説明

昇降式車止め

【課題】外筒体と内筒体との間に中筒体を備えない構成でありながら昇降駆動装置の保守点検作業を容易に行うことができる昇降式車止めを提供する。
【解決手段】有底の外筒体2の上部内周面に当接するように取り付けられた摺動支持体4により外周面がガイドされた有蓋の内筒体3の蓋部3Aにピストンロッド7の上端部が連結された複動片ロッドシリンダ6、シリンダチューブ8の下端部に取り付けられた連結体15、連結体15を外筒体2の底部2Aにねじ締結により連結固定する、上端の操作部18が地表面GL側から操作可能な高さ位置に設けられた2本の操作ロッド17,17を備え、操作部18,18を操作して連結体15と外筒体2の底部2Aとの連結を解除した状態で、複動片ロッドシリンダ6を地表面GL側へ引き出せるように、複動片ロッドシリンダ6と流体圧出力回路とを繋ぐ配管13,14に弛みを持たせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させることにより作用状態と非作用状態とを切り替える昇降式車止めの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無断駐車防止若しくは交通規制等を目的として道路に、又は、不特定車両の通過制限等を目的として車両出入口等に設置され、昇降支柱を上昇させて地表面から上方に突出させた作用状態で車両の通行を規制し、昇降支柱を下降させて地中へ没入させた非作用状態で車両の通行を可能とする昇降式車止めとして、地中に埋設された外装基柱(外筒体)により昇降可能に支持された内装支柱(昇降支柱である内筒体)を人手で引き上げて外装基柱に掛止して前記作用状態とすることができるとともに、前記内装支柱を人手で前記外装基柱内に押し込んで前記非作用状態とするものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような人力により昇降支柱の昇降を行う構成に対して、多数の昇降式車止めの昇降支柱を昇降させる際における煩雑な人手作業を無くすとともに管理の容易化等を図るために、人手ではなく昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させるものがある。
例えば、空圧昇降駆動装置により昇降支柱を昇降させる昇降式車止めとして、路面下に形成した竪孔に底付ケース(外筒体)を埋め込み、底付ケースにボルト連結されたフランジ付筒体にボルトにより有底筒体(中筒体)を吊り下げ、有底筒体内に複動型エアーシリンダを立設し、底付きケースの開口に対する蓋体及びフランジ付筒体に対して、通行阻止部材(昇降支柱である内筒体)を昇降可能に内嵌支持し、前記エアーシリンダのロッドを伸ばすことにより前記作用状態とし、前記エアーシリンダのロッドを縮めることにより前記非作用状態とするものがある(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−160416号公報(第1図)
【特許文献2】実公昭63−32173号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような人手により昇降支柱を昇降させる構成は、上述のとおり多数の昇降式車止めの昇降支柱を昇降させる際における人手作業が煩雑であるとともに管理が困難である反面、構成が簡素であるため低コストであるとともに、地中に埋設する外筒の外径を小さく抑えることができることから車止めを設置するための掘削範囲が小さくなるため、施工が容易であるとともに設置場所の制約が少なくなる等の特長がある。
また、特許文献2のような昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させる構成では、上述のとおり人手により昇降支柱を昇降させる構成の問題点を解消することができる反面、昇降駆動装置の保守点検作業のためにフランジ付筒体及び中筒体等を備える必要があることから、構成が複雑であるためコストが増大する。
その上、中筒体と内筒体との間の給排気用配管に無理を掛けないようにする必要性から、中筒体の外径を内筒体の外径よりもかなり大きくする必要があるため、さらに外側の外筒体の外径が大きくなる。
