説明

昆虫を防除するためのデバイスおよび方法

本発明は、恒温動物において昆虫を防除するための新規な殺虫剤デバイス、および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫を防除するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタフルミゾンおよび他の殺外部寄生虫薬(ectoparasiticidal agents)(例えば、フィプロニルおよびイミダクロプリド)は、温血動物において外部寄生虫の侵入を防止し、そして防除するのに有用である。このような薬剤は、外部寄生虫、例えば、特に、イヌ、ネコまたはウマのようなコンパニオンアニマル上のノミおよび特に、畜牛上のノサシバエの防除について特定の適用が見出されている。対象動物による摂取および/または活性組成物の流出および消耗の可能性を低くするために、局所性投与が殺外部寄生虫薬を投与するための好ましい方法である。
【0003】
様々な領域で、外部寄生虫の時期は有意に4〜6週間以上持続するので、全シーズンについて実質的な保護を達成するために、複数回投与がしばしば必要とされる。従って、長期、例えば、全シーズンにわたって、一度の適用で外部寄生虫からの実質的な保護を示す適用を考案するのが望ましい。このような適用は、好都合でかつ効率的な利益を示し、そして追加用量の不適切なタイミングでの投与から生じる保護のギャップの危険性を低下または排除する。しかし、メタフルミゾンおよび当該分野で公知である他の有用な殺節足動物薬(arthropodicidal agent)(例えば、フィプロニルおよびイミダクロプリド)の保護に続く適用は、現在のところ約4〜6週間に期間が限定されている。
【0004】
保護に対する現在の限定は、通常、環境または生物学的影響(剥がれ落ち(ruboff)、光分解(photodegredation)および動物代謝を含む)に起因する活性成分の損失により生じる。様々な領域で、外部寄生虫の時期は有意に4〜6週間以上持続するので、全シーズンについて実質的な保護を達成するために、現在のところ、複数回投与がしばしば必要とされる。従って、全シーズンにわたって、一度の適用で外部寄生虫(例えば、ノミ、ダニおよびノサシバエ)、ならびに他の節足動物からの実質的な保護を示す適用を考案するのが望ましい。このような適用は、好都合でかつ効率的な利益を示し、そして追加用量の不適切なタイミングでの投与から生じる保護のギャップの危険性を排除する。
【0005】
殺虫剤デバイス(例えば、動物用耳タグ、首に装着する首輪およびペンダント)は、殺虫剤の防除適用の手段である。最終デバイスの基材全体に殺虫剤が含まれている、害虫ストリップ(pest strip)、首輪、バンド、およびタグの使用は、特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4および特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;ならびに特許文献13に記載されている。前述の各特許および特許公報は、その全体が参考により本明細書中に加入される。
【0006】
殺虫剤デバイスの問題は、基材の破損または弱化が活性成分または活性成分の混合物の取り込みから生じ得ることである。さらに、殺虫活性の減少は、ポリマーマトリクス中への活性成分の取り込みから生じ得る。加えて、活性成分の濃度は、得られた殺虫剤デバイスの強度の限定因子である。
【0007】
高融点および強固な結晶構造を示す活性剤(例えば、メタフルミゾン)を含む二次加工マトリクス型送達デバイスが、特定の問題を提起する。一般的なマトリクスは、使用中の脆性および破損を減少させるために可塑化された種々の熱成形ポリマー(例えば、PVCおよびポリウレタン)である。高融点固体は、典型的に、活性剤の表面への移動を低下または防止するマトリクス中で、非常に低い溶解度を有し、従って、送達デバイスの有効性を非常に減少させる。従って、平衡が達成されなければならず、その結果、デバイスの表面に活性剤を連続的に輸送するのに十分な分子移動が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許番号第3,318,679号
【特許文献2】米国特許番号第3,944,662号
【特許文献3】米国特許番号第3,756,200号
【特許文献4】米国特許番号第3,942,480号
【特許文献5】米国特許番号第4,195,075号
【特許文献6】米国特許番号第4,674,445号
【特許文献7】米国特許番号第4,767,812号
【特許文献8】米国特許番号第4,967,698号
【特許文献9】米国特許番号第5,620,696号
【特許文献10】米国特許番号第5,342,619号
【特許文献11】米国特許番号第5,104,569号
【特許文献12】米国特許番号第6,956,099号
【特許文献13】米国特許公開番号第2006/0288955号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
