説明

施設アイコン表示調節地図表示装置

【課題】
地図画面上に多数のPOIアイコン表示が存在すると、POIアイコンが見にくくなると共に、地図が見なくなるので、利用者にとって地図及びPOIアイコンが見やすい「施設アイコン表示調節地図表示装置」とする。
【解決手段】利用者が指示する地図画面の領域を検出し、全画面に施設アイコンを表示している時には、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理を行う。また全画面に施設アイコンを表示していない時、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示する処理を行う。指示した領域の施設アイコンの非表示 或いは表示の処理に際しては、利用者の指示回数により複数段階の表示処理を行うようにする。それにより任意の施設の種類のPOIアイコンを順に非表示、或いは表示にする。その表示の最終段階はPOIアイコンの全非表示或いは全表示としても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置を初めとする地図表示装置において、地図上に表示する各種施設を示すアイコンを、地図画面が見やすく、且つアイコン表示も見やすく表示調節を行うことができるようにした施設アイコン表示調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図の表示はナビゲーション装置を初め、各種携帯情報端末器やパソコン等で広く用いられており、例えばナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ、及び施設等を表示しこれを検索するための施設情報データを記録したDVD、ハードディスク等の地図・情報データ記録媒体を備えている。ナビゲーション装置ではこの地図・情報データ記録媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、地図等を表示するモニタと、必要に応じてGPS受信機及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自立航法装置を用い、現在位置及び進行方向の方位を検出する現在位置検出装置を有し、現在位置を含む地図データを地図・情報データ記録媒体から取り込み、この地図データに基づいて現在位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、現在位置マークをモニタ画面に重ね合わせて表示し、車両等の移動に応じて地図画像をスクロール表示し、或いは地図画像を画面に固定し現在位置マークを移動させ、現在どこを移動しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
DVD或いはハードディスク等の地図・情報データ記録媒体に記録されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、道路等は経度及び緯度で表現されたノードの座標集合として記憶されている。道路は2以上のノードの連結からなり、地図データは、道路リスト、ノードテーブル及び交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、及び地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための各種の背景レイヤ等の地図データと、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための情報データなどから構成される。この情報データとしては更に、地図上に表示される各種施設について、一見してその施設の種類がわかるように、各施設のジャンル毎のアイコンを、或いは全国フランチャイズ店等ではその店の固有のアイコンを表示している。
【0004】
上記のような各種施設はPOI(Point of Interest)と呼ばれ、それらの施設のアイコンはPOIアイコンと称される。したがって以降この施設のアイコンであるPOIアイコンは「施設アイコン」とも呼ぶ。このPOIアイコンは地図表示用の全国統一のアイコンが用いられる以外に、各地図メーカーがよりわかりやすいように、或いは他のPOIアイコンと区別しやすいように、独自のPOIアイコンを使用して、各種施設を表示することも行われている。また、このようなPOIアイコンの表示は、広域地図の表示に際してはあまりにもアイコンが重なり、地図が見にくくなるので表示せず、より縮尺の小さな地図、即ちより詳細な地図を表示する時、POIアイコンを表示するようにしている。
【0005】
上記のような地図に表示するPOIアイコンは、例えば図9に示すようにして表示される。即ち図9(a)に示すように、道路地図上に表示するPOIアイコンについては、各POIアイコンの座標情報が地図データベースに格納されており、図示の例では各POIアイコンの種別毎にそれぞれ異なったアイコンを付与しているが、ここでは各POIの位置座標を道路Rとの関係で示している。同図においては星印がレストラン、菱形がATM、三角形が病院、四角形が郵便局、六角形がガソリンスタンドを示している。
【0006】
