説明

易熱成形性多層構造体

【課題】透明性、機械物性、ガスバリア性と、深絞り成形等の二次加工性に優れた多層構造体を提供する。
【解決手段】結晶性ポリアミド(A)70〜90重量%と、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合して得られ、(1)23℃、50RHにおける酸素透過係数が3ml・mm/m・MPa・day以下であり、(2)示差走査熱量計を用いた昇温測定時に観察される結晶化発熱ピーク温度が160℃以上〜融点未満に観察される若しくは結晶化発熱ピークが観察されないポリアミド(B)30〜10重量%からなるポリアミド樹脂組成物を主成分としたポリアミド層を1層以上積層した易熱成形性多層構造体であって、剪断速度100/秒、250℃の条件下における結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融粘度比(ポリアミド(A)/ポリアミド(B))が1.2〜4.6である多層構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性や熱成形等の二次加工性に優れた多層構造体に関するものである。詳しくは、ポリアミドの有する優れた強度や柔軟性、透明性を保持しつつガスバリア性と熱成形性が改善された多層構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や飲料等の包装に用いられる包装材料は様々な流通、冷蔵庫の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護するため、強度や破れにくさ、耐熱性といった機能ばかりでなく、内容物を視認できるような透明性に優れるなど多岐に渡る機能が要求されている。さらに近年では、食品の酸化を抑えるため外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性や、嗜好の変化に伴い各種香気成分に対するバリア性機能も要求されている。
【0003】
ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン、ポリエチレンテレフタテート等のポリエステル、ポリアミドからなるフィルムは、透明で機械物性に優れるばかりではなく、その扱いやすさから、包装材料用フィルムとして広く用いられている。
【0004】
前記した包装材料の中で特にナイロン6やナイロン6/66等の共重合ナイロンに代表される結晶性脂肪族ナイロンは優れた透明性と強度を生かし、平袋やスタンディングパウチ等の包装袋の他、ブリスターパック等の熱成形容器に多く利用されている。しかしながら結晶性脂肪族ナイロンは非常に結晶化速度が速いという性質を有しているため、特に熱成形容器の分野では絞り比に制限があったり、成形容器の肉厚が極端に薄い箇所ができて容器としての強度が不足する等、いくつかの問題点があった。
【0005】
これらの問題を解決する従来技術として、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、N−MXD6と略すことがある)を例えばナイロン6に15〜80重量%添加してナイロン6の結晶化速度を遅延する技術が開示(例えば、特許文献1〜5参照。)されている。しかしながら、場合によってはN−MXD6の結晶化速度が十分に遅くなかったことから多くのN−MXD6を添加する必要が生じ、その結果、包装容器の透明性が損なわれたり、剛性の高いN−MXD6の性質が強く影響して容器の柔軟性が悪化する等の不都合を生じることがあった。
【特許文献1】特開平1−141737号公報
【特許文献2】特開平4−120168号公報
【特許文献3】特開平4−198329号公報
【特許文献4】特開平5−193081号公報
【特許文献5】特開平7−117198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記のような従来技術の課題を克服し、透明性、機械物性に優れることはもちろんのこと、ガスバリア性、深絞り成形等の二次加工性に優れた多層構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、従来技術における課題を克服するため鋭意研究を重ねた結果、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分を原料としつつ結晶化速度が従来以上に遅延されたポリアミドを配合することにより、結晶性脂肪族ナイロンの有する特性を損なうことなく、ガスバリア性や熱成形等の二次加工性を改善することができることを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち本発明は、結晶性ポリアミド(A)70〜90重量%と、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合して得られ、(1)23℃、50RHにおける酸素透過係数が3ml・mm/m・MPa・day以下であり、(2)示差走査熱量計を用いた昇温測定時に観察される結晶化発熱ピーク温度が160℃以上〜融点未満に観察される若しくは結晶化発熱ピークが観察されないポリアミド(B)30〜10重量%からなるポリアミド樹脂組成物を主成分としたポリアミド層を1層以上積層した易熱成形性多層構造体に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多層構造体は、結晶性脂肪族ナイロンの持つ透明性と柔軟性に加え酸素バリア性、深絞り成形時の二次加工性が付与され、包装容器の形状範囲が拡大しデザインの自由度が拡大される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用される結晶性ポリアミド(A)は、結晶性を有するポリアミドであり、その中でも包装材料として適した柔軟性、強度、透明性を備えた脂肪族ポリアミドが好ましい。脂肪族ポリアミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66等が例示される。結晶性ポリアミド(A)が包装容器を構成する材料として適切な機能を発現するためには、十分に重合度の高いものを用いることが好ましい。重合度を示す指標としては相対粘度(ポリアミド1gを96%硫酸100mlに溶解し、25℃で測定した値)が広く使用されるが、本発明においては結晶性ポリアミド(A)の相対粘度は2.5〜5.0であることが好ましく、より好ましくは3.0〜4.5の範囲である。この範囲の相対粘度を有する結晶性ポリアミド(A)を使用することで、ポリアミド(B)との組成物は透明性、外観、機械物性に優れ、かつ溶融加工安定性を確保することができる。