よって、特許文献1のような人手により昇降支柱を昇降させる構成と比較して地中に埋設する外筒体の外径が大幅に大きくなることから、車止め設置のための掘削範囲が大きくなるため施工に手間が掛かるとともに設置場所が制限される。
その上さらに、外筒体の外径に対応して地上に露出する蓋体の外径も大きくなるため、周囲の景観に対して違和感を与える場合がある。
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させる構成により多数の昇降式車止めの昇降支柱を昇降させる際における煩雑な人手作業を無くすとともに管理の容易化を図ることができ、外筒体と内筒体との間に中筒体を備えない構成でありながら昇降駆動装置の保守点検作業を容易に行うことができ、簡素な構成によりコストを低減することができ、地中に埋設する外筒体の外径を小さく抑えることができることから車止め設置のための掘削範囲が小さくなるため、施工が容易であり、設置場所の制約が少なくなるとともに周囲の景観に対して違和感を与えることがない昇降式車止めを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る昇降式車止めは、前記課題解決のために、昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させることにより、前記昇降支柱を地表面から上方へ突出させた作用状態と前記昇降支柱を下降させて地中に没入させた非作用状態とを切り替え可能な昇降式車止めであって、地中に埋設固定される、上面を開口して上下方向に延び、底部に雄ねじ部又は雌ねじ部が設けられた有底の外筒体と、該外筒体の上部内周面に当接するように取り付けられ、前記外筒体と同心の内周面を有する略円筒状の摺動支持体と、該摺動支持体により外周面がガイドされ、下面を開口して上下方向に延びる前記昇降支柱である有蓋の内筒体と、該内筒体の蓋部に上下方向に延びるピストンロッドの上端部が連結された複動片ロッドシリンダと、該複動片ロッドシリンダのシリンダチューブの下端部に中央部が取り付けられるとともに、前記シリンダチューブの側方に延びる延出部が設けられ、該延出部に前記中央部から等分の少なくとも2箇所に上下方向の通孔が形成された連結体と、上端の操作部が地表面側から操作可能な高さ位置に設けられ、下端に雌ねじ部又は雄ねじ部が設けられた上下方向に延びる少なくとも2本の操作ロッドと、前記複動片ロッドシリンダを駆動する流体圧出力回路とを備え、前記外筒体底部の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記操作ロッド下端の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、あるいは、前記操作ロッド下端の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記外筒体底部の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、前記シリンダチューブの下端部を前記外筒体の底部に連結してなり、前記内筒体の蓋部と前記ピストンロッドの上端部との連結を解除して前記内筒体を前記摺動支持体の上側まで引き抜いて取り外した状態で、前記操作部を操作して前記雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合状態を解除して前記操作ロッドを取り外すことにより、前記シリンダチューブの下端部と前記外筒体の底部との連結が解除され、この連結解除状態で前記複動片ロッドシリンダを地表面側へ引き出せるように、前記複動片ロッドシリンダと前記流体圧出力回路とを繋ぐ配管に弛みを持たせてなるものである。
【0008】
ここで、前記内筒体の下部外周面に、前記外筒体の内周面と摺動する円環状の摺動部材を取り付けてなると好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る昇降式車止めによれば、昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させることにより、前記昇降支柱を地表面から上方へ突出させた作用状態と前記昇降支柱を下降させて地中に没入させた非作用状態とを切り替え可能な昇降式車止めであって、地中に埋設固定される、上面を開口して上下方向に延び、底部に雄ねじ部又は雌ねじ部が設けられた有底の外筒