説明

施錠・解錠システム

【課題】ドア開放時の操作数を削減してドア開放作業の簡素化を図ることができる施錠・解錠システムを提供する。
【解決手段】通信部を有する携帯機2と、自動車側に配置され、ドアロック機構10を施錠・解錠するためのスイッチ6、及びスイッチ6の操作によって携帯機2との間で送受信する送受信機15を有し、携帯機2からの信号に含まれるコードと予め登録されたコードとを照合した結果に基づいてドアロック機構10を施錠・解錠する施錠・解錠装置3とを備え、施錠・解錠装置3は、スイッチ6の操作によるドアロック機構10の解錠によって作動し、ドアを開放するドア開閉機構12を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施錠・解錠システムに関し、特に開閉部材のロック機構を施錠・解錠する機能を備えた施錠・解錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の施錠・解錠装置として、例えば内部に収容したアクチュエータ用リンク機構の断続を切り替えて施錠・解錠を行うドアロックアクチュエータを備えたものがある。
【0003】
この施錠・解錠装置は、ドアハンドルの回動操作によって回転運動を生じるハンドル用リンク機構と、ハンドル用リンク機構の回転運動によって下向きの直線運動を生じるハンドル用ロッドと、ハンドル用ロッドの直線運動を上記したアクチュエータ用リンク機構に伝達する連結レバー機構とを有している。
【0004】
また、施錠・解錠装置は、常時開放されているキー挿抜孔に対する正規キー(マッチキー)の挿入による回動操作によって回動するキーロータを有してドアハンドルに収容されたシリンダ錠と、シリンダ錠のキーロータの回動運動によって回動するシリンダ錠用ロッドと、シリンダ錠用ロッドの回動運動を上記したアクチュエータ用リンク機構に伝達するキーレバー機構とを有している。
【0005】
このような施錠・解錠装置においては、マッチキーのシリンダ錠への挿入回動操作によってキーロータが中立位置から一方向に回動すると、この回動がシリンダ錠用ロッドを介してキーレバー機構に伝達され、キーレバー機構の作動によってドアロックアクチュエータ内のアクチュエータ用リンク機構の断続が切り替えられ、ドアロック機構が施錠状態から解錠状態にされる。
【0006】
この後、ドアパネルを開放する方向にドアハンドルを操作すると、このドアハンドルの回動操作がハンドル用リンク機構を介してハンドル用ロッドに伝達される。ハンドル用ロッドがドアハンドルの回動操作によって下方へ直線運動すると、その直線運動が連結レバー機構を介してアクチュエータ用リンク機構に伝達される。アクチュエータ用リンク機構が作動すると、ドアロック機構が解錠状態にされているので、ドアパネルが開放される。
【0007】
一方、ドアロック機構の解錠状態において、マッチキーのシリンダ錠への挿入回動操作によってキーロータが中立位置から他方向に回動すると、この回動がシリンダ錠用ロッドを介してキーレバー機構に伝達され、キーレバー機構の作動によってアクチュエータ用リンク機構が作動してドアロック機構が解錠状態から施錠状態にされる。
【0008】
ところで、この種の施錠・解錠装置には、良好なデザイン性を得るために、パネル面に開口する凹部を有するドアパネルと、このドアパネルの凹部内に配置されてドアロック機構を施錠・解錠するためのシリンダ錠と、このシリンダ錠のキー挿抜孔を開閉するシャッタ部を有してドアパネルの凹部内に回動可能に配置されたドアハンドルとを備えたものも知られている(特許文献1)。
【0009】
このような施錠・解錠装置において、通常時にはドアハンドルがドアパネルと同一の面上に倒伏した状態に配置される。
【0010】
一方、ドアロック機構を施錠・解錠するには、ドアハンドルを回動操作によって起立した状態に配置してシリンダ錠のキー挿抜孔を露出させ、このキー挿抜孔にマッチキーを挿入回動操作することにより行う。この場合、ドアロック機構の解錠状態においてドアを開放するには、ドアハンドルをドア開方向に回動操作する。
【特許文献1】特開2007−314956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の施錠・解錠装置によると、ドアロック機構の施錠状態においてドアを開放するには、マッチキーの挿入回動操作とドアハンドルの回動操作を必要としていた。この結果、ドア開放時の操作数が嵩み、ドア開放作業を煩雑にするという問題があった。
【0012】
従って、本発明の目的は、ドア開放時の操作数を削減することができ、もってドア開放作業の簡素化を図ることができる施錠・解錠システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、通信部を有する携帯機と、車両側に配置され、開閉部材のロック機構を施錠・解錠するためのスイッチ、及び前記スイッチの操作によって前記携帯機との間で送受信する送受信機を有し、前記携帯機からの信号に含まれるコードと予め登録されたコードとを照合した結果に基づいて前記ロック機構を施錠・解錠する施錠・解錠装置とを備え、前記施錠・解錠装置は、前記スイッチの操作による前記ロック機構の解錠によって作動し、前記開閉部材を開放する開閉機構を含むことを特徴とする施錠・解錠システムを提供する。
