説明

旋回飛行玩具

【課題】 プロペラへの動力伝達ロスおよび応答遅れがなく、旋回の制御が容易な旋回飛行玩具を提供すること。
【解決手段】 プロペラを回転させるモータを搭載した飛行体と、先端を前記飛行体に連結し、基端を旋回台の旋回体に回動可能に支持させ、回動させることによって前記飛行体の前端を下方または上方に傾斜させるパイプと、姿勢制御レバーの操作に応動して、前記パイプの基端を回動させるパイプ回動機構とを備え、前記プロペラを回転させ、かつ前記飛行体を傾斜させることによって、旋回推力を得ている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回飛行玩具に関するものでり、詳しくは、飛行体をパイプの先端に結合し、該パイプの基端を旋回台の旋回体に支持させ、飛行体のプロペラによる推力で、飛行体を旋回させる旋回飛行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旋回飛行玩具としては、飛行体を可撓性パイプを介して旋回台で支持し、旋回台に搭載したモータによってパイプに挿通させた可撓性伝達軸を回転し、飛行体のプロペラを回転させることによって、飛行体を旋回させるもの(例えば、特許文献1参照)や、飛行体を可撓性パイプを介して旋回台に支持させ、飛行体に搭載したモータによって2つのプロペラを回転させることによって、飛行体を旋回させるもの(例えば、特許文献2参照)等がある。
【特許文献1】特開2003−245479号公報(図1〜図4)
【特許文献2】実公昭50−34159号公報(図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の旋回飛行玩具では、モータを旋回台に搭載させ、該モータの動力をパイプ内に挿通させた可撓性伝達軸(フレキシブルワイヤ)を介してプロペラに伝達させているため、動力ロスおよび応答遅れが生じる。
【0004】
また、上記特許文献2の旋回飛行玩具では、2つのプロペラの回転数を変えることによって、飛行体の旋回推力を得ており、その制御が煩雑である。
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、プロペラへの動力伝達ロスおよび応答遅れがなく、旋回の制御が容易な旋回飛行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の旋回飛行玩具では、プロペラを回転させるモータを搭載した飛行体と、先端を前記飛行体に連結し、基端を旋回台の旋回体に回動可能に支持させ、回動させることによって前記飛行体の前端を下方または上方に傾斜させるパイプと、姿勢制御レバーの操作に応動して、前記パイプの基端を回動させるパイプ回動機構とを備え、前記プロペラを回転させ、かつ前記飛行体を傾斜させることによって、旋回推力を得ている。
【0007】
請求項2の旋回飛行玩具では、請求項1の発明において、前記飛行体を、前記パイプに対して着脱自在に結合させている。
【0008】
請求項3の旋回飛行玩具では、請求項2の発明において、前記飛行体の前後方向又は左右方向にそれぞれ突出する軸を配設し、パイプの先端にU字状を成す弾性を有するアームを配設するとともに、該アームに穴を形成し、該アームを拡げ、穴を前記軸に嵌合させて前記飛行体を前記パイプに結合させている。
【0009】
請求項4の旋回飛行玩具では、請求項1〜3のいずれかの発明において、スピーカを備え、該スピーカの音声出力口に閉塞板を配設するとともに、該閉塞板を前記操作レバーに関連させて連係し、前記レバーの操作に対応させて、前記閉塞板を前記音声出力口を開放するようにしている。
【0010】
請求項5の旋回飛行玩具では、請求項1〜4のいずれかの発明において、前記飛行体を離着陸させるヘリポートを備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、飛行体の姿勢を変えることによって旋回方向および速度を制御するので、それらの制御が容易であり、しかも、モータを飛行体に搭載しているので、動力伝達ロスおよび応答遅れがない。
【0012】
請求項2の発明によれば、飛行体をパイプから取外すことによって、飛行体を単独で部屋等に飾ることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、アームを拡げ、該アームの穴に飛行体の軸を嵌合させるだけで、飛行体とパイプとを連結することができ、アームを拡げ、該アームの穴を飛行体の軸から離脱させことによって、飛行体をパイプから離脱させることができるので、飛行体の着脱が容易である。
【0014】