メタフルミゾンは、多くの溶媒中でのその不溶性および特定の溶媒の存在下での不安定性に起因して、マトリクス型送達デバイスを製造するために製剤および/または使用するのが特に困難である。 意外にも、活性化殺寄生虫剤(例えば、メタフルミゾン)との共溶媒およびマトリクス型の送達デバイス(例えば、動物用耳タグ、首に装着する首輪およびペンダントなど)の製造に使用するための補助可塑剤(co−plasticizer)の両方として使用される有機低分子量アミド溶媒(例えば、ジエチルトルアミド(DEET))は、寄生虫感染に対して長期保護を確立し得る改良されたマトリクス型送達デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、デバイス中に有効量の殺虫剤(例えば、メタフルミゾン)および低分子量アミド溶媒を含む恒温動物に使用するためのデバイスに関する。
【0011】
特定の実施形態において、デバイスは、動物用耳タグ、首輪またはペンダントの形態である。
【0012】
特定の実施形態において、デバイスは、熱可塑性樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)のポリマーまたはコポリマー、好ましくはPVCの固体分散体から製造される。
【0013】
特定の実施形態において、デバイスは、メタフルミゾンおよび1種またはそれ以上の追加の殺虫剤を含む。
【0014】
特定の実施形態において、本発明は、局所的環境において、昆虫の防除に使用するための前述のデバイスを提供し、動物と前記デバイスとを接触させる工程を包含する。好ましい実施形態において、デバイスは、ノミまたはノサシバエからの動物保護を提供する。
【0015】
特定の実施形態において、本発明は、熱可塑性樹脂、メタフルミゾンおよび低分子量アミド溶媒を含む組成物を提供する。好ましい組成物において、前記低分子量溶媒はDEETである。さらに好ましい実施形態において、前記組成物は、約5質量%〜約30質量%のメタフルミゾン、約40質量%〜約85質量%の前記熱可塑性樹脂、および約10質量%〜約50質量%の前記低分子量アミド溶媒を含む。
【0016】
本発明は、有効量の殺虫剤および低分子量アミド溶媒含む恒温動物に使用するための殺虫剤デバイスを提供する。デバイスは、マトリクス型送達デバイス中に高融点で高結晶質の活性剤を含むこのようなデバイスの製造に関する問題の克服に特に有利である。このような問題は、例えば、低濃度また難溶性による活性成分の取り込みおよび活性剤の効果のない適用をもたらし得るデバイスの破損または弱化を含む。デバイスは、動物に取り付けるのに適切などのような形でもよい。好ましくは、デバイスは、耳タグ(例えば、畜牛用耳タグ)、首輪またはペンダントの形態である。
【0017】
理論に束縛されることなく、デバイスの改良された特性は、活性剤のための共溶媒およびポリマーマトリクスの補助可塑剤として作用するための低分子量アミド溶媒の能力によるものと考えられている。従って、活性剤は、高濃度および非結晶状態で溶媒に溶解する。溶媒の可塑活性(plasticizer activity)は、破損を防止するポリマーマトリクス柔軟性を維持する。加えて、低分子量アミド溶媒の二面性は、活性剤がポリマーマトリクスの表面に効率的かつ防除された速度で送達されることを可能にする。溶媒は、内部からデバイスの表面に移動するので、可溶化活性剤もまた表面に運ばれる。本明細書に記載されるデバイス(例えば、耳タグ、首輪またはペンダント)の改良された特性は、温血動物において外部寄生虫の侵入を防止し、そして防除するのに有用なデバイスをもたらす。
【0018】
本明細書に記載されるデバイスを製造するのに有用な溶媒は、可溶化および可塑化特性を有する。好ましくは、溶媒は、可塑化特性を有し、そして強固な結晶構造を有する高融点活性剤を効率的に可溶化する。より好ましくは、溶媒は、可塑化特性を有し、そして殺外部寄生虫薬(ectoparaciticide)、最も好ましくは、メタフルミゾンを効率的に可溶化する。溶媒の好ましい種類は、好ましくは300ダルトン未満、なおより好ましくは200ダルトン未満の低分子量アミド溶媒である。好ましい低分子量アミド溶媒は、ジエチルトルアミド(DEET)、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、およびN−メチルピロリドンである。最も好ましい溶媒はDEETである。
【0019】
活性剤としては、殺虫剤、より好ましくは、殺外部寄生虫薬および殺節足動物薬が挙げられる。活性剤としては、例えば、限定されないが、ピレスロイド、有機リン殺虫剤、有機塩素系殺虫剤、およびカルバメート系が挙げられる。
【0020】