【0011】
本発明で使用されるポリアミド(B)は、メタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合して得られるポリアミドである。
【0012】
ポリアミド(B)を構成するジアミン成分としては、メタキシリレンジアミンが70モル%以上含まれることが必要であり、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンが70モル%以上であると、それから得られるポリアミドは優れたガスバリア性を発現することができる。メタキシリレンジアミン以外に使用できるジアミンとしては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンアミン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
ポリアミド(B)を構成するジカルボン酸成分としては、炭素数4〜20のジカルボン酸を主成分として使用することが好ましい。炭素数4〜20のジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等のα、ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸やこれらを水添した脂環族ジカルボン酸が例示されるが、これらに限定されることはない。これらのジカルボン酸を原料とすることで、本発明に適した結晶性とガスバリア性を有するポリアミドを得ることができる。ジカルボン酸成分は単一の成分を使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよいが、結晶化速度遅延とガスバリア性を両立するためには、炭素数4〜20のα、ω−直鎖状脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜20の芳香族および/または脂環族ジカルボン酸を併用することが好ましい。これらの好ましい比率としては、α、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が70〜97モル%、芳香族および/または脂環族ジカルボン酸が30〜3モル%であり、より好ましくはα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が80〜95モル%、芳香族および/または脂環族ジカルボン酸が20〜5モル%である。
【0014】
ポリアミド(B)が包装容器を構成する材料として適切な機能を発現するためには、十分に重合度の高いものを用いることが好ましい。本発明においてはポリアミド(B)の相対粘度は1.6〜4.2であることが好ましく、より好ましくは1.8〜3.7の範囲である。この範囲の相対粘度を有するポリアミド(B)を使用することで、結晶性ポリアミド(A)との組成物は透明性、外観、機械物性に優れ、かつ溶融加工安定性を確保することができる。
【0015】
ポリアミド(B)は、結晶性ポリアミド(A)のガスバリア性能を高め、かつその結晶化速度を制御することにより、熱成形等の二次加工性を改善する役割を有する。そのため、ポリアミド(B)は以下の(1)と(2)を同時に満足する必要がある。
(1)23℃、50RHにおける酸素透過係数が3ml・mm/m・MPa・day以下である
(2)示差走査熱量計(DSC)を用いた昇温測定時に観察される結晶化発熱ピーク温度が160℃以上〜融点未満に観察される若しくは結晶化発熱ピークが観察されない
【0016】
ポリアミド(B)の23℃、50RHにおける酸素透過係数は3ml・mm/m・MPa・day以下である必要があり、より好ましくは2ml・mm/m・MPa・day以下であり、さらに好ましくは1ml・mm/m・MPa・day以下である。3ml・mm/m・MPa・day以下であると、ポリアミド(B)のブレンドによる酸素バリア性能の改善効果を効果的に得ることができる。
【0017】
またポリアミド(B)の結晶化速度は遅い程結晶性ポリアミド(A)の結晶化速度制御効果が少量のポリアミド(B)添加により得られ、経済的でありかつ成形加工性が安定しやすいので好ましい。ポリアミド(B)の結晶化速度の目安としては、示差走査熱量計(DSC)を使用した測定にて観測される結晶化発熱ピーク温度(以下Tchと略することがある)が利用される。本発明におけるDSCでのTchの測定方法は以下の方法である。
(1)ポリアミド(B)サンプルを窒素気流下で10℃/分の昇温速度で溶融させる。
(2)液体窒素またはドライアイスを使用して昇温直後のポリアミド(B)サンプルを急冷する。
(3)急冷したポリアミド(B)サンプルを窒素気流下で室温から10℃/分の昇温速度で溶融させ、結晶化に由来する発熱ピークの頂点をTchとする。
【0018】
ポリアミド(B)はそのTchは160℃以上〜融点未満に観察される若しくは結晶化発熱ピークが観察されないものである必要があり、より好ましくはTchが160℃以上〜融点未満に観察されるものであり、さらに好ましくは163℃以上〜融点未満に観察されるものである。160℃未満に結晶化発熱ピーク温度が観察される場合、結晶性ポリアミド(A)の結晶化速度制御効果を十分に得るためには多量のポリアミド(B)を添加する必要が生じる場合があるため、成形加工性が変化したり、透明性等の外観が悪化する場合があるため好ましくない。
【0019】