請求項4の発明によれば、飛行体の傾斜に対応して、スピーカから発生される音声を、くぐもり音からクリアーな音に変化させるので、即ち、飛行体の旋回速度に対応して音声に変化を与えることができ、変化を楽しむことができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、ヘリポートに離着陸する技術を競うことができ、より遊戯を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係る旋回飛行玩具を図面を参照しながら説明する。
【0017】
1.全体構成)
この旋回飛行玩具では、図1に示したように、飛行体(ヘリコプター)1が、支持パイプ2を介して旋回台3に支持されている。
【0018】
2.細部構成
飛行体1は、図2に示したように、モータ4を備えている。モータ4の駆動軸4aは上方に突出し、先端にはプロペラ5が設けられている。モータ4を覆うハウジング4bには、飛行体1の前後方向にそれぞれ向けて突出するピン6,6が設けられている。また、飛行体1にはLED等の発光体30(図3参照)が設けられている。
【0019】
モータ4は本体がハウジング60に覆われた状態で飛行体本体に取り付けられている。このハウジング60には端子A,B,Cが付設されている。具体的には一方のピン6が端子A、他方のピン6が端子Cとなっている。また、一方のピン6(端子A)の近くにその端子Aとは電気的に絶縁して設けられた導体片37が端子Bとなっている。図6はその端子構造の模式図である。ハウジング60に設けられた端子A,Cがモータ4の端子に接続され、端子A,Cが発光体30の端子に接続されている。端子Cはモータ4及び発光体30の共通端子である。以上のようにして、発光体30には駆動電圧として一定の電圧を印加するようにすれば、モータ4の回転状態に因らずに発光体30の発光状態が安定することになる。なお、端子A,B,Cの互いの間は適宜に電気的に絶縁され、短絡しないようになっている。
【0020】
飛行体1が結合される支持パイプ2は、図3に示したように、弾性を有するアーム7,7を先端に備えたU字状の連結部8を有し、該連結部のアーム7,7には穴9,9がそれぞれ形成されている。そして、飛行体1は、連結部8のアーム7,7を拡げ、それらの穴9,9を飛行体1のピン6,6に嵌合させることによって支持パイプ2の先端に結合される。その際、アーム7,7の穴9,9の周縁に配設したケーブル端子36,36とモータ4のピン6,6が電気的に接続され、また、一方の穴9の近くに設けたケーブル端子38が導体片37と電気的に接続される。図7にはモータ4及び発光体30を駆動するための回路の模式図が示されている。速度調節スイッチ29や点灯スイッチ31が操作された際にマイクロコンピュータ等からなる制御装置50によってモータ4や発光体30が制御される。
【0021】
支持パイプ2を介して飛行体1を支持する旋回台3は、図4および図5に示したように、軸心が鉛直方向となるように立設された円筒状の基体10と、該基体に対して、旋回自在に支持され、水平面内で旋回される旋回体11と、該旋回体に対して、揺動自在に支持され、鉛直面内で上下方向に揺動される揺動体12とによって構成されている。
【0022】
揺動体12には上記支持パイプ2の基端部が入り込んでいる。支持パイプ2の基端部は、ホルダー13によって一体に支持され、該ホルダーは、支持パイプ2の軸心に対して回動自在となるように揺動体12に保持されている。
また、揺動体12には、支持パイプ2と反対の方向にロッド14が配設され、該ロッドにはウエイト15aを備えたウエイトハウジング15が摺動自在に保持されている。このウエイトハウジング15には、係止片16が摺動自在に保持されている。この係止片16は、内部に長穴17を有し、一部がウエイトハウジング15外に突出し、その突出部分がボタン16aを構成している。そして、上記ロッド14は係止片16の長穴17内に挿通されている。この係止片16は、コイルばね18によって、該係止片がウエイトハウジング15の上方へ向けて付勢され、長穴17の下縁がロッド14に当接し、それによってウエイトハウジング15がロッド14に係止されている。そして、係止片16のボタン16aを、ウエイトハウジング15の内方に押し込むことによって、長穴17の一端面をロッド14から離反させ、その状態でウエイトハウジング15をロッド14に対して摺動させ、適宜な位置において、係止片16への押圧を解除すれば、ウエイトハウジング15、即ちウエイト15aをロッド14の適宜な位置に係止させることができる。
【0023】
この場合のウエイト15aは、飛行体1とのバランスをとるものである。このバランスをとっておかないと、飛行体1がプロペラ5の回転によっても浮き上がらないか、飛行体1がプロペラ5の回転に因らずに浮き上がりっぱなしになる。実施形態の旋回飛行玩具においては、プロペラ5が回転した際に飛行体1が浮き上がるようにバランスをとりるようにしている。このバランスは飛行体1の重さに応じて変化するので、そのためにウエイト15aの位置変更ができるようにした。