体と、該外筒体の上部内周面に当接するように取り付けられ、前記外筒体と同心の内周面を有する略円筒状の摺動支持体と、該摺動支持体により外周面がガイドされ、下面を開口して上下方向に延びる前記昇降支柱である有蓋の内筒体と、該内筒体の蓋部に上下方向に延びるピストンロッドの上端部が連結された複動片ロッドシリンダと、該複動片ロッドシリンダのシリンダチューブの下端部に中央部が取り付けられるとともに、前記シリンダチューブの側方に延びる延出部が設けられ、該延出部に前記中央部から等分の少なくとも2箇所に上下方向の通孔が形成された連結体と、上端の操作部が地表面側から操作可能な高さ位置に設けられ、下端に雌ねじ部又は雄ねじ部が設けられた上下方向に延びる少なくとも2本の操作ロッドと、前記複動片ロッドシリンダを駆動する流体圧出力回路とを備え、前記外筒体底部の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記操作ロッド下端の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、あるいは、前記操作ロッド下端の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記外筒体底部の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、前記シリンダチューブの下端部を前記外筒体の底部に連結してなり、前記内筒体の蓋部と前記ピストンロッドの上端部との連結を解除して前記内筒体を前記摺動支持体の上側まで引き抜いて取り外した状態で、前記操作部を操作して前記雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合状態を解除して前記操作ロッドを取り外すことにより、前記シリンダチューブの下端部と前記外筒体の底部との連結が解除され、この連結解除状態で前記複動片ロッドシリンダを地表面側へ引き出せるように、前記複動片ロッドシリンダと前記流体圧出力回路とを繋ぐ配管に弛みを持たせてなるので、流体圧出力回路により複動片ロッドシリンダを駆動することにより昇降支柱である内筒体を容易に昇降させることができるため、多数の昇降式車止めの昇降支柱を昇降させる際における煩雑な人手作業を無くすとともに管理の容易化を図ることができる。
【0010】
その上、外筒体と内筒体との間に中筒体を備えない構成でありながら、内筒体を摺動支持体の上側まで引き抜いて取り外した状態で操作ロッドの操作部を操作して該操作ロッドを取り外し、連結板とともに複動片ロッドシリンダを地表面側へ引き出す際に、複動片ロッドシリンダと流体圧出力回路とを繋ぐ配管に弛みを設けているため、該配管が複動片ロッドシリンダの引き出し作業の邪魔になることがなく、容易かつ迅速に複動片ロッドシリンダを地表面側へ引き出して保守点検作業を行うことができる。
その上さらに、中筒体等が不要である部品点数の少ない簡素な構成であるため、コストを低減することができる。
その上、中筒体等が不要である簡素な構成であることから、人力により昇降支柱の昇降を行う構成の既設の昇降式車止めを、本発明の昇降駆動装置(複動片ロッドシリンダ及び流体圧出力回路)により昇降支柱を駆動する構成の昇降式車止めに改造して使用することができるため、人力により昇降支柱の昇降を行う構成の既設の昇降式車止めを有効活用することができる。
その上さらに、地中に埋設する外筒体の外径を小さく抑えることができることから車止め設置のための掘削範囲が小さくなるため、施工が容易であるとともに設置場所の制約が少なくなる。
その上、地中に埋設する外筒体の外径を小さく抑えることができることから地上に露出する部分の外径も小さくすることができるため、周囲の景観に対して違和感を与えることがない。
【0011】
また、前記内筒体の下部外周面に、前記外筒体の内周面と摺動する円環状の摺動部材を取り付けてなると、前記効果に加え、外筒体上部の摺動支持体により内筒体がガイドされるとともに、内筒体の下部と外筒体との間が摺動部材によりガイドされることから、内筒体が昇降する際の横倒れを効果的に抑制することができるため、昇降支柱である内筒体の昇降動作の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
【0013】
実施の形態1.
