昇華精製装置
【課題】チャンバーが損傷した場合にその補修作業又は取替え作業等が容易な昇華精製装置の提供。
【解決手段】昇華精製装置を装置本体12とハウジング14とにより構成し、装置本体12をチャンバー20とシール継手手段22と3方向継手24とにより構成し、チャンバー20をチャンバー加熱包囲体によって包囲し、チャンバー20と3方向継手24とをシール継手手段22によってシール連結し、シール継手手段22をスプール部材46、中央環状部材50と押え環状部材52とシールリング54と第1の締結部材58と第2の締結部材60とによってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、シール継手手段のスプール部材がシールリングを介してその端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを強圧連結するクランプ締具76によって3方向継手へ密閉封止され、3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段78を設けた。
【解決手段】昇華精製装置を装置本体12とハウジング14とにより構成し、装置本体12をチャンバー20とシール継手手段22と3方向継手24とにより構成し、チャンバー20をチャンバー加熱包囲体によって包囲し、チャンバー20と3方向継手24とをシール継手手段22によってシール連結し、シール継手手段22をスプール部材46、中央環状部材50と押え環状部材52とシールリング54と第1の締結部材58と第2の締結部材60とによってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、シール継手手段のスプール部材がシールリングを介してその端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを強圧連結するクランプ締具76によって3方向継手へ密閉封止され、3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段78を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に化学物質を高純度に精製するための昇華精製装置に関する。より詳細には例えば有機エレクトロルミネッセンス材料(以下、単に有機ELという)等の化学物質をより効率的に昇華精製するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を素材とする発光デバイスとして、近時、有機ELの開発が非常に活発化している。これは、これまでの発光デバイスとして広く使用されている液晶が非自発光であるのに対して、有機ELが自発光タイプであって、液晶を使用した場合のようなバックライトが不要であるため、デバイスとしての構造が、液晶を使用した場合に比較して、非常に単純化されることに起因しているものと思われる。然しながら、この有機EL等の化学物質は、もしその中に微量な不純物でも含まれていると、それを使用した装置の性能に大変大きな好ましくない影響を及ぼすことが広く知られている。そのため、これらの化学物質を使用する際には極めて高度な精製作業が要求されている。
【0003】
通常、化学物質の精製方法としては、昇華、蒸留、再結晶、コラムクロマトグラッフィー等の方法が知られている。然しながら、一般にコラムクロマトグラフィーや再結晶による方法は、化学物質が汚染される危険があるため、高純度材料の精製方法としては好ましくない。これに対して、蒸留及び昇華による方法は、物質を加熱気化し、これを予め所定の凝縮温度に設定した捕集部にて捕集することにより高純度材料を得るという精製方法である。特に、昇華精製は、常温で固体状態の物質を加熱することにより気化する物質の特性を利用して精製するものである。然るに有機ELは常温では固体であり加熱すると気化するため、一般的には有機ELの精製には昇華精製方法が採用されている。
【0004】
これまでに、有機ELの昇華精製方法に関する技術は下記に示すように多々公表されている。
【特許文献1】特許公開2000−93701
【特許文献2】特許公開2003−88704
【特許文献3】再公表特許W001/070364
【特許文献4】特許公開2005−279601
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでの昇華精製装置は、その精製装置自体が極めて小型で例えば通常の試験管の中で精製する程度の装置が多く、その昇華精製量も極めて限定的で、工業的な量産は全く覚束無い状況であった。また、これまでの昇華精製装置では、昇華精製作業を行なうチャンバーが作業中に容易に破損するという事故があった。このことはチャンバーが高価な石英ガラスで形成されているため、昇華精製装置がかなり高価な装置となる原因となっていた。
【0006】
更に、これまでの装置では、昇華精製作業を行なっているチャンバーの様子を外部から作業者が直接目で確認するということが困難であった。また、昇華精製作業の中心をなすチャンバーが損傷した場合にその補修作業又は取替え作業等が極めて困難であった。これは、これまでの装置では、チャンバーが加熱包囲体によってほぼ完全に包囲されており、そのため、チャンバーを補修するためにはチャンバーとその加熱包囲体とを装置本体から分解して取り出す必要があり、また、補修後においてもその取付け作業が容易ではなかった。そこで、本発明はこれらの諸課題を解決するものである。なお、以下の具体例においては、有機ELの昇華精製装置について述べるが、本発明装置は、単に有機ELの昇華精製に限定されるものではなく、その他の同様な材料の昇華精製にも同様に使用出来る装置であることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の昇華精製装置は、昇華精製装置本体と、この装置本体を収容しているハウジングと、を有しており、該装置本体が、実質的に昇華精製作業を行なうチャンバーと、シール継手手段と、3方向継手と、当該3方向継手に接続している真空ポンプと、を有し、更に該チャンバーが、チャンバー加熱包囲体によって包囲されており、チャンバーと3方向継手とがシール継手手段によってシール連結されており、シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリング54と、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリング56と、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の昇華精製装置は、非常に単純な構成を有しているにも拘らず、チャンバー内に配置した被精製物を昇華精製に最適な高温及び低圧状態に置くことにより極めて精度の高い昇華精製作業を迅速に実行することが出来る。また、極めて安定した精製作業を実行できるが容易に破損する危険性のある石英ガラス製のチャンバーをより安心して使用出来るように作業者の取り扱う工具等が直接チャンバーに触れることを防止しており、更に万一チャンバーに支障が発生したときにも必要に応じて直接チャンバーを目視出来るように当該チャンバーを包囲している加熱包囲体を容易にチャンバーから分離出来る構成となっており、更に必要に応じて該チャンバーを装置本体からチャンバー自体を容易に取り外せる構造となっているので、装置本体及びチャンバー等の補修、修理 取替え等の作業が容易である。また、昇華精製反応に関する必要な実験を実行したい場合においても、チャンバー内部の状態を研究者が直接自分の目で観測出来るので、極めて実験効率の高い作業を行なうことも出来る。更に本装置は特に有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用することが出来るという優れた効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
【実施例1】
【0010】
図1は、有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用出来る、本件発明の第1実施例にかかる昇華精製装置10の正面図である。図2は当該装置10の側面図であり、更に、図3は当該装置10の裏面図である。本発明の昇華精製装置10は、昇華精製装置本体12と当該本体12を収容しているハウジング14とにより構成されている。
【0011】
昇華精製装置本体12は、概括的には、図4〜図11に詳細に示すように、望ましくは一端部が閉鎖され他端部が開放している細長い円筒状のチャンバー20(図4参照)と、該チャンバー20の開放端部側に配置されており当該チャンバー20の開放端部をシールしているシール継手手段22と、該シール継手手段22を介してチャンバー20へ封止連結されている3方向継手24と、により構成されている。
【0012】
チャンバー20は、好ましくは、図5に示すように、長さL、外部直径D、内部直径dを有する比較的薄い石英ガラスにより構成されており、このチャンバー20の内部において昇華精製作業が行なわれる。このためチャンバー内部の閉鎖端部付近と開放端部付近には夫々、図6に示すように、昇華精製されるべき材料即ち被昇華精製物例えば有機EL素材を収容するための例えば概ね揺りかご形状をなすボート26と、該チャンバー20内にて低圧高温下で有効に昇華精製反応を起こした物質を捕集するための捕集管28と、が配置されている。
【0013】
ボート26は所定量の被昇華精製物質を収容出来るような形状を有しており望ましくはチャンバー20と同様に石英ガラス、若しくは、熱的に安定しているタンタルなどの材料により形成することが望ましい。これはボート素材自体から汚染が発生することを防止するためである。
【0014】
更に捕集管28は、図示の例においては、ほぼ同一の形状を有する3つの管28a、28b、28cを互いに隣接して配置した構造としているがこれに限定されるものではなく、捕集管は必要に応じて1個でも4個以上でも良く、またその各捕集管の軸線方向長さも自由に選択出来、要は、所望の精度を有する昇華精製物の捕集が出来るものであれば良い。また、各捕集管はチャンバー内部へ自由に出し入れ出来るが捕集管の外径とチャンバーの内径とは、出来るだけ近接した寸法であることが好ましい。それにより昇華精製反応後に当該捕集管をチャンバ−から引き出して該捕集管へ捕集された物質をチャンバー外部で捕集管から容易に掻き出せるためであり、更に捕集管が配置されているチャンバーの内壁面へ昇華精製物が付着することを防止出来るからである。なお、これらの捕集管28は石英ガラス又はパイレックス(登録商標)材料等により形成されることが望ましい。これは捕集管自体から汚染が発生することを防止するためである。
【0015】
更に、図6に示すように、円筒形状を有するチャンバー20の円筒形周囲及びその閉鎖端部の周辺全体は、該チャンバー20の外表面から僅かな空隙30をおいて配置されたチャンバー加熱包囲体31により包囲されている。チャンバー加熱包囲体31は、それ自体公知の断熱部材32と、該断熱部材へ埋設配設されているそれ自体公知のヒーター部材34とにより構成されている。これらのヒーター部材34は、好ましくは、チャンバー20の閉鎖端部から開放端部へ移行するにつれ、チャンバー内部の温度が、順次、降下するように考慮されることが出来る。これは昇華精製方法によって精製される精製物を各捕集管の位置及び降下温度によって順次異なる特性毎に捕集するためである。なおこの温度降下の度合いは、昇華精製する物質の物性及び量、チャンバー20の寸法、昇華条件等によって異なる。なお、本件発明においては、チャンバー20の閉鎖端側にも断熱部材及びヒーター部材を配置し、これにより昇華精製反応作業の均質化及び迅速化を図っている。なお、ヒーター部材34がチャンバー20の閉鎖端部から開放端部へ移行するにつれ、チャンバー内部の温度を順次降下することは必須の要件ではなく、チャンバー内部にほぼ均一な温度を維持するようにヒーター部材を配置して開放端部付近を冷却するようにしても良い。また、これら両者を同時に使用しても良い。
【0016】