したがってこのデータによって実際の地図画面上では、同図(b)に示すように、各地点に対しての各施設に対応する予め設定したPOIアイコンを描画することによって、利用者は一見して各施設の位置と種類を見ることができるようになっている。このとき表示するPOIアイコンは、例えば図9(c)に示すリストのように、予め設定した各施設の重要性等によって表示順序が定められており、重要な施設のPOIアイコンを後で表示することにより、後述するようにPOIアイコンが重なって表示される時には、できる限り重要なアイコンを上層に表示することにより、良く見えるようにしている。
【0007】
このような地図画面において、POIアイコンがあまりにも多すぎると互いに重なり合って、下層に表示されるPOIアイコンが見にくくなる。そのため、所定の地図の縮尺に迄詳細な地図が表示されるようになってからPOIアイコンを表示するようにしているが、それでもなお、例えば図5(b)に示すように、道路R1とR2の交差点Cについては、図中右側の病院とATMが重なり、左側の郵便局とレストランが重なっており、特に下層に表示されるATMとレストランは実質的に見ることができなくなる。
【0008】
更に、このような施設アイコンが多くなると、例えば比較的大きな駅の前、或いは大都市の特定の場所のように、多くの施設が集まっている所では、施設アイコンが密集して、道路が見にくくなることも多い。図9(d)にはそのような状態の地図表示例を示しており、図中浪速駅前の特定の領域では施設アイコンが密集し、実質的に道路地図が見えなくなってしまっている。このような状態は、例えばアメリカのニューヨーク市の地図では顕著であることが知られている。
【0009】
上記のようなPOIアイコンの密集による問題を解決するため、例えば特許文献1にはナビゲーション装置から所望の地点の地図画像の表示が要求された時に、領域指定手段を用いて所望の表示領域を簡単に指定できるようにし、地図画像の所望の指定領域にある施設を検索してその施設情報のみを抽出して表示するようにした地図表示手法を開示されている。また特許文献2には表示地図上にPOIアイコン等を重畳して表示する場合に、一表示領域内において表示可能なPOIアイコン等の数が所定の数を超える時、超えた分のアイコンを表示しないようにして、表示地図の見栄えを良くする技術が開示されている。また特許文献3には、互いに干渉して表示されるPOIアイコンについて、重なり合うことにより表示されない部分が所定の割合以上のPOIアイコンについては表示しないようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2008−180786号公報
【特許文献2】実用新案登録第2602938号公報
【特許文献3】特許第4007263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のように、POIアイコンが重なることにより下層に表示されるPOIアイコンが見にくくなり、また道路も見にくくなってしまう問題点を解決するために前記特許文献1に記載されているような、所望の表示領域を指定して指定領域にある施設のみを抽出して表示するようにした技術では、本来は全体の領域では全ての施設を表示させたい時において、特定の領域だけ施設の表示で隠れている道路を明瞭に表示させたい時には対応することができない。しかも単に施設を表示させるか否かの選択であるため、例えば特定の領域にはレストランが密集しているのでそれらのレストランの表示は不要であり、他の施設を表示させたい、というように特定の領域について施設の種類によって表示非表示を切り替えることもできない。
【0012】
また、前記特許文献2及び3に記載されているような、実質的に見えなくなるPOIアイコンについては表示しないようにする、という技術では、実際には利用者にとって重要なPOIアイコンが全く表示されないこととなり、それではかえって、見にくい画面でも注視すればわかるPOIアイコンも消去されることがある。また、どうしても重なってわかりにくいPOIアイコンについては、その地図部分を中心に拡大表示できる縮尺にして、その位置に存在する施設を明らかにすることもでき、単に表示を削除してしまうことは好ましくない。
【0013】
上記のようなPOIアイコンが重なって表示されることによって見にくくなる問題は、前記のようなナビゲーション装置に限らず、携帯電話や携帯情報端末、パソコン等において地図を表示する時も同様の問題が生じ、その対策は各種の地図表示を行う分野で求められている。
【0014】
したがって本発明は、地図上に表示されるPOIアイコンが互いに重なることによって干渉し、道路画面が見えなくなってしまう問題、及び下層に表示されるPOIアイコンが上層に表示されるPOIアイコンに隠れてしまって見えなくなる問題を解決し、その際に所定の領域について表示不要な種類のPOIアイコンの表示しないことによって、必要なPOIアイコンを明瞭に表示し、それも多様な態様で調節することができるようにした施設アイコン表示調節地図表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る施設アイコン表示調節地図表示装置は、前記課題を解決するため、表示する地図画面に施設アイコンを表示する施設アイコン表示処理部と、利用者が指示する地図画面の領域を検出する利用者指示領域検出部とを備え、前記施設アイコン表示処理部では、全画面に施設アイコンを