図1〜図5は、本発明の実施の形態1に係る昇降式車止めの構成説明図であり、図1は車両の通行を規制する作用状態の縦断面図、図2は車両の通行を可能とする非作用状態の縦断面図、図3は分解斜視図、図4は非作用状態における要部を拡大して示す縦断面図、図5は空気圧出力回路の構成例を示す概略回路図である。
図1及び図2に示すように、昇降式車止め1は、地中に埋設固定された外筒体2により支持された昇降支柱である内筒体3を、後述する昇降駆動装置を構成する複動片ロッドシリンダ6により駆動して昇降させることにより、内筒体3を地表面GLから上方へ突出させた作用状態(図1参照。)と内筒体3を下降させて地中に没入させた非作用状態(図2参照。)とを切り替え可能なものである。
【0014】
図3及び図4に示すように、外筒体2は、上面を開口して上下方向に延びる有底のものであり、その下端の底部2Aには円板状の底板21が溶着され、上端にはフランジ22が溶着され、底板21の中央には水抜き孔21Aが形成されるとともに後述する操作ロッド17,17を連結固定するために用いる通孔21B,21Bが形成され、外筒体2のフランジ22の下側には、外筒体2と同心の内周面を有する例えば合成樹脂製である略円筒状の摺動支持体4が、外筒体2上部内周面に当接するように例えば径方向のボルト等により取り付けられる。
また、内筒体3は、下面を開口して上下方向に延びる有蓋のものであり、その外周面が摺動支持体4に当接してガイドされるため、上下方向に昇降可能に外筒体2により支持される。
【0015】
複動片ロッドシリンダ6のシリンダチューブ8の下端部に取り付けられる連結体15は、その中央部Aから水平にシリンダチューブ8の側方に延びる延出部B,Bが形成された矩形板状であり、中央部Aには通孔15Aが、延出部B,Bには中央部A(通孔15A)から180°等分の2箇所に通孔15B,15Bが形成される。なお、連結体15は、矩形板状に限定されるものではなく、例えば円板状等の他の形状であってもよい。
上記形状の連結体15の中央部Aの通孔15A内にシリンダチューブ8下端の雄ねじ部8Aを挿通してナット9Dを螺合することにより、シリンダチューブ8の下端部に連結体15が固定される。
【0016】
弾性連結装置を構成する例えばゴム製の緩衝体23の上下面にはボルト2B,24が取り付けられており、2個の緩衝体23,23のボルト24,24を外筒体2の底板21の通孔21B,21B内に上側から挿入して、底板21の下側からナット25,25を螺合することにより、上側にボルト2B,2Bが立設された状態の緩衝体23,23が外筒体2の底板21に固定される。
したがって、外筒体2の底部2Aに設けた雄ねじ部であるボルト2B,2Bが連結体15の通孔15B,15Bに挿通するように、連結体15を緩衝体23,23上に載置し、下端に雌ねじ部17A,17Aが設けられた上下方向に延びる2本の操作ロッド17,17の上端の操作部18,18を操作して、雌ねじ部17A,17Aをボルト2B,2Bに螺合することにより、複動片ロッドシリンダ6のシリンダチューブ8の下端部が外筒体2の底部2Aに連結される。
なお、図3及び図4に示すように、組立の際の位置決め性及び作業性等を考慮して通孔15B,15Bの一方を丸孔とし、他方を長孔としている。
【0017】
また、複動片ロッドシリンダ6の上下方向に延びるピストンロッド7上端の雄ねじ部7Aにナット9Aを螺合させた状態で、雄ねじ部7Aを内筒体3の上板32中央の通孔32Aに下側から挿通した状態で上板32の上側からワッシャ9Cを雄ねじ部7Aに遊嵌し、その上側からナット9Bを螺合することにより、ピストンロッド7の上端部が内筒体3の蓋部3Aに連結される。
さらに、内筒体3上端の蓋部3Aには、円板状の蓋体31が、取付ねじ33,…を通孔31A,…を通して上板32の螺孔32B,…に螺合することにより、上板32の上側に取り付けられる。
このようにして複動片ロッドシリンダ6が外筒体2と内筒体3との間に取り付けられるが、取り付けねじ部の芯ずれがあっても、その誤差が弾性連結装置(緩衝体23,23)の弾性変形により吸収されるため、ピストンロッド7及び内筒体3の昇降動作の円滑化が図られている。
【0018】
図2及び図3に示すように、シリンダチューブ8上部の配管接続口19に接続された配管13は、シリンダチューブ8に添わせて下側に導かれ、シリンダチューブ8下部の配管接続口20に接続された配管14とともに例えば熱収縮チューブ等を用いて束ねられる。