ピレスロイド殺虫剤として、例えば、限定されないが、シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル4−クロロ−α−(1−メチルエチル)ベンゼンアセタート(フェンバレラート)、およびそれらの活性異性体(エスフェンバレラート);シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、(シペルメトリン);(3−フェノキシフェニル)メチル3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、(ペルメトリン);(3−フェノキシフェニル)メチル2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシラート(フェノトリン(phenothrine));シアノ(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)メチル3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(シフルトリン);[1α,α(Z)]−(±)−シアノ−(3−フェノキシフェニル)メチル3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(シハロトリン(cyhalothrine));[1α(S*),3α(Z)]−(±)−シアノ−(3−フェノキシフェニル)メチル3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(ラムダシハロトリン(lambda−cyhalotrin));シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル−2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシラート(シフェノトリン);(RS)−シアノ−(3−フェノキシフェニル)メチル(S)−4−(ジフルオロメトキシ)−α−(1−メチルエチル)ベンゼンアセタート(フルシトリネート);シアノ(3−フェノキシフェニル)メチル2,2−ジメチル−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)シクロプロパンカルボキシラート(トラロメトリン);および[1α,3α(Z)]−(±)−(2−メチル[1,1’−ビフェニル]−3−イル)メチル3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(ビフェントリン)が挙げられる。
【0021】
有機リン殺虫剤としては、例えば、限定されないが、O,O−ジエチルO−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート(ダイアジノン);S−1,2−ビス(エトキシカルボニル)エチルO,O−ジメチルホスホロジチオエート(マラチオン);O,O−ジメチルO−4−ニトロ−m−トリルホスホロチオエート(スミチオンR);およびO,O,O,O’−テトラエチルS,S’−メチレンビス(ホスホロジチオエート)(エチオン)が挙げられる。
【0022】
有機塩素系殺虫剤としては、例えば、限定されないが、C,C’−(1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−8,9,10−トリノルボルン−5−エン−2,3−イルエン)(ジメチルサルファイト)(エンドスルファン)および1,1,1,−トリクロロ−2,2−ビス(4−メトキシフェニル)エタン(メトキシクロル)が挙げられる。
【0023】
カルバメート系殺虫剤としては、例えば、限定されないが、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルメチルカルバメート(カルボフラン);2−イソプロポキシフェニルメチルカルバメート(プロポクスル);1−ナフチルメチルカルバメート(カルバリル);2,3−イソプロピリデンジオキシフェニルメチルカルバメート(ベンダイオカルブ)が挙げられる。
【0024】
より好ましい活性剤としては、メタフルミゾン、フィプロニル、ジノテフラン、ペルメトリン、ピリプロキシフェン、S−メトプレン、イミダクロプリド、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。最も好ましい活性剤は、メタフルミゾンである。メタフルミゾンは、その化学名:(E Z)−2−[2−(4−シアノフェニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチリデン]−N−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ヒドラジンカルボキサミドにより当該分野で公知であり、そして米国特許第5,543,573号(これはその全体が参照により本明細書に加入される)に記載される。特定の実施形態において、殺虫剤デバイスは、1種またはそれ以上の前述の活性剤の組み合わせを含む。
【0025】