【0014】
(2)上記(1)に記載の施錠・解錠システムにおいて、前記施錠・解錠装置は、非常用のマッチキーを挿抜可能なシリンダ錠を含み、前記シリンダ錠のキー照合位置に対するマッチキーの挿入状態において所定の操作によって前記ロック機構が施錠・解錠され、前記ロック機構の解錠状態において前記開閉部材がその開方向への操作によって開放される。
【0015】
(3)上記(2)に記載の施錠・解錠システムにおいて、前記施錠・解錠装置は、前記ロック機構を解錠する場合、前記シリンダ錠のキー照合位置に配置されたマッチキーをキー挿入方向に挿入することにより前記所定の操作が実行される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、ドア開放時の操作数を削減することができ、ドア開放作業の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムが組み込まれた車両を示す斜視図である。図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す斜視図である。図2(a)は操作ハンドルが初期位置に、また図2(b)は操作ハンドルが所定の回動位置にそれぞれ配置された状態を示す。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す断面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示すブロック図である。
【0018】
〔施錠・解錠システムの全体構成〕
図1〜図4において、符号1で示す施錠・解錠システムは、例えば自動車Aの所有者(運転者)によって所有される携帯機2と、自動車Aに搭載される施錠・解錠装置3とから大略構成されている。
【0019】
(携帯機2の構成)
携帯機2は、図3に示すように、携帯機側の送受信器(図示せず)を含む通信部20を有している。そして、通信部20が施錠・解錠装置3からLF(Low Frequency)信号を受信すると、施錠・解錠装置3にRF(Radio Frequency)信号を送信するように構成されている。
【0020】
(施錠・解錠装置3の構成)
施錠・解錠装置3は、図4に示すように、自動車Aの乗降口を開閉するドア4(図1に示す)と、このドア4を操作可能なドアハンドル5(図1に示す)と、このドアハンドル5の操作によって切り換え可能なスイッチ6と、このスイッチ6からのスイッチ信号を入力して制御信号を出力するコントローラ7と、このコントローラ7からの制御信号を入力して駆動信号を出力するアクチュエータ8,9と、これらアクチュエータ8,9のうち一方のアクチュエータ(第1アクチュエータ)8からの駆動信号を入力して作動するドアロック機構10と、このドアロック機構10の解錠状態及びドア4の開閉状態をそれぞれ検出してコントローラ7にドア開放用のセンサ信号,ドア閉塞用のセンサ信号を出力するセンサ11,12(第1センサ11,第2センサ12)と、これら各センサ11,12によるセンサ信号の検出後に他方のアクチュエータ(第2アクチュエータ)9からの駆動信号を入力して作動するドア開閉機構13とから大略構成されている。
【0021】
<ドア4の構成>
ドア4は、図2(a),(b)及び図3に示すように、パネル4A及び枠体4Bを有し、自動車AのボディB(図1に示す)に回動可能に配置されている。そして、所定の回動範囲内でボディBに対して回動し得るように構成されている。
【0022】
パネル4Aには、片側側縁の上方端部を切り欠くことによりハンドル操作用の切り欠き凹部40Aが設けられている。また、パネル4Aには、ドア内外に開口し、かつ切り欠き凹部40Aに連通する貫通窓41Aが設けられている。
【0023】
枠体4Bは、ドア4の上方端部に配置され、かつパネル4Aに連設されている。枠体4B及びパネル4Aには、ドア4の一部を構成するウインドガラス4Cが昇降自在に嵌め込まれている。
【0024】
<ドアハンドル5の構成>
ドアハンドル5は、図3に示すように、下方端部に回動枢支部50を有する平面矩形状の板部材からなり、ドア4のパネル4Aにブラケット14を介して回動可能に取り付けられ、かつ回動初期状態においてパネル4Aの外側面と同一の面上に配置されている。そして、復帰スプリング(図示せず)によって初期位置への復帰習性が付与され、回動操作によって位置aと位置bとの間でパネル4Aの貫通窓41Aを開閉するように構成されている。
【0025】