本発明の多層構造体は、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)からなるポリアミド樹脂組成物を主成分としたポリアミド層を1層以上積層したものである。該ポリアミド層における結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の配合割合は、結晶性ポリアミド(A)が70〜90重量%、ポリアミド(B)が30〜10重量%(結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の総計は100重量%である)であり、好ましくはポリアミド(B)が25〜10重量%、より好ましくはポリアミド(B)が20〜10重量%である。上述の範囲でポリアミド層を形成することにより、結晶性ポリアミド(A)の優れた物性を保持しつつ効果的なガスバリア性と熱成形等の二次加工性が改善でき、さらに安定した溶融押出加工性が可能となる。
【0020】
本発明におけるポリアミド層はポリアミド(B)による物性改善が成されつつ、結晶性ポリアミド(A)の優れた物性を保持する。例えば、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)からなるポリアミド層の引張弾性率は1GPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.95GPa以下であり、さらに好ましくは0.9GPa以下である。引張弾性率が上述の範囲内であることにより、結晶性ポリアミド(A)の特徴である柔軟性や耐衝撃性能を損なうことがないので好ましい。
【0021】
ポリアミド(B)の有するガスバリア性と結晶性ポリアミド(A)の結晶化速度抑制効果を十分に発揮したポリアミド層を形成するためには、ポリアミド層が海島構造を成していることが好ましく、ポリアミド層中においてポリアミド(B)が微分散していることがより好ましい。
ポリアミド層中におけるポリアミド(B)の分散粒子径は長径1ミクロン以下が95%以上であることが好ましく、98%以上であればより好ましい。ポリアミド(B)の分散状態は電子顕微鏡(TEM、SEM等)で観察することができる。ポリアミド(B)の分散粒子径が上述の範囲内であることにより、結晶性ポリアミド(A)の優れた物性を損なうことなく、ポリアミド(B)の特性を付与することができる。
【0022】
上述のようにポリアミド(B)を分散させるためには、押出機による結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融混合方法を工夫したり、双方の溶融粘度を調節する方法等が挙げられる。溶融混合方法としては、従来公知の方法、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用する方法が挙げられ、これらを適用することができるが、単軸押出機を使用する場合はダルメージ等の混練部位を備えたスクリューを備えた単軸押出機を使用することが好ましい。またポリアミド層中のポリアミド(B)の分散粒子径を小さくする方法として、ポリアミド層を形成する際の成形温度における剪断速度100s−1での結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融粘度比(結晶性ポリアミド(A)/ポリアミド(B))を1.2以上とする方法が好ましく用いられ、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは1.8以上である。海島構造を構成する島部分の溶融粘度を低く設定することによって溶融加工時に発生する剪断応力が効果的に微分散させる働きをするので好ましい。なお上述のように溶融粘度比を設定すれば、例えば単軸押出機でフルフライトスクリュー等の混練部位を持たない押出機であってもポリアミド(B)の分散状態を制御しやすいので好ましい。
【0023】
また、ポリアミド(B)の添加による効果的な物性改善効果を得るためには、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融混合条件を適切なものにすることが好ましい。例えば、溶融混合時の押出機温度設定は300℃未満に設定することが好ましく、より好ましくは290℃以下であり、さらに好ましくは280℃以下である。300℃よりも温度を高く設定すると、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融混合時に双方でのアミド交換反応が起きて相溶化してしまい、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)のランダムコポリマーが生成して各ポリアミドの優れた物性が失われることがある。このような現象が防止されていることを確認する方法としては、溶融混合物のDSCによる、各材料の融点を確認する方法が挙げられる。本発明においては、ポリアミド層についてDSCを用いて昇温測定した際に観察される結晶性ポリアミド(A)に由来する融点が、結晶性ポリアミド(A)単体の融点から±5℃以内であることが好ましく、より好ましくは±4℃であり、さらに好ましくは±3℃である。結晶性ポリアミド(A)の融点からの偏差が±5℃以内であれば、相溶化はほとんど生じておらず、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の海島構造が保たれ、両者の優れた物性が生かされたものとすることができる。
尚当然のことながら、結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)は300℃以下で溶融加工可能なものである必要がある。
【0024】
本発明で使用するポリアミド(結晶性ポリアミド(A)、ポリアミド(B))は、場合によっては吸水によって結晶化して白化し、多層容器の外観を損なうことがある。このような現象を防ぐために、本発明ではポリアミドに、白化防止剤として、特定の脂肪酸金属塩、ジアミド化合物あるいはジエステル化合物を添加することが好ましく行われる。
【0025】
