらすストレッチまたは屈伸の作用が及ぶ範囲は、人体足先から大腿部までの脚部全体となる。
【0055】
また、前記背凭れ部12aの左右に設けた前記側壁部2aの前記左右の膨縮袋4aにより、人体上半身を左右から掴んでしっかりと保持する事ができるので、背凭れ部12aを後方に倒して側壁部2aにより人体上半身を保持しながら、前記のように上方へ移動させた状態の前記足載せ部13aの前記拡縮機構61aの拡縮や前記脛施療部131a及び足先施療部132aに設けた前記各膨縮袋4aの膨縮を行うならば、人体足先から上半身にわたる全体的なストレッチまたは屈伸を行うことができるのである。
【0056】
さらに、前記足載せ部13aを上方へ移動させた状態の場合に、前記背凭れ部12aを後方に倒すと同時に、前記拡縮機構61aを拡張させて前記脛施療部131aから離れる方向へ足先施療部132aを回動させ、その後、背凭れ部12aを前方に起こさせると同時に、前記拡縮機構61aを収縮させて脛施療部131aに足先施療部132aが近接するようにさせる事によっても、全身的なストレッチまたは屈伸を行うことができる。
【0057】
その際、前述したように、前記脛施療部131aまたは前記足先施療部132aの膨縮袋4aで人体脛部または足先部を、また前記背凭れ部12aの前記左右の側壁部2aにて上半身をしっかり固定するようにしてもよい。
【0058】
図7及び図11に示す形態は、前記脛施療部131aと前記足先施療部132aとを、夫々左右独立的に分割し、左右の脛施療部131a及び左右の足先施療部132aとで構成したものであり、前記拡縮機構61aは左右夫々に独立して設けられている。
【0059】
よって、図7に示すように、左右の前記拡縮機構61aを夫々交互に拡縮させるならば、リズムカルに人体脚部を交互に動かす事ができ、前述したような同様の仕方で、押圧または挟圧施療や、ストレッチまたは屈伸を実施する事ができる。特にこの形態は、人体脚部のシェイプアップに効果を発揮すると考えられる。
【0060】
図12及び図13の形態は、前記拡縮機構61aを進退棒からなる進退部材612aを用いたものである。該進退部材612aの下方先端と、前記足先施療部132aの後端にある進退連結部613aとは、回動可能に連結している。
【0061】
また、前記の構成に適合して前記可動連結部6aは、少なくとも二つの回動部を両端に設けた構成としている。
【0062】
図面に示すように、モータ611aを前記脛施療部131aの内部に配備する場合は、該モータ611aの動力によって進退部材612aを脛施療部131aから進退させて、脛施療部131aと前記足先施療部132aとの間を拡縮させる事ができる。
【0063】
尚、図示しないが、前記足載せ部13aの前述した上下回動に伴って、前記脛施療部131aと前記足先施療部132aとの間を拡縮させる連動機構を適用する事も可能である。この場合、足載せ部13aの上方回動と連動して、脛施療部131aと足先施療部132aとの間を拡張させ、足載せ部13aの下方回動と共にその間を収縮させるよう構成できる。
【0064】
このような図12及び図13の構成も、前述した図8乃至図11で説明したのと同様の作用及び効果をもたらす動作を行うものである。
【0065】
図14及び図15は、前記座部下フレーム111aの前端と回動可能に連結した前記支持部材8aに対して前記脛施療部131aが可動するための前記可動機構7aに、拡縮機構となるモータ71aを配備させた形態であり、該モータ71aなどの動力源により支持部材8aに対する脛施療部131aの可動を電動で行うようにしたものである。
【0066】
すなわち、前記支持部材8aにラック72aを固設し、該ラック72aに対し脛施療部131a下後部に固設した前記モータ71aによって回転するピニオンギア73aが噛合して動力を伝達するよう構成している。
【0067】
また、前記支持部材8aは、その下端において前記足先施療部132aの後端とも回動可能に連結すると共に、前記脛施療部131a及び前記足先施療部132aをその前端で回動可能に連結するための可動連結部6aを設けており、該可動連結部6aは、少なくとも二つの回動部を両端に設けた構成としている。
【0068】
よって、図14の状態から前記モータ71aを作動させて前記ピニオンギア73aを右回転させるならば、噛合した前記ラック72a上を上方へ向かって回転するので、それに伴い前記脛施療部131aは図15に示すように上方へ移動する事になる。
【0069】