表示している時、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理を行うか、または全画面に施設アイコンを表示していない時、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示する処理を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る他の施設アイコン表示調節地図表示装置は、前記施設アイコン表示調節地図表示装置において、前記所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理は、利用者の指示回数により複数段階の表示処理を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る他の施設アイコン表示調節地図表示装置は、前記施設アイコン表示調節地図表示装置において、前記複数段階の表示処理は、前記利用者指示領域検出部で検出した領域の中で、施設の多い種類、或いは施設の少ない種類の順に行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る他の施設アイコン表示調節地図表示装置は、前記施設アイコン表示調節地図表示装置において、前記複数段階の表示処理の最後の段階は、所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理を行う際には全ての施設アイコンを表示せず、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理を行う際には全ての種類の施設を表示することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る他の施設アイコン表示調節地図表示装置は、前記施設アイコン表示調節地図表示装置において、前記所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理による地図表示は、所定時間後に元の施設アイコン表示に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記のように構成したので、地図上に表示されるPOIアイコンが互いに重なることによって干渉し、道路画面が見えなくなってしまう問題、及び下層に表示されるPOIアイコンが上層に表示されるPOIアイコンに隠れてしまって見えなくなる問題を解決することができる。またその際に、所定の領域について表示不要な種類にPOIアイコンの表示を行うことによって、必要なPOIアイコンを明瞭に表示し、それも多様な態様で調節することができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明の基本的な処理を行う作動フロー図である。
【図3】本発明の詳細な作動フロー図である。
【図4】図3のステップS22の処理を行う作動フロー図である。
【図5】本発明の実施例の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施例の他の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施例の更に他の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施例の更に他の表示例を示す図である。
【図9】POI表示処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0022】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明の実施例の機能ブロック図であり、図示のPOI(Point of Interest)アイコン(施設アイコン)表示態様選択部1では、現在地図に表示するために地図・情報データ記録媒体から読み出した各種の施設データについて、実際にその施設のPOIアイコンを地図上に表示する態様を選択するものであり、その中には全地図画面全表示態様2と全地図画面全消去態様5とを備えている。
【0023】
全地図画面全表示態様2においては、現在のモニタの画面に表示する地図において、その地図には原則として全ての領域に全てのPOIアイコンを表示する態様とする。その中の指示領域内全消去態様3では、前記のように画面全体にPOIアイコン表示を行っている時において、例えば利用者がモニタ画面の特定の領域を指でなぞる操作を行った時、その操作を行った領域、或いはその操作によって囲まれた領域である指示領域については、POIアイコンを全て消去するPOIアイコンの表示態様を行う。したがって、指示領域以外の領域はPOIアイコンが全て表示されることとなる。
【0024】
全地図画面全表示態様2における指示領域内部分消去態様4は、前記のように画面全体にPOIアイコン表示を行っている時において、利用者が指示した領域のPOIアイコンについて、例えばレストラン等の特定の種類の施設を消去する態様を行う。その際には、後述するように利用者が同じ領域を複数回指示した時、その回数に応じて予め定めておいた施設の種類の順序で、徐々にPOIアイコンの表示を消去するように設定することもできる。
【0025】