本発明に用いる脂肪酸金属塩は、炭素数18〜50、好ましくは、炭素数18〜34の脂肪酸金属塩である。炭素数が18以上であればポリアミドが吸水した際の白化が防止できる。また、炭素数が50以下で樹脂組成物中への均一分散が良好となる。脂肪酸は側鎖や二重結合があってもよいが、ステアリン酸(C18)、エイコ酸(C20)、ベヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)などの直鎖飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸と塩を形成する金属に特に制限はないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、亜鉛等が例示され、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛が特に好ましい。
【0026】
本発明に用いられる脂肪酸金属塩は、上記のうち1種類でもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明では、脂肪酸金属塩の形状に特に制限はないが、粒径が小さい方が樹脂組成物中に均一に分散させることが容易に行えるため、その粒径は0.2mm以下が好ましい。
【0027】
本発明で用いられるジアミド化合物は、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数2〜10のジアミンから得られるジアミド化合物である。脂肪酸の炭素数が8以上、ジアミンの炭素数が2以上で白化防止効果が期待できる。また、脂肪酸の炭素数が30以下、ジアミンの炭素数が10以下で組成物中への均一分散が良好となる。
【0028】
ジアミド化合物に用いられる脂肪酸は、側鎖や二重結合があってもよいが、直鎖飽和脂肪酸が好ましい。例として、ステアリン酸(C18)、エイコ酸(C20)、ベヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)が例示でき、中でもモンタン酸が好ましい。ジアミド化合物に用いられるジアミンとして、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が例示でき、中でもエチレンジアミンを骨格中に有する化合物が好ましい。これらは1種類で使用しても良いし、2種類以上を併用してもよい。
【0029】
本発明で用いられるジエステル化合物は、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数2〜10のジオールから得られるジエステル化合物である。脂肪酸の炭素数が8以上、ジオールの炭素数が2以上で白化防止効果が期待できる。また、脂肪酸の炭素数が30以下、ジオールの炭素数が10以下で組成物中への均一分散が良好となる。
【0030】
ジエステル化合物に使用される脂肪酸として、ステアリン酸(C18)、エイコ酸(C20)、ベヘン酸(C22)、モンタン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)等が例示でき、中でもモンタン酸が好ましい。ジエステル化合物に使用されるジオールとして、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が例示でき、中でもエチレングリコールあるいは1,3−ブタンジオールが好ましい。これらを組み合わせて得られるジエステル化合物が本発明に用いられる。ジエステル化合物は1種類でも良いし、2種以上を併用しても良い。
【0031】
本発明において用いられるジアミド化合物とジエステル化合物は単独で用いても良いし、併用して用いても良い。
本発明において、ジアミド化合物および/またはジエステル化合物の添加量は、ポリアミド100重量部に対して0.005〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部、特に好ましくは0.12〜0.5重量部である。ジアミド化合物および/またはジエステル化合物の添加量が0.005重量部未満であると実用的な白化防止効果が得られない。また、1.0重量部より多いとジアミド化合物および/またはジエステル化合物の影響でポリアミドが白くにごるため好ましくない。
【0032】
ポリアミドに上記白化防止剤を添加する方法は公知の混合法を適用できる。たとえば、回転中空容器内にポリアミドペレットと白化防止剤を投入し混合して使用してもよい。また、高濃度の白化防止剤を含有する組成物を製造した後、白化防止剤を含有しないポリアミドペレットで所定の濃度で希釈し、これらを溶融混練する方法、溶融混練後、引き続き、射出成形などにより成形体を得る方法などが採用される。
【0033】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で各種エラストマー類などの耐衝撃性改質材、銅化合物、有機もしくは無機ハロゲン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、有機リン系化合物等の酸化防止剤、熱安定剤、着色防止剤、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、離型剤、可塑剤、着色剤、難燃剤などの添加剤が含まれていても良い。
【0034】
前記ポリアミド樹脂組成物は各種包装材料や包装容器等の成形体を構成する層に加工して使用することができる。包装材料としては、フィルム状、またはシート状の成形体に加工することができ、さらに包装容器としてはボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の少なくとも一部を構成する材料として使用することができる。さらに上記包装材料または包装容器の構成は本発明で得られるポリアミド樹脂組成物からなる単層であっても良く、他の熱可塑性樹脂と組み合わせた多層構造であっても良い。
【0035】
前記ポリアミド樹脂組成物を利用してなる包装材料及び包装容器の製造方法については、公知の方法を利用することができる。 例えば、フィルムやシート、またはチューブ状の包装材料の成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等を通して溶融させた該ポリアミドを付着した押出機から押し出して製造することができる。なお、上記の方法で得たフィルム状の成形体はこれを延伸することにより延伸フィルムに加工することもできる。