前記脛施療部131aの上方移動に伴い、該脛施療部131aの前端で前記可動連結部6aにより連結した前記足先施療部132aは、前記支持部材8aの下端を軸として、その前方が持ち上げられる。尚、足先施療部132aの左右後端に前記設置面G上を回転する事が可能な回転輪9aを設けて、足先施療部132aと設置面Gとの間に生じる摩擦を可及的に軽減させている。前記モータ71aを逆回転させるならば、図14の状態に戻る事になる。
【0070】
このような図14及び図15の構成も、前述した図8乃至図11で説明したのと同様の作用及び効果をもたらす動作を行う事ができるものである。
【0071】
図16乃至図18に示した形態は、前記で説明した同じ構成である足載せ部13aのみからなる携帯型の施療機1aとしている。
【0072】
そのため、前記空気給排装置41aは図示しないが、前記脛施療部131aまたは前記足先施療部132aの内部或いは外部に配される事になる。
【0073】
この形態の施療機1aにも、前述したような支持部材8aを設けているが、該施療機1aは椅子型ではないので、該支持部材8aの一部を設置面Gに当接させて設置可能に形成している。これにより、この施療機1aは持ち運び便利な携帯型として、あらゆる場所に設置して使用する事ができる。
【0074】
更に、前記施療機1aは、前記足載せ部13aと同様、前記支持部材8aに対して前記脛施療部131aが可動するよう可動機構7aを設けており、図16の例は、脛施療部131aが支持部材8aに対して上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0075】
よって、拡縮機構61aが拡張すると、図17に示すように前記脛施療部131aが上方に押し上げられる事になり、前記支持部材8aに沿って脛施療部131aは上方へ移動し、それと共に該脛施療部131aの前端と回動可能に連結している足先施療部132aの前方が上がる傾斜状態となる。尚、足先施療部132aの後下部には、支持部材8aとの摩擦を軽減するための回転輪9aを設けている。
【0076】
図18のように前記施療機1aは、前記脛施療部131a及び前記支持部材8aの背面側を前記設置面G側になるよう、横に寝かせた状態でも使用する事ができる。
【0077】
この場合、前記設置面Gに直に当接するのは、前記脛施療部131aの背面側と前記支持部材8aに設けた回転輪9aである。
【0078】
このような構成により、前記拡縮機構61aが拡張すると、前記設置面Gに当接している前記脛施療部131aは動かず、該脛施療部131aと可動連結部6aにより回動可能に連結している前記足先施療部132aの下部が拡縮機構61aによって前方へ押され、それに伴って前記支持部材8aも前進する。この時、前記支持部材8aに設けた前記回転輪9aがスムーズに前記設置面G上を回転する事になる。
【0079】
その後、前記拡縮機構61aが収縮するならば、前記足先施療部132aは前記脛施療部131aに近接して戻る事になる。尚、該拡縮機構61aが収縮しても、前方に出ていた前記支持部材8aは後方へ戻らないが、施療やストレッチなどに支障をきたす事はない。もっとも、該支持部材8aが拡縮機構61aの収縮時に後方へ戻るように、例えば図示しないが、足先施療部132aの下方と支持部材8aとを連結するリンク構造を適用する事ができる。
【0080】
このような図16及び図18の施療機1aは、図1乃至図15で説明したような、前記背凭れ部12aや前記側壁部2aなどが設けられていない構造であり、該左右の側壁部2aで身体を固定して行う作用及び効果は無いものの、その他は同様の構成であるので、前述した図1乃至図15で説明したのと略同様の作用及び効果をもたらす動作を行える。また、コンパクトで移動させやすい携帯型となり得るものである。
【0081】
尚、前述した図8乃至図18に示す実施形態において、前記拡縮機構61aの配設位置を変えて、前記足先施療部132aの底面を上方に押す事ができるような位置に該拡縮機構61aを設けてもよい。
【0082】
前記施療機1aの操作を行うため、図3示すような、リモートコントローラ等の操作部5aを設ける事ができる。尚、携帯型の前記施療機1aは、図示しないが適所に設けられる。
【0083】
前記施療機1aが前述した椅子型の場合は、例えば図3のように前記左右の腕保持部15aの片側上方位置に備える事ができ、該操作部5aによって、主電源の入切、前記施療子施療機構3aや前記空気給排装置41a及び各前記膨縮袋4aによる施療の種類や強度等の選択、また、前記背凭れ部12aのリクライニングや前記足載せ部13aの上下動の調節、また前記脛施療部131aや足先施療部132aの移動等、施療機1aのほとんどの機能に対する操作を行うようにしている。尚、操作部5aの操作は、図示しないが、液晶画面等の操作表示部や操作ボタンまたはダイヤル等の操作指示部等で行うようにしてもよい。