特定のヒーター部材と断熱部材とは、図6に示すように、予めユニット化しておき、これらを適宜密接配置することによりその組み付け作業を迅速化することが出来る。この場合ユニット化したヒーター部材及び断熱部材が互いに密接するように配置することが重要である。密接配置しない場合には、その隙間部分に温度降下部が発生し、適切な昇華作業及び捕集作業が出来なくなる場合があるからである。なお、図示の例では、断熱部材とヒーター部材とから形成されているチャンバー加熱包囲体31が輪切り状態に分割可能な構造となっているが、これは必須の要件ではなく、当該包囲体31の全体を一体的に構成することも、更には、後述のように縦方向に分割することが出来るように構成することも本件発明の範囲に属することは理解されるべきである。なお、図4及び図5においては図を明確にするために、チャンバー加熱包囲体31を省略しているが、これらの包囲体31はチャンバー20の開放端付近に配置されているシール継手手段22の配設部位を除きチャンバー20のほぼ全体を包囲している。
【0017】
本件発明において、断熱部材32とヒーター部材34とから成るチャンバー加熱包囲体31は好ましくはチャンバー20の長手方向軸線に平行な面に沿って分断可能な構造とすることが望ましい。これはチャンバー20の補修作業、取替え作業、又は清掃作業等を容易にするためである。なお、これらの上下方向に分割可能なチャンバー加熱包囲体31は、常態では、図7又は図8に示すように、長手方向即ち軸線方向に平行な面に沿った開放側面Sを互いに蝶番36a及び止め金具36b等から成る枢動係止手段36により枢動可能に係止され、これによりチャンバーの円周方向において包囲体31は軸線方向に隙間なく連結保持されている。チャンバー内部を直接目視したり又はチャンバーの補修交換作業等を行なうためチャンバー加熱包囲体の一部を開放したいときには、開放側面側のフック状の止め金具36bを開錠して、該加熱包囲体31の一部を前記蝶番36a側へ枢動回転させることによりチャンバー全体が露出し、これによりチャンバーの取り外しを含む所望の作業を容易に行なうことが出来る。
【0018】
図7及び図8は、チャンバー20と、断熱部材32及びヒーター部材34から成るチャンバー加熱包囲体31との断面を示す図であり、図7はチャンバー加熱包囲体31を3分割にユニット化した状態、図8は4分割した例であるが、勿論2分割することも可能である。分割数が少ないと、ヒーターによるチャンバーの精巧な温度分布の調節が出来なくなるという懸念がある。そのため分割されたチャンバー加熱包囲体の接合部は互いに密接するように組み付けると共に、該包囲体を2分割よりは3分割方式が、3分割よりは4分割方式が、所望の温度分布調整を適切に行なえるので適切な選択と言えよう。しかし、分割数が更に多くなると枢動係止手段36の取付け作業が多くなるので、3分割若しくは4分割方式が望ましい。ここで、各チャンバー加熱包囲体は、例えば、カンタル・ガデリウス社発行のカタログ(FI[10-1-7]3T-10-92TK)「FIBROTHAL」フィブロタルモジュールヒーターの第1ページに記載のように、所定長の竹材を3分割又は4分割に長手方向に割ったような構造を有している。そのため、各チャンバー加熱包囲体31は、当該所定の形状を提供するように断熱材料の外方部分に配置される稜線部をステンレス鋼等の耐熱材料により形成し、かつ長手方向及び円周方向に伸びている弧状の枠体37へ対して、ヒーター部材34を配設した断熱部材32を組み込むことにより構成されている。また、上記枢動係止部材36はこれらの枠体37へ溶接手段その他の固定手段により適宜取り付けることが出来る。チャンバー加熱包囲体は上述のようにチャンバーに関して縦方向即ちチャンバーの軸線に平行な面に沿って互いに分割可能であるばかりでなく、チャンバーに関して輪切り方向において即ちチャンバー表面に対して所定の間隔をおいて分割可能であることもチャンバーに対する精巧な温度分布の調節上、望ましいものである。これは、これらの分割自在な加熱包囲体へ夫々適切な発熱量を有する加熱手段を搭載することにより、チャンバーの長手方向にも、円周方向にも、精巧な温度分布制御を行なうことが可能となるからである。
【0019】
なお、図7の例では、枢動係止手段36が、概ね6時と10時方向位置にて接している側面Sを互いに連結している2連の蝶番36aと、2時方向位置にて接している側面Sを連結している1連の止め金具36bとにより構成されているが、これらの蝶番配置位置及び止め金具配置位置は単なる例示であり、10時方向位置の蝶番と、2時方向位置の止め金具とを交換することも、更には2連の蝶番の代わりにこれらの手段を全て止め金具とすることも可能である。同様に、図8の例では、枢動係止手段36が、6時と9時方向位置の接合側面Sを互いに連結している2連の蝶番36aと、3時方向位置の接合側面Sを連結している1連の止め金具36bとにより構成し、12時方向位置の接合側面はその部分を予め一体的に連結した特定の枠体37により構成して、これにより上側の半円筒部分を一体的に形成している。然しながら、これに限定されるものではなく、12時方向位置の接合側面を蝶番若しくは止め金具で連結することその他の代替も、図7について述べたように必要に応じて自由に採用出来る。
【0020】
次に、図4〜図5及び図9〜図12を参照しながらチャンバー20の開放端部側に配置されているシール手段22について述べる。シール手段22はチャンバー20の開放端部を3方向継手24へ密閉連結シールする機能を有している。ここで、図4は、図を明瞭するため、チャンバー20の周囲を取り囲んでいるチャンバー加熱包囲体31を省略した本件昇華精製装置本体12の要部を示しており、更に図5は、図を明瞭にするため、図4と同様にチャンバー加熱包囲体31を省略すると共に3方向継手24をも省略した図を示している。
【0021】
本発明の昇華精製装置本体12のシール継手22は、図4及び図5、更には説明のために当該シール手段22を分解して示した図12において明瞭に示すように、両端部に所定間隔をおいて拡張縁部40、42を有しかつ好ましくはチャンバー20の内径dと実質的に等しい内径L1を有する中空孔44を備えた環状のスプール部材46と、該スプール部材46の左側の拡張縁部42に対置して配置されている環状をなす部材であって直径方向に貫通する貫通孔48(図4、図5、図9及び図12参照)を有している中央環状部材50と、該中央環状部材50へ対置して配置されており同様に環状を有している押え環状部材52と、スプール部材46と中央環状部材50との間に配置されているシールリング54及び中央環状部材50と押え環状部材52との間に配置されているシールリング56と、チャンバー20の開放端部とスプール部材46との間に配置されている弾性リング62と、により構成されている。なお、シールリング54、56を挟持するためこれら環状をなす3つの部材46、50、52を互いに緊締保持するため締結部材が設けてある。この締結部材は、図10及び図11に示すように、シールリング54を介してスプール部材46と中央環状部材50とを緊締連結するための第1の短い締結部材58(図10参照)と、シールリング56を介して中央環状部材50と押え部材52とを緊締連結するための第2の長い締結部材60(図11参照)と、により構成されている。ここで、スプール部材46と中央環状部材50と押え環状部材52は共にステンレス鋼により構成されることが望ましい。熱に対する寸法安定性、清掃の容易性等のためである。なお、シールリング54、56は例えばバイトン製の弾性0リングである。
【0022】
図12を参照しながら、シール継手手段22を構成している部品について更により詳細に述べる。スプール部材46の軸線方向に伸びている円筒形胴部46aは、直径L1の中空孔44と直径L2の外表面46bとを有している。右側の拡張縁部40は、外表面46bから拡径方向へ対して右方へ向かって伸張する斜面40aと、該斜面40aの最大拡径端面から軸線方向に沿って平行に右方へ伸びている直径L3の拡径面40bと、該拡径端面40bの右側縁から軸線に直交するように垂直方向に半径方向内方へ向かって中空孔44まで伸びている垂直面40cと、を有している。こうしてこの拡張縁部40の面40a、40b、40cは半径方向外方へ突出したフェルールF1を形成している。
【0023】
一方、左側の拡張縁部42は、円筒形胴部46aの外表面46bから半径方向外方へ拡径方向に向かってかつ軸線方向に対しほぼ垂直に伸びている右側面42aと、該右側面42aの最大拡径部から軸線方向に平行に左方に伸びる外方面42bと、該外方面42bの左側縁から半径方向内方に向かってほぼ垂直に伸びている左側面42cと、該左側面42cの半径方向内方部分から軸線方向に右方へ向かって伸びる第1内方面42dと、該第1内方面42dの右端部から更に半径方向内方へほぼ垂直に伸びている第1垂直面42eと、該第1垂直面42eの半径方向内方部分から軸線方向に右方へ向かって伸びている第2内方面42fと、該第2内方面42fの右端部から更に半径方向内方へほぼ垂直方向に伸びている第2垂直面42gと、該第2垂直面42gの半径方向内方部分から軸線方向左方へ向かって伸びている第3内方面42hと、該第3内方面42hの端部から更に半径方向内方へ垂直に伸びて中空孔44へ達している第3垂直面42iと、を有している。
【0024】
ここで、右側拡張縁部40の外方面40bの直径L3は左側拡張縁部42の外方面42bの直径L4よりも小さいが、チャンバー20の外径Dよりは大きい。また、図12に示すように、左側拡張縁部42の左側面42cに設けてあり直径L5を有している第1内方面42dと第1垂直面42eは空所Aを形成しており、この空所Aにはシールリング54が収容される。また、第2内方面42fの直径L6は円筒状チャンバー20の外径Dより大きい。第3内方面42hの直径L7は好ましくはチャンバーの外径Dよりは小さいが内径dよりは大きい。更に第2内方面42fと第2垂直面42gと第3内方面42hとは空所Bを提供しており、この空所B内には例えばテフロン(登録商標)にて形成した弾性リング62が収容されている。この弾性リング62は前記空所B内に密着嵌合するように概ね矩形断面形状を有し、更に該弾性リング62の半径方向内方部分が、図4に示すように第3内方面42hから多少チャンバー20側へ突き出る程度の寸法を有している。即ち、この弾性リング62の軸線方向の厚み寸法は、第3内方面42hの軸線方向寸法よりも大きいのである。これによりチャンバー20とシール継手手段22とを組付ける際にもしチャンバー20の開口端部がシール継手手段22のスプール部材46へ接触しても該チャンバー20の開口端縁部が損傷を受けないように当該弾性封止リング62が両者の間で緩衝効果を提供し、高価なチャンバー20の損傷を防止しているものである。
【0025】
図においてスプール部材46の左方に配置されている中央環状部材50は、中心部に前記スプール部材46の第2内方面42fが画定している直径L6と実質的に同様の直径を有する中空孔51を有している。更にこの中央環状部材50は、スプール部材46の左側拡張縁部42、特に左側面42cに対向するように、半径方向外方に向かって伸びている右側面50aと、該右側面50aの上端部から軸線方向に左方に伸びる外方面50bと、該外方面50bの左側縁から垂直方向内方に伸びている左側面50cと、該左側面50cの半径方向内方部分から軸線方向右方へ向かって伸びる第1内方面50dと、該第1内方面50dの右端部から更に垂直方向に中空孔51まで伸びている第1垂直面50eと、を有している。ここで、第1内方面50dと第1垂直面50eとはシールリング56を収容するための空所Cを提供している。このため、環状をなしている第1内方面50dの直径寸法L8は、同様に環状をなしている拡張縁部42の第1内方面42dの直径寸法L5と実質的に同一であることが望ましい。これによりシールリング54、56の互換性を保証することが出来るからである。更に前記右側面50aの半径方向内端部からは、軸線方向右方へ伸びている環状の突出面50fと、該突出面50fの右端部から半径方向内方へ向かって中空孔51まで垂直に伸びている第2垂直面50gと、が延在し、これらの突出面50fと第2垂直面50gとは概ね円筒形断面を有し、シールリング54をスプール部材46の空所A内へ圧縮押圧する環状押圧部を形成しており、この環状押圧部は前記空所Aの軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有している。なお、環状を提供している突出面50fの直径寸法L9は拡張縁部42の第1内方面42dが提供している直径L5よりも幾分小さく、こうしてシールリング54を前記空所Aへ確実に押圧出来るようになっている。
【0026】