この場合、ドアハンドル5が図3に実線で示すように位置aと位置dとの間の初期位置cに配置されると、パネル4Aの貫通窓41Aが閉塞される。一方、ドアハンドル5が図3に2点鎖線で示すように初期位置cから位置b,dに向かって時計方向に回動すると、パネル4Aの貫通窓41Aが開放される。そして、ドアハンドル5が位置bに配置されると、ドア4が開放される。
【0026】
ドアハンドル5には、携帯機2との間で信号を送受信する送受信機15が内蔵されている。これにより、ドアハンドル5のスイッチ6への押圧によってスイッチ6の切り換えが行われると、送受信機15からLF信号が発信される。そして、送受信機15が携帯機2からRF信号を受信すると、送受信機15からコントローラ7に照合用のLF信号が出力される。
【0027】
ドアハンドル5の背面側には、スイッチ6を押圧して切り換えるスイッチ押圧部51、及びこのスイッチ押圧部51に隣接するホルダ部52が配置されている。これにより、ドアハンドル5が図3に2点鎖線で示すように初期位置cから反時計方向に回動して位置aに配置されると、スイッチ押圧部51がスイッチ6を押圧し、スイッチ6の切り換えが行われる。
【0028】
ホルダ部52には、非常時に携帯機2を挿抜するキー挿抜孔160を有するシリンダ錠16がそのキー挿入側端面を露出させて保持されている。シリンダ錠16としては、キー挿抜孔160(キー照合位置)に携帯機2が挿入された際、そのコードパターンの正否を見ることでキー照合を行うコード孔照合式の錠前が用いられる。
【0029】
シリンダ錠16は、ドアロック機構10に操作力伝達機構(図示せず)を介して連結されている。これにより、ドア4の閉状態において、非常時にドアロック機構10を施錠状態から解錠状態に切り換えるには、シリンダ錠16のキー挿抜孔160内に携帯機2を挿入操作してそのキー照合位置に配置し、このキー照合位置からさらに挿入操作することにより行う。この場合、携帯機2がキー照合位置からさらに挿入操作されると、携帯機2の操作力が操作力伝達機構を介してドアロック機構10に伝達され、これに伴いドアロック機構10が作動して解錠される。この後、ドアハンドル5をドア開方向に操作すると、ドアロック機構10が解錠されているため、ドア4が開放される。一方、ドア4の開状態において、非常時にドアロック機構10を解錠状態から施錠状態に切り換えるには、自動車A内のロックノブ(図示せず)をロック方向に操作することにより行う。この後、ドア4を閉方向に回動操作すると、ドアロック機構10を施錠した状態でドア4が閉塞される。
【0030】
携帯機2としては、複数の孔を有するコードパターンがキーコードとしてキー基材(図示せず)に形成されたコード孔式のカードキーが用いられる。携帯機2の通信部20には、前記した送受信器の他にアンテナ及びIC(いずれも図示せず)等が含まれる。このうちICには、車両側のIDコードと同じIDコードが記憶されている。このため、ドアハンドル5の送受信機15から送信されるLF信号を携帯機2が受信すると、携帯機2からIDコードを含むIDコード信号(RF信号)が自動車Aの送受信機15に送信される。LF信号は、携帯機2を所持する運転者等がハンドル操作によってスイッチ6を押圧すると、送受信機15から送信される。
【0031】
<スイッチ6の構成>
スイッチ6は、図3及び図4に示すように、接触子60を有する押圧スイッチからなり、パネル4Aの裏面側にブラケット14を介して取り付けられ、かつコントローラ7に接続されている。そして、接触子60がドアハンドル5のスイッチ押圧部51から押圧力を受けてスイッチON状態とし、施錠・解錠用のスイッチ信号をコントローラ7に出力するように構成されている。
【0032】
<コントローラ7の構成>
コントローラ7は、図4に示すように、自動車A内に配置され、かつスイッチ6及び送受信機15・第1アクチュエータ8・第2アクチュエータ9に接続されている。そして、スイッチ6から施錠・解錠用のスイッチ信号を入力すると、送受信機15にLF信号発信用の制御信号を出力し、次に送受信機15から照合用のRF信号を入力すると、このRF信号に含まれるIDコードと予め登録されたIDコードとを照合した結果に基づいて施錠・解錠用の制御信号を第1アクチュエータ8に出力するように構成されている。また、コントローラ7は、ドアロック機構10の解錠状態において第1センサ11からドア開放用のセンサ信号を入力してドア開放用の制御信号を、所定のドア開閉状態において第2センサ12からドア閉塞用のセンサ信号を入力してドア閉塞用の制御信号をそれぞれ第2アクチュエータ9に出力するように構成されている。
【0033】
<第1アクチュエータ8の構成>
第1アクチュエータ8は、自動車A(図1に示す)内に配置され、かつ図4に示すようにコントローラ7及びドアロック機構10に接続されている。そして、コントローラ7から施錠用の制御信号を入力すると、ドアロック機構10に施錠用の駆動信号を出力してドアロック機構10を施錠するように、またコントローラ7から解錠用の制御信号を入力すると、ドアロック機構10に解錠用の駆動信号を出力してドアロック機構10を解錠するようにそれぞれ構成されている。