このように一体化された配管13,14は、シリンダチューブ8下部から外筒体2の内周面に添わせるような形態で螺旋状に弛ませた状態で上方に引き回され、外筒体2の上部側面に形成した通孔26を通って空気圧出力回路10に接続される。
このように配管13,14を外筒体2の内周面に添うように螺旋状としているため、外筒体2と内筒体3との狭い空間内に配管13,14を通すことができるとともに、内筒体3の昇降時に邪魔になることがない。
【0019】
昇降式車止め1を作用状態とするためのピストンロッド7の上昇及び非作用状態とするためのピストンロッド7の下降は、圧縮空気の供給・排気により行われるため、次に、複動片ロッドシリンダ6を駆動するための空気圧出力回路10の構成例について説明する。
図5に示すように、空気圧源11から供給される圧縮空気は、電磁弁12により切り替えられて配管13又は14に供給される。
【0020】
すなわち、電磁弁12を非通電状態とすると、スプリングリターンによって電磁弁12は常にオフとなり、シリンダチューブ8上部の配管接続口19(図4参照。)へ管継手34(図3参照。)により接続された配管13からシリンダチューブ8内に圧縮空気が供給されるため、ピストンロッド7は下降し、シリンダチューブ8下部の配管接続口20(図4参照。)へ管継手35(図3参照。)により接続された配管14から排気される。
また、電磁弁12を通電状態とすると、主弁がソレノイドにより切り替わり、配管14からシリンダチューブ8内に圧縮空気が供給されるため、ピストンロッド7は上昇し、配管13から排気される。
【0021】
以上のとおり、本実施の形態における昇降駆動装置は、複動片ロッドシリンダ6及び空気圧出力回路10により構成される。
なお、空気圧出力回路10の電磁弁12は図5に示すようなシングルソレノイドスプリングリターン形のものに限定されるものではなく、ダブルソレノイド形等であってもよい。
以上のような構成の昇降式車止め1によれば、空気圧出力回路10により複動片ロッドシリンダ6を駆動することにより昇降支柱である内筒体3を容易に昇降させることができるため、多数の昇降式車止めの昇降支柱を昇降させる際における煩雑な人手作業を無くすとともに管理の容易化を図ることができる。
【0022】
次に、図2及び図4を参照して保守点検作業の際に複動片ロッドシリンダ6を地表面GL側へ引き出す手順について説明する。
先ず、内筒体3の蓋体31を、取付ねじ33,…を緩めることにより取り外す。
次に、ナット9Bを緩めることによりピストンロッド7と内筒体3とが分離されるため、内筒体3を摺動支持体4の上側まで引き抜いて取り外す。
次に、操作ロッド17,17上端の操作部18,18を回転させて、外筒体2の底部2Aの緩衝体23のボルト2B,2Bから操作ロッド17,17を取り外ことにより、複動片ロッドシリンダ6と空気圧出力回路10とを繋ぐ配管13,14に前記のとおり螺旋状の弛みを持たせていることから、配管13,14をシリンダチューブ8に接続した状態のままで、複動片ロッドシリンダ6を地表GL側へ容易に引き出すことができる。
よって、外筒体2と内筒体3との間に中筒体を備えない構成でありながら、容易かつ迅速に複動片ロッドシリンダ6を地表面GL側へ引き出して保守点検作業を行うことができる。
【0023】
以上のような構成の昇降式車止め1によれば、中筒体等が不要である部品点数の少ない簡素な構成であるため、コストを低減することができる。
また、中筒体等が不要である簡素な構成であることから、人力により昇降支柱の昇降を行う構成の既設の昇降式車止めを、本発明の昇降駆動装置(複動片ロッドシリンダ6及び空気圧出力回路10)により昇降支柱3を駆動する構成の昇降式車止め1に改造して使用することができるため、人力により昇降支柱の昇降を行う構成の既設の昇降式車止めを有効活用することができる。
さらに、地中に埋設する外筒体2の外径を小さく抑えることができることから車止め設置のための掘削範囲が小さくなるため、施工が容易であるとともに設置場所の制約が少なくなる。
さらにまた、地中に埋設する外筒体2の外径を小さく抑えることができることから地上に露出する部分の外径も小さくすることができるため、周囲の景観に対して違和感を与えることがない。
【0024】
実施の形態2.