図において中央環状部材50の左方に配置されている押え環状部材52は、前記スプール部材46の第2内方面42fが画定している直径L6と実質的に同一の直径を有する中空孔53を有している。更にこの押え環状部材52は、中央環状部材50の左側面50cに対向するように、半径方向外方に向かって伸びている右側面52aと、該右側面52aの最大拡径部から軸線方向左方に伸びる外方面52bと、該外方面52bの左側縁から垂直方向下方に中空孔53まで伸びている左側面52cと、を有している。更に前記右側面52aの半径方向内端部からは、軸線方向右方へ伸びている環状の突出面52fと、該突出面52fの右端部から半径方向内方へ向かって中空孔53まで垂直に伸びている垂直面52gと、が延在し、これらの突出面52fと垂直面52gとは概ね円筒形断面を有しシールリング56を中央環状部材50の空所C内へ圧縮押圧する環状押圧部を形成している。この環状押圧部は前記空所Cの軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有している。このため、環状を提供している突出面52fの直径寸法L10は該空所Cの第1内方面50dが提供している直径L8よりも幾分小さく、例えば、中央環状部材50の突出面50fの直径L9に等しい。
【0027】
また、スプール部材46と中央環状部材50との間、及び中央環状部材50と押え環状部材52との間にはシールリング54、56が配置されている。これらのシールリング54、56は、夫々スプール部材46の空所A及び中央環状部材50の空所C内へ配置可能となっており、図4及び図5に示すように、適切に装着された際には、シールリング54は、スプール部材46と中央環状部材50とチャンバー20との間を確実に密閉封止し、同様に、シールリング56は、中央環状部材50と押え環状部材52とチャンバー20との間を確実に密閉封止するように作動する。
【0028】
このような密閉封止作動を提供するために、図10及び図11に示すように、締結部材58、60が設けてある。第1の締結部材58は、スプール部材46と中央環状部材50とを互いに緊締連結する機能を有している。更に第2の締結部材60は、スプール部材46と押え環状部材52とを互いに緊締連結する機能を有している。即ち、第1の締結部材58は、スプール部材46の左側拡張縁部42の所定半径位置へ等間隔に配置された拡径孔43a(図示の例では4個)を遊嵌貫通して、中央環状部材50の所定半径位置へ同じく等間隔に配置されたねじ孔51aへ螺合している。一方、第2の締結部材60は、スプール部材46の左側拡張縁部42の所定半径位置へ等間隔に配置された別の拡径孔43b(図示の例では4個)を貫通し、更には中央環状部材50の所定半径位置へ等間隔に配置された拡径孔51b(図示の例では4個)を介して、押え環状部材52の所定半径位置へ同じく等間隔に配置されたねじ孔53aへ螺合している。このため、第1の締結部材58は第2の締結部材60よりも短く、更にこれらの締結部材は共に先端方向部分にのみ螺子部分が形成されていればよい。また、スプール部材46の左側拡張縁部42に形成されている拡径孔43aと43bとは互いに半ピッチだけ偏倚して形成されている。また、図9に示すように、中央環状部材50に形成されているねじ孔51aと拡径孔51bも同様に互いに半ピッチずつ偏倚して形成されている。このため、短い締結部材58を回転起動すると中央環状部材50がスプール部材46側へ接近してシーリング部材54を挟圧し変形させ、そのため該シーリング部材54は両部材とチャンバーとの間に密閉シールを完成する。同様に長い締結部材60を回転起動すると押え環状部材52が直接中央環状部材50側へ接近してシーリング部材56を挟圧し変形させ、そのため該シーリング部材56は両部材とチャンバーとの間に密閉シールが完成するのである。なお、ここで注意されるべきことは、本発明においては、締結部材58、60を駆動するための工具は常に金属製のスプール部材46側で操作されるため、該工具が破損し易いガラス製チャンバー20へ直接接触することは完全に阻止されている。これによりチャンバー20の保護を図っているのである。
【0029】
中央環状部材50は、図4、図5、図9、図12に示すように、直径方向に貫通している貫通孔48を有している。この貫通孔48の下部位置から上部位置へ向かって冷却水例えば水道水好ましくは純水を供給するものである。この冷却水は、中央環状部材50の貫通孔48の下方位置から供給された後、該部材50の中空孔51とチャンバー20の外表面との間に形成されている空隙30であって前記シールリング54及び56により包囲された環状の環状空間30a(図9〜図11)に至り、こうしてチャンバー20の開放端部付近の外表面に接しているシールリング54、56を冷却しながら貫通孔48の上方位置から、矢線35で示すように、系外が排出される。このため、貫通孔48の下端部と上端部には冷却水を誘導するための手段を装着するためのねじ等の適当な装着手段が設けてある。チャンバーの端部周辺を冷却ことにより高温状態にあるチャンバーに接触しているシールリング54、56が熱による損傷をなるべく受けないように図っている。なお、この貫通孔48は、図9に示すように、互いに隣接するねじ孔51aと拡径孔51bとの間に形成されている。
【0030】
図4に示すように、シール継手手段22を構成しているスプール部材46の右側拡張縁部40の垂直面40cには、前記シールリング54、56と同様なシールリング66を介して3方向継手24が接続されている。この3方向継手24は、T字状に交差して3方向に互い連通している円形断面の胴部68、72を有している。図示の実施例において横方向に伸張している第1の胴部68は、外表面69と中空孔70とを有している。ここで、外表面69はスプール部材46の外表面46bの直径L2とほぼ同一の直径を有しており、また、中空孔70は同じくスプール部材46の中空孔44の直径L1とほぼ同一の直径を有している。また、第1の胴部68の中間位置から該胴部68へ直交する方向に伸張している第2の胴部72は、外表面73と中空孔74とを有している。ここで、外表面73はスプール部材46の外表面46bの直径L2よりも幾分小さい直径を有することが出来、また、中空孔74は同じくスプール部材46の中空孔44の直径L1よりも幾分小さい直径を有することが出来る。ここで、該3方向継手24は第1の胴部68及び第2の胴部72ともに例えばステンレス鋼によって一体的に構成することが出来る。
【0031】
第1の胴部68の左側端部には、第1の胴部68の外表面69から拡径方向に左方向に向かって伸張する斜面69aと、該斜面69aの最大拡径部から軸線方向に沿って左方へ伸びている拡径面69bと、該拡径面69bの左側縁から半径方内方へ向かって中空孔70まで伸びている垂直面69cと、から成る拡張縁部即ちフェルールF2が形成されている。一方、第1の胴部68の右側端部には、第1の胴部68の外表面69からほぼ垂直に拡径方向に向かって伸張し次いでその上端部から軸線方向に右方に平行に伸び更にその右端部から中空孔70までほぼ垂直に伸びている拡径フランジ71が形成されている。また、第2の胴部72はその下端部には、第2胴部72の外表面73から斜め下方へ拡径方向に向かって伸張する斜面73aと、該斜面73aの下端面から下方へ伸びている拡径面73bと、該拡径面73bの下端縁から水平方向に半径方向内方へ向かって中空孔74まで伸びている水平面73cと、から成る拡張縁部即ちフェルールF3が形成されている。
【0032】
その結果、スプール部材46の右側拡張縁部40と、3方向継手24の第1胴部68の左側端部の拡張縁部と、は互いにほぼ対称をなすフェルールを提供している。そしてこれら双方のフェルールは、両者間にシールリング66を挟んで公知のテーパー溝付きクランプ締具76により緊締結束される。結束力の調整は該締具76の装着されているナットを回転することにより自由に調整できる。即ち、クランプ締具76のナットを締め付けるとクランプ内側のテーパー溝がフェルールの斜面40a、69aへ係合し該テーパー溝と斜面との楔作用によりフェルールの軸方向に対してフェルール全周に均一な締め付け力を発生させ、こうしてシーリング66を介してフェルールF1、F2を強力に接近させて締め付けるのである。なお、補修、修理、取替えその他の理由により、チャンバー20及びチャンバー加熱包囲体31を、昇華精製装置本体12から取外したいときには、このテーパー溝付きクランプ締具76の結束力を解除することによりフェルール部分でワンタッチ作用によって容易かつ迅速にその目的を達成することが出来る。他のフェルール部分における装着分離作業も同様である。
【0033】
第1胴部68の右端部の拡径フランジ71は後述するハウジング14へ図示していない公知の適切な例えばボルトナット、又は溶接等の固着手段によって確実に固着される。更に、該第1胴部68の右方には該第1胴部68の右端部を開放し又は該右端部を的確に密封封止可能な扉等の密閉開閉手段78が設けてある。この密閉開閉手段78は昇華精製作業に際して、被昇華精製物質をボート26へ搭載した状態でチャンバー20内へ供給したり、更には昇華精製された物質が捕集されている捕集管28をチャンバー内部からは取り出すための出入口を提供するものである。
【0034】
3方向継手24の第2胴部72の端部は、図2及び図3に示すように、バルブ手段80へ接続されている。このバルブ手段80は何らかの理由で緊急にチャンバーの内部と外部とを遮断する必要が生じたときに機能し、又は作動開始時にチャンバー内の空気を窒素ガスと置換することが要求されたときに適切に機能する。次いでこのバルブ手段80はエルボー導管82へ接続され、その後、このエルボー導管82はコールドトラップ84を介してターボ分子ポンプ86へ接続されている。更にこのターボ分子ポンプ86はドライポンプ88へ接続されている。これらの部材の連結に際しては、望ましくは各端部にフェルールを形成し、隣接する各フェルール同士をクランプ締具により封止連結することが好ましい。組み付け作業が容易でありかつ気体の漏洩が確実に防止出来るからである。これらのポンプ装置はチャンバー20の内部圧力を減圧する作用を有しており、これにより迅速かつ的確な昇華精製作業達成することが出来るのである。
【0035】
次に図1〜図3を参照しながら、昇華精製装置本体12を収容しているハウジング14について述べる。図1に示すように、ハウジング14はその正面には、装置起動用スイッチ類(運転開始、運転停止、緊急停止スイッチ等)90、チャンバー20内の捕集管28が配置されている捕集部や試料が搭載されているボート部位の温度を検知するための手段、更にはそれらの温度を調節するためのスイッチ及びメーター類92、94、その他、アルゴンガスや水量を調整するスイッチやメーター類、ブレーカー、真空計、圧力調整スイッチ等が配置されており、またハウジングの裏面には、空気供給開口、N2ガス供給開口、電源供給口、排気口、排水口等が設けてある。なお、このハウジング14には、正面、裏面、側面にそれぞれ開閉自在な扉がついており、ハウジング内部の補修点検を容易になし得るようにしている。また、それらの扉の開閉を容易にするため、各扉には摘み又は凹み等の手段が設けてある。
【0036】
本発明にかかる昇華精製装置10の操作について述べる。昇華精製作業を行なう場合には、初めに、図1又は図4に示す密閉開閉手段即ち扉78を開き、そこから所定量の試料(例えば有機EL)を搭載したボート26をチャンバー20内の所定位置(図1又は図6参照)へ供給する。次いで、同様に開放した扉78の部分から例えば3つの捕集管28を図1又は図6に示すようなチャンバー20の出口付近へ配置する。その後、当該扉78を密閉する。以上の準備が出来た後に、ポンプ手段86、88を起動してチャンバー20の内部を真空状態(例えば約1000分の1パスカル程度)になるまで漸次減圧する。これと同時にヒーター部材34を起動してチャンバー20を高温(例えば約500℃程度)になるまで漸次加温する。更に、必要応じて中央環状部材50の貫通孔48内へ冷却水を流し、チャンバー20へ接触しているシールリング54、56の保護を開始する。圧力と温度が所定の条件になると昇華精製作業が実行される。
【0037】