【0024】
基体10には電池収納ボックスが設けられ、ここに収納される電池が旋回飛行玩具の電源28となっている。
また、基体10内には、鉛直方向に延びる操作ロッド19が上下動自在に配設されている。この操作ロッド19はコイルばね20によって下方に付勢されている。また、操作ロッド19の上端は、旋回体11の内部にまで達している。
【0025】
一方、旋回体11には、L字状のレバー21が配設されており、該レバーの一端は、ホルダー13から突出形成されたアーム13aを挟み込んでいる。また、レバー21の他端は、リンク22を介して操作ロッド19に連結されている。
そして、操作ロッド19が上下動された際に、リンク22を介してレバー21が揺動され、該レバーを介してアーム13aが揺動され、それによって、支持パイプ2が回動されるようになっている。
【0026】
操作部23は飛行体1の旋回領域よりも外側に設けられる。この操作部23の右側には、飛行体1の姿勢を制御する姿勢制御レバー24が配設されている。そして、姿勢制御レバー24と操作ロッド19との間には、長尺な操作プレート25が配設されている。
操作プレート25は、ハウジング26内で長手方向に摺動自在に配設され、カム27を先端に有しており、該カムは、操作ロッド19の下端に当接している。そして、姿勢制御レバー24が操作されると、それによって操作プレート25が摺動され、カム27によって操作ロッド19が上下動されるようになっている。
【0027】
操作部23の左側には速度調節レバー29が設けられている。速度調節レバー29を前方に倒すと、飛行体1のモータ4の回転数が上がり、プロペラ5の回転速度が上がる。一方、速度調節レバー29を後方に倒すと、飛行体1のモータ4の回転数が下がり、プロペラ5の回転速度が下がる。すなわち、速度調節レバー29の下側にはノンロックタイプのタクトスイッチSW1,SW2が設けられている。そして、速度調節レバー29を前方に倒したときには一方のタクトスイッチSW1が入り、後方に倒したときには他方のタクトスイッチSW2が入るようになっている。プロペラ5の回転速度は、モータ4や発光体30の制御にも使用した上述の制御装置50による制御によって、各タクトスイッチが入っている時間に応じて32段階で速度調節ができるようになっている。または、各タクトスイッチが入った回数に応じて速度調節ができるようにしてもよい。さらには、可変抵抗を使用し、速度調節レバー29の操作によって抵抗値を変化させることによって、モータ4の回転数ひいてはプロペラ5の回転速度を変更させるようにしてもよい。なお、速度調節レバー29は速度に応じてスピーカ41から出力される飛行音の発音間隔を変化させる。つまり、プロペラ5の回転速度が速まる飛行音の発音間隔を変化させる。これによって、飛行体1が速くなったり遅くなったりのイメージを聴覚的に醸し出すことができる。
【0028】
操作部23の幅方向中央には奥側から順に点灯スイッチ31、音量変更スイッチ40及び音声選択スイッチ39が設けられている。このうち点灯スイッチ31は発光体30の点灯を行うためのものである。音量変更スイッチ40はスピーカ41から出力される音量を変更するためのものである。音声選択スイッチ39はスピーカ41から出力される音色を変更するためのものである。この音声選択スイッチ39の操作によって、例えば、パタパタ,キーン,ゴー等の飛行音の中の1つを選択することができる。
【0029】
操作プレート25の移動域上方のハウジング26には、スピーカ41が配設されている。この場合、操作プレート25には、スピーカ41の開口を閉塞する閉塞部25aが形成されていることが好ましい。この場合の閉塞部25aは下向きのスピーカ41を被覆できる大きさ・形状とする。そして、姿勢制御レバー24が中立位置にあるとき(操作プレート25が初期位置にあるとき)には、該閉塞部でスピーカ41の開口を閉塞した状態にある。この状態が図8(A)に示されている。この状態では、スピーカ41からの音は外に漏れにくい。したがって、こもった音が発せられる。一方、姿勢制御レバー24が前後に偏った位置にあるとき(操作プレート25が初期位置から前後に移動したとき)には、図8(B)に示されるように、閉塞部25aがスピーカ41の開口からずれるため、放音孔41aからクリアな音が発せられる。このようにすれば、プロペラ5の回転速度が同じ場合でも、飛行体1が上昇する時と、旋回する時では音(飛行音)を変化させることができるので、面白みのある旋回飛行玩具が実現できる。
【0030】
なお、操作部23や基体10側の電源28や回路部品と、モータ4や発光体30との接続は、操作部23や基体10側の電源28や回路部品に接続された3つの導体ブラシ33と、各導体ブラシ33が接触する旋回端子32と、旋回端子32の3つの端子の各々に接続される3つのケーブル35とを介してなされる。