図6及び図7は、本発明の実施の形態2に係る昇降式車止めの構成説明図であり、図6は非作用状態の縦断面図、図2は同じく要部を拡大して示す縦断面図であり、実施の形態1の図1〜図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。また、実施の形態1の図5の構成と同様の空気圧出力回路10を複動片ロッドシリンダ6の駆動のために使用することができる。
【0025】
図6及び図7に示すように、実施の形態2における摺動支持体4は、上端部にフランジが形成されており、このフランジを利用してボルト等により外筒体2のフランジに取り付けることができる。
また、複動片ロッドシリンダ6のシリンダチューブ8と連結体15との連結方法が実施の形態1と異なっており、シリンダチューブ8下端から下方に突設されたブラケット8Bに形成した図示しない通孔に、連結体15の上面に立設された連結板16,16間に掛け渡されるピン16Aを挿通することにより、シリンダチューブ8下端と連結体15とはピン16Aまわりに相対的に揺動可能に連結される。
【0026】
上下方向に延びる2本の操作ロッド17,17の下端には雄ねじ部17B,17Bが設けられているため、該雄ねじ部17B,17Bを連結体15の通孔15B,15Bに挿通して外筒体2の底部2A(底板21の下側)に設けた雌ねじ部2C,2Cに螺合することにより、複動片ロッドシリンダ6のシリンダチューブ8の下端部が外筒体2の底部2Aに連結される。
また、図7に示すように、雌ねじ部2C,2Cの上側に位置する底板21の通孔をテーパ状としていることから、この通孔のテーパ面により操作ロッド17,17の雄ねじ部17B,17Bの先端がガイドされて雌ねじ部2C,2Cとの芯合わせが行われるため、組立の際の作業性を向上している。
なお、外筒体2の底部2Aに設けた雄ねじ部であるボルトを底板21の上側に溶着により立設しておき、これらのボルトに対し、2本の操作ロッド17,17の下端に設けた実施の形態1と同様の雌ねじ部17A,17Aを螺合するようにしてもよい。
【0027】
図6及び図7に示すように、空気圧出力回路10と複動片ロッドシリンダ6のシリンダチューブ8とを接続する給排気用の配管13,14は、外筒体2下部の通孔27から外筒体2内に入り、外筒体2の下部に設けた空間内に螺旋状に巻回されており、このように弛みを持たせていることから、実施の形態1と同様に、保守点検作業の際には、配管13,14をシリンダチューブ8に接続した状態のままで、複動片ロッドシリンダ6を地表GL側へ容易に引き出すことができる。
【0028】
実施の形態2における前記配管13,14は、外筒体2と内筒体3との間にないため、内筒体3の下部外周面に、外筒体2の内周面と摺動する例えば合成樹脂製である円環状の摺動部材5を取り付けることができる。
このような摺動部材5を備えることにより、外筒体2上部の摺動支持体4により内筒体3がガイドされるとともに、内筒体3の下部と外筒体2との間が摺動部材5によりガイドされることから、内筒体3が昇降する際の横倒れを効果的に抑制することができるため、昇降支柱である内筒体3の昇降動作の信頼性を向上することができる。
【0029】
以上の説明においては、昇降駆動装置が空圧による場合について説明したが、昇降支柱(内筒3)の重量が大きい場合等においては、例えば油圧シリンダを油圧出力回路により駆動する構成としてもよく、流体圧出力回路により流体圧シリンダを駆動する構成であればよい。
また、以上の説明においては、2本の操作ロッド17,17を用いる構成について説明したが、操作ロッド17を3本以上用いる構成としてもよく、すなわち操作ロッド17は少なくとも2本用いればよいが、組立作業や保守点検時の分解作業等の作業性及び製作コストを考慮すると、2本の操作ロッド17,17を用いる構成が最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係る昇降式車止めの作用状態を示す縦断面図である。
【図2】同じく非作用状態を示す縦断面図である。
【図3】同じく分解斜視図である。
【図4】同じく非作用状態における要部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】空気圧出力回路の構成例を示す概略回路図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る昇降式車止めの非作用状態を示す縦断面図である。