その結果、昇華した被精製物がチャンバー20の出口側にある捕集管28へ捕集される。なお、捕集管28にて捕集されずにチャンバー20の出口側から流出した昇華精製物は気流と共に3方向継手24の第2胴部72を経てバルブ手段80、エルボー導管82を通り、コールドトラップ84に至る。コールドトラップ84は常時冷却媒体により低温状態に維持されており、そのため、下流に流動してきた気流がコールドトラップ84へ触れると、当該気流中に含まれている被精製物はこのコールドトラップ84の表面へ捕集される。その結果、被精製物が更に下流のターボ分子ポンプ86やドライポンプ88まで流下することがなく、ポンプ86、88が損傷を受けることは防止されている。
【0038】
所定時間を経て、所望の昇華精製作業が完了したなら、各ポンプ及び加熱手段の作動を停止し、再び扉78を開放して、チャンバー20から捕集管28を引き出し、捕集管28に捕集された被精製物を取り出す。最後に、コールドトラップ84の表面及び、チャンバー20の内面を浄化して、次ぎの精製作業に備える。
【実施例2】
【0039】
図13〜図15は第2の実施例を示す。第2の実施例が示している昇華精製装置100は、図13及び図14に示すように、昇華精製装置本体102と、当該装置本体を収容しているハウジング104とにより構成されている。またこの昇華精製装置本体102は、図15に示すように、内部で昇華精製作業を実行するためのチャンバー106を有している。そしてこのチャンバー106の周囲は図示していない加熱包囲体により完全に包囲されている。本発明の第2の実施例が図1〜図12に示した第1の実施例と違う点は、第1の実施例では、図4〜図6に示すように、チャンバー20の一端部が閉鎖端となっていたが、第2の実施例では、チャンバーの両端部が開放端部となっている点である。即ち、第2実施例の昇華精製装置100では、実際の昇華精製作業を行なうためのチャンバー106が両端部開放の環状筒体により構成されているのである。この環状筒体チャンバー106は、好ましくは、第1の実施例のチャンバー20と実質的に同様の素材により構成されている。ここで、開放状態のチャンバー106の右端部は、図4、図5、図10〜図12において詳述したと同様のシール継手手段108によりシールされている。即ち、シール継手手段108は、図15に示すように、スプール部材110と、中央環状部材112と、押え環状部材114と、により構成されている。ここで、これらの部材110及び環状部材112、114の詳細、更には、このシール継手手段108の右側即ち下流側に配置されている3方向継手115の右端部が扉等の密閉開閉手段116によって閉じられていること、その他の要素の構成及び機能等は実質的に第1の実施例に関して述べたものと同様であり、更に当該装置の昇華精製作動の方法も実質的に第1の実施例の場合と同様であるので、その詳細は省略する。
【0040】
しかして、第2実施例において、開放状態のチャンバー106の左端部は、シール継手手段120によりシールされている。このシール継手手段120は、スプール部材122と、中央環状部材124と、押え環状部材126と、これらの部材間に配置された弾性シールリング128、130と、スプール部材122と中央環状部材124とを緊締するための図示していない短い締結部材と、スプール部材122と押え環状部材126とを緊締するための長い締結部材132と、により構成されている。これらの部材の構成及び作用は既に上で述べた第1実施例のものと実質的に同じであるので、詳述はしない。しかして、シール継手手段120を構成している各部材122、124、126の向きは、右側部のシール継手手段108を構成している各部材110、112、114の向きとは全く反対の向きに配置されているのである。更にスプール部材122の左端部分はハウジング104に支承されかつその左端部は密閉開閉手段即ち開閉自在な扉140によって密封封止されている。なお、この装置においては、チャンバー106の両端面と左右のスプール部材110、122との間には、図12に示したような組付け時におけるチャンバー端部の損傷防止のための弾性リング62は図示していないが、同様の弾性リングを装着することも出来る。第2実施例では、チャンバー106の左右の端部がそれぞれ2個ずつ合計4個の弾性シールリングによって支持する構成となっており、安定した作動位置を有しているが、組付け時の損傷度合いは第1実施例の場合と同様と思えるからである。
【0041】
第2実施例においては、被昇華精製物質を搭載したボート142(図13参照)は、第1実施例と同様に、チャンバー106の右側の扉116を介して供給することも出来るし、左側の扉140を介して供給することも出来るという利点がある。更に、捕集管144も通常は右側の扉116を介して出し入れ出来るが、必要の応じて左側の扉140を介して出し入れをすることも出来るのである。そのために、左右のシール継手手段108、120を構成している中央環状部材にはチャンバー周囲に冷却水を導入するための貫通孔が、第1実施例と同様に、設けている。また、第2の実施例においては、既に述べたように、チャンバー106は、図示していないチャンバー加熱包囲体により完全に包囲されているのであり、また、減圧ポンプ等も第1実施例の場合と同様に装備されている。
【0042】
第2実施例は、チャンバーの両端部がハウジングによって剛健に保持されているので、装置の安定性に優れている。また、使用される、例えば石英ガラス製の、ハウジングも通常の円筒形状体であるので、第1実施例のハウジングのように1端部を閉鎖端とするような加工も必要としないという利点がある。更に、図15においてチャンバー106の左端部シール継手手段のスプール部材122にも3方向継手及び減圧装置類を配置することにより、被精製物搭載ボートをチャンバーの中間位置に配置し更に捕集管を該チャンバーの両端部付近に配置して、昇華精製物をチャンバーの両端部にて捕集するようにすれば、精製物の生産量が更に期待出来る。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の昇華精製装置は、非常に単純な構成を有しているにも拘らず、チャンバー内に配置した被精製物を昇華精製に最適な高温及び低圧状態に置くことにより極めて精度の高い昇華精製作業を迅速に実行することが出来る。また、極めて安定した精製作業を実行できるが容易に破損する危険性のある石英ガラス製のチャンバーをより安心して使用出来るように作業者の取り扱う工具等が直接チャンバーに触れることを防止しており、更に万一チャンバーに支障が発生したときにも必要に応じて直接チャンバーを目視出来るように当該チャンバーを包囲している加熱包囲体を容易にチャンバーから分離出来る構成となっており、更にはチャンバー自体を装置本体から容易かつ迅速に取外せるようになっているので、補修、修理等の作業、更にはチャンバー自体を取外しチャンバー内部の清掃作業又は取替え作業等が容易である。また、昇華精製反応に関する必要な実験を実行したい場合においても、チャンバー内部の状態を研究者が直接自分の目で観測出来るので、極めて実験効率の高い作業を行なうことも出来る。更に本装置は特に有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用することが出来るという特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施例である昇華精製装置の正面を略図的に示した図。
【図2】図1の装置の側面図。
【図3】図1の装置の裏面図。
【図4】本発明の第1実施例を示す、チャンバー加熱包囲体を削除した昇華精製装置本体の詳細図。
【図5】図4の一部を省略した図。
【図6】本発明の第1実施例を示す昇華精製装置本体のチャンバーを包囲しているチャンバー加熱包囲体と、チャンバー内部のボート及び捕集管と、を概括的に示した図。
【図7】図6に示すチャンバー包囲体の断面図の一例を示す図。
【図8】図6に示すチャンバー包囲体の断面図の別の例を示す図。
【図9】図4及び図5に示すシール継手手段を構成している中央環状部材の断面図。
【図10】図4及び図5に示すシール継手手段のスプール部材と中央環状部材との組付け状態を示す図。
【図11】図4及び図5に示すシール継手手段のスプール部材と押え環状部材との組付け状態を示す図。
【図12】図4及び図5に示すシール継手手段の構成部材を分解して示した図。
【図13】本発明の第2の実施例である昇華精製装置の正面を概略的に示した図。
【図14】図13の裏面図。
【図15】本発明の第2実施例を示す昇華精製装置本体の詳細図。
【符号の説明】
【0045】
10:昇華精製装置 12:昇華精製装置本体
14:ハウジング 20:チャンバー
22:シール継手手段 24:3方向継手
26:ボート 28:捕集管
31:チャンバー加熱包囲体 36:枢動係止手段
37:スケルトン枠体 40、42:拡径縁部
46:スプール部材 48:貫通孔
50:中央環状部材 52:押え環状部材
54、56:弾性シールリング 58:第1の締結部材
60:第2の締結部材 62:弾性リング
66:シールリング 76:クランプ締具
78:密閉開閉手段 80:バルブ手段
82:エルボー導管 84:コールドトラップ
86:ターボ分子ポンプ 88:ドライポンプ
100:昇華精製装置 102:昇華精製装置本体
104:ハウジング 106:チャンバー
108:右端部シール継手手段 110:スプール部材
112:中央環状部材 114:押え環状部材
115:3方向継手 116:密閉開閉手段
120:左端部シール継手手段 122:スプール手段
124:中央環状部材 126:押え環状部材
128、130:弾性シールリング 132:第1の締結部材
140:密閉開閉手段 142:ボート
144:捕集管 F1、F2、F3:フェルール
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に化学物質を高純度に精製するための昇華精製装置に関する。より詳細には例えば有機エレクトロルミネッセンス材料(以下、単に有機ELという)等の化学物質をより効率的に昇華精製するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を素材とする発光デバイスとして、近時、有機ELの開発が非常に活発化している。これは、これまでの発光デバイスとして広く使用されている液晶が非自発光であるのに対して、有機ELが自発光タイプであって、液晶を使用した場合のようなバックライトが不要であるため、デバイスとしての構造が、液晶を使用した場合に比較して、非常に単純化されることに起因しているものと思われる。然しながら、この有機EL等の化学物質は、もしその中に微量な不純物でも含まれていると、それを使用した装置の性能に大変大きな好ましくない影響を及ぼすことが広く知られている。そのため、これらの化学物質を使用する際には極めて高度な精製作業が要求されている。
【0003】
通常、化学物質の精製方法としては、昇華、蒸留、再結晶、コラムクロマトグラッフィー等の方法が知られている。然しながら、一般にコラムクロマトグラフィーや再結晶による方法は、化学物質が汚染される危険があるため、高純度材料の精製方法としては好ましくない。これに対して、蒸留及び昇華による方法は、物質を加熱気化し、これを予め所定の凝縮温度に設定した捕集部にて捕集することにより高純度材料を得るという精製方法である。特に、昇華精製は、常温で固体状態の物質を加熱することにより気化する物質の特性を利用して精製するものである。然るに有機ELは常温では固体であり加熱すると気化するため、一般的には有機ELの精製には昇華精製方法が採用されている。
【0004】
これまでに、有機ELの昇華精製方法に関する技術は下記に示すように多々公表されている。
【特許文献1】特許公開2000−93701
【特許文献2】特許公開2003−88704
【特許文献3】再公表特許W001/070364
【特許文献4】特許公開2005−279601
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これまでの昇華精製装置は、その精製装置自体が極めて小型で例えば通常の試験管の中で精製する程度の装置が多く、その昇華精製量も極めて限定的で、工業的な量産は全く覚束無い状況であった。また、これまでの昇華精製装置では、昇華精製作業を行なうチャンバーが作業中に容易に破損するという事故があった。このことはチャンバーが高価な石英ガラスで形成されているため、昇華精製装置がかなり高価な装置となる原因となっていた。
【0006】