本発明のポリアミド樹脂成形物を利用してなる包装材料や包装容器は上記の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
【0036】
本発明の多層構造体は、例えば、前記ポリアミド層とポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン層を、接着剤樹脂を使用して共押出により積層したり、各種ラミネート加工により積層することにより得られる。ポリオレフィン層は、多層構造体の最外層および最内層を形成することが好ましい。層構成としては、ポリオレフィン層/接着剤樹脂層/ポリアミド層/接着剤樹脂層/ポリオレフィン層の3種5層等が挙げられるが、これに限定はされない。
【0037】
本発明の多層構造体は、必要に応じてポリオレフィン層、接着性樹脂層、ポリアミド層以外に各種熱可塑性樹脂層や、アルミ箔等の金属フィルムを積層することができる。例えば、該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタテート等のポリエステル、ナイロン6等の脂肪族ポリアミド等が挙げられる。また、多層フィルム・シート及び多層容器製造時にトリミングしてできたトリミングくずを粉砕して、粉砕物を単独で、又はポリオレフィンや他の熱可塑性樹脂と混合してリサイクル樹脂層としてポリオレフィン層と接着性樹脂層の間に中間層として積層することができる。また、多層容器に特徴を持たせるためにポリオレフィン層の表側に、ポリカーボネートや各種イージーピール性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を積層することができる。これらに限らず、目的に応じて様々な熱可塑性樹脂層を積層することが可能である。さらに本発明の多層構造体には、そのフランジ部分にイージーピール機能を付与するための特殊加工や無機酸化物薄膜層を蒸着する等の加工を施すことが可能である。
【0038】
本発明の多層構造体を用いることにより、種々の包装容器を製造することができる。該包装容器には様々な物品を収納、保存することができる。例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料、ゼリー、プリン等に代表される高水分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができる。
【実施例】
【0039】
以下実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
【0040】
(1)引張弾性率(MPa)
厚さ20μmの単層フィルムを作製し、ASTM D882に準じて引張弾性率を測定した。測定装置は、(株)東洋精機製作所製の測定装置(ストログラフV1−C)を使用した。
(2)酸素透過係数(ml・mm/m・MPa・day)
厚さ20μmの単層フィルムを用いた。モダンコントロールズ社製、OX−TRAN2/21を用い、23℃、相対湿度50%RHの条件にて測定した。
(3)熱成形性評価
LLDPE層/接着性樹脂層/ポリアミド層/接着性樹脂層/LLDPE層=50/10/20/10/50(ミクロン)の層構成を有する多層フィルムを使用し、プラグアシストを備えた真空圧空成形機(浅野研究所製圧空真空成形機)を使用して、表面温度90℃条件で多層シートの熱成形を行い、口径62mm×底径52mm×深さ28mm、表面積73cm、容積70mlのカップ状容器を得た。金型への転写状態が良好なものを○、角部分等の賦型が不良であるものは×とした。
【0041】
(4)結晶化発熱ピーク温度
示差走査熱量計(DSC)を使用し、以下の手順によりポリアミド(B)の結晶化発熱ピーク温度(Tch)を測定した。
(a)ポリアミド(B)を窒素気流下で10℃/分の昇温速度で溶融させる。
(b)ドライアイスを使用して昇温直後のポリアミド(B)サンプルを急冷する。
(c)急冷したポリアミド(B)を窒素気流下で室温から10℃/分の昇温速度で溶融させ、結晶化に由来する発熱ピークの頂点をTch(℃)とする。
【0042】
製造例1
攪拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸9654g(66.06mol)とイソフタル酸578g(3.48mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を攪拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン9044g(66.40mol)を攪拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を255℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約16kgのポリマーを得た。
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱伝対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーにポリマーを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で40分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してポリアミドB−1を得た。ポリアミドB−1の相対粘度は2.6、23℃、50RHにおける酸素透過係数は0.7ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は969Pa・sであった。また、ポリアミドB−1のTchは167℃であった。
【0043】
製造例2
アジピン酸を9185g(62.85mol)、イソフタル酸を666g(6.69mol)とした以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−2を得た。ポリアミドB−2の相対粘度は2.6、23℃、50RHにおける酸素透過係数は0.7ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は983Pa・sであった。また、ポリアミドB−2のTchは171℃であった。