全地図画面全消去態様5においては、現在のモニタの画面に表示する地図において、その地図には原則として全ての領域にPOIアイコンを表示しない、即ち全て消去した状態にする態様を行う。その中の指示領域内全表示態様6では、前記のように画面全体にPOIアイコン表示を行っていない時において、例えば利用者がモニタ画面の特定の領域を指等でなぞる操作を行った時、その操作を行った領域、或いはその操作によって囲まれた領域である指示領域については、POIアイコンを全て表示するPOIアイコンの表示態様を行う。したがって、指示領域以外の領域はPOIアイコンが全て表示されないこととなる。
【0026】
全地図画面全消去態様5における指示領域内部分表示態様7は、前記のように画面全体にPOIアイコン表示を行っていない時において、利用者が指示した領域のPOIアイコンについて例えばレストラン等の特定の種類の施設を表示する態様を行う。その際には、後述するように利用者が同じ領域を複数回指示した時、その回数に応じて予め定めておいた施設の種類の順序で、徐々にPOIアイコンの表示を増やすように設定することもできる。
【0027】
POIアイコン表示態様選択部1では、前記のような種々の態様の内、いずれかを利用者が選択して使用するものであり、利用者が原則として現在表示している地図画面中の全画面において、全てのPOIアイコン表示を行うことにするか、その逆の原則として全画面において全てのPOIアイコンを表示しないことにするかの選択を行い、その中の前記のような各種の態様を選択しておく。但し、全画面に全てのPOIアイコンを表示することなく、一部の施設のアイコンは表示しないでおくこと、また、全画面に全てのPOIアイコンを表示しないようにするのではなく、一部の施設のアイコンは表示するようにしておくことも可能である。
【0028】
利用者指示領域検出部8では、前記のように例えば利用者がタッチパネル機能付きモニタを使用して地図表示中に、特定の領域をなぞった時、そのなぞった領域が指示領域であると検出し、或いはなぞった部分が円や楕円等の閉じられた領域部分を指示していると解される時にはその領域内全体が指示領域であると検出する。利用者が領域を指示する際にはそれ以外に、例えばカーソルで特定領域を囲む等の操作を検出しても良く、更に特定の地域を指定することによって領域の指定を行うこともできる。
【0029】
POIアイコン(施設アイコン)表示処理部11は、前記POIアイコン表示態様選択部1の出力により、ここで選択した態様でPOIアイコンが表示できるように処理するものであり、その中の全地図画面全表示処理部12では、地図画面全体に対して全てのPOIアイコンを表示する処理を行う。また指示領域内全消去処理部13では、利用者指示領域検出部8で検出した指示領域についてその領域部分は全てのPOIアイコンは消去する処理を行う。
【0030】
指示領域内部分消去処理部14では、前記指示領域について、例えばレストラン、コンビニ等の任意の種類の施設のみを表示しない処理を行うものであり、図示の例ではその中に部分消去第1態様15、部分消去第2態様16、部分消去第3態様17の3種類の態様を備えた例を示している。
【0031】
これらの態様において、例えば部分消去第1態様15では、最初に全地図画面全表示処理部12で処理を行っている状態から、利用者指示領域検出部8で利用者が地図画面上の特定の領域を指示したことを検出した時には、その領域については例えばレストランのPOIアイコンを消去する。その後同じ領域を更に指示したことを検出した時には部分消去第2態様16として、例えば喫茶店のPOIアイコンを削除し、更に同じ領域を指示したことを検出した時、即ち同じ領域を3回指示したことを検出した時には部分消去第3態様17として、例えばコンビニのPOIアイコンを削除する、という設定が可能となる。このような処理が、従来より行われている前記図9(c)に示すような表示順の指示において、一部の施設の表示を行わないことにより、ほとんどの処理負担も無く容易に実施することができる。
【0032】
この指示領域内部分消去処理部14は図示するような3種類の態様を備える以外に、例えば第1態様のみ備えても良く、或いは第1態様と第2態様のみを備えても良い。更に、第4態様、第5態様・・・と多数の態様を備えても良い事は言うまでもない。
【0033】
全地図画面全消去処理部18では、モニタに表示されている全地図画面において、全てのPOIアイコンを表示しない処理を行う。また指示領域内全表示処理部19では、利用者指示領域検出部8で検出した指示領域についてその領域部分は全てのPOIアイコンを表示する処理を行う。
【0034】
指示領域内部分表示処理部20では、前記指示領域について、例えばレストラン、コンビニ、公共施設等の任意の種類の施設のみを表示する処理を行うものであり、図示の例ではその中に部分表示第1態様21、部分表示第2態様22、部分表示第3態様23の3種類の態様を備えた例を示している。
【0035】
これらの態様において、例えば部分表示第1態様21では、最初に全地図画面全消去処理部18で処理を行っている状態から、利用者指示領域検出部8で利用者が地図画面上の特定の領域を指示したことを検出した時には、その領域については例えば公共施設のPOIアイコンを表示する等、予め定めた所定の種類の施設のアイコンを表示する。その後同じ領域を更に指示したことを検出した時には部分表示第2態様22として、例えばレストランのPOIアイコンを表示し、更に同じ領域を指示したことを検出した時、即ち同じ領域を3回指示したことを検出した時には部分消去第3態様23して、例えばコンビニのPOIアイコンを表示する、という設定が可能となる。