【0031】
以上のように構成された旋回飛行玩具は次のように動作する。
速度調節レバー29を操作すると、その操作時間に応じた回転数でプロペラ5が回転され、飛行体1が浮揚する。この状態で、姿勢制御レバー14を一方向に操作すると、操作プレート25が作動され、カム27によって操作ロッド19が上方または下方に移動される。操作ロッド19が移動されると、リンク22を介してレバー21が作動され、それによってパイプ2が回動される。パイプ2が回動されると、連結部8を介して飛行体1の先端が下方または上方に傾斜される。飛行体1の先端が下方に傾斜されると、プロペラ5の回転が飛行体1の前進推力として働き、飛行体1の先端が上方に傾斜されると、プロペラ5の回転が飛行体1の後進推力として働く。したがって、飛行体1は、パイプ2によって拘束されながら、旋回台3の旋回台11とともに、旋回される。
【0032】
この飛行体1を所定のヘリポート42に着陸させるには、飛行体1を前進または後進させながら。ヘリポート42上に位置させ、姿勢制御レバー14を中立位置に戻し、ヘリポート上でホバリングさせ、速度調節レバー29を戻して、プロペラ5の回転数を徐々に低減させる。
【0033】
その間に、音声選択スイッチ39,音量変更スイッチ40および発光体30の点灯スイッチ31を適宜に調整することによって、リアル感を生じさせる。
【0034】
また、この旋回飛行玩具においては、図1に示したように、上部にループ43を有する錘44を備えるとともに、飛行体1の下部にフック(図示せず)を配設し、該フックでループ43を引っ掛けて、錘44を吊り上げることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る旋回飛行玩具を概念的に示した斜視図である。
【図2】飛行体としてヘリコプターを示した斜視図である。
【図3】飛行体とパイプとの結合部を示した斜視図である。
【図4】旋回台とパイプを示した断面図である。
【図5】旋回台と操作部を示した断面図である。
【図6】端子構造の模式図である。
【図7】モータ及び発光体の駆動回路図である。
【図8】スピーカと閉塞部との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1 飛行体(ヘリコプター)
2 支持パイプ
3 旋回台
4 モータ
4a 駆動軸
5 プロペラ
6 ピン
7 アーム
8 連結部
9 穴
11 旋回体
12 揺動体
15 ウエイトハウジング
15a ウエイト
24 姿勢制御レバー
25a 閉塞部
29 速度調節レバー
30 発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラを回転させるモータを搭載した飛行体と、
先端を前記飛行体に連結し、基端を旋回台の旋回体に回動可能に支持させ、回動させることによって前記飛行体の前端を下方または上方に傾斜させるパイプと、
姿勢制御レバーの操作に応動して、前記パイプの基端を回動させるパイプ回動機構とを備え、
前記プロペラを回転させ、かつ前記飛行体を傾斜させることによって、旋回推力を得ることを特徴とする旋回飛行玩具。
【請求項2】
前記飛行体を、前記パイプに対して着脱自在に結合させたことを特徴とする請求項1に記載の旋回飛行玩具。
【請求項3】
前記飛行体の前後方向又は左右方向にそれぞれ突出する軸を配設し、パイプの先端にU字状を成す弾性を有するアームを配設するとともに、該アームに穴を形成し、該アームを拡げ、穴を前記軸に嵌合させて前記飛行体を前記パイプに結合させることを特徴とする請求項2に記載の旋回飛行玩具。
【請求項4】
スピーカを備え、該スピーカの音声出力口に閉塞板を配設するとともに、該閉塞板を前記操作レバーに関連させて連係し、前記レバーの操作に対応させて、前記閉塞板を前記音声出力口を開放するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の旋回飛行玩具。
【請求項5】
前記飛行体を離着陸させるヘリポートを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の旋回飛行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−110239(P2006−110239A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303028(P2004−303028)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(595037951)株式会社イマジック (10)
【Fターム(参考)】