【0044】
製造例3
アジピン酸を7114g(48.68mol)、イソフタル酸を3466g(20.86mol)とした以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−3を得た。ポリアミドB−3の相対粘度は2.2、23℃、50RHにおける酸素透過係数は0.8ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は400Pa・sであった。また、ポリアミドB−3のDSC測定では結晶化発熱ピークは観察されなかった。
【0045】
製造例4
アジピン酸を8130g(55.63mol)とし、イソフタル酸の代わりにセバシン酸を2813g(13.91mol)使用した以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−4を得た。ポリアミドB−4の相対粘度は2.1、23℃、50RHにおける酸素透過係数は1.5ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は355Pa・sであった。また、ポリアミドB−4のTchは170℃であった。
【0046】
製造例5
ジカルボン酸としてアジピン酸のみを10163g(69.54mol)使用した以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−5を得た。ポリアミドB−5の相対粘度は2.6、23℃、50RHにおける酸素透過係数は1.0ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は936Pa・sであった。また、ポリアミドB−5のTchは155℃であった。
【0047】
製造例6
アジピン酸を9959g(68.15mol)、イソフタル酸を231g(1.39mol)とした以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−6を得た。ポリアミドB−6の相対粘度は2.6、23℃、50RHにおける酸素透過係数は0.9ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は940Pa・sであった。また、ポリアミドB−6のTchは158℃であった。
【0048】
製造例7
ジカルボン酸としてセバシン酸のみを14064g(69.54mol)使用した以外は製造例1と同様にしてポリアミドB−7を得た。ポリアミドB−7の相対粘度は2.1、23℃、50RHにおける酸素透過係数は15.0ml・mm/m・MPa・day、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度は364Pa・sであった。また、ポリアミドB−7のDSC測定では結晶化発熱ピークは観察されなかった。
【0049】
参考例1
ポリアミドB−1に対し、ナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン、グレード:1024B、相対粘度:3.4、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度:947Pa・s、以下「ポリアミドA−1」と称す)を90/10 (ポリアミドA−1/ポリアミドB−1)の重量比率でドライブレンドして混合ポリアミドを得た。該混合ポリアミドを、30mmφ二軸押出機と、Tダイ、冷却ロール、巻取り機を備えた単層シート成形機(プラスチック工学研究所製PTM−30)に供給し、スクリュー回転100rpm、押出温度250℃、引取速度1.5m/minで厚み20μmの単層フィルムを得た。
また、40mmφ単軸押出機3台と、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層シート製造装置を用い、1台目の押出機からはスクリュー回転30rpmでLLDPE(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックLL、グレード:UF340)を240℃で、2台目の押出機からはスクリュー回転29rpmで接着性樹脂(三菱化学(株)製、商品名:モディックAP、グレード:L504)を230℃で、3台目の押出機からはスクリュー回転11rpmで前記混合ポリアミドを250℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介してLLDPE層/接着性樹脂層/混合ポリアミド層/接着性樹脂層/LLDPE層の3種5層構造の多層シートを引取速度2.5m/minで得た。なお、冷却ロール温度は20℃であった。各層の厚みは、50/10/20/10/50(μm)であった。
単層フィルムについて引張弾性率と酸素透過係数を測定した。また、多層シートについて熱成形性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
参考例2
ポリアミドA−1/ポリアミドB−1を80/20とした以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0051】
参考例3
ポリアミドA−1/ポリアミドB−1を70/30とした以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例4
ポリアミドA−1の代わりにナイロン6(宇部興産(株)製、商品名:UBEナイロン、グレード:1030B、相対粘度:4.1、250℃における剪断速度100s−1での溶融粘度:1649Pa・s、以下「ポリアミドA−2」と称す)を使用し、ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−2を使用した以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例5
ポリアミドA−1の代わりにポリアミドA−2を使用し、ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−2を使用した以外は実施例2と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0054】