【図7】同じく要部を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
A 中央部
B 延出部
GL 地表面
1 昇降式車止め
2 外筒体
2A 底部
2B ボルト(雄ねじ部)
2C 雌ねじ部
3 内筒体(昇降支柱)
3A 蓋部
4 摺動支持体
5 摺動部材
6 複動片ロッドシリンダ
7 ピストンロッド
7A 雄ねじ部
8 シリンダチューブ
8A 雄ねじ部
8B ブラケット
9A,9B ナット
9C ワッシャ
9D ナット
10 空気圧出力回路(流体圧出力回路)
11 空気圧源(流体圧源)
12 電磁弁
13,14 配管
15 連結体
15A,15B 通孔
16 連結板
16A ピン
17 操作ロッド
17A 雌ねじ部
17B ボルト(雄ねじ部)
18 操作部
19,20 配管接続口
21 底板
21A 水抜き孔
21B 通孔
22 フランジ
23 緩衝体
24 ボルト
25 ナット
26,27 通孔
31 蓋体
31A 通孔
32 上板
32A 通孔
32B 螺孔
33 取付ねじ
34,35 管継手


【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降駆動装置により昇降支柱を駆動して昇降させることにより、前記昇降支柱を地表面から上方へ突出させた作用状態と前記昇降支柱を下降させて地中に没入させた非作用状態とを切り替え可能な昇降式車止めであって、
地中に埋設固定される、上面を開口して上下方向に延び、底部に雄ねじ部又は雌ねじ部が設けられた有底の外筒体と、
該外筒体の上部内周面に当接するように取り付けられ、前記外筒体と同心の内周面を有する略円筒状の摺動支持体と、
該摺動支持体により外周面がガイドされ、下面を開口して上下方向に延びる前記昇降支柱である有蓋の内筒体と、
該内筒体の蓋部に上下方向に延びるピストンロッドの上端部が連結された複動片ロッドシリンダと、
該複動片ロッドシリンダのシリンダチューブの下端部に中央部が取り付けられるとともに、前記シリンダチューブの側方に延びる延出部が設けられ、該延出部に前記中央部から等分の少なくとも2箇所に上下方向の通孔が形成された連結体と、
上端の操作部が地表面側から操作可能な高さ位置に設けられ、下端に雌ねじ部又は雄ねじ部が設けられた上下方向に延びる少なくとも2本の操作ロッドと、
前記複動片ロッドシリンダを駆動する流体圧出力回路とを備え、
前記外筒体底部の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記操作ロッド下端の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、あるいは、前記操作ロッド下端の雄ねじ部を前記連結体の通孔に挿通して前記外筒体底部の雌ねじ部と螺合した状態とすることにより、前記シリンダチューブの下端部を前記外筒体の底部に連結してなり、
前記内筒体の蓋部と前記ピストンロッドの上端部との連結を解除して前記内筒体を前記摺動支持体の上側まで引き抜いて取り外した状態で、前記操作部を操作して前記雄ねじ部及び雌ねじ部の螺合状態を解除して前記操作ロッドを取り外すことにより、前記シリンダチューブの下端部と前記外筒体の底部との連結が解除され、この連結解除状態で前記複動片ロッドシリンダを地表面側へ引き出せるように、前記複動片ロッドシリンダと前記流体圧出力回路とを繋ぐ配管に弛みを持たせてなることを特徴とする昇降式車止め。
【請求項2】
前記内筒体の下部外周面に、前記外筒体の内周面と摺動する円環状の摺動部材を取り付けてなる請求項1記載の昇降式車止め。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−228328(P2009−228328A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75974(P2008−75974)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(392014117)シー・ティ・マシン株式会社 (6)
【出願人】(000138613)株式会社ユニオン (42)
【Fターム(参考)】