【0036】
この指示領域内部分表示処理部20は図示するような3種類の態様を備える以外に、例えば第1態様のみ備えても良く、或いは第1態様と第2態様のみを備えても良い。更に、第4態様、第5態様・・・と多数の態様を備えても良い事は前記指示領域内部分消去処理部14と同様である。
【0037】
POIアイコン表示出力部24は、POIアイコン表示処理部11で表示処理を行ったPOIアイコンを出力するものでありPOIアイコンを地図画面に表示し、或いは表示しない出力を行う。それにより後述する表示例の一部を示す図1(b)のような表示態様から、利用者がモニタに指等で領域を指示することにより、同図(c)に示すようなその領域には特定の施設が消去された表示を行うことができる。
【0038】
図2には本発明を実施するための基本的な作動を行う作動フロー図を示しており、図2に示すPOIアイコンの表示処理においては、最初に地図画面を表示している状態で(ステップS1)、利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったか否かを判別する(ステップS2)。ここで未だ指示操作を行っていないと判別した時には、ステップS1に戻って所定の地図表示を継続する。
【0039】
ステップS2で利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったと判別した時には、現在はPOIアイコンの表示中か否かを判別する(ステップS3)。ここで現在はPOIアイコンの表示中であると判別した時には、利用者が指示操作を行った領域のPOIアイコンを消去する(ステップS6)。また、ステップS3で現在はPOIアイコンの表示中ではないと判別した時には、利用者が指示操作を行った領域のPOIアイコンを表示する(ステップS5)。
【0040】
ステップS4の処理、及びステップS5の処理を行った後は、図示実施例では所定時間が経過したか否かを判別し(ステップS6)、未だ経過していない時には、前記ステップS4の作動を行っている時には再びステップS4の作動を継続し、ステップS5の作動を行っている時には再びステップS5の作動を継続する。その後例えば3分等の所定時間が経過したと判別した時には、POIアイコン表示を元の表示状態に戻す(ステップS7)。したがってPOIアイコンの表示中であった時にはPOIアイコンを全て表示する態様に戻し、またPOIアイコンを表示しない状態であった時には、POIアイコンを全て表示しない態様に戻す。
【0041】
前記のような基本的な作動においては、例えば図5(a)に示すような全地図画面に全てのPOIアイコンを表示している時、浪速駅前において多くのビルが建っている繁華街では、レストランを中心に多くの施設が存在し、互いのPOIアイコンも判別できない程になっており、しかも道路が見えなくなっている。そのためこの地域にこれから車で行こうとしても、どのようにして行ったらよいのかがわからない表示状態になっている。
【0042】
このような状態から利用者がモニタ画面に指で楕円Aをなぞって領域の指示を行うと、図5(b)のようにその領域部分のPOIアイコンが消去され、この領域の道路の状態が明瞭に見ることができるようになる。また、同図(a)の楕円Bをなぞった時には、同図(c)に示すように、その領域のPOIアイコンが消去され、道路の状態を明瞭に見ることができるようになる。これらの処理は図2のステップS3で現在はPOIアイコンの表示中であると判別した時、ステップS4で利用者の指示操作を行った領域のPOIアイコンを消去することにより行っている。上記のような処理を実際のナビゲーション装置に適用した例を図8に示している。この例はニューヨークの市街の状態を示しており、同図(a)における領域A部分を指示することにより、同図(b)のようにその指示領域内のPOIアイコンが削除され、道路が見やすくなることがわかる。
【0043】
それに対して、例えば図6(a)に示すように地図画面全体にPOIアイコンを表示していない状態で、領域Aを前記のように指示した時には、同図(b)に示すようにその領域部分のPOIアイコンを表示し、領域B部分を指示した時には、同図(c)に示すようにその領域部分のPOIアイコンを表示することができる。もしも領域AのPOIアイコン表示中に更に領域Bを指定した時には、両方とも表示させることもできる。
【0044】
図3には図2に示す基本的な作動を元に、指定した領域を各種の態様でPOIアイコン表示及び非表示を行うことができるようにした例を示しており、この例では最初前記図2と同様に地図画面の表示状態から(ステップS11)、利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったか否かを判別し(ステップS12)、その指示操作を行っていないと判別した時にはステップS11に戻って所定の地図画面の表示を継続する。ステップS12において利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったと判別した時には、地図画面はPOIアイコンの表示態様中であるか否かを判別する(ステップS13)。これらの作動も前記図2に示す態様と同様である。