【0034】
<第2アクチュエータ9の構成>
第2アクチュエータ9は、図4に示すように、第1アクチュエータ8と同様に自動車A内に配置され、かつコントローラ7及びドア開閉機構13に接続されている。そして、コントローラ7からドア開放・閉塞用の制御信号を入力すると、ドア開閉機構13にドア開放・閉塞用の駆動信号を出力するように構成されている。
【0035】
<ドアロック機構10の構成>
ドアロック機構10は、図4に示すようにアクチュエータ8に接続されている。そして、第1アクチュエータ8から施錠・解錠用の駆動信号を入力して作動するように構成されている。
【0036】
<第1センサ11の構成>
第1センサ11は、図4に示すようにコントローラ7に接続されている。そして、ドアロック機構10の解錠状態を検出してドア開放用のセンサ信号をコントローラ7に出力するように構成されている。
【0037】
<第2センサ12の構成>
第2センサ12は、図4に示すようにコントローラ7に接続されている。そして、ドア4の開閉状態を検出してドア閉塞用のセンサ信号をコントローラ7に出力するように構成されている。
【0038】
<ドア開閉機構13の構成>
ドア開閉機構13は、図4に示すように第2アクチュエータ9に接続されている。そして、第2アクチュエータ9からドア開放用の駆動信号を入力して作動し、ドア4を開放するように構成されている。また、第2アクチュエータ9からドア閉塞用の駆動信号を入力して作動し、ドア4を閉塞するように構成されている。
【0039】
〔施錠・解錠システム1の動作〕
次に、本実施の形態に示す施錠・解錠システム1の動作につき、図5及び図6を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムのドアロック機構を解錠する場合の動作を説明するために示すフローチャートである。図6は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムのドアロック機構を施錠する場合の動作を説明するために示すフローチャートである。
【0040】
先ず、ドア4の閉状態において、ドアロック機構10を施錠状態から解錠状態に切り換えるには、携帯機2を所持する運転者等が自動車Aに接近し(図5のステップS1)、ドアハンドル5を初期位置cから位置aに回動操作すると、ドアハンドル5のスイッチ押圧部51がスイッチ6の接触子60を押圧する(図5のステップS2)。
【0041】
この場合、スイッチ6の押圧によってその切り換えが行われるため、スイッチ6では解錠用のスイッチ信号をコントローラ7に出力し、コントローラ7ではスイッチ信号を入力してLF信号発信用の制御信号をドアハンドル5の送受信機15に出力する。
【0042】
次いで、送受信機15ではコントローラ7からLF信号発信用の制御信号を入力すると、LF信号が自動車A外に発信される(図5のステップS3)。
【0043】
しかる後、携帯機2では送受信機15からLF信号を受信すると、RF信号が発信される(図5のステップS4)。
【0044】
そして、送受信機15では携帯機2からRF信号を受信すると、コントローラ7に照合用のRF信号を出力する。コントローラ7では照合用のRF信号を入力すると、予め登録されたIDコードと照合用のRF信号に含まれるIDコードとを照合する(図5のステップS5)。この結果、両IDコードが一致する(ステップS5のYES)と、コントローラ7では第1アクチュエータ8に解錠用の制御信号を出力する(図5のステップS6)。そして、第1アクチュエータ8では解錠用の制御信号を入力すると、ドアロック機構10に解錠用の駆動信号を出力する(図5のステップS7)。
【0045】
なお、図5のステップS5において、各コードが互いに異なる(図5のステップS5のNO)と、図5のステップS2に戻る。
【0046】
この後、ドアロック機構10が第1アクチュエータ8から解錠用の駆動信号を入力して解錠されると、ドアロック機構10の解錠状態を第1センサ11が検出してドア開放用のセンサ信号をコントローラ7に出力する。このため、コントローラ7では、第1センサ11からドア開放用のセンサ信号を入力して第2アクチュエータ9にドア開放用の制御信号を出力する。第2アクチュエータ9では、コントローラ7からドア開放用の制御信号を入力してドア開閉機構13にドア開放用の駆動信号を出力する。これにより、ドア開閉機構13が作動してドア4が開放される(図5のステップS8)。
【0047】
次に、ドア4の閉状態において、ドアロック機構10を解錠状態から施錠状態に切り換えるには、携帯機2を所持する運転者等が自動車Aに接近し(図6のステップS1)、ドアハンドル5を初期位置cから位置aに回動操作すると、ドアハンドル5のスイッチ押圧部51がスイッチ6の接触子60を押圧する(図6のステップS2)。
【0048】