更に、これまでの装置では、昇華精製作業を行なっているチャンバーの様子を外部から作業者が直接目で確認するということが困難であった。また、昇華精製作業の中心をなすチャンバーが損傷した場合にその補修作業又は取替え作業等が極めて困難であった。これは、これまでの装置では、チャンバーが加熱包囲体によってほぼ完全に包囲されており、そのため、チャンバーを補修するためにはチャンバーとその加熱包囲体とを装置本体から分解して取り出す必要があり、また、補修後においてもその取付け作業が容易ではなかった。そこで、本発明はこれらの諸課題を解決するものである。なお、以下の具体例においては、有機ELの昇華精製装置について述べるが、本発明装置は、単に有機ELの昇華精製に限定されるものではなく、その他の同様な材料の昇華精製にも同様に使用出来る装置であることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の昇華精製装置は、昇華精製装置本体と、この装置本体を収容しているハウジングと、を有しており、該装置本体が、実質的に昇華精製作業を行なうチャンバーと、シール継手手段と、3方向継手と、当該3方向継手に接続している真空ポンプと、を有し、更に該チャンバーが、チャンバー加熱包囲体によって包囲されており、チャンバーと3方向継手とがシール継手手段によってシール連結されており、シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリング54と、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリング56と、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の昇華精製装置は、非常に単純な構成を有しているにも拘らず、チャンバー内に配置した被精製物を昇華精製に最適な高温及び低圧状態に置くことにより極めて精度の高い昇華精製作業を迅速に実行することが出来る。また、極めて安定した精製作業を実行できるが容易に破損する危険性のある石英ガラス製のチャンバーをより安心して使用出来るように作業者の取り扱う工具等が直接チャンバーに触れることを防止しており、更に万一チャンバーに支障が発生したときにも必要に応じて直接チャンバーを目視出来るように当該チャンバーを包囲している加熱包囲体を容易にチャンバーから分離出来る構成となっており、更に必要に応じて該チャンバーを装置本体からチャンバー自体を容易に取り外せる構造となっているので、装置本体及びチャンバー等の補修、修理 取替え等の作業が容易である。また、昇華精製反応に関する必要な実験を実行したい場合においても、チャンバー内部の状態を研究者が直接自分の目で観測出来るので、極めて実験効率の高い作業を行なうことも出来る。更に本装置は特に有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用することが出来るという優れた効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
【実施例1】
【0010】
図1は、有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用出来る、本件発明の第1実施例にかかる昇華精製装置10の正面図である。図2は当該装置10の側面図であり、更に、図3は当該装置10の裏面図である。本発明の昇華精製装置10は、昇華精製装置本体12と当該本体12を収容しているハウジング14とにより構成されている。
【0011】
昇華精製装置本体12は、概括的には、図4〜図11に詳細に示すように、望ましくは一端部が閉鎖され他端部が開放している細長い円筒状のチャンバー20(図4参照)と、該チャンバー20の開放端部側に配置されており当該チャンバー20の開放端部をシールしているシール継手手段22と、該シール継手手段22を介してチャンバー20へ封止連結されている3方向継手24と、により構成されている。
【0012】
チャンバー20は、好ましくは、図5に示すように、長さL、外部直径D、内部直径dを有する比較的薄い石英ガラスにより構成されており、このチャンバー20の内部において昇華精製作業が行なわれる。このためチャンバー内部の閉鎖端部付近と開放端部付近には夫々、図6に示すように、昇華精製されるべき材料即ち被昇華精製物例えば有機EL素材を収容するための例えば概ね揺りかご形状をなすボート26と、該チャンバー20内にて低圧高温下で有効に昇華精製反応を起こした物質を捕集するための捕集管28と、が配置されている。
【0013】
ボート26は所定量の被昇華精製物質を収容出来るような形状を有しており望ましくはチャンバー20と同様に石英ガラス、若しくは、熱的に安定しているタンタルなどの材料により形成することが望ましい。これはボート素材自体から汚染が発生することを防止するためである。
【0014】
更に捕集管28は、図示の例においては、ほぼ同一の形状を有する3つの管28a、28b、28cを互いに隣接して配置した構造としているがこれに限定されるものではなく、捕集管は必要に応じて1個でも4個以上でも良く、またその各捕集管の軸線方向長さも自由に選択出来、要は、所望の精度を有する昇華精製物の捕集が出来るものであれば良い。また、各捕集管はチャンバー内部へ自由に出し入れ出来るが捕集管の外径とチャンバーの内径とは、出来るだけ近接した寸法であることが好ましい。それにより昇華精製反応後に当該捕集管をチャンバ−から引き出して該捕集管へ捕集された物質をチャンバー外部で捕集管から容易に掻き出せるためであり、更に捕集管が配置されているチャンバーの内壁面へ昇華精製物が付着することを防止出来るからである。なお、これらの捕集管28は石英ガラス又はパイレックス(登録商標)材料等により形成されることが望ましい。これは捕集管自体から汚染が発生することを防止するためである。
【0015】
更に、図6に示すように、円筒形状を有するチャンバー20の円筒形周囲及びその閉鎖端部の周辺全体は、該チャンバー20の外表面から僅かな空隙30をおいて配置されたチャンバー加熱包囲体31により包囲されている。チャンバー加熱包囲体31は、それ自体公知の断熱部材32と、該断熱部材へ埋設配設されているそれ自体公知のヒーター部材34とにより構成されている。これらのヒーター部材34は、好ましくは、チャンバー20の閉鎖端部から開放端部へ移行するにつれ、チャンバー内部の温度が、順次、降下するように考慮されることが出来る。これは昇華精製方法によって精製される精製物を各捕集管の位置及び降下温度によって順次異なる特性毎に捕集するためである。なおこの温度降下の度合いは、昇華精製する物質の物性及び量、チャンバー20の寸法、昇華条件等によって異なる。なお、本件発明においては、チャンバー20の閉鎖端側にも断熱部材及びヒーター部材を配置し、これにより昇華精製反応作業の均質化及び迅速化を図っている。なお、ヒーター部材34がチャンバー20の閉鎖端部から開放端部へ移行するにつれ、チャンバー内部の温度を順次降下することは必須の要件ではなく、チャンバー内部にほぼ均一な温度を維持するようにヒーター部材を配置して開放端部付近を冷却するようにしても良い。また、これら両者を同時に使用しても良い。
【0016】
特定のヒーター部材と断熱部材とは、図6に示すように、予めユニット化しておき、これらを適宜密接配置することによりその組み付け作業を迅速化することが出来る。この場合ユニット化したヒーター部材及び断熱部材が互いに密接するように配置することが重要である。密接配置しない場合には、その隙間部分に温度降下部が発生し、適切な昇華作業及び捕集作業が出来なくなる場合があるからである。なお、図示の例では、断熱部材とヒーター部材とから形成されているチャンバー加熱包囲体31が輪切り状態に分割可能な構造となっているが、これは必須の要件ではなく、当該包囲体31の全体を一体的に構成することも、更には、後述のように縦方向に分割することが出来るように構成することも本件発明の範囲に属することは理解されるべきである。なお、図4及び図5においては図を明確にするために、チャンバー加熱包囲体31を省略しているが、これらの包囲体31はチャンバー20の開放端付近に配置されているシール継手手段22の配設部位を除きチャンバー20のほぼ全体を包囲している。
【0017】
本件発明において、断熱部材32とヒーター部材34とから成るチャンバー加熱包囲体31は好ましくはチャンバー20の長手方向軸線に平行な面に沿って分断可能な構造とすることが望ましい。これはチャンバー20の補修作業、取替え作業、又は清掃作業等を容易にするためである。なお、これらの上下方向に分割可能なチャンバー加熱包囲体31は、常態では、図7又は図8に示すように、長手方向即ち軸線方向に平行な面に沿った開放側面Sを互いに蝶番36a及び止め金具36b等から成る枢動係止手段36により枢動可能に係止され、これによりチャンバーの円周方向において包囲体31は軸線方向に隙間なく連結保持されている。チャンバー内部を直接目視したり又はチャンバーの補修交換作業等を行なうためチャンバー加熱包囲体の一部を開放したいときには、開放側面側のフック状の止め金具36bを開錠して、該加熱包囲体31の一部を前記蝶番36a側へ枢動回転させることによりチャンバー全体が露出し、これによりチャンバーの取り外しを含む所望の作業を容易に行なうことが出来る。
【0018】
図7及び図8は、チャンバー20と、断熱部材32及びヒーター部材34から成るチャンバー加熱包囲体31との断面を示す図であり、図7はチャンバー加熱包囲体31を3分割にユニット化した状態、図8は4分割した例であるが、勿論2分割することも可能である。分割数が少ないと、ヒーターによるチャンバーの精巧な温度分布の調節が出来なくなるという懸念がある。そのため分割されたチャンバー加熱包囲体の接合部は互いに密接するように組み付けると共に、該包囲体を2分割よりは3分割方式が、3分割よりは4分割方式が、所望の温度分布調整を適切に行なえるので適切な選択と言えよう。しかし、分割数が更に多くなると枢動係止手段36の取付け作業が多くなるので、3分割若しくは4分割方式が望ましい。ここで、各チャンバー加熱包囲体は、例えば、カンタル・ガデリウス社発行のカタログ(FI[10-1-7]3T-10-92TK)「FIBROTHAL」フィブロタルモジュールヒーターの第1ページに記載のように、所定長の竹材を3分割又は4分割に長手方向に割ったような構造を有している。そのため、各チャンバー加熱包囲体31は、当該所定の形状を提供するように断熱材料の外方部分に配置される稜線部をステンレス鋼等の耐熱材料により形成し、かつ長手方向及び円周方向に伸びている弧状の枠体37へ対して、ヒーター部材34を配設した断熱部材32を組み込むことにより構成されている。また、上記枢動係止部材36はこれらの枠体37へ溶接手段その他の固定手段により適宜取り付けることが出来る。チャンバー加熱包囲体は上述のようにチャンバーに関して縦方向即ちチャンバーの軸線に平行な面に沿って互いに分割可能であるばかりでなく、チャンバーに関して輪切り方向において即ちチャンバー表面に対して所定の間隔をおいて分割可能であることもチャンバーに対する精巧な温度分布の調節上、望ましいものである。これは、これらの分割自在な加熱包囲体へ夫々適切な発熱量を有する加熱手段を搭載することにより、チャンバーの長手方向にも、円周方向にも、精巧な温度分布制御を行なうことが可能となるからである。
【0019】
なお、図7の例では、枢動係止手段36が、概ね6時と10時方向位置にて接している側面Sを互いに連結している2連の蝶番36aと、2時方向位置にて接している側面Sを連結している1連の止め金具36bとにより構成されているが、これらの蝶番配置位置及び止め金具配置位置は単なる例示であり、10時方向位置の蝶番と、2時方向位置の止め金具とを交換することも、更には2連の蝶番の代わりにこれらの手段を全て止め金具とすることも可能である。同様に、図8の例では、枢動係止手段36が、6時と9時方向位置の接合側面Sを互いに連結している2連の蝶番36aと、3時方向位置の接合側面Sを連結している1連の止め金具36bとにより構成し、12時方向位置の接合側面はその部分を予め一体的に連結した特定の枠体37により構成して、これにより上側の半円筒部分を一体的に形成している。然しながら、これに限定されるものではなく、12時方向位置の接合側面を蝶番若しくは止め金具で連結することその他の代替も、図7について述べたように必要に応じて自由に採用出来る。
【0020】