【0045】
ステップS13で、POIアイコンを表示する態様であると判別した時には、ステップS12で行った利用者による表示地図上の所定領域の指示操作は、その指示操作領域部分では最初の指示操作か否かを判別する(ステップS14)。ここで初めての指示操作であると判別した時には、POIアイコンの第1段階消去処理を行う(ステップS15)。このときの第1段階消去処理としては予め任意の処理を設定することができるが、例えば前記図6(a)のようなPOIアイコンを全て表示している状態から、この第1段階消去処理を行うときには、例えば図7(a)のようにレストランのPOIアイコンを消去するように設定することができる。
【0046】
それによりこの領域にレストランが多いことにより道路が見にくくなっていた状態から、道路を見やすく表示することができる。なお、第1段階消去処理は予め前記のようにレストランのPOIアイコンと決めておくことができるが、それ以外に、その領域で最も数の多い種類の施設のPOIアイコンと予め設定しておくことにより、より適切なPOIアイコンの段階的な消去処理を行うこともできる。なお、この処理は図1における指示領域内部分消去4のPOIアイコン表示態様の選択を行っていることにより、POIアイコン表示処理部11では指示領域内部分消去処理14が実行され、特にその中の部分消去第1態様15の処理がなされることによって行われる。
【0047】
図3の例においてはステップS14でその指示操作領域部分では最初の指示操作ではないと判別した時には、ステップS16に進んでその指示操作領域部分では2回目の指示操作か否かを判別する。ここで2回目の指示操作であると判別した時、即ち、図7(a)に示す第1段階消去処理が行われた状態で、同じ領域を利用者が指示したと判別した時には、例えば同図(b)に示すように、喫茶店のPOIアイコンを消去する等の、第2段階の消去処理を行う。この処理は図1の部分消去第2態様16で行う。また、この処理においても、前記のように指示した領域の中で施設数の多いPOIアイコンを順に消去する要に設定する時には、2番目に多い施設のPOIアイコンを消去することとなる。
【0048】
ステップS16でその指示操作領域部分では2回目の指示操作ではないと判別した時には、ステップS18に進んでPOIアイコンの第3段階消去処理を行う。この処理においても例えば更に他の種類の施設のPOIアイコンの消去を行うように設定することができるが、その外、この部分消去第3態様を最終段階の消去処理の態様として、例えば図6(b)に示すように、全てのPOIアイコンを消去するように設定することもできる。この処理は図1の部分消去第3態様17で行う。ここにおいても、3番目に多い施設のPOIアイコンを消去するように設定できることは前記と同様である。
【0049】
ステップS15でPOIアイコンの第1段階消去処理、ステップS17でPOIアイコンの第2段階消去処理、ステップS18でPOIアイコンの第3段階消去処理をそれぞれ行った後は、いずれもステップS19に進み、所定時間が経過したか否かを判別し、未だ所定時間が経過していないと判別した時には、利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったか否かを判別する(ステップS20)。
【0050】
ここで未だ指示操作を行っていないと判別した時には所定時間が経過するまでその表示を継続する。なお、利用者が別途にそのような表示の強制終了を指示した時には、所定時間が経過した時と同様の処理を行う。ここで利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったと判別した時には、ステップS14に戻って、その指示操作領域部分では最初の指示操作か否かを判別する。そのとき例えばステップS18においてPOIアイコンの第3段階消去処理により表示を行っている時でも、利用者が他の領域の指示操作を行った時には、その領域について最初であるか否かを判別し、前記と同様の作動を繰り返して行うことができる。
【0051】
ステップS19で所定時間が経過したと判別した時にはステップS21に進み、POIアイコン表示を元の表示状態に戻す処理を行い、その後ステップS11に戻って前記作動を繰り返す。ステップS19における所定時間が経過したか否かの判別に際しては、各指示操作領域において、最後の処理がなされてから、例えば3分間等の所定の時間が経過したか否かの判別によって行うようにしても良い。
【0052】
ステップS13における地図画面はPOIアイコンの表示態様中ではないと判別した時にはステップS22に進み、図4に示すような利用者が指示操作を行った領域のPOIアイコンの表示処理を行う。即ち図4に示す利用者が指示操作を行った領域のPOIアイコンの表示処理の例においては、前記図3のステップS14以降の、利用者が指示操作を行った領域のPOIアイコンの消去処理と同様の作動を行うものであり、最初に、その指示操作領域部分では最初の指示操作か否かを判別し(ステップS31)、最初の指示操作であると判別した時にはPOIアイコンの第1段階表示処理を行う(ステップS32)。
【0053】