殺虫剤デバイスは、例えば、限定されないが、動物とデバイスとを接触させることにより、動物の昆虫外寄生を防除するために使用され得る。特定の実施形態において、殺虫剤デバイスは、動物上のノミを防除するために使用され得る。好ましい実施形態において、殺虫剤デバイスは、ネコ、イヌまたはウマ上のノミを防除するために使用され得る。特定の実施形態において、殺虫剤デバイスは、動物上のノサシバエを防除するために使用され得る。好ましい実施形態において、殺虫剤デバイスは、畜牛上のノサシバエを防除するために使用され得る。
【0026】
ポリマーマトリクス型送達デバイス(例えば、動物用耳タグ、首に装着する首輪またはペンダント)は、活性剤および溶媒と適合する任意のポリマーまたはコポリマーから製造され得る。好ましいポリマーマトリクスは熱可塑性樹脂であり、ポリ塩化ビニルのポリマーまたはコポリマーの固体分散体がより好ましい。ポリマーマトリクス型送達デバイスに適切なさらなる熱可塑性樹脂および他の材料(例えば、ポリウレタン)が、当業者に周知である。
【0027】
当然のことながら、本発明は、耳タグ、首に装着する首輪およびペンダントに限定されない。従って、デバイスは、他の形態、例えば、限定されないが、尾タグ(tail tag)、耳クリップ、脚ブレスレット、他の種類の首輪、ウマストリップ(horse strip)、メダル、チェーンタグ(chain tag)または動物に取り付けられ得る他のデバイスを取り得る。最終ポリマーは、好ましくは、70〜90A単位のショア硬さ、少なくとも約90,000の数平均分子量、および約70℃〜190℃の範囲内の融点を有する。
【0028】
紫外線安定剤(例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール)、増量剤、滑沢剤、染料、抗酸化剤(例えば、オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマート)、顔料、および他の不活性成分が、それらの認められた機能を果たすために、最終生成物の0〜2質量%で製剤に取り込まれ得、これらは当業者に周知である。前述の任意の置換基(substituent)は、通常、殺虫剤がポリマー中に吸収された後に添加される。
【0029】
成形過程について、乾燥ブレンドに成分を調製する一般過程として、PVCまたは他の適切な樹脂のビーズまたはペレットを約16メッシュサイズより細かく粉砕または挽く。挽いた樹脂をミキサー中に置き、粉末が約170°Fの温度に達したら、次いで殺外部寄生虫化合物および溶媒を添加し、そして材料が完全に吸収されるまで混合する。場合により、他の成分(例えば、顔料、増量剤、滑沢剤および抗酸化剤)を混合物に添加してもよい。好ましい増量剤および/または顔料は二酸化チタンであり、これは約0.1%〜約5%の範囲で存在し得る。最も好ましくは、約1%である。得られた易流動性(free−flowing)粉末を周知の方法で加工し、そして成形し得る。
【0030】
上記の成形技術に代わる手段として、樹脂(例えば、PVC)、殺外部寄生虫活性化合物および任意の追加の成分を基材上にコーティングすることにより、殺虫剤デバイスを形成し得る。基材は、必ずしも必要ではないが典型的に不活性であり、そして任意の種々の適切な材料、例えば、多孔質または均質プラスチックシート、天然繊維または合成繊維またはそれらの組み合わせから作られた布、天然または合成皮革、プラスチックメッシュパターンクロス、被覆ガラス繊維の網または布、および被覆プラスチック網から選択され得る。ポリマーマトリクス中の殺外部寄生虫化合物の非常に高い充填量(loading)のために、付加された機械的強度が最終生成物に必要とされる適用において、基材が典型的に使用される。動物へのデバイスの取り付け位置で高い強度が必要とされる場合に、殺外部寄生虫化合物の比較的低い充填量を有するより高い機械的強度の基材を使用することもまた望ましくあり得る。
【0031】
ポリマーおよび殺外部寄生虫化合物で基材をコーティングするために使用され得る種々の適切な方法の中には、塗布(spread coating)、浸漬被覆、押出積層または同時押出積層技術がある。浸漬被覆法において、基材を形に切断し、そして滑らかなコーティングを得るために、そして乾燥前に基材から溶液が滴る傾向を減少させるために、所望の流動性を有する可溶化混合物に浸漬させる。乾燥に続いて、コーティングされた基材を、必要な塗り厚を構築するために混合物に再び浸漬し得る。
【0032】
押し出し機中で樹脂、殺外部寄生虫活性化合物および任意の追加の成分を溶融し、そして基材上にスリットダイを通して溶融物を送ることにより、基材をまたコーティングし得る。次いで、コーティングされた基材はローラー上で冷却され、続いて最終生成物の所望の形(例えば、耳タグ)に切断され得る。
【0033】
ポリマーおよび殺虫剤の好ましい範囲は、約40質量%〜60質量%のポリマーおよび約5質量%〜約30質量%の殺外部寄生虫活性化合物であり、残の部分は、低分子量溶媒(約40質量%まで)および10質量%、5質量%または2質量%までの不活性成分(例えば、抗酸化剤、紫外線安定剤および顔料(これらの全ては当業者に周知である)を含む(全ての質量%は最終生成物に基づく)。
【0034】