次に、図4〜図5及び図9〜図12を参照しながらチャンバー20の開放端部側に配置されているシール手段22について述べる。シール手段22はチャンバー20の開放端部を3方向継手24へ密閉連結シールする機能を有している。ここで、図4は、図を明瞭するため、チャンバー20の周囲を取り囲んでいるチャンバー加熱包囲体31を省略した本件昇華精製装置本体12の要部を示しており、更に図5は、図を明瞭にするため、図4と同様にチャンバー加熱包囲体31を省略すると共に3方向継手24をも省略した図を示している。
【0021】
本発明の昇華精製装置本体12のシール継手22は、図4及び図5、更には説明のために当該シール手段22を分解して示した図12において明瞭に示すように、両端部に所定間隔をおいて拡張縁部40、42を有しかつ好ましくはチャンバー20の内径dと実質的に等しい内径L1を有する中空孔44を備えた環状のスプール部材46と、該スプール部材46の左側の拡張縁部42に対置して配置されている環状をなす部材であって直径方向に貫通する貫通孔48(図4、図5、図9及び図12参照)を有している中央環状部材50と、該中央環状部材50へ対置して配置されており同様に環状を有している押え環状部材52と、スプール部材46と中央環状部材50との間に配置されているシールリング54及び中央環状部材50と押え環状部材52との間に配置されているシールリング56と、チャンバー20の開放端部とスプール部材46との間に配置されている弾性リング62と、により構成されている。なお、シールリング54、56を挟持するためこれら環状をなす3つの部材46、50、52を互いに緊締保持するため締結部材が設けてある。この締結部材は、図10及び図11に示すように、シールリング54を介してスプール部材46と中央環状部材50とを緊締連結するための第1の短い締結部材58(図10参照)と、シールリング56を介して中央環状部材50と押え部材52とを緊締連結するための第2の長い締結部材60(図11参照)と、により構成されている。ここで、スプール部材46と中央環状部材50と押え環状部材52は共にステンレス鋼により構成されることが望ましい。熱に対する寸法安定性、清掃の容易性等のためである。なお、シールリング54、56は例えばバイトン製の弾性0リングである。
【0022】
図12を参照しながら、シール継手手段22を構成している部品について更により詳細に述べる。スプール部材46の軸線方向に伸びている円筒形胴部46aは、直径L1の中空孔44と直径L2の外表面46bとを有している。右側の拡張縁部40は、外表面46bから拡径方向へ対して右方へ向かって伸張する斜面40aと、該斜面40aの最大拡径端面から軸線方向に沿って平行に右方へ伸びている直径L3の拡径面40bと、該拡径端面40bの右側縁から軸線に直交するように垂直方向に半径方向内方へ向かって中空孔44まで伸びている垂直面40cと、を有している。こうしてこの拡張縁部40の面40a、40b、40cは半径方向外方へ突出したフェルールF1を形成している。
【0023】
一方、左側の拡張縁部42は、円筒形胴部46aの外表面46bから半径方向外方へ拡径方向に向かってかつ軸線方向に対しほぼ垂直に伸びている右側面42aと、該右側面42aの最大拡径部から軸線方向に平行に左方に伸びる外方面42bと、該外方面42bの左側縁から半径方向内方に向かってほぼ垂直に伸びている左側面42cと、該左側面42cの半径方向内方部分から軸線方向に右方へ向かって伸びる第1内方面42dと、該第1内方面42dの右端部から更に半径方向内方へほぼ垂直に伸びている第1垂直面42eと、該第1垂直面42eの半径方向内方部分から軸線方向に右方へ向かって伸びている第2内方面42fと、該第2内方面42fの右端部から更に半径方向内方へほぼ垂直方向に伸びている第2垂直面42gと、該第2垂直面42gの半径方向内方部分から軸線方向左方へ向かって伸びている第3内方面42hと、該第3内方面42hの端部から更に半径方向内方へ垂直に伸びて中空孔44へ達している第3垂直面42iと、を有している。
【0024】
ここで、右側拡張縁部40の外方面40bの直径L3は左側拡張縁部42の外方面42bの直径L4よりも小さいが、チャンバー20の外径Dよりは大きい。また、図12に示すように、左側拡張縁部42の左側面42cに設けてあり直径L5を有している第1内方面42dと第1垂直面42eは空所Aを形成しており、この空所Aにはシールリング54が収容される。また、第2内方面42fの直径L6は円筒状チャンバー20の外径Dより大きい。第3内方面42hの直径L7は好ましくはチャンバーの外径Dよりは小さいが内径dよりは大きい。更に第2内方面42fと第2垂直面42gと第3内方面42hとは空所Bを提供しており、この空所B内には例えばテフロン(登録商標)にて形成した弾性リング62が収容されている。この弾性リング62は前記空所B内に密着嵌合するように概ね矩形断面形状を有し、更に該弾性リング62の半径方向内方部分が、図4に示すように第3内方面42hから多少チャンバー20側へ突き出る程度の寸法を有している。即ち、この弾性リング62の軸線方向の厚み寸法は、第3内方面42hの軸線方向寸法よりも大きいのである。これによりチャンバー20とシール継手手段22とを組付ける際にもしチャンバー20の開口端部がシール継手手段22のスプール部材46へ接触しても該チャンバー20の開口端縁部が損傷を受けないように当該弾性封止リング62が両者の間で緩衝効果を提供し、高価なチャンバー20の損傷を防止しているものである。
【0025】
図においてスプール部材46の左方に配置されている中央環状部材50は、中心部に前記スプール部材46の第2内方面42fが画定している直径L6と実質的に同様の直径を有する中空孔51を有している。更にこの中央環状部材50は、スプール部材46の左側拡張縁部42、特に左側面42cに対向するように、半径方向外方に向かって伸びている右側面50aと、該右側面50aの上端部から軸線方向に左方に伸びる外方面50bと、該外方面50bの左側縁から垂直方向内方に伸びている左側面50cと、該左側面50cの半径方向内方部分から軸線方向右方へ向かって伸びる第1内方面50dと、該第1内方面50dの右端部から更に垂直方向に中空孔51まで伸びている第1垂直面50eと、を有している。ここで、第1内方面50dと第1垂直面50eとはシールリング56を収容するための空所Cを提供している。このため、環状をなしている第1内方面50dの直径寸法L8は、同様に環状をなしている拡張縁部42の第1内方面42dの直径寸法L5と実質的に同一であることが望ましい。これによりシールリング54、56の互換性を保証することが出来るからである。更に前記右側面50aの半径方向内端部からは、軸線方向右方へ伸びている環状の突出面50fと、該突出面50fの右端部から半径方向内方へ向かって中空孔51まで垂直に伸びている第2垂直面50gと、が延在し、これらの突出面50fと第2垂直面50gとは概ね円筒形断面を有し、シールリング54をスプール部材46の空所A内へ圧縮押圧する環状押圧部を形成しており、この環状押圧部は前記空所Aの軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有している。なお、環状を提供している突出面50fの直径寸法L9は拡張縁部42の第1内方面42dが提供している直径L5よりも幾分小さく、こうしてシールリング54を前記空所Aへ確実に押圧出来るようになっている。
【0026】
図において中央環状部材50の左方に配置されている押え環状部材52は、前記スプール部材46の第2内方面42fが画定している直径L6と実質的に同一の直径を有する中空孔53を有している。更にこの押え環状部材52は、中央環状部材50の左側面50cに対向するように、半径方向外方に向かって伸びている右側面52aと、該右側面52aの最大拡径部から軸線方向左方に伸びる外方面52bと、該外方面52bの左側縁から垂直方向下方に中空孔53まで伸びている左側面52cと、を有している。更に前記右側面52aの半径方向内端部からは、軸線方向右方へ伸びている環状の突出面52fと、該突出面52fの右端部から半径方向内方へ向かって中空孔53まで垂直に伸びている垂直面52gと、が延在し、これらの突出面52fと垂直面52gとは概ね円筒形断面を有しシールリング56を中央環状部材50の空所C内へ圧縮押圧する環状押圧部を形成している。この環状押圧部は前記空所Cの軸線方向寸法よりも短い軸線方向寸法を有している。このため、環状を提供している突出面52fの直径寸法L10は該空所Cの第1内方面50dが提供している直径L8よりも幾分小さく、例えば、中央環状部材50の突出面50fの直径L9に等しい。
【0027】
また、スプール部材46と中央環状部材50との間、及び中央環状部材50と押え環状部材52との間にはシールリング54、56が配置されている。これらのシールリング54、56は、夫々スプール部材46の空所A及び中央環状部材50の空所C内へ配置可能となっており、図4及び図5に示すように、適切に装着された際には、シールリング54は、スプール部材46と中央環状部材50とチャンバー20との間を確実に密閉封止し、同様に、シールリング56は、中央環状部材50と押え環状部材52とチャンバー20との間を確実に密閉封止するように作動する。
【0028】
このような密閉封止作動を提供するために、図10及び図11に示すように、締結部材58、60が設けてある。第1の締結部材58は、スプール部材46と中央環状部材50とを互いに緊締連結する機能を有している。更に第2の締結部材60は、スプール部材46と押え環状部材52とを互いに緊締連結する機能を有している。即ち、第1の締結部材58は、スプール部材46の左側拡張縁部42の所定半径位置へ等間隔に配置された拡径孔43a(図示の例では4個)を遊嵌貫通して、中央環状部材50の所定半径位置へ同じく等間隔に配置されたねじ孔51aへ螺合している。一方、第2の締結部材60は、スプール部材46の左側拡張縁部42の所定半径位置へ等間隔に配置された別の拡径孔43b(図示の例では4個)を貫通し、更には中央環状部材50の所定半径位置へ等間隔に配置された拡径孔51b(図示の例では4個)を介して、押え環状部材52の所定半径位置へ同じく等間隔に配置されたねじ孔53aへ螺合している。このため、第1の締結部材58は第2の締結部材60よりも短く、更にこれらの締結部材は共に先端方向部分にのみ螺子部分が形成されていればよい。また、スプール部材46の左側拡張縁部42に形成されている拡径孔43aと43bとは互いに半ピッチだけ偏倚して形成されている。また、図9に示すように、中央環状部材50に形成されているねじ孔51aと拡径孔51bも同様に互いに半ピッチずつ偏倚して形成されている。このため、短い締結部材58を回転起動すると中央環状部材50がスプール部材46側へ接近してシーリング部材54を挟圧し変形させ、そのため該シーリング部材54は両部材とチャンバーとの間に密閉シールを完成する。同様に長い締結部材60を回転起動すると押え環状部材52が直接中央環状部材50側へ接近してシーリング部材56を挟圧し変形させ、そのため該シーリング部材56は両部材とチャンバーとの間に密閉シールが完成するのである。なお、ここで注意されるべきことは、本発明においては、締結部材58、60を駆動するための工具は常に金属製のスプール部材46側で操作されるため、該工具が破損し易いガラス製チャンバー20へ直接接触することは完全に阻止されている。これによりチャンバー20の保護を図っているのである。
【0029】
中央環状部材50は、図4、図5、図9、図12に示すように、直径方向に貫通している貫通孔48を有している。この貫通孔48の下部位置から上部位置へ向かって冷却水例えば水道水好ましくは純水を供給するものである。この冷却水は、中央環状部材50の貫通孔48の下方位置から供給された後、該部材50の中空孔51とチャンバー20の外表面との間に形成されている空隙30であって前記シールリング54及び56により包囲された環状の環状空間30a(図9〜図11)に至り、こうしてチャンバー20の開放端部付近の外表面に接しているシールリング54、56を冷却しながら貫通孔48の上方位置から、矢線35で示すように、系外が排出される。このため、貫通孔48の下端部と上端部には冷却水を誘導するための手段を装着するためのねじ等の適当な装着手段が設けてある。チャンバーの端部周辺を冷却ことにより高温状態にあるチャンバーに接触しているシールリング54、56が熱による損傷をなるべく受けないように図っている。なお、この貫通孔48は、図9に示すように、互いに隣接するねじ孔51aと拡径孔51bとの間に形成されている。