ここでも任意の態様で第1段階の表示処理を行うことができ、例えば図7(c)に示すように、レストランのPOIアイコンのみを表示させることができる。ここにおいても例えばその領域で施設数の多い順、或いは少ない順等の設定が可能であることは前記図3に示した態様と同様である。この処理は、図1の指示領域内部分表示処理部20において、部分表示第1態様21で行う。
【0054】
ステップS31でその指示操作領域部分では最初の指示操作ではないと判別した時には、ステップS33に進んで、その指示操作領域部分では2回目の指示操作か否かを判別し、2回目の指示操作であると判別した時には、POIアイコンの第2段階表示処理を行う(ステップS34)。また、ステップS33でその指示操作領域部分では2回目の指示操作ではないと判別した時には、ステップS35においてPOIアイコンの第3段階表示処理を行う。これらの第2段階表示処理、第3段階表示処理も、前記と同様の処理を行うことができるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
ステップS32、S34、S35の処理を行った後はいずれもステップS36に進み、所定時間が経過したか否かを判別し、未だ所定時間が経過していないと判別した時には、利用者が表示地図上の所定領域の指示操作を行ったか否かを判別し(ステップS37)、行っていない時にはステップS36に戻ってその作動を繰り返し、行ったと判別した時にはステップS31に戻ってそれ以降の前記作動を繰り返す。また、ステップS36で所定時間が経過したと判別した時には、POIアイコン表示を元の表示状態に戻し(ステップS38)、図3のステップS11に戻る(ステップS39)。
【0056】
本発明は図2に示す基本作動で処理を行うことにより、前記先行特許文献1に開示されているような所望の表示領域を指定して指定領域にある施設のみを抽出して表示するようにした技術では、本来は全体の領域では全ての施設を表示させたい時において、特定の領域だけ施設の表示で隠れている道路を明瞭に表示させたい時には対応することができない、という問題点を解決することができる。更に本発明では特定の領域において、任意の施設のPOIアイコンを表示し、或いは消去でき、それも複数段階で表示或いは消去することができるので、多様なPOIアイコンの表示処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 POIアイコン表示態様選択部
2 全地図画面全表示態様
3 指示領域内全消去
4 指示領域内部分消去
5 全地図画面全消去態様
6 指示領域内全表示
7 指示領域内部分表示
8 利用者指示領域検出部
11 POIアイコン表示処理部
12 全地図画面全表示
13 指示領域内全消去
14 指示領域内部分消去
15 部分消去第1態様
16 部分消去第2態様
17 部分消去第3態様
18 全地図画面全消去
19 指示領域内全表示
20 指示領域内部分表示
21 部分表示第1段階
22 部分表示第2段階
22 部分表示第3段階
24 POIアイコン表示出力部
25 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示する地図画面に施設アイコンを表示する施設アイコン表示処理部と、
利用者が指示する地図画面の領域を検出する利用者指示領域検出部とを備え、
前記施設アイコン表示処理部では、全画面に施設アイコンを表示している時、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理を行うか、または全画面に施設アイコンを表示していない時、利用者が指示した領域には所定の種類の施設のアイコンを表示する処理を行うことを特徴とする施設アイコン表示調節地図表示装置。
【請求項2】
前記所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理は、利用者の指示回数により複数段階の表示処理を行うことを特徴とする請求項1記載の施設アイコン表示調節地図表示装置。
【請求項3】
前記複数段階の表示処理は、前記利用者指示領域検出部で検出した領域の中で、施設の多い種類、或いは施設の少ない種類の順に行うことを特徴とする請求項2記載の施設アイコン表示調節地図表示装置。
【請求項4】
前記複数段階の表示処理の最後の段階は、所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理を行う際には全ての施設アイコンを表示せず、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理を行う際には全ての種類の施設を表示することを特徴とする請求項2記載の施設アイコン表示調節地図表示装置。
【請求項5】
前記所定の種類の施設のアイコンを表示しない処理、または所定の種類の施設のアイコンを表示する処理による地図表示は、所定時間後に元の施設アイコン表示に戻すことを特徴とする請求項1記載の施設アイコン表示調節地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−2284(P2011−2284A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144089(P2009−144089)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】