この場合、スイッチ6の押圧によってその切り換えが行われるため、スイッチ6では施錠用のスイッチ信号をコントローラ7に出力し、コントローラ7ではスイッチ信号を入力してLF信号発信用の制御信号をドアハンドル5の送受信機15に出力する。
【0049】
なお、ステップS1において、ドア4が閉塞されてない場合には、操作によってドア4を所定の回動(開閉)位置に配置する。
【0050】
この場合、第2センサ12がドア4の開閉状態を検出すると、ドア閉塞用のセンサ信号をコントローラ7に出力する。このため、コントローラ7では、第2センサ12からドア閉塞用のセンサ信号を入力して第2アクチュエータ9にドア閉塞用の制御信号を出力する。第2アクチュエータ9では、コントローラ7からドア閉塞用の制御信号を入力してドア開閉機構13にドア閉塞用の駆動信号を出力する。これにより、ドア開閉機構13が作動し、ドア4が閉塞される。
【0051】
次いで、送受信機15ではコントローラ7からLF信号発信用の制御信号を入力すると、LF信号が自動車A外に発信される(図6ステップS3)。
【0052】
しかる後、携帯機2では、送受信機15からLF信号を受信すると、RF信号が発信される(図6のステップS4)。
【0053】
そして、送受信機15では、携帯機2から照合用のRF信号を受信すると、コントローラ7に照合用のRF信号を出力する。コントローラ7では、RF信号を入力すると、予め登録されたIDコードと照合用のRF信号に含まれるIDコードとを照合する(図6のステップS5)。この結果、両コードが一致する(ステップS5のYES)と、コントローラ7では第1アクチュエータ8に施錠用の制御信号を出力する(図6のステップS6)。そして、第1アクチュエータ8では施錠用の制御信号を入力すると、施錠用の駆動信号をドアロック機構10に出力する(図6のステップS7)。
【0054】
なお、図6のステップS5において、各コードが互いに異なる(図6のステップS5のNO)と、図6のステップS2に戻る。
【0055】
この後、ドアロック機構10が第1アクチュエータ8から施錠用の駆動信号を入力して施錠される(図6のステップS8)。
【0056】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0057】
(1)ドアロック機構10の施錠状態においてドア4を開放する場合、スイッチ6の押圧操作によって行うことができるため、ドア開放時の操作数を削減することができ、ドア開放作業の簡素化を図ることができる。
【0058】
(2)ドアハンドル5は、回動初期状態において、パネル4Aの外側面と同一面上に配置されているため、ドアハンドルとして認識され難く、良好なデザイン性を得ることができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
図7(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す斜視図である。図7(a)は操作ハンドルが初期位置に、また図7(b)は操作ハンドルが所定の回動位置にそれぞれ配置された状態を示す。図8は、本発明の第2の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す断面図である。図7(a),(b)及び図8において、図2(a),(b)及び図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
第2の実施の形態に示す施錠・解錠システムは、図7(a),(b)及び図8に示すように、回動枢支部50を上方端部に有するドアハンドル5を備えた点に特徴がある。
【0061】
このため、ドア4の枠体4Bには、ドア内外に開口し、かつパネル4Aの切り欠き凹部40Aに連通する貫通窓40Bが設けられている。
【0062】
ドアハンドル5は、ドア4の枠体4Bにブラケット14を介して回動可能に取り付けられ、かつ回動初期状態において枠体4Bの外側面と同一の面上に配置されている。そして、貫通窓40Bを閉塞した位置から図8に示すように反時計方向に回動して貫通窓40Bを開放し、また貫通窓40Bを開放した位置から図8に示す時計方向に回動して貫通窓40Bを閉塞するように構成されている。
【0063】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)に加え、次に示す効果が得られる。
【0064】
(1)ドアハンドル5は、回動初期状態において枠体4Bの外側面と同一の面上に配置されているため、ドアハンドルとして認識され難く、良好なデザイン性を得ることができる。
【0065】
(2)ドアハンドル5の回動操作によって枠体4Bの貫通窓40Bが下方に開口されるため、第1の実施の形態に示す場合と比べて貫通窓40B内への雨水等の浸入を抑制することができ、雨水等によるシリンダ錠15内における機能等の劣化を抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の施錠・解錠システムを上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0067】