【0030】
図4に示すように、シール継手手段22を構成しているスプール部材46の右側拡張縁部40の垂直面40cには、前記シールリング54、56と同様なシールリング66を介して3方向継手24が接続されている。この3方向継手24は、T字状に交差して3方向に互い連通している円形断面の胴部68、72を有している。図示の実施例において横方向に伸張している第1の胴部68は、外表面69と中空孔70とを有している。ここで、外表面69はスプール部材46の外表面46bの直径L2とほぼ同一の直径を有しており、また、中空孔70は同じくスプール部材46の中空孔44の直径L1とほぼ同一の直径を有している。また、第1の胴部68の中間位置から該胴部68へ直交する方向に伸張している第2の胴部72は、外表面73と中空孔74とを有している。ここで、外表面73はスプール部材46の外表面46bの直径L2よりも幾分小さい直径を有することが出来、また、中空孔74は同じくスプール部材46の中空孔44の直径L1よりも幾分小さい直径を有することが出来る。ここで、該3方向継手24は第1の胴部68及び第2の胴部72ともに例えばステンレス鋼によって一体的に構成することが出来る。
【0031】
第1の胴部68の左側端部には、第1の胴部68の外表面69から拡径方向に左方向に向かって伸張する斜面69aと、該斜面69aの最大拡径部から軸線方向に沿って左方へ伸びている拡径面69bと、該拡径面69bの左側縁から半径方内方へ向かって中空孔70まで伸びている垂直面69cと、から成る拡張縁部即ちフェルールF2が形成されている。一方、第1の胴部68の右側端部には、第1の胴部68の外表面69からほぼ垂直に拡径方向に向かって伸張し次いでその上端部から軸線方向に右方に平行に伸び更にその右端部から中空孔70までほぼ垂直に伸びている拡径フランジ71が形成されている。また、第2の胴部72はその下端部には、第2胴部72の外表面73から斜め下方へ拡径方向に向かって伸張する斜面73aと、該斜面73aの下端面から下方へ伸びている拡径面73bと、該拡径面73bの下端縁から水平方向に半径方向内方へ向かって中空孔74まで伸びている水平面73cと、から成る拡張縁部即ちフェルールF3が形成されている。
【0032】
その結果、スプール部材46の右側拡張縁部40と、3方向継手24の第1胴部68の左側端部の拡張縁部と、は互いにほぼ対称をなすフェルールを提供している。そしてこれら双方のフェルールは、両者間にシールリング66を挟んで公知のテーパー溝付きクランプ締具76により緊締結束される。結束力の調整は該締具76の装着されているナットを回転することにより自由に調整できる。即ち、クランプ締具76のナットを締め付けるとクランプ内側のテーパー溝がフェルールの斜面40a、69aへ係合し該テーパー溝と斜面との楔作用によりフェルールの軸方向に対してフェルール全周に均一な締め付け力を発生させ、こうしてシーリング66を介してフェルールF1、F2を強力に接近させて締め付けるのである。なお、補修、修理、取替えその他の理由により、チャンバー20及びチャンバー加熱包囲体31を、昇華精製装置本体12から取外したいときには、このテーパー溝付きクランプ締具76の結束力を解除することによりフェルール部分でワンタッチ作用によって容易かつ迅速にその目的を達成することが出来る。他のフェルール部分における装着分離作業も同様である。
【0033】
第1胴部68の右端部の拡径フランジ71は後述するハウジング14へ図示していない公知の適切な例えばボルトナット、又は溶接等の固着手段によって確実に固着される。更に、該第1胴部68の右方には該第1胴部68の右端部を開放し又は該右端部を的確に密封封止可能な扉等の密閉開閉手段78が設けてある。この密閉開閉手段78は昇華精製作業に際して、被昇華精製物質をボート26へ搭載した状態でチャンバー20内へ供給したり、更には昇華精製された物質が捕集されている捕集管28をチャンバー内部からは取り出すための出入口を提供するものである。
【0034】
3方向継手24の第2胴部72の端部は、図2及び図3に示すように、バルブ手段80へ接続されている。このバルブ手段80は何らかの理由で緊急にチャンバーの内部と外部とを遮断する必要が生じたときに機能し、又は作動開始時にチャンバー内の空気を窒素ガスと置換することが要求されたときに適切に機能する。次いでこのバルブ手段80はエルボー導管82へ接続され、その後、このエルボー導管82はコールドトラップ84を介してターボ分子ポンプ86へ接続されている。更にこのターボ分子ポンプ86はドライポンプ88へ接続されている。これらの部材の連結に際しては、望ましくは各端部にフェルールを形成し、隣接する各フェルール同士をクランプ締具により封止連結することが好ましい。組み付け作業が容易でありかつ気体の漏洩が確実に防止出来るからである。これらのポンプ装置はチャンバー20の内部圧力を減圧する作用を有しており、これにより迅速かつ的確な昇華精製作業達成することが出来るのである。
【0035】
次に図1〜図3を参照しながら、昇華精製装置本体12を収容しているハウジング14について述べる。図1に示すように、ハウジング14はその正面には、装置起動用スイッチ類(運転開始、運転停止、緊急停止スイッチ等)90、チャンバー20内の捕集管28が配置されている捕集部や試料が搭載されているボート部位の温度を検知するための手段、更にはそれらの温度を調節するためのスイッチ及びメーター類92、94、その他、アルゴンガスや水量を調整するスイッチやメーター類、ブレーカー、真空計、圧力調整スイッチ等が配置されており、またハウジングの裏面には、空気供給開口、N2ガス供給開口、電源供給口、排気口、排水口等が設けてある。なお、このハウジング14には、正面、裏面、側面にそれぞれ開閉自在な扉がついており、ハウジング内部の補修点検を容易になし得るようにしている。また、それらの扉の開閉を容易にするため、各扉には摘み又は凹み等の手段が設けてある。
【0036】
本発明にかかる昇華精製装置10の操作について述べる。昇華精製作業を行なう場合には、初めに、図1又は図4に示す密閉開閉手段即ち扉78を開き、そこから所定量の試料(例えば有機EL)を搭載したボート26をチャンバー20内の所定位置(図1又は図6参照)へ供給する。次いで、同様に開放した扉78の部分から例えば3つの捕集管28を図1又は図6に示すようなチャンバー20の出口付近へ配置する。その後、当該扉78を密閉する。以上の準備が出来た後に、ポンプ手段86、88を起動してチャンバー20の内部を真空状態(例えば約1000分の1パスカル程度)になるまで漸次減圧する。これと同時にヒーター部材34を起動してチャンバー20を高温(例えば約500℃程度)になるまで漸次加温する。更に、必要応じて中央環状部材50の貫通孔48内へ冷却水を流し、チャンバー20へ接触しているシールリング54、56の保護を開始する。圧力と温度が所定の条件になると昇華精製作業が実行される。
【0037】
その結果、昇華した被精製物がチャンバー20の出口側にある捕集管28へ捕集される。なお、捕集管28にて捕集されずにチャンバー20の出口側から流出した昇華精製物は気流と共に3方向継手24の第2胴部72を経てバルブ手段80、エルボー導管82を通り、コールドトラップ84に至る。コールドトラップ84は常時冷却媒体により低温状態に維持されており、そのため、下流に流動してきた気流がコールドトラップ84へ触れると、当該気流中に含まれている被精製物はこのコールドトラップ84の表面へ捕集される。その結果、被精製物が更に下流のターボ分子ポンプ86やドライポンプ88まで流下することがなく、ポンプ86、88が損傷を受けることは防止されている。
【0038】
所定時間を経て、所望の昇華精製作業が完了したなら、各ポンプ及び加熱手段の作動を停止し、再び扉78を開放して、チャンバー20から捕集管28を引き出し、捕集管28に捕集された被精製物を取り出す。最後に、コールドトラップ84の表面及び、チャンバー20の内面を浄化して、次ぎの精製作業に備える。
【実施例2】
【0039】
図13〜図15は第2の実施例を示す。第2の実施例が示している昇華精製装置100は、図13及び図14に示すように、昇華精製装置本体102と、当該装置本体を収容しているハウジング104とにより構成されている。またこの昇華精製装置本体102は、図15に示すように、内部で昇華精製作業を実行するためのチャンバー106を有している。そしてこのチャンバー106の周囲は図示していない加熱包囲体により完全に包囲されている。本発明の第2の実施例が図1〜図12に示した第1の実施例と違う点は、第1の実施例では、図4〜図6に示すように、チャンバー20の一端部が閉鎖端となっていたが、第2の実施例では、チャンバーの両端部が開放端部となっている点である。即ち、第2実施例の昇華精製装置100では、実際の昇華精製作業を行なうためのチャンバー106が両端部開放の環状筒体により構成されているのである。この環状筒体チャンバー106は、好ましくは、第1の実施例のチャンバー20と実質的に同様の素材により構成されている。ここで、開放状態のチャンバー106の右端部は、図4、図5、図10〜図12において詳述したと同様のシール継手手段108によりシールされている。即ち、シール継手手段108は、図15に示すように、スプール部材110と、中央環状部材112と、押え環状部材114と、により構成されている。ここで、これらの部材110及び環状部材112、114の詳細、更には、このシール継手手段108の右側即ち下流側に配置されている3方向継手115の右端部が扉等の密閉開閉手段116によって閉じられていること、その他の要素の構成及び機能等は実質的に第1の実施例に関して述べたものと同様であり、更に当該装置の昇華精製作動の方法も実質的に第1の実施例の場合と同様であるので、その詳細は省略する。
【0040】
しかして、第2実施例において、開放状態のチャンバー106の左端部は、シール継手手段120によりシールされている。このシール継手手段120は、スプール部材122と、中央環状部材124と、押え環状部材126と、これらの部材間に配置された弾性シールリング128、130と、スプール部材122と中央環状部材124とを緊締するための図示していない短い締結部材と、スプール部材122と押え環状部材126とを緊締するための長い締結部材132と、により構成されている。これらの部材の構成及び作用は既に上で述べた第1実施例のものと実質的に同じであるので、詳述はしない。しかして、シール継手手段120を構成している各部材122、124、126の向きは、右側部のシール継手手段108を構成している各部材110、112、114の向きとは全く反対の向きに配置されているのである。更にスプール部材122の左端部分はハウジング104に支承されかつその左端部は密閉開閉手段即ち開閉自在な扉140によって密封封止されている。なお、この装置においては、チャンバー106の両端面と左右のスプール部材110、122との間には、図12に示したような組付け時におけるチャンバー端部の損傷防止のための弾性リング62は図示していないが、同様の弾性リングを装着することも出来る。第2実施例では、チャンバー106の左右の端部がそれぞれ2個ずつ合計4個の弾性シールリングによって支持する構成となっており、安定した作動位置を有しているが、組付け時の損傷度合いは第1実施例の場合と同様と思えるからである。
【0041】
第2実施例においては、被昇華精製物質を搭載したボート142(図13参照)は、第1実施例と同様に、チャンバー106の右側の扉116を介して供給することも出来るし、左側の扉140を介して供給することも出来るという利点がある。更に、捕集管144も通常は右側の扉116を介して出し入れ出来るが、必要の応じて左側の扉140を介して出し入れをすることも出来るのである。そのために、左右のシール継手手段108、120を構成している中央環状部材にはチャンバー周囲に冷却水を導入するための貫通孔が、第1実施例と同様に、設けている。また、第2の実施例においては、既に述べたように、チャンバー106は、図示していないチャンバー加熱包囲体により完全に包囲されているのであり、また、減圧ポンプ等も第1実施例の場合と同様に装備されている。
【0042】