ポリマーマトリクス型送達デバイスは、典型的に、質量ベースで約40%〜90%のポリ塩化ビニルまたは他の熱可塑性樹脂;および約1%〜30%の活性剤(例えば、メタフルミゾン)を含む。ポリ塩化ビニルまたは選択された他の熱可塑性樹脂の特性に依存して、他の任意の成分としては、約0.0%〜4.0%の加工安定剤(例えば、エポキシ化大豆油);約0.02%〜10.0%の滑沢剤(例えば、ステアリン酸);約0.3%〜0.5%のキレート剤(例えば、亜リン酸トリノニル(trinonylphosphite));約0.1%〜2.5%の加熱加工安定剤(例えば、カルシウム−ステアリン酸亜鉛);約0%〜5.0%のフロー剤(例えば、SiO2);約0%〜35.0%の殺虫共力剤(insecticidal synergist)および移動促進剤(migration accelerator)(例えば、ピペロニルブトキシド);約0%〜25.0%の可塑剤または可塑剤混合物(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジブチル、クエン酸エステル、アジピン酸塩またはセバシン酸塩);および約1%〜30%の追加の殺虫剤(例えば、アミトラズ、フィプロニル、イミダクロプリド、ペルメトリン、ピレトリン、ピペロニルブトキシド、クロルフェナピルまたはフェノトリン)を含み得る。所望の場合、特に、メタフルミゾンベアリングデバイスを有する動物を区別するために、約0.5〜2.0%の量で着色剤が添加され得る。
【0035】
1つの実施形態において、動物用耳タグ、首輪またはペンダントは、約40%〜90%の熱可塑性樹脂;5%〜30%のメタフルミゾン;および20%〜40%の低分子量アミド溶媒(例えば、DEET)を含む。場合により、4.0%までの加工安定剤;0.2%〜10.0%の滑沢剤;0.3%〜0.5%のキレート剤;1%〜2.5%の加熱加工安定剤;0%〜5.0%のフロー剤;35.0%までの殺虫共力剤および移動促進剤;0.5〜2.0%の着色剤;および30%までの1種またはそれ以上の追加の殺虫剤がまた添加され得る。さらなる実施形態において、耳タグ、首輪またはペンダントデバイスを形成するために、組成物が、成分は天然もしくは合成の布または繊維またはワイヤーのメッシュマトリクス成分、またはポリ塩化ビニルのポリマーまたはコポリマーの固体分散体上に浸透またはコーティングされる。
【0036】
特定の実施形態において、本発明は、質量ベースで
(a)約5%〜約30%のメタフルミゾン;
(b)約40%〜約85%の前記熱可塑性樹脂;および
(c)約10%〜約50%の前記低分子量アミド溶媒
を含む組成物を提供する。
【0037】
いくつかの適用について、ワンピースデザインの含浸被覆、押出または同時押出繊維マトリクスタグの使用は、従来型のワンピース成形タグに対していつくかの利点があることが見出されている。殺虫剤活性成分または殺虫剤活性成分の混合物を含む組成物が天然または合成の布または繊維メッシュ、またはワイヤーメッシュのマトリクス上で製造される場合、その結果は、破損の傾向が低いより強固な耳タグであり、従って、より広い範囲の組成物を、このタグに組み込まれることが可能になる。また、ワンピースマトリクスの動物用耳タグは、プラスチック成形耳タグのように、マトリクスの強度に依存して、耳への取り付けの手段が制限されない。このようなマトリックス材料はまた、首輪またはペンダントに、適切に形成される。
【0038】
本発明は、以下の非限定的実施例によりさらに説明される。
【実施例】
【0039】
メタフルミゾンおよびDEETを量り、そして適切な容器中で混合した。混合物を加熱し、そして溶液が得られるまで撹拌した。PVC樹脂、染料および二酸化チタンを適切なミキサー中で混合した。約170°Fに加熱しながら混合し始めた。次いで、メタフルミゾン/DEET溶液を樹脂混合物に添加し、そして材料が乾燥したように見えるまで約3時間混合し続けた。次いで、約260〜280°Fのバレル温度および適切な型を用いて、射出成型機を使用して、乾燥樹脂混合物を耳タグに成形した。
【0040】
実施例1
【表1】

【0041】
実施例2
【表2】

【0042】
実施例3
【表3】

【0043】
実施例4
【表4】

【0044】
実施例5
【表5】


* * * * * * *
【0045】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によりその範囲を限定されない。本明細書中に記載されるものに加えて、本発明の実際の種々の改変が前述の説明から当業者に明らかである。このような改変は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0046】
さらに、当然のことながら、全ての値はおよそであり、そして説明のために提供される。本明細書中で引用され、そして議論される全ての参考文献は、その全体がそして各参考文献が個々に参照により取り込まれるのと同程度に、参照により本明細書に加入される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタフルミゾンおよび低分子量アミド溶媒を含む動物用殺虫剤デバイス。