(1)各実施の形態では、非常時におけるドアロック機構10の解錠が携帯機2をシリンダ錠16のキー照合位置からキー挿入方向にさらに挿入することにより行われる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、携帯機2がシリンダ錠16のキー照合位置に配置された状態において例えばドアハンドルを操作することにより行うことができる。この場合、ドアハンドルにはドアロック機構に操作力伝達機構を介して連結されている。
【0068】
(2)各実施の形態では、シリンダ錠16がコード孔照合式の錠前である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、キープラグ回転(タンブラ照合)式の錠前であってもよい。この場合、非常時におけるドアロック機構の施錠がキープラグを一方向に、またその解錠がキープラグを他方向にそれぞれ回動操作することにより行われる。
【0069】
(3)各実施の形態では、自動車用ドアにおけるドアロック機構の施錠・解錠を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の車両用ドアにおけるドアロック機構の施錠・解錠を行う場合であってもよく、またドアロック機構以外のロック機構の施錠・解錠を行う場合にも本実施の形態と同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムが組み込まれた車両を示す斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示すブロック図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムのドアロック機構を解錠する場合の動作を説明するために示すフローチャート。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る施錠・解錠システムのドアロック機構を施錠する場合の動作を説明するために示すフローチャート。
【図7】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す斜視図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る施錠・解錠システムを説明するために示す断面図。
【符号の説明】
【0071】
1…施錠・解錠システム
2…携帯機、20…通信部
3…施錠・解錠装置
4…ドア
4A…パネル、40A…切り欠き凹部、41A…貫通窓
4B…枠体、40B…貫通窓
4C…ウインドガラス
5…ドアハンドル、50…回動枢支部、51…スイッチ押圧部、52…ホルダ部
6…スイッチ、60…接触子
7…コントローラ
8…第1アクチュエータ
9…第2アクチュエータ
10…ドアロック機構
11…第1センサ
12…第2センサ
13…ドア開閉機構
14…ブラケット
15…送受信機
16…シリンダ錠、160…キー挿抜孔
A…自動車
B…ボディ
a,b,c,d…ドアハンドルの位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部を有する携帯機と、
車両側に配置され、開閉部材のロック機構を施錠・解錠するためのスイッチ、及び前記スイッチの操作によって前記携帯機との間で送受信する送受信機を有し、前記携帯機からの信号に含まれるコードと予め登録されたコードとを照合した結果に基づいて前記ロック機構を施錠・解錠する施錠・解錠装置とを備え、
前記施錠・解錠装置は、前記スイッチの操作による前記ロック機構の解錠によって作動し、前記開閉部材を開放する開閉機構を含む
ことを特徴とする施錠・解錠システム。
【請求項2】
前記施錠・解錠装置は、前記携帯機を挿抜可能なシリンダ錠を含み、前記シリンダ錠のキー照合位置に対する前記携帯機の挿入状態において所定の操作によって前記ロック機構が施錠・解錠され、前記ロック機構の解錠状態において前記開閉部材がその開方向への操作によって開放される請求項1に記載の施錠・解錠システム。
【請求項3】
前記施錠・解錠装置は、前記ロック機構を解錠する場合、前記シリンダ錠のキー照合位置に配置された前記携帯機をキー挿入方向に挿入することにより前記所定の操作が実行される請求項2に記載の施錠・解錠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−256900(P2009−256900A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104690(P2008−104690)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】