第2実施例は、チャンバーの両端部がハウジングによって剛健に保持されているので、装置の安定性に優れている。また、使用される、例えば石英ガラス製の、ハウジングも通常の円筒形状体であるので、第1実施例のハウジングのように1端部を閉鎖端とするような加工も必要としないという利点がある。更に、図15においてチャンバー106の左端部シール継手手段のスプール部材122にも3方向継手及び減圧装置類を配置することにより、被精製物搭載ボートをチャンバーの中間位置に配置し更に捕集管を該チャンバーの両端部付近に配置して、昇華精製物をチャンバーの両端部にて捕集するようにすれば、精製物の生産量が更に期待出来る。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の昇華精製装置は、非常に単純な構成を有しているにも拘らず、チャンバー内に配置した被精製物を昇華精製に最適な高温及び低圧状態に置くことにより極めて精度の高い昇華精製作業を迅速に実行することが出来る。また、極めて安定した精製作業を実行できるが容易に破損する危険性のある石英ガラス製のチャンバーをより安心して使用出来るように作業者の取り扱う工具等が直接チャンバーに触れることを防止しており、更に万一チャンバーに支障が発生したときにも必要に応じて直接チャンバーを目視出来るように当該チャンバーを包囲している加熱包囲体を容易にチャンバーから分離出来る構成となっており、更にはチャンバー自体を装置本体から容易かつ迅速に取外せるようになっているので、補修、修理等の作業、更にはチャンバー自体を取外しチャンバー内部の清掃作業又は取替え作業等が容易である。また、昇華精製反応に関する必要な実験を実行したい場合においても、チャンバー内部の状態を研究者が直接自分の目で観測出来るので、極めて実験効率の高い作業を行なうことも出来る。更に本装置は特に有機ELの昇華精製作業に極めて有用に使用することが出来るという特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施例である昇華精製装置の正面を略図的に示した図。
【図2】図1の装置の側面図。
【図3】図1の装置の裏面図。
【図4】本発明の第1実施例を示す、チャンバー加熱包囲体を削除した昇華精製装置本体の詳細図。
【図5】図4の一部を省略した図。
【図6】本発明の第1実施例を示す昇華精製装置本体のチャンバーを包囲しているチャンバー加熱包囲体と、チャンバー内部のボート及び捕集管と、を概括的に示した図。
【図7】図6に示すチャンバー包囲体の断面図の一例を示す図。
【図8】図6に示すチャンバー包囲体の断面図の別の例を示す図。
【図9】図4及び図5に示すシール継手手段を構成している中央環状部材の断面図。
【図10】図4及び図5に示すシール継手手段のスプール部材と中央環状部材との組付け状態を示す図。
【図11】図4及び図5に示すシール継手手段のスプール部材と押え環状部材との組付け状態を示す図。
【図12】図4及び図5に示すシール継手手段の構成部材を分解して示した図。
【図13】本発明の第2の実施例である昇華精製装置の正面を概略的に示した図。
【図14】図13の裏面図。
【図15】本発明の第2実施例を示す昇華精製装置本体の詳細図。
【符号の説明】
【0045】
10:昇華精製装置 12:昇華精製装置本体
14:ハウジング 20:チャンバー
22:シール継手手段 24:3方向継手
26:ボート 28:捕集管
31:チャンバー加熱包囲体 36:枢動係止手段
37:スケルトン枠体 40、42:拡径縁部
46:スプール部材 48:貫通孔
50:中央環状部材 52:押え環状部材
54、56:弾性シールリング 58:第1の締結部材
60:第2の締結部材 62:弾性リング
66:シールリング 76:クランプ締具
78:密閉開閉手段 80:バルブ手段
82:エルボー導管 84:コールドトラップ
86:ターボ分子ポンプ 88:ドライポンプ
100:昇華精製装置 102:昇華精製装置本体
104:ハウジング 106:チャンバー
108:右端部シール継手手段 110:スプール部材
112:中央環状部材 114:押え環状部材
115:3方向継手 116:密閉開閉手段
120:左端部シール継手手段 122:スプール手段
124:中央環状部材 126:押え環状部材
128、130:弾性シールリング 132:第1の締結部材
140:密閉開閉手段 142:ボート
144:捕集管 F1、F2、F3:フェルール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華精製装置であって、昇華精製装置本体と、この装置本体を収容しているハウジングと、を有しており、
該装置本体が、実質的に昇華精製作業を行なうチャンバーと、シール継手手段と、3方向継手と、当該3方向継手に接続している真空ポンプと、を有し、
該チャンバーが、チャンバー加熱包囲体によって包囲されており、
チャンバーと3方向継手とがシール継手手段によってシール連結されており、
シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリング54と、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリング56と、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、
シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、
3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある、
昇華精製装置。
【請求項2】
チャンバー加熱包囲体がチャンバーの軸線に平行な面に沿って互いに分離可能となっている請求項1に記載の昇華精製装置。
【請求項3】
チャンバー加熱包囲体がチャンバーに関して輪切り方向に分割可能であることを特徴とする請求項1〜2に記載の昇華精製装置。
【請求項4】
スプール部材がチャンバーの端部を越えて伸びており、これによりチャンバー端部の保護が図られている請求項1〜3に記載の昇華精製装置。
【請求項5】
シール継手手段の中央環状部材には、直径方向に伸びている貫通孔が設けてあり、この貫通孔を介して冷却水を流すことによりシールリング54、56が冷却される請求項1〜4に記載の昇華精製装置。
【請求項6】
チャンバーの端部とスプール部材との間に弾性リング62が配置されている請求項1〜5に記載の昇華精製装置。
【請求項7】
チャンバーの一端部が閉鎖端部となっている請求項1〜6に記載の昇華精製装置。
【請求項8】
チャンバーが両端開放の筒体により構成されており、該筒体の両端部には上記シール継手手段と同様のシール継手手段が設けてあり、片側のシール継手手段のスプール部材がハウジングへ装着されておりかつ該スプール部材の端面部分に開閉自在な密閉開閉手段が設けてある請求項1〜7に記載の昇華精製装置。
【請求項9】
チャンバーが両端開放の筒体により構成されており、該筒体の両端部に3方向継手がシール継手手段によってシール連結されており、
シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリングと、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリングと、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、
シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールと3方向継手に形成したフェルールとを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、
3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある、
昇華精製装置。
【請求項10】
チャンバーが昇華精製装置本体から容易に取り外せることを特徴とする請求項1〜9に記載の昇華精製装置。
【請求項1】
昇華精製装置であって、昇華精製装置本体と、この装置本体を収容しているハウジングと、を有しており、
該装置本体が、実質的に昇華精製作業を行なうチャンバーと、シール継手手段と、3方向継手と、当該3方向継手に接続している真空ポンプと、を有し、
該チャンバーが、チャンバー加熱包囲体によって包囲されており、
チャンバーと3方向継手とがシール継手手段によってシール連結されており、
シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリング54と、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリング56と、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、
シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールF1と3方向継手に形成したフェルールF2とを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、
3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある、
昇華精製装置。
【請求項2】
チャンバー加熱包囲体がチャンバーの軸線に平行な面に沿って互いに分離可能となっている請求項1に記載の昇華精製装置。
【請求項3】
チャンバー加熱包囲体がチャンバーに関して輪切り方向に分割可能であることを特徴とする請求項1〜2に記載の昇華精製装置。
【請求項4】
スプール部材がチャンバーの端部を越えて伸びており、これによりチャンバー端部の保護が図られている請求項1〜3に記載の昇華精製装置。
【請求項5】
シール継手手段の中央環状部材には、直径方向に伸びている貫通孔が設けてあり、この貫通孔を介して冷却水を流すことによりシールリング54、56が冷却される請求項1〜4に記載の昇華精製装置。
【請求項6】
チャンバーの端部とスプール部材との間に弾性リング62が配置されている請求項1〜5に記載の昇華精製装置。
【請求項7】
チャンバーの一端部が閉鎖端部となっている請求項1〜6に記載の昇華精製装置。
【請求項8】
チャンバーが両端開放の筒体により構成されており、該筒体の両端部には上記シール継手手段と同様のシール継手手段が設けてあり、片側のシール継手手段のスプール部材がハウジングへ装着されておりかつ該スプール部材の端面部分に開閉自在な密閉開閉手段が設けてある請求項1〜7に記載の昇華精製装置。
【請求項9】
チャンバーが両端開放の筒体により構成されており、該筒体の両端部に3方向継手がシール継手手段によってシール連結されており、
シール継手手段が、スプール部材と、中央環状部材と、押え環状部材と、スプール部材と中央環状部材との間にありスプール部材と中央環状部材とチャンバーとを互いに弾性的に密封封止しているシールリングと、中央環状部材と押え環状部材との間にあり中央環状部材と押え環状部材とを互いに弾性的に密封封止しているシールリングと、シールリングを介してスプール部材と中央環状部材とを緊締する第1の締結部材と、シールリングを介してスプール部材と押え環状部材とを緊締する第2の締結部材と、によってチャンバーの一端部へ密閉封止連結され、
シール継手手段のスプール部材が、シールリングを介して、スプール部材の端部に形成したフェルールと3方向継手に形成したフェルールとを楔作用によって強圧連結するクランプ締具によって3方向継手へ密閉封止され、
3方向継手に、チャンバーへ試料を供給するための密閉開閉手段を設けてある、
昇華精製装置。
【請求項10】
チャンバーが昇華精製装置本体から容易に取り外せることを特徴とする請求項1〜9に記載の昇華精製装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−167697(P2007−167697A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364279(P2005−364279)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(593139695)株式会社協真エンジニアリング (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(593139695)株式会社協真エンジニアリング (14)
【Fターム(参考)】
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