実施例6
ポリアミドA−1の代わりにポリアミドA−2を使用し、ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−2を使用した以外は実施例3と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0055】
実施例7
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−3を使用した以外は実施例4と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0056】
実施例8
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−3を使用した以外は実施例5と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0057】
実施例9
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−3を使用した以外は実施例6と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0058】
実施例10
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−4を使用した以外は実施例4と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0059】
実施例11
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−4を使用した以外は実施例5と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0060】
実施例12
ポリアミドB−2の代わりにポリアミドB−4を使用した以外は実施例6と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0061】
比較例1
ポリアミドA−1/ポリアミドB−1を95/5とした以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0062】
比較例2
ポリアミドA−1/ポリアミドB−1を65/35とした以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0063】
比較例3
ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−5を使用した以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0064】
比較例4
ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−6を使用した以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0065】
比較例5
ポリアミドB−1の代わりにポリアミドB−7を使用した以外は実施例1と同様にして単層フィルムと多層シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の多層構造体は、ガスバリア性に優れることはもちろんのこと、透明性、柔軟性に優れたものであり、食品、飲料、薬品、電子部品等の包装材料として非常に有用なものであり、その工業的価値は非常に高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリアミド(A)70〜90重量%と、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分を重縮合して得られ、(1)23℃、50RHにおける酸素透過係数が3ml・mm/m・MPa・day以下であり、(2)示差走査熱量計を用いた昇温測定時に観察される結晶化発熱ピーク温度が160℃以上〜融点未満に観察される若しくは結晶化発熱ピークが観察されないポリアミド(B)30〜10重量%からなるポリアミド樹脂組成物を主成分としたポリアミド層を1層以上積層した易熱成形性多層構造体であって、剪断速度100/秒、250℃の条件下における結晶性ポリアミド(A)とポリアミド(B)の溶融粘度比(ポリアミド(A)/ポリアミド(B))が1.2〜4.6である多層構造体。
【請求項2】
ポリアミド(B)を構成するジカルボン酸成分が炭素数4〜20のジカルボン酸である請求項1記載の易熱成形性多層構造体。
【請求項3】
ポリアミド(B)を構成するジカルボン酸成分が炭素数4〜20のα、ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸70〜97モル%と炭素数8〜20の芳香族および/または脂環族ジカルボン酸30〜3モル%からなる請求項1または2記載の易熱成形性多層構造体。
【請求項4】
結晶性ポリアミド(A)が脂肪族ポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の易熱成形性多層構造体。
【請求項5】
前記結晶性ポリアミド(A)がナイロン6である、請求項1〜4のいずれかに記載の易熱成形性多層構造体。
【請求項6】
ポリアミド層の引張弾性率が1GPa以下である請求項1〜5のいずれかに記載の易熱成形性多層構造体。
【請求項7】
請求項1に記載の易熱成形性多層構造体を少なくとも一部に用いた包装容器。

【公開番号】特開2012−183829(P2012−183829A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90975(P2012−90975)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【分割の表示】特願2008−107928(P2008−107928)の分割
【原出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】