【0084】
更に、前記操作部5aによる前記施療機1aの操作に伴う制御は、電子制御であり、また、予めプログラムされたデータに基づく動作や、施療者が任意に入力したプログラムデータに基づいて動作するようにしてもよい。
【0085】
前記で説明した施療機1aに関しては、他にもマット型やベッド型などで適用する事ができるものであり、例えば施療者の脚部付近に前記のような脛施療部131a及び足先施療部132aを配設する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す使用状態図である。
【図3】本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す右側面図である。
【図4】本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す右側面図である。
【図5】本発明の施療機における椅子型の一実施形態を示す右側面図である。
【図6】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図9】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図10】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図11】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図12】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図13】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図14】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図15】本発明の施療機における椅子型の足載せ部の一実施形態を示す右側面図である。
【図16】本発明の施療機における携帯型の一実施形態を示す右側面図である。
【図17】本発明の施療機における携帯型の一実施形態を示す右側面図である。
【図18】本発明の施療機における携帯型の一実施形態を示す右側面図である。
【図19】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0087】
1a 施療機
11a 座部
111a 座部下フレーム
12a 背凭れ部
13a 足載せ部
131a 脛施療部
132a 足先施療部
133a 足載せ回動部
14a 肘掛け部
15a 腕保持部
2a 側壁部
3a 施療子施療機構
31a 施療子
32a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 操作部
6a 可動連結部
61a 拡縮機構
611a モータ
612a 進退部材
613a 進退連結部
7a 可動機構
71a モータ
72a ラック
73a ピニオンギア
8a 支持部材
9a 回転輪
G 設置面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体脛部を施療するための凹部を幅方向左右に夫々設けた脛施療部と、脛施療部の下方に人体足先を施療するための凹部を左右に夫々設けた足先施療部を備え、前記各凹部に空気の給排気により膨縮する膨縮袋を対設させた足載せ部において、脛施療部と足先施療部とを互いに可動連結する可動連結部を設けると共に、脛施療部と足先施療部との間を拡縮させるための拡縮機構を設けたものであり、拡縮機構は可動連結部よりも後方に位置するように設けた事を特徴とする施療機。
【請求項2】
前記脛施療部には、脛施療部の長さ方向に設けられた支持部材によって支持されると共に支持部材に対し可動するための可動機構が設けられており、該脛施療部と前記足先施療部とは可動連結部で回動可能に連結されている事を特徴とする請求項1記載の施療機。
【請求項3】
前記拡縮機構は、空気の給排気により拡縮する拡縮袋、または進退棒からなる進退部材である事を特徴とする請求項1及び請求項2記載の施療機。
【請求項4】
前記支持部材は、施療者の大腿部または臀部が当接する位置に設けた座部の前端に取り付けるか、または、設置面に当接させて設置可能に形成する事を特徴とする請求項1及び請求項3記載の施療機。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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