【請求項2】
耳タグ、首輪またはペンダントの形態である、請求項1に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項3】
低分子量アミド溶媒が、DEET、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドンおよびN−メチルピロリドンからなる群から選択される、請求項1または2に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項4】
低分子量アミド溶媒がDEETである、請求項3に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項5】
デバイスが熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項6】
熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニルのポリマーまたはコポリマーである、請求項5に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項7】
約5〜30質量%のメタフルミゾンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項8】
もう1種の追加の殺虫剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項9】
1種またはそれ以上の加工安定剤、キレート剤;加熱加工安定剤、フロー剤;殺虫共力剤、移動促進剤、または着色剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項10】
酸化チタンをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項11】
デバイスが、基材上にメタフルミゾン、低分子量アミド溶媒および熱可塑性樹脂をコーティングすることにより製造されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項12】
デバイスが、押出成型または同時共押出成型により製造されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項13】
アミトラズをさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイス。
【請求項14】
局所的環境において、昆虫を防除する方法であり、該方法は、動物と請求項1〜13のいずれか1項に記載の動物用殺虫剤デバイスとを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項15】
ノミを防除するための請求項14に記載の方法。
【請求項16】
動物が、ネコ、イヌまたはウマである、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
動物と首輪またはペンダントとを接触させる工程を包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ノサシバエを防除するための請求項14に記載の方法。
【請求項19】
動物が、畜牛の種類である、請求項14または18に記載の方法。
【請求項20】
動物と耳タグとを接触させる工程を包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
熱可塑性樹脂、メタフルミゾンおよび低分子量アミド溶媒を含む組成物。
【請求項22】
低分子量アミド溶媒がDEETである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
質量ベースで:
(a)約5%〜約30%のメタフルミゾン;
(b)約40%〜約85%の前記熱可塑性樹脂;および
(c)約10%〜約50%の前記低分子量アミド溶媒を含む、
請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
動物上または動物周辺の昆虫外寄生を防除するためのデバイスの製造における、請求項21〜23のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2011−528715(P2011−528715A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520119(P2011−520119)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/051132
【国際公開番号】WO2010/011596
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】